(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075197
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】ケラチン繊維用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20220511BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20220511BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20220511BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20220511BHJP
A61Q 5/08 20060101ALI20220511BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/44
A61K8/41
A61K8/31
A61Q5/08
A61Q5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020185823
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】原 卓也
(72)【発明者】
【氏名】レイラ・エルクエ
(72)【発明者】
【氏名】笠井 章弘
(72)【発明者】
【氏名】シュチスミタ・バス
(72)【発明者】
【氏名】山田 英俊
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB242
4C083AB282
4C083AB352
4C083AB371
4C083AB372
4C083AB412
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC541
4C083AC542
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC642
4C083AC692
4C083AC812
4C083AC852
4C083AC892
4C083AD132
4C083AD192
4C083AD282
4C083AD642
4C083AD662
4C083BB21
4C083BB43
4C083BB53
4C083CC35
4C083CC36
4C083DD23
4C083EE07
4C083EE26
4C083EE27
(57)【要約】
【課題】ケラチン繊維の損傷を減少させることができると同時にケラチン繊維に良好な脱色又は染色効果をもたらすことができる、ケラチン繊維用組成物、特にケラチン繊維を脱色する又は酸化染色するための組成物を提供すること。
【解決手段】(a)ケイ酸及びその塩から選択される少なくとも1種の無機化合物と、(b)アミノ酸、その誘導体及びその塩から選択される少なくとも1種の有機化合物と、(c)(a)無機化合物及び(b)有機化合物以外の少なくとも1種のアルカリ剤と、(d)少なくとも1種の脂肪物質と、(e)水とを含む、ケラチン繊維用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) ケイ酸及びその塩から選択される少なくとも1種の無機化合物と、
(b) アミノ酸、その誘導体及びその塩から選択される少なくとも1種の有機化合物と、
(c) (a)無機化合物及び(b)有機化合物以外の少なくとも1種のアルカリ剤と、
(c) 少なくとも1種の脂肪物質と、
(e) 水と
を含む、ケラチン繊維用組成物。
【請求項2】
(a)無機化合物が、ケイ酸塩、好ましくはメタケイ酸塩、より好ましくはアルカリ金属メタケイ酸塩から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物中の(a)無機化合物の量が、組成物の総質量に対して、0.05質量%~10質量%、好ましくは0.1質量%~5質量%、より好ましくは0.5質量%~2質量%である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(b)有機化合物が、アミノ酸、好ましくは環状α-アミノ酸、より好ましくは非芳香族環状α-アミノ酸、及びそれらの塩から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
アミノ酸が、7未満の等電点を有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
(b)有機化合物が、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン及びプロリンから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
組成物中の(b)有機化合物の量が、組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~5質量%、より好ましくは1質量%~3質量%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(c)アルカリ剤が、アンモニア、アルカノールアミン、それらの誘導体及びそれらの塩から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
アルカノールアミンが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-ジメチルエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
組成物中の(c)アルカリ剤の量が、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(d)脂肪物質が、炭化水素油、好ましくは脂肪族炭化水素油、より好ましくは鉱油から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
組成物中の(d)脂肪物質の量が、組成物の総質量に対して、40質量%以上、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物中の(e)水の量が、組成物の総質量に対して、10質量%~40質量%、好ましくは15質量%~35質量%、より好ましくは20質量%~30質量%である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
(f)少なくとも1種の染料を更に含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ケラチン繊維のための方法であって、
(1) 第1の組成物と第2の組成物とを混合して混合物を調製する工程であり、
第1の組成物が、
(a) ケイ酸及びその塩から選択される少なくとも1種の無機化合物、
(b) アミノ酸、その誘導体及びその塩から選択される少なくとも1種の有機化合物、
(c) (a)無機化合物及び(b)有機化合物以外の少なくとも1種のアルカリ剤、
(b) 少なくとも1種の脂肪物質、
(e) 水、及び任意選択で(f)少なくとも1種の染料
を含み、
第2の組成物が、
(g) 少なくとも1種の酸化剤
を含む、
工程と、
(2) 前記混合物をケラチン繊維に塗布する工程と
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維用組成物、特に、毛髪等のケラチン繊維を脱色する又は染色するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化ベースと一般に呼ばれる酸化着色前駆体、例えばオルト-又はパラ-フェニレンジアミン類、オルト-又はパラ-アミノフェノール類及び複素環式化合物を含有する染色組成物を使用して、ケラチン繊維、特に毛髪を染色することが知られている。これらの酸化ベースは、一般に、カプラーと組み合わされる。これらの酸化ベース及びカプラーは、無色又は弱着色の化合物である。しかしながら、酸化剤と組み合わされたとき、それらは、酸化縮合プロセスを通じて着色染料分子を提供することができる。
【0003】
酸化によるこのタイプの着色、すなわち酸化染色は、非常に高い視認性、白髪の被覆及び多様な色調を伴う色を得ることを可能にする。酸化染色は、いわゆる直接染料を使用した直接染色と比べて色の取込み量が多いため、広く使用されている。
【0004】
酸化染色を実施するために、典型的には、酸化ベース及びカプラーを含む組成物をアルカリ剤と共に、酸化剤を含む顕色剤組成物と混合されて、すぐ使える組成物を調製し、次いですぐ使える組成物がケラチン繊維上へ塗布される。
【0005】
顕色剤組成物は、組成物中の酸化剤の機能に起因して、ケラチン繊維を脱色することが可能である。したがって、顕色剤組成物及びすぐ使える組成物(これは、任意のカプラーありで又はなしで酸化ベースを一切含まないことがある)を、ケラチン繊維を脱色するのに使用することができる。
【0006】
上に記載した組成物が、良好な脱色又は染色効果を提供できることが好ましい。
【0007】
その一方で、上に記載した組成物でケラチン繊維を脱色する又は染色することは、それらがアルカリ剤を含むため、ケラチン繊維を損傷しがちである。
【0008】
そのため、組成物がケラチン繊維の損傷を減少させることができると同時に良好な脱色又は染色効果を提供できる、毛髪等のケラチン繊維を脱色する又は染色することができる組成物への必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】GB 1,026,978
【特許文献2】GB 1,153,196
【特許文献3】DE 2 359 399
【特許文献4】JP88-169571
【特許文献5】JP91-10659
【特許文献6】WO 96/15765
【特許文献7】FR-A-2 750 048
【特許文献8】DE 3 843 892
【特許文献9】DE 4 133 957
【特許文献10】WO 94/08969
【特許文献11】WO 94/08970
【特許文献12】FR-A-2 733 749
【特許文献13】DE 195 43 988
【特許文献14】EP-A-337 354
【特許文献15】仏国特許第2 270 846号
【特許文献16】仏国特許第2 383 660号
【特許文献17】仏国特許第2 598 611号
【特許文献18】仏国特許第2 470 596号
【特許文献19】仏国特許第2 519 863号
【特許文献20】仏国特許第2 505 348号
【特許文献21】仏国特許第2 542 997号
【特許文献22】EP-A-080 976
【特許文献23】仏国特許第2 077 143号
【特許文献24】仏国特許第2 393 573号
【特許文献25】仏国特許第1 492 597号
【特許文献26】米国特許第4 131 576号
【特許文献27】米国特許第3 589 578号
【特許文献28】米国特許第4 031 307号
【特許文献29】仏国特許第2 162 025号
【特許文献30】仏国特許第2 280 361号
【特許文献31】仏国特許第2 252 840号
【特許文献32】仏国特許第2 368 508号
【特許文献33】仏国特許第2 080 759号
【特許文献34】仏国特許第2 080 759号の追加特許第2 190 406号
【特許文献35】仏国特許第2 320 330号
【特許文献36】仏国特許第2 270 846号
【特許文献37】仏国特許第2 316 271号
【特許文献38】仏国特許第2 336 434号
【特許文献39】仏国特許第2 413 907号
【特許文献40】米国特許第2 273 780号
【特許文献41】米国特許第2 375 853号
【特許文献42】米国特許第2 388 614号
【特許文献43】米国特許第2 4545 47号
【特許文献44】米国特許第3 206 462号
【特許文献45】米国特許第2 261 002号
【特許文献46】米国特許第2 271 378号
【特許文献47】米国特許第3 874 870号
【特許文献48】米国特許第4 001 432号
【特許文献49】米国特許第3 929 990号
【特許文献50】米国特許第3 966 904号
【特許文献51】米国特許第4 005 193号
【特許文献52】米国特許第4 025 617号
【特許文献53】米国特許第4 025 627号
【特許文献54】米国特許第4 025 653号
【特許文献55】米国特許第4 026 945号
【特許文献56】米国特許第4 027 020号
【特許文献57】US-A-5364633
【特許文献58】US-A-5411744
【特許文献59】EP-0216479 B2
【特許文献60】米国特許第3,915,921号
【特許文献61】米国特許第4,509,949号
【特許文献62】EP 173109
【特許文献63】仏国特許出願第0009609号
【特許文献64】FR-2 416 723
【特許文献65】米国特許第2,798,053号
【特許文献66】米国特許第2,923,692号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】CTFA辞典
【非特許文献2】G. Fonnum、J. Bakke及びFk. Hansen、論文、Colloid Polym. Sci 271、380~389頁(1993年)
【非特許文献3】「Encyclopedia of Chemical Technology」、Kirk-Othmer、第3版、1982年、第3巻、896~900頁、及び第15巻、439~458頁
【非特許文献4】E. A. MacGregor及びC. T. Greenwood、「Polymers in Nature」、John Wiley & Sons社発行、第6章、240~328頁、1980年
【非特許文献5】「Industrial Gums-Polysaccharides and their Derivatives」、Roy L. Whistler編、第2版、Academic Press Inc.社発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そのため、本発明の目的は、ケラチン繊維の損傷を減少させることができると同時にケラチン繊維に良好な脱色又は染色効果を提供できる、ケラチン繊維用組成物、特にケラチン繊維を脱色する又は酸化染色するための組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的は、
(a) ケイ酸及びその塩から選択される少なくとも1種の無機化合物と、
(b) アミノ酸、その誘導体及びその塩から選択される少なくとも1種の有機化合物と、
(c) (a)無機化合物及び(b)有機化合物以外の少なくとも1種のアルカリ剤と、
(c) 少なくとも1種の脂肪物質と、
(e) 水と
を含む、ケラチン繊維用組成物によって達成することができる。
【0013】
(a)無機化合物は、ケイ酸塩、好ましくはメタケイ酸塩、より好ましくはアルカリ金属メタケイ酸塩から選択することができる。
【0014】
本発明による組成物中の(a)無機化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.05質量%~10質量%、好ましくは0.1質量%~5質量%、より好ましくは0.5質量%~2質量%であってもよい。
【0015】
(b)有機化合物は、アミノ酸、好ましくは環状α-アミノ酸、より好ましくは、非芳香族環状α-アミノ酸、及びそれらの塩から選択することができる。
【0016】
アミノ酸は、7未満の等電点を有することができる。
【0017】
(b)有機化合物は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、アルパラギン、グルタミン酸、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン及びプロリンから選択することができる。
【0018】
本発明による組成物中の(b)有機化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~5質量%、より好ましくは1質量%~3質量%であってもよい。
【0019】
(c)アルカリ剤は、アンモニア、アルカノールアミン、それらの誘導体、及びそれらの塩から選択することができる。
【0020】
アルカノールアミンは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-ジメチルエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0021】
