(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074788
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】角棒体寸法測定装置および該方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
G01B11/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185138
(22)【出願日】2020-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】岡本 陽
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA12
2F065AA22
2F065AA30
2F065FF04
2F065GG04
2F065HH05
2F065JJ09
2F065NN12
2F065QQ31
(57)【要約】
【課題】本発明はより精度よく角棒体の寸法を測定できる角棒体寸法測定装置および角棒体寸法測定方を提供する。
【解決手段】本発明の角棒体寸法測定装置は、所定の仰角で角棒体を撮像した角棒体画像PCcに基づいて、角棒体画像領域の一方エッジUEcから中央位置へ向かう方向に、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第1輝度プロファイルαcを生成し、前記角棒体画像領域の他方エッジDEcから前記中央位置へ向かう方向に第2輝度プロファイルβcを生成し、角棒体表面までの距離、前記仰角、第1輝度プロファイルαcにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近いピークPKc2の第1ピーク位置Yucおよび第2輝度プロファイルβにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近いピークPKc3の第2ピーク位置Ydcに基づいて、前記角棒体の、軸心方向に直交する直交方向に沿う長さを求める。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の角棒体における、軸心方向に直交する直交方向の一方エッジおよび他方エッジが写り込むように、所定の仰角で前記角棒体を撮像する撮像部と、
前記撮像部の光軸から前記軸心方向にずれて前記撮像部の光軸と平行な測定方向で前記撮像部から前記角棒体表面までの距離を測定する距離測定部と、
前記一方エッジに交差するとともに前記他方エッジに交差するように前記角棒体にスリット状のスリット光を照射する光源部と、
前記直交方向の中央位置を含むように前記角棒体表面に設定された所定の領域の平均輝度が所定の輝度値となるように前記撮像部の露光時間を制御する露光時間制御部と、
前記一方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第1位置軸と、輝度値を表す第1輝度軸とから成る第1座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第1輝度プロファイルを生成する第1輝度プロファイル生成部と、
前記他方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第2位置軸と、輝度値を表す第2輝度軸とから成る第2座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第2輝度プロファイルを生成する第2輝度プロファイル生成部と、
前記距離測定部で測定した距離、前記仰角、前記第1輝度プロファイル生成部で生成した第1輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第1ピーク位置、および、前記第2輝度プロファイル生成部で生成した第2輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第2ピーク位置に基づいて、前記角棒体の前記直交方向に沿う長さを求める長さ演算部とを備え、
前記撮像部の露光時間が所定の露光閾値以上または越えた場合に、前記露光制御部は、前記光源部に前記スリット光を照射させ、前記第1および第2輝度プロファイル生成部は、それぞれ、前記撮像部で撮像した画像における前記スリット光を写し込んだ画素の輝度値に基づいて前記第1および第2輝度プロファイルを生成する、
角棒体寸法測定装置。
【請求項2】
測定対象の角棒体における、軸心方向に直交する直交方向の一方エッジおよび他方エッジが写り込むように、所定の仰角で前記角棒体を撮像する撮像部と、
前記撮像部の光軸から前記軸心方向にずれて前記撮像部の光軸と平行な測定方向で前記撮像部から前記角棒体表面までの距離を測定する距離測定部と、
前記直交方向の中央位置を含むように前記角棒体表面に設定された所定の領域の平均輝度が所定の輝度値となるように前記撮像部の露光時間を制御する露光時間制御部と、
前記一方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第1位置軸と、輝度値を表す第1輝度軸とから成る第1座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第1輝度プロファイルを生成する第1輝度プロファイル生成部と、
前記他方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第2位置軸と、輝度値を表す第2輝度軸とから成る第2座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第2輝度プロファイルを生成する第2輝度プロファイル生成部と、
前記距離測定部で測定した距離、前記仰角、前記第1輝度プロファイル生成部で生成した第1輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第1ピーク位置、および、前記第2輝度プロファイル生成部で生成した第2輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第2ピーク位置に基づいて、前記角棒体の前記直交方向に沿う長さを求める長さ演算部と、
前記角棒体の第1側面における前記直交方向に沿う長さを幅として前記長さ演算部で求める場合に前記第1および第2プロファイル生成部それぞれで第1および第2輝度プロファイルを生成するための第1および第2幅用ウィンドウを記憶し、前記第1側面に隣接する第2側面における前記直交方向に沿う長さを厚みとして前記長さ演算部で求める場合に前記第1および第2プロファイル生成部それぞれで第1および第2輝度プロファイルを生成するための第1および第2厚み用ウィンドウを記憶するウィンドウ記憶部とを備え、
前記第1および第2輝度プロファイル生成部は、それぞれ、前記幅を求める場合には前記ウィンドウ記憶部に記憶された第1および第2幅用ウィンドウを用い、前記厚みを求める場合には前記ウィンドウ記憶部に記憶された第1および第2厚み用ウィンドウを用いる、
角棒体寸法測定装置。
【請求項3】
測定対象の角棒体における、軸心方向に直交する直交方向の一方エッジおよび他方エッジが写り込むように、所定の仰角で前記角棒体を撮像部で撮像する撮像工程と、
前記撮像部の光軸から前記軸心方向にずれて前記撮像部の光軸と平行な測定方向で前記撮像部から前記角棒体表面までの距離を測定する距離測定工程と、
前記一方エッジに交差するとともに前記他方エッジに交差するように前記角棒体にスリット状のスリット光を照射する照射工程と、
前記直交方向の中央位置を含むように前記角棒体表面に設定された所定の領域の平均輝度が所定の輝度値となるように前記撮像部の露光時間を制御する露光時間制御工程と、
前記一方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第1位置軸と、輝度値を表す第1輝度軸とから成る第1座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第1輝度プロファイルを生成する第1輝度プロファイル生成工程と、
前記他方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第2位置軸と、輝度値を表す第2輝度軸とから成る第2座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第2輝度プロファイルを生成する第2輝度プロファイル生成工程と、
前記距離測定工程で測定した距離、前記仰角、前記第1輝度プロファイル生成工程で生成した第1輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第1ピーク位置、および、前記第2輝度プロファイル生成工程で生成した第2輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第2ピーク位置に基づいて、前記角棒体の前記直交方向に沿う長さを求める長さ演算工程とを備え、
前記撮像部の露光時間が所定の露光閾値以上または越えた場合に、前記露光制御工程は、前記照射工程を実行し、前記第1および第2輝度プロファイル生成工程は、それぞれ、前記撮像部で撮像した画像における前記スリット光を写し込んだ画素の輝度値に基づいて前記第1および第2輝度プロファイルを生成する、
角棒体寸法測定方法。
【請求項4】
測定対象の角棒体における、軸心方向に直交する直交方向の一方エッジおよび他方エッジが写り込むように、所定の仰角で前記角棒体を撮像部で撮像する撮像工程と、
前記撮像部の光軸から前記軸心方向にずれて前記撮像部の光軸と平行な測定方向で前記撮像部から前記角棒体表面までの距離を測定する距離測定工程と、
前記直交方向の中央位置を含むように前記角棒体表面に設定された所定の領域の平均輝度が所定の輝度値となるように前記撮像部の露光時間を制御する露光時間制御工程と、
前記一方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第1位置軸と、輝度値を表す第1輝度軸とから成る第1座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第1輝度プロファイルを生成する第1輝度プロファイル生成工程と、
前記他方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第2位置軸と、輝度値を表す第2輝度軸とから成る第2座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第2輝度プロファイルを生成する第2輝度プロファイル生成工程と、
前記距離測定工程で測定した距離、前記仰角、前記第1輝度プロファイル生成工程で生成した第1輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第1ピーク位置、および、前記第2輝度プロファイル生成工程で生成した第2輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第2ピーク位置に基づいて、前記角棒体の前記直交方向に沿う長さを求める長さ演算工程と、
