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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074845
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20220511BHJP
   F04D 15/00 20060101ALI20220511BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20220511BHJP
【FI】
F04B49/06 311
F04D15/00 J
F04D15/00 A
G16Y40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185242
(22)【出願日】2020-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】玉川 充
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智大
【テーマコード(参考)】
3H020
3H145
【Fターム(参考)】
3H020AA05
3H020BA11
3H020BA18
3H020DA01
3H145AA06
3H145AA16
3H145BA28
3H145BA31
3H145CA21
3H145CA28
3H145DA45
3H145EA02
3H145EA41
(57)【要約】
【課題】ポンプ装置内の通信経路に障害が発生した場合でも、人手をわずらわせることなく、制御を継続させることが可能なポンプ装置を提供する。
【解決手段】実施形態のポンプ装置は、ポンプと、電力供給部と、制御部と、操作部を備える。ポンプは給液を行い、電力供給部は、ポンプに電力を供給し、制御部は、電力供給部と通信して指示を与え、前記ポンプに供給する電力を制御し、操作部は電力供給部に指示を与え、電力供給部は、制御部との間で正常な通信が行える場合には、制御部からの指示にしたがった電力供給を行い、一方、制御部との間で正常な通信が行えなくなった場合には、操作部からの指示にしたがった電力供給を行う。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給液を行うポンプと、
このポンプに電力を供給する電力供給部と、
この電力供給部と通信して指示を与え、前記ポンプに供給する電力を制御する制御部と、
前記電力供給部に指示を与える操作部とを備え、
前記電力供給部は、前記制御部との間で正常な通信が行える場合には、前記制御部からの指示にしたがった電力供給を行い、一方、前記制御部との間で正常な通信が行えなくなった場合には、前記操作部からの指示にしたがった電力供給を行うことを特徴とする
ポンプ装置。
【請求項2】
前記操作部と前記電力供給部を一体にして設けることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
給液を行うポンプと、
このポンプに電力を供給する電力供給部と、
この電力供給部と通信して指示を与え、前記ポンプに供給する電力を制御する制御部と、
外部機器と無線通信し、前記電力供給部に指示を与える無線通信部とを備え、
前記電力供給部は、前記制御部との間で正常な通信が行える場合には、前記制御部からの指示にしたがった電力供給を行い、一方、前記制御部との間で正常な通信が行えなくなった場合には、前記無線通信部からの指示にしたがった電力供給を行うことを特徴とする
ポンプ装置。
【請求項4】
給液を行うポンプと、
このポンプに電力を供給する電力供給部と、
この電力供給部と通信して指示を与え、前記ポンプに供給する電力を制御する制御部と、
電圧信号または電流信号に応じて、前記電力供給部に指示を与える信号入力部とを備え、
前記電力供給部は、前記制御部との間で正常な通信が行える場合には、前記制御部からの指示にしたがった電力供給を行い、一方、前記制御部との間で正常な通信が行えなくなった場合には、前記信号入力部からの指示にしたがった電力供給を行うことを特徴とする
ポンプ装置。
【請求項5】
前記電力供給部は、前記制御部との間で正常な通信が行えなくなった後に、前記制御部との間で正常な通信が行えるようになった場合には、前記制御部からの指示にしたがった電力供給を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記ポンプと前記電力供給部を一体にして設けることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、給液を行うポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、液体などの流体を移送するポンプ装置は、主な構成要素として、オペレータが操作する操作パネル部と、操作パネル部を通じたオペレータの指示に基づく制御を行う制御部と、制御部の制御にしたがってポンプの電動機に電力を供給する電力供給部を備える。各部は、例えばシリアル通信によって接続されるが、通信に障害が発生した場合、運用に支障が生じうる。
