(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074796
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】電子機器及び情報機器システム
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20220511BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20220511BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G06F1/16 312V
H05K5/02 G
H04M1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185154
(22)【出願日】2020-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 宗幹
(72)【発明者】
【氏名】木下 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】柴山 佳幸
(72)【発明者】
【氏名】潮田 達也
【テーマコード(参考)】
4E360
5K023
【Fターム(参考)】
4E360AB42
4E360FA01
4E360FA11
4E360GA51
4E360GA52
4E360GB46
5K023AA07
5K023BB02
5K023GG15
5K023PP02
5K023PP12
(57)【要約】
【課題】薄型化が図られた筐体であってもペンデバイスを保持する。
【解決手段】電子機器は、筐体と、筐体の上面に設けられ、入力操作を受け付ける入力装置と、筐体の側面から張り出すように設けられ、ペンデバイスを前記側面に沿った姿勢で保持可能なペンホルダと、を備える。ペンホルダは、ループ状に形成された伸縮性を有するファブリックで構成され、その内周部に前記ペンデバイスが挿通されることで該ペンデバイスを保持可能なペン保持部と、ペン保持部の一部が配置される切欠部を有し、前記筐体に固定されるブラケットと、切欠部に配置された前記ペン保持部の内周部に挿通され、前記切欠部を幅方向に跨いだ状態で前記ブラケットに固定されることで、前記ペン保持部を前記ブラケットに連結する棒状部材と、を有する。
【選択図】
図9B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
筐体と、
前記筐体の上面に設けられ、入力操作を受け付ける入力装置と、
前記筐体の側面から張り出すように設けられ、ペンデバイスを前記側面に沿った姿勢で保持可能なペンホルダと、
を備え、
前記ペンホルダは、
ループ状に形成された伸縮性を有するファブリックで構成され、その内周部に前記ペンデバイスが挿通されることで該ペンデバイスを保持可能なペン保持部と、
前記ペン保持部の一部が配置される切欠部を有し、前記筐体に固定されるブラケットと、
前記切欠部に配置された前記ペン保持部の内周部に挿通され、前記切欠部を幅方向に跨いだ状態で前記ブラケットに固定されることで、前記ペン保持部を前記ブラケットに連結する棒状部材と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記筐体は、
前記上面を形成する上カバーと、
下面を形成する下カバーと、
を有し、
前記ブラケットは、前記上カバーと前記下カバーとで挟み込まれた状態で前記筐体に固定されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器であって、
前記ブラケットの側面は、前記筐体の側面の一部を構成している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項2に記載の電子機器であって、
前記切欠部は、
前記ブラケットの上面に開口した上面開口と、
前記上面開口から連続し、前記ブラケットの側面に開口した側面開口と、
を有し、
前記ペン保持部は、前記側面開口を通して前記切欠部に挿入され、
前記上面開口は、前記上カバーで覆われている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器であって、
前記ブラケットの下面は、前記筐体の下面の一部を構成している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記ペン保持部は、
