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特開2022-75161調光シート、調光ユニット、および、調光シートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075161
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】調光シート、調光ユニット、および、調光シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185765
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】青木 健二
(72)【発明者】
【氏名】白石 隆司
【テーマコード(参考)】
2H088
【Fターム(参考)】
2H088EA33
2H088FA08
2H088FA29
2H088GA10
2H088HA01
2H088HA02
2H088HA05
2H088JA04
2H088MA20
(57)【要約】
【課題】調光シートの表面と対向する視点から見て、調光シートの中央を含む部分において局所的な動作不良の発生を抑制可能とした調光シート、および、調光シートの製造方法を提供する。
【解決手段】調光シートは、第1ベース層23Aと、第2ベース層23Bと、第1ベース層23Aと第2ベース層23Bとの間に挟まれ、液晶組成物を含む調光層22と、第1ベース層23Aと調光層22との間に位置し、透明導電膜から形成された第1透明電極層21Aと、第2ベース層23Bと調光層22との間に位置し、透明導電膜から形成された第2透明電極層21Bとを備える。第1ベース層23Aおよび第2ベース層23Bの少なくとも一方が、以下の条件1を満たす。(条件1)線膨張係数が、1.5×10-5/K以下である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ベース層と、
第2ベース層と、
前記第1ベース層と前記第2ベース層との間に位置し、液晶組成物を含む調光層と、
前記第1ベース層と前記調光層との間に位置し、透明導電膜によって形成された第1透明電極層と、
前記第2ベース層と前記調光層との間に位置し、透明導電膜によって形成された第2透明電極層と、を備える調光シートであって、
前記第1ベース層および前記第2ベース層の少なくとも一方が、以下の条件1を満たす
(条件1)線膨張係数が、1.5×10-5/K以下である
調光シート。
【請求項2】
前記第1ベース層および前記第2ベース層のうち、前記条件1を満たすベース層が、特定の波長の光を遮断する機能を有する機能層を含む
請求項1に記載の調光シート。
【請求項3】
前記第1ベース層および前記第2ベース層のうち、前記条件1を満たすベース層が、200μm以下の厚さを有する
請求項1に記載の調光シート。
【請求項4】
前記第1ベース層および前記第2ベース層のうち、前記条件1を満たすベース層が、酸化シリコン、酸化アルミニウム、および、酸化ジルコニウムから構成される群から選択されるいずれか1つまたは2つから形成される無機膜を含む
請求項1から3のいずれか一項に記載の調光シート。
【請求項5】
第1ベース層と、
第2ベース層と、
前記第1ベース層と前記第2ベース層との間に位置し、液晶組成物を含む調光層と、
前記第1ベース層と前記調光層との間に位置し、透明導電膜によって形成された第1透明電極層と、
前記第2ベース層と前記調光層との間に位置し、透明導電膜によって形成された第2透明電極層と、を備える調光シートであって、
前記第1ベース層および前記第2ベース層の少なくとも一方が、以下の条件2を満たす
(条件2)60℃における水の拡散係数が、1.61×10-13cm/s以下である
調光シート。
【請求項6】
前記第1ベース層および前記第2ベース層のうち、前記条件2を満たすベース層が、特定の波長の光を遮断する機能を有する機能層を含む
請求項5に記載の調光シート。
【請求項7】
前記第1ベース層および前記第2ベース層のうち、前記条件2を満たすベース層が、200μm以下の厚さを有する
請求項5に記載の調光シート。
【請求項8】
前記第1ベース層および前記第2ベース層のうち、前記条件2を満たすベース層が、酸化シリコン、酸化アルミニウム、および、酸化ジルコニウムから構成される群から選択されるいずれか1つまたは2つから形成される無機膜を含む
請求項5に記載の調光シート。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の調光シートと、
前記調光シートの端面を覆う封止部と、を備える
調光ユニット。
【請求項10】
前記調光シートを支持する支持部材と、
前記支持部材と前記調光シートとの間に位置して、前記調光シートを前記支持部材に接着する接着層と、を備える
請求項9に記載の調光ユニット。
【請求項11】
請求項1に記載の調光シートと、
前記調光シートの端面を覆う封止部と、
