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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074976
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】転圧ロードローラ
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/23 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
E01C19/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185467
(22)【出願日】2020-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000181354
【氏名又は名称】鹿島道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】池内 正毅
(72)【発明者】
【氏名】山崎 泰生
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 泰
(72)【発明者】
【氏名】野田 哲也
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052AA03
2D052AB01
2D052AC01
2D052AC09
2D052BB01
(57)【要約】
【課題】小さなスペースで、また簡単に必要な向きの切り換えを行うことができるようにして、作業時間の短縮と表層の仕上がりを向上させることができる構造にした転圧ロードローラを提供する。
【解決手段】アスファルト合材等が敷き均された路面200上を締め固める転圧ロードローラ10であって、路面200上を走行する転圧ロードローラ本体11と、転圧ロードローラ本体11を路面200と略平行に旋回可能に持ち上げる車体昇降装置12と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト合材等が敷き均された路面上を締め固める転圧ロードローラであって、
前記路面上を走行する転圧ロードローラ本体と、
前記転圧ロードローラ本体を前記路面と略平行に旋回可能に前記路面上より持ち上げる車体昇降装置と、
を備える、ことを特徴とする転圧ロードローラ。
【請求項2】
前記車体昇降装置は、
前記路面上に着地される着地プレートと、
前記着地プレートの略中心上に、前記着地プレートに対して旋回可能に取り付けられたターンテーブルと、
上端側が前記転圧ロードローラ本体に取り付けられるとともに、下端側が前記ターンテーブルに取り付けられた、伸縮自在な油圧式の伸縮手段と、
を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の転圧ロードローラ。
【請求項3】
前記伸縮手段は、
前記転圧ロードローラ本体と共に旋回可能に取り付けられた油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータの油圧操作により前記油圧アクチュエータから前記路面上に向かって進退出可能であるとともに、下端側に前記ターンテーブルが一体移動可能に取り付けられているロッドと、を有する油圧装置、を備えることを特徴とする請求項2に記載の転圧ロードローラ。
【請求項4】
前記油圧装置は、前記ターンテーブルの回転中心軸線を挟んで各々左右両側に配置されている、ことを特徴とする請求項3に記載の転圧ロードローラ。
【請求項5】
前記油圧アクチュエータを操作する油圧は、前記転圧ロードローラ本体を操作する油圧を兼用する、ことを特徴とする請求項3に記載の転圧ロードローラ。
【請求項6】
前記転圧ロードローラ本体は、前側転圧ローラ輪が回転可能に設けられた前側転圧ロードローラ本体部と、後側転圧ローラ輪が回転可能に設けられ、連結部を介して前記前側転圧ロードローラ本体部に連結された後側転圧ロードローラ本体部と、で構成されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の転圧ロードローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装面の締め固めに用いられる転圧ロードローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、路面等の舗装作業を行うときには、整地した路面上に砂利、アスファルト合材等の舗装材を敷き均し、その後、路面の平面度を均等にするのに、転圧ロードローラを走行させて舗装材を締め固める方法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、橋桁の端部の連結には、気温の変化等による橋桁の伸縮や車両の通行にともなう橋桁の変形等を吸収する手段として、例えば図6に示すように道路橋用伸縮装置(以下、単に「伸縮装置」という)100を用いる構造が知られている。