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特開2022-74998ボール搭載用マスクの製造方法、及び、配線基板の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022074998
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】ボール搭載用マスクの製造方法、及び、配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20220511BHJP
   B23K 3/06 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
H05K3/34 505A
H05K3/34 505D
B23K3/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185505
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 啓司
(72)【発明者】
【氏名】杉山 雄蔵
(72)【発明者】
【氏名】須田 弘幸
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AC01
5E319BB04
5E319CC33
5E319CD26
5E319GG09
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】ボール搭載不良が抑制されるボール搭載用マスクの製造方法の提供。
【解決手段】実施形態のボール搭載用マスクの製造方法は、ボール搭載用開口111、及び、アライメント用開口112を有するマスク本体110を用意することと、マスク本体110の一方の面にシール部材120を設けることによりアライメント用開口112を閉塞することと、を含んでいる。アライメント用開口112を閉塞することは、透光性を有するシール部材120を、接着層121を介在させてマスク本体110の一方の面に貼付することを含んでいる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボール搭載用開口、及び、アライメント用開口を有するマスク本体を用意することと、前記マスク本体の一方の面にシール部材を設けることにより前記アライメント用開口を閉塞することと、を含む、ボール搭載用マスクの製造方法であって、
前記アライメント用開口を閉塞することは、透光性を有するシール部材を、接着層を介在させて前記マスク本体の一方の面に貼付することを含んでいる。
【請求項2】
請求項1記載の製造方法であって、前記アライメント用開口を閉塞することは、前記接着層に前記アライメント用開口よりも大きい開口を形成し、平面視において前記開口内に前記アライメント用開口が収まるように、前記シール部材と前記マスク本体との間に前記接着層を介在させることを含んでいる。
【請求項3】
請求項2記載の製造方法であって、前記接着層の前記開口は、前記アライメント用開口と略同形状に形成される。
【請求項4】
請求項2記載の製造方法であって、前記接着層の前記開口の周縁と前記アライメント用開口の周縁とは、500μm以上離間する。
【請求項5】
請求項1記載の製造方法であって、前記接着層が有する厚さは、前記ボール搭載用マスクを用いて搭載されるボールの半径より小さい。
【請求項6】
請求項1記載の製造方法であって、前記接着層は、平面視において前記接着層の外周縁が前記シール部材の外周縁の内側に位置するように設けられる。
【請求項7】
請求項1記載の製造方法であって、相互に貼着する前記シール部材と前記接合層とが、一体的に前記マスク本体に貼付される。
【請求項8】
請求項1記載の製造方法であって、前記接着層は、前記マスク本体から剥離した後に再貼付可能な材料を用いて形成されている。
【請求項9】
複数の接続パッド及びアライメントマークが形成された第1面を有する基板を用意することと、
前記第1面に、請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されるボール搭載用マスクを、前記アライメント用開口及び前記アライメントマークを用いて設置することと、
複数のボールを前記ボール搭載用開口内に落とし込むことで、前記ボールを前記接続パッド上に搭載することと、
