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  • 特開-金型 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074805
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/34 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
B29C51/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185164
(22)【出願日】2020-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】505239541
【氏名又は名称】株式会社水谷製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】特許業務法人安田岡本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 武志
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AH56
4F202AM32
4F202CA17
4F202CB01
4F202CK12
4F202CK32
4F202CK56
4F202CK74
(57)【要約】
【課題】製造コストの高騰を招くことなく内容物に対する高い密閉性を得ることができる容器を成形する。
【解決手段】本発明の金型1は、底面と側面とを備えた有底の容器を成形する金型であって、容器の側面に、外方に向かって突出すると共に、蓋と係合可能な蓋係合突起9を形成する突起形成部8を備えており、突起形成部8は、水平方向に出退することで蓋係合突起9を形成する成形部材11と、上下方向に昇降可能とされた昇降部材5と、昇降部材5の上下方向に沿った昇降動作を、成形部材11を蓋係合突起9の突出方向に向かって水平に移動させる出退動作に変換する変換機構10と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と側面とを備えた有底の容器を成形する金型であって、
前記容器の側面に、外方に向かって突出すると共に、蓋と係合可能な蓋係合突起を形成する突起形成部を備えており、
前記突起形成部は、
水平方向に出退することで前記蓋係合突起を形成する成形部材と、
上下方向に昇降可能とされた昇降部材と、
前記昇降部材の上下方向に沿った昇降動作を、前記成形部材を蓋係合突起の突出方向に向かって水平に移動させる出退動作に変換する変換機構と、を有する
ことを特徴とする金型。
【請求項2】
前記変換機構は、
前記昇降部材と成形部材とを連結する連結シャフトと、
前記成形部材に穿孔されると共に、前記連結シャフトの先端を上下方向に遊動自在に挿通させる挿通孔と、
前記昇降部材に穿孔されると共に、前記連結シャフトの基端を上下方向に移動を規制した状態で固定する固定孔と、を備えており、
前記連結シャフト、挿通孔、及び固定孔を、前記蓋係合突起の突出方向に向かって傾斜する軸心に対して同軸状に並んで配置することにより、前記昇降部材の昇降に合わせて前記成形部材が蓋係合突起の突出方向に向かって移動可能とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の金型。
【請求項3】
前記昇降部材の下方または上方には、前記昇降部材を上下方向に移動させるシリンダが配備されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品などを密閉性良く内蔵する容器を成形する金型に関するものであり、詳しくは、蓋を容器に係合する蓋係合突起を成形する突起形成部を収容自在に備えた金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2020年になって起こったコロナ禍では、外出の自粛が推奨され、外食が敬遠される事態となり、「Uber Eats(登録商標)」などに代表されるデリバリーサービス業が隆盛となった。このようなデリバリーサービスでは、サービス業者が飲食店に出向き、注文者が注文した注文品を飲食店から引き取り、自宅などで待つ注文者に注文品を届けるといった出前または宅配などのサービスが行われている。ここで、一般的なデリバリーサービス業では、飲食店から指定場所までの注文品の運搬に、自転車やオートバイがよく用いられる。