伸縮装置100が設置される橋桁の端部の遊間としては、橋軸方向に配置された橋桁同士の遊間、橋桁と橋台との間の遊間があり、例えば、鋼製の伸縮装置100では、遊間の表面に、互いに噛合する櫛歯状の表面板101a、101bをそれぞれ有する一対の継手を備えている。この伸縮装置100が設置される箇所では、転圧ロードローラの運転を適切に操作し、処理しないと仕上がり(平坦性)に大きく影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-3366117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この種の従来による転圧ロードローラによる踏み固めの処理課題を、図7及び図8を用いて説明する。
【0006】
図7は、伸縮装置100が設置されている橋桁の端部に向かって、すなわち図6中に矢印Xで示す舗装施工方向に転圧ロードローラ110が移動されて来たときの状態を示している。橋桁の端部に設置された伸縮装置100の周辺を転圧する場合、転圧ロードローラ110は、アスファルト合材を押しながら転圧作業を行うので、伸縮装置100を通過する際にアスファルト合材の一部120が伸縮装置100の手前で逃げ場がなくなり、盛り上がることになり、表層の仕上がり(平坦性)に悪い影響を及ぼす。
【0007】
そこで、伸縮装置100を設けた最端部では、転圧ロードローラ110の向きを、図6中に矢印Yで示す道路の横断方向に略90度変え、図8に示すように伸縮装置100の端部に転圧ロードローラ110が乗る状態で、転圧ロードローラ110を走行させると、図7で示したアスファルト合材の一部120の盛り上がりを解消して、表層の仕上がり(平坦性)を向上させることができる。
【0008】
しかしながら、伸縮装置100を設けた最端部では、転圧ロードローラ110の向きを、道路方向に対して略90度変え、横断方向に走行させることが有効であることは判ってはいるが、それには転圧ロードローラ110の向きを変える旋回範囲を確保する必要がある。しかし、工事規制の中で、転圧ロードローラ110の向きを変えるには、転圧ロードローラ110のステアリング操作の切り返しを何度も行う必要があり、切り返し操作に困難を伴う。また、何度もステアリング操作を行うことは、舗装面を傷めることにもなりかねないという問題点があった。
【0009】
そこで、小さなスペースで、また簡単に必要な向きの切り換えを行うことができるようにして、作業時間の短縮と表層の仕上がり(平坦性)を向上させることができる構造にした転圧ロードローラを提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、アスファルト合材等が敷き均された路面上を締め固める転圧ロードローラであって、前記路面上を走行する転圧ロードローラ本体と、前記転圧ロードローラ本体を前記路面と略平行に旋回可能にした前記路面上より持ち上げる車体昇降装置とを備える、転圧ロードローラを提供する。
【0011】
この構成によれば、例えば、転圧ロードローラ本体の向きを変える必要があるとき、車体昇降装置の力で、転圧ロードローラ本体を路面から僅かに持ち上げると、転圧ロードローラ本体と路面の間に隙間が出来て摩擦力が取り除かれる。そして、この状態で、転圧ロードローラ本体を路面に対して略平行に、例えば人力により旋回させると、転圧ロードローラ本体の向きを簡単に変えることができる。したがって、道路の走行方向に沿って移動して来た転圧ロードローラ本体を、例えば伸縮装置等に沿うように略90度旋回させると、伸縮装置等に沿う、すなわち道路を横断する方向に向きを簡単に変えることができ、その後は、転圧ロードローラ本体を路面上に降ろして、伸縮装置等に沿って走行させることができる。これにより、転圧ロードローラの向きを、小さなスペース内で、水平旋回させて簡単に変えることができる。また、旋回させて向きを変えた後は、車体昇降装置の制御で路面上に降ろし、続けて踏み固め処理を行うことができるので、表層の仕上がり(平坦性)を向上させることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記車体昇降装置は、前記路面上に着地される着地プレートと、前記着地プレートの略中心上に、前記着地プレートに対して旋回可能に取り付けられたターンテーブルと、上端側が前記転圧ロードローラ本体に取り付けられるとともに、下端側が前記ターンテーブルに取り付けられた、伸縮自在な油圧式の伸縮手段と、を備える、転圧ロードローラを提供する。
【0013】
