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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075038
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】貼付剤及びメントールの析出抑制方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/70 20060101AFI20220511BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20220511BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20220511BHJP
   A61K 47/30 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
A61K9/70 405
A61K47/06
A61K47/04
A61K47/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185565
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 聡之
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA87
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD09
4C076DD28Q
4C076DD29Q
4C076DD37
4C076EE23
4C076FF36
(57)【要約】
【課題】含水ゲル組成物中のメントールの析出が抑制された、含水ゲル組成物と支持体とを有する貼付剤を提供する。
【解決手段】含水ゲル組成物と、支持体とを有する貼付剤であって、
上記含水ゲル組成物が、
(A)メントール0.5~5.0質量%、及び
(B)シリカ及びタルクから選ばれる1種以上を
含有する貼付剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水ゲル組成物と、支持体とを有する貼付剤であって、
上記含水ゲル組成物が、
(A)メントール0.5~5.0質量%、及び
(B)シリカ及びタルクから選ばれる1種以上
を含有する貼付剤。
【請求項2】
含水ゲル組成物が、さらに(C)ノニオン系吸水性高分子化合物を含有する請求項1記載の貼付剤。
【請求項3】
(A)メントール0.5~5.0質量%を含有する含水ゲル組成物と、支持体とを有する貼付剤において、上記含水ゲル組成物に(B)シリカ及びタルクから選ばれる1種以上を配合する、含水ゲル組成物中の(A)メントールの析出抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含水ゲル組成物と、支持体とを有する貼付剤及びメントールの析出抑制方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、湿布に適用される含水ゲルは、水の気化熱により患部を冷却し、また、薬剤を経皮吸収させるために好適な膏体として用いられている。最近では、消炎鎮痛を目的とした貼付剤の他、腕や脚等の疲れやむくみの回復、発熱時の身体の冷却等、冷却を主目的とした貼付剤の基材としても使用されている。
【0003】
一方、l-メントールは清涼化剤として、貼付剤の含水ゲル組成物に配合されるが、析出するという問題があった。特に、高含水ゲルにおいては、析出する傾向があり、析出抑制の技術が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-126341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、含水ゲル組成物中のメントールの析出が抑制された、含水ゲル組成物と支持体とを有する貼付剤及びメントールの析出抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、含水ゲル組成物中のメントール量を特定量にすると共に、(B)シリカ及びタルクから選ばれる1種以上を配合することで、上記課題が解決できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は下記貼付剤とメントールの析出抑制方法を提供する。
1.含水ゲル組成物と、支持体とを有する貼付剤であって、
上記含水ゲル組成物が、
(A)メントール0.5~5.0質量%、及び
(B)シリカ及びタルクから選ばれる1種以上
を含有する貼付剤。
2.含水ゲル組成物が、さらに(C)ノニオン系吸水性高分子化合物を含有する1記載の貼付剤。
3.(A)メントール0.5~5.0質量%を含有する含水ゲル組成物と、支持体とを有する貼付剤において、上記含水ゲル組成物に(B)シリカ及びタルクから選ばれる1種以上を配合する、含水ゲル組成物中の(A)メントールの析出抑制方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、メントールの析出が抑制された含水ゲル組成物を有する貼付剤及びメントールの析出抑制方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
