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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074904
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/56 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
B65H3/56 330S
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185323
(22)【出願日】2020-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝 添錦
(72)【発明者】
【氏名】石部 陽雅
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA03
3F343FB01
3F343FC30
3F343GA02
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343KA03
3F343KB05
3F343LA04
3F343LA15
3F343LC12
3F343LD10
3F343LD24
3F343MA03
3F343MA23
3F343MA26
(57)【要約】
【課題】ユーザにとっての使いやすさを向上する。
【解決手段】シートSHを支持する第1上搬送面130A及び第2上搬送面130Bと、第1上搬送面130Aに支持されたシートSHを搬送方向に送り出す給紙ローラ92と、給紙ローラ92より搬送方向の下流側に位置し、第2上搬送面130Bに支持されたシートSHを1枚ずつに分離する分離ローラ54と、給紙ローラ92と分離ローラ54との間に位置するストッパ80であって、第1上搬送面130Aに支持されたシートSHの先端と当接してシートSHの搬送方向への通過を規制する第1位置、及び、第1位置よりも搬送経路P1から遠い第2位置であってシートSHの搬送方向への通過を許容する第2位置、の間で変位可能なストッパ80と、を備え、ストッパ80は、シートSHの先端と当接する壁面80dに複数の突起80eを有する。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを支持する支持面と、
前記支持面に支持された前記シートを搬送方向に送り出す給紙ローラと、
前記給紙ローラより前記搬送方向の下流側に位置し、前記支持面に支持された前記シートを1枚ずつに分離する分離ローラと、
前記給紙ローラと前記分離ローラとの間に位置するストッパであって、前記支持面に支持された前記シートの先端と当接して前記シートの前記搬送方向への通過を規制する第1位置、及び、前記第1位置よりも搬送経路から遠い第2位置であって前記シートの前記搬送方向への通過を許容する第2位置、の間で変位可能なストッパと、
を備え、
前記ストッパは、
前記シートの前記先端と当接する壁面に少なくとも1つの突起を有する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ストッパの前記壁面は、
前記第1位置において高さ方向に並ぶ複数の前記突起を有する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記シートの長手方向を搬送方向と一致させて前記支持面に配置した状態でかつ前記第1位置にある前記ストッパに前記シートの先端を当接した状態で当該シートの有無を検知するセンサをさらに有し、
前記センサは、
前記支持面と直交する方向からの平面視において、前記当接した状態のB5サイズの前記シートの後端と前記当接した状態のLETTERサイズの前記シートの後端との間の位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
シートを支持する支持面と、
前記支持面に支持された前記シートを搬送方向に送り出す給紙ローラと、
前記給紙ローラより前記搬送方向の下流側に位置し、前記支持面に支持された前記シートを1枚ずつに分離する分離ローラと、
前記給紙ローラと前記分離ローラとの間に位置するストッパであって、前記支持面に支持された前記シートの先端と当接して前記シートの前記搬送方向への通過を規制する第1位置、及び、前記第1位置よりも搬送経路から遠い第2位置であって前記シートの前記搬送方向への通過を許容する第2位置、の間で変位可能なストッパと、
を備え、
前記ストッパは、
前記第1位置において底部に位置する底面と、
前記第1位置において前記シートの前記先端と当接する当接面と、
前記底面と前記当接面との間をつなぐ曲面と、
を有し、
前記支持面のうち前記搬送方向の位置が前記当接面と同一である所定部位が、前記曲面の最も高い部分よりも、高いことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記給紙ローラにより複数の前記シートが送られた際にそれら複数のシートのうち最上層の1つのシートを分離するための当接面を有し、前記給紙ローラと前記分離ローラとの間に設けられた分離バンクをさらに備え、
前記支持面は、
前記所定部位を含みかつ前記搬送方向の下流側に向かって登り傾斜となる第1傾斜面と、
前記第1傾斜面よりも前記搬送方向の上流側に位置しかつ前記搬送方向の下流側に向かって下り傾斜となる第2傾斜面と、
を含み、
前記第2傾斜面と前記分離バンクの前記当接面とがなす角度は、
前記第2傾斜面と前記第1傾斜面とがなす角度よりも小さいことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記搬送方向における前記第1傾斜面の上流側端部の位置は前記搬送方向における前記分離バンクの前記当接面の位置よりも下流側である
ことを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1傾斜面は、
他の部位よりも上方に突出して設けられた第1リブ部材の上面を含む面である
ことを特徴とする請求項5又は請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記搬送方向に前記ストッパに対向するように当該ストッパの上流側に設けられた第2リブ部材をさらに備え、
前記第2リブ部材の上面の高さ方向位置は、前記第2傾斜面の上面の高さ方向位置よりも低い
ことを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
モータと、
前記モータの駆動力の前記分離ローラの駆動軸への入力に応じて、前記ストッパを前記第1位置又は前記第2位置に切り替える、ストッパ切替機構と、
前記分離ローラの駆動軸と前記給紙ローラの駆動軸との間に介在し、前記モータから前記分離ローラの駆動軸に入力される前記駆動力を前記給紙ローラの駆動軸に伝達する歯車機構と、
をさらに備え、
前記歯車機構は、