前記第1および第2輝度プロファイル生成工程は、それぞれ、前記角棒体の第1側面における前記直交方向に沿う長さを幅として前記長さ演算工程で求める場合には、前記第1および第2プロファイル生成工程それぞれで第1および第2輝度プロファイルを生成するための第1および第2幅用ウィンドウを用い、前記第1側面に隣接する第2側面にける前記直交方向に沿う長さを厚みとして前記長さ演算工程で求める場合には、前記第1および第2プロファイル生成工程それぞれで第1および第2輝度プロファイルを生成するための第1および第2厚み用ウィンドウを用いる、
角棒体寸法測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角棒体、好ましくは熱間鍛造中の角棒体の寸法を非接触で測定する角棒体寸法測定装置および角棒体寸法測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高温(約1000℃)に加熱したインゴット(鋳塊)にハンマ等による打撃によってプレス加工を施す鍛造工程を経ることにより、該インゴットから丸棒状や角棒状の鍛造品が形成されている。上記鍛造工程において、寸法精度の高い鍛造品を形成するために、鍛造工程中に1または複数回、鍛造加工中の鍛造材(鍛造ワーク)の寸法が計測される。このような鍛造材の計測方法は、高温に加熱された鍛造材から高い輻射熱が多量に放射されるため、作業者にとって酷暑作業となる。さらに、上述の計測方法は、人為的な作業によって計測するものであるから、計測値がばらつく可能性がある。そこで、カメラ等の撮像手段を用いることにより、鍛造材に非接触で、かつ、機械的な計測を可能とする計測技術が、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示された直径計測装置は、丸棒状の被計測体を背景と共に撮像可能であって、該撮像によって得られた画像上に、前記被計測体の軸心を介して径方向に対向する一対の境界を収める撮像手段と、該撮像手段のレンズ中心から前記被計測体の表面までの距離を計測する計測手段とを備える携帯可能な計測ヘッド部と、前記撮像手段によって得られた画像及び前記計測手段によって得られた計測値に基づいて前記被計測体の直径を演算する演算手段を備える信号処理部と、前記被計測体の軸心に前記撮像手段の光軸を直交させるための光軸直交手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、角棒体の寸法を測定する場合、角棒体における、設置位置の変動、サイズの変動、カメラの高さや仰角の変動によって、画像に角棒体の上面が写り込んだり、下面が写り込んだりする。このため、上面や下面が画像に写り込むと正しく幅や厚み(奥行)を測定することが難しい。
【0006】
そして、鍛造の作業が長引き、鍛造材が冷える場合、丸棒体は、均等に冷える。そのため画像中の丸棒体の輝度は、ほぼ均等に下がるため、カメラの露光時間を下げる、あるいはエッジ抽出の閾値を下げることで、対応は、可能である。しかしながら、角棒体は、稜から冷えるので、角棒体表面の輝度分布は、不均一になってしまう。そのため、輝度の解析が難しく、安定してエッジを検出することが難しい。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、より精度よく、角棒体の寸法を測定できる角棒体寸法測定装置および角棒体寸法測定方を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる角棒体寸法測定装置は、測定対象の角棒体における、軸心方向に直交する直交方向の一方エッジおよび他方エッジが写り込むように、所定の仰角で前記角棒体を撮像する撮像部と、前記撮像部の光軸から前記軸心方向にずれて前記撮像部の光軸と平行な測定方向で前記撮像部から前記角棒体表面までの距離を測定する距離測定部と、前記一方エッジに交差するとともに前記他方エッジに交差するように前記角棒体にスリット状のスリット光を照射する光源部と、前記直交方向の中央位置を含むように前記角棒体表面に設定された所定の領域の平均輝度が所定の輝度値となるように前記撮像部の露光時間を制御する露光時間制御部と、前記一方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第1位置軸と、輝度値を表す第1輝度軸とから成る第1座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第1輝度プロファイルを生成する第1輝度プロファイル生成部と、前記他方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第2位置軸と、輝度値を表す第2輝度軸とから成る第2座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第2輝度プロファイルを生成する第2輝度プロファイル生成部と、前記距離測定部で測定した距離、前記仰角、前記第1輝度プロファイル生成部で生成した第1輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第1ピーク位置、および、前記第2輝度プロファイル生成部で生成した第2輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第2ピーク位置に基づいて、前記角棒体の前記直交方向に沿う長さを求める長さ演算部とを備え、前記撮像部の露光時間が所定の露光閾値以上または越えた場合に、前記露光制御部は、前記光源部に前記スリット光を照射させ、前記第1および第2輝度プロファイル生成部は、それぞれ、前記撮像部で撮像した画像における前記スリット光を写し込んだ画素の輝度値に基づいて前記第1および第2輝度プロファイルを生成する。好ましくは、上述の角棒体寸法測定装置において、前記撮像部の前に配置され、赤色波長以上または近赤外波長以上の波長の光(電磁波)を透過する第1フィルタ部をさらに備える。好ましくは、上述の角棒体寸法測定装置において、前記スリット光は、緑色光であり、前記撮像部の前に配置され、前記緑色光を透過する第2フィルタ部をさらに備える。好ましくは、上述の角棒体寸法測定装置において、前記スリット光は、緑色光であり、前記撮像部の前に配置され、位置の切り替え可能に、赤色波長以上または近赤外波長以上の波長の光(電磁波)を透過する第1フィルタ部および前記緑色光を透過する第2フィルタ部を備えるフィルタユニットにさらに備え、前記露光制御部は、前記撮像部の前に第1フィルタ部が位置するように前記フィルタユニットを制御し、前記撮像部の露光時間が所定の露光閾値以上または越えた場合に、前記撮像部の前に第2フィルタ部が位置するように前記フィルタユニットをさらに制御する。好ましくは、上述の角棒体寸法測定装置において、前記第1および第2輝度プロファイル生成部は、それぞれ、前記各位置において、前記軸心方向に沿う各画素の各輝度値の平均値を当該位置の輝度値として求める。
【0009】
画像に角棒体の上面あるいは下面が写り込んだ場合には、上面あるいは下面と側面との稜付近で輝度が相対的に暗くなる。このため、一方エッジは、第1輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって中央位置に最も近い第1ピーク位置として第1輝度プロファイルに現れ、他方エッジは、第2輝度プロファイル生成部で生成した第2輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって中央位置に最も近い第2ピーク位置として第2輝度プロファイルに現れる。上記角棒体寸法測定装置は、前記第1ピーク位置および前記第2ピーク位置に基づいて、角棒体の直交方向に沿う長さを求めるので、画像に角棒体の上面あるいは下面が写り込む場合でも、一方エッジおよび他方エッジを検出でき、角棒体の直交方向に沿う長さ(幅や厚み)をより精度よく求めることができる。上記角棒体寸法測定装置は、所定の領域の平均輝度が所定の輝度値となるように撮像部の露光時間を制御するので、鍛造の作業に伴って鍛造材が冷える場合でも、適切な露光時間で画像を生成できるから、第1および第2輝度プロファイルを適切に生成でき、角棒体の直交方向に沿う長さをより精度よく求めることができる。上記角棒体寸法測定装置は、撮像部の露光時間が所定の露光閾値以上または越えた場合に、光源部にスリット光を照射させ、撮像部で撮像した画像におけるスリット光を写し込んだ画素の輝度値に基づいて第1および第2輝度プロファイルを生成するので、鍛造材がさらに冷える場合でも、第1および第2輝度プロファイルを適切に生成でき、角棒体の直交方向に沿う長さをより精度よく求めることができる。したがって、上記角棒体寸法測定装置は、より精度よく、角棒体の寸法を測定できる。
【0010】
本発明の他の一態様にかかる角棒体寸法測定装置は、測定対象の角棒体における、軸心方向に直交する直交方向の一方エッジおよび他方エッジが写り込むように、所定の仰角で前記角棒体を撮像する撮像部と、前記撮像部の光軸から前記軸心方向にずれて前記撮像部の光軸と平行な測定方向で前記撮像部から前記角棒体表面までの距離を測定する距離測定部と、前記直交方向の中央位置を含むように前記角棒体表面に設定された所定の領域の平均輝度が所定の輝度値となるように前記撮像部の露光時間を制御する露光時間制御部と、前記一方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第1位置軸と、輝度値を表す第1輝度軸とから成る第1座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第1輝度プロファイルを生成する第1輝度プロファイル生成部と、前記他方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第2位置軸と、輝度値を表す第2輝度軸とから成る第2座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第2輝度プロファイルを生成する第2輝度プロファイル生成部と、前記距離測定部で測定した距離、前記仰角、前記第1輝度プロファイル生成部で生成した第1輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第1ピーク位置、および、前記第2輝度プロファイル生成部で生成した第2輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第2ピーク位置に基づいて、前記角棒体の前記直交方向に沿う長さを求める長さ演算部と、前記角棒体の第1側面における前記直交方向に沿う長さを幅として前記長さ演算部で求める場合に前記第1および第2プロファイル生成部それぞれで第1および第2輝度プロファイルを生成するための第1および第2幅用ウィンドウを記憶し、前記第1側面に隣接する第2側面における前記直交方向に沿う長さを厚みとして前記長さ演算部で求める場合に前記第1および第2プロファイル生成部それぞれで第1および第2輝度プロファイルを生成するための第1および第2厚み用ウィンドウを記憶するウィンドウ記憶部とを備え、前記第1および第2輝度プロファイル生成部は、それぞれ、前記幅を求める場合には前記ウィンドウ記憶部に記憶された第1および第2幅用ウィンドウを用い、前記厚みを求める場合には前記ウィンドウ記憶部に記憶された第1および第2厚み用ウィンドウを用いる。好ましくは、上述の角棒体寸法測定装置において、前記第1および第2輝度プロファイル生成部は、前記第1および第2幅用ウィンドウと前記第1および第2厚み用ウィンドウとを、複数回、交互に用いる。好ましくは、上述の角棒体寸法測定装置において、前記第1および第2輝度プロファイル生成部は、それぞれ、前記各位置において、前記軸心方向に沿う各画素の各輝度値の平均値を当該位置の輝度値として求める。
