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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075099
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】建設機械の運転装置及び運転方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20220511BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20220511BHJP
   G03B 35/08 20210101ALI20220511BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20220511BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20220511BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
E21D11/10 D
G03B15/00 L
G03B35/08
G06T7/70
G01C15/00 104A
G01B11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185661
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508182589
【氏名又は名称】エフティーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】特許業務法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 英郷
(72)【発明者】
【氏名】中林 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】早津 隆広
(72)【発明者】
【氏名】関根 一郎
(72)【発明者】
【氏名】若竹 亮
(72)【発明者】
【氏名】山下 雅之
(72)【発明者】
【氏名】山本 悟
(72)【発明者】
【氏名】坂下 誠
(72)【発明者】
【氏名】水谷 和彦
(72)【発明者】
【氏名】木村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】四塚 勝久
【テーマコード(参考)】
2D155
2F065
2H059
5L096
【Fターム(参考)】
2D155BA06
2D155DA00
2D155DB00
2D155DB01
2D155DB05
2D155DB06
2D155KA00
2D155KC06
2D155LA12
2D155LA13
2F065AA04
2F065AA37
2F065AA52
2F065BB15
2F065BB27
2F065CC40
2F065DD03
2F065FF05
2F065FF11
2F065FF61
2F065HH04
2F065JJ01
2F065JJ03
2F065JJ05
2F065LL61
2F065MM06
2F065MM16
2F065PP22
2F065QQ03
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065UU05
2H059AA10
2H059CA09
5L096AA09
5L096CA05
5L096DA02
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
(57)【要約】      (修正有)
【課題】運動部の位置及び運動を的確に把握して、運動部による高い精度の施工を可能とするトンネル内建設機械の運転装置を提供する。
【解決手段】建設機械の機械本体10のトンネルT内における現位置情報を得る手段30と、複数のカメラ11により得られた撮影情報より、マーカー21の動きを三角測量の原理で計測し、3次元のデータを生成して得た3次元データ取得手段40と、を備えている。3次元データ取得手段40により得られた3次元のデータに基づき、可動部の位置データを得て、施工対象位置と可動部の位置との関係に基づき、運動部20を動作させる制御部50を備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内に位置する機械本体と、この機械本体に設けられ、施工のために機素が対偶をなして運動する可動部を有する運動部と、を有する建設機械であって、