(I)含水ゲル組成物
含水ゲル組成物は(A)l-メントール0.5~5.0質量%以下、及び(B)シリカ及びタルクから選ばれる1種以上を含有する。
【0010】
[(A)成分]
本発明の(A)成分はメントールであり、清涼感を付与するものである。メントールは、l-メントールを用いることができるが、l-メントールを含む精油、例えばペパーミント油等を用いることもできる。また、市販品を用いることもでき、合成l-メントール(高砂香料(株)製)、天然l-メントール(小城製薬(株)製)等が挙げられる。
【0011】
(A)成分の含有量は、清涼感の点から、含水ゲル組成物中0.5質量%以上であり、皮膚刺激抑制の点から、5.0質量%以下であり、0.6~3.0質量%が好ましく、0.7~2.5質量%がより好ましい。
【0012】
[(B)成分]
本発明の(B)成分は、シリカ及びタルクから選ばれる1種以上であり、1種単独で又は2種を組み合わせて用いることができる。(B)成分を配合することで、(A)メントールの析出を抑制することができる。析出抑制の点から、シリカ単独又は、シリカとタルクとを併用することが好ましい。
【0013】
シリカとしては、市販品を用いることができ、球状シリカと非球状シリカのどちらも用いることができる。球状シリカと非球状シリカの区別は、球状(平均円形度が0.6以上)のものを球状シリカ、これに含まれないものを全て非球状シリカとする。平均円形度が0.6~1.0のシリカが好ましく、0.8~1.0のシリカがより好ましい。具体的には球状シリカとして、AGCエスアイテック(株)製サンスフェアH-121(平均円形度:0.9、平均粒子径:12μm)、サンスフェアH-122(平均円形度:0.9、平均粒子径:12μm)、サンスフェアH-201(平均円形度:0.9、平均粒子径:20μm)、サンスフェアNP-30(平均円形度:0.9、平均粒子径:4μm)、鈴木油脂製ゴッドボールB-6C(平均円形度:0.9、平均粒子径:2~2.5μm)、ゴッドボールE-16C(平均円形度:0.9以上、平均粒子径:4~5.3μm)等が挙げられる。非球状シリカとしては、富士シリシア化学(株)製サイリシア730(平均粒子径:4.0μm)、サイリシア550(平均粒子径:3.9μm)等が挙げられる。
【0014】
なお、本発明における平均円形度とは、シリカ粒子の走査型電子顕微鏡写真をもとに、円形度測定装置、例えば、〔本体:島津製作所株式会社製、画像解析ソフトウェア:Win ROOF、三谷商事株式会社製〕を用いて画像処理(二値化処理)した後、該処理画像の粉体粒子の面積及び周囲長を測定して算出した円形度の平均値である。円形度は、下記式で表され、円形度が1に近いほど真円に近いことを示す。なお、複数の粒子が重なっている場合は、個別に認識せずに凝集体を1つとして認識する場合があり、濃淡のある粒子は陰の部分を認識しないため、明確な輪郭のあるシリカ粒子のみを代表粒子として測定する。
【数1】
【0015】
タルクの平均粒子径は8μm以上40μm未満が好ましい。なお、本発明における平均粒子径とは、スライドガラス上に微量のサンプルを乗せ、デジタルマイクロスコープ(例えば、株式会社キーエンス製、VHX-1000)で視野を移動しつつ凝集していない粒子10個を選んで、スケールを用いて粒子像の直径を測定し平均値を算出することができる。タルクは市販品を用いることができ、浅田製粉(株)製SW-特(平均粒子径:23μm)、SW-A(平均粒子径:20μm)、JA-13R(平均粒子径:8μm)、JA-24R(平均粒子径:9μm)、JA-46R(平均粒子径:11μm)、JA-68R(平均粒子径:9μm~12μm)、JA-80R(平均粒子径:10μm~14μm)、日本タルク(株)製MS-P(平均粒子径:15μm)、ローズタルク(平均粒子径:17μm)、C-R1(平均粒子径:11μm)、松村産業株式会社製クラウンタルク局方(平均粒子径:10μm)等が挙げられる。
【0016】
(B)成分の含有量は、(A)メントールの析出抑制の点から、含水ゲル組成物中0.5質量%以上が好ましく、含水ゲル組成物の保形性及び粘着力の点から、4.0質量%以下が好ましく、1.0~3.0質量%がより好ましい。なお、この量は、シリカ及びタルクの合計量である。シリカの含有量は、0.5~3.0質量%が好ましく、0.5~2.0質量%がより好ましい。タルクの含有量は、0.5~3.0質量%が好ましく、0.8~1.0質量%がより好ましい。
【0017】
(A)/(B)で表される質量比は0.2~1.5が好ましく、0.3~1.0がより好ましい。下限以上であれば、清涼感が良好であり、上限以下であれば、析出抑制効果がより向上する。
【0018】
[(C)成分]
含水ゲル組成物には、含水ゲル組成物の保形性、保水性向上の点から、さらに(C)ノニオン系吸水性高分子化合物を配合することが好ましい。ノニオン系吸水性高分子化合物としては、ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂等の変性ポリアルキレンオキサイド、N-ビニルアセトアミド架橋体、アクリルアミド架橋体等が挙げられ、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
(C)成分の含有量は、保形性及び保水性向上の点から、0.1質量%以上が好ましく、粘着力向上の点から、30質量%以下が好ましく、0.5~15質量%がより好ましい。