本発明による組成物中の(c)アルカリ剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0022】
(d)脂肪物質は、炭化水素油、好ましくは脂肪族炭化水素油、より好ましくは鉱油から選択することができる。
【0023】
本発明による組成物中の(d)脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、40質量%以上、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上であってもよい。
【0024】
本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~40質量%、好ましくは15質量%~35質量%、より好ましくは20質量%~30質量%であってもよい。
【0025】
本発明による組成物は、(f)少なくとも1種の染料を更に含んでもよい。
【0026】
本発明はまた、ケラチン繊維のための方法であって、
(1)第1の組成物と第2の組成物とを混合して混合物を調製する工程であり、
第1の組成物が、
(a) ケイ酸及びその塩から選択される少なくとも1種の無機化合物、
(b) アミノ酸、その誘導体及びその塩から選択される少なくとも1種の有機化合物、
(c) (a)無機化合物及び(b)有機化合物以外の少なくとも1種のアルカリ剤、
(d) 少なくとも1種の脂肪物質、
(e) 水、及び任意選択で(f)少なくとも1種の染料
を含み、
第2の組成物が、
(g)少なくとも1種の酸化剤
を含む、
工程と、
(2)該混合物をケラチン繊維に塗布する工程と
を含む、方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
鋭意検討の結果、発明者らは、ケラチン繊維の損傷を減少させることができると同時に、ケラチン繊維に良好な脱色又は染色効果を提供できる、ケラチン繊維用組成物、特にケラチン繊維の脱色又は酸化染色のための組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0028】
そのため、本発明による組成物は、
(a) ケイ酸及びその塩から選択される少なくとも1種の無機化合物と、
(b) アミノ酸、その誘導体及びその塩から選択される少なくとも1種の有機化合物と、
(c) (a)無機化合物及び(b)有機化合物以外の少なくとも1種のアルカリ剤と、
(c) 少なくとも1種の脂肪物質と、
(e) 水と
を含む。
【0029】
本発明による組成物は、毛髪等のケラチン繊維用の化粧用組成物として、好ましくはケラチン繊維の脱色又は酸化染色のための化粧用組成物として、使用することができる。
【0030】
更に、本発明による組成物は、ケラチン繊維に、良好な脱色又は染色効果を提供できる。
【0031】
更に、本発明による組成物は、ケラチン物質の損傷を減少させることができる。
【0032】
加えて、本発明は、アンモニアがアルカリ剤として使用されない場合、臭いを減少させることができる。一般に、アンモニアはアルカリ剤として使用される。しかしながら、アンモニアは、強い臭いを引き起こしうる。したがって、本発明が、アンモニアがアルカリ剤として使用されない場合、臭いを防止する又は減少させることもまた可能である。
【0033】
本発明はまた、ケラチン繊維のための方法であって、
(1)第1の組成物と第2の組成物とを混合して混合物を調製する工程であり、
第1の組成物が、
(a) ケイ酸及びその塩から選択される少なくとも1種の無機化合物、
(b) アミノ酸、その誘導体及びその塩から選択される少なくとも1種の有機化合物、
(c) (a)無機化合物及び(b)有機化合物以外の少なくとも1種のアルカリ剤、
(d) 少なくとも1種の脂肪物質、
(e) 水、及び任意選択で(f)少なくとも1種の染料
を含み、
第2の組成物が、
(g)少なくとも1種の酸化剤
を含む、
工程と、
(2)該混合物をケラチン繊維に塗布する工程と
を含む、方法にも関する。
【0034】
本明細書でこれ以降、本発明による組成物及び方法を詳細に説明する。
【0035】
[組成物]
(無機化合物)
本発明による組成物は、(a)ケイ酸及びその塩から選択される少なくとも1種の無機化合物(本明細書でこれ以降、(a)無機化合物と称されうる)を含む。2種以上の(a)無機化合物が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
ケイ酸は、化学式[SiOx(OH)4-2x]n(式中、xは、0~2の整数、好ましくは0又は1、より好ましくは1を示し、nは、1~4の整数、好ましくは1又は2の整数、より好ましくは1を示す)によって表されうる化合物である。
【0037】
例えば、ケイ酸は、オルトケイ酸(H4SiO4)、メタケイ酸(H2SiO3)、メタ二ケイ酸(H2Si2O5)、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0038】
ケイ酸の塩は、ケイ酸塩と称される。ケイ酸塩は、オルトケイ酸塩、メタケイ酸塩、メタ二ケイ酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。ケイ酸塩が、金属塩又はアンモニウム塩であることが好ましい。ケイ酸塩が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩からなる群から選択されることが、より好ましい。
【0039】
(a)無機化合物が、ケイ酸塩、より好ましくはメタケイ酸塩、更により好ましくはアルカリ金属メタケイ酸塩から選択されることが好ましい。
【0040】
(a)無機化合物が水溶性であることが好ましい。用語「水溶性」は、本明細書では、大気圧下20℃での水中溶解度が10g/l以上、より好ましくは30g/l以上、更により好ましくは50g/l以上であることを意味する。(a)無機化合物の大気圧下20℃での水中溶解度が、100g/l以上、好ましくは150g/l以上、より好ましくは200g/l以上であることが好ましい。
【0041】
(a)無機化合物の水溶液のpHが、12超、より好ましくは11以上、更により好ましくは12以上であることが好ましい。
【0042】
そのため、(a)無機化合物が、水溶性ケイ酸塩、より好ましくは水溶性メタケイ酸塩、更により好ましくは水溶性アルカリ金属メタケイ酸塩から選択されることが好ましい。
【0043】
(a)無機化合物が、非水溶性ケイ酸及びその塩、特にシリカ又は二酸化ケイ素を包含しないことが好ましい。
【0044】
(a)無機化合物が、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0045】
(a)無機化合物がメタ二ケイ酸ナトリウムであることが、より好ましい。メタ二ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)は、無水化合物であるが、その水和形態(5又は9個の水分子を有する)においても存在しうる。
【0046】
本発明による組成物中の(a)無機化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。
【0047】
その一方で、本発明による組成物中の(a)無機化合物の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下であってもよい。
【0048】
本発明による組成物中の(a)無機化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.05質量%~10質量%、好ましくは0.1質量%~5質量%、より好ましくは0.5質量%~2質量%であってもよい。
【0049】
(有機化合物)
本発明による組成物は、(b)アミノ酸、その誘導体及びその塩から選択される少なくとも1種の有機化合物(本明細書でこれ以降、(b)有機化合物と称されうる)を含む。2種以上の(b)有機化合物が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0050】
一実施形態では、(b)有機化合物は、アミノ酸から選択される。
【0051】
アミノ酸は、少なくとも1個のアミノ基及び少なくとも1個のカルボキシル基を有する。
【0052】
アミノ基は、第一級アミノ基、第二級アミノ基又は第三級アミノ基であってもよく、好ましくは第一級アミノ基又は第二級アミノ基、より好ましくは第二級アミノ基であってもよい。
【0053】
アミノ酸の分子量が、1000未満、より好ましくは500未満、更により好ましくは200未満であることが好ましい。そのため、アミノ酸がポリマーではないことが好ましい。換言すると、アミノ酸が非重合性アミノ酸であることが好ましい。
【0054】
アミノ酸は、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸及び中性アミノ酸から選択することができる。酸性アミノ酸は、典型的には、1個のアミノ基と2個のカルボキシル基とを有する。塩基性アミノ酸は、典型的には、2個のアミノ基と1個のカルボキシル基とを有する。中性アミノ基中のアミノ基の数とカルボキシル基の数とは同一である。
【0055】
アミノ酸は、D形態であってもL形態であってもよい。
【0056】
アミノ酸は、親水性であっても疎水性であってもよい。親水性アミノ酸が好ましい。
【0057】
アミノ酸は、α-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸及びδ-アミノ酸から選択することができる。
【0058】
アミノ酸が、そこでアミノ基が、そこにカルボキシル基が結合している炭素原子に結合しているα-アミノ酸から選択されることが好ましい。
【0059】
α-アミノ酸は、非環状α-アミノ酸及び環状α-アミノ酸から選択することができる。
【0060】
非環状α-アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アルパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンからなる群から選択することができる。
【0061】
環状α-アミノ酸は、非芳香族環状α-アミノ酸、例えばピロリドンカルボン酸(ピログルタミン酸又はピドロ酸)から選択することができる。ピロリドンカルボン酸は、グルタミン酸のアミノ基とカルボキシル基との分子間縮合によって形成されうる。
【0062】
アミノ酸が、7未満、好ましくは6.5未満、より好ましくは6以下の等電点を有することが好ましい。そのため、アミノ酸が、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選択されることが好ましい。換言すると、アミノ酸が、アルギニン、ヒスチジン及びリジン等の塩基性アミノ酸ではないことが好ましい。
【0063】
一実施形態では、(b)有機化合物は、アミノ酸の誘導体から選択される。
【0064】
アミノ酸の誘導体(アミノ酸誘導体)は、そこでアミノ酸中のアミノ基の窒素原子上の水素原子が少なくとも1個の置換基で置換されている、アミノ酸から選択することができる。
【0065】
置換基として挙げることができるのは、例えば、アルキル基、アシル基、アルケニル基、アルコキシル基及びアルコキシカルボニル基である。
【0066】
アルキル基は、直鎖状、分枝状又は環状アルキル基であってもよい。アルキル基は、直鎖状又は分枝状のC1~C6アルキル基、好ましくはC1~C4アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基及びブチル基であってもよい。その一方で、アルキル基は、環状C3~C6アルキル基、例えばシクロペンチル基及びシクロヘキシル基であってもよい。
【0067】
アシル基は、C1~C6アシル基、例えばホルミル基及びアセチル基であってもよい。
【0068】
アルケニル基は、C2~C6アルケニル基、例えばビニル基、アリル基、ブチレン基、ペンテニル基及びヘキセニル基であってもよい。
【0069】
アルコキシ基は、C1~C6アルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基であってもよい。
【0070】
アルコキシカルボニル基は、C1~C6アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びプロポキシカルボニル基であってもよい。
【0071】
上記の置換基は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基等の少なくとも1個の基、並びにフェニル基等の芳香族基で更に置換されうる。
【0072】
一実施形態では、(b)有機化合物は、アミノ酸の塩又はアミノ酸誘導体の塩から選択される。
【0073】
アミノ酸の塩又はアミノ酸誘導体の塩のタイプは限定されない。該塩は、酸性塩であっても塩基性塩であってもよい。酸性塩として挙げることができるのは、例えば、無機酸性塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩及びリン酸塩、並びに有機酸性塩、例えばクエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、マレイン酸塩及び酒石酸塩である。塩基性塩として挙げることができるのは、例えば、無機塩基性塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銅塩、亜鉛塩、アルミニウム塩及びアンモニウム塩、並びに有機塩基性塩、例えばトリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩及びジイソプロピルアンモニウム塩である。ナトリウム塩が好ましい。
【0074】
(b)有機化合物が、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、アルパラギン、グルタミン酸、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン及びプロリンから選択されることが好ましい。
【0075】
本発明による組成物中の(b)有機化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。
【0076】
その一方で、本発明による組成物中の(b)有機化合物の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下であってもよい。
【0077】
本発明による組成物中の(b)有機化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~5質量%、より好ましくは1質量%~3質量%であってもよい。
【0078】
(アルカリ剤)
本発明による組成物は、(a)無機化合物及び(b)有機化合物以外の(c)少なくとも1種のアルカリ剤(本明細書で以降、(c)アルカリ剤と称されうる)を含む。2種以上の(c)アルカリ剤が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0079】
(c)アルカリ剤は、(a)無機化合物又は(b)有機化合物とは異なる。
【0080】
(c)アルカリ剤は、アンモニア、アルカノールアミン、アルカノールアミンの誘導体(アルカノールアミン誘導体)、及びアルカノールアミンの塩又はアルカノールアミン誘導体の塩から選択することができる。
【0081】
アルカノールアミンは、少なくとも1個のヒドロキシル基と少なくとも1個のアミノ基とを有するアルカン構造を有する。
【0082】
アルカノールアミンとして挙げることができるのは、例えば、モノ-、ジ-及びトリ-エタノールアミンである。アルカノールアミンは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-ジメチルエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0083】
アルカノールアミン誘導体は、そこでアルカノールアミン中のアミノ基の、存在する場合、窒素原子上の水素原子が、少なくとも1個の置換基で置換されているアルカノールアミンから選択することができる。
【0084】
置換基として挙げることができるのは、例えば、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基である。
【0085】
アルキル基は、直鎖状、分枝状又は環状アルキル基であってもよい。アルキル基は、直鎖状又は分枝状のC1~C6アルキル基、好ましくはC1~C4アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基及びブチル基であってもよい。その一方で、アルキル基は、環状のC3~C6アルキル基、例えばシクロペンチル基及びシクロヘキシル基であってもよい。