前記運動部に複数のマーカーが固定され、少なくとも一つのマーカーは可動部に固定され、
前記機械本体に少なくとも2台のカメラが光軸角度を異ならせて固定され、
前記建設機械の機械本体のトンネル内における現位置情報を得る手段と、
前記複数のカメラにより得られた撮影情報より前記マーカーの動きを三角測量の原理で計測し、3次元のデータを生成して得た3次元データ取得手段と、を備え、
前記3次元データ取得手段により得られた3次元のデータに基づき、前記可動部の位置データを得て、施工対象位置と前記可動部の位置との関係に基づき、前記運動部を作動させる制御部を備える、
ことを特徴とするトンネル内建設機械の運転装置。
【請求項2】
前記建設機械はコンクリート吹付機であり、吹付ノズルを支持体が前記機素を構成している請求項1のトンネル内建設機械の運転装置。
【請求項3】
前記建設機械の機械本体のトンネル内における現位置情報を得る手段は、トンネル内におけるトータルステーションによる測量に基づき得るものであり、
前記施工対象位置は、少なくとも計画トンネル線形及び計画トンネル断面情報に基づき得た情報である請求項1又は2記載のトンネル内建設機械の運転装置。
【請求項4】
前記建設機械はコンクリート吹付機であり、吹付ノズルを支持体が前記機素を構成しており、前記支持体にレーダー距離検出器が設けられ、その距離検出器からの信号に基づき、コンクリート吹付厚の制御を行う請求項1又は3のトンネル内建設機械の運転装置。
【請求項5】
トンネル内を位置する機械本体と、この機械本体に設けられ、施工のために機素が対偶をなして運動する可動部を有する運動部と、を有する建設機械の運転方法であって、
前記運動部に複数のマーカーが固定され、少なくとも一つのマーカーは可動部に固定され、
前記機械本体に少なくとも3台のカメラが光軸角度を異ならせて固定され、
前記建設機械の機械本体のトンネル内における現位置情報を得る工程と、
前記複数のカメラにより得られた撮影情報より前記マーカーの動きを三角測量の原理で計測し、3次元のデータを生成して得る3次元データ取得工程と、を含み、
前記3次元データ取得工程により得られた3次元のデータに基づき、前記可動部の位置データを得て、施工対象位置と前記可動部の位置との関係に基づき、前記運動部を作動させる制御工程を含む、
ことを特徴とするトンネル内建設機械の運転方法。
【請求項6】
前記建設機械の機械本体のトンネル内における現位置情報は、トンネル内におけるトータルステーションによる測量に基づき得るものであり、前記施工対象位置は計画トンネル線形及び計画トンネル断面情報に基づき得る請求項3記載のトンネル内建設機械の運転方法。
【請求項7】
前記建設機械はコンクリート吹付機であり、吹付ノズルを支持体が前記機素を構成しており、前記支持体にレーダー距離検出器が設けられ、その距離検出器からの信号に基づき、コンクリート吹付厚の制御を行う請求項3のトンネル内建設機械の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の運転装置及び運転方法に関する。特に、トンネル内に位置して施工する、吹付機、支保工設置用機械、トンネルドリルジャンボなどの、トンネル内における建設機械の運転に係るものである。
【背景技術】
【0002】
前述の建設機械は、トンネルの施工速度を高めるために多大な貢献をなしている。そして、作業者の負担軽減にも大きな役割をなしている。
【0003】
他方で、施工速度の向上は、施工精度の担保ができることを前提にして初めて成り立つものである。
例えば、NATM工法に用いられる、トンネル地山の内壁面にコンクリート材料を吹付ける装置においては、地山の安定性確保のために吹付厚の調整が重要となる。
【0004】
作業員の目視に代えて、特許文献1には、コンクリート材料の吹付前後の内空断面形状を比較し、吹付材料の吹付量を調整し吹付厚をコントロールすることが知られている。
具体的には、複数のカメラを一定の間隔を隔てて固定してなるステレオカメラにより、トンネル内空断面形状を把握するようにしている。
【0005】
基本的な発想を同一とするものに特許文献2のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-13699号公報
【特許文献2】特開2004-36123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近時の吹付機は、ほぼトンネル中心に位置して、トンネル内空面の上下左右の広角の範囲を作業領域とするとともに、同時的にトンネル方向の前後位置範囲も作業領域となるように、吹付ノズルが移動するようになっている。したがって、吹付のノズルは頻繁に位置変更をしなければならない。