【0003】
しかし、自転車やオートバイは、運転の際の振動や揺れが大きい乗り物であり、食品の運搬にあまり適した運搬手段とは言えない。というのも、注文される食品の中には、汁気の多い麺類などの食品があり、通常の持ち帰り容器などの密封性では上述した振動や揺れに耐えきれず、指定場所に到着した際に食品の内容物が漏れ出てしまう場合があった。つまり、デリバリーサービス業と提携する飲食店では、運搬の際に大きな振動や揺れが加わっても、内容物が漏れ出ることがないような密閉性に優れる容器が望まれていた。
【0004】
このような密閉性を向上させた容器には、特許文献1~特許文献3のような容器が知られている。
すなわち、特許文献1には、方形状で開口縁部からフランジ部を突設した容器本体と蓋部を備え、容器本体と蓋部とが嵌合する開口縁部の角隅部分に対し、内外面を凹凸状に形成した嵌合部と嵌合受け部による着脱可能な係止保持部を設けたことを特徴とする卵容器が開示されている。この特許文献1の卵容器の嵌合部は容器内側に向かって緩やかに突出した形状に形成されており、また嵌合受け部は嵌合部に合わせて緩やかに凹んだ形状とされていて、嵌合部を嵌合受け部に軽く嵌合させることで、蓋部を容器本体に嵌合可能となっている。
【0005】
また、特許文献2には、合成樹脂発泡体製の容器本体と蓋体とからなる容器であって、該蓋体の背面に合成樹脂発泡体製収納容器を設けるに際し、該蓋体の背面に凹部および/または突起部を設け、該合成樹脂発泡体製収納容器上端にも突起部および/または凹部を設け、両者を篏合係止する容器が開示されている。特許文献2の容器の突起部は球状に形成されており、凹部は球状に凹んだ形状とされており、これらの突起部や凹部に欠損部を形成して変形可能に形成することで、凹部から突起部を引き抜くことが可能となっている。
【0006】
さらに、特許文献3には、硬質部材と軟質部材により構成される型を備えた容器の成形装置であって、前記硬質部材の加力部は、前記軟質部材の受力部に対してプレス方向に力を加え、前記軟質部材の変形部は、プレス方向とは異なる変形方向に変形するよう構成され、前記軟質部材の受力部を挟んで前記加力部の反対側に、前記軟質部材を拘束する突き当り部を備え、前記加力部または前記受力部の少なくとも一方に斜面を備えることにより、前記変形部の変形方向を規定するよう構成された成形装置が開示されている。特許文献3の容器の成形装置では、成形後に外側の硬質部材を引き抜くと、変形可能な軟質部材も外すことが可能となっており、硬軟が異なる2部材を用いることで金型の引き抜きができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-128106号公報
【特許文献2】特開2006-076642号公報
【特許文献3】特開2019-198982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、振動や揺れが加わっても内容物の漏れが生じないように、飲食店で用いられる従来の持ち帰り容器の密閉性を高めようとすれば、蓋を容器に係合する封かん強度を高める必要がある。つまり、蓋が接触する容器の側面などに蓋を係合する蓋係合突起を形成する際に、蓋係合突起の数を増やして係合する強度を高めることが考えられる。
しかし、開口縁に沿うように連続して繋がる蓋係合突起を形成したり、蓋係合突起を開口縁に沿うように複数並べて設けたりすれば、蓋の係合強度を従来以上に増加することができ、蓋による容器の密閉性を高めることが必要となる。
【0009】
この点、上述した特許文献1の容器は、緩やかに突出した嵌合部と、緩やかに凹んだ嵌合受け部を備えたものであり、嵌合部自体は本来高い係合強度を発揮可能な構造ではない。それゆえ、嵌合部や嵌合受け部の設置数を増やしても、蓋による容器の密閉性が大きく向上するとは考えられない。
なお、嵌合部や嵌合受け部の凹凸具合を大きくして密閉性を高めることもできるが、凹凸具合をあまり大きくしすぎると、成形後に離型ができなくなり、成形不良率が高くなって製造コストの高騰につながる。
【0010】
一方、特許文献2の容器は、で突起部を凹部から引き抜くための欠損部を経由して内容物が抜ける可能性があるため、特許文献1と同様に高い係合強度を発揮可能な構造ではない。また、漏れの原因となる欠損部を除くことも可能であるが、そうすると成形後の離型や係合解除が困難になり、使い勝手が悪くなったり、成形不良率が高くなって製造コストが高騰したりしやすくなる。