前記調光シートを支持する支持部材と、
前記支持部材と前記調光シートとの間に位置して、前記第1ベース層および前記第2ベース層におけるいずれかのベース層を前記支持部材に接着する接着層と、を備え、
前記調光シートにおいて、前記支持部材に接着されていない前記ベース層が、前記条件1を満たす
調光ユニット。
【請求項12】
請求項2に記載の調光シートと、
前記調光シートの端面を覆う封止部と、
前記調光シートを支持する支持部材と、
前記支持部材と前記調光シートとの間に位置して、前記第1ベース層および前記第2ベース層におけるいずれかのベース層を前記支持部材に接着する接着層と、を備え、
前記調光シートにおいて、前記支持部材に接着されていない前記ベース層が、前記条件2を満たす
調光ユニット。
【請求項13】
第1ベース層と、
第2ベース層と、
前記第1ベース層と前記第2ベース層との間に位置し、液晶組成物を含む調光層と、
前記第1ベース層と前記調光層との間に位置し、透明導電膜によって形成された第1透明電極層と、
前記第2ベース層と前記調光層との間に位置し、透明導電膜によって形成された第2透明電極層と、を備える調光シートの製造方法であって、
前記第1ベース層および前記第2ベース層を準備することを含み、
前記第1ベース層および前記第2ベース層を準備することは、前記第1ベース層および前記第2ベース層の少なくとも一方として、厚さt、拡散係数D、および、性能保証期間Tが、以下の条件3を満たすベース層を準備する
(条件3)t≧(2DT)1/2
調光シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光シート、調光ユニット、および、調光シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
調光シートは、液晶組成物を含む調光層、調光層の厚さ方向において調光層を挟む一対の透明電極層、および、各透明電極層を支持するベース層を備えている。調光シートは、調光シートにおいて対向する一対の面を繋ぐ端面を有している。調光シートの端面において、調光層の端部、および、各透明電極層の端部が、調光シートの外部に露出している。調光シートの端面は、調光層の外部に存在する水が調光層の端部から調光層内に浸入することを抑える目的で、各種樹脂などによって形成された封止部によって封止されている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-198883号公報
【特許文献2】特開2019-191481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、調光シートが適用される対象の拡張が目覚ましく、これによって、調光シートには、年単位での長期間にわたる耐久性が求められている。こうした対象の拡張は、調光シートの表面と対向する視点から見た場合、特に高温多湿な環境下での動作において、調光シートの端面付近ではなく、調光シートの中央を含む部分において生じる局所的な動作不良という新たな課題を生じさせている。
【0005】
本発明は、調光シートの表面と対向する視点から見て、調光シートの中央を含む部分において局所的な動作不良の発生を抑制可能とした調光シート、および、調光シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための調光シートは、第1ベース層と、第2ベース層と、前記第1ベース層と前記第2ベース層との間に位置し、液晶組成物を含む調光層と、前記第1ベース層と前記調光層との間に位置し、透明導電膜によって形成された第1透明電極層と、前記第2ベース層と前記調光層との間に位置し、透明導電性膜によって形成された第2透明電極層と、を備える。前記第1ベース層および前記第2ベース層のうち少なくとも一方が、以下の条件1を満たす。
(条件1)線膨張係数が、1.5×10-5/K以下である。
【0007】
上記調光シートによれば、ベース層の線膨張係数が1.5×10-5/K以下である場合には、加熱によるベース層の膨張を抑えることによって、ベース層を通じて移行する水分が、透明電極層に達することが抑えられる。これにより、透明電極層においてイオンマイグレーションが生じることが抑えられ、結果として、調光シートにおいて局所的な動作不良が生じることが抑えられる。
【0008】
上記調光シートにおいて、前記第1ベース層および前記第2ベース層のうち、前記条件1を満たすベース層が、特定波長の光を遮断する機能を有する機能層を含んでもよい。
【0009】
上記調光シートにおいて、前記第1ベース層および前記第2ベース層のうち、前記条件1を満たすベース層が、200μm以下の厚さを有してもよい。この調光シートによれば、ベース層が200μm以下の厚さであっても、水分が、ベース層の表面から裏面に向けて透過することを抑えながら、ベース層の厚さを、調光シートを製造する上で実用上好ましい値とすることが可能である。
【0010】