1枚のファブリックの両端を縫い合わせた縫い目と、
前記縫い目の先に形成されたプリーツと、
を有し、
前記縫い目及び前記プリーツは、前記内周部内に配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器であって、
前記縫い目及び前記プリーツは、前記ファブリックが形成したループのうち前記筐体の下面側を向いた下側部分に配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
情報機器システムであって、
隣接配置された第1筐体と第2筐体とが相対的に回動可能に連結されたメインデバイスと、
前記メインデバイスと組み合わせて用いられる板形状のサブデバイスと、
を備え、
前記サブデバイスは、
筐体と、
前記筐体の上面に設けられ、入力操作を受け付ける入力装置と、
前記筐体の側面から張り出すように設けられ、ペンデバイスを前記側面に沿った姿勢で保持可能なペンホルダと、
を有し、
前記ペンホルダは、
ループ状に形成された伸縮性を有するファブリックで構成され、その内周部に前記ペンデバイスが挿通されることで該ペンデバイスを保持可能なペン保持部と、
前記ペン保持部の一部が配置される切欠部を有し、前記筐体に固定されるブラケットと、
前記切欠部に配置された前記ペン保持部の内周部に挿通され、前記切欠部を幅方向に跨いだ状態で前記ブラケットに固定されることで、前記ペン保持部を前記ブラケットに連結する棒状部材と、
を有し、
前記メインデバイスの前記第1筐体と前記第2筐体とを互いに面方向で重なるように配置した積層形態とした場合に、前記サブデバイスは、前記第1筐体と前記第2筐体との間に挟み込まれた収納位置に配置可能であり、
前記収納位置において、前記ペン保持部は、前記第1筐体及び前記第2筐体の側面から張り出すように配置され、前記ペン保持部に保持された前記ペンデバイスは、前記第1筐体と前記第2筐体の積層高さの範囲内に収まる
ことを特徴とする情報機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置を備えた電子機器及び情報機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル式の液晶ディスプレイを有し、物理的なキーボードを持たないタブレット型PCやスマートフォン等の携帯用情報機器が急速に普及している。この種の携帯用情報機器のディスプレイは、使用時には大きい方が望ましい反面、携帯時には小型化されることが望まれている。そこで、本出願人は、有機EL(Electro Luminescence)等のフレキシブルディスプレイを用いることで、筐体だけでなくディスプレイまでも折り畳み可能に構成した携帯用情報機器を提案している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような情報機器に対しても、ユーザによっては物理的なキーボードなどの入力装置を用いた入力を望む場合がある。該情報機器と組み合わせて用いられる入力装置は薄板形状として、情報機器が折り畳み状態のときに第1筐体と第2筐体とによって挟持されるものとすると一体的に可搬性が実現されて好適である。
【0005】
他方、上記のような情報機器は、タッチパネルの操作用としてペンデバイスも用いられる。ところが、小型化及び薄型化が図られた筐体は、ペンデバイスの収納スペースの確保が難しい。そこで、上記したキーボードのような電子機器と、ペンデバイスとを一緒に持ち運ぶことができれば、高い利便性が得られ、ペン収納スペースの問題も解決できる。ところが、キーボードのような電子機器は、メインとなる情報機器よりもさらなる薄型化が必要であるため、ペン収納スペースを確保することは難しい。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、薄型化が図られた筐体であってもペンデバイスを保持することができる電子機器及び情報機器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る電子機器は、筐体と、前記筐体の上面に設けられ、入力操作を受け付ける入力装置と、前記筐体の側面から張り出すように設けられ、ペンデバイスを前記側面に沿った姿勢で保持可能なペンホルダと、を備え、前記ペンホルダは、ループ状に形成された伸縮性を有するファブリックで構成され、その内周部に前記ペンデバイスが挿通されることで該ペンデバイスを保持可能なペン保持部と、前記ペン保持部の一部が配置される切欠部を有し、前記筐体に固定されるブラケットと、前記切欠部に配置された前記ペン保持部の内周部に挿通され、前記切欠部を幅方向に跨いだ状態で前記ブラケットに固定されることで、前記ペン保持部を前記ブラケットに連結する棒状部材と、を有する。