前記搬送方向に直交する前記シートの幅方向において前記分離バンクの一方側に設けられており、
前記ストッパは、
前記幅方向における前記分離バンクの前記一方側に位置する一方側ストッパと前記幅方向における前記分離バンクの他方側に位置する他方側ストッパとを含み、
前記第1リブ部材は、
前記幅方向における前記分離バンクの前記一方側に位置する一方側リブ部材と前記幅方向における前記分離バンクの他方側に位置する他方側リブ部材とを含み、
かつ、
前記分離バンクの前記幅方向における中心線からの距離が1つの前記一方側リブ部材と略同じであってかつ前記他方側リブ部材が設けられていない部位に第3リブ部材を設け、
前記第3リブ部材の上面の形状及び高さ方向位置は、前記1つの一方側リブ部材の上面の形状及び高さ方向位置と略同一である
ことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザによるシートの差し込みを規制する機能を備えた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のように、第1送出ローラと第2送出ローラとの間に規制部材を設ける技術が知られている。この規制部材は、用紙の搬送経路から退避する第2位置態様から用紙の搬送経路上に出現する第1位置態様に切り替えられることで、第1送出ローラにより送出された用紙の先端に当接し用紙の通過を規制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-37020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、規制部材が第1位置態様に切り替えられた状態でユーザが用紙を差し込んだ際、用紙の先端が規制部材に当接した後に規制部材に沿って上向き又は下向きに反り返る場合があった。この場合、ユーザは、用紙を規制部材先端に突き当てた感覚を得にくいため、使いやすさの点で不十分であった。
【0005】
本発明の目的は、シートの先端がストッパに当接して反り返るのを抑制し、使いやすさを向上できる画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、シートを支持する支持面と、前記支持面に支持された前記シートを搬送方向に送り出す給紙ローラと、前記給紙ローラより前記搬送方向の下流側に位置し、前記支持面に支持された前記シートを1枚ずつに分離する分離ローラと、前記給紙ローラと前記分離ローラとの間に位置するストッパであって、前記支持面に支持された前記シートの先端と当接して前記シートの前記搬送方向への通過を規制する第1位置、及び、前記第1位置よりも搬送経路から遠い第2位置であって前記シートの前記搬送方向への通過を許容する第2位置、の間で変位可能なストッパと、を備え、前記ストッパは、前記シートの前記先端と当接する壁面に少なくとも1つの突起を有することを特徴とする。
【0007】
本願発明の画像処理装置においては、支持面上において支持されるシートの搬送方向への通過を規制するストッパが、第1位置又は第2位置に変位可能に設けられている。第1位置では、ストッパは、支持面に支持されたシートの先端と当接し、シートの搬送方向への通過を規制する。第1位置よりも搬送経路から遠い第2位置では、ストッパはシートの搬送方向への通過を許容する。
【0008】
第1位置でシートの先端と当接する際、ストッパには、シート先端と当接する壁面において少なくとも1つの突起が設けられている。これにより、ユーザにより投入されたシートの先端がストッパに当接する際に上記壁面の突起に突き当たってひっかかるので、シート先端が壁面の表面を滑って上向き又は下向きに反り返るのが抑制される。これにより、ユーザにとっての使いやすさを向上することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザにとっての使いやすさを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による複合機の概念的な全体構成を表す模式図である。
図2】複合機の外観構成を表す斜視図である。
図3】複合機の外観構成を表す平面図である。
図4】読取ユニットの要部断面構造を後方から見た横断面図である。
図5図4に示した構造において開閉カバーを開けた状態を表す横断面図である。
図6図4に示した構造において開閉カバーを開けた状態を表す斜視図である。
図7】ストッパがロックレバーに係合した状態を表す断面図、及び、その部分拡大図である。
図8】ストッパとロックレバーとの係合が解除された状態を表す断面図、及び、その部分拡大図である。
図9】モータからの駆動力の給紙ローラへの伝達構成を説明するための横断面図である。
図10】遊星ギヤの移動による駆動力の伝達及び遮断、並びにホルダの揺動を説明するための部分拡大断面図である。
図11】遊星ギヤの移動による駆動力の伝達及び遮断、並びにホルダの揺動を説明するための部分拡大断面図である。
図12】複合機の電気的構成を表す機能ブロック図である。
図13】ADF部の外観構成を搬送部におけるストッパの周辺構造以外の図示を省略して表す斜視図である。
図14】ストッパ及びリブ部材の外観構成を表す部分拡大斜視図である。
図15】ストッパ及びリブ部材の外観構成を表す部分拡大側面図である。
図16】ストッパ及びリブ部材によるシートの上向き及び下向きの反り返りの抑制効果を説明するための説明図である。
図17】積載面におけるシート載置センサの配置を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図面は、本開示が採用し得る技術的特徴を説明する為に用いるものであり、記載している装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0012】
<複合機の全体概略構成>
図1に本実施形態の複合機1の全体概略構成を概念的に示す。複合機1が画像処理装置の一例である。図1に示す複合機1において、紙面に向かって手前側を装置の前方と規定し、紙面に向かって左手に来る側を左方と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、以降の各図に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。
【0013】
図1に示すように、複合機1は、本体ユニット2と、読取ユニット3と、を備える。読取ユニット3は、ADF部9と、FB部5とを備える。ADF部9のFB部5の前面には、タッチパネル等である操作パネル40(後述の図12参照)が設けられている。
【0014】