を含む、配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール搭載用マスクの製造方法、及び、ボール搭載用マスクを使用した配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多層プリント配線板の表面に形成された複数の接続パッドに、複数の開口を有するボール搭載用マスクを使用して、半田ボールを搭載する方法が開示されている。ボール搭載用マスクの多層プリント配線板と反対側に設けられているアラインメントカメラによって、多層プリント配線板表面のアライメントマークが認識されることで、ボール搭載用マスクと多層プリント配線板との相対的な位置が調整されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-41464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている半田ボールの搭載方法に使用されるボール搭載用マスクには、アライメントマークをアライメントカメラで認識し得るようにする開口が設けられていない。ボール搭載用マスクと多層プリント配線板との位置の調整を正確に行い難いと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のボール搭載用マスクの製造方法は、ボール搭載用開口、及び、アライメント用開口を有するマスク本体を用意することと、前記マスク本体の一方の面にシール部材を設けることにより前記アライメント用開口を閉塞することと、を含んでいる。前記アライメント用開口を閉塞することは、透光性を有するシール部材を、接着層を介在させて前記マスク本体の一方の面に貼付することを含んでいる。
【0006】
本発明の配線基板の製造方法は、複数の接続パッド及びアライメントマークが形成された第1面を有する基板を用意することと、前記第1面に、上述の製造方法によって製造されるボール搭載用マスクを、前記アライメント用開口及び前記アライメントマークを用いて設置することと、複数のボールを前記ボール搭載用開口内に落とし込むことで、前記ボールを前記接続パッド上に搭載することと、を含んでいる。
【0007】
本発明の実施形態のボール搭載用マスクの製造方法によれば、基板に対して正確に位置合わせされ得るボール搭載用マスクが製造され得る。また、本発明の実施形態の配線基板の製造方法によれば、ボール搭載不良の発生が抑制される、品質の高い配線基板の製造方法が実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を説明する断面図。
図1B】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を説明する上面図。
図2A図1Aに示される断面図の部分拡大図。
図2B図1Bに示される上面図の部分拡大図。
図3】本発明の一実施形態の、ボール搭載用マスクの製造方法を示す断面図。
図4A】本発明の一実施形態の、ボール搭載用マスクの製造方法を示す断面図。
図4B】本発明の一実施形態の、ボール搭載用マスクの製造方法を示す上面図。
図5A】本発明の一実施形態の、ボール搭載用マスクの製造方法を示す断面図。
図5B】本発明の一実施形態の、ボール搭載用マスクの製造方法を示す上面図。
図6A】本発明の一実施形態の、ボール搭載用マスクの製造方法を示す断面図。
図6B】本発明の一実施形態の、ボール搭載用マスクの製造方法を示す上面図。
図7A】本発明の一実施形態の、ボール搭載用マスクの製造方法を示す断面図。
図7B】本発明の一実施形態の、ボール搭載用マスクの製造方法を示す上面図。
図8A】本発明の一実施形態の、ボール搭載用マスクの製造方法を示す断面図。
図8B】本発明の一実施形態の、ボール搭載用マスクの製造方法を示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態が図面を参照して説明される。先ず、本発明の一実施形態である配線基板の製造方法について、図1A図2Bを参照して説明される。実施形態の配線基板の製造方法は、いわゆる振り込み方式による、基板上へのボール搭載方法を含んでいる。振り込み方式は、導電性の金属を含むボール(例えば、半田ボール、又は、金属ボールに半田めっきを施したボール)を、開口部を有するマスクの開口部に落とし込む(振り込む)ことによって、基板(例えば、プリント配線板)表面に設けられているパッド上に搭載する方法である。
【0010】
図1Aに例示されるボール搭載方法では、ボールSBが、基板10の表面に形成されている導電性の接続パッド11上へ、ボール搭載用マスク100に形成されているボール搭載用開口111を介して落とし込まれる。
【0011】
図示される例において、基板10は、例えば、周知のビルドアップ法により複数の絶縁層と導体層とが交互に積層された多層プリント配線板である。多層プリント配線板の導体層は適切な導電性を備える任意の材料を用いて形成され、絶縁層は絶縁性樹脂を用いて形成され得る。基板10は、その厚さ方向における一方側の最も外側の導体層14に複数の接続パット11を有している。基板10の導体層14上には被覆層13が設けられている。被覆層13に形成されている開口から接続パッド11が露出している。被覆層13は感光性の樹脂を使用して形成されるソルダーレジスト層であり得る。
【0012】