【0008】
本発明の第2態様に係る情報機器システムは、隣接配置された第1筐体と第2筐体とが相対的に回動可能に連結されたメインデバイスと、前記メインデバイスと組み合わせて用いられる板形状のサブデバイスと、を備え、前記サブデバイスは、筐体と、前記筐体の上面に設けられ、入力操作を受け付ける入力装置と、前記筐体の側面から張り出すように設けられ、ペンデバイスを前記側面に沿った姿勢で保持可能なペンホルダと、を有し、前記ペンホルダは、ループ状に形成された伸縮性を有するファブリックで構成され、その内周部に前記ペンデバイスが挿通されることで該ペンデバイスを保持可能なペン保持部と、前記ペン保持部の一部が配置される切欠部を有し、前記筐体に固定されるブラケットと、前記切欠部に配置された前記ペン保持部の内周部に挿通され、前記切欠部を幅方向に跨いだ状態で前記ブラケットに固定されることで、前記ペン保持部を前記ブラケットに連結する棒状部材と、を有し、前記メインデバイスの前記第1筐体と前記第2筐体とを互いに面方向で重なるように配置した積層形態とした場合に、前記サブデバイスは、前記第1筐体と前記第2筐体との間に挟み込まれた収納位置に配置可能であり、前記収納位置において、前記ペン保持部は、前記第1筐体及び前記第2筐体の側面から張り出すように配置され、前記ペン保持部に保持された前記ペンデバイスは、前記第1筐体と前記第2筐体の積層高さの範囲内に収まる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、薄型化が図られた筐体であってもペンデバイスを保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、携帯用情報機器を閉じて収納形態とした状態を示した斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す携帯用情報機器を開いて使用形態とした状態を模式的に示した斜視図である。
【
図3】
図3は、情報機器システム10の斜視図である。
【
図4】
図4は、収納形態の携帯用情報機器および第1筐体と第2筐体とによって挟持された電子機器を示す側面図である。
【
図7A】
図7Aは、ペンホルダを筐体に取り付ける動作を説明する要部拡大分解斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、
図7Aに示すペンホルダを筐体に取り付けた状態を示す要部拡大斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7Bに示すペンホルダ及び筐体を下面側から見た斜視図である。
【
図9B】
図9Bは、
図9Aに示すペンホルダにペンデバイスを挿通させて保持させた状態での正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る電子機器及び情報機器システムについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
本実施形態の情報機器システム10(
図3参照)は、メインデバイスとしての携帯用情報機器11と、サブデバイスとしての電子機器13と、を備える。本実施形態の電子機器13は、携帯用情報機器11に対する入力装置として機能するキーボード24を含む。
【0013】
先ず、携帯用情報機器11の構成を説明する。
図1は、携帯用情報機器11を閉じて収納形態とした状態での斜視図である。
図2は、
図1に示す携帯用情報機器11を開いて使用形態とした状態を模式的に示す平面図である。
【0014】
図1及び
図2に示すように、携帯用情報機器11は、第1筐体12Aと、第2筐体12Bと、ヒンジ装置14と、カバー部材15と、ディスプレイ16とを備える。本実施形態の携帯用情報機器11は、本のように折り畳み可能なタブレット型PCである。携帯用情報機器11は、携帯電話、スマートフォン、電子手帳又は携帯用ゲーム機等であってもよい。
【0015】