図1に示すように、本体ユニット2は、扁平な略箱状体であり、内部に画像形成部4を備えている。画像形成部4は、インクジェット方式又はレーザ方式等により、複合機1に接続されたパーソナルコンピューターから受信した画像データ、読取ユニット3によって原稿の画像が読み取られて生成された画像データ、等に基づき、記録紙に画像を形成する。読取ユニット3は、本体ユニット2の上方に配置されている。FB部5は、後述する原稿支持面101A上に載置された原稿の画像を読み取る際に使用される。ADF部9は、供給トレイ12と、排出トレイ14と、搬送部6と、を有している。搬送部6は、供給トレイ12に載置されたシートSHを搬送経路P1に沿って搬送し、排出トレイ14に排出する。ADF部9は、供給トレイ12に載置されたシートSHの画像を搬送経路P1に沿って順次搬送しながら、読み取らせる際に使用される。なお、読取対象のシートは、用紙、OHPシート等であるシートの他、原稿等が含まれる。
【0015】
<ADF部の外観>
ADF部9の外観構成を図2及び図3に示す。これら図2及び図3に示すように、ADF部9は、後部に配設された図示しないヒンジによって、左右方向に延びる開閉軸心X9周りで揺動可能に支持されている。ADF部9は、図2及び図3に示す閉じた状態では、後述する原稿支持面101Aを上方から覆っている。図示は省略するが、ADF部9は、その前端部が上方かつ後方に変位するように上記開閉軸心X9周りで揺動することにより、原稿支持面101Aを露出させる。これにより、ユーザは、読取対象の原稿を原稿支持面101Aに支持させることができる。
【0016】
図2及び図3に示すように、供給トレイ12は、ADF部9の右部分に形成されている。供給トレイ12の上面は、シートSHを下から支持する給紙面12Aである。給紙面12Aには、搬送部6によって搬送される読取対象の複数枚のシートSHが積載される。給紙面12Aは、左向きに下り傾斜する平坦面である。供給トレイ12には、前ガイド17F及び後ガイド17Rがそれぞれ前後方向にスライド可能に設けられている。前ガイド17Fと後ガイド17Rとが互いに接近又は離間することにより、供給トレイ12に支持されるサイズの異なる複数種類のシートSHを前後から挟む。図2及び図3に示すように、排出トレイ14は、供給トレイ12よりも下方に位置している。排出トレイ14の上面は、シートSHを下から支持する排紙面14Aである。排紙面14Aには、イメージセンサ3Sによって画像が読み取られ、搬送部6によって排出されたシートSHが積載される。排紙面14Aは、左から右に向かうにつれて上り傾斜する平坦面である。
【0017】
図2及び図3に示すように、ADF部9の上部分には、開閉カバー32が設けられている。開閉カバー32は、ADF部9の略中央から左端まで前後左右方向に延在する略平板部材である。開閉カバー32の左端部は下向きに屈曲している。そして、開閉カバー32は、その左端、かつ下端部において、前後方向に延びる開閉軸心X32周りに揺動可能に支持されている。これにより、開閉カバー32は、図2及び図3に実線で示す閉鎖位置と、後述の図5等に示す開放位置との間で変位可能となっている。上記閉鎖位置においては、開閉カバー32は搬送経路P1を覆うように機能する。
【0018】
<読取ユニットの断面構造>
図4は、読取ユニット3の要部断面構造を後方から見た図であり、図5はその断面構造において開閉カバー32を開いた状態を表す図である。これら図4及び図5において、FB部5の上面には、プラテンガラス101が配設されている。プラテンガラス101の上面によって、原稿支持面101Aが形成されている。FB部5内であって、プラテンガラス101の下方には、上記イメージセンサ3Sが左右方向に移動可能に設けられている。原稿支持面101Aは、静止した状態の原稿の画像をイメージセンサ3Sによって読み取る際に、その原稿を下から支持する。
【0019】
プラテンガラス101の上面によって、読取面101Bが形成されている。読取面101Bは、搬送部6によって1枚ずつ搬送されるシートSHの画像をFB部5内のイメージセンサ3Sによって読み取る際に、その搬送されるシートSHを下から案内する。なお、本実施形態においては、原稿支持面101Aを使用して画像が読み取られる対象を原稿と記載し、搬送部6により搬送しながら画像が読み取られる対象をシートSHと記載する。原稿とシートSHとは、実質的に同じものであってもよい。
【0020】
FB部5は、上記イメージセンサ3Sと、図示しない走査機構と、上記プラテンガラス101と、を有している。走査機構は、イメージセンサ3Sを原稿支持面101A及び読取面101Bの下方で左右方向に往復動させる。原稿支持面101Aに支持されている原稿の画像を読み取る場合には、イメージセンサ3Sが原稿支持面101Aの下方を移動しながら読み取る。シートSHを搬送部6によって搬送しながら画像を読み取る場合には、イメージセンサ3Sを予め決められた静止読取位置に停止させる。ここで、イメージセンサ3Sが停止する静止読取位置は、読取面101Bに下方から対向する位置である。イメージセンサ3Sとしては、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の周知の画像読取センサが使用される。
【0021】
ADF部9の下部分には、ベース部材9Aが設けられている。ベース部材9Aは、ADF部9の底部を構成している。ベース部材9Aの右部分は、前述の排出トレイ14を構成している。搬送部6は、ADF部9における開閉カバー32とベース部材9Aの左部分との間に設けられている。搬送部6は、ベース部材9Aに組み付けられたアッパーシュート部材130とロアシュート部材140とを有している。ロアシュート部材140は、アッパーシュート部材130に対して下方に位置している。ロアシュート部材140の下方にベース部材9Aが位置している。
【0022】
図4図5、及び図6に示すように、開閉カバー32の内面には、左右方向に延びるガイドリブ32Rが前後方向に複数本並んで形成されている。それらのガイドリブ32Rの下端縁によって、上案内面32Aが形成されている。上記上案内面32Aは、搬送経路P1のうち、後述する上経路P1Aを上から規定する。
【0023】
アッパーシュート部材130の上面は、支持面の一例であり、第1上搬送面130Aと第2上搬送面130Bとが形成されている。第1上搬送面130Aは、供給トレイ12の左端に隣接し、左向きに下り傾斜する平坦面である。アッパーシュート部材130の第1上搬送面130Aと供給トレイ12の給紙面12Aとにより、積載面150Aが構成されている。積載面150Aには、搬送部6によって搬送される読取対象の複数枚のシートSHが積載される。第2上搬送面130Bは、第1上搬送面130Aに続いて左向きに上り傾斜する略平坦面である。
【0024】
ロアシュート部材140の下面には、下案内面140A1,140A2が形成されている。下案内面140A1は、ADF部9内の左端部の近傍から読取面101Bに向かって右向きに下り傾斜する略平坦面である。下案内面140A2は、下案内面140A1に続いて右向きに上り傾斜する略平坦面である。ベース部材9Aの上面には、下案内面140A1に下から対向する下搬送面140B1と、下案内面140A2に下から対向する下搬送面140B2とが形成されている。
【0025】