なお、図1Aにおいて、基板10における導体層14から下側の層である基部10Bにおける、基板10を構成する導体層及び絶縁層は省略されている。基板10の導体層14及び被覆層13で構成される表面は、本明細書において説明のために第1面10Fと称される。図1Bには、図1Aに示される、基板10上に設置されているボール搭載用マスク100の上面図が示されている。図1Aに示されるボール搭載用マスク100の断面は、図1BにおけるA-A線に沿った断面である。
【0013】
実施形態の配線基板の製造方法におけるボール搭載方法では、先ず、用意される基板10の導体層14が設けられている第1面10F側に、ボール搭載用マスク100が設置される。基板10上に設置されるボール搭載用マスク100は、マスク本体110を有している。マスク本体110には、基板10の複数の接続パッド11に対応する、複数のボール搭載用開口111が形成されている。
【0014】
ボール搭載用マスク100は、平面視においてボール搭載用開口111と接続パッド11とが重なるように基板10上に配置される。具体的には、マスク100が設置されている側からの平面視において、マスク本体110のボール搭載用開口111内に、接続パッド11の被覆層13から露出する部分が露呈するように、ボール搭載用マスク100が配置される。なお、「平面視」とは、ボール搭載用マスク100が設置された状態の基板10を、その厚さ方向に沿った視線で見ることを意味している。
【0015】
なお、詳しくは後述するように、ボール搭載用マスク100の第1面10Fへの設置においては、基板10が有するアライメントマーク12が利用される。平面視において、アライメントマーク12がマスク本体110に形成されているアライメント用開口112内に露呈するように、基板10とボール搭載用マスク100との相対的な位置が調整される。ボール搭載用マスク100がアライメント用開口112を有することで、アライメントマーク12をアライメント用開口112内の所望の位置に正確に配置することが可能となり得る。ボール搭載用マスク100のマスク本体110に形成されているアライメント用開口112における基板10と反対側は、透光性を有するシール部材120で閉塞されている。シール部材120は接着層121を介してマスク本体110に貼付されている。
【0016】
次いで、基板10の第1面10F上にボール搭載用マスク100が設置された状態で、複数のボールSBがボール搭載用マスク100上に載置される。ボール搭載用マスク100が有するボール搭載用開口111の数より多いボールSBがボール搭載用マスク100上に載置される。そして、ボール搭載用マスク100上の複数のボールSBは、例えば、スキージーやブラシなどの適切な手段によって、マスク本体110上をスイープされる。
【0017】
図示の例では、スキージーSTによってボールSBがボール搭載用マスク100上を矢印の方向にスイープされる。その結果、ボールSBがマスク本体110のボール搭載用開口111内に落とし込まれ、基板10の接続パッド11上に載置される。なお、接続パッド11の表面には、ボール搭載用マスク100が第1面10F上に設置される前に、粘性を有するフラックスが塗布されていることが好ましい。
【0018】
実施形態の配線基板の製造方法におけるボール搭載方法においては、ボール搭載用マスク100がアライメント用開口112を有していることにより、ボール搭載用マスク100と基板10との位置合わせがより正確に行われ得る。アライメント用開口112にボールSBが落ち込む虞が考えられるが、実施形態の配線基板の製造方法で使用されるボール搭載用マスク100のアライメント用開口112は、接着層121を介してマスク本体110に貼付されるシール部材120によって閉塞されている。従って、ボール搭載用マスク100上へのボールSBの載置する際、及び、複数のボールSBをスイープしてボール搭載用開口111内に落とし込む際に、ボールSBがアライメント用開口112内に落ち込む虞がない。基板10に不要なボールSBが載置されることが防止され得る。なお、図示の例において、接着層121は平面視においてアライメント用開口112の外側に配置されている。接着層121は、図1Bにおけるシール部材120の外形(周縁)を示す実線と1点鎖線で示される接着層121の内側の周縁との間の領域において、シール部材120とマスク本体110との間に介在している。すなわち、接着層121はアライメント用開口112を避けて配置されている。
【0019】
なお、シール部材120とマスク本体110との間に設けられている接着層121の厚さは、ボールSBの半径よりも小さい厚さを有することが好ましい。接着層121の厚さがボールSBの半径よりも小さい場合、ボール搭載用マスク100上のボールSBが接着層121の側面に接触する虞が低減され得る。ボールSBへの接着層121が有する成分の付着が防止され、より良好なボールの搭載が実現され得る。同様の観点から、接着層121は、平面視において、接着層121の外周縁がシール部材120の外周縁の内側に位置するように配置されていることが好ましい場合がある。