上記調光シートにおいて、前記第1ベース層および前記第2ベース層のうち、前記条件1を満たすベース層が、酸化シリコン、酸化アルミニウム、および、酸化ジルコニウムから構成される群から選択されるいずれか1つまたは2つから形成される無機膜を含んでもよい。
【0011】
上記課題を解決するための調光シートは、第1ベース層と、第2ベース層と、前記第1ベース層と前記第2ベース層との間に位置し、液晶組成物を含む調光層と、前記第1ベース層と前記調光層との間に位置し、透明導電膜によって形成された第1透明電極層と、前記第2ベース層と前記調光層との間に位置し、透明導電膜によって形成された第2透明電極層と、を備える。前記第1ベース層および前記第2ベース層の少なくとも一方が、以下の条件2を満たす。
(条件2)60℃における水の拡散係数が、1.61×10-13cm/s以下である。
【0012】
上記調光シートによれば、ベース層が60℃において1.61×10-13cm/s以下の拡散係数を有することによって、ベース層において100μm以上の厚さが選択される場合において、調光シートが備える透明電極層に水分が到達することが長期間にわたって抑えられる。結果として、調光シートにおいて局所的な動作不良が生じることが抑えられる。
【0013】
上記調光シートにおいて、前記第1ベース層および前記第2ベース層のうち、前記条件2を満たすベース層が、特定の波長の光を遮断する機能を有する機能層を含んでもよい。
上記調光シートにおいて、前記第1ベース層および前記第2ベース層のうち、前記条件2を満たすベース層が、200μm以下の厚さを有してもよい。この調光シートによれば、ベース層が200μm以下の厚さであっても、水分が、ベース層の表面から裏面に向けて透過することを抑えながら、ベース層の厚さを、調光シートを製造する上で実用上好ましい値とすることが可能である。
【0014】
上記調光シートにおいて、前記第1ベース層および前記第2ベース層のうち、前記条件2を満たすベース層が、酸化シリコン、酸化アルミニウム、および、酸化ジルコニウムから構成される群から選択されるいずれか1つないし2つから形成される無機膜を含んでもよい。この調光シートによれば、ベース層が無機膜を含むことによって、ベース層が、1.61×10-13cm/s以下の拡散係数を有することが可能である。
【0015】
上記課題を解決するための調光ユニットは、上記調光シートと、前記調光シートの端面を覆う封止部と、を備える。この調光ユニットによれば、封止部を有する調光ユニットが備えるベース層において、線膨張係数および拡散係数のいずれかが上述した条件を満たすことによって、調光シートの端面から調光シート内に水分が浸入すること、および、調光シートのうちで、ベース層によって形成される外表面から水分が浸入することが抑えられる。
【0016】
上記調光ユニットにおいて、前記調光シートを支持する支持部材と、前記支持部材と前記調光シートとの間に位置して、前記調光シートを前記支持部材に接着する接着層と、を備えてもよい。この調光ユニットによれば、調光シートが取り付けられた支持部材によって、調光シートの内部に水分が浸入することが抑えられる。
【0017】
上記課題を解決するための調光シートの製造方法は、第1ベース層と、第2ベース層と、前記第1ベース層と前記第2ベース層との間に位置し、液晶組成物を含む調光層と、前記第1ベース層と前記調光層との間に位置し、透明導電膜によって形成された第1透明電極層と、前記第2ベース層と前記調光層との間に位置し、透明導電膜によって形成された第2透明電極層と、を備える調光シートの製造方法である。前記第1ベース層と前記第2ベース層を準備することを含み、前記第1ベース層と前記第2ベース層とを準備することは、前記第1ベース層および前記第2ベース層の少なくとも一方として、厚さt、拡散係数D、および、性能保証期間Tが、以下の条件3を満たすベース層を準備する。
(条件3)t≧(2DT)1/2
【0018】
上記調光シートの製造方法によれば、条件3を満たすベース層を準備することによって、性能保証期間にわたり透明電極層に水分が到達することが抑えられるから、透明電極層に到達した水分に起因したイオンマイグレーションを抑えることが可能である。これにより、調光シートの性能保証期間にわたって、調光シートに局所的な動作不良が生じることが抑えられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、調光シートの表面と対向する視点から見て、調光シートの中央を含む部分において局所的な動作不良の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態における調光ユニットの構造を示す断面図。
図2図1が示す調光シートの一部を拡大して示す断面図。
図3図1が示す調光シートを調光シートの表面と対向する視点から見た構造を示す平面図。
図4】PETフィルムにおける伸び量と温度との関係を示すグラフ。
図5】PETフィルムにおける拡散係数とPETフィルムの表面を基準として水分が拡散する距離との関係を示すグラフ。