これに対して従来は、通信に障害が発生した場合には、人手によって、電力供給部に設けられた操作スイッチからの制御に切り替えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-51381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ポンプ装置内の通信経路に障害が発生した場合でも、人手をわずらわせることなく、制御を継続させることが可能なポンプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のポンプ装置は、ポンプと、電力供給部と、制御部と、操作部を備える。ポンプは給液を行い、電力供給部は、ポンプに電力を供給し、制御部は、電力供給部と通信して指示を与え、前記ポンプに供給する電力を制御し、操作部は電力供給部に指示を与え、電力供給部は、制御部との間で正常な通信が行える場合には、制御部からの指示にしたがった電力供給を行い、一方、制御部との間で正常な通信が行えなくなった場合には、操作部からの指示にしたがった電力供給を行う。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ポンプ装置内の通信経路に障害が発生した場合でも、人手をわずらわせることなく、制御を継続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ポンプ装置の概略構成を示す図。
図2図1に示したポンプ装置の制御盤の構成を示す図。
図3図2に示した制御ユニットの動作を説明するためのフローチャート。
図4図2に示したインバータの動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態に係わるポンプ装置について説明する。
図1は、実施形態に係わるポンプ装置1の概略構成を示す図である。この図に例示するポンプ装置1は、例えば、建物や施設の地下に設けられた設備室などに設置され、受水槽Tに貯められた水をモータの力によって駆動されたポンプによって汲み上げて、ユニット吐出口より供給するものである。なお、この例では、2系統のポンプを備える場合を示しているが、1系統あるいは3系統以上のポンプを備えてもよい。
【0009】
ポンプ装置1は、制御盤100、給水路10、第1ポンプユニット201、第2ポンプユニット202、アキュムレータ300、流量センサ(FS)401aおよび401b、圧力センサ(PS)402、逆止弁500aおよび500bを備える。
【0010】
制御盤100は、作業員からの指示を受け付け、その指示にしたがって当該ポンプ装置1の各部を統括して制御するものであって、制御ユニット110と、第1インバータ120と、第2インバータ130とを備える。詳細については、図2を参照して後述する。なお、第1インバータ120と、第2インバータ130は、スマートフォンSPなどと無線通信する機能を備える。
【0011】
給水路10は、受水槽Tに貯められた水をユニット吐出口から供給するまでの流水路であって、第1ポンプ201b、逆止弁500a、アキュムレータ300を介してユニット吐出口に至る第1の流水路と、第2ポンプ202b、逆止弁500b、アキュムレータ300を介してユニット吐出口に至る第2の流水路とを形成している。
【0012】
第1モータ201aは、第1ポンプ201bに対して軸駆動力を与えるものであって、後述する第1インバータ120から供給される電力の調整により、運転(軸回転)速度が制御される。
第1ポンプ201bは、複数段のインペラを有するポンプであって、第1モータ201aのモータ軸が連結され、一次側のポンプ吸込口から吸い込んだ液体に増圧して圧送を行い、二次側のポンプ吐出口より液体を送出する。
【0013】
第2モータ202aは、第1モータ201aと同様に、第2ポンプ202bに対して軸駆動力を与えるものであって、後述する第2インバータ130から供給される電力の調整により、運転(軸回転)速度が制御される。
【0014】
第2ポンプ202bは、第1ポンプ201bと同様に、複数段のインペラを有するポンプであって、第2モータ202aのモータ軸が連結され、一次側のポンプ吸込口から吸い込んだ液体に増圧して圧送を行い、二次側のポンプ吐出口より液体を送出する。
【0015】