【0020】
含水ゲル組成物の水分含有量は、冷却力の点から、含水ゲル層中40質量%以上が好ましく、保形性の点から、90質量%以下が好ましく、65~85質量%がより好ましい。
【0021】
含水ゲル組成物の25℃におけるpHは、粘着力の点から、6以下であり、3.5~5.5が好ましく、4.0~5.0がより好ましい。pHが高すぎると粘着力が悪くなるおそれがある。
【0022】
本発明の含水ゲル組成物は、ポリアクリル酸及びその塩と、セルロース誘導体とを含有するマトリックスに架橋剤、特に水難溶性多価金属塩架橋剤を添加してゲル化した含水ゲル組成物が好適である。さらに、他の高分子化合物をマトリックス基材に含有すると、使用感がよい粘着剤(含水ゲル組成物)が得られるので、より好ましい。
【0023】
[ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる1種以上]
ポリアクリル酸としては、直鎖状、分岐鎖状等のいずれも使用可能である。重量分子量は1万~1,000万のものを用いることが好ましく、重量平均分子量が1万以上50万未満、50万以上200万未満、200万~400万の重量平均分子量を有するポリアクリル酸を2種以上組み合わせると、使用感が向上するので好適である。なお、通常のアクリル酸を重合して得られた重合体の他、カーボポール(商品名:米国グッドリッチ社製)等のアクリル酸重合体を一部架橋したものも好適に使用し得る。
【0024】
また、ポリアクリル酸塩としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム等のポリアクリル酸の一価金属塩、ポリアクリル酸モノエタノールアミン、ポリアクリル酸ジエタノールアミン、ポリアクリル酸トリエタノールアミン等のポリアクリル酸のアミン塩、ポリアクリル酸のアンモニウム塩等が挙げられる。
【0025】
ポリアクリル酸又はその塩を配合する場合の含有量は、粘着力向上の点から、含水ゲル組成物中1質量%以上が好ましく、含水ゲル組成物の粘度の点から、20質量%以下が好ましく、3~15質量%がより好ましい。含水ゲル組成物の粘度が高くなりすぎると、製造時の作業性に問題が生じたり、貼付剤を剥がす時に痛みを感じたりする場合がある。
【0026】
[セルロース誘導体]
セルロース誘導体は1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。セルロール誘導体としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース及びそれらの塩が挙げられ、中でも、カルボキシメチルセルロース及びその塩が好ましい。
【0027】
カルボキシメチルセルロース又はその塩としては、カルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。カルボキシメチルセルロース又はその塩のエーテル化度は0.5以上が好ましい。25℃における1質量%水溶液の粘度は100~4,000mPa・sが好ましく、かつ5質量%水溶液の粘度が1質量%水溶液の粘度の400倍以上のものを好適に使用し得る。1質量%の粘度を100mPa・s以上、かつ5質量%水溶液の粘度が1質量%水溶液の粘度の400倍以上とすることで、含水ゲル組成物の保型性が得られるため、支持体の横から含水ゲル組成物がはみ出すことや、裏ジミが生じにくい。一方、1質量%粘度は1,500~3,000mPa・sがより好ましい。この粘度を3,000mPa・s以下とすることで、粘度が高くなりすぎず、練合や展延の作業性が向上する。具体的には、カルボキシメチルセルロースナトリウム:CMC1380(ダイセルファインケム(株))、CMC1390(同上)等が挙げられる。上記粘度は、BH型粘度計、例えば、(株)東京計器製のBH型粘度計(ローター:No.2、回転数:20rpm)により測定した値である。
【0028】
セルロース誘導体を配合する場合の含有量は特に限定されないが、保形性向上の点から、含水ゲル組成物中1質量%以上が好ましく、粘着性向上の点から、10質量%以下が好ましく、3~8質量%がより好ましい。
【0029】
[架橋剤]
架橋剤としては特に限定されず、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、水溶液中でマグネシウムイオン及びアルミニウムイオンを放出するものが好ましい。具体的には、アルミニウム化合物及びマグネシウム化合物はいずれのものも好適に使用し得うる。例えば、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、鉄ミョウバン等のミョウバン類、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムグリシネート、酢酸アルミニウム、酸化アルミニウム、含ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、これら金属を含む複塩等の水可溶性化合物、水難溶性化合物、アルミニウム、マグネシウムを含む制酸剤の1種又は2種以上を使用し所定のモル比を得る。架橋剤としては、好ましくは水難溶性架橋剤、特に水難溶性多価金属塩架橋剤を使用する。特に合成ヒドロタルサイト、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートから選ばれる1種以上が好ましい。