【0086】
アルケニル基は、C2~C6アルケニル基、例えばビニル基、アリル基、ブチレン基、ペンテニル基及びヘキセニル基であってもよい。
【0087】
アルキニル基は、C2~C6アルキニル基、例えばエチニル基及びプロパニル基であってもよい。
【0088】
上記の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基等の少なくとも1個の基、並びにフェニル基等の芳香族基で更に置換されうる。
【0089】
アルカノールアミンの塩及びアルカノールアミン誘導体の塩のタイプは限定されない。該塩は酸性塩であってもよい。酸性塩として挙げることができるのは、例えば、無機酸性塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸及びリン酸塩、並びに有機酸性塩、例えばクエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、マレイン酸塩及び酒石酸塩である。
【0090】
本発明による組成物中の(c)アルカリ剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0091】
本発明による組成物中の(c)アルカリ剤の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0092】
本発明による組成物中の(c)アルカリ剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0093】
(脂肪物質)
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種の脂肪物質を含む。2種以上の脂肪物質が組み合わせて使用されてもよい。そのため、単一のタイプの脂肪物質、又は異なるタイプの脂肪物質の組み合わせを使用することができる。
【0094】
用語「脂肪物質」は、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で水に不溶性(5%未満、好ましくは1%、更により優先的には0.1%の溶解度)である有機化合物を意味する。脂肪物質は、その構造中に、連続した少なくとも2個のシロキサン基、又は少なくとも6個の炭素原子を含有する少なくとも1個の炭化水素系鎖を含有しうる。加えて、脂肪性物質は、同じ温度及び圧力条件下で、有機溶媒、例としてはクロロホルム、エタノール、ベンゼン又はデカメチルシクロペンタシロキサンに可溶性でありうる。
【0095】
本発明の範囲では、脂肪物質が、C2~C3オキシアルキレン単位もグリセロール化単位も一切含まないことに留意されなければならない。
【0096】
(d)脂肪物質は、液体の形態であっても固体の形態であってもよい。本明細書において、「液体」及び「固体」は、脂肪物質が、大気圧(760mmHg又は105Pa)下、室温(25℃)で、それぞれ液体若しくはペースト(非固体)の形態、又は固体の形態にあることを意味する。(d)脂肪物質が、室温及び大気圧下で、液体又はペーストの形態、好ましくは液体の形態の、少なくとも1種の脂肪物質を含むことが好ましい。室温、大気圧下で液体の形態にある(d)脂肪物質は、「油」と称されうる。(d)脂肪物質が油から選択されることが好ましい。
【0097】
(d)脂肪物質が油から選択される場合、本発明による組成物は、油相(複数可)を有することができる。
【0098】
(d)脂肪物質は、極性油、非極性油、及びこれらの混合物から選択することができる。(d)脂肪物質が非極性油から選択されることが好ましい。
【0099】
(d)脂肪物質は、動物又は植物起源の油、鉱油、合成グリセリド、動物又は植物油及び合成グリセリド以外の脂肪アルコール及び/又は脂肪酸のエステル、脂肪アルコール、脂肪酸、シリコーン油、並びに炭化水素からなる群から選択することができる。これらの脂肪物質は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。好ましくは、(d)脂肪物質は、動物又は植物起源の油、合成グリセリド、動物又は植物油及び合成グリセリド以外の脂肪エステル、脂肪アルコール、脂肪酸、シリコーン油、並びに炭化水素からなる群から選択される。より好ましくは、(d)脂肪物質は、シリコーン及び炭化水素、好ましくは脂肪族炭化水素、より好ましくは鉱油、及びこれらの混合物から選択される。
【0100】
脂肪族炭化水素の例として挙げることができるのは、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば鉱油(例えば、流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、ポリデセン、水添ポリイソブテン、例えばParleam、及びデセン/ブテンコポリマー、並びにこれらの混合物である。
【0101】
他の脂肪族炭化水素の例として、また挙げることができるのは、直鎖状若しくは分枝状の、又は場合により環状のC6~C16低級アルカンである。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、並びにイソパラフィン、例えばイソヘキサデカン及びイソデカンがある。
【0102】
合成グリセリドの例として挙げることができるのは、例としては、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例としてはStearineries Dubois社により販売されているもの、又はDynamit Nobel社により名称Miglyol(登録商標)810、812及び818で販売されているものである。
【0103】
シリコーン油の例として挙げることができるのは、例えば、ジメチルポリシロキサン又はジメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の直鎖状オルガノポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状オルガノポリシロキサン等、及びこれらの混合物である。
【0104】
植物油の例として挙げることができるのは、例えば、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油、アプリコット油、ダイズ油、アララ油、ヘーゼルナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、アーモンド油、ブドウ種子油、ゴマ油、ピーナッツ油、及びこれらの混合物である。
【0105】
動物油の例として挙げることができるのは、例えば、スクワレン、ペルヒドロスクワレン及びスクワランである。
【0106】
有利には上に挙げた動物又は植物油及び合成グリセリドとは異なる、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールのエステルの例として挙げることができるのは、特に、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族モノ-又はポリアルコールとのエステルであって、総炭素数が10以上であるエステルである。
【0107】
モノエステルの中で挙げることができるのは、ベヘン酸ジヒドロアビエチル、ベヘン酸オクチルドデシル、ベヘン酸イソセチル、乳酸セチル、C12~C15乳酸アルキル、乳酸イソステアリル、乳酸ラウリル、乳酸リノレイル、乳酸オレイル、オクタン酸(イソ)ステアリル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸セチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸イソセチル、ラウリン酸イソセチル、ステアリン酸イソセチル、オクタン酸イソデシル、オレイン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソステアリル、リシノール酸メチルアセチル、ステアリン酸ミリスチル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸オクチル、ペラルゴン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、エルカ酸オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、パルミチン酸エチル及びパルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル又はミリスチン酸ステアリル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシルである。
【0108】
なおもこの変形形態の関連で、C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、並びにモノ-、ジ-又はトリカルボン酸と、C2~C26のジ-、トリ-、テトラ-又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた使用することができる。
【0109】
特に、次のものを挙げることができる:セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ジオクチル、ウンデシレン酸グリセリル、ステアロイルステアリン酸オクチルドデシル、モノリシノール酸ペンタエリスリチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、エルカ酸トリデシル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソステアリル、三乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコール、及びジステアリン酸ポリエチレングリコール。
【0110】
上に挙げたエステルの中では、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル又はパルミチン酸ステアリル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル若しくはミリスチン酸2-オクチルドデシル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、イソノナン酸イソノニル又はオクタン酸セチルを使用することが好ましい。
【0111】
該組成物は、脂肪エステルとして、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルもまた含むことができる。用語「糖」は、アルデヒド又はケトン官能基ありで又はなしで、いくつかのアルコール官能基を含み、少なくとも4個の炭素原子を含有する、酸素保持炭化水素系化合物を意味する。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖とすることができる。
【0112】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フルクトース、マルトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特に、メチル誘導体等のアルキル誘導体、例としてはメチルグルコースがある。
【0113】
脂肪酸の糖エステルは、先に記載した糖と、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から、特に選択することができる。脂肪酸が不飽和の場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含みうる。
【0114】
この変形形態によるエステルは、モノ-、ジ-、トリ-、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択することもできる。
【0115】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えば、特に、オレオ-パルミチン酸、オレオ-ステアリン酸及びパルミト-ステアリン酸の各混合エステルから選択することができる。
【0116】
より特定すると、モノエステル及びジエステル、特に、スクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノ-又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルを使用することが好ましい。
【0117】
挙げることができる例は、Amerchol社により名称Glucate(登録商標)DOで販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0118】
また挙げることができる糖と脂肪酸とのエステル又はエステル混合物の例には、以下がある:
- Crodesta社により名称F160、F140、F110、F90、F70及びSL40で販売されている、それぞれ、73%モノエステルと、27%ジエステル及びトリエステル、61%モノエステルと、39%ジエステル、トリエステル及びテトラエステル、52%モノエステルと、48%ジエステル、トリエステル及びテトラエステル、45%モノエステルと、55%ジエステル、トリエステル及びテトラエステル、39%モノエステルと、61%ジエステル、トリエステル及びテトラエステルから形成されるパルミトステアリン酸スクロース、並びにモノラウリン酸スクロースを示す製品、
- 例えばB370と称する、20%モノエステルと80%ジ-トリエステル-ポリエステルから形成されるベヘン酸スクロースに相当する、名称Ryoto Sugar Estersで販売されている製品、
- Goldschmidt社により名称Tegosoft(登録商標)PSEで販売されているモノ-ジパルミト-ステアリン酸スクロース。
【0119】
脂肪物質は、少なくとも1種の脂肪酸であってもよく、2種以上の脂肪酸が使用されてもよい。脂肪酸は、酸性形態(すなわち、石けんを回避するため、塩化されていない)であるべきであり、飽和であっても不飽和であってもよく、6~30個の炭素原子、特に9~30個の炭素原子を含有し、特に1個又は複数(特に1~4個)のヒドロキシル基で任意選択で置換されている。脂肪酸が不飽和の場合、これらの化合物は1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含むことができる。それらは、より特定すると、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びイソステアリン酸から選択される。好ましくは、脂肪物質は、脂肪酸ではない。
【0120】
脂肪物質は、少なくとも1種の脂肪アルコールであってもよく、2種以上の脂肪アルコールが使用されてもよい。
【0121】
用語「脂肪アルコール」は、本明細書では、任意の、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C30脂肪アルコールを意味し、これは、特に1個又は複数の(特に1~4個の)ヒドロキシル基で任意選択で置換されている。脂肪アルコールが不飽和の場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含むことができる。
【0122】
C8~C30脂肪アルコールの中では、例えば、C12~C22脂肪アルコールが使用される。これらの中で挙げることができるのは、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、リノレイルアルコール、ウンデシレニルアルコール、パルミトレイルアルコール、リノレニルアルコール、ミリスチルアルコール、アラキドニルアルコール及びエルシルアルコール、並びにこれらの混合物である。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、又はこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)、及びミリスチルアルコールを、固体状脂肪物質として使用することができる。別の実施形態では、イソステアリルアルコールを、液状脂肪物質として使用することができる。
【0123】
脂肪物質は、ワックスであってもよい。本明細書において「ワックス」は、脂肪物質が大気圧(760mmHg)下で室温(25℃)にて実質的に固体の形態にあり、一般に35℃以上の融点を有することを意味する。ワックス状脂肪物質として、一般に化粧料中で使用されるワックスを、単独で又はこれらの組み合わせで使用することができる。
【0124】