【0020】
本実施形態の配線基板の製造方法におけるボール搭載方法によって基板10へ搭載されるボールSBの寸法は特に限定されない。また、ボール搭載用マスク100に設けられるボール搭載用開口111の寸法はボールSBを通過させて接続パッド11上に載置し得る寸法であればよく、その形状も特に限定されない。例えば、具体的には、ボールSBは40μm~100μm程度の直径を有し得る。この場合、シール部材120は、15μm以下の厚さを有する接着層121によって、マスク本体110に貼付され得る。
【0021】
ボール搭載用マスク100に形成されている、すべてのボール搭載用開口111内にボールSBが落とし込まれることで、ボールSBの接続パッド11上への載置が完了する。ボール搭載用マスク100上に残留する余剰のボールSBはボール搭載用マスク100上から除去される。
【0022】
次いで、ボール搭載用マスク100と基板10とが分離される。基板10の接続パッド11上に搭載されたボールSBは、基板10が所定の温度で所定時間加熱されるリフロー処理によって溶融される。ボールSBと接続パッド11とが界面接合し、ボールSBの搭載が完了した配線基板が提供される。なお、リフロー処理は、ボール搭載用マスク100が基板10に設置された状態で行われてもよい。
【0023】
以下、図1A及び図1Bを参照して上述されたボール搭載方法における、ボール搭載用マスク100と基板10との相対的な位置の調整について、図2A及び図2Bが参照されて詳述される。図2Aには、図1Aの断面図において1点鎖線で囲まれる、アライメントマーク12及びアライメント用開口112近傍の、領域IIの拡大図が示されている。図2Bには、図2Aに示される領域の上面図が示されている。図2Bには、平面視における、シール部材120の外周縁120op、接着層121の内側の周縁121op、アライメント用開口112の周縁112op、及びアライメントマーク12の外周縁12op、の位置関係が示されている。シール部材120の外周縁120opは実線で示され、接着層121の内側の周縁121opは1点鎖線で示され、アライメント用開口112の周縁112opは破線で示され、アライメントマーク12の外周縁12opは2点鎖線で示されている。
【0024】
実施形態の配線基板の製造方法のボール搭載方法における、基板10とボール搭載用マスク100との相対的な位置の調整においては、アライメントカメラACによって基板10のアライメントマーク12が認識される。認識されるアライメントマーク12が、アライメント用開口112内における所定の位置に調整されることで、基板10とボール搭載用マスク100との相対的な位置が調整される。
【0025】
図示の例では、アライメントマーク12は、円形の平面形状を有している。アライメントマーク12がアライメントカメラACによって認識され、アライメントマーク12の中心位置が算出される。アライメント用開口112の中心位置と、アライメントマーク12の中心位置とを一致させるために必要な補正量が算出され、この補正量に従ってボール搭載用マスク100と基板10との相対的な位置が調整され得る。
【0026】
実施形態の配線基板の製造方法に含まれるボール搭載方法においては、マスク本体110に形成されているアライメント用開口112が透光性を有するシール部材120によって閉塞されている。アライメントカメラACはシール部材120を透過する透過光を認識することによってアライメントマーク12を認識する。従って、シール部材120としては、良好な透光性(例えば、可視光の透過率が高い)を有するものが望ましい。また、シール部材120は、表面で光散乱が発生しにくいように、その表面が比較的平坦性高く形成されていることが好ましい。
【0027】
また、シール部材120の、平面視においてアライメント用開口112と重なる領域には、異物の付着などによる汚れがないことが望まれる。シール部材120の汚れなどにより光の透過が阻害されると、アライメントカメラACにおいて、アライメントマーク12及びアライメント用開口112の位置の誤認識が起こり得る。アライメントマーク12及びアライメント用開口112の位置の誤認識はボール搭載用マスク100と基板10との位置決め不良の原因となり得る。ボール搭載用マスク100と基板10との位置決め不良は、ボール搭載用開口111の接続パッド11に対する位置のズレを引き起こし得る。結果的に、ボールSBが接続パッド11へ搭載されない事態が引き起こされ得る。
【0028】