【0011】
このような角棒体寸法測定装置は、第1ピーク位置および第2ピーク位置に基づいて、角棒体の直交方向に沿う長さを求めるので、画像に角棒体の上面あるいは下面が写り込む場合でも、一方エッジおよび他方エッジを検出でき、角棒体の直交方向に沿う長さ(幅や厚み)をより精度よく求めることができる。上記角棒体寸法測定装置は、所定の領域の平均輝度が所定の輝度値となるように撮像部の露光時間を制御するので、鍛造の作業に伴って鍛造材が冷える場合でも、適切な露光時間で画像を生成できるから、第1および第2輝度プロファイルを適切に生成でき、角棒体の直交方向に沿う長さをより精度よく求めることができる。角棒体の鍛造では、幅と厚みとを交互に鍛造しながら調整する。上記角棒体寸法測定装置は、第1および第2幅用ウィンドウと第1および第2厚み用ウィンドウとを備えるので、幅と厚みとが異なる場合でも、第1および第2輝度プロファイルを適切に生成でき、角棒体の直交方向に沿う長さをより精度よく求めることができる。したがって、上記角棒体寸法測定装置は、より精度よく、角棒体の寸法を測定できる。
【0012】
本発明の他の一態様にかかる角棒体寸法測定方法は、測定対象の角棒体における、軸心方向に直交する直交方向の一方エッジおよび他方エッジが写り込むように、所定の仰角で前記角棒体を撮像部で撮像する撮像工程と、前記撮像部の光軸から前記軸心方向にずれて前記撮像部の光軸と平行な測定方向で前記撮像部から前記角棒体表面までの距離を測定する距離測定工程と、前記一方エッジに交差するとともに前記他方エッジに交差するように前記角棒体にスリット状のスリット光を照射する照射工程と、前記直交方向の中央位置を含むように前記角棒体表面に設定された所定の領域の平均輝度が所定の輝度値となるように前記撮像部の露光時間を制御する露光時間制御工程と、前記一方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第1位置軸と、輝度値を表す第1輝度軸とから成る第1座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第1輝度プロファイルを生成する第1輝度プロファイル生成工程と、前記他方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第2位置軸と、輝度値を表す第2輝度軸とから成る第2座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第2輝度プロファイルを生成する第2輝度プロファイル生成工程と、前記距離測定工程で測定した距離、前記仰角、前記第1輝度プロファイル生成工程で生成した第1輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第1ピーク位置、および、前記第2輝度プロファイル生成工程で生成した第2輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第2ピーク位置に基づいて、前記角棒体の前記直交方向に沿う長さを求める長さ演算工程とを備え、前記撮像部の露光時間が所定の露光閾値以上または越えた場合に、前記露光制御工程は、前記照射工程を実行し、前記第1および第2輝度プロファイル生成工程は、それぞれ、前記撮像部で撮像した画像における前記スリット光を写し込んだ画素の輝度値に基づいて前記第1および第2輝度プロファイルを生成する。
【0013】
このような角棒体寸法測定方法は、第1ピーク位置および第2ピーク位置に基づいて、角棒体の直交方向に沿う長さを求めるので、画像に角棒体の上面あるいは下面が写り込む場合でも、一方エッジおよび他方エッジを検出でき、角棒体の直交方向に沿う長さ(幅や厚み)をより精度よく求めることができる。上記角棒体寸法測定方法は、所定の領域の平均輝度が所定の輝度値となるように撮像部の露光時間を制御するので、鍛造の作業に伴って鍛造材が冷える場合でも、適切な露光時間で画像を生成できるから、第1および第2輝度プロファイルを適切に生成でき、角棒体の直交方向に沿う長さをより精度よく求めることができる。上記角棒体寸法測定方法は、撮像部の露光時間が所定の露光閾値以上または越えた場合に、光源部にスリット光を照射させ、撮像部で撮像した画像におけるスリット光を写し込んだ画素の輝度値に基づいて第1および第2輝度プロファイルを生成するので、鍛造材がさらに冷える場合でも、第1および第2輝度プロファイルを適切に生成でき、角棒体の直交方向に沿う長さをより精度よく求めることができる。したがって、上記角棒体寸法測定方法は、より精度よく、角棒体の寸法を測定できる。
【0014】
本発明の他の一態様にかかる角棒体寸法測定方法は、測定対象の角棒体における、軸心方向に直交する直交方向の一方エッジおよび他方エッジが写り込むように、所定の仰角で前記角棒体を撮像部で撮像する撮像工程と、前記撮像部の光軸から前記軸心方向にずれて前記撮像部の光軸と平行な測定方向で前記撮像部から前記角棒体表面までの距離を測定する距離測定工程と、前記直交方向の中央位置を含むように前記角棒体表面に設定された所定の領域の平均輝度が所定の輝度値となるように前記撮像部の露光時間を制御する露光時間制御工程と、前記一方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第1位置軸と、輝度値を表す第1輝度軸とから成る第1座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第1輝度プロファイルを生成する第1輝度プロファイル生成工程と、前記他方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第2位置軸と、輝度値を表す第2輝度軸とから成る第2座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第2輝度プロファイルを生成する第2輝度プロファイル生成工程と、前記距離測定工程で測定した距離、前記仰角、前記第1輝度プロファイル生成工程で生成した第1輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第1ピーク位置、および、前記第2輝度プロファイル生成工程で生成した第2輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第2ピーク位置に基づいて、前記角棒体の前記直交方向に沿う長さを求める長さ演算工程と、前記第1および第2輝度プロファイル生成工程は、それぞれ、前記角棒体の第1側面における前記直交方向に沿う長さを幅として前記長さ演算工程で求める場合には、前記第1および第2プロファイル生成工程それぞれで第1および第2輝度プロファイルを生成するための第1および第2幅用ウィンドウを用い、前記第1側面に隣接する第2側面にける前記直交方向に沿う長さを厚みとして前記長さ演算工程で求める場合には、前記第1および第2プロファイル生成工程それぞれで第1および第2輝度プロファイルを生成するための第1および第2厚み用ウィンドウを用いる。
【0015】
このような角棒体寸法測定方法は、第1ピーク位置および第2ピーク位置に基づいて、角棒体の直交方向に沿う長さを求めるので、画像に角棒体の上面あるいは下面が写り込む場合でも、一方エッジおよび他方エッジを検出でき、角棒体の直交方向に沿う長さ(幅や厚み)をより精度よく求めることができる。上記角棒体寸法測定方法は、所定の領域の平均輝度が所定の輝度値となるように撮像部の露光時間を制御するので、鍛造の作業に伴って鍛造材が冷える場合でも、適切な露光時間で画像を生成できるから、第1および第2輝度プロファイルを適切に生成でき、角棒体の直交方向に沿う長さをより精度よく求めることができる。上記角棒体寸法測定方法は、第1および第2幅用ウィンドウと第1および第2厚み用ウィンドウとを備えるので、幅と厚みとが異なる場合でも、第1および第2輝度プロファイルを適切に生成でき、角棒体の直交方向に沿う長さをより精度よく求めることができる。したがって、上記角棒体寸法測定方法は、より精度よく、角棒体の寸法を測定できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる角棒体寸法測定装置および角棒体寸法測定方法は、より精度よく、角棒体の寸法を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】角棒体の熱間鍛造を説明するための模式図である。
【
図2】実施形態における角棒体寸法測定装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】前記角棒体寸法測定装置を用いて角棒体を測定する様子を説明するための模式図である。
【
図4】角棒体とプレス台との間の距離の違いによる角棒体の画像を説明するための模式図である。
【
図5】一方エッジ(上エッジ)の位置を検出する検出手法を説明するための模式図である。
【
図6】他方エッジ(下エッジ)の位置を検出する検出手法を説明するための模式図である。
【
図7】長さ(幅、厚み)の演算手法を説明するための図である。
【
図8】露光時間とスリット光の照射との関係を説明するための模式図である。
【
図9】スリット光を用いたエッジの位置を検出する検出手法を説明するための模式図である。
【
図10】前記角棒体寸法測定装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0019】
実施形態における角棒体寸法測定装置は、測定対象の角棒体における、軸心方向に直交する直交方向の一方エッジおよび他方エッジが写り込むように、所定の仰角で前記角棒体を撮像する撮像部と、前記撮像部の光軸から前記軸心方向にずれて前記撮像部の光軸と平行な測定方向で前記撮像部から前記角棒体表面までの距離を測定する距離測定部と、前記直交方向の中央位置を含むように前記角棒体表面に設定された所定の領域の平均輝度が所定の輝度値となるように前記撮像部の露光時間を制御する露光時間制御部と、前記一方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第1位置軸と、輝度値を表す第1輝度軸とから成る第1座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第1輝度プロファイルを生成する第1輝度プロファイル生成部と、前記他方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第2位置軸と、輝度値を表す第2輝度軸とから成る第2座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第2輝度プロファイルを生成する第2輝度プロファイル生成部と、前記距離測定部で測定した距離、前記仰角、前記第1輝度プロファイル生成部で生成した第1輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第1ピーク位置、および、前記第2輝度プロファイル生成部で生成した第2輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第2ピーク位置に基づいて、前記角棒体の前記直交方向に沿う長さを求める長さ演算部とを備える。