例えば、ワックスは、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、水添ホホバ油、ポリエチレンワックス、例えばNew Phase Technologies社により名称「Performalene 400 Polyethylene」で販売されているワックス、シリコーンワックス、例としてはポリ(C24~C28)アルキルメチルジメチルシロキサン、例えばGoldschmidt社により名称「Abil Wax 9810」で販売されている製品、パーム脂、Kester Keunen社により名称「Kester Wax K82H」で販売されているC20~C40ステアリン酸アルキル、安息香酸ステアリル、セラックワックス、及びこれらの混合物から選択することができる。例えば、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オゾケライト、水添ホホバ油及びポリエチレンワックスから選択されるワックスを使用することができる。少なくとも一実施形態では、ワックスは、好ましくは、キャンデリラワックス及びオゾケライト、並びにこれらの混合物から選択される。
【0125】
(d)脂肪物質が、炭化水素油、好ましくは脂肪族炭化水素油、より好ましくは鉱油から選択されることが好ましい。
【0126】
本発明による組成物中の(d)脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であってもよい。
【0127】
更に、本発明による組成物中の(d)脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、40質量%以上、好ましくは45質量%以上、更により好ましくは50質量%以上であってもよい。
【0128】
本発明による組成物中の(d)脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、80質量%以下、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下であってもよい。
【0129】
本発明による組成物中の(d)脂肪物質の量は、組成物の総質量に対して、40質量%~80質量%、好ましくは45質量%~75質量%、より好ましくは50質量%~70質量%の範囲であってもよい。
【0130】
(水)
本発明による組成物は、(e)水を含む。
【0131】
(e)水は、本発明による組成物の水性相を形成することができ、一方で、(d)脂肪物質は、油相を形成することができる。
【0132】
本発明による組成物がW/O又はO/Wエマルションの形態にある場合、本発明による組成物の水性相は、W/Oエマルション中で分散でき、若しくは内相であることができ、又はO/Wエマルション中の連続相若しくは外相であることができる。
【0133】
本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上であってもよい。
【0134】
その一方で、本発明による組成物中の(e)水の量は、組成物の総質量に対して、40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下であってもよい。
【0135】
(e)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~40質量%、好ましくは15質量%~35質量%、より好ましくは20質量%~30質量%であってもよい。
【0136】
本発明による組成物のpHは、7超、好ましくは7.5以上、より好ましくは8以上であってもよい。そのため、本発明による組成物はアルカリ性である。本発明による組成物のpHが、13以下、より好ましくは12以下、更により好ましくは11以下であることが好ましい。
【0137】
該pHは、(c)アルカリ剤及び/又は少なくとも1種の酸性化剤を使用して、所望の値に調整することができる。
【0138】
酸性化剤は、例えば、鉱酸又は有機酸、例としては塩酸、リン酸、カルボン酸、例としては酒石酸、クエン酸及び乳酸、又はスルホン酸、又はアスコルビン酸とすることができる。
【0139】
酸性化剤は、組成物の総質量に対して、1質量%未満、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3%以下の範囲の量で存在してもよい。
【0140】
(染料)
本発明による組成物は、(f)少なくとも1種の染料を含んでもよい。2種以上の(f)染料が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0141】
染料が、酸化染料から選択されることが好ましい。
【0142】
酸化染料は、酸化ベース及びカプラーから選択することができる。
【0143】
酸化ベースは、酸化染色において従来知られているものから、好ましくは、オルト-及びパラ-フェニレンジアミン、二重ベース、オルト-及びパラ-アミノフェノール、複素環ベース、並びにそれらの酸付加塩からなる群から選択することができる。
【0144】
特に以下を挙げることができる:
- (I) 次式(I)のパラ-フェニレンジアミン及びそれらの酸付加塩:
【0145】
【0146】
[式中、
R1は、水素原子、C1~C4アルキル基、モノヒドロキシ(C1~C4アルキル)基、ポリヒドロキシ(C2~C4アルキル)基、(C1~C4)アルコキシ(C1~C4)アルキル基、窒素含有基で置換されているC1~C4アルキル基、フェニル基又は4'-アミノフェニル基を表し、
R2は、水素原子、C1~C4アルキル基、モノヒドロキシ(C1~C4アルキル)基、ポリヒドロキシ(C2~C4アルキル)基、(C1~C4)アルコキシ(C1~C4)アルキル基、又は窒素含有基で置換されているC1~C4アルキル基を表し、
R1及びR2はまた、それらを保持する窒素原子と共に、1個又は複数のアルキル、ヒドロキシル又はウレイドの各基で任意選択で置換されている5員又は6員の窒素含有複素環を形成してもよく、
R3は、水素原子、塩素原子等のハロゲン原子、C1~C4アルキル基、スルホ基、カルボキシル基、モノヒドロキシ(C1~C4アルキル)基、ヒドロキシ(C1~C4アルコキシ)基、アセチルアミノ(C1~C4アルコキシ)基、メシルアミノ(C1~C4アルコキシ)基又はカルバモイルアミノ(C1~C4アルコキシ)基を表し、
R4は、水素原子若しくはハロゲン原子、又はC1~C4アルキル基を表す]
【0147】
上記式(I)の窒素含有基の中で挙げることができるのは、特に、アミノ、モノ(C1~C4)アルキルアミノ、(C1~C4)ジアルキルアミノ、(C1~C4)トリアルキルアミノ、モノヒドロキシ(C1~C4)アルキルアミノ、ジ(モノヒドロキシ(C1~C4)アルキル)アミノ、イミダゾリニウム及びアンモニウムの各基である。
【0148】
上記式(I)のパラ-フェニレンジアミンの中で挙げることができるのは、より特定すると、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トリレンジアミン、2-クロロ-パラフェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチルパラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラフェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラフェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラフェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラフェニレンジアミン、N,N-(エチル-β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノ-エチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-メチル-1-N-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、N-(4-アミノフェニル)-3-ヒドロキシ-ピロリジン、2-[{2-[(4-アミノフェニル)アミノ]エチル}(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-エタノール、及びそれらの酸付加塩である。
【0149】
上記式(I)のパラ-フェニレンジアミンの中で最も特に好ましいのは、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トリレンジアミン、2-イソプロピル-パラフェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、及びそれらの酸付加塩である。
【0150】
- (II)本発明によれば、「二重ベース」は、そこにアミノ基及び/又はヒドロキシル基が保持されている少なくとも2個の芳香族環を含有する化合物を意味すると理解される。
【0151】
本発明による染色用組成物中の酸化ベースとして使用されうる二重ベースの中で特に挙げることができるのは、次式(II):
【0152】
【0153】
[式中、
- Z1及びZ2は、同一であり又は異なり、C1~C4アルキル基で又は連結アームYで置換されうるヒドロキシル基又はNH2基を表し、
- 連結アームYは、1~14個の炭素原子を含む、直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖を表し、これは、1個若しくは複数の窒素含有基及び/又は1個若しくは複数のヘテロ原子、例えば酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子に割り込まれていてもよく、1個又は複数のヒドロキシル基若しくはC1~C6アルコキシ基で任意選択で置換されており、
- R5及びR6は、水素若しくはハロゲン原子、C1~C4アルキル基、モノヒドロキシ(C1~C4アルキル)基、ポリヒドロキシ(C2~C4アルキル)基、アミノ(C1~C4アルキル)基又は連結アームYを表し、
- R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、同一であり又は異なり、水素原子、連結アームY、又はC1~C4アルキル基を表し、式(II)の化合物が1分子当たり1個のみの連結アームYを含有することが理解される]
に相当する化合物、及びそれらの酸付加塩である。
【0154】
上記式(II)の窒素含有基の中で挙げることができるのは、特に、アミノ、モノ(C1~C4)アルキルアミノ、(C1~C4)ジアルキルアミノ、(C1~C4)トリアルキルアミノ、モノヒドロキシ(C1~C4)アルキルアミノ、イミダゾリニウム及びアンモニウムの各基である。
【0155】
上記式(II)の二重ベースの中で挙げることができるのは、より特定すると、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)-テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(エチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)エチレン-ジアミン、1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタン、及びそれらの酸付加塩である。
【0156】
式(II)のこれらの二重ベースの中で、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタン、又はそれらの酸付加塩のうちの1種が特に好ましい。
【0157】
- (III) 次式(III)に相当するパラ-アミノフェノール、及びそれらの酸付加塩:
【0158】
【0159】
[式中、
- R13は、水素原子、又はフッ素等のハロゲン原子、C1~C4アルキル、モノヒドロキシ(C1~C4アルキル)、(C1~C4)アルコキシ(C1~C4) -アルキル、アミノ(C1~C4アルキル)又はヒドロキシ(C1~C4)アルキルアミノ-(C1~C4アルキル)の各基を表し、
- R14は、水素原子、又はフッ素等のハロゲン原子、C1~C4アルキル、モノヒドロキシ(C1~C4アルキル)、ポリヒドロキシ(C2~C4アルキル)、アミノ(C1~C4アルキル)、シアノ(C1~C4アルキル)又は(C1~C4)アルコキシ(C1~C4)アルキルの各基を表す]。
【0160】
上記式(III)のパラ-アミノフェノールの中で挙げることができるのは、より特定すると、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール、及びそれらの酸付加塩である。
【0161】
- (IV)本発明との関連において酸化ベースとして使用されうるオルト-アミノフェノールは、特に、2-アミノフェノール、2-アミノ-1-ヒドロキシ-5-メチルベンゼン、2-アミノ-1-ヒドロキシ-6-メチルベンゼン、5-アセタミド-2-アミノフェノール、及びそれらの酸付加塩から選ばれる。
【0162】
- (V)本発明による染色用組成物中の酸化ベースとして使用されうる複素環ベースの中で挙げることができるのは、より特定すると、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラゾール誘導体、及びそれらの酸付加塩である。
【0163】
ピリジン誘導体の中で挙げることができるのは、より特定すると、例えば特許GB 1,026,978及びGB 1,153,196に記載されている化合物、例えば2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-(β-メトキシエチル)アミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、3,4-ジアミノピリジン、及びそれらの酸付加塩である。
【0164】
ピリミジン誘導体の中で挙げることができるのは、より特定すると、例えば特許DE 2 359 399、JP88-169571、JP91-10659、又は特許出願WO 96/15765に記載されている化合物、例えば、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノピリミジン、及びピラゾロピリミジン誘導体、例えば特許出願FR-A-2 750 048で挙げられているものであり、その中で挙げることができるのは、ピラゾロ[1,5-a]-ピリミジン-3,7-ジアミン、2,5-ジメチル-ピラゾロ[1,5-a]-ピリミジン-3,7-ジアミン、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン、2,7-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オール、3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-オール、2-(3-アミノ-ピラゾロ-[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミノ)エタノール、2-(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イルアミノ)エタノール、2-[(3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)-(2-ヒドロキシ-エチル)アミノ]-エタノール、2-[(7-アミノピラゾロ[1,5-a]-ピリミジン-3-イル)-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、5,6-ジメチルピラゾロ-[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、2,6-ジメチルピラゾロ-[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、2,5,N7,N7-テトラメチル-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、3-アミノ-5-メチル-7-イミダゾリルプロピル-アミノピラゾロ[1,5-a]-ピリミジン、それらの付加塩、及び互変異性平衡が存在する場合にはそれらの互変異性型、並びにそれらの酸付加塩である。
【0165】