図6】PETフィルムにおける平均拡散距離σ(T)と拡散係数Dとの関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から図6を参照して、調光シート、調光ユニット、および、調光シートの製造方法の一実施形態を説明する。以下では、調光ユニット、調光シートの製造方法、および、試験例を順に説明する。
【0022】
[調光ユニット]
図1から図3を参照して、調光ユニットの構造を説明する。図2には、調光シートの一例であるノーマル型の調光シートにおける構造の一部が示されている。
【0023】
図1が示すように、調光ユニット10は、調光シート20、封止部11、支持部材12、および、接着層13を備えている。調光シート20は、表面20F、表面20Fと対向する裏面20R、および、表面20Fを裏面20Rに繋ぐ端面20Eを含む。封止部11は、調光シート20の端面20Eを覆っている。封止部11は、端面20Eの全体を覆うことが可能な環状を有している。封止部11は、調光シート20の外部に存在する水分が、調光シート20の端面から調光シート20の内部に侵入することを抑える。封止部11は、例えば各種の樹脂によって形成される。封止部11を形成するための樹脂は、例えば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン‐チオール系樹脂、シリコーン系樹脂であってよい。
【0024】
接着層13は、支持部材12と調光シート20との間に位置して、調光シート20を支持部材12に接着する。接着層13は、調光シート20の裏面20Rを支持部材12に接着する。接着層13は、各種の接着剤によって形成されてよい。支持部材12は、調光シート20を支持する。支持部材12は、調光シート20が有する剛性よりも高い剛性を有している。支持部材12は、例えばガラス板であってよいし、あるいは、樹脂製の板部材であってもよい。
【0025】
図2が示すように、調光シート20は、第1透明電極層21A、第2透明電極層21B、調光層22、第1ベース層23A、および、第2ベース層23Bを備えている。第1透明電極層21Aおよび第2透明電極層21Bは、例えば透明導電膜によって形成されている。調光層22は、第1透明電極層21Aと第2透明電極層21Bとに挟まれ、液晶組成物を含んでいる。第1ベース層23Aは、第1透明電極層21Aを支持している。第2ベース層23Bは、第2透明電極層21Bを支持している。
【0026】
第1ベース層23Aおよび第2ベース層23Bのうち、少なくとも第1ベース層23Aが、以下の条件1を満たす。すなわち、第1ベース層23Aのみが条件1を満たせばよいし、第1ベース層23Aと第2ベース層23Bとの両方が条件1を満たしてもよい。
(条件1)線膨張係数が、1.5×10-5/K以下である。
【0027】
あるいは、第1ベース層23Aおよび第2ベース層23Bのうち、少なくとも第1ベース層23Aが、以下の条件2を満たす。すなわち、第1ベース層23Aのみが条件2を満たすだけでもよいし、第1ベース層23Aおよび第2ベース層23Bの両方が条件2を満たしてもよい。
(条件2)60℃における拡散係数が、1.61×10-13cm/s以下である。
【0028】
なお、第1ベース層23Aおよび第2ベース層23Bのうち、条件1を満たすベース層は、条件1とともに条件2を満たしてもよい。また、調光シート20において、第1ベース層23Aおよび第2ベース層23Bのいずれか一方が条件1を満たす一方で、他方が条件2を満たしてもよい。
【0029】
図3は、調光シート20の表面20Fと対向する視点から見た調光ユニット10の構造を示している。
図3が示すように、調光ユニット10は、調光シート20が有する端面20Eの全体を覆う封止部11を備えている。そのため、調光シート20の端面20Eから調光シート20の内部に水分が浸入することは、封止部11によって抑えられている。
【0030】
こうした調光ユニット10では、第1ベース層として厚さが約60μmのPETフィルムを用いて加速試験を行った場合に、調光シート20の表面20Fと対向する視点から見て、調光シート20の中央を含む中央領域において、局所的な動作不良が生じることが認められている。図3において、破線で囲まれる部分が調光シート20の中央領域である。図3では、説明の便宜上、調光シート20において動作不調が生じた部分にバツ印を付している。
【0031】
すなわち、近年、調光シートが適用される対象の拡張が目覚ましく、これによって、調光シートには、年単位での長期間にわたる耐久性が求められている。こうした対象の拡張は、調光シートの表面と対向する視点から見た場合に、調光シートの端面付近ではなく、調光シートの中央を含む部分において生じる局所的な動作不良という新たな課題を生じさせている。
【0032】