【0020】
本実施形態では、角棒体寸法測定装置は、前記一方エッジに交差するとともに前記他方エッジに交差するように前記角棒体にスリット状のスリット光を照射する光源部をさらに備え、前記撮像部の露光時間が所定の露光閾値以上または越えた場合に、前記露光制御部は、前記光源部に前記スリット光を照射させ、前記第1および第2輝度プロファイル生成部は、それぞれ、前記撮像部で撮像した画像における前記スリット光を写し込んだ画素の輝度値に基づいて前記第1および第2輝度プロファイルを生成する。
【0021】
そして、本実施形態における角棒体寸法測定装置は、前記角棒体の第1側面における前記直交方向に沿う長さを幅として前記長さ演算部で求める場合に前記第1および第2プロファイル生成部それぞれで第1および第2輝度プロファイルを生成するための第1および第2幅用ウィンドウを記憶し、前記第1側面に隣接する第2側面における前記直交方向に沿う長さを厚みとして前記長さ演算部で求める場合に前記第1および第2プロファイル生成部それぞれで第1および第2輝度プロファイルを生成するための第1および第2厚み用ウィンドウを記憶するウィンドウ記憶部をさらに備え、前記第1および第2輝度プロファイル生成部は、それぞれ、前記幅を求める場合には前記ウィンドウ記憶部に記憶された第1および第2幅用ウィンドウを用い、前記厚みを求める場合には前記ウィンドウ記憶部に記憶された第1および第2厚み用ウィンドウを用い、前記第1および第2幅用ウィンドウと前記第1および第2厚み用ウィンドウとを、複数回、交互に用いる。以下、このような角棒体寸法測定装置について、より具体的に説明する。
【0022】
図1は、角棒体の熱間鍛造を説明するための模式図である。
図1Aは、角棒体の幅を熱間鍛造により調整する様子を示し、
図1Bは、角棒体の厚みを熱間鍛造により調整する様子を示す。
図2は、実施形態における角棒体寸法測定装置の構成を示すブロック図である。
図3は、前記角棒体寸法測定装置を用いて角棒体を測定する様子を説明するための模式図である。
図3Aは、模式的な側面図を示し、
図3Bは、模式的な上面図を示す。
図4は、角棒体とプレス台との間の距離の違いによる角棒体の画像を説明するための模式図である。
図4Aは、画像に角棒体における下面および側面が写り込む場合を示し、
図4Bは、画像に角棒体における側面のみが写り込む場合を示す。
図5は、一方エッジ(上エッジ)の位置を検出する検出手法を説明するための図である。
図6は、他方エッジ(下エッジ)の位置を検出する検出手法を説明するための図である。
図5Aおよび
図6Aは、それぞれ、画像を示し、
図5Bおよび
図6Bは、それぞれ、輝度プロファイルを示し、
図5Cおよび
図6Cは、それぞれ、輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化を示す。
図5B、
図6B、
図5Cおよび
図6Cにおける上段は、一方エッジ(上エッジ)の場合を示し、
図5B、
図6B、
図5Cおよび
図6Cにおける下段は、他方エッジ(下エッジ)の場合を示す。
図7は、長さ(幅、厚み)の演算手法を説明するための図である。
図8は、露光時間とスリット光の照射との関係を説明するための図である。
図8の横軸は、露光時間であり、その縦軸は、角棒体の温度である。
図9は、スリット光を用いたエッジの位置を検出する検出手法を説明するための図である。
図9Aは、画像を示し、
図9Bは、輝度プロファイルを示し、
図9Cは、輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化を示す。
図9Bおよび
図9Cにおける上段は、一方エッジ(上エッジ)の場合を示し、
図9Bおよび
図9Cにおける下段は、他方エッジ(下エッジ)の場合を示す。
【0023】
角棒体の熱間鍛造では、
図1に示すように、角棒体Obは、中実な角柱状であり、その温度が熱間鍛造の可能な約600~1000℃の高温であり、その一方端がマニプレータMPによって把持されて支持され、プレス台TB上に載せられてプレス機PMによって叩かれ、その寸法(幅および厚み(奥行))が調整される。マニプレータMPは、角棒体Obを回転させたり、角棒体Obを長尺方向に沿って移動させたりできる。これによってプレス機PMで叩かれる面および箇所を変えられる。オペレータは、マニプレータMPおよびプレス機PMを操作することによって熱間鍛造中の鍛造材に対する叩く面および箇所を変え、前記鍛造材を所望の幅、厚みおよび長尺方向の長さに加工し、例えば平角材等の角棒体Obを製造する。この際に、オペレータは、
図1Aおよび
図1Bに示すように、マニプレータMPおよびプレス機PMを操作することによって、幅の調整および厚みの調整を、叩く面を交互に変えることによって、交互に実施する。
【0024】
上記鍛造工程において、寸法精度の高い鍛造品を形成するために、鍛造工程中に複数回、鍛造加工中の鍛造材(鍛造ワーク)の寸法が次の角棒体寸法測定装置Dによって計測される。
【0025】
この実施形態における角棒体寸法測定装置Dは、例えば、
図2および
図3に示すように、撮像部1と、距離測定部2と、光源部3と、制御処理部4と、入力部5と、表示部6と、インターフェース部(IF部)7と、記憶部8とを備える。
【0026】
撮像部1は、制御処理部4に有線または無線で接続され、制御処理部4の制御に従って、測定対象の角棒体Obにおける、軸心方向に直交する直交方向の一方エッジおよび他方エッジが写り込むように、所定の仰角θで前記角棒体Obを撮像する装置である。撮像部1は、例えば、可視光の画像を生成するデジタルカメラであってよいが、本実施形態では、赤外光の画像を生成するデジタル赤外線カメラである。このような撮像部1は、例えば、撮像対象における赤外の光学像を所定の結像面上に結像する結像光学系、前記結像面に受光面を一致させて配置され、前記撮像対象における赤外の光学像を電気的な信号に変換するイメージセンサ、および、イメージセンサの出力を画像処理することで前記撮像対象における赤外の画像を表すデータである画像データを生成する画像処理部等を備えるデジタル赤外線カメラである。撮像部1は、自動的に焦点を被写体に合わせるオードフォーカス機能(自動焦点機能)を備えることが好ましいが、マニュアル(手動)で合焦されてもよく、固定焦点式であってもよい。熱間鍛造中の角棒体Obは、赤熱しているため、好ましくは、撮像部1は、前記撮像部1の前に配置され、赤色波長以上または近赤外波長以上の波長の光(電磁波)を透過する第1フィルタ部をさらに備える。これによって角棒体Obを写し込んだ画像は、角棒体Obの画像部分が明るくなる一方、その背景の画像部分が暗くなるため、前記画像から、後述のように、角棒体Obのエッジが抽出され易くなる。本実施形態では、後述するように、所定の条件を満たす場合に、緑光のスリット光を角棒体Obに照射するため、撮像部1は、前記撮像部1の前に配置され、位置の切り替え可能に、赤色波長以上または近赤外波長以上の波長の光を透過する第1フィルタ部および前記緑色光を透過する第2フィルタ部を備えるフィルタユニットATに備えている。より具体的には、撮像部1は、前記結合光学系の前玉側にフィルタユニットATが装着されている。このフィルタユニットATは、例えば、前記第1フィルタ部が嵌め込まれた第1開口部および前記第2フィルタ部が嵌め込まれた第2開口部を備える板状のフィルタ板と、前記フィルタ板を前記結合光学系の前玉側に装着するための装着機構と、制御処理部4に有線または無線で接続され制御処理部4の制御に従って、前記第1および第2開口部の一方(前記第1および第2フィルタ部の一方)を前記結合光学系の前に位置するように前記フィルタ板を移動させる駆動部とを備える。なお、前記第1フィルタ部に加えて、前記撮像部1の前に配置され、前記緑色光を透過する第2フィルタ部が別体でさらに用意され、マニュアル(手動)で、第1および第2フィルタ部の一方が前記結合光学系の前玉側に必要に応じて装着されてもよい。
【0027】
撮像部1は、角棒体Obを撮像することによって生成した画像(画像データ)を制御処理部4へ出力する。
【0028】
距離測定部2は、制御処理部4に有線または無線で接続され、制御処理部4の制御に従って、撮像部1の光軸から角棒体Obの軸心方向にずれて前記撮像部1の光軸と平行な測定方向で、前記撮像部1から前記角棒体表面までの距離を測定する装置である。より具体的には、距離測定部2は、撮像部1における結像光学系のレンズ中心から、角棒体Obの表面までの距離を測定する。距離測定部2は、例えば、レーザ距離計等を備えて構成される。距離測定部2は、測定結果である、撮像部1から角棒体Obの表面までの距離を制御処理部4へ出力する。
【0029】
光源部3は、制御処理部4に有線または無線で接続され、制御処理部4の制御に従って、角棒体Obの一方エッジに交差するとともに前記角棒体Obの他方エッジに交差するように前記角棒体Obにスリット状のスリット光を照射する装置である。本実施形態では、例えば、光源部3は、前記一方エッジに直交するとともに前記他方エッジに直交するように、すなわち、前記直交方向に沿うように、前記角棒体Obにスリット光を照射する。光源部3は、例えば、レーザ光を照射するレーザ光源と、前記レーザ光源から放射されたレーザ光を、スリット光状に形成するためのスリット状の開口部を持つスリット板とを備える。
【0030】
これら撮像部1、距離測定部2および光源部3は、
図3に示すように、スタンドSTに配設される。このスタンドSTは、
図3Aに示すように、水平面から所定の仰角θで角棒体Obを撮像するように撮像部1を配設するための、前記仰角θと同角度θで水平面(床面)に対して傾斜する傾斜面を有する断面台形状であって板状の部材である配設台STaと、前記プレス台TBを配設した床面に立設され、配設台STaを前記床面から高さhで支持する柱状の部材である支持体STbとを備える。光源部3、撮像部1および距離測定部2は、
図3Bに示すように、この順で、配設台STaの傾斜面上に一方端から他方端へ順次に配設される。距離測定部2は、上述のように、その測定方向(測定方向を表す直線)SDが撮像部1の光軸AXから角棒体Obにおける軸心CLに沿う軸心方向にずれて前記撮像部1の光軸AXと平行になるように前記配設台の傾斜面上に配設される。すなわち、撮像部1と距離測定部2とは、前記撮像部1の光軸AXと前記距離測定部2の測定方向(測定方向を表す直線)SDとが同じ高さで平行になるように配設台STaの傾斜面上に配設される。
