IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ CMS株式会社の特許一覧

特開2022-75108太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法
<>
  • 特開-太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法 図1
  • 特開-太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法 図2
  • 特開-太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法 図3
  • 特開-太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法 図4
  • 特開-太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法 図5
  • 特開-太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法 図6
  • 特開-太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法 図7
  • 特開-太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法 図8
  • 特開-太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法 図9
  • 特開-太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075108
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/10 20140101AFI20220511BHJP
   H02S 20/30 20140101ALI20220511BHJP
【FI】
H02S20/10 B
H02S20/30 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185678
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】518407548
【氏名又は名称】CMS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(74)【代理人】
【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】藤田 洋二
(72)【発明者】
【氏名】藤田 淑朗
(72)【発明者】
【氏名】小田 健太
(72)【発明者】
【氏名】田中 英児
(72)【発明者】
【氏名】中本 満信
(57)【要約】
【課題】高低差の大きな設置面や複雑な形状の設置面に対応可能であり、地中に埋設したロックボルトとの水平方向のずれにも対応可能な太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法を提供する。
【解決手段】地中に埋設されたロックボルト1、ロックボルト1の地表高さに固定された座金2と、ロックボルト1の座金2より上方に固定された下フランジ3と、下フランジ3の上部に固定された上フランジ4と、上フランジ4の上部に固定された高さ調整パイプ5と、高さ調整パイプ5の上部に固定された支柱パイプ6とを有する太陽光パネル用支持機構100であり、座金2とロックボルト1との固定位置、ロックボルト1と下フランジ3との固定位置及び高さ調整パイプ5と支柱パイプ6との固定位置を、それぞれ垂直方向に調整可能にした。また、下フランジ3と上フランジ4との固定位置を水平方向に調整可能とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設されたロックボルトと、前記ロックボルトの地表高さに固定された座金と、前記ロックボルトの前記座金より上方に固定された下フランジと、前記下フランジの上部に固定された上フランジと、前記上フランジの上部に固定された高さ調整パイプと、前記高さ調整パイプの上部に固定された支柱パイプとを有する太陽光パネル用支持機構であって、
前記座金と前記ロックボルトとの固定位置、前記ロックボルトと前記下フランジとの固定位置及び前記高さ調整パイプと前記支柱パイプとの固定位置が、それぞれ垂直方向に調整可能であることを特徴とする太陽光パネル用支持機構。