図示の例においては、シール部材120とマスク本体110との間に介在する接着層121が、アライメント用開口112を避けて配置されている。具体的には、接着層121には、周縁121opによって画定される、アライメント用開口112よりも大きい開口が設けられている。接着層121は、平面視において、周縁121opによって画定される開口内にアライメント用開口112が収まるように配置されている。従って、平面視における、アライメント用開口112の周縁112opの内側の領域内に、異物が付着する虞が小さい。図示の例では、アライメント用開口112は円形の平面形状を有しており、接着層121に設けられる開口も略同形状に形成されている。平面視における、アライメント用開口112の周縁112opと接着層121の開口の周縁121opとの最短距離は、接着層121に付着し得る異物などの汚れがアライメント用開口112内に露出することを防ぐ観点から、500μm以上であることが好ましい。
【0029】
アライメント用開口112の内側の領域に接着層121が延在している場合には、アライメント用開口112内に露出する接着層121に汚れが付着しやすい。特に、ボール搭載用マスク100が基板10に設置された状態で、接続パッド11へボールSBを接合させるリフロー処理が行われる場合には、アライメントマーク12の表面上にも塗布され得るフラックスに含まれる成分が揮発して接着層121に付着し得る。図示の例のボール搭載方法では、接着層121がアライメント用開口112内に露出しない構成を有している。従って、基板10とボール搭載用マスク100と間における、精度の高い良好な位置決めが実現され得る。接続パッド11上へのより正確なボール搭載が実現され得るボール搭載方法を含む配線基板の製造方法が提供される。
【0030】
次いで、本発明の一実施形態であるボール搭載用マスクの製造方法が、図3図8Bを参照して説明される。実施形態のボール搭載用マスクの製造方法では、ボール搭載用開口、及び、アライメント用開口を有するマスク本体が用意される。マスク本体が有するアライメント用開口は、透光性を有するシール部材が接着層を介してマスク本体の一方の面に貼付されることによって閉塞される。以下、前述のボール搭載方法において使用されるボール搭載用マスク100を例にして、ボール搭載用マスク100の製造方法が説明される。
【0031】
図3に示されるように、ボール搭載用マスク100は、用意されたマスク本体110のアライメント用開口112の一方を閉塞するように、接着層121を介在させたシール部材120を貼付することによって形成される。マスク本体110には、例えば、ステンレス、銅合金、又はニッケル合金などの金属製の板状体が用いられ得る。板状体へのボール搭載用開口111及びアライメント用開口112の形成には、板状体表面への開口を有するレジストの形成、及び、開口内に露出する板状体を除去するエッチングが使用され得る。板状体へのボール搭載用開口111及びアライメント用開口112の形成には、レーザー加工、又は、ドリル加工が用いられてもよい。
【0032】
用意されたマスク本体110に貼付されるシール部材120及び接着層121は、以下、図4A図8Bを参照して説明される手順を利用して形成され得る。先ず、図4Aの上面図、及び、図4Bの断面図に示されるように、基材BSと、基材BSの片面に設けられる接着層121と、接着層121の基材BSが設けられている側の反対側に貼合されるカバーフィルム122とからなるシートSEが用意される。接着層121には、透光性を有するアクリル系の粘着剤が用いられることが好ましく、接着層121は非変色性において良好な性質を有することがさらに好ましい。
【0033】
続いて、図5A及び図5Bに示されるように、シートSEに開口OPが形成される。開口OPは、マスク本体110に形成されるアライメント用開口112をその内側に収容し得る寸法に形成される。開口OPは、その形状が、アライメント用開口112の形状と略同形状を有するように形成され得る。図示の例は、アライメント用開口112が円形の平面形状を有する場合であって、シートSEに形成される開口OPも円形に形成されている。なお、接着層121の開口OPに対応する部分は、前述のボール搭載用マスク100における、接着層121の内側の周縁121opに相当する。アライメント用開口112及び開口OPが円形である場合には、開口OPの半径は、アライメント用開口112の半径よりも少なくとも500μm以上大きく形成され得る。
【0034】
続いて、図6A及び図6Bに示されるように、基材BSが接着層121から剥離されて除去される。接着層121のカバーフィルム122と反対側の面が露出する。
【0035】
続いて、図7A及び図7Bに示されるように、接着層121の基材BSが剥離された側(カバーフィルム122と反対側)に、シール部材120が貼着される。シール部材120により開口OPの一方側が閉塞される。シール部材120は透光性に優れる、例えば、ポリエステル又はポリエチレンテレフタラートなどの透明な合成樹脂基材である。なお、一旦接着層121から剥離されて除去された基材BSが、再度シール部材120として貼着されてもよい。この場合、基材BSには上述の透明な合成樹脂基材が用いられ、その開口OPが形成されていない部分が接着層121の周縁121opを閉塞するように再貼着される。ボール搭載用マスク100の製造コストを抑制できることがある。