【0031】
入力部5は、制御処理部4に接続され、例えば、寸法の測定開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、測定対象の角棒体Obの名称(ロット番号等)や角棒体Obの寸法の種類(幅、厚み)等の、角棒体寸法測定装置Dを動作させる上で必要な各種データを角棒体寸法測定装置Dに入力する機器であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチやキーボードやマウス等である。表示部6は、制御処理部4に接続され、制御処理部4の制御に従って、入力部5から入力されたコマンドやデータ、測定結果である角棒体Obの寸法(幅、厚み)等を出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の表示装置等である。
【0032】
IF部7は、制御処理部4に接続され、制御処理部4の制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、IrDA(Infrared Data Asscoiation)規格等の赤外線通信を行うインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部7は、外部機器との間で通信を行う回路であり、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等であってもよい。
【0033】
記憶部8は、制御処理部4に接続され、制御処理部4の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、角棒体寸法測定装置Dの各部1~3、5~8を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御する制御プログラムや、角棒体Obにおける直交方向の中央位置を含むように角棒体表面に設定された所定の領域の平均輝度が所定の輝度値となるように撮像部1の露光時間を制御する露光時間制御プログラムや、前記一方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第1位置軸と、輝度値を表す第1輝度軸とから成る第1座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第1輝度プロファイルを生成する第1輝度プロファイル生成プログラムや、前記他方エッジから前記中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った画像上での各位置を表す第2位置軸と、輝度値を表す第2輝度軸とから成る第2座標系において、位置と当該位置の輝度値との関係を表す第2輝度プロファイルを生成する第2輝度プロファイル生成プログラムや、距離測定部2で測定した距離、前記仰角θ、前記第1輝度プロファイル生成プログラムで生成した第1輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第1ピーク位置、および、前記第2輝度プロファイル生成プログラムで生成した第2輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第2ピーク位置に基づいて、角棒体Obの前記直交方向に沿う長さを求める長さ演算プログラム等が含まれる。前記各種の所定のデータには、例えば、角棒体Obの寸法の種類(幅、厚み)や輝度プロファイルを生成する画像領域を表すウィンドウFR等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。このような記憶部8は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部8は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部4のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部8は、大容量を記憶可能なハードディスク装置を備えてもよい。
【0034】
記憶部8は、前記ウィンドウFRを記憶するウィンドウ記憶部81を機能的に備える。このウィンドウFRは、第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdw、ならびに、第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRdsを含む。第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdwは、角棒体Obの第1側面における前記直交方向に沿う長さを幅として後述の長さ演算部44で求める場合に後述の第1および第2プロファイル生成部42、43それぞれで第1および第2輝度プロファイルを生成するための画像領域である。第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRdsは、前記第1側面に隣接する第2側面における前記直交方向に沿う長さを厚みとして長さ演算部44で求める場合に第1および第2プロファイル生成部42、43それぞれで第1および第2輝度プロファイルを生成するための画像領域である。ウィンドウFRは、例えば
図5A、
図6Aおよび
図9Aに示すように、前記直交方向に沿う長さを有する所定のサイズの矩形形状である。ウィンドウ記憶部81は、例えば、ウィンドウFRの中心位置(例えば対角線の交点の位置)を記憶することで、ウィンドウFRを記憶する。
【0035】
制御処理部4は、角棒体寸法測定装置Dの各部1~3、5~8を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、角棒体Obにおける、軸心方向に直交する直交方向に沿う長さを非接触で測定するための回路である。制御処理部4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部4には、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部41、第1輝度プロファイル生成部42、第2輝度プロファイル生成部43、長さ演算部44およびウィンドウ処理部45が機能的に構成される。
【0036】
制御部41は、角棒体寸法測定装置Dの各部1~3、5~8を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、角棒体寸法測定装置D全体の制御を司るものである。そして、本実施形態では、制御部41は、例えば、
図5Aおよび
図5Bに示すように、角棒体Obにおける直交方向の中央位置CPを含むように前記角棒体表面に仮想的に設定された所定の領域(露光時間設定領域)EPの平均輝度(露光時間設定領域EP内における各画素の各輝度値の平均値)が所定の輝度値(露光時間設定輝度値)となるように撮像部1の露光時間を制御する。制御部41は、例えば、第1および第2輝度プロファイルを生成するための画像を撮像部1で撮像して生成する前に、露光時間を制御するための画像(露光時間設定用画像)を撮像部1で撮像して生成し、この露光時間設定用画像から、露光時間設定領域EPの平均輝度を求め、この求めた露光時間設定領域EPの平均輝度が露光時間設定輝度値となるように撮像部1の露光時間を設定する。そして、制御部41は、角棒体Obを撮像する際に、この設定した露光時間で撮像するように、撮像部1を制御する。露光時間設定領域EPの形状およびそのサイズ(面積)は、例えば複数のサンプルから予め適宜に設定される。
図5Aおよび
図5Bに示す例では、露光時間設定領域EPは、軸心方向に長尺な矩形形状である。露光時間設定輝度値は、例えば複数のサンプルから、画像上で、角棒体Obの画像と背景とが識別できる程度(エッジの位置が判定できる程度)に、予め適宜に設定される。
【0037】
ここで、鍛造中に角棒体Obを撮像部1で撮像した画像(角棒体画像)PCについて説明する。鍛造中では、通常、上述したように、角棒体Obは、プレス台TB上に載せられてプレス機PMによって叩かれるが、鍛圧状況を確認するために、オペレータ(ユーザ)は、マニプレータMPを操作することによって角棒体Obをプレス台TBから距離Dだけ浮かせる場合がある。浮かせた角棒体Obとプレス台TBとの距離Dは、様々であるので、その距離D1、D2によっては、
図4Aに示すように、撮像部1の視野に角棒体Obの側面だけでなく底面も入り込む結果、角棒体画像PCaには、角棒体Obにおける側面および底面が写り込む場合や、
図4Bに示す角棒体画像PCbのように、角棒体Obの側面のみが写り込む場合がある。
図4Bに示す角棒体画像PCbの場合では、角棒体画像PCbに、エッジを抽出するエッジフィルタを作用させる画像処理によって、背景が写り込んだ画像の領域(背景の画像領域)ARb1と側面が写り込んだ画像の領域(側面の画像領域)ARb2との境界および背景の画像領域ARb3と側面の画像領域ARb2との境界のみを抽出できるから、側面の一方エッジ(上エッジ)は、背景の画像領域ARb1と側面の画像領域ARb2との境界として検出でき、側面の他方エッジ(下エッジ)は、背景の画像領域ARb3と側面の画像領域ARb2との境界として検出できる。しかしながら、
図4Aに示す角棒体画像PCaのように、側面および底面が写り込むと、エッジフィルタの画像処理では、背景の画像領域ARa1と側面の画像領域ARa2との境界および底面が写り込んだ画像の領域(底面の画像領域)ARb3と背景の画像領域ARb4との境界が検出されるため、側面の他方エッジの検出が難しい。エッジフィルタの画像処理によって、側面の画像領域ARa2と底面の画像領域ARa3との境界が検出できたとしても、エッジフィルタの画像処理だけでは、角棒体寸法測定装置が角棒体画像PCaに側面および底面が写っているか、側面のみが写っているか、を判別できないので、側面の画像領域ARa2と底面の画像領域ARa3との境界を抽出することが難しい。このため、本実施形態では、以下のように、角棒体画像PCから輝度プロファイルが生成され、この輝度プロファイルに基づいて一方エッジおよび他方エッジが検出されている。
【0038】
第1輝度プロファイル生成部42は、撮像部1で撮像して生成された角棒体画像PCに基づいて第1輝度プロファイルαを生成するものである。より具体的には、
図5Aおよび
図5Bならびに
図6Aおよび
図6Bに示すように、第1輝度プロファイル生成部42は、一方エッジから前記直交方向の中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った角棒体画像PCc、PCd上での各位置Yを表す第1位置軸Y1と、輝度値Bを表す第1輝度軸B1とから成る第1座標系Y1B1において、位置Yと当該位置Yの輝度値Bとの関係を表す第1輝度プロファイルαc、αdを生成する。
【0039】
ここで、本実施形態では、第1輝度プロファイル生成部42は、角棒体画像PCにおける、ウィンドウ記憶部81に記憶されているウィンドウFR内の画像領域で第1輝度プロファイルαを生成する。より具体的には、
図5Aおよび