【0030】
架橋剤を配合する場合の含有量は、その種類により種々異なり、特に制限されるものではないが、含水ゲル組成物中0.001~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。
【0031】
本発明の含水ゲル組成物には、必要に応じて他のゲル基剤成分を任意に配合しても差し支えない。例えば、界面活性剤、充填剤、(C)成分及び上記高分子化合物以外の高吸水性高分子化合物、多価アルコール、油分、色素、保湿剤、酸化防止剤、紫外線吸収・散乱剤、防腐剤、有効成分、香料等を配合することができる。これらは1種単独で又は2種以上組み合わせ、それぞれ適量を用いることができる。
【0032】
上記界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が使用可能であり、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。界面活性剤を配合する場合、その含有量は、含水ゲル組成物中0~5質量%程度である。
【0033】
上記ノニオン界面活性剤として、具体的には、(脂肪酸残基、アルキル基の炭素数8~22、好ましくは10~18)のポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、ジグリセリンモノステアレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレングリセリル(POE10)モノオレート等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、多価アルコール脂肪酸部分エステル(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等)、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル(例えば、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等)、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、エタノールアミン脂肪酸部分エステル、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0034】
これらのノニオン界面活性剤の中でも、POE(25)ラウリルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、グリセリルモノオレート、ラウリン酸グリセリル、ヤシ油脂肪酸グリセリル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ミリスチン酸グリセリル、デカグリセリルモノオレート、ジグリセリルジオレート、ヘキサグリセリルモノラウレート、プロピレングリコールモノステアレート、POE(20)ソルビタンモノオレート、POE(60)ソルビットテトラオレート、POE(40)モノステアレート、POE(10)オレイルエーテル、POE(10)ノニルフェニルエーテル、POE(50)硬化ヒマシ油、POE(5)オレイン酸アミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド等がより好ましい。なお、上記表記において、例えば「POE(25)」は25モルのエチレンオキシドを付加した構造であることを示す。
【0035】
最も好ましいノニオン界面活性剤は、アルキル基の炭素数12~18のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である。
【0036】
上記アニオン界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルキルイソチアネート塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸塩等が挙げられ、これらの塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、有機アミン塩等が好ましく、アルキル基、アルケニル基の炭素数8~22、10~18であるものがより好ましい。
【0037】
これらの中でも、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル硫酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲンナトリウム、グリチルリチン酸ナトリウム、グリチルレチン酸ナトリウム、トリPOE(10)アルキルエーテル燐酸ナトリウム及びこれらのカリウム塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N-アシルメチルタウリンナトリウム等がより好適である。
【0038】