搬送部6における搬送経路P1は、アッパーシュート部材130の第1上搬送面130Aと、第2上搬送面130Bと、ロアシュート部材140の下案内面140A1,140A2と、開閉カバー32の上案内面32Aと、ベース部材9Aの下搬送面140B1,140B2と、各種搬送ローラ等に囲まれた空間として規定される。より具体的には、搬送経路P1は、供給トレイ12の給紙面12Aからアッパーシュート部材130の第1上搬送面130A及び第2上搬送面130Bに沿って左向きに延びる部分である上経路P1Aを含んでいる。次に、搬送経路P1は、上経路P1Aに接続し、下向きに湾曲する部分である湾曲経路P1Bを含んでいる。次に、搬送経路P1は、湾曲経路P1Bに接続し、湾曲する部分の下端から読取面101Bに向かって下り傾斜した後、読取面101Bに沿って右方に短く延びる部分と、読取面101Bの右端からさらに右に向かって上り傾斜して排出トレイ14に至る部分とから成る下経路P1Cを含んでいる。上経路P1Aと下経路P1Cとは上下方向に重なっている。搬送部6によって搬送されるシートSHの搬送方向は、搬送経路P1の上経路P1Aでは左向きであり、搬送経路P1の湾曲経路P1Bでは、左向きから変化して右向きになり、搬送経路P1の下経路P1Cでは右向きである。なお、この搬送経路P1の延出する方向や形状は、一例である。
【0026】
<分離ローラ、分離パッド、給紙ローラ等>
図4図5、及び図6に示すように、搬送部6は、分離ユニット50と、分離パッド56Aと、分離バンク56Bと、を備えている。詳細については後述するが、分離ユニット50は、回転軸54Sを備えた分離ローラ54と、ホルダ51と、回転軸92Sを備えた給紙ローラ92と、を備えている。回転軸54Sは分離ローラの駆動軸の一例であり、回転軸92Sは給紙ローラの駆動軸の一例である。
【0027】
分離ローラ54は、給紙ローラ92よりも左方、すなわち、搬送経路P1における搬送方向の下流に位置している。そして、分離ローラ54は、アッパーシュート部材130の第2上搬送面130Bに対して上方から対向する位置に設けられている。分離ローラ54の回転軸54Sは、シートSHの搬送方向に直交する方向である前後方向に延びる回転軸心X54を軸心として延在する円柱軸体である。図6に示すように、分離ローラ54の回転軸54Sの前端及び後端は、ADF部9の前端部を形成する前カバー31Fと、ADF部9の後端を形成する後カバー31Rの内部に配置されたフレーム(図示せず)と、にそれぞれ回転可能に支持されている。分離ローラ54は、回転軸54Sの中央部に組み付けられている。
【0028】
図4に示すように、分離パッド56Aは、第2上搬送面130Bと共にシートSHの搬送面を形成している。分離パッド56Aは、分離ローラ54に下から対向する位置に設けられている。分離パッド56Aは、ゴムやエラストマー等の軟質材料からなる板状体である。分離パッド56Aは、例えば図示しない付勢バネによって、分離ローラ54に向かって押圧される。
【0029】
図5及び図6に示すように、分離バンク56Bは、搬送経路P1において給紙ローラ92と分離ローラ54との間に設けられている。分離バンク56Bは、給紙ローラ92により複数のシートSHが送られた際に、それら複数のシートSHのうち最上層の1つのシートSHを分離するための当接面56B1(後述の図15参照)を有している。
【0030】
図4図5、及び図6に示すように、ホルダ51は、分離ローラ54を上から覆いつつ、前後から挟んだ状態で収容している。詳細については後述する。ホルダ51は、分離ローラ54の回転軸心X54周りに揺動可能に回転軸54Sに支持されている。また、ホルダ51は、回転軸54Sに対して右方、すなわち、搬送方向の上流に向かって延びている。
【0031】
図4図5、及び図6に示すように、給紙ローラ92は、アッパーシュート部材130の第1上搬送面130Aに対して上から対向する位置に設けられている。そして、給紙ローラ92は、積載面150Aに積載されたシートSHに対して、上から接触可能に設けられている。給紙ローラ92は、分離ローラ54に対して右方に位置し、ホルダ51内に収容される。給紙ローラ92は、回転軸心X54と平行な回転軸心X92周りに回転可能にホルダ51に支持されている。よって、ホルダ51が、分離ローラ54の回転軸心X54周りに上方向、あるいは下方向に揺動することで、給紙ローラ92が、積載面150Aに近づく位置と離間する位置とに変位可能に構成されている。
【0032】
図6に示すように、回転軸54Sの後端には、伝達ギヤ55が設けられている。伝達ギヤ55は、後述するモータ70の駆動により、回転軸54Sを回転させる。伝達ギヤ55が回転すると、回転軸54Sが回転し、分離ローラ54及び給紙ローラ92が同期して回転する。給紙ローラ92の外周面92Aは、積載面150Aに積載されたシートSHのうち、最上位置にあるシートSHに搬送力を付与して、そのシートSHを分離ローラ54に向けて送り出す。図4図5、及び図6に示すように、分離ローラ54は、分離バンク56B及び分離パッド56Aと協働して、給紙ローラ92によって搬送されるシートSHを1枚ずつに分離し、搬送経路P1における搬送方向の下流に搬送する。
【0033】
<搬送ローラ>
図4図5、及び図6に示すように、搬送部6は、搬送経路P1の上経路P1Aにおいて、分離ローラ54よりも左方、すなわち、分離ローラ54に対して搬送方向の下流となる位置に、第1搬送ローラ44及びピンチローラ44Pを有している。第1搬送ローラ44及びピンチローラ44Pは、分離ローラ54、分離バンク56B及び分離パッド56Aによって1枚ずつに分離されたシートSHをニップし、搬送方向の下流に向かって搬送する。
【0034】
図4及び図5に示すように、搬送部6は、搬送経路P1における湾曲経路P1Bにおいて、湾曲案内面45Gと、湾曲案内面45Hと、第2搬送ローラ45と、ピンチローラ45Pと、を有している。湾曲案内面45Gと湾曲案内面45Hとは、所定の間隔を有して対向している。湾曲案内面45Gは、湾曲経路P1Bにおいて下向きに湾曲する部分を外側から規定する。湾曲案内面45Hは、湾曲経路P1Bにおいて下向きに湾曲する部分を内側から規定する。第2搬送ローラ45及びピンチローラ45Pは、湾曲経路P1Bの下端部に配置されている。第2搬送ローラ45及びピンチローラ45Pは、第1搬送ローラ44及びピンチローラ44Pによって搬送されるシートSHをニップし、読取面101Bに向けてさらに搬送する。第1搬送ローラ44及びピンチローラ44Pと読取面101Bとの間には、下案内面140A1と下搬送面140B1とが所定間隔を有して対向することにより、下経路P1Cの左部分を規定している。
【0035】
図4及び図5に示すように、搬送部6は、さらに、排紙ローラ48及びピンチローラ(図示せず)を有している。読取面101Bと排紙ローラ48及びピンチローラとの間には、下案内面140A2と下搬送面140B2とが所定間隔を有して対向することにより、下経路P1Cの右部分を規定している。
【0036】