【0008】
3次元ステレオカメラによる撮像データを画像処理して得られる結果に基づき、吹付作業を行うとしても、吹付ノズルを装着したブームの位置及び運動を的確に把握できない限り、吹付厚の制御はできない。
【0009】
したがって、本発明の主たる課題は、運動部の位置及び運動を的確に把握して、運動部による高い精度の施工を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明に係る態様は次のとおりである。
【0011】
<第1の態様>
トンネル内に位置する機械本体と、この機械本体に設けられ、施工のために機素が対偶をなして運動する可動部を有する運動部と、を有する建設機械であって、
前記運動部に複数のマーカーが固定され、少なくとも一つのマーカーは可動部に固定され、
前記機械本体に少なくとも2台のカメラが光軸角度を異ならせて固定され、
前記建設機械の機械本体のトンネル内における現位置情報を得る手段と、
前記複数のカメラにより得られた撮影情報より前記マーカーの動きを三角測量の原理で計測し、3次元のデータを生成して得た3次元データ取得手段と、を備え、
前記3次元データ取得手段により得られた3次元のデータに基づき、前記可動部の位置データを得て、施工対象位置と前記可動部の位置との関係に基づき、前記運動部を作動させる制御部を備える、
ことを特徴とするトンネル内建設機械の運転装置。
【0012】
<第2の態様>
トンネル内を位置する機械本体と、この機械本体に設けられ、施工のために機素が対偶をなして運動する可動部を有する運動部と、を有する建設機械の運転方法であって、
前記運動部に複数のマーカーが固定され、少なくとも一つのマーカーは可動部に固定され、
前記機械本体に少なくとも3台のカメラが光軸角度を異ならせて固定され、
前記建設機械の機械本体のトンネル内における現位置情報を得る工程と、
前記複数のカメラにより得られた撮影情報より前記マーカーの動きを三角測量の原理で計測し、3次元のデータを生成して得る3次元データ取得工程と、を含み、
前記3次元データ取得工程により得られた3次元のデータに基づき、前記可動部の位置データを得て、施工対象位置と前記可動部の位置との関係に基づき、前記運動部を作動させる制御工程を含む、
ことを特徴とするトンネル内建設機械の運転方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、運動部の位置及び運動を的確に把握して、運動部による高い精度の施工を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】トンネル内に設置された建設機械の運転の説明用概要図である。
図2】吹付装置例の側面図である。
図3】平面図である。
図4】吹付ノズルの前後進運動の説明図である。
図5】吹付ノズルの上下運動の説明図である。
図6】吹付ノズル及びその支持体の及びブーム運動の説明図であり、(a)は平面図、(b)は測面図である。
図7図6(b)の左正面図である。
図8】マーカーが取付られた吹付ノズル及びブームの側面図である。
図9】吹付ノズル及びブームの旋回の説明図である。
図10】カメラの説明図であり、(a)は正面図、(b)は斜視図である。
図11】カメラの設置状態及び視野各度例の説明図である。
図12】概要説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
実施の形態の概要が図1に示されている。
すなわち、トンネルT内に位置する機械本体10と、この機械本体10に設けられ、施工のために機素が対偶をなして運動する可動部を有する運動部20と、を有する建設機械に関するものである。
運動部20に複数のマーカー21,21…が固定され、少なくとも一つのマーカーは可動部に固定され(図2図3図6図8参照)、機械本体10に少なくとも2台、好適には3台以上のカメラ11(図10参照)が光軸角度を異ならせて固定される。ここで、光軸角度を異ならせるのは少なくともマーカー21の捕捉時であり、他の時点において光軸角度を異ならせることを要求されるものではない。
【0017】
さらに、図12が参照されるように、建設機械の機械本体10のトンネルT内における現位置情報を得る手段30と、複数のカメラ11により得られた撮影情報より、マーカー21の動きを三角測量の原理で計測し、3次元のデータを生成して得た3次元データ取得手段40と、を備えている。
3次元データ取得手段40により得られた3次元のデータに基づき、可動部の位置データを得て、施工対象位置と可動部の位置との関係に基づき、運動部10を動作させる制御部50を備える。
【0018】
