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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007499
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】食肉盛付ユニット
(51)【国際特許分類】
   B65B 5/06 20060101AFI20220105BHJP
   B65B 57/10 20060101ALI20220105BHJP
   A22C 17/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B65B5/06
B65B57/10 C
A22C17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110514
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】591076028
【氏名又は名称】株式会社なんつね
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】谷口 守紀
(72)【発明者】
【氏名】土門 晋
(72)【発明者】
【氏名】山田 賢人
(72)【発明者】
【氏名】秋田 和樹
【テーマコード(参考)】
3E003
4B011
【Fターム(参考)】
3E003AA01
3E003AB04
3E003BA03
3E003BB02
3E003BB04
3E003BC05
3E003BD04
3E003CA02
3E003CB02
3E003CB06
3E003DA01
3E003DA05
3E003DA07
4B011EA02
4B011EA05
(57)【要約】
【課題】 搬送コンベヤ上の肉群を把持して盛り付けるものであって、特に変速搬送がなされても対応できる食肉盛付ユニットを提供する。
【解決手段】 食肉切断装置と変速搬送する搬送コンベヤとからなる食肉切断搬送ユニットに接続する食肉盛付ユニットで、前記搬送コンベヤ上の前記肉群を把持して移動させる把持機構と、前記搬送コンベヤ上の肉群の画像を認識する画像情報と、食肉切断装置の相対運動部の相対運動回数と、入力された切断速度情報により高速搬送開始タイミング情報を有し、前記把持機構で前記肉群を把持させる把持制御部を有することを特徴とする。
【選択図】 図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食肉切断装置と、変速搬送する搬送コンベヤとを有する食肉切断搬送ユニットに接続可能な食肉盛付ユニットであって、
前記搬送コンベヤ上の前記肉群を把持して移動させる把持機構と、
前記搬送コンベヤ上の肉群の画像を認識する第1の検出部からなる画像情報と、第2の検出部により認識する変速搬送における高速搬送開始タイミング情報とを有し、
前記画像情報と、前記高速搬送開始タイミング情報を用いて、前記把持機構で前記肉群を把持させる把持制御部を有することを特徴とする食肉盛付ユニット。
【請求項2】
第2の検出部は、食肉切断装置の相対運動部の相対運動回数を検出する回数検出センサであり、
食肉盛付ユニットは、予め設定入力された食肉切断装置の切断速度情報と、肉群設定枚数情報とを有し、
前記相対運動回数と、前記切断速度情報と、前記肉群設定枚数情報とから搬送コンベヤの高速搬送開始タイミングを演算する演算部により認識可能とすることを特徴とする請求項1に記載の食肉盛付ユニット。
【請求項3】
搬送コンベヤの上流側の撮影位置に位置する第1の検出部と、前記搬送コンベヤの下流側に位置して把持位置で搬送された肉群を把持する把持機構と、を有し、
前記第1の検出部の画像情報と、食肉切断装置に設定入力された切断速度情報と肉群設定枚数情報と、第2の検出部による相対運動回数とから、前記把持位置となる位置情報を演算する演算部を有することを特徴とする請求項2に記載の食肉盛付ユニット。
【請求項4】
回数検出センサは、相対運動部である肉箱の対向位置に取り付けるカウントセンサであることを特徴とする請求項2または3に記載の食肉盛付ユニット。
【請求項5】
把持機構は、搬送コンベヤの搬送方向に沿って長手方向を有し、先端を食肉切断装置に向けた棒体と、該棒体の上方から肉群を押さえる押圧体と、からなり、前記肉群の側方から前記肉群の下側と搬送コンベヤの上面との間に挿し入れて把持する機構であって、
前記棒体の先端位置で、肉群と搬送コンベヤとを識別する第3の検出部を有することを特徴とする請求項1、2、3または4のいずれか一項に記載の食肉盛付ユニット。
【請求項6】
肉群を把持機構により把持してトレーに移動して盛り付けたトレー盛付状態の画像を認識する第4の検出部をさらに有し、
前記第4の検出部による画像情報により、トレー盛付位置を補正する移動制御部を有することを特徴とする請求項1、2、3、4または5のいずれか一項に記載の食肉盛付ユニット。
【請求項7】
食肉切断搬送ユニットの運転及び運転停止スイッチと、食肉盛付ユニットの運転及び運転停止スイッチとを連動するスイッチボックスを有し、
前記食肉切断搬送ユニット若しくは食肉盛付ユニットからの異常信号により、前記食肉切断搬送ユニット及び食肉盛付ユニットの運転を停止することを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6のいずれか一項に記載の食肉盛付ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の食肉切断装置及び搬送コンベヤからなる食肉切断搬送ユニットに取り付けることができる食肉盛付ユニットであって、変速搬送・間欠搬送されても食肉切断搬送ユニットと連動して円滑に食肉を把持、盛り付けることができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、食肉をスライスする食肉スライサーにおいて、肉片搬送体で肉片を搬送し、肉片搬送体から肉片を落下させて受皿に盛り付ける肉片盛付け装置が提供されていた(特許文献1)。特許文献1に記載の発明は、肉箱の位置を検出する検出部と、同検出部からの出力信号を演算する演算手段を設け、受皿を肉片の落下位置に順次移動させ、停止させる制御手段を講じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-181677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明は、食肉スライサーでスライスされた肉片を肉片搬送体で搬送し、肉片搬送体から落下する位置に受皿を移動させることで、肉片を盛り付けていた。この技術内容からすると、スライスされた肉片を落下させたときに個々の肉片がバラバラとなり、綺麗に鱗列された状態を受皿に盛り付けることはできなかった。