なお、本開示における動作不良は、一対の透明電極層に対して液晶分子を駆動するための電圧を印加しても、調光シートの状態が変化しないことを意味する。上述したように、本実施形態の調光シート20はノーマル型の調光シートであるから、一対の透明電極層21A,21B間に電圧が印加されていない状態において、調光シート20は白濁した状態、すなわち不透明状態である。これに対して、一対の透明電極層21A,21B間に液晶分子を駆動するための電圧が印加された状態において、調光シート20は透明状態である。そのため、調光シート20のうち、局所的な動作不良を示す部分では、一対の透明電極層21A,21B間に液晶分子を駆動するための電圧を印加しても、当該部分は、電圧の印加前後において、不透明状態を維持する。
【0033】
加速試験は、例えば以下の条件で行われる。すなわち、60℃、かつ、相対湿度が50%以上に設定された試験空間内に配置された調光シート20において、一対の透明電極層21A,21B間に液晶分子を駆動するための電圧を印加し続ける。試験空間内の相対湿度が50%に設定された場合には、およそ6000時間が経過した時点において、上述した動作不良が生じることが認められている。また、試験空間内の相対湿度が70%に設定された場合には、およそ5000時間が経過した時点において動作不良が生じることが認められている。また、試験空間内の相対湿度が90%に設定された場合には、およそ4000時間が経過した時点において動作不良が生じることが認められている。これに対して、試験空間内の温度が50℃に設定される場合には、試験空間内の相対湿度が90%に設定された場合においても、7000時間にわたって一対の透明電極層21A,21B間に電圧を印加し続けても、局所定な動作不良は認められていない。
【0034】
また、動作不良が生じた部分に対するSEM‐EDX分析によって、透明電極層が含む金属原子が著しく減少していることが認められている。こうした結果から、透明電極層が含む金属原子がイオンマイグレーションによって調光層に移動し、これによって生じた調光層の絶縁劣化と、透明電極層の劣化とに起因して局所的な動作不良が生じると言える。
【0035】
図4は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにおける温度(℃)と伸び量(μm)との関係をシミュレーションにより算出した結果を示している。なお、初期長さL、温度上昇ΔT、線膨張係数αは、以下の式(1)を満たす。
ΔL/L = αΔT …式(1)
【0036】
図4が示すように、20℃における長さである初期長さLが10cmである場合には、20℃であるときの伸び量は0μmであり、30℃であるときの伸び量は20μmであり、40℃であるときの伸び量は40μmである。また、50℃であるときの伸び量は60μmであり、60℃であるときの伸び量は80μmである。上述したように、加速試験では、60℃において動作不良が生じる一方で、50℃では動作不良が生じないことが認められている。また、加速試験の対象とされた調光シートは、各ベース層としてPETフィルムを備える。
【0037】
ここで、イオンマイグレーションは、電圧が印加されている一対の電極間において、正極を形成する金属原子がイオン化し、正極から負極に向けて移動する現象である。イオンマイグレーションは、環境の温度および湿度の両方が高いほどより進行しやすい傾向を有する。
【0038】
また、調光シート20において、調光シート20の中央領域では局所的な動作不良が生じる一方で、その外部である周辺領域では動作不良が生じないことが認められている。調光シート20において、調光シート20の端面を周辺領域は封止部11によって支持部材12に固定されている。また、調光シート20の裏面20Rは、接着層13によって支持部材12に固定されている。そのため、調光シート20の温度が上昇した場合には、調光シート20の表面20Fと対向する視点からみて、調光シート20の中央領域において、最も膨張量が大きくなる。こうした理由から、調光シート20の加熱による膨張、および、膨張によって生じる水分の浸入が、調光シート20において生じる動作不良の一因であると言える。
【0039】
上述したように、ベース層としてPETフィルムを備える調光シートでは、試験空間内温度が50℃であれば、動作不良が生じない。そのため、60℃におけるベース層の伸び量が、50℃におけるベース層の伸び量以下であれば、調光シート20において生じる動作不良を抑えることが可能である。50℃におけるPETフィルムの伸び量は60μmであるから、ベース層23A,23Bの線膨張係数が1.5×10-5/K以下であることによって、調光シート20において生じる動作不良を抑えることが可能である。なお、この値は、上述した式1から算出することが可能である。なお、PETフィルムの線膨張係数は、通常、2.0×10-5/K以上6.0×10-5/K以下であるから、ベース層の形成材料は、PET以外の材料であることが好ましい。
【0040】
各ベース層23A,23Bは、単層構造を有してもよいし、多層構造を有してもよい。各ベース層23A,23Bが多層構構造を有する場合には、全ての層において、線膨張係数が1.5×10-5/K以下であることが好ましい。