【0011】
一方、特許文献3の容器は、硬軟が異なる軟質部材及び硬質部材を用いたものであり、材質などが異なる複数の部材を組み合わせているため、加工工程の複雑化や、製造コストの高騰を招きやすいという欠点を備えている。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、蓋が接触する容器の側面などに、蓋を係合する突起部を開口縁に沿うように連続して形成することができ、製造コストの高騰を招くことなく内容物に対する高い密閉性を得ることができる容器を成形可能な金型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の金型は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の金型は、底面と側面とを備えた有底の容器を成形する金型であって、
前記容器の側面に、外方に向かって突出すると共に、蓋と係合可能な蓋係合突起を形成する突起形成部を備えており、前記突起形成部は、水平方向に出退することで前記蓋係合突起を形成する成形部材と、上下方向に昇降可能とされた昇降部材と、前記昇降部材の上下方向に沿った昇降動作を、前記成形部材を蓋係合突起の突出方向に向かって水平に移動させる出退動作に変換する変換機構と、を有することを特徴とする。
【0013】
なお、好ましくは、前記変換機構は、前記昇降部材と成形部材とを連結する連結シャフトと、前記成形部材に穿孔されると共に、前記連結シャフトの先端を上下方向に遊動自在に挿通させる挿通孔と、前記昇降部材に穿孔されると共に、前記連結シャフトの基端を上下方向に移動を規制した状態で固定する固定孔と、を備えており、前記連結シャフト、挿通孔、及び固定孔を、前記蓋係合突起の突出方向に向かって傾斜する軸心に対して同心状に並んで配置することにより、前記昇降部材の昇降に合わせて前記成形部材が蓋係合突起の突出方向に向かって移動可能とされているとよい。
【0014】
なお、好ましくは、前記昇降部材の下方または上方には、前記昇降部材を上下方向に移動させるシリンダが配備されているとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の金型によれば、蓋が接触する容器の側面などに、蓋を係合する突起部を開口縁に沿うように連続して形成することができ、製造コストの高騰を招くことなく内容物に対する高い密閉性を得ることができる容器を成形可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の金型を成形状態と離型状態で比較して示した斜視図である。
図2図1のX面で切断した場合の断面を成形状態と離型状態で比較して示した斜視図である。
図3】変換機構を成形状態と離型状態で比較して示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の金型1の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1は、本実施形態の金型1を模式的に示したものである。
図1に示すように、本実施形態の金型1は、SK鋼のような金属で、直方体形状の外観に形成されている。具体的には、本実施形態の金型1は、左右方向と前後方向の寸法がほぼ等しく、上下方向の寸法がやや短尺とされた角状に形成されている。
【0018】
金型1の上側には、下方に向かって凹んだ容器成形型2(ダイプレート)が設けられている。この容器成形型2は、正方形の底面2aと、底面2aの四辺から、容器の外側上方に向かって傾斜状に立ち上がる側面2bとを備えた有底箱状に形成されている。また、容器成形型2で成形される容器は、傾斜状に立ち上がった先端(縁)が、容器外側に向かって下方に湾曲するように丸められた形状(丸面取りされた形状)とされており、使用者に不快な思いをさせないような配慮がされている。
【0019】
また、容器成形型2の外側には、2枚の四角い枠部材3U、3Dが、上下に等間隔をあけて配備されている。上側の枠部材3Uは成形後の容器が金型1内に入り込むのを防止するバッキング部材として機能し、また下側の枠部材3Dは容器成形型2を金型1の中央に保持するパンチホルダとして機能している。さらに、下側の枠部材3Dのさらに下方には、四角い板状の底板4が配備されている。この底板4の上面には、後述する昇降部材5を上下方向に移動させるシリンダ6が配備されている。そして、底板4の四隅には、底板4の上方に容器成形型2及び枠部材3U、3Dを支持する棒状の支柱7が設けられている。