下案内面140A2と下搬送面140B2とにより形成される経路は、押圧部材49よりも右方で、排紙ローラ48及びピンチローラに向かって上り傾斜している。排紙ローラ48は、駆動軸48aを備えており、ロアシュート部材140の下案内面140A2の右端部に位置している。ピンチローラは、下搬送面140B2の右端部に位置している。排紙ローラ48とピンチローラとは、読取面101B上を通過したシートSHをニップして、排出トレイ14の排紙面14A上に向けて排出する。
【0037】
<ストッパ>
図5及び図6に示すように、本実施形態のADF部9は、分離ローラ54と給紙ローラ92との間に位置し、シートSHの搬送方向先端に当接してシートSHの移動を規制する前・後一対のストッパ80F,80Rを備える。なお以下適宜、これら前ストッパ80F及び後ストッパ80Rを総称して単に「ストッパ80」と称する。
【0038】
ストッパ80は、図7(a)及び図7(b)に示す規制状態と、図8(a)及び図8(b)に示す規制解除状態との間で位置を切替可能に構成されている。この例では、上記規制状態では、ストッパ80は、後述のようにロックレバー100に係合されることでシートSHの搬送経路P1を画定する第1上搬送面130Aに向かって突出し、これによってシートSHの通過を規制する。このときのストッパ80の位置が第1位置の一例である。また上記規制解除状態では、ストッパ80は、後述のように上記ロックレバー100による係合が解除されフリーな状態となることで、シートSHの先端に押され上記第1位置から回動して第1上搬送面130Aより遠ざかるように上方に退避し、シートSHの下流側への移動すなわちシートSHの通過を許容する。このときのストッパ80の位置が、第1位置よりも搬送経路P1から遠い第2位置の一例である。なおストッパ80は、分離ローラ54及び給紙ローラ92を備えた上記ホルダ51とともに、開閉カバー32に支持されている。
【0039】
<ストッパ切替機構>
ストッパ80の状態は、分離ローラ54への駆動力の伝達を利用して切り替えられる。以下、その詳細を前述の図7及び図8図9図11とにより説明する。
【0040】
図9において、前述したように、分離ローラ54及び給紙ローラ92は、ホルダ51に設けられており、ホルダ51は、分離ローラ54の回転軸54Sに揺動可能に支持されている。ホルダ51にはさらに、回転軸54Sに固定された軸ギヤ154と、軸ギヤ154に噛合しつつ、開閉カバー32に設けられた固定歯32Aと噛合して移動可能な遊星ギヤ153と、給紙ローラ92の回転軸92Sに固定された軸ギヤ157に噛合する中間ギヤ156と、この中間ギヤ156に噛合する中間ギヤ155と、が設けられている。これら軸ギヤ154、遊星ギヤ153、中間ギヤ155,156、及び軸ギヤ157が、モータ70から分離ローラ54の回転軸54Sに入力される駆動力を給紙ローラ92の回転軸92Sに伝達する歯車機構15を構成する。
【0041】
前述したようにモータ70の回転に伴う駆動力が回転軸54Sに対し入力され回転軸54Sが図10(a)中のX方向に回転すると、遊星ギヤ153が搬送方向上流側へ移動して図10(b)に示すように固定歯32aと噛合する。この噛合した状態でさらに回転軸54SがX方向に回転することにより、図10(c)に示すようにホルダ51が、回転軸心X54を中心にして給紙ローラ92側が下がるように揺動する。これにより給紙ローラ92はシートSHに当接する。
【0042】
図7及び図8を用いて前述したように、開閉カバー32のうちホルダ51の近傍にストッパ80が設けられている。ストッパ80は、軸部材80cを回転中心として回転可能に開閉カバー32に支持されており、段付部80aとシート規制部80bとを有している。ホルダ51のうち給紙ローラ92の近傍にはロックレバー100が回動可能に支持されている。ロックレバー100は、図示しない適宜のバネ部材によって、図7(b)及び図8(b)中に示すS方向に付勢されている。図9図10(a)、図10(b)に示した、ホルダ51が上記のように給紙ローラ92側が下がるように揺動する前の状態では、図7(a)及び図7(b)に示すようにロックレバー100の先端部100aが段付部80aに当接し係合する。これによってストッパ80の回動が阻止されて前述の規制状態となる。
【0043】
上述したような遊星ギヤ153の移動に連動してホルダ51が回転軸54Sの回転軸心X54まわりに回動し図10(c)に示したように給紙ローラ92側が下がるように揺動すると、ロックレバー100の被当接面100bが、開閉カバー32に設けられた当接リブ132に当接する。これにより、ロックレバー100は、図8(a)及び図8(b)に示すように上記S方向と逆方向へと回動するように変位する。この結果、ロックレバー100の先端部100aと上記段付部80aとの係合が外れ、ストッパ80は回動自由な状態、すなわち前述の規制解除状態となる。なおホルダ51と、ロックレバー100と、当接リブ132とが、ストッパ切替機構の一例である。
【0044】
図10(c)に示した状態の後、さらに遊星ギヤ153が搬送方向上流側へ移動することで、図11(a)に示すように遊星ギヤ153と固定歯32aとの噛合が外れる。固定歯32aから外れた遊星ギヤ153は、図11(a)に示すように中間ギヤ155に噛合する。これにより、モータ70からの上記駆動力が、回転軸54S、遊星ギヤ153、中間ギヤ155、及び中間ギヤ156を介して軸ギヤ157に伝達され、給紙ローラ92が回転してシートSHを湾曲経路P1Bへ搬送する。
【0045】
一方、モータ70の回転に伴う駆動力が回転軸54Sに対し入力され回転軸54Sが図11(a)中のY方向に回転すると、遊星ギヤ153が前述とは逆の搬送方向下流側へ移動して中間ギヤ155との噛合が外れる。これにより、モータ70からの駆動力の給紙ローラ92への伝達は遮断される。その後遊星ギヤ153はさらに移動して図11(b)に示すように固定歯32aに噛合する。この噛合した状態でさらに回転軸54SがY方向に回転することにより、図11(c)に示すようにホルダ51が、回転軸心X54を中心にして給紙ローラ92側が上がるように揺動する。これにより給紙ローラ92はシートSHから離間する。
【0046】
上述したような遊星ギヤ153の移動に連動して給紙ローラ92側が上がるようにホルダ51が揺動すると、図8(a)及び図8(b)を用いて前述したように被当接面100bが当接リブ132に当接することで持ち上げられていたロックレバー100が、図7(a)及び図7(b)に示すように上記S方向へと回動するように変位する。この結果、ロックレバー100の先端部100aと上記段付部80aとが係合し、ストッパ80は前述の規制状態となる。
【0047】
<複合機の電気的構成>
次に、本実施形態における複合機1の電気的構成を説明する。複合機1が備える本体ユニット2には、図12に示すように、制御部110が設けられている。制御部110は、周知のCPU110A、ROM110B、RAM110C、NVRAM110D、及びインターフェース部110Eなどを備える。CPU110Aは、ROM110B、RAM110C等に記憶された制御プログラムに従って所定の処理を実行し、これにより、複合機1の各部に対する制御が実行される。