【0041】
図5は、PETフィルムにおける相対水分量と表面からの距離との関係を示している。図5は、室温すなわち20℃におけるPETフィルムに対する水の拡散係数Dを用いて、PETフィルムの表面を基準として、水分がPETフィルムの厚さ方向において到達することが可能な距離を示している。なお、PETフィルムに対する水の拡散係数Dは、4×10-9cm/sに設定されている。
【0042】
上述したように、従来から、調光シート20では、調光シート20の端面20Eから調光シート20の内部に水分が浸入することを抑える目的で、端面20Eは封止部11によって覆われている。一方で、調光シート20の表面20Fと対向する視点から見て、調光シート20の中央領域には、水分の浸入を抑えるような処理は施されていない。
【0043】
図5が示すように、例えばPETフィルムが100μmの厚さを有する場合には、PETフィルムが水分に暴露されてから30分を経過した時点では、PETフィルムの表面から裏面に向けて移動する水分は、PETフィルムの裏面にはほぼ到達しない。これに対して、PETフィルムが水分に暴露されてから6時間が経過した時点では、PETフィルムの表面における水分に対するほぼ半量の水分が、PETフィルムの裏面に到達する。すなわち、100μmの厚さを有したPETフィルムを備える調光シートでは、PETフィルムの表面における水分のほぼ半量の水分が、調光層に到達する。
【0044】
これに対して、PETフィルムが200μmの厚さを有する場合には、PETフィルムが水分に暴露されてから2時間を経過した時点では、PETフィルムの表面から裏面に向けて移動する水分は、PETフィルムの裏面にはほぼ到達しない。これに対して、PETフィルムが水分に暴露されてから6時間が経過した時点では、PETフィルムの表面における水分に対するほぼ1/10量の水分が、PETフィルムの裏面に到達する。すなわち、200μmの厚さを有したPETフィルムを備える調光シートでは、PETフィルムの表面における水分のほぼ1/10量の水分が、調光層に到達する。
【0045】
そこで、ベース層23A,23Bは、厚さt、拡散係数D、および、性能保証期間Tが以下の式(2)を満たすことが好ましい。
t≧(2DT)1/2 … 式(2)
【0046】
調光シート20は、性能保証期間Tが10年に設定された場合であっても、上記式(2)を満たすことが好ましい。これにより、10年という長期間においてベース層から調光層に向けた水分の拡散を抑え、これによって、イオンマイグレーションに起因した透明電極の劣化が抑えられる。
【0047】
図6は、PETフィルムにおける平均拡散距離と拡散係数との関係を示している。
図6が示す平均拡散距離σ(T)、拡散係数D、および、時間Tは、以下の式(3)を満たす。
σ(T)=(2DT)1/2 … 式(3)
【0048】
図6が示すように、10年が経過した時点において平均拡散距離σ(T)が200μmである拡散係数Dは、6.35×10-13cm/sである。これに対して、10年が経過した時点において平均拡散距離σ(T)が100μmである拡散係数Dは、1.61×10-13cm/sである。したがって、60℃における拡散係数Dが1.61×10-13cm/s以下であることによって、ベース層の厚さが200μm以下である場合に、水分が、ベース層の表面からベース層の裏面に透過することを抑えることが可能である。
【0049】
ベース層23A,23Bは、上述したように単層構造を有してもよいし、多層構造を有してもよい。ベース層23A,23Bが多層構造を有する場合には、少なくとも1つの層において、拡散係数Dが1.61×10-13cm/s以下であってよい。これにより、ベース層23A,23Bは、拡散係数Dが1.61×10-13cm/s以下である層の総厚に応じた耐用年数を実現することが可能である。
【0050】
なお、各ベース層23A,23Bは、酸化シリコン、酸化アルミニウム、および、酸化ジルコニウムから構成される群から選択されるいずれか1つまたは2つから形成される無機膜を含むことができる。これにより、各ベース層23A,23Bは、1.61×10-13cm/s以下の拡散係数Dを有することが可能である。
【0051】
第1ベース層23Aは、200μm以下の厚さを有してよい。なお、第2ベース層23Bが条件1および条件2の少なくとも一方を満たす場合には、第2ベース層23Bは、第1ベース層23Aと同様に、200μm以下の厚さを有してよい。第1ベース層23Aが200μm以下の厚さであっても、水分が、第1ベース層23Aの表面から裏面に向けて透過することを抑えながら、第1ベース層23Aの厚さを、調光シート20を製造する上で実用上好ましい大きさとすることが可能である。
【0052】
