(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075008
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】家庭用マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220511BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185521
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】720007475
【氏名又は名称】文屋 栄悦
(72)【発明者】
【氏名】文屋栄悦
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA12
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】目が不自由な者、視覚に障害を有する者及び老若男女全ての晴眼者に対するマ
スクの裏表の確認が簡単にできる新たな確認手段を有する家庭用マスクの提供。
【解決手段】布部の一部に高さが0.1ミリメートル以上5ミリメートル以下、一の底面
の面積が0.5平方センチメートル以上10平方センチメートル以下の突起物を1個又は
複数個施すことで、指などによる突起物の触知、目視によるマスクの裏表の確認が簡単に
できることとなり、裏表を間違えたマスクの着用は大幅に是正される。その結果、家庭用
マスクを着用する多くの者は、マスクが本来有する最大の機能・効果を十分に享受できる
こととなり、ひいては、今般の新型コロナウイルス感染防止対策において、極めて有効か
つ重要な役割を果たしていくこととなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布部の表側の上下左右のいずれかの端の隅部又は縁部に突起物が突出していることを
特徴とする家庭用マスク。
【請求項2】
前記の突起物は、高さが0.1ミリメートル以上5ミリメートル以下であることを特徴
とする請求項1に記載の家庭用マスク。
【請求項3】
前記の突起物は、1個又は複数個から構成され、突起物1個当たりの一の底面の面積が
0.5平方センチメートル以上10平方センチメートル以下であることを特徴とする請求
項1又は請求項2に記載の家庭用マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般社団法人日本衛生材料工業連合会で、[天然繊維・化学繊維の織編物ま
たは不織布等を主な本体材料として、口と鼻を覆う形状で、花粉、ホコリなどの粒子が体
内に侵入するのを抑制、またかぜなどの咳やクシャミの飛沫が体内外に侵入、飛散するの
を抑制することを目的に使用される、薬事法に該当しない衛生用品と言う。」と定義され
ている家庭用マスク(以下「家庭用マスク」という。)において、マスクの裏表の確認が
困難な目視だけとなっている今日の確認手段以外の判りやすい簡単なマスクの裏表の新
たな確認手段の開発・提供に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、花粉対策、風邪対策、そして、ウイルス対策などから、マスクの需要は年々高ま
りを見せている。加えて、今般の新型コロナウイルス感染防止対策の一つとして、マスク
着用が強く求められていることなどから、今日、マスクは、全世界の人々の安心・安全な
生活にとって極めて重要な機能を担う衛生用品となっており、マスク着用の重要性は、今
後尚一層の高まりを見せていくものと思われる。
【0003】
外出先で、家庭用マスクの場合、裏表を間違って着用している人をよく見かける。新日
本ビルサービス株式会社のSNB感染対策情報局「新型コロナウイルス対策サポート特設
ページ」では、2020年5月29日のデータとして、100人中32人が、約3人に1
人がマスクの裏表を間違えていましたとの内容が紹介されている。
因みに、発明者が、2020年8月18日、宮城県内のM病院の待合室、道の駅Sの2
箇所で家庭用マスクの正しい着用状況についてモニタリング調査を実施したところ、M病
院にあっては50人中12人が、道の駅Sにおいては50人中23人がマスクの裏表を間
違えており、両地点ともマスクの裏表の間違った着用者が少なくないことが頷ける結果と
なった。
【0004】
然らば、店頭に並ぶ家庭用マスクの表裏の正しい使い方に関する表示等はどうなってい
るのかについて、薬局、ホームセンター等で販売されている7点を抽出、確認してみたと
ころ、その結果は次のとおりであった。
商品1 商品名 3層構造不織布マスク(外国産) 耳ひもがついている方が顔側