アキュムレータ300は、第1ポンプ201bの二次側と逆止弁500aを介して接続されるとともに、第2ポンプ202bの二次側と逆止弁500bを介して接続され、窒素ガスなどの気体が封入されたダイヤフラムを利用して貯圧を行い、この圧力により、給水路10内の圧力変動を緩やかにする。
【0016】
流量センサ401aは、第1ポンプ201bの二次側の給水路10に設けられ、第1ポンプ201bから供給される液体の量を検出し、制御ユニット110に通知する。同様に、流量センサ401bは、第2ポンプ202bの二次側の給水路10に設けられ、第2ポンプ202bから供給される液体の量を検出し、制御ユニット110に通知する。
【0017】
圧力センサ402は、ユニット吐出口の前段の給水路10に設けられ、ユニット吐出口より送り出される液体の圧力を検出し、制御ユニット110に通知する。
逆止弁500aおよび逆止弁500bは、それぞれ第1ポンプ201bあるいは第2ポンプ202bから送り出された液体がユニット吐出口側から逆流するのを防止する弁である。
【0018】
次に、図2を参照して、制御盤100内に設けられた、制御ユニット110、第1インバータ120、第2インバータ130の構成の概要について説明する。なお、第1インバータ120は、第1ポンプユニット201上に搭載して一体化させるようにしてもよい。同様に、第2インバータ130は、第2ポンプユニット202上に搭載して一体化させるようにしてもよい。
【0019】
制御ユニット110は、第1インバータ120および第2インバータ130とそれぞれシリアル通信を行って各インバータに指示を与えて、第1ポンプユニット201および第2ポンプユニット202にそれぞれ供給する電力を制御するという自動運転のための制御部の一例であって、制御部111と、通信コネクタ112,113と、表示部114と、操作部115と、センサI/F116とを備える。
【0020】
なお、自動運転では、例えば、運転周波数(50Hz/60Hz)の切り替え、時刻などに応じたポンプの始動や停止、給水の圧力が目標値で一定となるような圧力制御、あるいは単位時間あたりの給水量が一定となる制御などの制御を行う。
【0021】
制御部111は、制御ユニット110の各部を統括して制御するものであって、プロセッサやメモリを備える。メモリには、制御プログラムや制御データが記憶され、プロセッサが上記制御プログラムを実行して上記制御データにしたがって各部を制御する。
【0022】
なお、制御部111は、特定の処理(例えば、通信制御、表示制御、入力受付処理など)を行わせるためのASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを備えて、これが上記プロセッサと共同して動作するように構成してもよい。
【0023】
またその制御において、制御部111は、操作部115を通じて作業員から与えられた指示や、センサI/F116を通じて得られた各種センシングデータ、通信コネクタ112,113を通じて第1インバータ120や第2インバータ130から得た情報など、複数の情報に基づいて総合的な判断を行い、必要に応じて表示部114に情報を表示して作業員に報知したり、通信コネクタ112,113を通じて第1インバータ120や第2インバータ130を制御する。
【0024】
通信コネクタ112,113は、例えばRS-232Cなどのシリアル通信の規格に準拠した通信ケーブル(シリアルケーブル)を接続するためのコネクタである。通信コネクタ112は、第1インバータ120の通信コネクタ122とシリアルケーブルによって接続される。同様に、通信コネクタ113は、第1インバータ120の通信コネクタ122とシリアルケーブルによって接続される。なお、信号を送受信するための通信インタフェースとしての機能は、制御部111が備える。
【0025】
表示部114は、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル、7セグメントLED、LEDランプなどのデバイスを用いた表示装置であって、制御部111から与えられる情報を作業員に対して視覚的に表示するものである。なお、視覚的な表示以外に、音(音声)などにより、作業員に情報を報知するようにしてもよい。
【0026】
操作部115は、表示部114の表示上に設けられるタッチパネルや、複数のキースイッチなどであって、作業員からの要求や指示を受け付け、これを制御部111に伝達する。なお、マイクロホンを備えて、入力された音声が示すコマンドを制御部111が認識して、作業員からの要求や指示を制御部に伝達するようにしてもよい。
【0027】
センサI/F116は、当該ポンプ装置1内(あるいは外)に配備された各種センサを接続するためのインタフェースであって、各センサに動作電力を供給するとともに、制御部111からの指示を上記各種センサに与えたり、あるいは上記各種センサが検知した情報を制御部111に伝達する。