調光層22において、液晶組成物の保持型式は、ポリマーネットワーク型、高分子分散型、カプセル型からなる群から選択されるいずれか一種である。調光層22は、上述した液晶組成物に加えて、透明高分子層を備えてよい。透明高分子層は、液晶組成物の保持形式に応じた構造を有している。ポリマーネットワーク型は、3次元の網目状を有したポリマーネットワークを備える。ポリマーネットワークは、透明高分子層の一例である。ポリマーネットワークは、相互に連通した網目状の空隙のなかに液晶組成物を保持する。高分子分散型は、孤立した多数の空隙を区画する透明高分子層を備え、透明高分子層に分散した空隙のなかに液晶組成物を保持する。カプセル型は、カプセル状を有した液晶組成物を透明高分子層のなかに保持する。透明高分子層は、紫外線重合性化合物の重合体である。
【0053】
調光層22は、例えば、塗膜に対する紫外線の照射によって形成される。塗膜は、透明高分子層を形成するための紫外線重合性化合物と、液晶組成物との混合物である。液晶組成物が含む液晶分子は、例えば、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ジオキサン系からなる群から選択される一種である。液晶組成物は、第1の液晶分子と、第1の液晶分子とは異なる種類の第2の液晶分子を含んでもよい。液晶組成物の主成分は、液晶分子である。
【0054】
各透明電極層21A,21Bは、可視光領域の光を透過する。各透明電極層21A,21Bを形成する材料は、透明導電性酸化物(TCO)である。透明導電性酸化物は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などが代表例である。なお、これ以外であっても、可視光での高い透過率を有していれば、十分にTCOの代替たりうる。例えば、低抵抗金属を利用したAgメタルメッシュ(Agナノワイヤー)やAgスタック(Ag極薄膜)などが、透明電極層21A,21Bを形成する材料として採用可能である。
【0055】
各ベース層23A,23Bは、少なくとも透明基材を含んでいる。透明基材は、可視光領域の光を透過する。透明基材を形成する材料は、ガラス、合成樹脂、無機化合物であってよい。なお、各ベース層23A,23Bが単層構造を有する場合には、各ベース層23A,23Bは、透明基材によって形成される。各ベース層23A,23Bが多層構造を有する場合には、ベース層23A,23Bは、透明基材に加えて上述した無機膜を含むことが可能である。また、ベース層23A,23Bは、特定の波長の光を遮断する機能を有する機能層を含むことができる。なお、機能層は、例えば紫外線を遮断する機能を有した紫外線カット層であってよい。紫外線カット層は、紫外線カット層に入射した紫外線を反射あるいは吸収することによって、紫外線カット層を透過することを抑える。
【0056】
調光層22は、透明状態と不透明状態とを有する。調光層22は、液晶分子の配向を変える電圧の印加に応じて、液晶分子の配向を変える。調光層22は、液晶分子の配向の変化に基づいて、透明状態と不透明状態とに切り替わる。調光層22が透明状態であるときに、調光シート20が透明状態を有する。調光層22が不透明状態であるときに、調光シート20が不透明状態を有する。上述したように、調光シート20はノーマル型の調光シートであるから、第1透明電極層21Aと第2透明電極層21Bとの間に電位差が生じていないときに調光シート20は不透明状態であり、第1透明電極層21Aと第2透明電極層21Bとの間に電位差が生じているときに調光シート20は透明状態である。
【0057】
[調光シートの製造方法]
本開示の調光シート20の製造方法は、第1透明電極層21A、第2透明電極層21B、調光層22、第1ベース層23A、および、第2ベース層23Bを備えた調光シートを製造する方法である。第1透明電極層21Aおよび第2透明電極層21Bは、例えば透明導電性酸化物によって形成されている。調光層22は、第1透明電極層21Aと第2透明電極層21Bとに挟まれ、液晶組成物を含んでいる。第1ベース層23Aは、第1透明電極層21Aを支持している。第2ベース層23Bは、第2透明電極層21Bを支持している。
【0058】
調光シート20の製造方法は、第1ベース層23Aと第2ベース層23Bを準備することを含む。第1ベース層23Aと第2ベース層23Bを準備することは、少なくとも第1ベース層23Aが、厚さt、拡散係数D、および、性能保証期間Tにおいて、以下の条件3を満たす。なお、条件3は、上述した式(2)である。
(条件3)t≧(2DT)1/2
【0059】
条件3を満たすベース層23A,23Bを準備することによって、性能保証期間Tにわたり透明電極層21A,21Bに水分が到達することが抑えられるから、透明電極層21A,21Bに到達した水分に起因したイオンマイグレーションを抑えることが可能である。これにより、調光シート20の性能保証期間Tにわたって、調光シート20に局所的な動作不良が生じることが抑えられる。
【0060】
[試験例]
[試験例1]