上記カチオン界面活性剤としては、具体的には、第1~第3級脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物塩、ポリエチレンポリアミン脂肪アミドの尿素縮合物の第4級アンモニウム塩等が挙げられ、より具体的には、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、ラウリルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ベンザルコニウム、塩化ラウリルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ラウリルピリジニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられる。
上記両イオン性界面活性剤としては、具体的には、アミノ酸、スルホアミノ酸、4級化ベタイン、スルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられ、より具体的には、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲン、セバシン酸ジエチル、レシチン等が挙げられる。
【0039】
上記充填剤としては、例えば、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト、スメクタイト、酸化亜鉛、酸化チタン、無水ケイ酸等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。充填剤を配合する場合、その含有量は、含水ゲル組成物中0~10質量%程度である。
【0040】
上記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、マルチトール、キシリトール等の1種又は2種以上を使用し得る。多価アルコールを配合する場合、その含有量は、含水ゲル組成物中50質量%以下が好ましく、0~20質量%がより好ましい。多価アルコールの含有量が50質量%を超えると、含水ゲル組成物の凝集力が低下し、剥離時に水性粘着基剤が被着体に残る場合が生じる。
【0041】
上記油分としては、例えば、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、パーム油、椿油、ヤシ油、木ロウ、ホホバ油、グレープシード油、アボガド油等の植物油脂類;ミンク油、卵黄油等の動物油脂類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類;流動パラフィン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、ワセリン等の炭化水素類;ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸等の天然及び合成脂肪酸類;セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール等の天然及び合成高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロールオレート等のエステル類等を例示することができる。
【0042】
上記色素としては、特に制限はなく、従来、粘着剤層(膏体)に使用されているものを目的に応じて適宜選択することができる。色素の具体例としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色404号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、黄色4号、黄色5号、黄色201号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色401号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色404号、黄色405号、黄色406号、黄色407号、緑色3号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色401号、青色403号、青色404号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、橙色401号、橙色402号、橙色403号、褐色201号、紫色201号、紫色401号、黒色401号、黄色三二酸化鉄等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。色素の配合量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、組成物中0.00005~0.1質量%が好ましく、0.0001~0.01質量%がより好ましい。配合量が少なすぎると配合による効果が十分に得られないおそれがあり、多すぎると色調が強くなりすぎるおそれがある。なお、色素を配合する場合、粘着剤組成物を支持体の表面に展延した際に色素の濃淡や斑点が生じないように、色素を水、油脂、アルコール等に溶かした後に、他成分と練合することが好ましい。
【0043】
上記保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;アミノ酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等のNMF成分;ヒアルロン酸、コラーゲン、ムコ多糖類、コンドロイチン硫酸等の水溶性高分子物質等を例示することができる。
【0044】
上記酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸及びその塩類等が挙げられる。