ピラゾール誘導体の中で挙げることができるのは、より特定すると、特許DE 3 843 892及びDE 4 133 957、並びに特許出願WO 94/08969、WO 94/08970、FR-A-2 733 749及びDE 195 43 988に記載されている化合物、例えば4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノ-ピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチル-ピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tertブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4'-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシ-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピル-ピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピル-ピラゾール、4-アミノ-5-(2'-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノ-ピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシ-エチル)アミノ-1-メチルピラゾール、及びそれらの酸付加塩である。
【0166】
酸化ベースとして使用されうる複素環塩基の中で挙げることができるのは、より特定すると、ジアミノピラゾロピラゾロン、特に2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H5H-[ピラゾロ1,2,a]ピラゾール-1-オン、並びにこれらのジアミノピラゾロピラゾロンとの酸付加塩である。
【0167】
カプラーは、酸化染色において従来知られているものから、好ましくは、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、ナフトール、複素環カプラー、及びそれらの酸付加塩からなる群から選択されうる、酸化カプラーであってもよい。
【0168】
複素環カプラーは、インドール誘導体、インドリン誘導体、セサモール及びその誘導体、ピリジン誘導体、ピラゾロトリアゾール誘導体、ピラゾロン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、1,3-ベンゾジオキソール、キノリン、並びにそれらの酸付加塩からなる群から選択することができる。
【0169】
これらのカプラーは、より特定すると、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、3-アミノフェノール、2-クロロ-3-アミノ-6-メチルフェノール、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)-プロパン、セサモール、1-アミノ-2-メトキシ-4,5-メチレン-ジオキシベンゼン、α-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、6-ヒドロキシ-インドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1-H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、3,6-ジメチル-ピラゾロ[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、及びそれらの酸付加塩から選ばれる。
【0170】
一般に、酸化ベース及びカプラーの酸付加塩は、特に、塩酸性塩、臭化水素酸性塩、硫酸性塩、クエン酸性塩、コハク酸性塩、酒石酸性塩、乳酸性塩、トシル酸性塩、ベンゼンスルホン酸性塩、リン酸性塩及び酢酸性塩から選ばれる。
【0171】
本発明による組成物中の(f)染料の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0172】
その一方で、本発明による組成物中の(f)染料の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0173】
本発明による組成物中の(f)染料の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%であってもよい。
【0174】
(カチオン性ポリマー)
本発明による組成物は、少なくとも1種のカチオン性ポリマーを含んでもよい。単一のタイプのカチオン性ポリマーを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのカチオン性ポリマーを組み合わせて使用することもできる。
【0175】
本発明の目的では、用語「カチオン性ポリマー」は、カチオン性基、及び/又はカチオン性基へイオン化されてもよい基を含有する、任意のポリマーを示すことが留意されるべきである。
【0176】
こうしたポリマーは、それ自体が毛髪の美容的性質を改善すると既に知られているもの、すなわち、特に特許出願EP-A-337 354に、並びに仏国特許第2 270 846号、第2 383 660号、第2 598 611号、第2 470 596号及び第2 519 863号に記載されているものから選ぶことができる。
【0177】
好ましいカチオン性ポリマーは、第一級、第二級、第三級及び/又は第四級アミン基を含む単位を含有するものから選ばれ、これは、ポリマー主鎖の一部を形成するものであっても、ポリマー主鎖に直接結合している側鎖置換基により保持されているものであっても、いずれでもよい。
【0178】
使用されるカチオン性ポリマーは、一般に、およそ500からおよそ5×106の間、好ましくはおよそ103からおよそ3×106の間の数平均分子量を有する。
【0179】
挙げることができるカチオン性ポリマーの中には、より特定すると、ポリアミン、ポリアミノアミド及びポリ四級アンモニウムの各タイプのポリマーがある。
【0180】
これらは、既知の製品である。これらは、詳細には、仏国特許第2 505 348号及び第2 542 997号に記載されている。前記ポリマーの中で挙げることができるのは、以下である。
【0181】
(1)アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドに由来し、式(I)、(II)、(III)又は(IV)の単位のうちの少なくとも1個を含むホモポリマー又はコポリマー:
【0182】
【0183】
(式中、
R3は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はCH3基を示し、
Aは、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子、好ましくは2個若しくは3個の炭素原子の、直鎖状若しくは分枝状アルキル基、又は1~4個の炭素原子のヒドロキシアルキル基を表し、
R4、R5及びR6は、同一であっても異なっていてもよく、1~18個の炭素原子を含有するアルキル基、又はベンジル基、及び好ましくは1~6個の炭素原子を含有するアルキル基を表し、
R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、水素、又は1~6個の炭素原子を含有するアルキル基、好ましくはメチル又はエチルを表し、
Xは、無機酸若しくは有機酸に由来するアニオン、例えばメトスルフェートアニオン、又は塩化物若しくは臭化物等のハロゲン化物を示す)。
【0184】
ファミリー(1)のポリマーはまた、コモノマーに由来する1個又は複数の単位を含有することもでき、こうしたコモノマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、窒素上にて低級(C1~C4)アルキルで置換されているアクリルアミド及びメタクリルアミド、アクリル酸若しくはメタクリル酸又はそれらのエステル、ビニルピロリドン又はビニルカプロラクタム等のビニルラクタム、並びにビニルエステルのファミリーから選ぶことができる。
【0185】
そのため、ファミリー(1)のこれらのポリマーの中で挙げることができるのは以下である:
- アクリルアミドと、硫酸ジメチル又はハロゲン化ジメチルで四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー、例えばHercules社により名称Hercoflocで販売されている製品、
- アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー、例えば、特許出願EP-A-080 976に記載され、BASF社により名称Bina Quat P 100で販売されているもの、
- アクリルアミドとメト硫酸メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムとのコポリマー、Hercules社により名称Retenで販売されているもの、
- 四級化又は非四級化ビニルピロリドン/アクリル酸又はメタクリル酸ジアルキルアミノアルキルのコポリマー、例えばISP社により名称「Gafquat」で販売されている製品、例としては「Gafquat 734」若しくは「Gafquat 755」、或いは「Copolymer 845、958及び937」として知られる製品。これらのポリマーは、仏国特許第2 077 143号及び第2 393 573号に詳説されている、
- メタクリル酸ジメチルアミノエチル/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンのターポリマー、例えばISP社により名称Gaffix VC 713で販売されている製品、並びに
- ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルジメチルアミンのコポリマー、特にISP社により名称Styleze CC 10で販売されているもの、及び四級化ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドのコポリマー、例えばISP社により名称「Gafquat HS 100」で販売されている製品。
【0186】
(2)第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体で、仏国特許第1 492 597号に記載されているもの、特にAmerchol社により名称「JR」(JR 400、JR 125、JR 30M)又は「LR」(LR 400、LR 30M)で販売されているポリマー。これらのポリマーはまた、CTFA辞典で、トリメチルアンモニウム基で置換されたエポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロース第四級アンモニウムとしても定義されている。
【0187】
(3)水溶性の第四級アンモニウムモノマーでグラフトされたセルロース又はセルロース誘導体のコポリマー等のカチオン性セルロース誘導体で、特に米国特許第4 131 576号に記載されているもの、例えばヒドロキシアルキルセルロース、例としては特にメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩又はジメチルジアリルアンモニウム塩でグラフトされた、ヒドロキシメチル-、ヒドロキシエチル-又はヒドロキシプロピルセルロース。
【0188】
この定義に相当する市販製品は、特に、Akzo Nobel社により名称Celquat L 200及びCelquat H 100で販売されている製品である。
【0189】
(4)カチオン性グアーガムで、特に米国特許第3 589 578号及び第4 031 307号に記載されているもの、例えばカチオン性のトリアルキルアンモニウム基を含有するグアーガム。例えば2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムの塩(例えば塩化物)で変性されたグアーガムが使用される。挙げることができるのは、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド及びヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、例えば特にSolvay社により商標名Jaguar C13S、Jaguar C14S、Jaguar C17及びJaguar C162で販売されているものである。
【0190】
(5)ピペラジニル単位と、二価のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基とからなるポリマーで、直鎖又は分枝鎖を含有し、任意選択で酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子に、又は芳香族環若しくは複素環に割り込まれているもの、更にはこれらのポリマーを酸化及び/又は四級化させた製品。このようなポリマーは、特に仏国特許第2 162 025号及び第2 280 361号に記載されている。
【0191】
(6)特に、酸性化合物をポリアミンと重縮合させて調製される、水溶性ポリアミノアミドで、これらのポリアミノアミドは、エピハロヒドリン、ジエポキシド、二無水物、不飽和二無水物、ビス-不飽和誘導体、ビス-ハロヒドリン、ビス-アゼチジニウム、ビス-ハロアシルジアミン、ビス-ハロゲン化アルキルで架橋結合されていてもよく、或いはビス-ハロヒドリン、ビス-アゼチジニウム、ビス-ハロアシルジアミン、ビス-ハロゲン化アルキル、エピハロヒドリン、ジエポキシド又はビス-不飽和誘導体と反応性のある二官能性化合物の反応から得られるオリゴマーで架橋結合されていてもよく、該架橋結合剤は、ポリアミノアミドのアミン基1つ当たり0.025~0.35molの範囲の割合で使用され、これらのポリアミノアミドはアルキル化されえ、又はそれらが1個若しくは複数の第三級アミン官能基を含有する場合、それらは四級化されうる。このようなポリマーは、特に仏国特許第2 252 840号及び第2 368 508号に記載されている。
【0192】
(7)アルキルジアリルアミンの、又はジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、例えば鎖の主要な構成要素として式(V)又は(VI)に相当する単位を含有するホモポリマー又はコポリマー:
【0193】
【0194】
(式中、
k及びtは、0又は1に等しく、和k+tは、1に等しく、R9は、水素原子又はメチル基を示し、R7及びR8は、互いに独立に、1~6個の炭素原子を有するアルキル基、アルキル基が好ましくは1~5個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基、低級(C1~C4)アミドアルキル基を示し、又はR7及びR8は、それらが結合している窒素原子と共にピペリジル若しくはモルホニル等の複素環基を示すことができ、R7及びR8は、互いに独立に、好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキル基を示し、Y-は、臭化物イオン、塩化物イオン、酢酸イオン、ホウ酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸水素イオン、亜硫酸水素イオン、硫酸イオン又はリン酸イオン等のアニオンである)。
これらのポリマーは、特に仏国特許第2 080 759号及びその追加特許第2 190 406号に記載されている。
【0195】
上で定義されたポリマーの中で挙げることができるのは、より特定すると、Nalco社により名称「Merquat 100」で販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー(及び質量平均分子量の低いその同族体)、並びに名称「Merquat 550」で販売されている、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとのコポリマーである。
【0196】
(8)次式に相当する繰り返し単位を含有する第四級ジアンモニウムポリマー:
【0197】
【0198】
{式(VII)中、
R10、R11、R12及びR13は、同一であっても異なっていてもよく、1~20個の炭素原子を含有する脂肪族基、脂環式基若しくはアリール脂肪族基、又は低級ヒドロキシアルキル脂肪族基を表し、或いはR10、R11、R12及びR13は、一緒に又は別々に、それらが結合している窒素原子と共に、窒素以外の第2のヘテロ原子を任意選択で含有する複素環を構成し、或いはR10、R11、R12及びR13は、ニトリル、エステル、アシル若しくはアミドの各基、又は-CO-O-R14-D若しくは-CO-NH-R14-D(式中、R14はアルキレン基であり、Dは第四級アンモニウム基である)の各基で置換されている直鎖状又は分枝状のC1~C6アルキル基を表し、