商品2 商品名 ノーズフィット(国産) 耳ひもが接着されている方が外側
商品3 商品名 ダブルワイヤーマスク(国産) 耳かけゴムがついている方が外側
商品4 商品名 接触冷感ひんやりマスク(国産) 記載なし
商品5 商品名 不織布マスク(国産) 記載なし
商品6 商品名 立体型不織布マスク(国産) 耳ひもがついている方が外側
商品7 商品名 不織布マスク(国産) プリーツが下向きとなっている方が表
このように、店頭等に並ぶマスクの表裏の正しい使い方に関する表示等については、全く
記載されていないもの、パッケージ(外箱)にひもが付けてある方が顔側、プリーツが下
向きとなっている方が表と記載されていることなどが確認できた。
【0005】
これらのことから、今日の家庭用マスクの裏表の確認方法は、パッケージ(外箱)にマ
スクの裏表について表示が一切されていないものは確認の術がなく、他方、表示されてい
る場合であっても、記載されている文字は小さく、判読が困難なこと、また、例えば耳ひ
もがついている方が顔側と表示されているものの、ひもが付いている場所そのものの見極
めが必ずしも明確でないものも少なくなく、結果として、判りづらい目視のみの確認とな
っている。
【0006】
更に、家庭用マスクの裏表を間違って着用した場合のデメリットについては、テレビの
生活情報番組、企業の健康情報サイト等において、裏表を正しく使わないとウイルスや花
粉などがマスクに付着しやすくなること、また、マスク本来の効果が損なわれることなど
種々紹介されており、これらのデメリットは、今後、尚一層の推進強化が求められる新型
コロナウイルス感染防止対策の観点からも、とても憂慮されるところである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】一般社団法人日本衛生材料工業連合会「不織布マスクの性能と使用時の注意」
【非特許文献2】http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20200610/index.html「使い捨ての不織布マスク、表裏ちゃんとつければより快適に!」
【非特許文献3】https://www.tamagawa-eizai.co.jp/tamacarelab/healthcare/71「マスクの裏表の見分け方とは。間違ってつけたときのデメリットってあるの?」
【非特許文献4】http://www.snb.co.jp/ics/2020/06/04/mask-2/「いまさら聞けない!正しいマスクの使い方」
【非特許文献5】日本工業規格JIS S0011:2013 高齢者・障害者配慮設計指針-消費生活用製品における凸点及び凸バー
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
家庭用マスクの表裏の正しい使い方についての表示は、上述のとおりであり、その結
果、家庭用マスクの裏表の間違った着用者が少なくない状況につながっていると推察され
る。特に、目視による確認が極めて難しい目の不自由な者、視覚に障害を有する者にとっ
ては、このことは深刻以外の何物でもないと思われる。
これらのことから、家庭用マスクの裏表の確認が判りづらい目視だけとなっている今日
の確認手段以外の判りやすい簡単なマスクの裏表の新たな確認手段の開発・提供は、今般
の新型コロナウイルス感染防止対策の一つとして、マスク着用が強く求められる今日、急
務の課題であるといえる。
【0009】
以上のことから、本発明が解決しようとする課題は、今日、家庭用マスクの裏表の確認
が判りづらい目視だけとなっている確認手段以外の判りやすい簡単なマスクの裏表の新
たな確認手段の開発・提供をすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の家庭用マスクは、布部の表側の上下左右のいずれかの端の隅部又は縁部に突起
物が突出していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の家庭用マスクは、前記の突起物の高さが0.1ミリメートル以上5ミリ
メートル以下であることを特徴とする。
【0012】
更に、本発明の家庭用マスクは、前記の突起物が1個又は複数個から構成され、突起物
1個当たりの一の底面の面積が0.5平方センチメートル以上10平方センチメートル以
下であることを特徴とする。
【0013】
このように、本発明は、家庭用マスク着用者に対して、判りやすい簡単なマスクの裏表
の新たな確認手段の開発・提供をするもので、布部の表側(顔側でない面。以下「表側」
という。)に高さ0.1ミリメートル以上5ミリメートル以下、一の底面の面積が0.5
平方センチメートル以上10平方センチメートル以下である突起物を1個又は複数個施