上記紫外線吸収・散乱剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート、酸化チタン、カオリン、タルク等を例示することができる。
上記防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の4級カチオン、ソルビン酸、安息香酸等が挙げられる。
上記有効成分としては、特に制限されず通常の貼付剤の有効成分に用いられているものを使用することができる。具体的には、以下のものが使用可能である。
【0045】
〔非ステロイド系抗炎症剤〕
サリチル酸及びその塩類、アスピリン等のサリチル酸誘導体、アセトアミノフェン、アミノピリン、アンチピリン、オキシフェンブタゾン、スルピリン、インドメタシン、ジクロフェナックナトリウム、イブプロフェン、スリンダック、ナプロキセン、ケトプロフェン、エトフェナメート、サリチルアミド、トリエタノールアミンサリチレート、フルフェナム酸とその塩類及びその誘導体、メクロフェナム酸とその塩類及びその誘導体、コルヒチン、ブフェキサマック、イブフェナック、ロキソプロフェン、フェンブフェン、ジフルニサル、アルクロフェナック、フェニルブタゾン、メフェナム酸とその塩類及びその誘導体、フェノプロフェン、ベンダザック、ピロキシカム、フルルビプロフェン、ザルトプロフェン、エトドラク等が挙げられる。
〔ステロイド系抗炎症剤〕
アムシノイド、吉草酸プレドニゾロン、吉草酸ジフルコルトロン、吉草酸ベータメタゾン、酢酸ベータメタゾン、酢酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベータメタゾン、デキサメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、リルシノニド、ヒドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フルオトメトロン、フルドロキシコルチド、プレドニゾロン、プロピオン酸クロベタゾール、プロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンアセテート、酪酸ヒドロコルチゾン等が挙げられる。
〔筋弛緩剤〕
ジアゼパム等が挙げられる。
〔制吐剤〕
クロルプロマジン等が挙げられる。
〔乾癬治療剤〕
メトキサレン等が挙げられる。
〔皮膚軟化剤又は皮膚緩和剤〕
ヒドロキノン、尿素、ヘパリン、コンドロイチン硫酸等が挙げられる。
【0046】
〔他の薬効成分〕
インドメタシン、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、スプロフェン、ロキソプロフェン、ザルトプロフェン、ピロキシカム、フェルビナク、ジフェンヒドラミン、ジブカイン、プロカイン、リドカイン、ビタミンE誘導体、グリチルレチン酸又はこれらの誘導体等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
〔酵素製剤〕
トリプシン、パパイン、プロテアーゼ、リゾチーム、ストレプトキナーゼ、プラスミン、ウロキナーゼ、ヒアルロニダーゼ、α-キモトリプシン、セラチオペプチダーゼ、ブロメライン、セミアルカリペプチダーゼ等が挙げられる。
〔清涼化剤〕
カンフル、チモール、ボルネオール、N-エチル-p-メンタン-カルボキシアミド、p-メンタン-3,8-ジオール、l-イソプレゴール、l-メンチルグリセリルエーテル等のメントール誘導体、ハッカ、ペパーミント油、スピラントール等を挙げることができる。
〔ビタミン類〕
パントテン酸、パンテノール、ビタミンA類(パルミチン酸レチノール等)、ビタミンE類(酢酸d-α-トコフェロール)、ビタミンK,ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンF、ビタミンP等が挙げられる
〔温感付与剤〕
カプサイシン、ノニル酸バニリルアミド、ノニル酸バニリルエーテル等が挙げられる。
〔生薬類〕
オオバク等の生薬末、トウガラシエキス等の生薬軟エキス、オオバク乾燥エキス等の生
薬乾燥エキス、センブリ流エキス等の生薬流エキス、アルニカチンキ等の生薬チンキ等が挙げられる。
〔植物抽出物〕
アニス、アンジェリカ、安息香、イモーテル、カモミール、ガーリック、カルダモン、ガルバナム、キャラウェイ、キャロットシード、グアアックウッド、グレープフルーツ、サイプレス、サンダルウッド、シダーウッド、ジュニパー、スターアニス、セージ、ゼラニウム、セロリ、タイム、タラゴン、テレビン、トウヒ、乳香、バイオレット、パイン、パセリ、バーチ、パチュリー、ヒソップ、フェンネル、ブラックペッパー、ボダイジュ花、没薬、マリーゴールド、ラベンダー、ヤロウ、レモン、レモングラス、ローズ、ローズマリー、ローレル、シモツケギク、モモ、ヤグルマギク、ユーカリ、ユズ、ラベンダー等の精油類又はエキス類等が挙げられる。
〔海藻抽出物〕
アオサ科、オゴノリ科、テングサ科、ミリン科、コンブ科、アイヌワカメ科、ホンダワラ科、ヒバマタ科、フノリ科、ヒトエグサ科、ミル科、ウシケノリ科、スギノリ科、カギノリ科、イバラノリ科、ナガマツモ科、モヅク科、ダービリア科、レッソニア科及びダルス科に属する海藻の抽出物等が挙げられ、これらの中でもダービリア科に属する海藻の抽出物が好ましい。
【0047】