図6Aに示すように、第1輝度プロファイル生成部42は、幅を求める場合にはウィンドウ記憶部81に記憶された第1幅用ウィンドウFRuwを用い、第1幅用ウィンドウFRuw内の画像領域で第1輝度プロファイルαc、αdを生成し、厚みを求める場合にはウィンドウ記憶部81に記憶された第1厚み用ウィンドウFRusを用い、第1厚み用ウィンドウFRus内の画像領域で第1輝度プロファイルαc、αdを生成する。
【0040】
第2輝度プロファイル生成部43は、撮像部1で撮像して生成された角棒体画像PCに基づいて第2輝度プロファイルαを生成するものである。より具体的には、
図5Aおよび
図5Bならびに
図6Aおよび
図6Bに示すように、第2輝度プロファイル生成部43は、他方エッジから前記直交方向の中央位置へ向かう方向に、前記直交方向に沿った角棒体画像PCc、PCd上での各位置Yを表す第2位置軸Y2と、輝度値Bを表す第2輝度軸B2とから成る第2座標系Y2B2において、位置Yと当該位置Yの輝度値Bとの関係を表す第2輝度プロファイルβc、βdを生成する。
【0041】
ここで、本実施形態では、第2輝度プロファイル生成部43は、角棒体画像PCにおける、ウィンドウ記憶部81に記憶されているウィンドウFR内の画像領域で第2輝度プロファイルβを生成する。より具体的には、
図5Aおよび
図6Aに示すように、第2輝度プロファイル生成部43は、幅を求める場合にはウィンドウ記憶部81に記憶された第2幅用ウィンドウFRdwを用い、第2幅用ウィンドウFRdw内の画像領域で第2輝度プロファイルβc、βdを生成し、厚みを求める場合にはウィンドウ記憶部81に記憶された第2厚み用ウィンドウFRdsを用い、第2厚み用ウィンドウFRds内の画像領域で第2輝度プロファイルβc、βdを生成する。
【0042】
なお、第1および第2輝度プロファイル生成部42、43は、それぞれ、前記各位置Yにおいて、前記軸心方向に沿う各画素の各輝度値Bの平均値を当該位置の輝度値として求めてもよい。
【0043】
長さ演算部44は、距離測定部2で測定した距離(撮像部1から角棒体表面までの距離)、仰角θ、第1輝度プロファイル生成部42で生成した第1輝度プロファイルαにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第1ピーク位置、および、第2輝度プロファイル生成部43で生成した第2輝度プロファイルβにおける位置変化に対する輝度変化のピークであって前記中央位置に最も近い第2ピーク位置に基づいて、角棒体Obの前記直交方向に沿う長さを求めるものである。
【0044】
ここで、
図5Aに示すように、角棒体画像PCcに角棒体Obにおける側面および上面が写り込んでいる場合では、第2輝度プロファイルβcは、
図5Bの下段に示すように、角棒体画素PCcでの位置Yが角棒体画像PCcの下方部分から前記中央位置に向うに従って、輝度値Bが背景の画像領域ARc4の輝度値により略一定値で推移し、背景の画像領域ARc4と側面の画像領域ARc3との境界から、側面の画像領域ARc3の輝度値により徐々に増加するプロファイルとなる。これに対し、第1輝度プロファイルαcは、
図5Bの上段に示すように、角棒体画素PCcでの位置Yが角棒体画像PCcの上方部分から前記中央位置に向うに従って、輝度値Bが背景の画像領域ARc1の輝度値により略一定値で推移し、背景の画像領域ARc1と上面の画像領域ARc2との境界で増加し、上面の画像領域ARc2の輝度値により略一定値で推移し、上面の画像領域ARc2と側面の画像領域ARc3との境界で減少してから、側面の画像領域ARc3の輝度値により徐々に増加するプロファイルとなる。
【0045】
したがって、輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化、すなわち、位置Yに対する輝度値Bの微分値(dB/dY)は、第2輝度プロファイルβcでは、
図5Cの下段に示すように、背景の画像領域ARc4と側面の画像領域ARc3との境界の位置、すなわち、他方エッジDEcの位置Ydで1個のピークPKc3が現れる単峰のプロファイルとなる。一方、輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化(位置Yに対する輝度値Bの微分値(dB/dY))は、第1輝度プロファイルαcでは、
図5Cの上段に示すように、背景の画像領域ARc1と上面の画像領域ARc2との境界の位置、および、上面の画像領域ARc2と側面の画像領域ARc3との境界の位置(すなわち、一方エッジUEcの位置)Yuそれぞれで複数、ここでは2個のピークPKc1、PKc2が現れる複峰のプロファイルとなる。輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークPKは、第1および第2輝度プロファイルα、βのいずれの場合でも、前記中央位置に最も近いピークPKがエッジを表している。
図5に示す例では、第1輝度プロファイルαcにおける位置変化に対する輝度変化のピークPKc1、PKc2であって前記中央位置に最も近い第1ピークPKc2は、一方エッジ(上エッジ)UEcを表し、第2輝度プロファイルβcにおける位置変化に対する輝度変化のピークPKc3であって前記中央位置に最も近い第2ピークPKc3は、他方エッジ(下エッジ)DEcを表す。第1ピークPKc2の位置(第1ピーク位置)は、一方エッジUEcの位置Yucとなり、第2ピークPKc3の位置(第2ピーク位置)は、他方エッジDEcの位置Ydcとなる。
【0046】
なお、ピークを求める際に、エッジを表すピークPKか否かを判定するための所定の閾値(ピーク判定閾値)が用いられてもよい。より具体的には、長さ演算部44は、輝度プロファイルα、βにおける、位置Yに対する輝度値Bの微分値(dB/dY)のピークが正の場合、前記ピーク(前記ピークの微分値)が第1ピーク判定閾値Thv1より大きいか否かを判定し、大きい場合には、前記ピークがエッジを表すピークPKであると判定し、大きくない場合には、前記ピークがエッジを表すピークPKではないと判定する。長さ演算部44は、輝度プロファイルα、βにおける、位置Yに対する輝度値Bの微分値(dB/dY)のピークが負の場合、前記ピークが第2ピーク判定閾値Thv2より小さいか否かを判定し、小さい場合には、前記ピークがエッジを表すピークPKであると判定し、小さくない場合には、前記ピークがエッジを表すピークPKではないと判定する。第1および第2ピーク判定閾値Thv1、Thv2は、例えば複数のサンプルから予め適宜に設定される。これによりノイズのピークが除去され、より正しく、エッジを表すピークPKが検出できる。
【0047】
図6Aに示すように、角棒体画像PCcに角棒体Obにおける側面および下面が写り込んでいる場合では、第1輝度プロファイルαdは、
図6Bの上段に示すように、角棒体画素PCdでの位置Yが角棒体画像PCdの上方部分から前記中央位置に向うに従って、輝度値Bが背景の画像領域ARd1の輝度値により略一定値で推移し、背景の画像領域ARd1と側面の画像領域ARd2との境界から、側面の画像領域ARd2の輝度値により徐々に増加するプロファイルとなる。これに対し、第2輝度プロファイルβdは、
図6Bの下段に示すように、角棒体画素PCdでの位置Yが角棒体画像PCdの下方部分から前記中央位置に向うに従って、輝度値Bが背景の画像領域ARd4の輝度値により略一定値で推移し、背景の画像領域ARd4と下面の画像領域ARd3との境界で増加し、下面の画像領域ARd3の輝度値により略一定値で推移し、下面の画像領域ARd3と側面の画像領域ARd2との境界で減少してから、側面の画像領域ARd2の輝度値により徐々に増加するプロファイルとなる。
【0048】
したがって、輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化(位置Yに対する輝度値Bの微分値(dB/dY))は、第1輝度プロファイルαdでは、
図6Cの上段に示すように、背景の画像領域ARd1と側面の画像領域ARd2との境界の位置、すなわち、一方エッジUEdの位置Yuで1個のピークPKd1が現れる単峰のプロファイルとなる。一方、輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化(位置Yに対する輝度値Bの微分値(dB/dY))は、第2輝度プロファイルβdでは、
図6Cの下段に示すように、背景の画像領域ARd4と下面の画像領域ARd3との境界の位置、および、下面の画像領域ARd3と側面の画像領域ARd2との境界の位置(すなわち、他方エッジDEdの位置)Yuそれぞれで複数、ここでは2個のピークPKd2、PKd3が現れる複峰のプロファイルとなる。輝度プロファイルにおける位置変化に対する輝度変化のピークPKは、第1および第2輝度プロファイルα、βのいずれの場合でも、前記中央位置に最も近いピークがエッジを表している。
図6に示す例では、第1輝度プロファイルαdにおける位置変化に対する輝度変化のピークPKd1であって前記中央位置に最も近い第1ピークPKd1は、一方エッジ(上エッジ)UEdを表し、第2輝度プロファイルβdにおける位置変化に対する輝度変化のピークPKd2、PKd3であって前記中央位置に最も近い第2ピークPKd3は、他方エッジ(下エッジ)DEdを表す。第1ピークPKd1の位置(第1ピーク位置)は、一方エッジUEdの位置Yudとなり、第2ピークPKd3の位置(第2ピーク位置)は、他方エッジDEdの位置Yddとなる。
【0049】
このため、第1ピーク位置と第2ピーク位置との間の長さに基づいて角棒体Obの前記直交方向に沿う長さが求められる。
【0050】
より具体的には、
図7に示すように、角棒体Obの一方エッジ(上エッジ)UEは、撮像部1の前記結像光学系OPSを介して撮像部1の前記イメージセンサの撮像面ISにおける点bに結像し、この点bの位置は、第1輝度プロファイルαに基づいて上述のように第1ピークPKの位置Yuとして求められる。角棒体Obの他方エッジ(下エッジ)DEは、撮像部1の前記結像光学系OPSを介して撮像部1の前記イメージセンサの撮像面ISにおける点aに結像し、この点aの位置は、第2輝度プロファイルβに基づいて上述のように第2ピークPKの位置Ydとして求められる。
図7に示すように、撮像部1の前記結像光学系の光軸AXをZ軸とし、撮像部1の前記結像光学系OPSのレンズ中心を通り前記Z軸に直交する垂直方向(上下方向)の直線をY軸とする座標系YZにおいて、角棒体Obの他方エッジ(下エッジ)DEと点aとを通る直線LN1をP
1Y+Q
1Z+R
1=0とし、角棒体Obの一方エッジ(上エッジ)UEと点bとを通る直線LN2をP
2Y+Q
2Z+R
2=0とし、角棒体Obの側面における前記直交方向に伸びる直線NL3をP
3Y+Q
3Z+R
3=0(角棒体Obの側面は平面であって床面に垂直であるとの前提)とすると、角棒体Obの前記直交方向に沿う長さHは、直線LN1と直線LN3との交点および直線LN1と直線LN2との交点の間の長さとなることから、距離測定部1で測定した、撮像部1から角棒体表面までの距離をLとし、仰角をθとし、撮像部1における前記結像光学系の焦点距離をfとすると、次のように求めることができる。
【0051】