【0005】
上記懸念から、肉片を落下させず、搬送されている搬送コンベヤ上の肉片を把持装置により把持し、トレーに供給する装置が求められていた。また、近年の食肉切断装置(食肉スライサ)は、食肉搬送コンベヤと連動した食肉切断搬送ユニットとして一体の制御運動がなされている。つまり、食肉切断装置は肉塊から一定枚数の肉片を切断して搬送コンベヤに送られるところ、搬送コンベヤは随時搬送するものや、低速搬送と高速搬送とを使い分ける間欠搬送を行うものや、停止と高速搬送を順次行うもの、これらを併用するものが存在する。このような変速搬送を行う搬送コンベヤ上の複数の肉片からなる肉群を把持しようとすると、良好に搬送されている肉群を把持することが難しかった。
【0006】
そこで、食肉切断搬送ユニットの搬送コンベヤ上を搬送される肉群を良好に把持して盛り付けることができる食肉盛付ユニットであって、特に変速搬送がなされる搬送コンベヤでも対応できる食肉盛付ユニットが求められてきた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の食肉盛付ユニットは、上記課題に鑑み、食肉切断装置と、変速搬送する搬送コンベヤとを有する食肉切断搬送ユニットに接続可能な食肉盛付ユニットであって、前記搬送コンベヤ上の前記肉群を把持して移動させる把持機構と、前記搬送コンベヤ上の肉群の画像を認識する第1の検出部からなる画像情報と、第2の検出部により認識する変速搬送における高速搬送開始タイミング情報と、を有し、前記画像情報と、前記高速搬送開始タイミング情報を用いて、前記把持機構で前記肉群を把持させる把持制御部を有することを特徴とする。
【0008】
また、第2の検出部は、食肉切断装置の相対運動部の相対運動回数を検出する回数検出センサであり、食肉盛付ユニットは、予め設定入力された食肉切断装置の切断速度情報と、肉群設定枚数情報とを有し、前記相対運動回数と、前記切断速度情報と、前記肉群設定枚数情報とから搬送コンベヤの高速搬送開始タイミングを演算する演算部により認識可能とすることが好ましい。
【0009】
また、搬送コンベヤの上流側に位置する第1の検出部と、前記搬送コンベヤの下流側に位置して把持位置で搬送された肉群を把持する把持機構と、を有し、前記第1の検出部の画像情報と、食肉切断装置に設定入力された切断速度情報と肉群設定枚数情報と、第2の検出部による相対運動回数とから、前記把持位置となる位置情報を演算する演算部を有することが好ましい。
【0010】
また、回数検出センサは、相対運動部である肉箱の対向位置に取り付けるカウントセンサであることが好ましい。
【0011】
また、把持機構は、搬送コンベヤの搬送方向に沿って長手方向を有し、先端を食肉切断装置に向けた棒体と、該棒体の上方から肉群を押さえる押圧体と、からなり、前記肉群の側方から前記肉群の下側と搬送コンベヤの上面との間に挿し入れて把持する機構であって、前記棒体の先端位置で、肉群と搬送コンベヤとを識別する第3の検出部を有することが好ましい。
【0012】
また、肉群を把持機構により把持してトレーに移動して盛り付けたトレー盛付状態の画像を認識する第4の検出部をさらに有し、前記第4の検出部による画像情報により、トレー盛付位置を補正する移動制御部を有することが好ましい。
【0013】
また、食肉切断搬送ユニットの運転及び運転停止スイッチと、食肉盛付ユニットの運転及び運転停止スイッチとを連動するスイッチボックスを有し、前記食肉切断搬送ユニット若しくは食肉盛付ユニットからの異常信号により、前記食肉切断搬送ユニット及び食肉盛付ユニットの運転を停止することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明により、搬送コンベヤが変速運動を行い、高速搬送と低速搬送を順に行う場合や、高速搬送と搬送停止を順に行う場合であっても、高速搬送時に把持機構が肉群を把持し損ねることを防止し、円滑に把持して盛り付けることが可能になる。
【0015】
請求項2に記載の発明により、食肉切断装置の相対運動部の運動回数をもとに高速搬送開始タイミングを演算して認識している。この手法を採用することにより、既存の食肉切断装置に後付けが容易になる。これに加え、食肉切断装置の緊急停止や研磨部材の自動運転による自動停止にも対応した制御が可能になり、把持機構が肉群を円滑に把持して盛り付けることが可能になる。
【0016】
請求項3に記載の発明により、第1の検出部と第2の検出部の情報と、予め設定された切断速度情報と肉群設定枚数情報により、上流側の第1の検出部で検出された位置より、把持位置付近となる位置情報を演算することが可能になる。単に切断速度情報だけでなく、第2の検出部による相対運動回数を踏まえて演算することにより、より正確な搬送される肉群の位置情報を把握するだけでなく、不定期になされる食肉切断装置の自動研磨作業による搬送停止などにも対応して、正確な位置情報を演算することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明により、相対運動部である肉箱の対向する位置にカウントセンサを用いることで、既存の食肉切断装置に柔軟に対応することが可能になる。すなわち、固定された切断刃に対し肉箱が相対運動する食肉切断装置の場合、ケースに内蔵されている場合もあるが、肉箱であればケーシング外に一部露出した部位(例えば突出部)が存在する。当該部位の運動回数を検出することで、ケーシングされた既存の食肉切断装置に対して容易に取り付け、連動させることが可能になる。
【0018】
請求項5に記載の発明により、搬送方向に向かって長手方向を有する棒体で肉群の側方からさし入れて把持する肉群の把持機構を有し、棒体の先端位置で肉群と搬送コンベヤとを識別できる検出部を設けたことで、肉群の全体が棒体に差し掛かったときに把持することが可能になり、安定的かつ全体的に肉群を把持することが可能になる。
【0019】
請求項6に記載の発明により、トレーに盛り付けた後の盛付状態を検知し、肉群がきれいにトレーに供給されていなかったり、トレーからズレた状態であったときに、補正することで、安定かつきれいに盛り付けることが可能になる。
【0020】
請求項7に記載の発明により、スイッチボックスを介して、食肉切断搬送ユニットと食肉盛付ユニットとを連動させることで、異常が発生した場合に、連動して運転停止、開始を制御することができ、切断時、搬送時、盛付時の様々な場合の不具合に対応することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る食肉切断搬送ユニットと食肉盛付ユニットとを組み合わせた状態の正面斜視図である。