これらについて、詳しい例示をすると次のとおりである。
トンネルT内に位置する機械本体10は、例えばNATM工法に用いるトンネル内空面に対してコンクリートを吹き付ける吹付装置である。
図示の吹付装置(10)は、中央に吹付用ブーム22を有し、両側に支保工の建込み用アーム12及び作業用バケットアーム13を備えており、下部にクローラ14(又はタイヤ)を有し、トンネルT内をトンネル掘削の進行に伴って移動可能となっている。
【0019】
図示する実施の形態の吹付装置(10)は、その吹付用ブーム22が、機械本体10の前端部に縦軸15を中心として水平方向に旋回する支持体16に取付られ、起伏シリンダ17により上下方向に揺動するようになっている。
また、縦軸15を中心として吹付用ブーム22を水平方向に旋回するために、図4及び図5に示されている旋回シリンダ18が設けられている。
【0020】
さらに、吹付用ブーム22は、伸縮シリンダ23により、前後方向に伸縮するように、適宜の段数をもってテレスコピックになっている。
また、吹付用ブーム22の先端の先端軸部22Aには、支持ブラケット24Aが、先端軸部22Aの軸芯O1回りに旋回可能に連結されている(図7参照)。
支持ブラケット24Aには、アーム24が、(吹付用ブーム22の軸線と直交する)軸芯O2回りに垂直面に沿って回動可能に設けられ、そのアーム24先端部に、アーム24の軸芯O3回りに回転可能に支持体25が連結されている。
【0021】
支持体25には、吹付ノズル26が保持されている。また、支持体25には、必要により(好ましくは配置される)レーダ距離計27が固定されている。
図6が参照されるように、吹付ノズル26はアーム24とともにトンネルTの周方向及び起伏可能となっている。
【0022】
上記例において、吹付ノズル26及び吹付用ブーム22、並びに説明した各運動要素は、機構学的にみれば、機械本体10に設けられ、施工のための機素を構成し、連結部は対偶をなして運動する可動部に属し、運動部20の構成要素となっている。
【0023】
そして、運動部20に複数のマーカー21が固定され、少なくとも一つのマーカー21は可動部に固定されている。マーカー21の設置部位の例は図3図6図8に示されている。吹付ノズル26の支持体25についてもマーカー21が設置されている。
【0024】
マーカー21を睨んでカメラ11が機械本体10に少なくとも2台、実施の形態では図11が参照されるように6台のカメラ11が光軸角度を異ならせて固定され、カメラ群体11Gが構成されている。
カメラ群体11Gは、図2が参照されるように、機械本体10の前方部位に固定され、前方のマーカー21を睨むように設置されている。
【0025】
マーカー21はその移動がカメラ11によって捉えることができるものであれば限定されないが、運動位置変動に影響されることなく良好に視野Vi内で捉えることができるように、例えば半円球体の表面部にLED自発光が分散して設けられたものを好適に使用できる。
【0026】
カメラ11は、広角レンズを備えるものが好ましく、トンネルT内における粉塵環境であることに鑑み、マーカー21を明確に捉えることができるように、カメラ11周囲部にLED発光体11Aを複数設け、これらを粉塵対策フード11Bで覆ったものを好適に使用できる。
【0027】
上記の構成の建設機械は、例えば主に図1及び図12を参照される運転例に基づき次のように運転できる。
トンネルTの掘削計画に基づくトンネル計画情報部60からの情報が、建設機械本体10の制御部50に与えられる。
トンネル計画情報部60からの情報としては、トンネル線形に基づく各位置におけるトンネル断面情報、計画厚さ、吹付厚さ、トンネル幅値、これに対応した吹付厚に関する計画情報などである。
【0028】
建設機械の機械本体10のトンネル内における現位置情報も、制御部50に与えられる。
このための現位置情報取得手段30としては、トンネル抗外からの測量により位置が既知である、例えばトンネルT内に設置されるトータルステーションTSを用いることができる。位置が既知であるトータルステーションTSにより、機械本体10のターゲット19をそれぞれ捉えることにより、ターゲット19の位置を測量に基づき得て、同時にターゲット19の位置と関係づけることができる機械本体10のトンネル内の位置を設定できる。図1及び図3には、北Nを示す磁針Mnを例示してある。
【0029】
機械本体10のトンネル内の位置に基づき、吹付ノズル26の位置は、運動部20に設けられた伸縮距離検知器、回転各度検出器など(当業者は当然に理解するであろうから図示を省略してある。)からの現位置及び角度などの運動データにより把握できる。