【0020】
ところで、上述した下方に向かって湾曲する容器成形型2の縁の下側には、突起形成部8が設けられている。この突起形成部8は、外方に向かって突出するように形成されており、蓋と係合可能な蓋係合突起9を容器の外側面に形成可能となっている。
次に、本発明の特徴である突起形成部8について説明する。
図1に示すように、突起形成部8は、容器の縁に沿うように複数配備されている。複数の突起形成部8は、互いに隣接し合うように配備されており、容器の側面に蓋係合突起9を連続して形成可能となっている。
【0021】
図2は、図1の金型1を、上下方向に伸びるX面で切断した断面図である。
図2に示すように、突起形成部8は、水平方向に沿って容器外側に向かって突出することで蓋係合突起9を容器の外側面に成形可能な成形状態と、水平方向に沿って容器内側に向かって後退することで成形後の容器の離型を可能とする離型状態と、に切り替え自在とされている。具体的には、成形状態では、容器外側に向かって突出した突起形成部8により蓋係合突起9が成形される。また、離型状態では、突起形成部8が容器内側に向かって後退しているので、容器の外側面に成形された蓋係合突起9に対して突起形成部8が接触することを回避することができ、金型1からの容器の離型が可能となる。
【0022】
つまり、突起形成部8は水平に移動することで、成形状態と離型状態とに切り替わる構成とされている。ただ、突起形成部8を水平に移動させるための駆動手段の構造や配置によっては、金型の製造コストが高騰したり、突起形成部8を近接して配備できなくなったりするなどの問題が生じる。
そこで、本発明の金型1では、後述する変換機構10を用いて、昇降部材5の上下方向の動きを、突起形成部8の水平方向の動きに変換することで、成形状態と離型状態との切り替えを行い、シンプルな構造と、近接した配置との両立を可能としている。
【0023】
具体的には、突起形成部8は、水平方向に出退することで容器の外側面に蓋係合突起9を形成する成形部材11と、上下方向に昇降可能とされた昇降部材5と、昇降部材5の上下方向に沿った昇降移動を、成形部材11を水平に移動させる水平移動に変換する変換機構10と、を有している。
成形部材11は、SK鋼のような金属で、水平方向の寸法よりも上下方向の寸法の方が
長い角状に形成されている。成形部材11の上部には、容器外側に向かって半球状に突出した突起成形面12が形成されている。この突起成形面12は、成形状態の場合には、容器成形型2の縁部よりも若干外側に張り出すことで、蓋係合突起9を成形可能となっている。一方、突起成形面12は、離型状態の場合には、容器成形型2の縁部よりも若干内側に引き込まれるようになっており、離型する容器(容器の内側面)に接触しないようになっている。
【0024】
また、成形部材11の下部には、後述する連結シャフト13の先端を、容器内側から容器外側に向かって、上下方向に遊動自在に挿通させる挿通孔14が穿孔されている。なお、この挿通孔14については、後ほど詳しく説明する。
昇降部材5は、成形部材11の下方に距離をあけて配備された角状の部材である。昇降部材5の下側には、油圧で昇降部材5を昇降させるシリンダ6が配備されており、このシリンダ6の作用で昇降部材5は上下方向に昇降可能となっている。
【0025】
昇降部材5の上面には、後述する連結シャフト13の基端を上下方向に移動を規制した状態で固定する固定孔15が穿孔されており、この固定孔15に基端を固定することで連結シャフト13は上下方向に移動可能となっている。
上述した変換機構10は、昇降部材5の上下方向に沿った昇降動作を、蓋係合突起9の突出方向に向かって成形部材11を水平に移動させる出退動作に変換する機構であり、本実施形態では鉛直方向に対して傾斜した連結シャフト13が用いられている。なお、本実施形態では変換機構10に連結シャフト13を用いているが、例えばリンク機構やテーパガイド機構などを用いて変換を行っても良い。
【0026】
具体的には、変換機構10は、昇降部材5と成形部材11とを連結する連結シャフト13と、成形部材11に穿孔される挿通孔14と、昇降部材5に穿孔される固定孔15と、で構成されている。
連結シャフト13は、容器内側の下方から、容器外側の上方に向かって、傾斜状に配備された棒状の部材である。連結シャフト13の上端及び下端は半球状に丸まった形状に形成されており、挿通孔14及び固定孔15の内部を引っ掛かることなく移動可能とされている。