【請求項2】
前記下フランジと前記上フランジとの固定位置が水平方向に調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル用支持機構。
【請求項3】
座金に挿通されたロックボルトを地中に埋設して前記座金を前記ロックボルトの地表高さに固定し、前記ロックボルトの前記座金より上方に下フランジを固定し、前記下フランジの上部に上フランジ及び高さ調整パイプを固定し、前記高さ調整パイプの上部に支柱パイプを固定する太陽光パネル用支持機構の設置方法であって、
前記座金と前記ロックボルトとの固定位置、前記ロックボルトと前記下フランジとの固定位置及び前記高さ調整パイプと前記支柱パイプとの固定位置を、それぞれ垂直方向に調整することを特徴とする太陽光パネル用支持機構の施工方法。
【請求項4】
前記下フランジと前記上フランジとの固定位置を水平方向に調整することを特徴とする請求項3に記載の太陽光パネル用支持機構の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電を目的とした太陽光パネルは住宅の屋根やビルの屋上等に設置されているが、近年は大規模な発電のために、日光を遮る障害物が少なく広大な面積を有する山の斜面等に設置されるようになっている。
【0003】
こうした山の斜面等を太陽光パネルの設置場所とする場合には、施工しやすいように斜面全体を平らにするなどの造成工事を行うこともできるが、多大な工事費用が必要になる。そのため、必要に応じて樹木を伐採してから、斜面の形状を活かした状態で太陽光パネルを設置することが多い。
【0004】
太陽光パネルを設置するためには、太陽光パネルを載置する架台を複数の支持部材で支持する必要があるが、斜面の形状を活かす場合には設置面に凹凸があるため、平らな面に設置するのに比べて、太陽光パネルを載置する架台の角度や高さを調整するのが難しい。
【0005】
これに対して、例えば特許文献1には、太陽光パネル用架台を前後、左右に回動可能な構成にして、自然のままの斜面に対しても対応できるようにした発明が記載されている。また特許文献2には、太陽光パネルを取り付けるベース体(架台)と斜面に挿入された杭部材とを接続部材を介して接続し、その接続部材を杭部材の上下方向の任意の位置に取り付けることができるようにして、ベース体(架台)の角度や高さを調整するようにした発明が記載されている。
【0006】
一方、山の斜面等の地盤には、N値50以上の硬い地盤や岩盤があり、こうした硬い地盤の上に太陽光パネルを設置するためには、これに適した基礎工事が必要になる。例えば、硬い地盤上にケミカルアンカー(登録商標)を打設しその上にコンクリート基礎を設ける施工方法や、硬い地盤に大径のダウンザホールハンマーやボーリングコア抜き等で削孔し、中に基礎鋼材を建て込む施工方法がある。これに対して、硬い地盤に対応しつつ施工期間が短く経済的な施工を行うことができる方法として、ロックボルトを使用した施工方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-192232号公報
【特許文献2】特開2019-213243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
斜面の形状を活かした状態で太陽光パネルを設置する場合に、高低差の大きな設置面の場合には、太陽光パネルの角度を維持するために長さの大きく異なる支持部材を使用する必要がある。また、設置面は複雑な形状であることが多く、太陽光パネルを載置する架台を複数の支持部材で支持するためには、支持部材の長さの微妙な調整が必要な場合がある。
【0009】
さらに、ロックボルトを使用する場合には、地中に埋設したロックボルトと上部部材との間で、水平方向のずれが生じる場合がある。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、高低差の大きな設置面や複雑な形状の設置面に対応可能であり、地中に埋設したロックボルトとの水平方向のずれにも対応可能な太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の太陽光パネル用支持機構は、地中に埋設されたロックボルトと、前記ロックボルトの地表高さに固定された座金と、前記ロックボルトの前記座金より上方に固定された下フランジと、前記下フランジの上部に固定された上フランジと、前記上フランジの上部に固定された高さ調整パイプと、前記高さ調整パイプの上部に固定された支柱パイプとを有する太陽光パネル用支持機構であって、前記座金と前記ロックボルトとの固定位置、前記ロックボルトと前記下フランジとの固定位置及び前記高さ調整パイプと前記支柱パイプとの固定位置が、それぞれ垂直方向に調整可能であることを特徴とする。