また、支持体25に固定された図5が参照されるレーダ距離計27からの信号より、トンネルTの内空面までの現離間距離(コンクリート吹付がなされているのであればコンクリート表面までの現離間距離)データを得ることができる。
【0030】
適切な吹付厚の制御は、上記の情報のみではできない。すなわち、吹付ノズル26の位置及びトンネルTの内空面に対する対向角度について複雑な動きを伴う。これは既述のように、ブーム22が起伏、旋回、伸縮し、アーム24が起伏し、支持体25が旋回することに主に原因がある。
【0031】
そこで、複数の(角度の異なる)カメラ11により得られた撮影情報より各マーカー21、21…の動きを三角測量の原理で計測し、3次元のデータを生成して得た3次元データ取得手段40が設けられる。
特開2014-211404号公報などに記載された、いわゆる「モーションキャプチャー(法)」により、運動部20の可動部の対象位置データを得る。
この3次元位置データは、制御部50に取り込まれ、レーダ距離計27からの現離間距離データに基づき、コンクリートの吹付厚(吹付時間)の制御を行う運転を行う。
【0032】
ここで補足説明を行うと、カメラ11により得られた撮影情報より各マーカー21、21…の動きを、3次元(X軸、Y軸、Z軸)で捉え(三角測量の原理で計測し)、他方で、トータルステーションTSにより捉えた機械本体10の位置及び絶対方位に対する偏位角度を基礎として、各マーカー21、21…の現位置・方位及び吹付ノズル26の現位置・方位を把握できる。
このようにして、光学的に、機械本体10の3次元前方視野Vi(例えば図1のトンネル左右方向範囲、図2のトンネル上下方向範囲の視野Vi)の運動部(例えば吹付ノズル26)のモーションを捉えながら、当該運動部に目標の運動を行わせることができる。
【0033】
前記例は、建設機械10がコンクリート吹付機であり、吹付ノズル26を支持体25が前記機素を構成しており、前記支持体25にレーダー距離検出器(レーダ距離計)27が設けられ、その距離検出器からの信号に基づき、コンクリート吹付厚の制御を行うトンネル内建設機械の運転方法である。
【0034】
レーダ距離計27からの現離間距離データは次のようにして得る。すなわち、ミリ波レーダ及びシンセサイザからの変調波(送信波)を生成し、これをTxアンテナを介して送信し、変調波が物体(物標)にあたり反射するのを、Rxアンテナにて物標からの反射波を受信し、ミキサにて送信波と受信波を混合し、IF(中間周波数)信号を生成し、IF信号をADCにかけて得られたデータを基に、各種信号処理を実施して位置・速度情報等を取得する。
【0035】
吹付ノズル26の3次元位置及び指向方向は、種々の要素によって変化するように構成され、これをカメラ11により捕捉するものである。その要点について補足的に説明する。図2図3の状態では、ブーム22が起き上がり、吹付ノズル26をその吐出口に向かって斜め後方に指向している。
図8の状態は、吹付ノノズル26はトンネル天面に向かって上向きである。
図9には、縦軸15を中心として吹付用ブーム22が水平方向に旋回する結果、ブーム22と共に吹付ノノズル26がトンネル左右に振れる状態が示されている。このとき、吹付ノノズル26は吹付用ブーム22と軸線を同じくしている。
前述する構造によって、すなわち、アーム24に軸芯O3回りに回転可能に支持体25が連結されている結果、吹付ノノズル26は、吹付用ブーム22の軸線に対して横振れも可能である。
【0036】
かくして、吹付ノズル26は、吹付用ブーム22の起伏、横旋回のほか、回転軸芯O1、回転軸芯O2及び回転軸芯O3を介して取付けられているために、吹付ノズル26の3次元位置及び指向方向は、3次元で移動可能である。そしてその吹付ノズル26の位置及びブーム22を含めた運動部20の動きを適確に捉えて、吹付ノズル26の3次元位置及び指向方向を制御できる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
トンネル内に位置して施工する、コンクリート吹付機(装置)のほか、支保工設置用機械、トンネルドリルジャンボなどの、トンネル内における建設機械一般に適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
10…機械本体、11…カメラ、11G…カメラ群体、19…ターゲット、20…運動部、21…マーカー、22…ブーム、26…吹付ノズル、27…レーダ距離計、30…現位置情報取得手段、40…3次元データ取得手段、TS…トータルステーション。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12