各筐体12A,12Bは、矩形の扁平な箱体であり、それぞれ底板の四周に側板17が起立形成され、開口した上面にディスプレイ16が配置されている。各筐体12A,12Bは、例えばステンレスやマグネシウム、アルミニウム等の金属板、或いは炭素繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂板等で構成される。
【0016】
筐体12A,12Bは、互いに隣接して配置されている。筐体12A,12B間は、互いの隣接縁部である一縁部12Aa,12BaのY方向両端部に設けられた一対のヒンジ装置14,14を介して連結されている。ヒンジ装置14は、第1筐体12A及び第2筐体12Bの一縁部12Aa,12Ba同士を、第1筐体12Aに対して第2筐体12Bが開閉するように回動可能に連結している。筐体12A,12B間は、ヒンジ装置14によって回動可能に連結されている。筐体12A,12B間は、
図1に示す収納形態と
図2に示す使用形態との間で、所望の角度位置に動作させることができる。筐体12A,12Bは、
図1に示す収納形態において、一縁部12Aa,12Ba間が大きく離間する。そこで、一縁部12Aa,12Baの境界部は、背表紙部材18によって覆われている。なお、携帯用情報機器11の収納形態は、後述する電子機器13を2つの筐体12Aおよび12Bで挟持した形態(
図4参照)を含むものとする。また、
図2では、規定の使用状態位置に載置された電子機器13を仮想線で示している。
【0017】
以下、
図1及び
図2に示すように、携帯用情報機器11について、筐体12A,12Bの並び方向をX方向、X方向と直交する背表紙部材18の長手方向をY方向と呼んで説明する。また、電子機器13についても、携帯用情報機器11に対して載置された状態(
図3参照)を基準として、携帯用情報機器11と同様にX方向、Y方向と呼ぶ。
【0018】
ディスプレイ16は、例えばタッチパネル式の液晶ディスプレイである。ディスプレイ16は、例えば柔軟性の高いペーパー構造を持った有機EL等のフレキシブルディスプレイである。ディスプレイ16は、第1筐体12Aと第2筐体12Bとのディスプレイ面を連続して覆い、筐体12A,12Bの開閉動作に伴って開閉する。ディスプレイ16は、その表面(ディスプレイ面)16aの外周縁部にベゼル部材20が配設されている(
図2参照)。ベゼル部材20は、可撓性を持った枠状のシート状部材である。ベゼル部材20は、ディスプレイ16の表面16aの表示領域(アクティブ領域)を除く外周縁部の非表示領域(非アクティブ領域)を覆っている。
【0019】
ディスプレイ16は、筐体12A,12B間に亘るように設けられている。ディスプレイ16は、筐体12A,12Bにそれぞれ固定された左右の支持プレート22A,22Bを介して筐体12A,12Bに支持されている。ディスプレイ16は、左右の支持プレート22A,22Bの上面に両面テープ等を用いて固定されている。ディスプレイ16は、ヒンジ装置14と重なる帯状の領域が、左右の支持プレート22A,22Bに固定されず、折曲可能な折曲領域16bとなる(
図2参照)。
【0020】
各筐体12A,12B内には、例えば各種半導体チップ等を実装した基板、バッテリ装置、アンテナ装置の他、各種電子部品、冷却装置等が収容されている。
【0021】
カバー部材15は、各ヒンジ装置14に取り付けられ、ヒンジ装置14の外側面を覆うキャップ状部材である。収納形態時、カバー部材15の先端面は、円弧状に形成されたディスプレイ16の折曲領域16bの表面16aよりもその折曲方向で内側(
図4中で右側)に突出した位置になる。これによりカバー部材15は、収納形態時、筐体12A,12B間に挟まれた電子機器13が折曲領域16bの表面16aに衝突することを防止するガード部材として機能する。
【0022】
次に、携帯用情報機器11と組み合わせて用いられる電子機器13について説明する。
図3は、情報機器システム10の斜視図である。上記の通り、情報機器システム10は、メインデバイスである携帯用情報機器11と、サブデバイスである電子機器13とを備える。電子機器13は、筐体30と、筐体30の上面30bに設けられたキーボード24と、筐体30の側面30aに取り付けられたペンホルダ26とを備える。キーボード24は、携帯用情報機器11に対する入力装置である。ペンホルダ26は、ディスプレイ16に対するタッチ操作で使用するペンデバイス28を保持するためものである。
図3では、電子機器13は第1筐体12Aの上面で規定された使用状態位置に載置されている。この状態を電子機器13の載置状態と呼ぶ。