【0048】
制御部110による制御対象としては、画像形成部4、LAN通信部111、操作パネル40、イメージセンサ3S、シート搬送センサ113、モータ70、モータ114、及びシート載置センサ112などが設けられている。これらのうち、画像形成部4及びLAN通信部111は、本体ユニット2に設けられている。操作パネル40、イメージセンサ3S、及びモータ114は、FB部5に設けられている。シート載置センサ112、モータ70、及びシート搬送センサ113は、ADF部9に設けられている。
【0049】
また、制御部110は、シート載置センサ112及びLAN通信部111からの信号を監視する。LAN通信部111は、無線LANに対応した通信インターフェース装置、及び有線LANに対応した通信インターフェース装置によって構成されている。モータ114は、イメージセンサ3SをFB部5内において、左右方向に移動させるための動力源である。シート載置センサ112は、積載面150AにシートSHが載置されたことを検出するセンサである。シート搬送センサ113は、ADF部9において搬送されるシートSHの搬送方向先端や搬送方向後端が、搬送経路P1における所定の検出位置を通過したことを検出するセンサである。
【0050】
<本実施形態の特徴>
本実施形態の特徴は、ストッパ80の構造、第1上搬送面130A及び第2上搬送面130Bを構成するリブの構造、及び、シート載置センサ112の配置態様にある。以下、これらの詳細について説明する。
【0051】
図13に、ADF部の外観構成を、搬送部6におけるストッパ80の周辺構造以外の図示を省略して示す。また、図14及び図15にストッパ80の構造を拡大して示す。なお、ストッパ80F,80Rは同様の構造であるため、図14及び図15ではストッパ80F,80Rを区別せずに単に「ストッパ80」として図示している。
【0052】
図13に示すように、ADF部9は、シートSHの搬送方向先端に当接してシートSHの移動を規制する前・後一対のストッパ80F,80Rを備える。図14及び図15に示すように、ストッパ80は、シートSHの先端と当接する壁面80dを搬送方向上流側である右側に有しており、当該壁面80dに複数の突起80eを有する。複数の突起80eは、ストッパ80が図14及び図15に示すシートSHの通過を規制する位置である場合において、高さ方向に並ぶように設けられている。ストッパ80がシートSHの通過を規制する位置が第1位置の一例である。各突起80eは、下側の面が略水平方向となるように右側に突出して設けられており、前後方向から見た形状が略直角三角形となるように形成されている。なお、突起80eの数は複数に限るものではなく、例えば1つとしてもよい。
【0053】
図15に示すように、ストッパ80は、底部に位置する底面80fと、シートSHの先端と当接する壁面80dと、底面80fと壁面80dとの間をつなぐ曲面80gと、を有している。曲面80gは、例えば面取り加工によりR形状に形成された面である。壁面80dが当接面の一例である。
【0054】
前述のように、アッパーシュート部材130の上面は、第1上搬送面130Aと第2上搬送面130Bとを含む。第2上搬送面130Bは、第1傾斜面の一例であり、搬送方向の下流側に向かって登り傾斜となる支持面である。第1上搬送面130Aは、第2傾斜面の一例であり、第2上搬送面130Bよりも搬送方向の上流側に位置し、かつ、搬送方向の下流側に向かって下り傾斜となる支持面である。
【0055】
図13図14及び図15に示すように、第1上搬送面130A及び第2上搬送面130Bは、他の部位よりも上方に突出して設けられた複数のリブ部材131A~131Fの上面を含む面である。リブ部材131A~131Fが第1リブ部材の一例である。図15に示すように、リブ部材131Eの上面は、第2上搬送面130Bのうち搬送方向の位置が壁面80dと同一である所定部位131aが、ストッパ80における曲面80gの最も高い部分80hよりも高い。すなわち、リブ部材131Eは、所定部位131aの近傍が上方向に湾曲して盛り上がった形状となっている。なお、他のリブ部材131A~131D,131Fも同様の構成である。
【0056】
前述のように、給紙ローラ92と分離ローラ54との間には分離バンク56Bが設けられており、図15に示すように、分離バンク56Bは当接面56B1を有している。第1上搬送面130Aと分離バンク56Bの当接面56B1とがなす角度θ1は、第1上搬送面130Aと第2上搬送面130Bとがなす角度θ2よりも小さい。例えば、角度θ1は約135°であり、角度θ2は約160°である。また、搬送方向における第2上搬送面130Bの上流側端部130B1の位置は、搬送方向における分離バンク56Bの当接面56B1の位置よりも下流側に位置する。
【0057】
図13及び図14に示すように、リブ部材131A,131Bの間、及び、リブ部材131D,131Eの間にはそれぞれ、ストッパ80R,80Fと搬送方向に対向するように、当該ストッパ80R,80Fの上流側にリブ部材133R,133Fが設けられている。リブ部材133R,133Fが第2リブ部材の一例である。図14に示すように、当該リブ部材133Fの上面の高さ方向位置は、第1上搬送面130Aの上面、すなわちリブ部材131D,131Eのうちの第1上搬送面130Aを構成する部分、の高さ方向位置よりも低い。図示は省略するが、リブ部材133Rについても同様に、リブ部材133Rの上面の高さ方向位置は、第1上搬送面130Aの上面、すなわちリブ部材131A,131Bのうちの第1上搬送面130Aを構成する部分、の高さ方向位置よりも低い。
【0058】
図13に示すように、前述の歯車機構15は、搬送方向に直交するシートSHの幅方向において、分離バンク56Bの後側に設けられている。ストッパ80は、幅方向における分離バンク56Bの後側に位置するストッパ80Rと、幅方向における分離バンク56Bの前側に位置するストッパ80Fとを含む。ストッパ80Rが一方側ストッパの一例であり、ストッパ80Fが他方側ストッパの一例である。リブ部材131A~131Fは、幅方向における分離バンク56Bの後側に位置する3つのリブ部材131A,131B,131Cと、幅方向における分離バンク56Bの前側に位置する2つのリブ部材131D,131Eと、分離バンク56Bの幅方向における中心線CLからの距離dがリブ部材131Aと略同じであってかつリブ部材131D,131Eが設けられていない部位に設けられたリブ部材131Fと、を含む。リブ部材131A,131B,131Cが一方側リブ部材の一例であり、リブ部材131D,131Eが他方側リブ部材の一例であり、リブ部材131Fが第3リブ部材の一例である。中心線CLは、シートSHの幅方向中心位置と略一致している。リブ部材131Fの上面の形状及び高さ方向位置は、他のリブ部材131A~131Eの上面の形状及び高さ方向位置と略同一である。