第1ベース層および第2ベース層として、50μmの厚さを有したポリエステルフィルム(ルミラー、東レ(株)製)を準備した。各ベース層において、線膨張係数が1.5×10-5cm/cm/℃であり、60℃における拡散係数が6.35×10-13cm/sであった。そして、各ベース層に0.05μmの厚さを有したITO膜を透明電極層として形成した。次いで、2つのITO膜の間に、液晶組成物および重合性組成物を含む塗液を挟んだ状態で、塗液に紫外線を照射した。これにより、120μmの厚さを有した調光層を有する調光シートを得た。
【0061】
[試験例2]
第1ベース層および第2ベース層として、100μmの厚さを有した多層構造の基材を準備した。各基材を、90μmの厚さを有したPETフィルムと、少なくとも酸化シリコンと酸化アルミニウム膜とを含む10μmの厚さの積層膜を形成した。酸化シリコン膜と酸化アルミニウム膜との積層体において、拡散係数が1.61×10-13cm/sであった。なお、PETフィルムでは、線膨張係数が1.5×10-5/Kよりも大きい値であり、60℃における拡散係数が、1.61×10-13cm/sよりも大きい値であった。
【0062】
そして、各ベース層に0.04μmの厚さを有したITO膜を透明電極層として形成した。次いで、2つのITO膜の間に、液晶組成物および重合性組成物を含む塗液を挟んだ状態で、塗液に紫外線を照射した。これにより、120μmの厚さを有した調光層を有する調光シートを得た。
【0063】
[評価結果]
試験例1の調光シート、および、試験例2の調光シートの各々において、第1透明電極層と第2透明電極層との間に60Vの電圧を7000時間にわたって印加し続けた。7000時間が経過した時点において、各調光シートが有する電極間に電圧を印加したところ、いずれの調光シートにおいても局所的な動作不良が生じていないことが認められた。
【0064】
以上説明したように、調光シートの一実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)ベース層23A,23Bの線膨張係数が1.5×10-5/K以下である場合には、加熱によるベース層23A,23Bの膨張を抑えることによって、ベース層23A,23Bを通じて移行する水分が、透明電極層21A,21Bに達することが抑えられる。これにより、透明電極層21A,21Bにおいてイオンマイグレーションが生じることが抑えられ、結果として、調光シート20において局所的な動作不良が生じることが抑えられる。
【0065】
(2)ベース層が60℃において1.61×10-13cm/s以下の拡散係数を有することによって、ベース層において100μm以上の厚さが選択される場合において、調光シートが備える透明電極層に水分が到達することが長期間にわたって抑えられる。結果として、調光シートにおいて局所的な動作不良が生じることが抑えられる。
【0066】
(3)ベース層23A,23Bが200μm以下の厚さを有することによって、水分が、ベース層23A,23Bの表面から裏面に向けて透過することを抑えながら、ベース層23A,23Bの厚さを、調光シート20を製造する上で実用上好ましい大きさとすることが可能である。
【0067】
(4)ベース層23A,23Bが無機膜を含むことによって、各ベース層は、1.61×10-13cm/s以下の拡散係数を有することが可能である。
(5)封止部11を有する調光ユニット10が備えるベース層23A,23Bにおいて、線膨張係数および拡散係数のいずれかが上述した条件を満たすことによって、調光シート20の端面20Eから調光シート20内に水分が浸入することが抑えられる。また、調光シート20のうちで、ベース層23A,23Bによって形成される外表面から水分が浸入することが抑えられる。
【0068】
(6)調光シート20が取り付けられた支持部材12によって、調光シート20の内部に水分が浸入することが抑えられる。
(7)条件3を満たすベース層23A,23Bを準備することによって、性能保証期間Tにわたり透明電極層21A,21Bに水分が到達することが抑えられるから、透明電極層21A,21Bに到達した水分に起因したイオンマイグレーションを抑えることが可能である。これにより、調光シート20の性能保証期間Tにわたって、調光シート20に局所的な動作不良が生じることが抑えられる。
【0069】
なお、上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[リバース型調光シート]
・調光ユニット10が備える調光シート20は、リバース型の調光シートであってもよい。この場合には、調光シートは、第1配向膜と第2配向膜とを備える。調光シートの厚さ方向において、第1配向膜は、調光層22と第1透明電極層21Aとの間に位置し、第2配向膜は調光層22と第2透明電極層21Bとの間に位置する。調光ユニットがリバース型の調光シートを備える場合であっても、ノーマル型の調光シートを備える場合と同等の効果を得ることはできる。
【符号の説明】
【0070】
10…調光ユニット
11…封止部
12…支持部材
13…接着層
20…調光シート
21A…第1透明電極層
21B…第2透明電極層
22…調光層
23A…第1ベース層
23B…第2ベース層
図1
図2
図3
図4
図5
図6