まず、直線LN1は、座標系YZにおいて、点a(-f、-a)および原点(0、0)の2点を通る直線であるから、係数P1、Q1、R1は、焦点距離fおよび第1輝度プロファイルαに基づいて上述のように求められる測定値aの関数として求められる。
【0052】
次に、直線LN2は、座標系YZにおいて、点b(-f、-b)および原点(0、0)の2点を通る直線であるから、係数P2、Q2、R2は、焦点距離fおよび第2輝度プロファイルβに基づいて上述のように求められる測定値bの関数として求められる。
【0053】
次に、直線LN3は、角棒体Obの側面が平面であって床面に垂直であるとすると、直線Z=Lを、点(0、L)を中心に角度θだけ回転した直線であるから、係数P3、Q3、R3は、仰角θおよび上述のように距離測定部1で測定した測定値Lの関数として求められる。
【0054】
次に、上エッジUEの座標値は、直線LN2と直線LN3との交点として求められ、下エッジDEの座標値は、直線LN1と直線LN3との交点として求められる。
【0055】
そして、角棒体Obの前記直交方向に沿う長さHは、上エッジUEの座標値と下エッジDEの座標値とから、ユークリッド距離として求められる。
【0056】
よって、長さ演算部44は、第1輝度プロファイルαについて、位置Yに対する輝度値Bの微分値を求めることで第1ピーク位置Yuを求め、第2輝度プロファイルβについて、位置Yに対する輝度値Bの微分値を求めることで第2ピーク位置Ydを求め、上述のアルゴリズムで角棒体Obの前記直交方向に沿う長さHを求める。
【0057】
ウィンドウ処理部45は、ウィンドウ記憶部81に記憶されているウィンドウFR(第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdw、第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRds)を調整し、更新するものである。角棒体Obの鍛造では、上述したように、叩く面を交互に変えることによって、幅の調整および厚みの調整が交互に実施される。このため、前回の幅と今回の幅とが異なる場合があるので、ウィンドウ処理部45は、第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdwの各位置を調整し、ウィンドウ記憶部81の記憶内容を更新する。例えば、ウィンドウ処理部45は、前回の一方エッジ(上エッジ)の位置から今回のその位置を減算した減算結果だけ、第1幅用ウィンドウFRuwの位置をずらすとともに前回の他方エッジ(下エッジ)の位置から今回のその位置を減算した減算結果だけ、第2幅用ウィンドウFRdwの位置をずらすことによって、第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdwの各位置を調整する。あるいは例えば、ウィンドウ処理部45は、前回の幅から今回の幅を減算した減算結果の半分だけ、第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdwの各位置をずらすことによって、第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdwの各位置を調整する。同様に、前回の厚みと今回の厚みとが異なる場合があるので、ウィンドウ処理部45は、第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRdsの各位置を調整し、ウィンドウ記憶部81の記憶内容を更新する。例えば、ウィンドウ処理部45は、前回の一方エッジ(上エッジ)の位置から今回のその位置を減算した減算結果だけ、第1厚み用ウィンドウFRusの位置をずらすとともに前回の他方エッジ(下エッジ)の位置から今回のその位置を減算した減算結果だけ、第2厚み用ウィンドウFRdsの位置をずらすことによって、第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRdsの各位置を調整する。あるいは例えば、ウィンドウ処理部45は、前回の厚みから今回の厚みを減算した減算結果の半分だけ、第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRdsの各位置をずらすことによって、第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRdsの各位置を調整する。なお、各ウィンドウFRの各位置における各初期値は、測定前に入力部5から入力されてよく、鍛造前の鍛造材(鍛造ワーク)における寸法(幅、厚み)、仰角θおよび撮像部1(距離測定部2)の高さhに基づいて推定できるので、デフォルト値として予め適宜に設定され記憶されてもよい。また、上述では、ウィンドウ処理部45は、ウィンドウFRの位置を調整したが、そのサイズを鍛造の進捗に従って小さくなるように調整してもよい。
【0058】
鍛造中、時間経過に従って角棒体Obが冷えてその温度が下がる。このため、上述したように、制御部41は、露光時間設定領域EPの平均輝度が露光時間設定輝度値となるように撮像部1の露光時間を制御する。これにより、
図8に示すように、角棒体Obの温度の低下に従って露光時間が長くなる。ここで、角棒体Obでは、特に稜から冷えるので、角棒体画像PCにおけるエッジが写り込んだ画像の領域(エッジ画像領域)が暗くなる(輝度が低下する)。このため、このような露光時間の制御だけでは、エッジの検出が難しくなってしまう。このため、本実施形態では、撮像部1の露光時間が所定の露光閾値Th以上または越えた場合に、制御部41は、光源部3に前記スリット光を照射させ、前記第2フィルタ部を撮像部1の前記結合光学系の前に位置するようにフィルタユニットATを制御し、第1および第2輝度プロファイル生成部42、43は、それぞれ、撮像部1で撮像した角棒体画像PCにおける前記スリット光を写し込んだ画素の輝度値に基づいて第1および第2輝度プロファイルα、βを生成する。スリット光が照射された角棒体Obを撮像した角棒体画像PCeは、例えば、
図9Aに示すように、スリット光が明瞭に写り込むため、第1および第2輝度プロファイル生成部42、43は、角棒体画像PCeにおける、前記スリット光が写り込んだ画像の領域(スリット光画像領域)SPCで、上述と同様に、例えば
図9Bに示す第1および第2輝度プロファイルαe、βeを生成し、長さ演算部44は、例えば
図9Cに示すように、これら第1および第2輝度プロファイルαe、βeにおける位置Yに対する輝度値の微分値を求めることで、第1および第2ピークPKe1、PKe2の第1および第2ピーク位置Yue、Ydeを検出できる。スリット光画像領域は、周辺より優位に明るいので、各位置Yで、角棒体画像PCにおける水平方向に沿う各画素の最大輝度値を選出することで、抽出できる。
【0059】
なお、本実施形態では、スリット光によっていわゆる光切断法による3次元計測を行うわけではないので、光切断法でのように角棒体Obに厳密にスリット光を照射する必要は無く、上述のように、ウィンドウFRで一方エッジUEよび他方エッジDEが検出できる程度に、角棒体Obにおける一方エッジUEおよび他方エッジDEに相当する部分にスリット光がかかるように照射されればよい。
【0060】
これら制御処理部4、入力部5、表示部6、IF部7および記憶部8は、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。これら各部4~8構成するコンピュータは、例えば、オペレーションルームに配置され、コンソールに組み込まれてよく(コンソールと兼用されてよく)、あるいは、コンソールと別体であってもよい。あるいは、各棒体寸法測定装置Dは、各部1~8を一体に構成されてもよい。
【0061】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図10は、前記角棒体寸法測定装置の動作を示すフローチャートである。
【0062】
このような構成の角棒体寸法測定装置Dは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部4には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部41、第1輝度プロファイル生成部42、第2輝度プロファイル生成部43、長さ演算部44およびウィンドウ処理部45が機能的に構成される。制御部41は、前記第1フィルタ部を撮像部1の前記結合光学系の前に位置するようにフィルタユニットATを制御する。
【0063】
まず、オペレータ(ユーザ)は、例えば
図3Bに示すように、撮像部1の光軸AX(撮像方向)および距離測定部2の測定方向SDが角棒体Obの軸心CLに直交するように、スタンドSTを設置することで、測定対象の角棒体Obに対し、撮像部1、距離測定部2および光源部3それぞれを配置する。オペレータは、必要に応じて、各ウィンドウFRの各位置における各初期値を入力部5から入力する。そして、オペレータは、入力部5から測定開始のコマンドを入力する。測定開始のコマンドの入力を受け付けると、角棒体寸法測定装置Dは、寸法の種類(幅、厚み)の入力を待ち受ける。
【0064】
鍛造中に寸法を測る際に、鍛造を中断し、オペレータは、寸法の種類(幅、厚み)を入力部5に入力する。
図10において、まず、角棒体寸法測定装置Dは、入力部5から寸法の種類の入力を受け付けると(S1)、制御処理部4によって、寸法の種類を判定する(S2)。この判定の結果、寸法の種類が幅である場合(幅)には、制御処理部4は、ウィンドウ記憶部81に記憶されている第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdwをウィンドウ記憶部81から読み込み(S3)、次に、処理S5を実行する。一方、判定の結果、寸法の種類が厚みである場合(厚み)には、制御処理部4は、ウィンドウ記憶部81に記憶されている第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRdsをウィンドウ記憶部81から読み込み(S4)、次に、処理S5を実行する。
【0065】
この処理S5では、角棒体寸法測定装置Dは、制御処理部4の制御部41によって、露光時間設定領域EPの平均輝度が露光時間設定輝度値となるように撮像部1の露光時間を設定する。
【0066】
次に、角棒体寸法測定装置Dは、制御処理部4の制御部41によって、この露光時間が露光閾値Th以上(または越えた)か否かを判定する(S6)。この判定の結果、前記露光時間が露光閾値Th以上である(または越えている)場合(Yes)には、角棒体寸法測定装置Dは、処理S7および処理S8の各処理を順次に実行した後に、処理S12を実行する。一方、前記判定の結果、前記露光時間が露光閾値Th以上ではない(または越えていない)場合(No)には、角棒体寸法測定装置Dは、処理S9、処理S10および処理S11の各処理を順次に実行した後に、処理S12を実行する。
【0067】
この処理S7では、角棒体寸法測定装置Dは、制御処理部4の制御部41によって、距離測定部2に距離を測定させ、処理S5で設定した露光時間で撮像部1に角棒体Obを撮像して角棒体画像PCを生成させる。距離測定部2は、この測定した距離を制御処理部4へ出力し、撮像部1は、この生成した角棒体画像PCを制御処理部4へ出力する。