本発明の含水ゲル組成物に上記有効成分を配合する場合、その物質が日本薬局方に収載されているか、他の文献等によって使用適量が定められている場合には、その使用適量に合わせて配合することが好ましい。特に使用適量が定められていない物質の配合量は0.0001~10質量%程度とすることが好ましい。
【0048】
上記香料としては、天然植物性香料、調合香料成分、合成香料成分等を使用することができ、これらを任意に組み合わせて基剤臭や薬剤臭のマスキングをしたり、付香することができる。
【0049】
上記天然植物性香料としては、例えば、ウイキョウ油、ヒマシ油、ハッカ油、ハッカハク油、ダイウイキョウ油、ケイヒ油、チョウジ油、チミアン油、テレビン油、ヘノポジ油、ヤマジン油、ユーカリ油、ラベンダー油、レモン油、オレンジ油、トウカ油、ベルガモット油、ローズ油、シトロネラ油、レモングラス油、樟脳油、ゼラニウム油等が挙げられる。
【0050】
上記調合香料成分としては、例えば、リモネン、テルピノレン、カンフェン、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、ボルネオール、テルピネロール、シトロネラール、シトラール、メントン、カルボメントン、カンファー、シトロネル酸、シネオール、クルクメン、ファルネソール、ネロリドール、ヒノキ酸、サンタル酸等が好適である。
【0051】
その他、合成香料成分としては、例えば、1996年化学工業日報社刊 印藤元一著「合成香料 化学と商品知識」、1969年MONTCLAIR,N.J.ステファン・アークタンダー(STEFFEN ARCTANDER)著「パヒューム アンド フレーバーケミカルズ(Perfume and Flavor Chemicals)」、特開2002-128658号公報の段落[0065]~[0071]に記載された香料a~d、特開2003-73249号公報に記載のA~E、又は、特願2019-023940[0016]~[0023]等に記載の香料が使用できる
【0052】
II.支持体
支持体としては、特に制限されず通常の貼付剤の支持体層に用いられているものを使用することができる。このような材料としては、例えば、紙、厚織り、糸織り、ガーゼ、コール天、ネル等の織布、平編み、ゴム編み、タック編み、二目編み等の製法による編布、スパンレース、スパンボンド、サーマルボンド、ケミカルボンド、ニードルパンチ等の製法による不織布、ニット、プラスチックフィルム、プラスチックフィルム/繊維積層シート、又はプラスチックフィルム/親水性樹脂積層シート等を用いることができる。特に編布を用いると皮膚の動きに追従性があり剥がれにくくなる。素材としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、レーヨン、麻等が挙げられる。
【0053】
坪量も特に制限はないが、80~200g/m2とすることが好ましい。80g/m2未満であると裏染みがしやすく、200g/m2を超えると厚みが増し皮膚の動きへの追従性が劣る。プラスチックフィルムを使用する場合、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等の材料を用いることができる。なお、樹脂フィルムのフィルム厚さは、特に制限されるものではなく、通常5~100μm程度である。
【0054】
III.貼付剤
本発明の貼付剤は、上記含水ゲル組成物と、支持体とを有する貼付剤であって、上記(A)成分及び(B)成分を含有する含水ゲル組成物を支持体に展延し、含水ゲル層、支持体層を形成させた後、適当な大きさに裁断することにより製造することができる。
【0055】
本発明の貼付剤は、顔用、体用、及び足用等に幅広く使用可能であり、乾燥でひび割れた荒れた皮膚(かかと等)にも使用することができるものである。
【0056】
[(A)成分の析出抑制方法]
本発明は、(A)メントール0.5~5.0質量%を含有する含水ゲル組成物と、支持体とを有する貼付剤において、上記含水ゲル組成物に(B)シリカ及びタルクから選ばれる1種以上を配合する、(A)成分の析出抑制方法を提供する。好適な成分及び配合量は上記と同じである。
【実施例0057】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示す。
【0058】
[実施例、比較例]
表1に示す組成に従って、精製水に、高分子化合物以外の水溶性成分を撹拌しながら添加し、予備溶解物1を調製した。
ポリソルベート80に、親油性成分を溶解した後、シリカ及び又はタルクを分散し、予備溶解物2を調製した。
グリセリンに色素を分散し、色素小物を調製した。
また、グリセリンに、粉体状のカルボキシメチルセルロースナトリウムと、ポリアクリル酸と、ポリアクリル酸部分中和物とを添加して撹拌(ハンドミキサーにて2,000~3,000rpmで5分間)し、これらを均一に分散・溶解して予備分散物1を調製した。
次いで、予備溶解物1に、予備溶解物2と色素小物と精製水と必要に応じてポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂とを添加し、撹拌(ヘンシェルミキサーにて300rpmで2分間)し、練合物1を得た。
この練合物1に、予備分散物1と精製水とを添加し、撹拌(ヘンシェルミキサーにて300rpmで2分間程度)し、練合物2を得た。