【0012】
また好ましくは、前記下フランジと前記上フランジとの固定位置が水平方向に調整可能であることを特徴とする。
【0013】
また本発明の太陽光パネル用支持機構の施工方法は、座金に挿通されたロックボルトを地中に埋設して前記座金を前記ロックボルトの地表高さに固定し、前記ロックボルトの前記座金より上方に下フランジを固定し、前記下フランジの上部に上フランジ及び高さ調整パイプを固定し、前記高さ調整パイプの上部に支柱パイプを固定する太陽光パネル用支持機構の設置方法であって、前記座金と前記ロックボルトとの固定位置、前記ロックボルトと前記下フランジとの固定位置及び前記高さ調整パイプと前記支柱パイプとの固定位置を、それぞれ垂直方向に調整することを特徴とする。
【0014】
また好ましくは、前記下フランジと前記上フランジとの固定位置を水平方向に調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の太陽光パネル用支持機構は、地中に埋設されたロックボルトと、ロックボルトの地表高さに固定された座金と、ロックボルトの座金より上方に固定された下フランジと、下フランジの上部に固定された上フランジと、上フランジの上部に固定された高さ調整パイプと、高さ調整パイプの上部に固定された支柱パイプとを有している。そして、座金とロックボルトとの固定位置、ロックボルトと下フランジとの固定位置及び高さ調整パイプと支柱パイプとの固定位置が、それぞれ垂直方向に調整可能になっている。従って、垂直方向の3つの調整手段を用いて、高低差の大きな設置面や複雑な形状の設置面であっても、複数本の支持機構の長さを調整しながら、所要の角度に太陽光パネルを安定して設置することができる。
【0016】
また、下フランジと上フランジとの固定位置が水平方向に調整可能である場合には、地面に埋設したロックボルトと上部部材との水平方向のずれに、下フランジと上フランジとの固定位置を調整することにより対応することができる。
【0017】
また、本発明の太陽光パネル用支持機構の施工方法は、座金に挿通されたロックボルトを地中に埋設して座金をロックボルトの地表高さに固定し、ロックボルトの座金より上方に下フランジを固定し、下フランジの上部に上フランジ及び高さ調整パイプを固定し、高さ調整パイプの上部に支柱パイプを固定する太陽光パネル用支持機構の設置方法である。そして、座金とロックボルトとの固定位置、ロックボルトと下フランジとの固定位置及び高さ調整パイプと支柱パイプとの固定位置を、それぞれ垂直方向に調整するようになっている。従って、垂直方向の3つの調整手段を用いて、高低差の大きな設置面や複雑な形状の設置面であっても、複数の支持機構の長さを調整しながら、所要の角度に太陽光パネルを安定して設置することができる。
【0018】
また、下フランジと上フランジとの固定位置を水平方向に調整するようにした場合には、地面に埋設したロックボルトと上部部材との水平方向のずれに、下フランジと上フランジとの固定位置を調整することにより対応することができる。
【0019】
このように、本発明の太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法によれば、高低差の大きな設置面や複雑な形状の設置面に対応可能であり、地面に埋設したロックボルトとの水平方向の微妙なずれにも対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る太陽光パネル用支持機構を示す断面図である。
図2】太陽光パネル用支持機構の施工方法を示す拡大断面図である。
図3】太陽光パネル用支持機構の施工方法を示す拡大断面図である。
図4】太陽光パネル用支持機構の施工方法を示す拡大断面図である。
図5】太陽光パネル用支持機構の施工方法を示す拡大断面図である。
図6】(A)上フランジ、(B)下フランジ、(C)座金の各々を示す平面図である。
図7】(A)図1のa-a拡大断面図、(B)図1のb-b拡大断面図、(C)図1のc-c拡大断面図である。
図8】太陽光パネルの設置状態を示す平面図である。
図9図8のa-a拡大断面図である。