【0023】
先ず、キーボード24について説明する。キーボード24は、第1筐体12Aの上面で載置状態にあるときに、平面視(
図2参照)で第1筐体12Aと略同形状である。キーボード24は、第1筐体12Aに対して、例えば磁石によって使用状態位置に位置決めされる。磁石は、例えばキーボード24と第1筐体12Aの両方に設けられて異なる磁極同士で吸着させる。
【0024】
キーボード24は載置状態であるときに、携帯用情報機器11との間で無線通信および無接点充電が行われる。したがって、キーボード24は、載置状態とするだけで位置決め固定され、特段の電気的接続操作を行うことなくキー入力や充電が可能となる。位置決め用の磁石は適度な磁力でキーボード24を固定しており、人手による取り外しが容易である。なお、キーボード24は載置状態とは異なる位置に配置されている場合であっても、所定の距離範囲内であれば携帯用情報機器11との間で無線通信が可能である。
【0025】
図4は、収納形態の携帯用情報機器11および第1筐体12Aと第2筐体12Bとによって挟持された電子機器13を示す側面図である。
図4に示すように、電子機器13は、第1筐体12Aの上面で載置状態に置かれたまま、第1筐体12Aと第2筐体12Bとが回動して携帯用情報機器11が折り畳まれた状態になると、第1筐体12Aと第2筐体12Bとによって挟持可能となっている。これにより、電子機器13は携帯用情報機器11と一体的で好適な可搬性が得られる。このときキーボード24は第1筐体12Aおよび第2筐体12Bからはみ出ることがなく、情報機器システム10はコンパクトに維持される。また、キーボード24を挟持していることにより、第1筐体12Aと第2筐体12BとはX方向について平行で整然とした外観となり、意匠上で好適である。
【0026】
図5は、電子機器13の平面図である。
図3~
図5に示すように、筐体30は、薄板形状である。キーボード24は、筐体30の上面30bに設けられた複数のキー32と、上面30bの手前側に設けられたタッチパッド34と、を備える。
【0027】
筐体30は、上面30bを形成する上カバー36と、下面30cを形成する下カバー37と、側面30aを形成するフレーム38と、を有する。上カバー36は、各キー32が挿入される複数の孔部が形成されたプレート状部材であり、各キー32を区画するアイソレーションフレームである(
図7A参照)。下カバー37は、プレート状部材である。カバー36,37は、例えば樹脂材やマグネシウム合金材で構成されている。フレーム38は、筐体30の四周の側面30aを形成する矩形状の枠体である(
図7A~
図8も参照)。フレーム38はカバー36,37の支持体であり、カバー36,37はフレーム38を介して互いに連結される。フレーム38は、ラバーやシリコンゴム等の樹脂弾性材で形成され、カバー36,37の外周縁部よりも外側に僅かに突出している。これによりフレーム38は、当該筐体30のバンパー(衝撃吸収部)としても機能する。
【0028】
次に、ペンホルダ26について説明する。
図3~
図5に示すように、本実施形態のペンホルダ26は、筐体30の左側の側面30aから張り出すように設けられている。このため、ペンホルダ26及びこれに保持されたペンデバイス28は、電子機器13が載置状態にあるときに筐体12A,12Bからはみ出す。但し、ペンホルダ26及びペンデバイス28は、筐体12A,12Bの板厚の範囲内には収まり(
図4参照)、しかも筐体12A,12Bの側面に沿って配置される(
図3及び
図5参照)。このため、ペンホルダ26及びペンデバイス28は、見かけ上は筐体12A,12Bの側面と一体化し、例えば情報機器システム10の搬送時にペンホルダ26及びペンデバイス28が邪魔になることはほとんどない。ペンホルダ26は、右側の側面30aや手前側(タッチパッド34側)の側面30aに設けてもよい。
【0029】
図6Aは、ペンホルダ26の分解斜視図である。
図6Bは、ペンホルダ26の斜視図である。
図6A及び
図6Bは、ペンホルダ26を筐体30に取り付けた状態を基準として、筐体30の下面30c側から見た状態を示している。
【0030】
図6Aに示すように、ペンホルダ26は、ペン保持部40と、ブラケット42と、棒状部材44とを有する。
【0031】