【0027】
また、連結シャフト13の先端(上端)は挿通孔14の中途側に位置しており、連結シャフト13の基端(下端)は固定孔15の内部に位置している。
挿通孔14は、上述した連結シャフト13と同じ方向に向かって傾斜するように成形部材11の下面から斜め上方に穿孔された孔であり、連結シャフト13の先端を、容器内側の下方から、容器外側の上方に向かって、傾斜状に案内可能となっている。挿通孔14の上部には、連結シャフト13が孔内を移動した際に、孔内の空気を逃がす空気穴14aが形成されている。また、挿通孔14の下部には、孔内での連結シャフト13の移動を補助するスリーブ14bが設けられている。
【0028】
固定孔15は、上述した連結シャフト13及び挿通孔14と同じ方向に向かって傾斜するように昇降部材5の上面から斜め下方に向かって穿孔された孔であり、連結シャフト13の基端(下端)を固定可能となっている。
つまり、固定孔15は、前述した連結シャフト13及び挿通孔14と同様に、蓋係合突起9の突出方向に向かって傾斜している。そして、連結シャフト13、挿通孔14、及び固定孔15は、一つの軸心の上に、同軸となるように並んで配置されている(以降、本明細書では、複数の部材が一つの軸心上に並んで配置されることを同軸という)。
【0029】
上述した成形部材11と容器成形型2との間には、断面視が略L字状の抜止部材16が配備されている。具体的には、この抜止部材16は、成形部材11を下側から支える水平部16aと、上下方向に伸びる垂直部16bを組み合わせた構造となっている。抜止部材16の垂直部16bは、容器成形型2に対してボルトなどを用いて固定されている。また、抜止部材16の水平部16aは、成形部材11を下側から支持可能となっている。そして、この抜止部材16の水平部16aには、容器の内外方向に沿って連結シャフト13を案内可能な長穴16cが形成されている。
【0030】
そのため、上述した構成を備えた突起形成部8では、昇降部材5が上昇すると、固定孔
15の内部に基端側が固定された連結シャフト13も昇降部材5と一緒に上昇する。ここで、成形状態においては連結シャフト13の先端は挿通孔14の中途側に位置しているため、連結シャフト13は挿通孔14の内部を上方に移動可能となっている。一方、成形部材11は、容器成形型2の縁部の下側に配備されているため、上方への移動が規制されている。
【0031】
そのため、連結シャフト13が挿通孔14の内部を上方に移動すると、成形部材11は容器外側から容器内側に向かって水平に移動し、突起成形面12が容器成形型2の縁部よりも内側に後退して、突起形成部8が成形状態から離型状態に切り替わる。
一方、離型状態の突起形成部8において、昇降部材5を下降させると、上昇時とは逆の動作で突起形成部8が離型状態から成形状態に切り替わる。
【0032】
上述した突起形成部8では、シリンダ6を用いて昇降部材5を昇降させることで、成形部材11が水平に移動して、突起成形面12が進出したり後退したりする。つまり、突起形成部8を水平方向に並べて配置しても、昇降機構が邪魔になることはない。この点、従来の突起形成部では、突起形成部の側方に昇降機構が設けられることが多く、水平方向に近接して配置することが困難であるという短所が指摘されていた。
【0033】
つまり、本実施形態の金型1では、蓋が接触する容器の側面などに、蓋を係合する突起形成部8を開口縁に沿うように連続して形成するか、あるいは密接して複数設けることができ、製造コストの高騰を招くことなく内容物に対する高い密閉性を得ることができる容器を成形可能となる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、金型1を用いた加工の種類、金型1を用いた成形の条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
【符号の説明】
【0034】
1 金型
2 容器成形型
2a 容器成形型の底面
2b 容器成形型の側面
3U 上側の枠部材
3D 下側の枠部材
4 底板
5 昇降部材
6 シリンダ
7 支柱
8 突起形成部
9 蓋係合突起
10 変換機構
11 成形部材
12 突起成形面
13 連結シャフト
14 挿通孔
14a 挿通孔の空気穴
14b 挿通孔のスリーブ
15 固定孔
16 抜止部材
16a 抜止部材の水平部
16b 抜止部材の垂直部
16c 抜止部材の長穴
図1
図2
図3