図2図1とは異なる食肉切断搬送ユニットに対して食肉盛付ユニットとを組み合わせた状態の正面斜視図である。
図3】本発明の実施形態の一例となる肉群を示す拡大斜視図である。
図4図1の把持位置及び盛付位置の部分拡大図である。
図5】本発明の実施形態に係る把持機構の部分拡大斜視図である。
図6】本発明の把持機構の端面図である。
図7】把持機構による把持動作の説明図であり、(a)が棒体を挿入前の状態を示す端面図、(b)が(a)の状態から挿入を開始した状態を示す端面図、(c)が押圧体を降下した状態を示す端面図、(d)が上昇機構により把持機構を持ち上げた状態の端面図である。
図8図1の移動機構を説明するための部分拡大図である。
図9】盛付動作の説明図であり、(a)が盛付位置に到達する前の状態を示す端面図、(b)が盛付位置に到達した状態の端面図、(c)が押下体を下降させた状態の端面図、(d)が棒体を抜き出した状態の端面図である。
図10】既存の食肉切断搬送ユニットに食肉盛付ユニットを取り付ける状態を示すフロー図である。
図11】食肉切断搬送ユニットと食肉盛付ユニットに所定の入力情報を入力し、運転開始前の状況を示すフロー図である。
図12】食肉切断搬送ユニットが稼動し、異常信号により食肉盛付ユニットが停止する状態を示すフロー図である。
図13】食肉盛付ユニットが把持動作及び盛付動作を行う状態を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の一例を図面に沿って説明する。図1は、既存の食肉切断搬送ユニットS1に本発明の食肉盛付ユニットS2を取り付けた状態の全体斜視図である。図2は、図1とは別の食肉切断搬送ユニットS1に取り付けた状態を示す。
【0023】
本説明において、切断・スライスされる前の食肉の状態を肉塊と称し、切断された食肉の個々を肉片と称し、肉片を一定枚数盛り付けるために一群にしたものを肉群2Sと称する。なお、スライスされる食肉がステーキ肉などの所定の厚みがあり、一枚で盛り付けられるものは一枚であっても肉群と同様に扱ってもよい。
【0024】
食肉切断搬送ユニットS1について説明する。図1、2に示すように、本実施形態で用いる食肉切断搬送ユニットS1とは、食肉切断装置101と搬送コンベヤ110とからなるもので、一般的な切断装置と搬送コンベヤを用いている。食肉切断装置101は、主に肉箱102と、切断刃103と、排出部104とからなる装置である。肉箱102に置かれた肉塊が切断刃により切断されて肉片となり、肉片が排出部104から搬送コンベヤ110に排出される。
【0025】
図2に示す食肉切断装置101は、固定された切断刃103に対して肉箱102を左右運動、上下運動、前後運動などの相対運動を行うことにより、切断刃で肉塊を切断して肉片にしている。この相対運動は、図1に示す固定された肉箱102に対して、切断刃を相対運動させるものであってもよい。この相対運動を行う部位を相対運動部としているが、固定された切断刃に対して肉箱を相対運動させる場合は、肉箱が相対運動部となり、固定された肉箱に対して切断刃を相対運動させる場合は切断刃が相対運動部となる。
【0026】
本実施形態の搬送コンベヤ110の変速搬送は、低速搬送と高速搬送とを併せて使い分けて変速搬送を行うものを例示して説明している。変速搬送とは、一定の速度で恒久的に搬送を継続するものを除くものであり、本実施形態の低速搬送と高速搬送を併用するものや、高速搬送と搬送停止を繰り返す間欠搬送を含む。本発明の食肉盛付ユニットは、変速搬送しない通常の搬送コンベヤにも使用できるが、特に変速搬送するコンベヤにも対応できるものである。
【0027】
本実施形態の変速搬送について具体的に説明する。本実施形態で用いる食肉切断搬送ユニットS1の変速搬送は、肉群の切断枚数を設定すると、当該肉群の切断枚数だけ、微細な距離の搬送と停止を繰り返す低速搬送を行う。例えば、7枚を一群とする切断枚数を設定すると、食肉切断装置101により1枚目に切断された肉片が排出部104から搬送コンベヤ110に至り、2~3mm程度の微細な距離を搬送し(搬送ピッチ)、停止する。そして2枚目に切断された肉片が排出部から搬送コンベヤに至り、その後も同様に微細搬送と停止を繰り返す。これが設定枚数全ての7枚分行われると、図3に示すように、7枚の肉片が若干のズレを有して重なった鱗列状態となる肉群2Sとなる。そして、一群とする切断枚数が全て切断されると、搬送コンベヤ110を高速搬送させ、次回の一群の肉群が鱗列されるようにする。このような変速搬送を行うことにより、肉片が一群となる肉群2Sが鱗列され、一の肉群2Sと他の肉群2Sとの間に適度な間隔(搬送間隔)を隔てて搬送することができる。
【0028】
本実施形態以外にも、食肉切断装置で所定枚数の7枚すべてを切断するまで排出部で留保され、7枚の切断枚数が完了すれば、搬送コンベヤに各々ズレて倒れるように排出されて鱗列状態となる排出形態があり、排出されたときに高速搬送され、排出時には低速搬送や停止させる搬送手段がある。このような場合であっても、本発明の変速搬送の一形態となる。
【0029】
上記の本実施形態にかかる食肉切断搬送ユニットS1は、食肉切断装置101により肉塊を切断して一または複数枚の肉群2Sを、搬送コンベヤ110で搬送するものであり、搬送コンベヤ110は低速搬送と高速搬送を順次繰り返して行う変速搬送を行っている。
【0030】
次に、本発明にかかる食肉盛付ユニットS2について説明する。図4に示すように、食肉盛付ユニットS2は、食肉盛付装置10と盛付容器搬送装置70とからなるものである。食肉盛付装置10は、把持機構30により搬送コンベヤ110で搬送している肉群2Sを把持し、盛付容器搬送装置70により盛付位置72に位置する盛付容器(トレー)71(図4では図示しない)に肉群2Sを移動して盛り付けるものである。なお、盛付容器搬送装置70に盛付容器71を供給するために、積層されたトレー群から一枚のトレーを抜き出して搬送するトレー供給装置を併設してもよい。
【0031】
本実施形態の食肉盛付ユニットS2は、図1、2、図10に示すように、食肉切断搬送ユニットS1に近づけ、フロアストッパーで固定し、スイッチボックス65、食肉切断搬送ユニットS1に第2の検出部62を取り付けることで、既存の食肉切断搬送ユニットS1と連動して、盛付行為を行うことが可能になる。なお、食肉盛付ユニットS2は、台車状の荷送体90に配置されており、荷送体90の下方のキャスター91により移動可能となり、図示しないフロアストッパーにより食肉切断搬送ユニットS1に隣接した状態を維持することができる。
【0032】
上記のとおり、食肉盛付ユニットS2の食肉盛付装置10は、搬送される肉群2Sを把持する把持機構30と、把持した肉群2Sを盛付位置72に移動する移動機構50とを備える。
【0033】