図10図8のb-b拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、図1乃至図10を参照して、本発明の実施形態に係る太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法について説明する。まず、図1を参照して、本実施形態に係る太陽光パネル用支持機構100の構成について説明する。図1は、太陽光パネル用支持機構100を示す断面図である。
【0022】
太陽光パネル用支持機構100は、ロックボルト1、座金2、下フランジ3、上フランジ4、高さ調整パイプ5及び支柱パイプ6から構成されている。
【0023】
ロックボルト1は、下部が地中に埋設されており上部が地表から突出している。ロックボルト1の下部は、地盤に削孔された孔7に挿入され、注入されたセメントミルク8が固化することにより孔7内部に固定されている。
【0024】
座金2は、ロックボルト1の地表高さに固定されている。ロックボルト1は座金2に挿通されており、ロックボルト1の上部は座金2の上方に突出している。ロックボルト1の座金2の上方にはナット11が取り付けられている。座金2は、地表とナット11との間に挟持されるため、ナット11の取り付け高さを調整することにより、座金2とロックボルト1との固定位置を垂直方向に調整することができる。これにより、ロックボルト1の地中への埋設長さと地表への突出長さを変化させて、太陽光パネル用支持機構100全体の長さを調整することができる。
【0025】
下フランジ3は、ロックボルト1の座金2より上方に固定されている。ロックボルト1は下フランジ3に挿通されており、ロックボルト1の上部は下フランジ3の上方に突出している。ロックボルト1の下フランジ3の下方にはナット12が取り付けられており、上方にはナット13,14(ダブルナット)が取り付けられている。下フランジ3は、ナット12とナット13,14との間に挟持されるため、ナット12,13,14の取り付け高さを調整することにより、ロックボルト1と下フランジ3との固定位置を垂直方向に調整することができる。これにより、下フランジ3の取り付け高さを変化させて、太陽光パネル用支持機構100全体の長さを調整することができる。
【0026】
上フランジ4は、下フランジ3の上部に固定されている。ロックボルト1は上フランジ4に挿通されており、ロックボルト1の上部は上フランジ4の上方に突出している。下フランジ3と上フランジ4とは、ボルト21とナット15、ボルト22とナット16により固定されている。
【0027】
高さ調整パイプ5は、上フランジ4の上部に固定されている。本実施形態では、上フランジ4は高さ調整パイプ5の下部に溶接されている。ただし、その他の固定手段により固定することもできる。高さ調整パイプ5は円筒状部材であって、ロックボルト1及び下フランジを固定するためのナット13,14を収容できるだけの内径を有している。これによりロックボルト1の上部が高さ調整パイプ5の内部に下方から進入でき、下フランジ3の高さ調整において高さ調整パイプ5が邪魔にならないようになっている。なお、高さ調整パイプ5の形状は円筒状に限定されるものではなく、例えば角筒状であってもよい。
【0028】
支柱パイプ6は、高さ調整パイプ5の上部に固定されている。支柱パイプ6は高さ調整パイプ5よりも小径の円筒状部材であって、高さ調整パイプ5の上部から挿入されており、ボルト23,24により、2か所で固定されている。この2か所の固定位置を調整することにより、高さ調整パイプ5と支柱パイプ6との固定位置を垂直方向に調整することができる。これにより、支柱パイプ6の取り付け高さを変化させて、太陽光パネル用支持機構100全体の長さを調整することができる。
【0029】
高さ調整パイプ5の上端部には密封ゴム9が取り付けられており、雨水等の浸入を防いでいる。支柱パイプ6の上部には、後述するように太陽光パネルを載置する架台が固定される。なお、支柱パイプ6の形状も高さ調整パイプ5と同様に円筒状に限定されるものではなく、例えば角筒状であってもよい。また、支柱パイプ6の方を高さ調整パイプ5より大径にしてもよい。
【0030】
次に、図2乃至図5を参照して、太陽光パネル用支持機構100の施工方法について説明する。
【0031】
まず、予め位置出しされた施工ポイントで、地盤をロックボルト削孔機により所定深さまで削孔し、注入ホースを孔7の底まで入れてセメントミルク8を注入する。そして、図2に示すように、座金2及びナット11及びスペーサー(図示しない)を装着したロックボルト1を孔7に挿入する。このとき、ナット11の取り付け高さを調整することにより、座金2とロックボルト1との固定位置を垂直方向に調整する。これにより、ロックボルト1の地中への埋設長さと地表への突出長さを変化させて、太陽光パネル用支持機構100全体の長さを調整することができる。以上により、座金2に挿通されたロックボルト1が地中に埋設され、座金2がロックボルト1の地表高さに固定される。