【0028】
なお、図1では、センサの例として、流量センサ401aおよび401bや、圧力センサ402を示したが、これら以外のセンサを設け、接続して、センサI/F116を通じてセンサが検知した情報を制御部111が得るようにしてもよい。
【0029】
第1インバータ120は、制御ユニット110からの指示に応じて第1ポンプユニット201に電力を供給する電力供給部の一例である。すなわち、第1インバータ120は、制御ユニット110によって制御され、分電盤から供給される電力を、第1モータ201aを駆動させるための交流電力に変換して供給し、例えば、一定の圧力となるように給水を制御する機能を有するものであって、制御部121と、通信コネクタ122と、操作部123と、無線通信部125と、電源回路126とを備える。
【0030】
制御部121は、第1インバータ120の各部を統括して制御するものであって、プロセッサやメモリを備える。メモリには、制御プログラムや制御データが記憶され、プロセッサが上記制御プログラムを実行して上記制御データにしたがって各部を制御する。
【0031】
なお、制御部121は、特定の処理(例えば、通信制御、表示制御、入力受付処理など)を行わせるためのASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを備えて、これが上記プロセッサと共同して動作するようにしてもよい。
【0032】
またその制御において、制御部121は、通信コネクタ122を通じて制御ユニット110から指示された指示や操作部123を通じて作業員から与えられた指示(例えば、電源のON/OFF、運転周波数、出力電力の調整など)などに基づいて総合的な判断を行い、電源回路126を制御して電力を第1モータ201aに供給させる。
【0033】
また制御部121は、通信コネクタ122を通じて制御部121と通信を行う通信機能を備えるとともに、無線通信部125を制御して外部機器(例えば、スマートフォンSP)と通信し、外部機器からの指示や要求に応じた制御を行ったり、情報を外部機器に送信させる通信制御機能を備える。
【0034】
通信コネクタ122は、通信コネクタ112,113と同様に、例えばRS-232Cなどのシリアル通信の規格に準拠した通信ケーブル(シリアルケーブル)を接続するためのコネクタである。前述したように、通信コネクタ122は、通信コネクタ112とシリアルケーブルによって接続される。
【0035】
操作部123は、第1インバータ120に対して作業員が直接指示を与える操作部の一例であって、例えば、押しボタンスイッチやジョグダイヤルなどの各種スイッチなどを用いたものであって、第1インバータ120の動作設定を行ったり、制御ユニット110なしに、作業員が強制的に運転周波数や運転の始動や停止を指示するために用いられる。なお、各種スイッチは、これに限らず、キースイッチ、ディップスイッチ、トグルスイッチなどを用いてもよい。また、操作部123は、インバータに搭載して一体化した構造であってもよいし、インバータとは別に設けた外部装置であっても構わない。
【0036】
表示部124は、液晶パネルや有機ELパネル、7セグメントLED、LEDランプなどのデバイスを用いた表示装置であって、制御部121から与えられる情報を作業員に対して視覚的に表示するものである。なお、視覚的な表示以外に、音(音声)などにより、作業員に情報を報知するようにしてもよい。
【0037】
無線通信部125は、外部機器と無線通信し、電力供給部に指示を与える無線通信部の一例であって、例えば、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)などの近距離無線通信や、Wi-Fi(登録商標)、携帯電話通信網を使用した長距離無線通信などの無線通信を行う通信モジュールを備え、作業員が携帯するスマートフォンSPなどと通信を行う。
【0038】
電源回路126は、モータ用のインバータを備え、制御部121からの指示に応じて、分電盤から供給される電力を第1モータ201aで使用可能な交流電力に変換する。また電源回路126は、電力の供給レベルを制御部121からの指示にしたがって可変制御することができる。
【0039】
第2インバータ130は、制御ユニット110からの指示に応じて第2ポンプユニット202に電力を供給する電力供給部の一例である。すなわち、第2インバータ130は、制御ユニット110によって制御され、分電盤から供給される電力を、第2モータ202aを駆動させるための交流電力に変換して供給し、例えば、一定の圧力となるように給水を制御する機能を有するものであって、制御部131と、通信コネクタ132と、操作部133と、表示部134と、無線通信部135と、電源回路136とを備える。