この構成によれば、転圧ロードローラ本体の向きを変える必要があるとき、油圧式の伸縮手段の伸長操作により着地プレートを路面表面に着地させ、更に転圧ロードローラ本体を着地面から僅かに持ち上げた後、着地プレート上でターンテーブルを転圧ロードローラ本体と共に回転させると、転圧ロードローラ本体の向きを必要な方向に簡単に変えることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成において、前記伸縮手段は、前記転圧ロードローラ本体と共に旋回可能に取り付けられた油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータの油圧操作により前記油圧アクチュエータから前記路面上に向かって進退出可能であるとともに、下端側に前記ターンテーブルが一体移動可能に取り付けられているロッドと、を有する油圧装置、を備える転圧ロードローラを提供する。
【0015】
この構成によれば、転圧ロードローラ本体側の油圧操作により、油圧アクチュエータからロッドを伸ばし、ロッドの下端側に取り付けたターンテーブルを介して着地プレートを路面上に押し付け、路面から転圧ロードローラ本体を僅かに持ち上げて、転圧ロードローラ本体を水平旋回させることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成において、前記油圧装置は、前記ターンテーブルの回転中心軸線を挟んで各々左右両側に配置されている、転圧ロードローラを提供する。
【0017】
この構成によれば、転圧ロードローラ本体を路面から持ち上げて向きを変えるとき、ターンテーブルの回転中心軸線を挟んで各々左右両側に配置された1対の油圧装置により、転圧ロードローラ本体を左右両側から水平に持ち上げて旋回させるので、転圧ロードローラ本体の旋回操作を安定した状態で行うことができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の構成において、前記油圧アクチュエータを操作する油圧は、前記転圧ロードローラ本体を操作する油圧を兼用する、転圧ロードローラを提供する。
【0019】
この構成によれば、油圧アクチュエータを操作する油圧と転圧ロードローラ本体を操作する油圧を兼用するので、油圧アクチュエータ側の油圧機器を別途用意しなくても済み、低コストで実現することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の構成において、前記転圧ロードローラ本体は、前側転圧ローラ輪が回転可能に設けられた前側転圧ロードローラ本体部と、後側転圧ローラ輪が回転可能に設けられ、連結部を介して前記前側転圧ロードローラ本体部に連結された後側転圧ロードローラ本体部と、で構成されている、転圧ロードローラを提供する。
【0021】
この構成によれば、転圧ロードローラ本体を、前側転圧ローラ輪が回転可能に設けられた前側転圧ロードローラ本体部と、後側転圧ローラ輪が回転可能に設けられ、連結部を介して前記前側転圧ロードローラ本体部に連結された後側転圧ロードローラ本体部と、の二つに分割させて、いわゆるアーキュレート式を構成している。したがって、連結部がねじれ方向の動き(ローリング)等に対応することができるので、各転圧ローラ輪は常に路面上に押し付けた状態で走行させて、仕上がりを向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
発明によれば、道路の走行方向に沿って移動して来た転圧ロードローラ本体を、例えば伸縮装置等に沿うように略90度旋回させると、道路を横断する方向に向きを変えて、その後は伸縮装置等に沿って走行させることができるので、転圧ロードローラの向きを、小さなスペース内で、水平旋回させて簡単に変えることができる。また、旋回時には転圧ロードローラを路面上から車体昇降装置の力でスムーズに持ち上げて旋回させて向きを変えた後、再び路面上に降ろして、続けて踏み固め処理を行うことができるので、表層の仕上がり(平坦性)を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態に係る実施例として示す転圧ロードローラの平面図である。
図2】走行可能な状態で示す同上転圧ロードローラの側面図である。
図3】同上転圧ロードローラに搭載された車体昇降装置を示す図であり、(a)は同上転圧ロードローラが走行可能な状態で示す車体昇降装置の正面図、(b)は(a)の状態における車体昇降装置の側面図、(c)は同上転圧ロードローラを路面より持ち上げ、かつ、水平旋回可能な状態で示す車体昇降装置の正面図、(b)は(a)の状態における車体昇降装置の側面図である。
図4】同上転圧ロードローラの動作を説明するための図であり、(a)は走行可能状態で示す同上転圧ロードローラの側面図、(b)は(a)の状態における同上転圧ロードローラの正面図、(c)は水平旋回可能状態で示す同上転圧ロードローラの側面図、(d)は(c)の状態における同上転圧ロードローラの正面図である。
図5】同上転圧ロードローラの向きを略90度変える時の動作を説明する図であり、(a)は同上転圧ロードローラが道路走行方向を向いているときの図、(b)は同上転圧ロードローラが時計回り方向に略90度旋回されて、道路を横断する状態に配置し終えたときの図である。