本実施形態において説明する肉群2Sは、各々の肉の長手方向が搬送コンベヤ110の搬送方向と直交する方向になるようにしており、複数枚の肉片からなる場合には1の肉片の搬送方向上流側に次の切断肉が一定間隔をずらして一部重なるようにして、鱗列状体となっている。図3において肉群2Sは、搬送方向の一方の側方となる盛付方向側の端部を把持機構30が把持する位置である盛付方向側端部2Saを仮想線で示し、盛付方向側端部2Saと反対側となる反対側端部2Sb、中央部2Scも仮想線で示している。このように鱗列した肉群2Sを盛付方向側端部2Saで把持機構30が把持することで、重なった複数枚からなる肉群2Sの全てを把持することができる。
【0034】
本実施形態では図3に示す矢印A2の方向(把持位置15から盛付位置72への方向)を盛付方向としている。盛付方向とは、平面視において、搬送方向の一方の側方であって、搬送方向と厳密に直交する方向に限定されない。盛付方向が搬送方向と直交する方向であることは望ましいが、盛付容器の配置位置や肉群2Sの把持位置15との関係で盛付方向が搬送方向(例えば前後方向)から正確な直交する方向(例えば左右方向のうち右方向)だけでなく、その前後を含めた範囲を含むものである。
【0035】
本実施形態において、図4に示すように、所定の長手方向長さを有する搬送コンベヤ110の下流側において把持機構30により肉群2Sを把持する位置となる把持位置15があり、この把持位置15からみて搬送方向と直交する方向に盛付容器71が供給されている。この盛付容器71に、移動機構50により把持機構30が移動して肉群2Sを盛り付ける。
【0036】
盛付容器(トレー)71は、盛付容器搬送装置70により、肉群2Sが盛り付けられる盛付位置72まで供給される。盛付位置72は、把持位置15から搬送方向の一方の側方に位置するもので、搬送方向と直交する方向であればよりよい。盛付位置72の盛付容器71は、搬送部11若しくはガイド部5の上面と同じ高さとすることが好ましく、または、本実施形態のように若干低い位置に位置してもよい。この若干低い位置とは長手方向を30mm以上とする肉群を供給する場合に、10mm以下の高低差は許容される。後述するように、スライド移動された肉群2Sを滑らせるように搬送状態と同じ状態で盛り付けるため、盛付容器71のフランジ73の高さ位置は、搬送部11若しくはガイド部5の高さと略同じ高さであることが好ましいが10mm程度であれば少し低くなっていてもよい。
【0037】
本実施形態における盛付容器搬送装置70による供給方向は、搬送コンベヤ110の搬送方向と並行となっている。つまり、搬送コンベヤ110と盛付容器搬送装置70とが並列した状態となっている。
【0038】
盛付容器71は四角形状の有底箱形とし、本実施形態では樹脂製のトレーを用いている。盛付容器71は、肉群2Sを折り畳まずに載置可能な寸法の底部を有し,箱壁の上縁の全周に亘る角枠形状のフランジ73を外周側に突出して有している。例えば前後方向の寸法を120~280mmとし、左右方向の寸法を196~220mmとし、深さを20~35mmとして、長方形状または正方形状としている。なお、盛付容器71はフランジ73を有していれば、多角形状や円盤形状などその他の箱形であってもよい。
【0039】
図4に示すように、搬送コンベヤ110の搬送部11は、その上面(搬送面)に肉群2Sを載置して搬送方向に沿って上流側から下流側に向けて搬送する。上流側が図面上左側であり、下流側が図面上右側としている。搬送コンベヤ110の下流側終端に近い位置に把持機構30により把持される把持位置15があり、この把持位置15よりも上流側の水平方向のコンベヤで搬送される肉群2Sを後述する第1の撮影部61により撮影する撮影位置17を有している。
【0040】
次に把持機構30について説明する。図3図4図5図6に示すように、把持機構30は、棒体32と、押圧体40とからなる。本実施形態の把持機構30は、搬送方向に対向する方向を長手方向とする棒体32を肉群2Sの盛付方向側から、搬送部11上面と肉群2Sとの間に挿入し、肉群2Sの盛付方向側端から約20乃至35mm程度中央側の位置となる盛付方向側端部2Saの位置で止める。肉群2Sの盛付方向側端部2Saの下方に棒体32が挿入され、押圧体40で上方から押さえることで、肉群2Sを把持する。
【0041】
棒体32は、所定長さを有する細長い棒形状であり、基端部33が後述する移動機構50に接続され、先端部34が開放端となっている。棒体32の長手方向長さは、一定幅でずらして重ね合わせた肉群2Sの搬送方向の長さより長くする必要はあるが、特に長さを限定するものではない。
【0042】
図6に示すように、棒体32は、その形状が、水平状の底面35と、底面35の盛付方向側端から湾曲状に立ち上がる湾曲面36と、湾曲面36の上端から底面35の盛付方向側端と反対側の端(下端縁37a)へ下り傾斜する傾斜面37を有する。傾斜面37は、棒体32の挿入方向に向けて下方傾斜するようにしており、その下端縁37aから肉群2Sと搬送部11の上面との間に挿入し易くしている。本実施形態における棒体32は、上記のような断面略三角形状が好ましいが、断面を楕円形状や円形状にするものやその他の形態であってもよい。
【0043】
棒体32の湾曲面36と傾斜面37との接線となる上辺から垂直方向の下向きに下ろした仮想直線36aと、この仮想直線36aと底面35との交点36bは、底面35の盛付方向への長さのうち中央点35aよりも盛付方向側に位置し、傾斜面37の傾斜角度θ1は比較的小さな角度(鋭角)となる。なお、仮想直線36a、交点36b、中央点35aはいずれも仮想のもので、実施形態に表れるものではない。
【0044】
押圧体40は、肉群2Sの上面に接触する下面(押圧部44)を有し、盛付方向と反対側の方向に長く形成される。押圧体40は、昇降部41により棒体32に接近、離間するように上下方向に昇降自在とし、昇降部41を介して移動機構50に取り付けられる。つまり押圧体40は昇降部41により棒体32から独立して上下方向に昇降可能としている。
【0045】
押圧体40は盛付方向と反対側の方向へ、下向きに傾斜した下面(押圧部44)を有する板状としている。押圧体40は、昇降部41に遊動自在に固定する基部42と、基部42の下縁から盛付方向と反対側の方向へ突出する櫛状の傾斜部43と、傾斜部43の下面に固定される押圧部44とからなる。
【0046】
傾斜部43は、複数の歯を盛付方向と反対側の方向に所定の間隔を置いて有し、複数の歯は下向きに傾斜している。傾斜部43は基部42に連結した連結縁43aが棒体32よりも盛付方向側に位置するようにしている。
【0047】