【0040】
なお、第2インバータ130の構成の詳細は、上述した第1インバータ120と同様であることより、説明を省略する。当業者によれば、上述した第1インバータ120の説明において、制御部121、通信コネクタ122、操作部123、表示部124、無線通信部125、電源回路126、第1モータ201aを、それぞれ、制御部131、通信コネクタ132、操作部133、表示部134、無線通信部135、電源回路136、第2モータ202aと読み替えることで容易に理解できるであろう。
【0041】
次に、動作について説明する。以下の説明では特に、制御ユニット110と第1インバータ120との間の通信に関わる通信制御について説明する。なお、第1ポンプユニット201や第2ポンプユニット202による給水そのもののメカニズムや動作(ポンピング)については説明を省略する。
【0042】
まず、図3を参照して、制御ユニット110の制御部111によってなされる通信制御について説明する。図3に示すフローチャートは、操作部115内に設けられた、当該ポンプ装置1の主電源スイッチがONされると開始される。
【0043】
なお、以下では、制御ユニット110と第1インバータ120との間の通信に関わる通信制御について説明するが、制御ユニット110と第2インバータ130との間でも同様の通信制御が並行して行われるものとし、ここでは、第2インバータ130との間の通信や動作についての説明を省略する。
【0044】
ステップS301において制御部111は、予め設定された所定の手順(プロトコル)にしたがって、第1インバータ120(制御部121)との間にシリアル通信リンクを確立するための処理を開始し、ステップS302に移行する。
【0045】
ステップS302において制御部111は、上記シリアル通信リンクが確立したか否かを判定する。ここで、シリアル通信リンクが確立した場合には、ステップS303に移行し、一方、シリアル通信リンクが確立しない場合には、ステップS301に移行して、通信リンクの確立を再び試みる。
【0046】
ステップS303において制御部111は、表示部114を制御して、第1インバータ120との間にシリアル通信リンクが確立し、第1ポンプユニット201の制御が行える状態になったことを示す表示を表示部114に行って、ステップS304に移行する。これにより、表示部114の表示を確認した作業員は、制御ユニット110の制御下に第1インバータ120が入り、第1ポンプユニット201を稼働できることを認識できる。
【0047】
ステップS304において制御部111は、操作部115に対して作業員が、第1ポンプユニット201に対するON操作を行ったか否かを判定する。ここで、ON操作が行われた場合には、ステップS305に移行し、一方、ON操作が行われていない場合には、再びステップS304にてON操作の監視を行う。
【0048】
ステップS305において制御部111は、上記シリアル通信リンクを通じて、第1インバータ120(制御部121)に対して、第1ポンプユニット201に電力供給を開始するように指示し(後述するステップS405のON指示に相当)、ステップS306に移行する。
【0049】
なお、これに対して、制御部121は、後述のステップS406で説明するように、電源回路126を制御して、分電盤から供給される電力を変換して、第1モータ201aに電力供給を開始する。これにより、第1モータ201aは稼働し、第1ポンプ201bにより給水が開始される。
【0050】
ステップS306において制御部111は、操作部115に対して作業員が、第1ポンプユニット201に対するOFF操作を行ったか否かを判定する。ここで、OFF操作が行われた場合には、ステップS307に移行し、一方、OFF操作が行われていない場合には、ステップS308に移行する。
【0051】
ステップS307において制御部111は、上記シリアル通信リンクを通じて、第1インバータ120(制御部121)に対して、第1ポンプユニット201への電力供給を停止するように指示し(後述するステップS407のOFF指示に相当)、ステップS304に移行する。
【0052】
なお、これに対して、制御部121は、後述のステップS408で説明するように、電源回路126を制御して、第1モータ201aへの電力供給を停止する。これにより、第1モータ201aは停止し、第1ポンプ201bによる給水が停止する。
【0053】
ステップS308において制御部111は、自動運転に対応する所定のスケジュールにしたがって第1インバータ120(制御部121)に対して指示を与えて、ステップS310に移行する。ここでの指示は、後述するステップS409で実行され、第1ポンプユニット201は自動運転された状態となる。