図6】伸縮装置が設置されている橋桁を含む道路の一例を模式的に示す平面図である。
図7】従来の転圧ロードローラを使用して踏み固め処理を行うときの問題点を説明する模式図である。
図8】従来の転圧ロードローラを使用して伸縮装置端部の踏み固め処理を行うときの問題点を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、小さなスペースで、また簡単に必要な向きの切り換えを行うことができるようにして、作業時間の短縮と表層の仕上がり(平坦性)を向上させることができる構造にした転圧ロードローラを提供するという目的を達成するために、アスファルト合材等が敷き均された路面上を締め固める転圧ロードローラであって、前記路面上を走行する転圧ロードローラ本体と、前記転圧ロードローラ本体を前記路面と略平行に旋回可能にした前記路面上より持ち上げる車体昇降装置を備える構成にしたことにより実現した。
【実施例0025】
以下、本発明の実施形態に係る一実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0026】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0027】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0028】
また、以下の説明において、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、本発明の転圧ロードローラの各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。また、実施例の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付している。
【0029】
図1及び図2は本発明に係る転圧ロードローラ10を示すもので、図1は走行可能な状態を示すその平面図、図2はその側面図である。以下の説明において、図2の左右方向左側を装置の前後方向の前方、右側を後方とし、また上下方向を上下、紙面に垂直な方向を左右として説明する。
【0030】
図1及び図2において、転圧ロードローラ10は、道路舗装現場などにおいて、振動を加えながら前進及び後進を繰り返して、舗装面を締め固める作業用機械である。
【0031】
転圧ロードローラ10は、転圧ロードローラ本体11と、転圧ロードローラ本体11の全体を路面表面から僅かに持ち上げ、その転圧ロードローラ本体11を舗装面に対して時計回り方向及び反時計回り方向に、水平旋回させるのを可能にする車体昇降装置12と、を備えている。
【0032】
転圧ロードローラ本体11は、前側転圧ローラ輪13Aを有する前側転圧ロードローラ本体部11Aと、後側転圧ローラ輪13Bを有する後側転圧ロードローラ本体部11Bと、を備えている。また、後側転圧ロードローラ本体部11Bには、オペレータが着座可能な運転席14が設けられている。
【0033】
なお、前側転圧ロードローラ本体部11Aの後部に設けられた連結片部11aと後側転圧ロードローラ本体部11Bの前部に設けられた連結片部11bは、センターピン15を介して互いに水平旋回可能に連結されており、そのセンターピン15と連結部10aと連結部10bとで連結部16を形成している。そして、前側転圧ロードローラ本体部11Aと後側転圧ロードローラ本体部11Bは、センターピン15を軸(連結部)として、ねじれ方向の動き(ローリング)、及び、所定の角度範囲内で時計回り方向及び反時計回り方向に、路面の表面に略平行な操向回転をする、いわゆる中折れ式(アーティキュレート式)になっている。また、センターピン15で連結される位置は、転圧ロードローラ本体11の略重心Gの位置である。
【0034】
車体昇降装置12は、図1及び図2に加えて、図3に車体昇降装置12の単体として示している。そこで図1及び図2図3を加えて説明すると、図3の(a)は転圧ロードローラ10が走行可能な状態で示す車体昇降装置12の正面図、図3の(b)は図3の(a)の状態における車体昇降装置12の側面図、図3の(c)は転圧ロードローラ10を路面200より持ち上げ、かつ、水平旋回可能な状態で示す車体昇降装置12の正面図、図3の(b)は図3の(a)の状態における車体昇降装置12の側面図である。
【0035】
図1から図3において、車体昇降装置12は、路面200上に着地される着地プレート20と、着地プレート20の略中心上に、着地プレート20に対して平行な水平旋回が可能に取り付けられたターンテーブル30と、転圧ロードローラ本体11の重心Gをターンテーブル30の回転中心軸線O1上に配置させて、下端側をターンテーブル30に取り付け、かつ、上端側を転圧ロードローラ本体11に取り付けてなる、伸縮自在な油圧式の伸縮手段40と、を備えている。
【0036】