【0059】
ストッパ80の上記構成により、図16(a)に示すように、ユーザにより投入されたシートSHの先端がストッパ80に当接した際に壁面80dの表面を滑って上向きに反り返った場合でも、壁面80dの突起80eに突き当たってひっかかるので、上向きの反り返りが大きくならずに抑制される。また、図16(b)に示すように、ユーザにより投入されたシートSHの先端が下向きに反り返った場合でも、ストッパ80に到達するよりも前に第2上搬送面130Bの所定部位131aの形状により持ち上げられ、ストッパ80の曲面80gに到達するときには底面80fの位置よりも高くなる。この結果、シートSHの先端がストッパ80の底面80fの下方に潜り込むことが抑制される。
【0060】
このようにして、ストッパ80及びリブ部材131A~131F,133R,133Fの構造によってシートSHの上向き及び下向きへの反り返りが抑制されることで、投入されたシートSHがストッパ80により安定的に位置決めされる。そこで本実施形態では、シートSHの位置決めが安定することを利用して、シート後端の位置の差がそれほど大きくならないサイズのシートSHを互いに区別して検出できるように、シート載置センサ112が配置されている。
【0061】
図17に、積載面150Aにおけるシート載置センサ112の配置を概念的に示す。図17に示すように、シート載置センサ112は、4つのシート載置センサ112A~112Dを含む。シート載置センサ112A~112Dはセンサの一例である。当該シート載置センサ112A~112Dは、シートSHの長手方向を搬送方向と一致させて積載面150Aに配置した状態で、かつ、ストッパ80にシートSHの先端を当接した状態で当該シートSHの有無を検知する。図17に示すように、シート載置センサ112A~112Dのうち、シート載置センサ112Dが、積載面150Aと直交する方向、すなわち上下方向からの平面視において、ストッパ80に先端が当接した状態の縦向きのB5サイズのシートSHの後端と、ストッパ80に先端が当接した状態の縦向きのLETTERサイズのシートSHの後端との間の位置に設けられている。これにより、シート後端の位置の差がそれほど大きくならない、B5サイズのシート及びLETTERサイズのシートを互いに区別して検出することができる。
【0062】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の複合機1では、第1上搬送面130A及び第2上搬送面130Bにおいて支持されるシートSHの搬送方向への通過を規制するストッパ80が、第1位置又は第2位置に変位可能に設けられている。第1位置では、ストッパ80は、第1上搬送面130Aに支持されたシートSHの先端と当接し、シートSHの搬送方向への通過を規制する。第1位置よりも搬送経路から遠い第2位置では、ストッパ80はシートSHの搬送方向への通過を許容する。第1位置でシートSHの先端と当接する際、ストッパ80には、シート先端と当接する壁面80dにおいて少なくとも1つの突起80eが設けられている。これにより、ユーザにより投入されたシートSHの先端がストッパ80に当接する際に上記壁面80dの突起80eに突き当たってひっかかるので、シート先端が壁面80dの表面を滑って上向き又は下向きに反り返るのが抑制される。これにより、ユーザにとっての使いやすさを向上することができる。
【0063】
また、本実施形態では特に、ストッパ80が第1位置にあるときには、壁面80dに複数の突起80eが高さ方向に並ぶ。これにより、一度に投入されるシートSHが例えば1枚~数十枚の間で変動したとしても、それらシートSHの束の厚さに応じて複数の突起80eのいずれかに突き当たってひっかかることで、上記反り返りを抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態では特に、平面視においてB5サイズのシートSHの後端とLETTERサイズのシートSHの後端との間の位置に、シートSHの有無を検知するシート載置センサ112Dが設けられる。また本実施形態においては、上述のようにして反り返りが抑制されることで、投入されたシートSHがストッパ80により安定的に位置決めされる。これにより、B5サイズのシートSHが投入されたときにはシート載置センサ112Dの検知結果が高い精度で「シートなし」となり、LETTEサイズのシートが投入されたときにはシート載置センサ112Dの検知結果が高い精度で「シート有り」となる。この結果、シート長手方向を搬送方向に一致させて投入したときにシート後端の位置の差がそれほど大きくならない、B5サイズのシート及びLETTERサイズのシートを互いに区別して検出することができる。
【0065】
また、本実施形態では特に、ストッパ80は、第1位置において下方に位置する、底面80fと壁面80dとをつなぐ曲面80gを備えている。ストッパ80が第1位置でシートSHの先端と当接する際、第2上搬送面130Bのうち搬送方向の位置が壁面80dと同一である所定部位131aが、曲面80gの最も高い部分よりも、高い。これにより、シートSHが投入されたとき、その先端は、ストッパ80に到達するよりも前に第2上搬送面130Bの上記所定部位131aにより持ち上げられ、搬送方向の位置が壁面80dと同一の位置に到達するときには底面80fの位置よりも高くなる。この結果、シートSHの先端がストッパ80の底面80fの下方に潜り込むようにして下方に反り返るのが抑制される。この結果、ユーザにとっての使いやすさを向上することができる。
【0066】
また、本実施形態では特に、第1上搬送面130Aと分離バンク56Bの当接面56B1とがなす角度θ1が、第1上搬送面130Aと第2上搬送面130Bとがなす角度θ2よりも小さい。言い換えれば、第2上搬送面130Bのほうが、分離バンク56Bの当接面56B1よりも水平に近く横向きになった状態となる。これにより、シートSHが投入されたときに、シート先端が分離バンク56Bの当接面56B1より先に第2上搬送面130Bに当接し第2上搬送面130Bとの摩擦により搬送異常が誘発される可能性を低減することができる。
【0067】
また、本実施形態では特に、第2上搬送面130Bの上流側端部130B1の位置が、分離バンク56Bの当接面56B1よりも搬送方向における下流側に位置する。これにより、シートSHが投入されたときに、シート先端が分離バンク56Bの当接面56B1より先に第2上搬送面130Bに当接し第2上搬送面130Bとの摩擦により搬送異常が誘発される可能性を低減することができる。
【0068】
また、本実施形態では特に、第2上搬送面130Bの少なくとも一部が、他の部位より上方に突出したリブ部材131A~131Fの上面によって構成される。これにより、第2上搬送面130Bは、シートSHとの接触面積をなるべく小さくして摩擦を抑制しつつシートSHの先端を持ち上げることができる。
【0069】