【0054】
ステップS309において制御部111は、第1インバータ120(制御部121)との間の通信にエラー(通信障害など)が発生したか否かを判定する。ここで、エラーが発生した場合には、ステップS310に移行し、一方、エラーが発生していない場合には、ステップS306に移行する。
【0055】
ステップS310において制御部111は、表示部114を制御して、第1インバータ120との間で通信が行えなくなったことを示す通信エラー表示を行った後、ステップS301に移行して、通信リンクの再確立を試みる。これにより、表示部114のエラー表示を確認した作業員は、通信エラーが生じて、第1インバータ120(第1ポンプユニット201)が制御ユニット110による自動運転の制御外になったことを認識できる。
【0056】
次に、図4を参照して、第1インバータ120の制御部121によってなされる通信制御について説明する。図4に示すフローチャートは、操作部123内に設けられた、第1インバータ120の主電源スイッチがONされると開始される。なお、制御ユニット110と同様に、操作部115内に設けられた、当該ポンプ装置1の主電源スイッチがONされると開始されるようにしてもよい。
【0057】
ステップS401において制御部121は、制御ユニット110からシリアル通信の要求を受信したか否かを判定する。ここで、シリアル通信の要求を受信した場合には、ステップS402に移行し、一方、シリアル通信の要求を受信していない場合には、ステップS401に移行して、シリアル通信の要求の受信を再び監視する。
【0058】
ステップS402において制御部121は、予め設定された所定の手順(プロトコル)にしたがって、制御ユニット110(制御部111)との間にシリアル通信リンクを確立するための処理を開始し、ステップS403に移行する。なお、ステップS402の処理は、制御ユニット110側のステップS301の処理に対応するものである。
【0059】
ステップS403において制御部121は、上記シリアル通信リンクが確立したか否かを判定する。ここで、シリアル通信リンクが確立した場合には、ステップS404に移行し、一方、シリアル通信リンクが確立しない場合には、ステップS402に移行して、シリアル通信リンクの確立を再び試みる。
【0060】
ステップS404において制御部121は、表示部124を制御して、制御ユニット110との間にシリアル通信リンクが確立したことを示す表示を表示部124に行って、ステップS405に移行する。これにより、表示部124の表示を確認した作業員は、制御ユニット110の制御下に第1インバータ120が入ったことを認識できる。
【0061】
ステップS405において制御部121は、上記シリアル通信リンクを通じて、制御ユニット110からON指示を受信したか否かを判定する。ここで、ON指示を受信した場合には、ステップS406に移行し、一方、ON指示を受信していない場合には、再びステップS405にてON指示の受信を監視する。
【0062】
ステップS406において制御部121は、電源回路126を制御して、分電盤から供給される電力を変換して、第1モータ201aに電力供給を開始し、ステップS407に移行する。これにより、第1モータ201aは稼働し、第1ポンプ201bにより給水が開始される。
【0063】
ステップS407において制御部121は、上記シリアル通信リンクを通じて、制御ユニット110からOFF指示を受信したか否かを判定する。ここで、OFF指示を受信した場合には、ステップS408に移行し、一方、OFF指示を受信していない場合には、ステップS409に移行する。
【0064】
ステップS408において制御部121は、電源回路126を制御して、第1モータ201aへの電力供給を停止し、ステップS405に移行する。これにより、第1モータ201aは停止し、第1ポンプ201bによる給水が停止するとともに、制御部121は、制御ユニット110からON指示を待機する状態になる。
【0065】
ステップS409において制御部121は、上記シリアル通信リンクを通じた制御ユニット110からの指示にしたがって、電源回路126を制御し、ステップS410に移行する。なお、ここでの制御は、ステップS308の自動運転に対応するものであって、例えば、一定の圧力となるように給水を制御するために、第1モータ201aに対する供給電力を制御する。
【0066】
ステップS410において制御部121は、制御ユニット110(制御部111)との間の通信にエラー(通信障害など)が発生したか否かを判定する。ここで、エラーが発生した場合には、ステップS411に移行し、一方、エラーが発生していない場合には、ステップS407に移行する。
【0067】