ペン保持部40は、ペンデバイス28を保持するためのループ状部品である。ペン保持部40は、ループ状に形成された伸縮性を持ったファブリックで構成され、筒状を成している。伸縮性を持ったファブリックとは、例えば弾力性及び伸縮性に富んだ素材(布地や織物)であり、例えばエラスティック・ファブリックやストレッチ・ファブリックとも呼ばれる素材である。ペン保持部40は、1枚のファブリックの両端を縫い目40aで縫い合わせることでループ状に形成し、これを裏返すことで縫い目40a及び縫い目40aの先に形成されたプリーツ(ひだ)40bを内周側に隠した構造である。ペン保持部40のX方向幅は、例えば29mmである。
【0032】
ペン保持部40は、全体として1つの大きなループを形成している。ペン保持部40は、棒状部材44を用いてブラケット42に連結されることで、見かけ上は2つのループ(大ループ40c及び小ループ40d)が眼鏡状に繋がった形状となる。ペン保持部40の内周部40eのうち、大ループ40cにはペンデバイス28が挿通されて保持され、小ループ40dには棒状部材44が挿通される。縫い目40aは、内周部40eの軸方向に沿って形成されている。
図6A及び
図6Bでは、ペン保持部40がループ40c,40dを形成した状態で図示しているが、ペン保持部40はペンデバイス28が挿通されない状態では、大ループ40cが潰れた状態となる(
図9A参照)。
【0033】
ブラケット42は、ペン保持部40をキーボード24の筐体30に取り付けるための部品である。ブラケット42は、樹脂材や金属材で形成された断面矩形状の棒状部材である。ブラケット42には、切欠部46と、嵌合孔47とが設けられている。
【0034】
切欠部46は、上面開口46aと、上面開口46aから連続した側面開口46bとで構成されている。上面開口46aは、ブラケット42の上面42bに開口している。側面開口46bは、ブラケット42の側面42aに開口している。切欠部46は、ブラケット42の長手方向(X方向)で略中央部に形成され、ブラケット42の全長の半分程度のX方向長さ(開口幅)を有する。本実施形態では、例えばブラケット42の全長(X方向長さ)が57mmであり、切欠部46のX方向幅は30mmである。
【0035】
嵌合孔47は、ブラケット42の断面の略中心を長手方向全長に亘って貫通した細径の孔部である。嵌合孔47は、その途中で切欠部46を通過するように形成されている。つまり嵌合孔47は、切欠部46を跨ぐように一対形成されている。
【0036】
ブラケット42の上面42bには、X方向に並んだ一対の上係合穴48,48が形成されている(
図7A参照)。上係合穴48は、Y方向で側面42aとは逆側の端部に近い位置にある。上係合穴48は、X方向に延在した平面視矩形状の長穴である。ブラケット42の下面42cには、一段低い部分が形成され、この部分に下係合穴49が形成されている(
図6A参照)。下係合穴49は、Y方向で側面42aとは逆側の端部に近い位置にある。下係合穴49は、X方向に延在した平面視矩形状の長穴である。
【0037】
棒状部材44は、例えばステンレス鋼で形成された細径の金属棒、或いは硬質の樹脂で形成された樹脂棒である。棒状部材44の全長は、ブラケット42のX方向の全長と略同一か又は多少短い。本実施形態では、棒状部材44の全長は57mmである。棒状部材44の外径は、ブラケット42の嵌合孔47の内径と略同一であり、嵌合孔47に圧入し、固定可能である。
【0038】
図6A及び
図6Bに示すように、ペンホルダ26の組立工程は、先ず、ペン保持部40の一部をブラケット42の切欠部46に側面開口46bを通して挿入する。次に、棒状部材44を嵌合孔47に対して嵌挿する。棒状部材44は、切欠部46を通過するときに切欠部46に配置されたペン保持部40の内周部40eを挿通する。つまり棒状部材44は、切欠部46を幅方向(X方向)に跨ぎ、且つペン保持部40を引っ掛けた状態でブラケット42に固定される。この際、ペン保持部40は棒状部材44の周囲に小ループ40dが形成される。
【0039】
これによりペン保持部40がブラケット42に棒状部材44を用いた連結されてペンホルダ26が構成される。この際、棒状部材44は、切欠部46を跨いだ両端部が十分な長さで嵌合孔47に保持される。このため、ペンホルダ26は、ペン保持部40が強い引っ張り力を受けた場合であっても棒状部材44が変形して嵌合孔47から脱落することを防止可能な高い強度が得られる。
【0040】
次に、ペンホルダ26のキーボード24の筐体30に対する取付構造を説明する。
図7Aは、ペンホルダ26を筐体30に取り付ける動作を説明する要部拡大分解斜視図である。
図7Bは、