着地プレート20は、水平円板状のプレートであり、中央には上面より上方に突出された短円筒状をした支軸部21が設けられている。支軸部21の外周上部には、緊締用ナット22を取り付けるネジ(図示せず)が刻設されている。
【0037】
ターンテーブル30は、中央に着地プレート20の支軸部21を挿通配置させる貫通孔(図示せず)を有したプレートである。また、ターンテーブル30の左右両側には、それぞれ着地プレート20よりも外側に突出された伸縮手段取付部31が設けられている。そして、ターンテーブル30は、中央の貫通孔に着地プレート20の支軸部21を回転可能に嵌合挿入させて、貫通孔の中心を回転中心軸線O1と略一致させた状態で着地プレート20上に積み重ね配置される。さらに、ターンテーブル30の上面側から突出されている支軸部21の外周上部に、その外周上部に刻設されているネジに緊締用ナット22を螺合させて固定し、着地プレート20と一体化されている。なお、ターンテーブル30は、着地プレート20上に積み重ねられるとき、着地プレート20との間に図示しない滑動部材が介装されている。これにより、ターンテーブル30は、その滑動部材の介装により、着地プレート20に対して滑らかな水平旋回ができる状態で組み合わせ配置されている。
【0038】
伸縮手段40は、ターンテーブル30の伸縮手段取付部31にそれぞれ対応して配設された左右1対の油圧装置41と、左右1対の油圧装置41を支持している連結板43とを有している。
【0039】
連結板43は、前側転圧ロードローラ本体部11Aの後部に、左右1対のブラケット44を介して、後部と略平行な縦置き状態で固定して取り付けられたプレートである。連結板43の左右両側の端部には、左右1対の油圧装置41が回転中心軸線O1を挟んで左右両側に固定配置された状態で取り付けされている。
【0040】
左右1対の油圧装置41は、油圧アクチュエータ41Aと、転圧ロードローラ本体11側からの油圧操作により油圧アクチュエータ41Aから路面200上に向かって進退出可能、すなわち伸縮自在なロッド41Bと、を各々有する。また、油圧アクチュエータ41Aは連結板43に固定され、ロッド41Bの下端側は、ターンテーブル30の伸縮手段取付部31に固定して取り付けられている。
【0041】
油圧アクチュエータ41Aの油圧操作は、転圧ロードローラ本体11内に設けられた図示しない油圧回路系の油圧を使用して、オペレータが図示しない油圧回路操作盤上のレバーを操作することにより可能である。そして、オペレータが車体昇降装置格納操作を選択している時は、ロッド41Bは、図2及び図3の(a)、(b)に示すように、着地プレート20とターンテーブル30を伴って、上方に引き寄せられた位置、すなわちロッド41Bのほとんどが油圧アクチュエータ41A内に格納された状態におかれる。反対に、オペレータが車体昇降装置張り出し操作を選択している時は、ロッド41Bは、図3の(c)、(d)に示すように、着地プレート20とターンテーブル30を伴って、油圧アクチュエータ41A内から突き出されて、着地プレート20を路面200に押し付け、転圧ロードローラ10を路面200から持ち上げることができるようになっている。なお、転圧ロードローラ本体11を路面200から持ち上げる量は、前側転圧ローラ輪13Aと後側転圧ローラ輪13Bが路面200の表面から僅かに離れて、水平旋回時に路面200との間に摩擦力が生じない量であれば構わない。また、ここでの水平旋回とは、路面200が略水平のときの場合であり、路面200が傾斜しているときは路面200と略平行に旋回することも含む。以下、同じである。
【0042】
図4は、車体昇降装置12を備えた転圧ロードローラ本体11を路面200より持ち上げる動作を説明する図で、図5は、路面200から持ち上げた転圧ロードローラ本体11を水平旋回させて、転圧ロードローラ本体11の向きを略90度変える動作を説明する図である。そこで、図1から図3図5及び図6を加えて、転圧ロードローラ本体11を路面200から持ち上げ、更に水平旋回させて略90度変える動作を次に説明する。
【0043】
まず、転圧ロードローラ10は、通常の締固め作業をしている時、油圧アクチュエータ41Aの油圧操作は、オペレータにより車体昇降装置格納操作が選択されて、ロッド41Bは、図2図3の(a)、(b)、及び、図4の(a)、(b)に示すように、着地プレート20とターンテーブル30を伴って、油圧アクチュエータ41A内に格納され、着地プレート20とターンテーブル30が上方に引き寄せられた位置に移動した状態におかれる。したがって、この状態では、着地プレート20及びターンテーブル30は路面200から離れ、転圧ロードローラ10の転圧作業に支障を来すことがない。そして、この状態では、転圧ロードローラ10は、例えば舗装道路に沿って走行されて転圧作業などを行うこができる。
【0044】