ステップS411において制御部121は、表示部124を制御して、制御ユニット110との間で通信が行えなくなったことを示す通信エラー表示を行った後、ステップS412に移行する。これにより、表示部124のエラー表示を確認した作業員は、通信エラーが生じて、第1インバータ120が制御ユニット110の制御外になり、自動運転が行われていないことを認識できる。
【0068】
ステップS412において制御部121は、無線通信部125を起動し、予め設定された所定の手順(プロトコル)にしたがって、スマートフォンSPなどとの間に無線通信リンクを確立するための処理を開始し、ステップS413に移行する。
【0069】
ステップS413において制御部121は、上記無線通信リンクが確立したか否かを判定する。ここで、無線通信リンクが確立した場合には、ステップS414に移行し、一方、無線通信リンクが確立しない場合には、ステップS412に移行して、無線通信リンクの確立を再び試みる。
【0070】
ステップS414において制御部121は、表示部124を制御して、スマートフォンSPなどとの間にシリアル通信リンクが確立したことを示す表示を表示部124に行って、ステップS415に移行する。これにより、表示部124の表示を確認した作業員は、スマートフォンSPなどの制御下に第1インバータ120が入ったことを認識できる。
【0071】
ステップS415において制御部121は、上記無線通信リンクを通じて、スマートフォンSPなどから指示を受信したか否かを判定する。ここで、指示を受信した場合には、ステップS417に移行し、一方、指示を受信していない場合には、ステップS416に移行する。
【0072】
ステップS416において制御部121は、操作部123を通じて、作業員から指示を受けたか否かを判定する。ここで、指示を受けた場合には、ステップS417に移行し、一方、指示を受けていない場合には、ステップS418に移行する。
【0073】
ステップS417において制御部121は、スマートフォンSPなどを通じた指示、あるいは、操作部123を通じた指示に応じた種々の処理(給水の開始や停止、単位時間あたり給水量の制御など)を実行し、ステップS415に移行する。すなわち、第1インバータ120は、スマートフォンSPなど、あるいは、操作部123を通じて制御が行われる。
【0074】
ステップS418において制御部121は、制御ユニット110からシリアル通信の要求を受信したか否かを判定する。ここで、シリアル通信の要求を受信した場合には、ステップS419に移行し、一方、シリアル通信の要求を受信していない場合には、ステップS415に移行する。
【0075】
ステップS419において制御部121は、予め設定された所定の手順(プロトコル)にしたがって、制御ユニット110(制御部111)との間にシリアル通信リンクを確立するための処理を開始し、ステップS420に移行する。
【0076】
ステップS420において制御部121は、上記シリアル通信リンクが確立したか否か、すなわちシリアル通信リンクが回復したか否かを判定する。ここで、シリアル通信リンクが回復した場合には、ステップS421に移行し、一方、シリアル通信リンクが回復しない場合には、ステップS415に移行する。
【0077】
ステップS421において制御部121は、表示部124を制御して、制御ユニット110との間にシリアル通信リンクが回復したことを示す表示を表示部124に行って、ステップS422に移行する。これにより、表示部124の表示を確認した作業員は、再び制御ユニット110の制御下に第1インバータ120が入ったことを認識できる。
【0078】
ステップS422において制御部121は、第1ポンプ201bによる給水が行われているポンプ動作中か否かを判定する。ここで、ポンプ動作中の場合には、ステップS407に移行し、一方、ポンプが停止している場合には、ステップS405に移行する。すなわち、シリアル通信にエラーが生じる前の動作に合わせた制御ループに戻す。
【0079】
以上のように本実施形態によれば、第1インバータ120及び/又は第2インバータ130は、制御ユニット110との間で正常な通信が行える場合には、制御ユニット110からの指示にしたがった電力供給を行う。一方、第1インバータ120及び/又は第2インバータ130は、制御ユニット110との間で正常な通信が行えなくなった場合には、操作部123,133又は無線通信部125,135からの指示にしたがった電力供給を行う。これにより、ポンプ装置1内の通信経路に障害が発生した場合でも、人手をわずらわせることなく、制御を継続させることができる。
【0080】