A1及びB1は、2~20個の炭素原子を含有するポリメチレン基を表し、これは直鎖状であっても分枝状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、主鎖に結合した、若しくは挿入された1個若しくは複数の芳香族環、又は1個若しくは複数の酸素原子若しくは硫黄原子、又はスルホキシド、スルホン、ジスルフィド、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシル、第四級アンモニウム、ウレイド、アミド若しくはエステルの各基を含有していてもよく、
X-は、無機酸又は有機酸に由来するアニオンを示し、
A1、R10及びR12は、それらが結合している2個の窒素原子と共に、ピペラジン環を形成することができ、加えて、A1が、直鎖若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基を示す場合、B1は、-(CH2)n-CO-D-OC-(CH2)n-基を示すこともでき、式中、Dは、以下を示す:
i) 式-O-Z-O- [式中、Zは、直鎖状又は分枝状の炭化水素系基、又は以下の式の1つに相当する基を示す:
-(CH2-CH2-O)x-CH2-CH2-、及び
-[CH2-CH(CH3)-O]y-CH2-CH(CH3)-
(式中、x及びyは、定義された固有の重合度を表す1~4の整数、又は平均重合度を表す任意の1~4の数を示す)]
のグリコール残基、
ii)ビス-第二級ジアミン残基、例えばピペラジン誘導体、
iii)式-NH-Y-NH- (式中、Yは、直鎖状若しくは分枝状の炭化水素系基、或いは二価の基-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-を示す)のビス-第一級ジアミン残基、又は
iv)式-NH-CO-NH-のウレイレン基}。
【0199】
好ましくは、X-は、塩化物イオン又は臭化物イオン等のアニオンである。
【0200】
これらのポリマーは、一般に1000から100000の間の数平均分子量を有する。
【0201】
このタイプのポリマーは、特に、仏国特許第2 320 330号、第2 270 846号、第2 316 271号、第2 336 434号及び第2 413 907号、並びに米国特許第2 273 780号、第2 375 853号、第2 388 614号、第2 454 547号、第3 206 462号、第2 261 002号、第2 271 378号、第3 874 870号、第4 001 432号、第3 929 990号、第3 966 904号、第4 005 193号、第4 025 617号、第4 025 627号、第4 025 653号、第4 026 945号及び第4 027 020号に記載されている。
【0202】
より特定すると、次式(VIII):
【0203】
【0204】
(式中、
R10、R11、R12及びR13は、同一であっても異なっていてもよく、およそ1~4個の炭素原子を含有するアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、n及びpは、およそ2~20の範囲の整数であり、X-は、鉱酸又は有機酸に由来するアニオンである)
に相当する繰り返し単位からなるポリマーを使用することが可能である。
【0205】
式(VIII)の特に好ましい1種の化合物は、R10、R11、R12及びR13がメチル基を表し、n=3、p=6及びX=Clである化合物であり、この化合物は、INCI(CTFA)命名法に従って塩化ヘキサジメトリンと呼ばれている。
【0206】
(9)Cognis社により販売されているPolyquart H等のポリアミン、これは、CTFA辞典では参照名「ポリエチレングリコール(15)獣脂ポリアミン」が付与されている。
【0207】
(10)架橋されたメタクリロイルオキシ(C1~C4)アルキルトリ(C1~C4)アルキルアンモニウム塩のポリマー、例えば、塩化メチルで四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートを単独重合し、又はアクリルアミドを、塩化メチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとと共重合し、単独重合又は共重合の後に、特にメチレンビスアクリルアミド等のオレフィン性不飽和を含有する化合物と架橋結合することによって得られるポリマー。より特定すると、前記コポリマーの50質量%で鉱油中に含有する分散体の形態にある架橋アクリルアミド/メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドコポリマー(質量比20/80)を使用することができる。この分散体は、BASF社により名称「Salcare(登録商標)SC 92」で販売されている。鉱油中に又は液体エステル中に約50質量%のホモポリマーを含有する架橋メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドホモポリマーもまた使用することもできる。これらの分散体は、Allied Colloids社により名称「Salcare(登録商標)SC 95」及び「Salcare(登録商標)SC 96」で販売されている。
【0208】
(11)本発明に関連して使用することができる他のカチオン性ポリマーは、ポリアルキレンイミン、特にポリエチレンイミン、ビニルピリジン単位又はビニルピリジニウム単位を含有するポリマー、ポリアミンとエピクロロヒドリンとの縮合物、第四級ポリウレイレン及びキチン誘導体である。
【0209】
カチオン性ポリマーが、ポリクオタニウムポリマー又は重合性第四級アンモニウム塩であることが好ましい。
【0210】
重合性第四級アンモニウム塩は、少なくとも1個の四級化された窒素原子を含むカチオン性ポリマーである。重合性第四級アンモニウム塩として特に挙げることができるのは、主として泡の質に、及び使用後の皮膚の感触に、特に使用後の皮膚の感触に寄与するポリクオタニウム製品(CTFA名)である。これらのポリマーは、好ましくは以下のポリマーから選ぶことができる:
ポリクオタニウム-5、例えばNalco社により販売されている製品Merquat 5、
ポリクオタニウム-6、例えばBASF社により販売されている製品Salcare SC 30、及びNalco社により販売されている製品Merquat 100、
ポリクオタニウム-7、例えばNalco社により販売されている製品Merquat S、Merquat 2200、Merquat 7SPR及びMerquat 550、並びにBASF社により販売されている製品Salcare SC 10、
ポリクオタニウム-10、例えばAmerchol社により販売されている製品Polymer JR400、
ポリクオタニウム-11、例えばISP社により販売されている製品Gafquat 755、Gafquat 755N及びGafquat 734、
ポリクオタニウム-15、例えばRohm社により販売されている製品Rohagit KF 720 F、
ポリクオタニウム-16、例えばBASF社により販売されている製品Luviquat FC905、Luviquat FC370、Luviquat HM552及びLuviquat FC550、
ポリクオタニウム-28、例えばISP社により販売されている製品Styleze CC10、
ポリクオタニウム-44、例えばBASF社により販売されている製品Luviquat Care、
ポリクオタニウム-46、例えばBASF社により販売されている製品Luviquat Hold、並びに
ポリクオタニウム-47、例えばNalco社により販売されている製品Merquat 2001。
【0211】
本発明による組成物中のカチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。本発明による組成物中のカチオン性ポリマーの量が、組成物の総質量に対して0.5質量%以上であることが、更により好ましい。
【0212】
その一方で、本発明による組成物中のカチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。本発明による組成物中のカチオン性ポリマーの量が、組成物の総質量に対して2質量%以下であることが、更により好ましい。
【0213】
本発明による組成物中のカチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってもよい。本発明による組成物中のカチオン性ポリマーの量が、組成物の総質量に対して0.5質量%~2質量%であることが、更により好ましい。
【0214】
(非イオン性界面活性剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。単一のタイプの非イオン性界面活性剤が使用されてもよいが、2種以上の異なるタイプの非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用することもできる。
【0215】
非イオン性界面活性剤は、3.0~7.0、好ましくは3.5~6.0、より好ましくは4.0~5.0のHLB(親水性親油性バランス)値を有していてもよい。或いは、非イオン性界面活性剤は、11~17、好ましくは12~16、より好ましくは13~15のHLB値を有していてもよい。2種以上の非イオン性界面活性剤が使用される場合、HLB値は、全ての非イオン性界面活性剤のHLB値の秤量された平均により決定される。
【0216】
非イオン性界面活性剤は、以下から選ぶことができる:
(1) ポリグリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン化アルキルグリセリド及びポリオキシアルキレン化脂肪エーテルから選ばれる界面活性剤、
(2) 脂肪酸又は脂肪アルコールと、カルボン酸と、グリセロールとの混合エステル、
(3) 糖の脂肪酸エステル、及び糖の脂肪アルコールエーテル、
(4) ソルビタンの脂肪エステル及びソルビタンのオキシアルキレン化脂肪エステル、並びにオキシアルキレン化脂肪エステルから選ばれる界面活性剤、
(5) エチレンオキシド(A)とプロピレンオキシド(B)とのブロックコポリマー、
(6) ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテル、
(7) シリコーン界面活性剤、並びに
(8) これらの混合物。
【0217】
界面活性剤(1)は、温度45℃以下で流体であってもよい。
【0218】
界面活性剤(1)は、特に以下であってもよい:
- 少なくとも1個の飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C22炭化水素基、例えばC8~C22アルキル又はアルケニル基、好ましくはC8~C18アルキル又はアルケニル基、より好ましくはC8~C12アルキル又はアルケニル基を含む、少なくとも1種の、好ましくは1種の、脂肪酸と、2~12個のグリセロール、好ましくは2~10個のグリセロール、より好ましくは2~8個のグリセロールとの、ポリグリセリル脂肪酸エステル、
- ポリオキシエチレン化(PEG化(PEGylated))アルキルグリセリド、例えばカプリル酸及びカプリン酸のモノ-、ジ-及びトリ-グリセリドの混合物のポリエチレングリコール誘導体(好ましくは2~30のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~20のエチレンオキシド単位、更により好ましくは2~10のエチレンオキシド単位)、例えば、PEG-6カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEG-7カプリル酸/カプリン酸グリセリド、及びPEG-7ヤシ油脂肪酸グリセリル、
- 少なくとも1個の飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C22炭化水素基、例えばC8~C22アルキル又はアルケニル基、好ましくはC8~C18アルキル又はアルケニル基、より好ましくはC8~C12アルキル又はアルケニル基を含む、少なくとも1種の、好ましくは1種の、脂肪アルコールと、2~60個のエチレンオキシド、好ましくは2~30個のエチレンオキシド、より好ましくは2~10個のエチレンオキシドとの、ポリオキシエチレン化脂肪エーテル、並びに
- これらの混合物。
【0219】
ポリグリセリル脂肪酸エステルが、2~10のグリセロール、より好ましくは2~8のグリセロール、更により好ましくは4~6のグリセロールに由来するポリグリセロール部分を有することが好ましい。
【0220】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の酸、好ましくは飽和の酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びミリスチン酸のモノ、ジ及びトリエステルから選ぶことができる。
【0221】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、カプリン酸PG2、ジカプリン酸PG2、トリカプリン酸PG2、カプリル酸PG2、ジカプリル酸PG2、トリカプリル酸PG2、ラウリン酸PG2、ジラウリン酸PG2、トリラウリン酸PG2、ミリスチン酸PG2、ジミリスチン酸PG2、トリミリスチン酸PG2、ステアリン酸PG2、ジステアリン酸PG2、トリステアリン酸PG2、イソステアリン酸PG2、ジイソステアリン酸PG2、トリイソステアリン酸PG2、オレイン酸PG2、ジオレイン酸PG2、トリオレイン酸PG2、カプリン酸PG3、ジカプリン酸PG3、トリカプリン酸PG3、カプリル酸PG3、ジカプリル酸PG3、トリカプリル酸PG3、ラウリン酸PG3、ジラウリン酸PG3、トリラウリン酸PG3、ミリスチン酸PG3、ジミリスチン酸PG3、トリミリスチン酸PG3、ステアリン酸PG3、ジステアリン酸PG3、トリステアリン酸PG3、イソステアリン酸PG3、ジイソステアリン酸PG3、トリイソステアリン酸PG3、オレイン酸PG3、ジオレイン酸PG3、トリオレイン酸PG3、カプリン酸PG4、ジカプリン酸PG4、トリカプリン酸PG4、カプリル酸PG4、ジカプリル酸PG4、トリカプリル酸PG4、ラウリン酸PG4、ジラウリン酸PG4、トリラウリン酸PG4、ミリスチン酸PG4、ジミリスチン酸PG4、トリミリスチン酸PG4、ステアリン酸PG4、ジステアリン酸PG4、トリステアリン酸PG4、イソステアリン酸PG4、ジイソステアリン酸PG4、トリイソステアリン酸PG4、オレイン酸PG4、ジオレイン酸PG4、トリオレイン酸PG4、カプリン酸PG5、ジカプリン酸PG5、トリカプリン酸PG5、カプリル酸PG5、ジカプリル酸PG5、トリカプリル酸PG5、ラウリン酸PG5、ジラウリン酸PG5、トリラウリン酸PG5、ミリスチン酸PG5、ジミリスチン酸PG5、トリミリスチン酸PG5、ステアリン酸PG5、ジステアリン酸PG5、トリステアリン酸PG5、イソステアリン酸PG5、ジイソステアリン酸PG5、トリイソステアリン酸PG5、オレイン酸PG5、ジオレイン酸PG5、トリオレイン酸PG5、カプリン酸PG6、ジカプリン酸PG6、トリカプリン酸PG6、カプリル酸PG6、ジカプリル酸PG6、トリカプリル酸PG6、ラウリン酸PG6、ジラウリン酸PG6、トリラウリン酸PG6、ミリスチン酸PG6、ジミリスチン酸PG6、トリミリスチン酸PG6、ステアリン酸PG6、ジステアリン酸PG6、トリステアリン酸PG6、イソステアリン酸PG6、ジイソステアリン酸PG6、トリイソステアリン酸PG6、オレイン酸PG6、ジオレイン酸PG6、トリオレイン酸PG6、カプリン酸PG10、ジカプリン酸PG10、トリカプリン酸PG10、カプリル酸PG10、ジカプリル酸PG10、トリカプリル酸PG10、ラウリン酸PG10、ジラウリン酸PG10、トリラウリン酸PG10、ミリスチン酸PG10、ジミリスチン酸PG10、トリミリスチン酸PG10、ステアリン酸PG10、ジステアリン酸PG10、トリステアリン酸PG10、イソステアリン酸PG10、ジイソステアリン酸PG10、トリイソステアリン酸PG10、オレイン酸PG10、ジオレイン酸PG10及びトリオレイン酸PG10からなる群から選択することができる。
【0222】