図7Aに示すペンホルダ26を筐体30に取り付けた状態を示す要部拡大斜視図である。
図7A及び
図7Bは、ペンホルダ26及び筐体30を上面30b側から見た図である。
図8は、
図7Bに示すペンホルダ26及び筐体30を下面30c側から見た斜視図である。
図9Aは、
図7Bに示すペンホルダ26及び筐体30の正面断面図である。
図9Aではペン保持部40の断面ハッチングを省略しており、
図9Bも同様である。
【0041】
図7A及び
図9Aに示すように、本実施形態のキーボード24は、キー32の他、ベースプレート50やメンブレンシート、さらにはタッチパッド34等を含めた略全ての構成部品が上カバー36に支持された構造となっている。そこで、このような上カバー36に対して、フレーム38及びブラケット42をねじや接着剤等を用いて取り付ける(
図7A参照)。
【0042】
この際、ブラケット42は、切欠部46の上面開口46aが上カバー36で覆われる(
図5及び
図7B参照)。ブラケット42は、上カバー36と接着剤等を用いて固定される。さらにブラケット42は、上カバー36の内面から突出した上係合片36aが各上係合穴48に係合することで位置決めされ、がたつきも抑制される(
図7A参照)。
【0043】
筐体30は、側面30a(フレーム38)の一部を欠落させた欠落部30dを有する。欠落部30dは、ブラケット42の全長と略同一のX方向長さを有し、ブラケット42を隙間なく嵌め込むことができる。これによりブラケット42は、フレーム38の一部を補完し、その側面42aが筐体30の側面30aの一部を構成する(
図7B及び
図8参照)。なお、切欠部46の側面開口46bは、大部分がペン保持部40のファブリックで埋められている。
【0044】
次に、
図7A及び
図8に示すように、下カバー37をフレーム38に対してねじや接着剤等を用いて固定する。この際、ブラケット42は、下カバー37と接着剤等を用いて固定される。さらにブラケット42は、下カバー37の内面から突出した下係合片37aが下係合穴49に係合することで位置決めされ、がたつきも抑制される(
図9A参照)。ブラケット42は、下面42cが下カバー37の縁部に形成された切欠状の凹部37bに嵌合し、下面42cがフレーム38の下面及び下カバー37の下面42cの一部となる(
図8参照)。
【0045】
このようにブラケット42は、電子機器13の外観上で目立つ上面30b側は上カバー36によって隠され、一方、外観上で目立ちにくい下面30c側はその下面42cが下カバー37の一部を構成する。これによりブラケット42は、極めて薄い板厚(例えば4.2mm程度)で上下の設置スペースの確保が難しい筐体30に対しても容易に取り付けることができ、筐体30の外観品質を損なうことも抑えられる。また、
図5及び
図7Bに示すように、筐体30は、側面30aと隣接するキー32との間のベゼル部分の幅が狭小(例えばY方向幅が5.3mm)である。しかしながら、ブラケット42は、側面42aが筐体30の側面30aの一部を構成することで、奥行方向の設置スペースの確保が難しい幅狭ベゼルの筐体30に対しても容易に取り付けることができる。
【0046】
以上より、ブラケット42は、キーボード24のカバー36,37間に挟み込まれた状態で筐体30に連結され、ペン保持部40が側面30aから張り出した取付構造となる(
図9A参照)。なお、ペン保持部40は、柔軟なファブリックで形成されているため、ペンデバイス28が挿入されていない場合は潰れて薄くなる(
図9A参照)。その結果、ペン保持部40がキーボード24の上面30bよりも上に突出せず、キー32の入力操作時に邪魔になることがない。
【0047】
図9Bは、
図9Aに示すペンホルダ26にペンデバイス28を挿通させて保持させた状態での正面断面図である。本実施形態のペンホルダ26は、ペンデバイス28を保持する際には、ペン保持部40の大ループ40cの内周部40eにペンデバイス28を軸方向に沿って挿入する(
図3及び
図4参照)。ここで大ループ40cの内径はペンデバイス28の外径よりも小さい。このためペンデバイス28が内周部40eに挿入されると、ペン保持部40は、
図9Bに示すように大ループ40c拡径しつつ筐体30側に引き寄せられる。このため、大ループ40cの根本部分(大ループ40cと小ループ40dとの間のネック部分)は、切欠部46の側面開口46bから上面開口46aに向かって移動する。
【0048】