また、グリセリンに、粉末状のジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートと合成ヒドロタルサイトを添加して均一に分散し、予備分散物2を調製した。
練合物2に予備分散物2を添加し、撹拌(ヘンシェルミキサーにて300rpmで2分間程度)し、含水系粘着剤組成物を得た。
得られた含水系粘着剤組成物を、所定の量になるように支持体とライナーフィルムで挟み込むように展延することにより、該支持体上に含水系粘着剤層(膏体)を形成後、所定の大きさに裁断した。得られた貼付剤は、乾燥を防ぐため、内袋(紙64g/m2/PE15μm/AL7μm/EMAA20μm)に入れヒートシールにより密閉した。
【0059】
得られた貼付剤について、下記方法により特性を評価した。結果を表中に併記する。
[保存安定性]
製造後の貼付剤をアルミニウム/紙積層袋に密封保存し40℃に1カ月保存後の外観を評価した。結果を下記評価基準で示す。
<評価基準>
◎:l-メントールの析出が認められない
〇:l-メントールの析出がわずかに認められる
×:l-メントールの析出がかなり認められる
【0060】
[清涼感]
9名の健康なパネラーの手の甲に貼付してもらい、30分後の清涼感を下記の基準で評価した。結果を、平均値に基づき下記評価基準で示す。
〈基準〉
5点:非常に清涼感を感じる
4点:かなり清涼感を感じる
3点:少し清涼感を感じる
2点:やや清涼感を感じる
1点:清涼感を感じない
<評価基準>
◎:4点以上
○:2.5以上4点未満
△:1.5以上2.5点未満
×:1.5点未満
【0061】
[刺激のなさ]
9名の健康なパネラーの手の甲に貼付してもらい、4時間の間に感じる刺激を下記の基準で評価した。結果を、平均値に基づき下記評価基準で示す。
5点:刺激を感じない
4点:やや刺激を感じる
3点:少し刺激を感じる
2点:かなり刺激を感じる
1点:非常に刺激を感じる
<評価基準>
◎:4点以上
○:2.5以上4点未満
△:1.5以上2.5点未満
×:1.5点未満
【0062】
[保形性]
9名の健康なパネラーの手の甲に貼付剤を貼付してもらい、20分後に剥がした時の皮膚上に残った膏体量(含水ゲル組成物量)の割合の平均値を算出し、下記評価基準で評価した。
<評価基準>
◎:膏体残りが0~10%未満
○:膏体残りが10%以上30%未満
×:膏体残りが30%以上100%以下
【0063】
[粘着力]
貼付剤をふくらはぎに貼付し、4時間後の剥がれた面積で評価した。
◎:貼付剤のはがれなし
○:はがれている面積が製剤面積の10%未満
△:はがれている面積が製剤面積の10%以上50%未満
×:はがれている面積が製剤面積の50%以上100%以下
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
下記処方の含水ゲル組成物を上記実施例の方法と同様の方法で調製し、貼付剤を得た。
【表3】
【0067】
上記例で使用した原料を下記に示す。なお、特に明記がない限り、表中の各成分の量は純分換算量である。
l-メントール:高砂香料工業(株)製、「l-メントール」
シリカ:AGCエスアイテック(株)製、「サンスフェアH-121」
タルク:浅田製粉(株)製、「SW-特」
ポリアクリル酸1:東亜合成(株)製、「ジュリマーAC-10H」、重量平均分子量:15万、中和度:0モル%
ポリアクリル酸2:東亜合成(株)製、「ジュリマーSH8」、重量平均分子量:100万、中和度:0モル%
ポリアクリル酸部分中和物:東亜合成(株)製、「アロンビスAH-106X」、重量平均分子量:450万、中和度:40モル%
ポリアクリル酸Na:東亜合成(株)製、「アロンビスSX」、重量平均分子量:450万、中和度:100モル%
ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂:住友精化(株)製、「アクアコークTWB-P」
グリセリン:阪本薬品工業(株)製、「日本薬局方濃グリセリン」
カルボキシメチルセルロースナトリウムA:ダイセルファインケム(株)製、「CMC1380」
カルボキシメチルセルロースナトリウムB:ダイセルファインケム(株)製、「CMC1390」
ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート:協和化学工業(株)製、「グリシナール」
合成ヒドロタルサイト:協和化学工業(株)製、「アルカマックSH」
メタリン酸ナトリウム:太平化学(株)製、「メタリン酸ナトリウム」
エデト酸二ナトリウム:中部キレスト(株)製、「エデト酸ナトリウム」
パラオキシ安息香酸メチル:上野製薬(株)製、「パラオキシ安息香酸メチル」
パラオキシ安息香酸プロピル:上野製薬(株)製、「パラオキシ安息香酸プロピル」
ポリソルベート80:日光ケミカルズ(株)製、「TO-10MV」
酒石酸:磐田化学工業(株)製、「酒石酸」
ハッカハク油:高砂香料工業(株)製、「ハッカハク油」
ラベンダー油:高砂香料工業(株)製、「ラベンダー油」
ユーカリ油:高砂香料工業(株)製、「ユーカリ油」
オレンジ油:高砂香料工業(株)製、「オレンジ油」
レモン油:高砂香料工業(株)製、「レモン油」
ローズマリー油:高砂香料工業(株)製、「ローズマリー油」
セージ油:ヴェマンフィス香料(株)製、「セージ油」
ヒマシ油:小堺製薬(株)製、「ヒマシ油」
赤色226号:癸巳化成(株)製、「赤色226号」
精製水:共栄製薬(株)製、「精製水(蒸留)」