【0036】
続いて、図8A及び図8Bに示されるように、シール部材120が有するべき外形、すなわちシール部材120の外周縁120opに沿った形状に、シール部材120、接着層121、及びカバーフィルム122が切り抜かれて摘出される。シール部材120、接着層121、及びカバーフィルム122が積層されたシートは任意の形状に切り抜かれ得る。図示の例では、接着層121の内側の周縁121opと同心の円形の外周縁120opに沿って切り抜かれる例が示されている。
【0037】
次いで、接着層121からカバーフィルム122が剥離される。カバーフィルム122の剥離によって露出する接着層121のシール部材120と反対側の面が、マスク本体110に貼付される(図3)。すなわち、シール部材120が接着層121を介してマスク本体110に貼付される。シール部材120と接着層121とが一体的に、マスク本体110に貼付され得る。その結果、マスク本体110のアライメント用開口112はシール部材120によって閉塞され、ボール搭載用マスク100の製造が完了する。
【0038】
シール部材120のマスク本体110への貼付においては、アライメント用開口112が接着層121の内側の周縁121op内に収まるように位置決めされ得る。換言すれば、接着層121がアライメント用開口112内に露呈しない位置に配置され得る。シール部材120がマスク本体110に貼付された状態で、接着層121の内側の周縁121opとアライメント用開口112の周縁112opとの距離は500μm以上離間するように配置され得る。
【0039】
実施例においては、アライメント用開口112の平面形状、及び、接着層121の内側の周縁121opの平面形状は、略同形状の円形とされる。アライメント用開口112と周縁121opとが略同形状である場合、アライメント用開口112と周縁121opとの相互の位置の調整が容易であり、周縁121op内にアライメント用開口112を収め易くなることがある。接着層121がアライメント用開口112内に露呈する状態の発生が抑制され得る。
【0040】
シール部材120とマスク本体110との間に介在する接着層121には、マスク本体110から剥離した後に、マスク本体110に対して再貼付可能な材料が用いられることが望ましい。シール部材120がマスク本体110における望ましくない位置(例えば、接着層121がアライメント用開口112内に露呈する位置)に貼付された場合、望ましい位置に貼り直すことが可能となる。また、接着層121の厚さは、先述したボール搭載方法における搭載不良を抑制するために、ボール搭載用マスク100を利用して搭載され得るボールSBの半径よりも小さい厚さに形成され得る。また、接着層121は、その外周縁がシール部材120の外周縁120opの内側に位置するように形成されてもよい。この場合、図8A、及び、図8Bに示される工程の後、カバーフィルム122と接着層121との外周がカバーフィルム122側から切り抜かれることで除去され得る。
【0041】
実施形態の配線基板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されない。ボール搭載方法においてボールをボール搭載用開口へ落とし込む方法は、気体の吹き付けなどのボールへの機械的接触のない方法が用いられてもよい。また、使用されるボール搭載用マスクは複数のサイズの異なるボール搭載用開口を有するものであってよく、このボール搭載用マスクを使用して寸法の異なるボールを基板上に搭載してもよい。
【0042】
また、実施形態のボール搭載用マスクの製造方法は、各図面を参照して先に説明された方法に限定されず、製造されるボール搭載用マスクの構造も、各図面に例示される構造、ならびに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。例えば、マスク本体に使用される板状体は複数の板状体を積層することによって形成されてよい。また、シール部材の表面には異物の付着を防止するために、帯電防止剤のコーティングなどの帯電防止処理が施されてもよい。先に説明された製造方法の条件や順序などは適宜変更され得る。現に製造されるボール搭載用マスクの構造に応じて、一部の工程が省略されてもよく、別の工程が追加されてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 基板
11 接続パッド
12 アライメントマーク
13 被覆層
14 導体層
10F 第1面
100 ボール搭載用マスク
110 マスク本体
111 ボール搭載用開口
112 アライメント用開口
120 シール部材
121 接着層
122 カバーフィルム
OP 開口
BS 基材
ST スキージー
AC アライメントカメラ
SB ボール
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B