このように、ペンデバイス28は、大ループ40cに保持されると、筐体30側に引き寄せられつつ上方に移動する。これによりペンデバイス28を保持した大ループ40cがブラケット42に当接又は近接し、大ループ40cとブラケット42との間の隙間Gが略ゼロになる(
図9B参照)。その結果、ペン保持部40に保持されたペンデバイス28は、筐体30の側面30aに吸い付いたようになり、がたつくことなく安定した保持状態となる(
図3及び
図5参照)。さらにペン保持部40に保持されたペンデバイス28は、筐体30の上面30b側に移動している。このため、
図3に示すように情報機器システム10をノートPCとして使用する際、ペン保持部40に保持されたペンデバイス28が携帯用情報機器11を載置した机面等に当接することが回避される(
図4参照)。その結果、キーボード24の打刻時に携帯用情報機器11ががたつきや異音を生じることが抑制される。
【0049】
図9A及び
図9Bに示すように、ペン保持部40は、縫い目40a及びプリーツ40bが内周部42eにあるだけでなく、大ループ40cのうち筐体30の下面30c側を向いた下側部分40fに配置されている。このため、縫い目40aによって形成されたファブリックの折返し部(繋ぎ目)が上面30b側に露出することが抑えられ、ペンホルダ26の外観品質が向上する。
【0050】
以上のように、本実施形態の電子機器13において、ペンホルダ26は、筐体30の側面30aから張り出すように設けられ、ペンデバイス28を側面30aに沿った姿勢で保持可能である。このペンホルダ26は、ループ状に形成された伸縮性を有するファブリックで構成され、その内周部40eにペンデバイス28が挿通され保持するペン保持部40と、ペン保持部40の一部が配置される切欠部46を有し、筐体30に固定されるブラケット42と、切欠部46に配置されたペン保持部40の内周部40eに挿通され、切欠部46を幅方向に跨いだ状態でブラケット42に固定されることで、ペン保持部40をブラケット42に連結する棒状部材44と、を有する。
【0051】
従って、当該電子機器13によれば、伸縮性を持ったファブリックをループ状に形成したペン保持部40をブラケット42を用いて筐体30に連結することで、薄型化が図られた筐体30であってもペンホルダ26を容易に設置できる。この際、ペンホルダ26は、ブラケット42に対して棒状部材44を用いてペン保持部40を連結している。このため、薄型の筐体30に固定されるブラケット42には、ペン保持部40を固定するためのねじ穴等が不要となり、厚みを最小限に形成できる。しかもループ状のペン保持部40は、棒状部材44に引っ掛けられた状態でブラケット42に支持されている。このため、ペン保持部40は、ペンデバイス28を保持すると、上記のようにペン保持部40が円滑に移動して筐体30側に引き寄せられ、筐体30との隙間Gが削減される。その結果、ペンホルダ26は、ペンデバイス28を安定して保持しつつ、高い外観品質が得られる。すなわち、仮にペン保持部40を接着剤等でブラケット42に固着した場合、ペンデバイス28が挿入された際にも大ループ40cの根本部分(大ループ40cと小ループ40dとの間のネック部分)の位置は変化しない。その結果、ペン保持部40の大ループ40c及びペンデバイス28が筐体30から離間した位置で揺れ動き、安定した保持ができず、外観品質も低下させる。
【0052】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0053】
上記では、電子機器13は、入力装置としてキーボード装置を例示した。しかしながら、本発明は、タッチパッド34よりも大型のタッチ入力装置(ペンタブレット)、タッチパネル式のタブレット型PCや携帯用ゲーム機等、入力装置を備えた電子機器であれば好適に用いることができる。
【0054】
上記では、筐体30は、上カバー36、下カバー37及びフレーム38を備えた構成を例示した。しかしながら、筐体30は、例えばフレーム38を省略し、上カバー36又は下カバー37に側面30aを形成する立壁を形成した構成等でもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 情報機器システム
11 携帯用情報機器
12A 第1筐体
12B 第2筐体
13 電子機器
14 ヒンジ装置
16 ディスプレイ
24 キーボード
26 ペンホルダ
28 ペンデバイス
30 筐体
36 上カバー
37 下カバー
40 ペン保持部
42 ブラケット
44 棒状部材
46 切欠部