【0032】
セメントミルク8が固化した後、図3に示すように、ロックボルト1の頭部の所定高さにナット12及び下フランジ3を取り付けて、その上をナット13,14(ダブルナット)で締め付ける。このとき、ナット12,13,14の取り付け高さを調整することにより、ロックボルト1と下フランジ3との固定位置を垂直方向に調整する。これにより、下フランジ3の取り付け高さを変化させて、太陽光パネル用支持機構100全体の長さを調整することができる。以上により、ロックボルト1の座金2の上方に下フランジ3が固定される。なお、地表(座金2)と下フランジ3との間は、施工時の作業用スペースとして必要なものである。
【0033】
次に、図4に示すように、上フランジ4が溶接された高さ調整パイプ5を下フランジ3の上面に載せ、ボルト21とナット15及びボルト22とナット16により締め付ける。本実施形態では締め付け位置を2か所としたが、2か所以上であればよい。また、上フランジ4と高さ調整パイプ5とを、溶接以外の固定手段で固定する場合は、まず上フランジ4を下フランジ3に固定しておいてから、上フランジ4に高さ調整パイプ5を固定するようにしてもよい。なお、下フランジ3と上フランジ4との水平方向の調整については後述する。以上により、下フランジ3の上部に上フランジ4及び高さ調整パイプ5が固定される。
【0034】
次に、高さ調整パイプ5内に支柱パイプ6を挿入し、所定の高さで仮止めする。そして、内外のパイプ端部の各々から内側(例えば5cm以上)の2か所に、各々の貫通方向が直交するように(例えば、太陽光パネルの架台に対して並行方向及び直角方向になるように)、パイプ両側を貫通する孔(例えば1cm径)をドリルで削孔する。そして、図5に示すように、2か所の孔にパイプ両側を貫通するボルト23,24を通し、先端をダブルナットで固定する。このとき、2か所の固定位置を調整することにより、高さ調整パイプ5と支柱パイプ6との固定位置を垂直方向に調整することができる。これにより、支柱パイプ6の取り付け高さを変化させて、太陽光パネル用支持機構100全体の長さを調整することができる。以上により、高さ調整パイプ5の上部に支柱パイプ6が固定される。
【0035】
このようにして、太陽光パネル用支持機構100が施工されるが、上述したように、太陽光パネル用支持機構100は、座金2とロックボルト1との固定位置、ロックボルト1と下フランジ3との固定位置、高さ調整パイプ5と支柱パイプ6との固定位置という、垂直方向の3つの調整手段を備えているので、同じ規格の太陽光パネル用支持機構100であっても、高低差の大きな設置面や複雑な形状の設置面に対応することができ、様々な長さの支持機構(支持部材)を用意する必要がない。
【0036】
次に、図6及び図7を参照して、下フランジ3と上フランジ4との水平方向の調整について説明する。図6は、(A)上フランジ4、(B)下フランジ3、(C)座金2の各々を示す平面図である。図7は、(A)図1のa-a拡大断面図、(B)図1のb-b拡大断面図、(C)図1のc-c拡大断面図である。
【0037】
上フランジ4は円形状であって、中央にロックボルト1を挿通させる孔4aが形成されている。また、孔4aの周囲には、下フランジ3との固定用ボルトを挿通させる8つの長孔4bが形成されている。下フランジ3は円形状であって、中央にロックボルト1を挿通させる孔3aが形成されている。また、孔3aの周囲には、上フランジ4との固定用ボルトを挿通させる8つの長孔3bが形成されている。座金2は正方形状であって、中央にロックボルト1を挿通させる孔2aが形成されている。
【0038】
孔2a及び孔3aの径はロックボルト1がちょうど通過できるだけの大きさであり、孔4aの径はロックボルト1及び下フランジ3を固定するためのナット13,14を収容できるだけの大きさとなっている。
【0039】
下フランジ3及び上フランジ4の大きさは同一で、長孔3b及び長孔4bの大きさと形状は同一であり、下フランジ3及び上フランジ4をぴったりと重ね合わせると、長孔3b及び長孔4bもぴったり一致するようになっている。
【0040】