【0068】
前記処理S7に続く処理S8では、角棒体寸法測定装置Dは、制御処理部4の第1および第2輝度プロファイル生成部42、43によって、寸法の種類が幅である場合には、角棒体画像PCにおける、処理S3で読み込んだ第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdwの各画像領域で第1および第2輝度プロファイルα、βを生成し、一方、寸法の種類が厚みである場合には、角棒体画像PCにおける、処理S4で読み込んだ第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRdsの各画像領域で第1および第2輝度プロファイルα、βを生成し、次に、処理S12を実行する。
【0069】
一方、前記処理S9では、角棒体寸法測定装置Dは、制御処理部4の制御部41によって、前記第2フィルタ部を撮像部1の前記結合光学系の前に位置するようにフィルタユニットATを制御し、光源部3にスリット光を照射させる。
【0070】
前記処理S9に続く処理S10では、角棒体寸法測定装置Dは、制御処理部4の制御部41によって、距離測定部2に距離を測定させ、スリット光の照射の際に用いられる予め適宜に設定された所定の露光時間で撮像部1に角棒体Obを撮像して角棒体画像PCを生成させる。距離測定部2は、この測定した距離を制御処理部4へ出力し、撮像部1は、この生成した角棒体画像PCを制御処理部4へ出力する。
【0071】
前記処理S10に続く処理S11では、角棒体寸法測定装置Dは、制御処理部4の第1および第2輝度プロファイル生成部42、43によって、寸法の種類が幅である場合には、角棒体画像PCにおける、処理S3で読み込んだ第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdwの各画像領域で第1および第2輝度プロファイルα、βを生成し、一方、寸法の種類が厚みである場合には、角棒体画像PCにおける、処理S4で読み込んだ第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRdsの各画像領域で第1および第2輝度プロファイルα、βを生成し、次に、処理S12を実行する。これら第1および第2輝度プロファイルα、βは、撮像部1で撮像した角棒体画像PCにおける前記スリット光を写し込んだ画素の輝度値に基づいて生成される。
【0072】
前記処理S12では、角棒体寸法測定装置Dは、制御処理部4の長さ演算部44によって、距離測定部2で測定した距離、仰角θ、第1輝度プロファイルαに基づいて求めた第1ピーク位置Yu、および、第2輝度プロファイルβに基づいて求めた第2ピーク位置Ydに基づいて、角棒体Obの前記直交方向に沿う長さを、寸法の種類が幅である場合には幅として、一方、寸法の種類が厚みである場合には厚みとして、求める。
【0073】
次に、角棒体寸法測定装置Dは、制御処理部4の制御部41によって、この求めた長さを表示部6に出力し、表示する(S13)。なお、必要に応じて、制御部41は、この求めた長さをIF部7から外部の機器へ出力してもよい。
【0074】
次に、角棒体寸法測定装置Dは、制御処理部4のウィンドウ処理部45によって、ウィンドウ記憶部81に記憶されているウィンドウFRを調整し、更新する(S14)。より具体的には、寸法の種類が幅である場合には、処理S3で読み込まれた第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdwが調整され、調整後の第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdwがウィンドウ記憶部81に記憶されて更新される。一方、寸法の種類が厚みである場合には、処理S4で読み込まれた第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRdsが調整され、調整後の第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRdsがウィンドウ記憶部81に記憶されて更新される。
【0075】
次に、角棒体寸法測定装置Dは、制御処理部4によって、測定の終了か否かを判定する(S15)。この判定の結果、測定の終了である場合(Yes)には、角棒体寸法測定装置Dは、本処理を終了し、一方、前記判定の結果、測定の終了ではない場合(No)には、角棒体寸法測定装置Dは、処理を処理S1に戻す。
【0076】
例えば、オペレータは、マニプレータMPを操作して角棒体Obの幅を調整するように角棒体Obの姿勢を調整し、プレス機PMによってその姿勢での角棒体Obの上面を叩き、角棒体Obの幅を変える。幅を測定するために、オペレータは、鍛造を中断し、寸法の種類として幅を入力部5に入力する。角棒体寸法測定装置Dは、処理S1ないし処理S3、処理S5ないし処理S8、および、処理S12ないし処理S15の各処理を順次に実行する。これによって表示部6に幅として長さが表示され、第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdwが更新される。続いて、オペレータは、マニプレータMPを操作して90度回転させて角棒体Obの厚みを調整するように角棒体Obの姿勢を調整し、プレス機PMによってその姿勢での角棒体Obの上面を叩き、角棒体Obの厚みを変える。厚みを測定するために、オペレータは、鍛造を中断し、寸法の種類として厚みを入力部5に入力する。角棒体寸法測定装置Dは、処理S1、処理S2、処理S4、処理S5ないし処理S8、および、処理S12ないし処理S15の各処理を順次に実行する。これによって表示部6に厚みとして長さが表示され、第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRdsが更新される。続いて、オペレータは、マニプレータMPを操作して90度回転させて角棒体Obの幅を調整するように角棒体Obの姿勢を調整し、プレス機PMによってその姿勢での角棒体Obの上面を叩き、角棒体Obの幅を変える。幅を測定するために、オペレータは、鍛造を中断し、寸法の種類として幅を入力部5に入力する。角棒体寸法測定装置Dは、処理S1ないし処理S3、処理S5ないし処理S8、および、処理S12ないし処理S15の各処理を順次に実行する。これによって表示部6に幅として長さが表示され、第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdwが更新される。続いて、オペレータは、マニプレータMPを操作して90度回転させて角棒体Obの厚みを調整するように角棒体Obの姿勢を調整し、プレス機PMによってその姿勢での角棒体Obの上面を叩き、角棒体Obの厚みを変える。厚みを測定するために、オペレータは、鍛造を中断し、寸法の種類として厚みを入力部5に入力する。角棒体寸法測定装置Dは、処理S1、処理S2、処理S4、処理S5ないし処理S8、および、処理S12ないし処理S15の各処理を順次に実行する。これによって表示部6に厚みとして長さが表示され、第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRdsが更新される。以下、同様に、角棒体Obが製品となるまで、繰り返されるが、角棒体Obが冷えて露光時間が露光閾値Th以上になると(または越えると)、上述の処理S5および処理S8の各処理の実行に代え、処理S5、処理S6、および、処理S9ないし処理S11の各処理が実行される。このように角棒体Obの鍛造では、幅の調整および厚みの調整が、叩く面を交互に変えることによって、交互に実施され、これに伴い幅および厚みが交互に測定され、第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdw、ならびに、第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRdsが交互に更新される。
【0077】
以上説明したように、実施形態における角棒体寸法測定装置Dおよびこれに実装された角棒体寸法測定方法は、第1ピーク位置Yuおよび第2ピーク位置Ydに基づいて、角棒体Obの直交方向に沿う長さを求めるので、角棒体画像PCに角棒体Obの上面あるいは下面が写り込む場合でも、一方エッジ(上エッジ)UEおよび他方エッジ(下エッジ)DEを検出でき、角棒体Obの直交方向に沿う長さ(幅や厚み)を非接触でより精度よく求めることができる。上記角棒体寸法測定装置Dおよび角棒体寸法測定方法は、露光時間設定領域EPの平均輝度が露光時間設定輝度値となるように撮像部1の露光時間を制御するので、鍛造の作業に伴って角棒体Ob(鍛造材)が冷える場合でも、適切な露光時間で角棒体画像PCを生成できるから、第1および第2輝度プロファイルα、βを適切に生成でき、角棒体Obの直交方向に沿う長さをより精度よく求めることができる。上記角棒体寸法測定装置Dおよび角棒体寸法測定方法は、撮像部1の露光時間が露光閾値以上または越えた場合に、光源部3にスリット光を照射させ、撮像部1で撮像した角棒体画像PCにおけるスリット光を写し込んだ画素の輝度値に基づいて第1および第2輝度プロファイルα、βを生成するので、角棒体Obがさらに冷える場合でも、第1および第2輝度プロファイルα、βを適切に生成でき、角棒体の直交方向に沿う長さをより精度よく求めることができる。上記角棒体寸法測定装置Dおよび角棒体寸法測定方法は、第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdwと第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRsとを備えるので、幅と厚みとが異なる場合でも、第1および第2輝度プロファイルα、βを適切に生成でき、角棒体の直交方向に沿う長さをより精度よく求めることができる。鍛造によって幅の調整と厚みの調整とを交互に複数回実施する場合でも、その都度、第1および第2幅用ウィンドウFRuw、FRdwと第1および第2厚み用ウィンドウFRus、FRsとを設定変更する必要が無く、上記角棒体寸法測定装置Dおよび角棒体寸法測定方法は、各ウィンドウFRを自動的に設定できる。したがって、上記角棒体寸法測定装置Dおよび角棒体寸法測定方法は、より精度よく、角棒体の寸法を測定できる。
【0078】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0079】
D 角棒体寸法測定装置
Ob 角棒体
PC(PCa~PCe) 角棒体画像
FRuw 第1幅用ウィンドウ
FRdw 第2幅用ウィンドウ
FRus 第1厚み用ウィンドウ
FRds 第2厚み用ウィンドウ
α(αa~αe) 第1輝度プロファイル
β(βa~βe) 第2輝度プロファイル
PK(PKc1~PKc3、PKd1~PKd3、PKe1、PKe2) ピーク
1 撮像部
2 距離測定部
3 光源部
4 制御処理部
8 記憶部
41 制御部
42 第1輝度プロファイル生成部
43 第2輝度プロファイル生成部
44 長さ演算部
45 ウィンドウ処理部