すことにより、マスク着用者は、指などによる突起物の触知、目視によるマスクの裏表の
認識・確認が簡単にできることとなり、問題点は解決されることとなる。
【発明の効果】
【0014】
家庭用マスクの裏表の確認が判りづらい目視のみとなっている今日の確認手段以外の
判りやすい簡単なマスクの裏表の新たな確認手段が開発・提供されることで、マスクの裏
表の確認が簡単にできることとなり、裏表を間違えた家庭用マスクの着用は大幅に是正さ
れることとなる。
【0015】
また、目が不自由な者、視覚に障害を有する者及び老若男女全ての晴眼者の家庭用マス
ク着用者にとって、マスクの裏表が簡単にできることとなり、簡単な新たな確認手マスク
の正しい着用が可能となる。
【0016】
更に、これらの改善が図られることにより、マスクを正しく着用していることに対するお
互いの安心感、他者のマスク着け間違いの防止につながることなど、今後、マスク着用
が一層強く求められてくるであろう私達の日常・社会生活に、計り知れない安心・安全が
もたらされることとなる。
【0017】
このように、家庭用マスクを着用する多くの者は、マスクが本来有する最大の機能・効
果を十分に享受できることとなり、ひいては、今般の新型コロナウイルス感染防止対策に
おいて、極めて有効かつ重要な役割を果たしていくこととなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る家庭用マスクの表側に高さが1ミリメートルの突起物1個を施す場合の正面図及び突起物を施す隅部の一部の拡大図である。
【
図2】本発明に係る家庭用マスクの表側に高さが1ミリメートルの突起物1個を施す場合の右側面図及び突起物を施す隅部の一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明に係る実施例を示す。
図1においては、突起物1個を施す布部の場所は、
マスクでの呼吸に殆ど支障を来さず、かつ、指などの触知がしやすい布部の表側の上下
左右のいずれかの端の隅部又は縁部の場所が望ましいことから、布部の右端下部の端
の隅部としている。
【0020】
突起物1個当たりの高さは、高齢者及び障害のある人を含む全ての人のアクセシビリテ
ィーを向上させる目的で、消費生活用製品における凸点及び凸バーの表示方法及び設計に
ついて規定されているJIS規格S0011:2013(以下「JIS規格S0011」
という。)を参考基準とする発明者の家庭用マスクにおける指などによる突起物の触知に
よる認識に関する複数の実験結果などから、突起物の認識・確認が可能であること、マス
クの脱着・収納等に殆ど影響を及ぼさない0.1ミリメートル以上5ミリメートル以下が
望ましい。本実施例である
図2においては、中でも、認識・確認が容易かつ正確にでき、
マスクの脱着・収納等に殆ど影響を及ぼさない1ミリメートルとしている。
【0021】
突起物の形状は、細菌、ウイルス飛沫や花粉等が付着・堆積しにくい例えば、円柱、角
柱、円錐、角錐、凸点及び凸バーなどが望ましく、かつ、指などによる突起物の触知、目
視による認識・確認が可能であれば、特に限定されることではない。本実施例である
図1
においては、細菌・ウイルス飛沫や花粉等が突起物に付着・堆積しにくく、また、指など
の触知による認識・確認が容易である大きさとするため、等辺15ミリメートルの直角二
等辺三角形の角柱としている。
【0022】
突起物の大きさ、具体的には、突起物1個当たりの一の底面の面積は、指などによる突
起物の触知、目視による認識・確認が可能な大きさでいいこと、また、マスクを着用した
場合、口と鼻が覆われる布部の部分を突起物の底面が塞がず、マスクでの呼吸等に殆ど支
障を来さないという観点から、0.5平方センチメートル以上10平方センチメートル以
下が望ましい。本実施例である
図1においては、中でも、認識・確認が容易かつ正確にで
きる1.125平方センチメートルとしている。
【0023】
また、布部に接しないもう一つの底面に、目視の瞬時の確認を可能とするため、かつ、
マスクにワンポイント的な装飾効果を付与させるため、本実施例である
図1においては、
富士山をモチーフにした山の形のデザインをあしらっている。
【0024】
突起物を布部の上下左右のいずれかの端の隅部又は縁部に施す方法は、縫着又は粘着な
どがある。
【0025】
突起物の素材は、家庭用マスクと同素材の不織布、刺繍や生地・絹織物、更には、シー
ル、ワッペンなどが望ましく、指などによる突起物の触知、目視による認識・確認が可能
であれば、特に限定されることではない。
【符号の説明】
【0026】
1 マスク
2 耳ひも部
3 布部
4 プリーツ部
5 ノーズワイヤー部
6 隅部
7 突起部