ポリオキシアルキレン化脂肪エーテル、好ましくはポリオキシエチレン化脂肪エーテルは、2~60のエチレンオキシド単位、好ましくは2~30のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~10のエチレンオキシド単位を含んでもよい。エーテルの脂肪鎖は、ラウリル、ベヘニル、アラキジル、ステアリル及びセチルの各単位、並びにこれらの混合物、例えばセテアリルから特に選ぶことができる。挙げることができるエトキシル化脂肪エーテルの例は、2、3、4及び5個のエチレンオキシド単位を含むラウリルアルコールエーテル(CTFA名:ラウレス-2、ラウレス-3、ラウレス-4及びラウレス-5)、例えば日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BL-2で、日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 703で、日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BL-4で、及び日本エマルジョン株式会社により名称EMALEX 705で販売されている製品である。また挙げることができるのは、例えば、2、3、4及び5個のエチレンオキシド単位を含むステアリルアルコールエーテル(CTFA名:ステアレス-2、ステアレス-3、ステアレス-4及びステアレス-5)、例えば日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 602で、日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 603で、日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BS-4で、及び日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 605で販売されている製品でである。
【0223】
(2)脂肪酸又は脂肪アルコールと、カルボン酸及びグリセロールとの混合エステルは、上記の非イオン性界面活性剤として使用することができ、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含有するアルキル又はアルケニル鎖を有する脂肪酸又は脂肪アルコール、並びにα-ヒドロキシ酸及び/又はコハク酸とグリセロールとの混合エステルを含む群から特に選ぶことができる。α-ヒドロキシ酸は、例えば、クエン酸、乳酸、グリコール酸又はリンゴ酸、及びこれらの混合物であってもよい。
【0224】
本発明のナノエマルション中で使用されうる混合エステルを由来とする脂肪酸又はアルコールのアルキル鎖は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。これらは、特に、ステアレート、イソステアレート、リノレエート、オレエート、ベヘネート、アラキドネート、パルミテート、ミリステート、ラウレート、カプレート、イソステアリル、ステアリル、リノレイル、オレイル、ベヘニル、ミリスチル、ラウリル又はカプリルの各鎖、及びこれらの混合物であってもよい。
【0225】
本発明のナノエマルション中で使用されうる混合エステルの例として挙げることができるのは、Huls社により名称Imwitor 375で販売されている、グリセロールと、クエン酸、乳酸、リノレン酸及びオレイン酸の混合物との、混合エステル(CTFA名:クエン酸/乳酸/リノレン酸/オレイン酸グリセリル)、Huls社により名称Imwitor 780 Kで販売されている、コハク酸及びイソステアリルアルコールの、グリセロールとの混合エステル(CTFA名:コハク酸イソステアリルジグリセリル)、Huls社により名称Imwitor 370で販売されている、クエン酸及びステアリン酸の、グリセロールとの混合エステル(CTFA名:クエン酸ステアリン酸グリセリル)、Danisco社により名称Lactodan B30又はRylo LA30で販売されている、乳酸及びステアリン酸の、グリセロールとの混合エステル(CTFA名:乳酸ステアリン酸グリセリル)である。
【0226】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(3)糖の脂肪酸エステルは、C8~C22脂肪酸と、スクロース、マルトース、グルコース又はフルクトースとのエステル又はエステル混合物、並びにC14~C22脂肪酸とメチルグルコースとのエステル又はエステル混合物を含む群から特に選ぶことができる。
【0227】
本発明において使用されうるエステルの脂肪単位を形成するC8~C22又はC14~C22脂肪酸は、8~22個又は14~22個の炭素原子をそれぞれ含有する、飽和又は不飽和の、直鎖状アルキル鎖又はアルケニル鎖を含む。エステルの脂肪単位は、ステアレート、ベヘネート、アラキドネート、パルミテート、ミリステート、ラウレート及びカプレート、並びにこれらの混合物から特に選ぶことができる。ステアレートが、好ましく使用される。
【0228】
脂肪酸と、スクロース、マルトース、グルコース又はフルクトースとの、エステル又はエステル混合物の例として挙げることができるのは、モノステアリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース及びトリステアリン酸スクロース、並びにこれらの混合物、例えばCroda社により名称Crodesta F50、F70、F110及びF160で販売されている製品であり、挙げることができる脂肪酸とメチルグルコースとのエステル又はエステル混合物の例は、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコースであり、Goldschmidt社により名称Tego-care 450で販売されているものである。また挙げることができるのは、グルコース又はマルトースのモノエステル、例えばメチルo-ヘキサデカノイル-6-D-グルコシド及びo-ヘキサデカノイル-6-D-マルトシドである。
【0229】
上記の非イオン界面活性剤として使用することができる(3)糖の脂肪アルコールエーテルは、45℃以下の温度で固体でありえ、C8~C22脂肪アルコールと、グルコース、マルトース、スクロース又はフルクトースとのエーテル又はエーテル混合物、並びにC14~C22脂肪アルコールとメチルグルコースとのエーテル又はエーテル混合物を含む群から特に選ぶことができる。これらは、特に、アルキルポリグルコシドである。
【0230】
本発明のナノエマルション中で使用されうるエーテルの脂肪単位を形成するC8~C22又はC14~C22脂肪アルコールは、それぞれ8~22個又は14~22個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和の、直鎖状のアルキル又はアルケニル鎖を含む。該エーテルの脂肪単位は、特に、デシル、セチル、ベヘニル、アラキジル、ステアリル、パルミチル、ミリスチル、ラウリル、カプリル及びヘキサデカノイルの各単位、並びにこれらの混合物、例えばセテアリルから選ぶことができる。
【0231】
糖の脂肪アルコールエーテルの例として挙げることができるのは、アルキルポリグルコシド、例えばデシルグルコシド及びラウリルグルコシドであり、Henkel社によりそれぞれ例えば名称Plantaren 2000及びPlantaren 1200で販売されているもの、任意選択でセトステアリルアルコールとの混合物としてのセトステアリルグルコシドであり、例えばSEPPIC社により名称Montanov 68で、Goldschmidt社により名称Tego-care CG90で、及びHenkel社により名称Emulgade KE3302で販売されているもの、並びに例えばアラキジルアルコール及びベヘニルアルコールと、アラキジルグルコシドとの混合物の形態にあるアラキジルグルコシドであり、SEPPIC社により名称Montanov 202で販売されているものである。
【0232】
更に特に使用される界面活性剤は、モノステアリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース又はトリステアリン酸スクロース、及びこれらの混合物、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコース、及びアルキルポリグルコシドである。
【0233】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(4)ソルビタンの脂肪エステル及びソルビタンのオキシアルキレン化脂肪エステルは、ソルビタンのC16~C22脂肪酸エステル及びソルビタンのオキシエチレン化C16~C22脂肪酸エステルを含む群から選ぶことができる。これらは、16~22個の炭素原子をそれぞれ含有する少なくとも1個の飽和直鎖状アルキル鎖を含む少なくとも1種の脂肪酸と、ソルビトール又はエトキシル化ソルビトールとから形成されうる。オキシエチレン化エステルは、一般に、1~100のエチレングリコール単位、好ましくは2~40のエチレンオキシド(EO)単位を含んでもよい。
【0234】
これらのエステルは、ステアレート、ベヘネート、アラキデート、パルミテート、及びこれらの混合物から特に選ぶことができる。ステアレート及びパルミテートが好ましく使用される。
【0235】
本発明において使用されうる上記の非イオン性界面活性剤の例として挙げることができるのは、ICI社により名称Span 60で販売されているモノステアリン酸ソルビタン(CTFA名:ステアリン酸ソルビタン)、ICI社により名称Span 40で販売されているモノパルミチン酸ソルビタン(CTFA名:パルミチン酸ソルビタン)、及びICI社により名称Tween 65で販売されているトリステアリン酸ソルビタン20 EO(CTFA名:ポリソルベート65)である。
【0236】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(4)オキシアルキレン化脂肪エステル、好ましくはエトキシル化脂肪エステルは、1~100のエチレンオキシド単位、好ましくは2~60のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~30のエチレンオキシド単位と、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含有する少なくとも1個の脂肪酸鎖とから形成されたエステルであってもよい。エステルの脂肪鎖は、ステアレート、ベヘネート、アラキデート及びパルミテートの各単位、並びにそれらの混合物から特に選ぶことができる。挙げることができるエトキシル化脂肪エステルの例は、40のエチレンオキシド単位を含むステアリン酸エステル、例えばICI社から名称Myrj 52(CTFA名:ステアリン酸PEG-40)で販売されている製品、及び8のエチレンオキシド単位を含むベヘン酸エステル(CTFA名:ベヘン酸PEG-8)、例えばGattefosse社により名称Compritol HD5 ATOで販売されている製品である。
【0237】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(5)エチレンオキシド(A)とプロピレンオキシド(B)とのブロックコポリマーは、特に、式(I):
HO(C2H4O)x(C3H6O)y(C2H4O)zH (I)
(式中、x、y及びzは、x+zが2~100の範囲であり、yが14~60の範囲であるような整数である)
のブロックコポリマー、及びそれらの混合物から、より特定すると、8.0~14.0の範囲のHLB値を有する式(I)のブロックコポリマーから選ぶことができる。
【0238】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(6)ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテルは、以下からなる群から選択することができる:
PPG-6デシルテトラデセス-30;ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)テトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4630として販売されているもの、
PPG-6デシルテトラデセス-12;ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(6)テトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4612として販売されているもの、
PPG-13デシルテトラデセス-24;ポリオキシエチレン(24)ポリオキシプロピレン(13)デシルテトラデシルエーテル、例えばNOF Corporation社からUNILUBE 50MT-2200Bとして販売されているもの、
PPG-6デシルテトラデセス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4620として販売されているもの、
PPG-4セテス-1;ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-31として販売されているもの、
PPG-8セテス-1;ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-41として販売されているもの、
PPG-4セテス-10;ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-33として販売されているもの、
PPG-4セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-34として販売されているもの、
PPG-5セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(5)セチルエーテル、例えばCroda Inc.社からProcetyl AWSとして販売されているもの、
PPG-8セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-44として販売されているもの、及び
PPG-23ステアレス-34;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル(34 EO)(23 PO)、例えばポーラ化成工業株式会社からUnisafe 34S-23として販売されているもの。
これらは、比較的短時間のうちに組成物の温度が増減する場合でも、長時間安定した組成物を提供することができる。
【0239】
ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテルが、PPG-6デシルテトラデセス-30、PPG-13デシルテトラデセス-24、PPG-6デシルテトラデセス-20、PPG-5セテス-20、PPG-8セテス-20及びPPG-23ステアレス-34からなる群から選択することができる(15~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(5~30 PO)アルキル(C16~C24)エーテルであることが、より好ましい。
【0240】
ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテルが、PPG-6デシルテトラデセス-30、PPG-13デシルテトラデセス-24、PPG-5セテス-20及びPPG-8セテス-20からなる群から選択することができる(15~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(5~30 PO)アルキル(C16~C24)エーテルであることが、更により好ましい。
【0241】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(7)シリコーン界面活性剤として挙げることができるのは、文献、US-A-5364633及びUS-A-5411744に開示されているものである。
【0242】
上記の非イオン性界面活性剤としての(7)シリコーン界面活性剤は、好ましくは式(I):
【0243】
【0244】
[式中、
R1、R2及びR3は、互いに独立に、C1~C6アルキル基又は-(CH2)x-(OCH2CH2)y-(OCH2CH2CH2)z-OR4基を表し、少なくとも1個のR1、R2又はR3基はアルキル基ではなく、R4は、水素、アルキル基又はアシル基であり、
Aは、0~200の範囲の整数であり、
Bは、0~50の範囲の整数であり、ただし、A及びBが同時に0に等しいことはなく、
xは、1~6の範囲の整数であり、
yは、1~30の範囲の整数であり、
zは、0~5の範囲の整数である]
の化合物であってもよい。
【0245】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)の化合物中、アルキル基は、メチル基であり、xは、2~6の範囲の整数であり、yは、4~30の範囲の整数である。
【0246】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として挙げることができるのは、式(II):