そして、舗装道路の大方の転圧作業が終わり、例えば道路橋用伸縮装置等に近づき、次に転圧ロードローラ10の向きを略90度変えたいような場合、オペレータは転圧ロードローラ10から降り、油圧アクチュエータ41Aの油圧操作作業の中の、体昇降装置張り出し操作を選択する。車体昇降装置張り出し操作が選択されると、図3の(c)、(d)及び図4の(c)、(d)に示すように、着地プレート20とターンテーブル30を伴って、1対の油圧アクチュエータ41A内からロッド41Bがそれぞれ突き出され、着地プレート20を路面200に各々押し付け、車体昇降装置12が、前側転圧ロードローラ本体部11Aと後側転圧ロードローラ本体部11Bとを同時に路面200から持ち上げる。
【0045】
前側転圧ロードローラ本体部11Aと後側転圧ロードローラ本体部11Bが路面200から持ち上げられると、路面200と前側転圧ローラ輪13A、及び、路面200と後側転圧ローラ輪13Bとの間の摩擦力が各々無くなる。そして、オペレータが、図5の(a)の位置において、支軸部21(回転中心軸線O1)を支点にして前側転圧ロードローラ本体部11Aと後側転圧ロードローラ本体部11Bを共に図5の(b)に示す矢印方向に押すと、転圧ロードローラ10の全体が時計回り方向に水平旋回をする。これにより、転圧ロードローラ10は、例えば道路橋用伸縮装置と平行な向きに切り換えられる。
【0046】
また、転圧ロードローラ10の向きが略90度変えたら、オペレータは、油圧アクチュエータ41Aの油圧操作を車体昇降装置格納操作に切り換える。すると、ロッド41Bは、図2図3の(a)、(b)、及び、図4の(a)、(b)に示すように、着地プレート20とターンテーブル30を伴って、油圧アクチュエータ41A内に格納されて、転圧ロードローラ本体11の前側転圧ローラ輪13Aと後側転圧ローラ輪13Bとが路面200上に接して、転圧ロードローラ10が道路を横断する方向に締固め走行しながら転圧作業をすることができる。
【0047】
また、転圧ロードローラ本体11の向きを、再び元の状態に90度切り換える場合は、前と逆の手順を経ること等により切り換えることができる。なお、本実施例で説明した切り換える手順はあくまでも一例であって、転圧ロードローラ本体11の向きを変える角度などによって、これ以外の換え操作を採用することができることはいうまでもないことである。すなわち、転圧ロードローラ10の向きの切り換えも、略90度に限ることなく、任意の角度が可能である。
【0048】
したがって、本実施例の構成による転圧ロードローラ10によれば、転圧ロードローラ本体11の向きを変える必要があるとき、車体昇降装置12の力で、転圧ロードローラ本体11を路面200から持ち上げ、転圧ロードローラ本体11と路面200との間の摩擦力を取り除いた状態で、転圧ロードローラ本体11を水平旋回させると、転圧ロードローラ本体11の向きを簡単に変えることができる。これにより、道路の走行方向に沿って移動して来た転圧ロードローラ本体11を、例えば伸縮装置等に沿うように略90度旋回させて、伸縮装置等に沿う、すなわち道路を横断する方向に向きを変え、その後は伸縮装置等に沿って走行させることができるので、転圧ロードローラ10の向きを、小さなスペース内で、水平旋回させて簡単に変えることができる。また、向きの切り換え後は、車体昇降装置12の操作で転圧ロードローラ10を路面200上に降ろし、続けて踏み固め処理を行うことができるので、作業時間の短縮と、路面200における表層の仕上がりを向上させることができる。
【0049】
なお、本実施例では、前側転圧ロードローラ本体部11Aと後側転圧ロードローラ本体部11Bの間が中折れするアーティキュレート式の転圧ロードローラ10を一例として説明したが、本発明はアーティキュレート式の転圧ロードローラに限定されるものではなく、例えば前側転圧ロードローラ本体部と後側転圧ロードローラ本体部の間が中折れしないリジットフレーム式の転圧ロードローラにも適用できるものである。
【0050】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を成すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0051】
10 :転圧ロードローラ
10a :連結部
10b :連結部
11 :転圧ロードローラ本体
11A :前側転圧ロードローラ本体部
11B :後側転圧ロードローラ本体部
11a :連結片部
11b :連結片部
12 :車体昇降装置
13A :前側転圧ローラ輪
13B :後側転圧ローラ輪
14 :運転席
15 :センターピン
16 :連結部
20 :着地プレート
21 :支軸部
22 :緊締用ナット
30 :ターンテーブル
31 :伸縮手段取付部
40 :伸縮手段
41 :油圧装置
41A :油圧アクチュエータ
41B :ロッド
43 :連結板
44 :ブラケット
200 :路面
G :重心
O1 :回転中心軸線
図1
図2
図3
図4
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図7
図8