押圧部44は、棒体32の上方に存し、棒体32の長手方向の全長に沿う様に設けられている。押圧部44は、傾斜部43の傾斜に沿うように盛付方向と反対側に向け、下向きに傾斜(θ2)した当接板となる。押圧部44の傾斜する面は、図5に示すように棒体32の傾斜面37と同じ角度の傾斜となっておらず、傾斜面37との上下方向の距離が盛付方向と反対側になるほど広くなるように緩やかに傾斜させている。基部42が遊動自在に固定され、棒体32よりも盛付方向側に位置していることで、押圧部44は、傾斜部43を介して弾性的に支持されており、肉群2Sの厚みに応じて、押圧部44が肉群2Sに接触する位置を基点に遊動して、傾きを変更可能としている。
【0048】
押圧体40は、肉群2Sの肉厚よりも十分長い距離を置いて棒体32から上方に離れた位置を初期位置としている。押圧体40は昇降部41により、棒体32に接近して棒体32と共に肉群2Sを上下方向から挟む把持動作と、棒体32から離間して把持(上方からの押さえ)を解く開放動作を行う。
【0049】
この把持動作について説明する。図7(a)に示すように、上述した第1の撮影部61による肉群2Sの形状や搬送部11上の位置を把握し、肉群2Sの盛付方向側端部2Sa(図2参照)を検出、確認する。把持位置15まで搬送された肉群2Sの盛付方向側に棒体32を移動させる。本実施形態では把持位置15において肉群2Sの盛付方向側に棒体32が位置すればよく、棒体32を把持位置15に移動させた後、肉群2Sが把持位置15に搬送されたり移動を搬送と同時期に行う形態であってもよい。
【0050】
次に、図7(b)に示すように、棒体32の傾斜面37の下端部37aから、肉群2Sの下面と搬送部11の上面との間に挿入する。そして、棒体32を盛付方向側端部2Saの位置まで挿入して挿入を止める。さらに図7(c)に示すように、昇降部41により(図6参照)、押圧体40を降下し、緩やかに傾斜した押圧部44を肉群2Sに上方から押し当てて把持する。
【0051】
この把持において、棒体32は傾斜面37の上端で肉群2Sを持ち上げ、押圧体40は押圧部44の接触位置で押し付けて把持しているが、この押し付けは長手方向(搬送方向)に沿う線状(端面視点状)にしか接触しておらず、棒体32とともに肉群2Sの盛付方向側端部2Saのみにより把持し、肉群2Sの盛付方向側端部2Saと反対側の部分は開放され、肉群2S自体は片持ち状に把持された状態となる。押圧体40による上方からの押さえ(把持)は肉群2Sが押圧部44による摩擦抵抗により滑らず、肉群2Sの組織を押し潰して壊すことが無い程度の力加減としている。
【0052】
次に、移動機構50について説明する。図8に示すように、移動機構50は、上下方向の上昇移動、盛付方向へのスライド移動、搬送方向への前後移動の3軸方向に自由度を有して棒体32や押圧体40からなる把持機構30を纏めて移動させる。移動機構50は、把持機構30を移動させることにより、棒体32を肉群2Sと搬送部11との間に挿入するスライド移動と、把持した肉群2Sを把持した状態で上昇して掬い上げる上昇移動と、把持位置15から盛付位置72に肉群2Sを移送する盛付方向へのスライド移動と、棒体32を把持位置に移動させる際や肉群2Sから抜き取る際に行う搬送方向への前後移動とを行う。
【0053】
移動機構50は、図8に示すように、把持機構30を上下方向に移動させる上昇移動部51と、把持機構30を盛付方向に平行してスライド移動させるスライド移動部52と、把持機構30を搬送方向(前後方向)に移動させる前後移動部53とからなる。移動機構50は、コンピュータなどの図示しない制御部により駆動制御され、制御部は第1の撮影部61及び後述する第2の撮影部64により特定された情報などを処理する情報処理部を兼ねている。
【0054】
上昇移動部51は、上下方向に沿うように設けた上昇レール51bと、上昇レール51bにガイドされて移動する上昇走行部51cと、上昇走行部51cを動かす上昇駆動源51aとからなる。上昇移動部51は上昇走行部51cに把持機構30(棒体32及び押圧体40の昇降部41)を固定し、上昇走行部51cの移動に伴い把持機構30(棒体32及び押圧体40)を上下方向に沿うように往復自在に移動させる。
【0055】
スライド移動部52は、盛付方向に沿うように設けたスライドレール52bと、スライドレール52bにガイドされて移動するスライド走行部51cと、スライド走行部52cを動かすスライド駆動源52aとからなる。スライド移動部52はスライド走行部52cに上昇移動部51を固定して、スライド走行部52cの移動に伴い上昇移動部51を盛付方向に沿うように往復自在に移動させる。
【0056】
前後移動部53は、搬送方向に沿うように設けた前後レール53bと、前後レール53bにガイドされて移動する前後走行部53cと、前後走行部53cを動かす前後駆動源53aとからなる。前後移動部53は前後走行部53cにスライド移動部52を固定し、前後走行部53cの移動に伴いスライド移動部52を前後方向に往復自在に移動させる。
【0057】
把持機構30は、上昇移動部51、スライド移動部52、前後移動部53からなる移動機構50の移動を組み合わせることにより上下、左右(盛付方向・スライド)、前後(搬送方向)の3軸方向に移動可能としている。
【0058】
把持機構30により把持された肉群2Sを移動機構50により盛付容器71に盛り付ける動作及び把持機構30の開放動作について説明する。上述のとおり、図7(d)に示すように、把持機構30の棒体32と押圧体40により、肉群2Sの盛付方向側端部2Saで把持され、肉群2Sは片持ち状に把持される。この状態で、上昇移動部51により把持機構30で把持された肉群2Sを上昇させて持ち上げる。
【0059】
この上昇移動部51による肉群2Sの持ち上げは、肉群2Sの開放端となる反対側端部2Sbが搬送部11の上面に接触した状態を保つことが必要となる。完全に持ち上げてしまうと、肉群2Sが盛付方向へ移動させるときに暴れてしまい、搬送された状態をそのままにして綺麗に盛り付けることができなくなる。出願人は、搬送された肉群2Sを盛付容器71にそのままの状態で移動させることに研究開発を重ね、片持ち状の肉群2Sを、その開放端側の反対側端部2Sbを接地させた状態でスライド移動させることが、最も肉群2Sの型崩れがなく、綺麗に搬送状態のまま盛り付けることが可能であることが判明した。そのため、肉群2Sの反対側端部2Sbは搬送部11の上面11aに接触する状態とし、具体的には5~15mm程度の上昇が好ましく、肉群の長手方向長さに応じて50mm程度まで上昇させてもよい。この接触する状態とは、肉群2Sの開放端側が完全に接地しない状態を除くものであり、肉群2Sの反対側端部2Sbの一部が接触しておればよい。薄切り肉では肉群2Sの中央部2Scに至るまでの多くの部分が接地した状態となるが、ステーキ肉等の厚切り肉は弾性が低く、接地する部分が少なくなる。
【0060】