例えば、上記構成のポンプ装置1では、制御ユニット110と第1インバータ120(あるいは第2インバータ130)との間のシリアル通信にエラーが発生した場合に、第1インバータ120(あるいは第2インバータ130)に対しては、操作部123を通じた指示や、無線通信部125との無線通信リンクを通じたスマートフォンSPなどからの指示を与えて、第1ポンプユニット201(あるいは第2ポンプユニット202)の制御を行うようにしている。
【0081】
したがって、上記構成のポンプ装置1によれば、制御ユニット110と第1インバータ120(あるいは第2インバータ130)との間のシリアル通信にエラーが発生した場合でも、別の手段により第1インバータ120(あるいは第2インバータ130)に指示を与えて第1ポンプユニット201(あるいは第2ポンプユニット202)を継続的に運転することができる。
【0082】
また本実施形態によれば、第1インバータ120及び/又は第2インバータ130は、制御ユニット110との間で正常な通信が行えなくなった後に、制御ユニット110との間で正常な通信が行えるようになった場合には、制御ユニット110からの指示にしたがった電力供給を行うようにしてもよい。
【0083】
例えば、上記構成のポンプ装置1では、制御ユニット110と第1インバータ120(あるいは第2インバータ130)との間のシリアル通信にエラーが発生した場合、制御ユニット110は、シリアル通信リンクの再確立をリトライするようにしており、一方、第1インバータ120(あるいは第2インバータ130)は、制御ユニット110からシリアル通信リンクの確立要求を受けると、シリアル通信リンクを回復させて、以後は、シリアル通信リンクを通じた指示にしたがって、動作するようにしている。
【0084】
すなわち、シリアル通信にエラーが発生した場合、シリアル通信リンクの回復を試み、回復した場合には、手動操作(操作部123を通じた指示や、無線通信部125との無線通信リンクを通じたスマートフォンSPなどからの指示)から、制御ユニット110による自動運転に切り替えるようにしている。このように、シリアル通信リンクを優先的に回復させようとするために、可及的速やかに自動運転に復帰することができる。
【0085】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0086】
上記構成のポンプ装置1では、シリアル通信にエラーが発生した場合に、それ以前の運転状態を継続するようにしているので、例えば給水動作中であれば、給水を継続することができるが、これに限定されるものではない。
【0087】
例えば、シリアル通信にエラーが発生した場合に、それ以前の運転状態を緊急停止するようにしてもよい。あるいは、操作部123を通じた指示がない場合や、無線通信部125がスマートフォンSPなどと無線通信リンクが確立しない場合に、それ以前の運転状態を緊急停止するようにしてもよい。
【0088】
また上記構成のポンプ装置1では、シリアル通信にエラーが発生した場合に、操作部123を通じた指示や、無線通信部125との無線通信リンクを通じたスマートフォンSPなどからの指示を与えるようにしたが、これに限定されるものではない。
【0089】
例えば、外部からリニアな電圧信号や電流信号を入力するための信号入力部(インタフェース)を第1インバータ120(あるいは第2インバータ130)に設けてもよい。この場合、シリアル通信にエラーが発生した場合に、この信号入力部(インタフェース)を通じて入力される信号に応じて、制御部121が第1ポンプユニット201に供給する電力などを制御するようにしてもよい。
【0090】
また、この場合、信号入力部よりも外部の信号経路上に可変抵抗を設け、可変抵抗の調節を介して、当該リニアな電圧信号や電流信号を調整することにより、運転周波数などを制御してもよい。
【0091】
また上記構成のポンプ装置1では、水道水などの水を供給する場合を例に挙げて説明したが、水以外の液体や粉体を供給(移送)するポンプ装置であってもよい。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0092】
1…ポンプ装置、10…給水路、100…制御盤、110…制御ユニット、111…制御部、112…通信コネクタ、113…通信コネクタ、114…表示部、115…操作部、120…第1インバータ、121…制御部、122…通信コネクタ、123…操作部、124…表示部、125…無線通信部、126…電源回路、130…第2インバータ、131…制御部、132…通信コネクタ、133…操作部、134…表示部、135…無線通信部、136…電源回路、201…第1ポンプユニット、201a…第1モータ、201b…第1ポンプ、202…第1ポンプユニット、202a…第1モータ、202b…第1ポンプ、300…アキュムレータ、401a…流量センサ、401b…流量センサ、402…圧力センサ、500a…逆止弁、500b…逆止弁。
図1
図2
図3
図4