また、本実施形態では特に、リブ部材131A~131Fとは別のリブ部材133R,133Fが、ストッパ80の上流側においてストッパ80に対し搬送方向に対向するように設けられている。これにより、投入されたシートSHの先端を円滑にストッパ80へ導くとともに、リブ部材131A~131Fによる下方反り返し抑制機能を補助することもできる。またこのとき、リブ部材133R,133Fの上面の高さ方向位置が第1上搬送面130Aの上面よりも低いことにより、シートSHが投入されたときに第1上搬送面130Aよりも先にリブ部材133R,133Fに当接しリブ部材133R,133Fとの摩擦により搬送異常が誘発される可能性を低減することができる。
【0070】
また、本実施形態では特に、ストッパ80は、モータ70から分離ローラ54の回転軸54Sに入力される駆動力に基づきストッパ切替機構によって上記第1位置又は上記第2位置へと切り替えられる。また、モータ70から分離ローラ54の回転軸54Sに入力される上記駆動力を給紙ローラ92の回転軸92Sに伝達する歯車機構15が備えられており、その歯車機構15は分離バンク56Bに対してシート幅方向の後側に設けられている。
【0071】
このように、ストッパ80の駆動源となるモータ駆動力が歯車機構15によって給紙ローラ側へも伝達される構成の結果、分離バンク56Bのシート幅方向一方側及び他方側に配置される2つのストッパ80R,80Fの間の上記幅方向中心線が、分離バンク56Bの幅方向中心線CLに対し偏心する場合がある。この場合、それらストッパ80R,80Fそれぞれにおける反り返り抑制のために、対応する上記幅方向位置に設けられるリブ部材131A,131B及びリブ部材131D,131Eの間の幅方向中心線も、分離バンク56Bの幅方向中心線CLに対し偏心することとなる。すなわち搬送されるシートSHの幅方向中心位置に略等しい分離バンク56Bの幅方向中心線CLから見て、リブ部材131A,131Bまでの距離とリブ部材131D,131Eまでの距離が異なることとなる。この結果、そのままでは、投入されたシートSHが搬送されるとき、当該シートSHの幅方向中心位置から見てシートSHの上記一方側の領域に対し作用する摩擦力とシートSHの上記他方側の領域に対し作用する摩擦力とが不均衡となり、斜行を招くおそれがある。
【0072】
そこで本実施形態においては、分離バンク56Bの上記幅方向中心線CLからの距離dがリブ部材131Aと略同じである部位であってかつリブ部材131D,131Eが設けられていない部位に対し、摩擦力付与のためのリブ部材131Fを設ける。そしてこのリブ部材131Fの上面の形状及び高さ方向位置を、他の上記リブ部材131A~131Eの上面と略同一とする。これにより、シートSHが搬送されるとき、当該シートSHの幅方向中心位置から見てシートSHの上記一方側領域と他方側領域とでリブの数及び形状等を略均一にして作用する摩擦力を均衡させることができるので、斜行の発生を抑制することができる。
【0073】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。これらの変形例も技術的範囲に含まれる。
【0074】
すなわち、以上においては、ストッパ80は回動することによりシートSHの搬送経路P1に対し出没する構成としたが、これに限られない。すなわち、例えばソレノイドや電磁クラッチ等を用いてストッパを上下動させることにより搬送経路P1に対し出没する構成としてもよい。その場合、搬送経路P1側に位置する上記第1位置へストッパを上方移動又は下方移動させることで前述の規制状態を実現し、当該第1位置よりも搬送経路P1から遠い上記第2位置へストッパを下方移動又は上下方移動させることで前述の規制解除状態を実現する、ストッパ切替機構が設けられる。
【0075】
また、以上においては、回動可能なロックレバー100が設けられる場合を例にとって説明したが、ロックレバーの構成はこれに限られず、ホルダ51の回動に連動してストッパ80を前述の規制状態又は開放状態に切り替え可能なものであれば足りる。すなわち例えば、レバーのように回動せず直線的に移動してストッパ80に対し当接したり係合したりするバーや板のようなものを、ロックレバーとしても用いてもよい。
【0076】
また、以上においては、ホルダ51の揺動についてもモータ70からの駆動力を利用して実現したが、これに限られない。すなわち、モータ70とは別の駆動源からの駆動力を用いてホルダ51を揺動させてもよい。
【0077】
また、以上においては、ユーザにより原稿がADF部9に差し込まれたときのADF部9内の原稿給紙機構に対し本発明が適用された場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、本体ユニット2に別途設けられる手差し給紙口からユーザにより記録紙が差し込まれるときの手差し給紙機構に対し本発明を適用してもよい。この場合も、上記同様の効果を得る。
【0078】
さらに、以上は、画像処理装置の一例として複合機1を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、画像処理装置の他の一例として、上述した画像形成部4に相当する部分を有さず読取ユニット3に相当する部分のみを有する読み取り装置に対し本発明を適用してもよい。この場合も、上記同様の効果を得る。
【0079】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0080】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0081】
1 複合機(画像処理装置の一例)
15 歯車機構
51 ホルダ(ストッパ切替機構の一例)
54 分離ローラ
54S 回転軸(駆動軸の一例)
56B 分離バンク
56B1 当接面
70 モータ
80 ストッパ
80F ストッパ(他方側ストッパの一例)
80R ストッパ(一方側ストッパの一例)
80d 壁面(当接面の一例)
80e 突起
80f 底面
80g 曲面
80h 最も高い部分
92 給紙ローラ
92S 回転軸(駆動軸の一例)
100 ロックレバー(ストッパ切替機構の一例)
112D シート載置センサ(センサの一例)
130A 第1上搬送面(支持面、第2傾斜面の一例)
130B 第2上搬送面(支持面、第1傾斜面の一例)
130B1 上流側端部
131a 所定部位
131A リブ部材(第1リブ部材、一方側リブ部材の一例)
131B リブ部材(第1リブ部材、一方側リブ部材の一例)
131C リブ部材(第1リブ部材、一方側リブ部材の一例)
131D リブ部材(第1リブ部材、他方側リブ部材の一例)
131E リブ部材(第1リブ部材、他方側リブ部材の一例)
131F リブ部材(第1リブ部材、第3リブ部材の一例)
133F リブ部材(第2リブ部材の一例)
133R リブ部材(第2リブ部材の一例)
132 当接リブ(ストッパ切替機構の一例)
CL 中心線
SH シート
P1 搬送経路
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