次に、上昇移動部51により持ち上げられた肉群2Sを把持機構30で把持された状態でスライド移動部52により図9(a)に示すように盛付容器71がある盛付方向に移動させる。盛付容器71は既に盛付容器搬送装置70(図1参照)により盛付位置72に供給されており、盛付位置72にある盛付容器71の上方に肉群2Sを移動させる。
【0061】
次に、盛付容器71の上方において、肉群2Sを把持機構30から解放し、肉群2Sを盛付容器71に盛り付ける動作について説明する。盛付位置72には、肉群2Sの中央部2Sc付近を上方から押さえる押下体74を盛付位置72に有している。押下体74は、盛付位置72に配置した盛付容器71の上方に位置し、中央部2Sc付近の表面を押さえるよう配置している。押下体74は稼働前(初期位置)では盛付位置72に移動した押圧体40よりも上方に位置している。
【0062】
押下体74は昇降部74aにより肉群2Sに接近、離間するように上下方向に昇降自在とするものであり、盛付方向及び搬送方向に所定の範囲を有して肉群2Sの表面に接触する下面を有している。本実施形態の押下体74の下面は下方に凸とする半円の曲面形状を有する板状体としているが、押し下げて肉群2Sを押し付けるものであればその他の形態でもよい。押下体74は、この曲面により肉群2Sとの接触を滑らかにしつつ落下する肉群2Sの状態に適宜対応して接触状態を維持可能としている。
【0063】
スライド移動部52により盛付容器71の上方に移動された肉群2Sは、図9(b)に示すような状態となる。この状態から図9(c)に示すように、押下体74を昇降部74aにより下降させて、肉群2sの中央部2Sc付近を押さえながら押圧体40による押さえを解除する。そして図9(d)に示すように、さらに押下体74により押さえたままスライド移動部52により棒体32を抜き出して、盛付容器71に盛り付ける。肉群2Sを盛付容器71に盛り付けると押下体74が上昇して押さえを解除する。
【0064】
この盛付方法によると、肉群2Sの盛付方向側端部2Saを把持機構30により把持し、反対側端部2Sbが接地する状態を保ちつつ把持機構30を上昇させることで、肉群2Sを片持ち状にし、さらに開放端(反対側端部2Sb)を接地する状態にする。この状態で盛付方向に移動させることで、肉群2Sを滑らせるように移動させることができ、肉群2Sが暴れたりして型崩れを起こすことがなく、搬送状態のままで肉群2Sを綺麗に盛り付けることが可能になる。
【0065】
さらに搬送状態の肉群2Sの型崩れを無くすためのガイド部5について説明する。一般的に、肉搬送機構と盛付容器搬送装置を並列して配列すると、両者間に大きな隙間が生じてしまう。先行技術ではこの隙間をハンド等でトレーに供給している。本実施形態のように、図1及び図2に示す搬送コンベヤ110と盛付容器搬送装置70が並列する場合には、両者間(把持位置15と盛付位置72との間)に、段差が生じず、隙間を無くすことが好ましく、搬送コンベヤ110の上面から連続するガイド部を配置している。特に、本実施形態の盛付は、片持ち状にした肉群2Sの反対側端部2Sbを接地させながら移動させるために、大きな隙間が生じずに搬送方向に連続して同じ高さとなる同一平面上にするガイド部5を配置する。
【0066】
搬送コンベヤ110の上面から連続するガイド部5とは、搬送コンベヤ110の上面とガイド部5との隙間がなく、段差(高低差)がないことが好ましいが、小さい隙間や小さい段差は許容する。具体的には本実施形態の隙間は長手方向が約30mm程度の肉群である場合には10mm以下の隙間とし、段差も10mm以下としている。この隙間、段差はガイド部5と盛付容器搬送装置70のトレーとの間も同様とすることが好ましい。
【0067】
また、ガイド部5は水平な上面を有する板材部材であるところ、ガイド部5の把持位置側の側縁及び盛付位置側の側縁に、上面から下面に傾斜する傾斜面5a、5aが形成される。
【0068】
ガイド部5は、図9に示すように、平らな上面により搬送部11から盛付位置72までの間において肉群2Sの垂れ下がる反対側端部2Sbを滑らせることができる。ガイド部5と把持位置15、ガイド部5と盛付位置72との間に各々10mm以下の隙間や段差が生じてしまったとしても、外方に向けて下方傾斜する傾斜面5a、5aにより、肉の接地部分が飛び跳ねて暴れることなく、把持された肉群2Sはガイド部5上を滑りながら盛付位置72に移動される。
【0069】
さらに、図示しないが盛付容器71を一部傾斜させてもよい。図9(a)などにおける盛付容器71は平面状にしているが、盛付方向手前側(ガイド部5側)から奥側にかけて上昇するように傾斜させていてもよい。このように傾斜させることで、肉群2Sを盛り付けるときに棒体32を抜いたときの落下高さを低くして、型崩れをより無くすことができる。
【0070】
上記のとおり、肉群2Sが盛付容器71に盛り付けられたことを検知すると、盛付容器搬送装置70を駆動させ、盛付位置72に位置する盛付後の盛付容器71を排出する。
【0071】
次に、食肉盛付ユニットS2の盛付制御、及び、食肉切断搬送ユニットS1と食肉盛付ユニットS2との連動について説明する。
【0072】
図1図2に示すように、第1の検出部となる第1の撮影部61は、撮影位置17の上方に配置する画像撮影カメラであり、搬送コンベヤ110により搬送される状態の肉群2Sを上方から撮影している。第1の撮影部61は搬送コンベヤ110の側方側(盛付方向側)に立ち上がる側方壁23からせり出すように配置されていてもよいが、搬送コンベヤ110を囲むケース内の天井部分に配置されていてもよい。なお、図1図2は図面上ケースを削除したうえで第1の撮影部61のみを図示している。第1の撮影部61が撮影した画像情報は肉群2Sの形状、当該撮影位置における位置情報(横幅など)からなり、肉群2Sの盛付方向側端部2Sa(図2参照)の位置を特定する特定情報も取得し、把持機構30による把持動作の把持制御に用いられる。
【0073】
第2の検出部となる回数検出センサ62は、高速搬送開始タイミングを検出するセンサである。回数検出センサ62は、食肉盛付ユニットS2の食肉切断装置101の相対運動部である肉箱102の動きを検知できる位置に取り付ける。本実施形態の食肉切断装置101は、固定された切断刃に対して肉箱102が相対運動することから、固定されている切断刃のケース外面に取り付ける。他の実施形態で固定された肉箱102に対して切断刃が相対運動する装置であれば、固定された肉箱102の外面に取り付けることができる。相対運動する相対運動部に対する固定体(肉箱・切断刃)は対向位置に備えられているため、固定体に取り付けることが好ましいが、その他の固定された部位でもよい。
【0074】