図7に示す断面図は、下フランジ3及び上フランジ4がぴったりと重ね合わされた状態を示しており、下フランジ3と上フランジ4との間に水平方向のずれは生じていない。一方で、下フランジ3と上フランジ4とを水平方向にずらした状態であっても、使用する長孔3b,4bを変えれば固定することができる。すなわち、ずらした方向に沿った対向する2か所の長孔3b,4bを使用するようにすればよい。このように、下フランジ3と上フランジ4との固定位置を水平方向に調整可能とすることにより、地面に埋設したロックボルト1と上部部材(高さ調整パイプ5、支柱パイプ6)との水平方向のずれに対応することができる。
【0041】
図8は、太陽光パネルの設置状態を示す平面図であり、図9図8のa-a拡大断面図、図10図8のb-b拡大断面図である。図8乃至図10に示すように、複数の太陽光パネル用支持機構100(本実施形態では10本)及び補強部材101を用いて架台102を支持し、架台102に太陽光パネル200を載置する。図8乃至図10は比較的平坦な設置面を記載しており、長手方向に沿った複数の太陽光パネル用支持機構100の長さに違いはないが、高低差の大きな設置面や複雑な形状の設置面においては、各々の太陽光パネル用支持機構100の長さを調整して対応する。
【0042】
本実施形態に係る太陽光パネル用支持機構100は、地中に埋設されたロックボルト1と、ロックボルト1の地表高さに固定された座金2と、ロックボルト1の座金2より上方に固定された下フランジ3と、下フランジ3の上部に固定された上フランジ4と、上フランジ4の上部に固定された高さ調整パイプ5と、高さ調整パイプ5の上部に固定された支柱パイプ6とを有している。そして、座金2とロックボルト1との固定位置、ロックボルト1と下フランジ3との固定位置及び高さ調整パイプ5と支柱パイプ6との固定位置が、それぞれ垂直方向に調整可能になっている。従って、垂直方向の3つの調整手段を用いて、高低差の大きな設置面や複雑な形状の設置面であっても、複数本の支持機構の長さを調整しながら、所要の角度に太陽光パネルを安定して設置することができる。
【0043】
また、下フランジ3と上フランジ4との固定位置が水平方向に調整可能であるので、地面に埋設したロックボルト1と上部部材との水平方向のずれに、下フランジ3と上フランジ4との固定位置を調整することにより対応することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る太陽光パネル用支持機構の施工方法は、座金2に挿通されたロックボルト1を地中に埋設して座金2をロックボルト1の地表高さに固定し、ロックボルト1の座金2より上方に下フランジ3を固定し、下フランジ3の上部に上フランジ4及び高さ調整パイプ5を固定し、高さ調整パイプ5の上部に支柱パイプ6を固定するものである。そして、座金2とロックボルト1との固定位置、ロックボルト1と下フランジ3との固定位置及び高さ調整パイプ5と支柱パイプ6との固定位置を、それぞれ垂直方向に調整するようになっている。従って、垂直方向の3つの調整手段を用いて、高低差の大きな設置面や複雑な形状の設置面であっても、複数の支持機構の長さを調整しながら、所要の角度に太陽光パネルを安定して設置することができる。
【0045】
また、下フランジ3と上フランジ4との固定位置を水平方向に調整するので、地面に埋設したロックボルト1と上部部材との水平方向のずれに、下フランジ3と上フランジ4との固定位置を調整することにより対応することができる。
【0046】
このように、本実施形態に係る太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法によれば、高低差の大きな設置面や複雑な形状の設置面に対応可能であり、地面に埋設したロックボルトとの水平方向の微妙なずれにも対応可能である。
【0047】
以上、本発明の実施形態に係る太陽光パネル用支持機構及び太陽光パネル用支持機構の施工方法について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
【0048】
例えば、各部材の具体的な形状や各部材同士の具体的な固定方法は、本実施形態に記載したものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0049】
1 ロックボルト
2 座金
3 下フランジ
4 上フランジ
5 高さ調整パイプ
6 支柱パイプ
7 孔
8 セメントミルク
9 密封ゴム
11,12,13,14,15,16,17,18,19,20 ナット
21,22,23,24 ボルト
100 太陽光パネル支持機構
101 補強部材
102 架台
200 太陽光パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10