相対運動部が肉箱102である場合、肉箱がケーシングされていたとしても、肉箱の運動を示すために形成された肉箱から延出する突出部分がケースからも突出することが多く、固定体である切断刃のケースに回数検出センサ62を取り付けることができる。また、相対運動部が切断刃103である場合、完全にケーシングされている場合があるが、切断刃103が通る覗き窓に向けて回数検出センサ62を配置してもよい。
【0075】
第2の検出部となる回数検出センサ62は、検出対象の動きの数をカウントするカウントセンサであり、本実施形態では光学センサを用いている。この回数検出センサ62により、食肉切断搬送装置S1の切断回数、スライス回数を検出する。
【0076】
第3の検出部となるカラーセンサ63は、把持対象の肉群2Sと搬送コンベヤ110とを識別するために色彩で検出するセンサであり、把持機構30を備える昇降部41から水平に延出した位置に備えている。カラーセンサ63は真下を識別しており、この真下位置は棒体32の先端と搬送コンベヤ110の上流側の位置である。つまり、カラーセンサ63は、棒体32の先端が肉群2Sに掛かっているか、棒体32の先端が肉群2Sの搬送コンベヤ110の上流側に至っているかどうかを検出している。
【0077】
また、第3の検出部となるカラーセンサ63は、棒体32よりも盛付方向と反対側の方向を検出している。つまり、把持機構30の棒体32は、把持対象の肉群2Sの盛付方向側に位置しているが、カラーセンサ63は肉群2Sを上方から真下に向けて検出するようにしている。
【0078】
さらに第4の検出部となる第2の撮影部64が配置される。第2の撮影部64は、搬送コンベヤ110の側方壁23から延長され、盛付位置72の側方に位置する搬送側方壁24に設置され、盛付位置72の上方に配置する画像撮影カメラであり、盛付容器71に盛り付けられた状態の肉群2S及び盛付容器71を上方から撮影している。
【0079】
第2の撮影部64により撮影した肉群2Sなどの情報は盛付容器71に盛り付けられた肉の形状、状態の位置情報からなる。この位置情報をもとに例えば肉群2Sの盛付容器71の中央からの位置ずれの有無や肉群2Sの盛付容器71上の偏りの有無などを検出して次の盛付動作を補正する。
【0080】
また、上記の検出部の他に、スイッチボックス65が配置される。スイッチボックス65は、食肉切断搬送ユニットS1の運転開始・停止スイッチと、食肉盛付ユニットS2の運転開始・停止スイッチとを連動させ、一方が運転開始になったとき、若しくは、運転停止になったときに、他方も運転開始,運転停止とすることができる。
【0081】
図示しないが、食肉切断搬送ユニットS1は、運転スイッチと、切断情報として、肉塊から切断する肉片の厚み、肉群となる肉片の枚数(これらを肉群設定枚数情報とする)、1分当たりの切断枚数となるスライス速度、一の肉群と他の肉群との搬送間隔、1つの肉群にある肉片と肉片との搬送ピッチ(これらを切断速度情報とする)を設定する入力部があり、この入力情報を処理して食肉切断装置で設定厚みの肉片を設定枚数切断して搬送ユニットから設定速度で設定ピッチごと搬送するように制御する切断搬送制御部を有する。
【0082】
また、図示しないが、食肉盛付ユニットS2は、運転スイッチと、上記と同じく肉群設定枚数情報、切断速度情報を設定する入力部があり、後述の制御部、演算部を有する。
【0083】
上記入力情報と各検出部からの情報をもとに把持機構30を制御して、搬送コンベヤ110上の肉群2Sを把持する把持制御部と、把持機構30を移動機構50により盛付位置72に移動制御する移動制御部と、を有する。これに加え、第2の検出部である回数検出センサ62からの切断回数と、上記の切断速度情報からから演算して高速搬送開始タイミングを算出する演算部を有する。
【0084】
また、演算部は、第1の検出部となる第1の撮影部61の撮影位置の位置情報と、肉群設定枚数情報と、1分当たりの切断枚数となるスライス速度、一の肉群と他の肉群との搬送間隔、搬送ピッチからなる切断速度情報と、第2の検出部となる回数検出センサ62により、相対運動回数で所定の設定切断がなされたことを前提に、把持位置付近におけるおおよその位置情報を算出する。
【0085】
次に、入力情報と各検出部からの情報をもとに、食肉切断搬送ユニットS1と食肉盛付ユニットS2とを連動した制御について説明する。
【0086】
図11に示すように、食肉切断搬送ユニットS1の入力部に、肉群設定枚数情報である肉塊から切断する肉片の厚み、肉群となる肉片の枚数を入力し、切断速度情報である1分当たりの切断枚数となるスライス速度、一の肉群と他の肉群との搬送間隔、1つの肉群にある肉片と肉片との搬送ピッチを設定して入力する。これに加え、食肉盛付ユニットS2の入力部にも食肉切断搬送ユニットS1の入力情報を入力する。なお、食肉盛付ユニットS2の入力情報は、食肉切断搬送ユニットS1の入力情報を転送させて自動入力させるものであってもよい。
【0087】
そして、食肉盛付ユニットS2の盛付容器搬送装置70にトレーを供給し、食肉切断搬送ユニットの肉箱102に肉塊を投入したうえで、食肉切断搬送ユニットS1と食肉盛付ユニットS2のいずれかを運転開始状態とする。上記に示すスイッチボックス65により、いずれかのユニットを運転開始すると他方のユニットも運転開始となる。
【0088】
図12に示すように、食肉切断装置101が稼働し、入力情報のとおり、肉塊から設定厚みの肉片を設定枚数、切断する。この切断動作のうち相対運動部である肉箱102の相対運動回数(切断回数)を第2の検出部である回数検出センサ62が検出する。
【0089】
演算部は、切断速度情報のうち1分当たりの切断枚数となるスライス速度に応じた基準タイミングを算出する。例えば、1分当たり55枚の切断枚数である切断速度情報を入力した場合、基準タイミングを0.75秒とする。これは、1分当たり30枚から80枚の切断枚数によって、基準タイミングを0.5秒から1.5秒の範囲内で算出している。他に、搬送速度を踏まえて基準タイミングの秒数を変更してもよい。その後に回数検出センサ62から設定された切断枚数を全て切断した回数を検出した情報を入手すると、算出した基準タイミングの秒数を経た状態を高速搬送開始タイミングとして算出している。
【0090】
また、演算部は、切断速度情報であるスライス速度、肉群の搬送間隔、肉片の搬送ピッチと、肉群設定枚数情報と、回数検出センサ62による切断枚数を全て切断した回数を検出した情報により、把持位置におけるおおよその位置情報を算出する。これは、設定されている切断設定枚数情報と実際の切断回数が一致し、切断速度情報のスライス速度、搬送間隔、搬送ピッチから、撮影位置17による第1の検出部による検出位置での位置情報から把持位置15でのおおよその位置情報を算出している。
【0091】
なお、変速搬送が搬送と停止とを順次繰り返す場合にも、上記切断速度情報と肉群設定枚数情報と切断枚数を踏まえて基準タイミングを算出し、高速搬送開始タイミングを算出することができ、位置情報を演算部で演算することができる。その他の変速搬送であっても、肉群設定枚数情報と切断速度情報に応じた高速搬送開始タイミングを算出することが可能となる。
【0092】
設定枚数が切断され、おおよその把持位置に肉群2Sが搬送された場合、把持機構30による把持動作に移る。把持動作は図13に示すように、肉群2Sが食肉切断装置101から排出部104を通じて搬送コンベヤ110上に排出され、撮影位置17まで搬送されると、第1の検出部である第1の撮影部61により肉群2Sを撮影する。撮影情報が演算部、把持制御部に送られ、上記位置情報を踏まえて把持位置15付近におけるおおよその位置を判断する。なお、当該画像情報から把持制御部が肉群2Sを不良品であると判定した場合には把持動作に移行せずに不良品として処理する。不良品の処理として例えば搬送部11から不良品専用の容器に排出する。
【0093】
第1の検出部である第1の撮影部61の撮影情報により、搬送される肉群2Sごとに盛付方向側端部2Saを特定する(図3参照)。上記のとおり演算部により算出された把持位置15の付近で、おおよその位置情報を取得し、当該位置で、棒体32を搬送部11よりも上方にした状態であって、肉群2Sの盛付方向側で待機させる。
【0094】
次に、第3の検出部であるカラーセンサ63により把持する最終的な位置を特定する。第3の検出部であるカラーセンサ63は、把持機構30の棒体32の先端位置であって、棒体32の盛付方向と反対側方向の位置を検出している。この検出位置は肉群2Sの盛付方向側に位置している棒体32に対し、肉群2Sを真上付近から真下に向けて検出し、肉群2Sと搬送コンベヤ110とを識別している。カラーセンサ63は、順次低速に搬送されている肉群2Sを検出するものであり、当初は肉群2Sが検出されているが、搬送コンベヤ110が検出されると、棒体32に全て肉群2Sが把持される位置にまで、肉群2Sが搬送されたものと判断する。
【0095】
第3の検出部であるカラーセンサ63が順次検出している状態で、上述の高速搬送開始タイミングが近づいていなければ、把持機構30を把持制御部により後述のとおり制御して肉群2Sを把持する。一方、高速搬送開始タイミングが近づいた場合、把持機構30を高速搬送のピッチ分だけ搬送コンベヤの下流側に移動させ、高速搬送後に把持機構30により把持する。
【0096】
把持機構の把持は、肉群2Sが把持位置15に到達すると、撮影情報に基づき棒体32の底面35が搬送部11の上面11aに沿うように、上昇移動部51、スライド移動部52、前後移動部53により位置させ、肉群2Sの盛付方向側に配置する。そして、棒体32を肉群2Sの盛付方向側から、スライド移動部52により盛付方向と反対側にスライド移動させ、肉群2Sと搬送部11の上面11aとの間に挿入し、検出した盛付方向側端部2Saの位置で止める。
【0097】
棒体32の挿入後、押圧体40を降下させ、肉群2Sに接触させ、押圧部44の傾きを弾性的に変更させて棒体32とにより肉群2Sを片持ち状に挟むように把持する。この把持した状態で、上昇移動部51により把持機構30ごと肉群2Sの盛付方向側端部2Saを持ち上げる。この上昇移動部51による上昇移動は、肉群2Sの反対側端部2Sbが接地するように持ち上げるものであって、一律に10mm程度の高さとしてもよいが、第1の撮影部61により撮影された肉群2Sの長さ情報に応じて上昇高さを変更してもよい。
【0098】
把持機構30はスライド移動部52により把持位置15から盛付位置72に到達するように、盛付方向へ移動する。そしてこの移動に伴い把持された肉群2Sは移送され、接地する肉群2Sの反対側端部2Sbと中央部2Scが搬送部11の上面やガイド部5の上面を滑るように移動される。
【0099】
肉群2Sは、盛付位置72に供給された盛付容器71の上方まで移動され、垂れ下がる肉群2Sの反対側端部2Sbや中央部2Scが盛付容器71に載置される。この状態で押下体74が降下して、肉群2Sの上面に弾性的に当接して盛付容器71に整然と盛り付ける。押下体74の降下と同時期に押圧体40の押圧を解除する。
【0100】
さらに押下体74により肉群2Sを上方から押さえつつ、棒体32がスライド移動部52により肉群2Sから抜き出され、盛付位置72からさらに盛付方向へ移動する。これにより、把持機構30による把持が完全に解除され肉群2S全体が盛付容器71に盛り付けられる。盛り付け後は、押下体74が上昇して初期位置に戻る。
【0101】
盛付容器71に盛り付けられた肉群2Sは、さらに第4の検出部である第2の撮影部64により撮影され、盛付容器71に盛り付けられた肉の形状、状態の位置情報が移動制御部に送られる。第2の撮影部64による情報から肉群2Sの盛付容器71の中央からの位置ずれの有無や肉群2Sの盛付容器71上の偏りの有無などを検出して次回の移動機構50による盛付動作を補正する。
【0102】
肉群2Sが盛り付けられた盛付容器71は、盛付容器排出機構75により排出され、盛付容器搬送装置70により盛付位置72に新たな盛付容器71が供給される。
【0103】
また、食肉切断装置101が稼働したときに、食肉切断装置がトラブルにより設定枚数の途中で非常停止した場合、第2の検出部である回数検出センサ62が設定枚数の切断がなされないと検出する。この場合、図12に示すように、把持動作に移行せず、非常信号がスイッチボックス65により食肉盛付装置ユニットS2の稼働を停止する。また、トラブルだけでなく、食肉切断装置101は定期的に切断刃の自動研磨が行われることがあり、切断中に切断動作が止まることがある。この切断回数を回数検出センサが連続的に検出しない場合も回数検出センサ62が検知し、自動研磨が終了し、切断が再開されるまで食肉盛付ユニットS2の稼働を止める。
【符号の説明】
【0104】
S1…食肉切断搬送ユニット、S2…食肉盛付ユニット、
101…食肉切断装置、102…肉箱(相対運動部)、103…切断刃(相対運動部)、110…搬送コンベヤ、
5…ガイド部、5a…傾斜面、10…食肉盛付装置、11…搬送部、15…把持位置、17…撮影位置、30…把持機構、32…棒体、33…基端部、35…底面、35a…中央点、36…湾曲面、36a…仮想直線、36b…交点、37…傾斜面、40…押圧体、44…押圧部、50…移動機構、51…上昇移動部、52…スライド移動部、
61…第1の撮影部(第1の検出部)、62…回数検出センサ(第2の検出部)、63…カラーセンサ(第3の検出部)、64…第2の撮影部(第4の検出部)、65…スイッチボックス、
71…盛付容器、72…盛付位置、74…押下体、
2S…肉群、2Sa…盛付方向側端部、2Sb…反対側端部、2Sc…中央部。
図1
図2
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図13