【0247】
【0248】
(式中、Aは、20~105の範囲の整数であり、Bは、2~10の範囲の整数であり、yは、10~20の範囲の整数である)
の化合物である。
【0249】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例としてまた挙げることができるのは、式(III):
H-(OCH2CH2)y-(CH2)3-[(CH3)2SiO]A'-(CH2)3-(OCH2CH2)y-OH (III)
(式中、A'及びyは、10~20の範囲の整数である)
の化合物である。
【0250】
使用されうる本発明の化合物は、Dow Corning社により名称DC 5329、DC 7439-146、DC 2-5695及びQ4-3667で販売されているものである。化合物DC 5329、DC 7439-146及びDC 2-5695は、式(II)(式中、それぞれ、Aは22、Bは2、yは12であり;Aは103、Bは10、yは12であり;Aは27、Bは3、yは12である)の化合物である。
【0251】
化合物Q4-3667は、式(III)(式中、Aは15であり、yは13である)の化合物である。
【0252】
本発明による組成物中の非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0253】
その一方で、本発明による組成物中の非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0254】
本発明による組成物中の非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%の範囲であってもよい。
【0255】
(増粘剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の増粘剤を含んでもよい。単一のタイプの増粘剤が使用されてもよいが、2種以上の異なるタイプの増粘剤を組み合わせて使用することもできる。
【0256】
増粘剤が、
(i) 会合性増粘剤、
(ii) 架橋アクリル酸ホモポリマー、
(iii) (メタ)アクリル酸と(C1~C6)アクリル酸アルキルとの架橋コポリマー、
(iv) 非イオン性のホモポリマー、及びエステルタイプ及び/又はアミドタイプのエチレン性不飽和モノマーを含むコポリマー、
(v) アクリル酸アンモニウムのホモポリマー、及びアクリル酸アンモニウムとアクリルアミドとのコポリマー、
(vi) 多糖、並びに
(vii) C12~C30脂肪アルコール
からなる群から選択されることが好ましい。
【0257】
(i)本明細書で使用されるとき、表現「会合性増粘剤」は、親水性単位と疎水性単位との両方を含む、例えば少なくとも1個のC8~C30脂肪鎖と少なくとも1個の親水性単位とを含む、両親媒性増粘剤を意味する。
【0258】
使用されうる代表的な会合性増粘剤は、
(aa) 少なくとも1個の脂肪鎖と少なくとも1個の親水性単位とを含む非イオン性両親媒性ポリマー、
(bb) 少なくとも1個の親水性単位と少なくとも1個の脂肪鎖単位とを含むアニオン性両親媒性ポリマー、
(cc) 少なくとも1個の親水性単位と少なくとも1個の脂肪鎖単位とを含むカチオン性両親媒性ポリマー、及び
(dd) 少なくとも1個の親水性単位と少なくとも1個の脂肪鎖単位とを含む両性両親媒性ポリマー
から選ばれる会合性ポリマーであり、
ここで、脂肪鎖は、10~30個の炭素原子を含有する。
【0259】
(aa)少なくとも1個の脂肪鎖と少なくとも1個の親水性単位とを含む非イオン性両親媒性ポリマーは、例えば、以下から選ぶことができる:
(1) 少なくとも1個の脂肪鎖を含む基で変性されたセルロースで、挙げることができる例には、以下がある:
- アルキル、アリールアルキル及びアルキルアリールの各基から選ばれる少なくとも1個の脂肪鎖を含む基で変性されたヒドロキシエチルセルロースで、ここで、アルキル基は、例えばC8~C22であり、例えばAqualon社により販売されている製品Natrosol Plus Grade 330 CS(C1~C6アルキル)、及びBerol Nobel社により販売されている製品Bermocoll EHM 100、並びに
- ポリアルキレングリコールアルキルフェニルエーテル基で変性されているセルロース、例えばAmerchol社により販売されている製品Amercell Polymer HM-1500(ポリエチレングリコール(15)ノニルフェニルエーテル)。
(2) 少なくとも1個の脂肪鎖を含む基で変性されたヒドロキシプロピルグアー、例えばLamberti社により販売されている製品Esaflor HM 22(C22アルキル鎖)、及びRhodia Chimie社により販売されている製品Miracare XC95-3(C14アルキル鎖)及びRE205-1(C20アルキル鎖)。
(3) 少なくとも1個の脂肪鎖、例えばC10~C30アルキル基又はアルケニル基を含むポリエーテルウレタン、例としてはAkzo社により販売されている製品Elfacos T 210及びElfacos T 212、又はRohm & Haas社により販売されている製品Aculyn 44及びAculyn 46。
(4) ビニルピロリドンと疎水性脂肪鎖モノマーとのコポリマーで、挙げることができる例には、以下がある:
- I.S.P.社により販売されている製品Antaron V216及びGanex V216(ビニルピロリドン/ヘキサデセンコポリマー)、並びに
- I.S.P.社により販売されている製品Antaron V220及びGanex V220(ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー)。
(5) C1~C6アクリル酸アルキル又はC1~C6メタクリル酸アルキルと、少なくとも1個の脂肪鎖を含む両親媒性モノマーとのコポリマー、例えばGoldschmidt社により名称Antil 208で販売されているオキシエチレン化メタクリル酸メチル/アクリル酸ステアリルのコポリマー
(6) 親水性アクリレート又はメタクリレートと、少なくとも1個の脂肪鎖を含む疎水性モノマーとのコポリマー、例えばメタクリル酸ポリエチレングリコール/メタクリル酸ラウリルのコポリマー。
【0260】
(bb)少なくとも1個の親水性単位と少なくとの1個の脂肪鎖単位とを含むアニオン性両親媒性ポリマーは、例えば、少なくとも1個の脂肪鎖アリルエーテル単位と、エチレン性不飽和アニオン性モノマー単位、例えばビニルカルボン酸単位を含む少なくとも1個の親水性単位とを含むものから選ぶことができ、更に、例えばアクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの混合物に由来する単位から選ぶことができ、ここで、脂肪鎖アリルエーテル単位は、次式(I):
CH2=C(R1)CH2OBnR (I)
(式中、R1は、H及びCH3から選ばれ、Bは、エチレンオキシ基であり、nは、ゼロ及び1~100の範囲の整数から選ばれ、Rは、10~30個の炭素原子、更に例えば10~24個の炭素原子、より更に例えば12~18個の炭素原子を含有する、アルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリール及びシクロアルキルの各基から選ばれる炭化水素系基から選ばれる)
のモノマーに相当する。
【0261】
一実施形態では、式(I)の単位は、例えば、R1がHであってもよく、nが10に等しくてもよく、Rがステアリル(C18)基であってもよい、単位である。
【0262】
このタイプのアニオン性両親媒性ポリマーは、特許EP-0 216 479 B2におけるエマルション重合方法により記載されており調製されている。
【0263】
一実施形態では、アニオン性両親媒性ポリマーは、例えば、20質量%~60質量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸、5質量%~60質量%の低級(メタ)アクリル酸アルキル、2質量%~50質量%の式(I)の脂肪鎖アリルエーテル、並びに0質量%~1質量%の、周知の共重合性不飽和ポリエチレン系モノマーである架橋剤、例えば、フタル酸ジアリル、(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸(ポリ)エチレングリコール及びメチレンビスアクリルアミドから形成されるポリマーである。
【0264】
このようなポリマーの例は、メタクリル酸とアクリル酸エチルとポリエチレングリコール(10 EO)ステアリルエーテル(ステアレス-10)との架橋ターポリマー、例えばCiba社により名称Salcare SC 80及びSalcare SC 90で販売されているものであり、これは、メタクリル酸とアクリル酸エチルとステアレス-10アリルエーテルとの架橋ターポリマー(40/50/10)の30%水性エマルションである。
【0265】
アニオン性両親媒性ポリマーは、例えば、不飽和オレフィン性カルボン酸タイプの少なくとも1個の親水性単位と、不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステル等のタイプの少なくとも1個の疎水性単位とを含むものから更に選ぶことができる。不飽和オレフィン性カルボン酸タイプの親水性単位は、例えば、式(II)
【0266】
【0267】
(式中、R1は、H、CH3及びC2H5から選ばれ、すなわち、アクリル酸、メタクリル酸及びエタクリル酸の各単位である)
のモノマーに相当する。不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステル等のタイプの疎水性単位は、例えば式(III):
【0268】
【0269】
[式中、R1は、H、CH3及びC2H5から選ばれ(すなわち、アクリレート、メタクリレート及びエタクリレートの各単位)、例えばH(アクリレート単位)及びCH3(メタクリレート単位)から選ばれ、R2は、C10~C30アルキル基、例えばC12~C22アルキル基から選ばれる]
のモノマーに相当する。
【0270】
不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステルの例には、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル及びアクリル酸ドデシル、並びにその対応するメタクリレート、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル及びメタクリル酸ドデシルが挙げられる。
【0271】
このタイプのアニオン性両親媒性ポリマーは、例えば、米国特許第3,915,921号及び第4,509,949号により開示されており調製されている。
【0272】
使用されうる代表的なアニオン性両親媒性ポリマーは、以下を含むモノマー混合物から形成されたポリマーから更に選ぶことができる:
(7) アクリル酸、次式(IV)のエステル:
【0273】
【0274】
(式中、R1は、H及びCH3から選ばれ、R2は、C10~C30アルキル基、例えば12~22個の炭素原子を含有するアルキル基から選ばれる)、
及び架橋剤、例えば、95質量%~60質量%のアクリル酸(親水性単位)、4質量%~40質量%のC10~C30アクリル酸アルキル(疎水性単位)、及び0質量%~6質量%の架橋重合性モノマーに由来するポリマー、若しくは98質量%~96質量%のアクリル酸(親水性単位)、1質量%~4質量%のC10~C30アクリル酸アルキル(疎水性単位)、及び0.1質量%~0.6質量%の架橋重合性モノマーに由来するポリマー、又は
(8) アクリル酸とメタクリル酸ラウリル、例えば66質量%のアクリル酸と34質量%のメタクリル酸ラウリルとから形成されたポリマー。
【0275】
架橋剤は、その不飽和結合が共役していない少なくとも1個の他の重合性基を有する基:
【0276】
【0277】
を含むモノマーとすることができる。
【0278】
挙げることができるのは、例えば、ポリアリルエーテル、例えばポリアリルスクロース及びポリアリルペンタエリスリトールである。
【0279】
上の前記ポリマーの中で挙げることができるのは、例えば、Goodrich社により商品名Pemulen TR1、Pemulen TR2及びCarbopol 1382、及び更に例えばPemulen TR1で販売されている製品、並びにS.E.P.C.社により名称Coatex SXで販売されている製品である。
【0280】
アニオン性両親媒性脂肪鎖ポリマーの中でまた挙げることができるのは、例えばAmerchol社により名称Viscophobe DB 1000で販売されている、メタクリル酸/アクリル酸メチル/アルキルジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアネートのエトキシル化コポリマーである。
【0281】
使用される(cc)カチオン性両親媒性ポリマーは、例えば、四級化セルロース誘導体、及びアミノ側基を含むポリアクリレートから選ばれる。
【0282】
四級化セルロース誘導体は、例えば、
少なくとも8個の炭素原子を含む、アルキル、アリールアルキル及びアルキルアリールの各基等の少なくとも1個の脂肪鎖を含む基で変性された四級化セルロース、並びにそれらの混合物、並びに
少なくとも1個の脂肪鎖、例えば少なくとも8個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキル及びアルキルアリールの各基、並びにこれらの混合物を含む基で変性された四級化ヒドロキシエチルセルロース
から選ばれる。
【0283】
アミノ側基を含む四級化及び非四級化ポリアクリレートは、例えば、疎水性基を有し、例えばステアレス20(ポリオキシ-エチレン化(20)ステアリルアルコール)及び(C10~C30)アルキルPEG-20イタコネートを有する。
【0284】
上の四級化セルロース及びヒドロキシエチルセルロースにより保持されているアルキル基は、例えば8~30個の炭素原子を含有する。
【0285】
アリール基は、例えば、フェニル、ベンジル、ナフチル及びアントリルの各基から選ばれる。
【0286】
C8~C30脂肪鎖を含む四級化アルキルヒドロキシエチルセルロースの例は、Amerchol社により販売されている製品Quatrisoft LM 200、Quatrisoft LM-X 529-18-A、Quatrisoft LM-X 529-18B(C12アルキル)及びQuatrisoft LM-X 529-8(C18アルキル)、並びにCroda社により販売されている製品Crodacel QM、Crodacel QL(C12アルキル)及びCrodacel QS(C18アルキル)である。
【0287】
アミノ側鎖を含むポリアクリレートの例は、ポリマー8781-124B又は9492-103、及びNational Starch社製のStructure Plusである。
【0288】
(dd)少なくとも1個の親水性単位と少なくとも1個の脂肪鎖単位とを含む両性両親媒性ポリマーの中で、例えばメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸/C10~C30メタクリル酸アルキルのコポリマーを挙げることができ、ここで、アルキル基は、例えばステアリル基である。
【0289】
組成物中の会合性増粘剤は、例えば、1%水中活性材料の濃度での溶液中又は分散体中に、Rheomat RM 180レオメーターを用いた25℃での測定で、200s-1のせん断速度にて、0.1cp超の粘度、更に例えば0.2cp超の粘度を有することができる。
【0290】
会合性増粘剤は、会合性ポリマー増粘剤、好ましくは会合性ポリウレタン増粘剤であってもよい。
【0291】
会合性ポリウレタン増粘剤は、カチオン性であっても非イオン性であってもよい。
【0292】
会合性ポリウレタン増粘剤の中で挙げることができるのは、会合性ポリウレタン誘導体、例えば、約20質量%~70質量%の、α,β-モノエチレン性不飽和を含有するカルボン酸、約20~80質量%の、α,β-モノエチレン性不飽和を含有する非界面活性剤モノマー、約0.5~60質量%の、モノヒドロキシル化界面活性剤のモノエチレン性不飽和モノイソシアネートとの反応の生成物である非イオン性モノ-ウレタンの重合により得られるものである。
【0293】
同様のことが、特にEP 173109、より特定するとその実施例3に記載されている。より正確には、このポリマーは、25%での水性分散体としてのメタクリル酸/アクリル酸メチル/エトキシル化ベヘニルアルコール(40 EO)のジメチルメタイソプロペニルベンジルイソシアネートのターポリマーである。この製品は、AMERCHOL社により参照名VISCOPHOBE DB1000で提供されている。
【0294】
また好適なのは、カチオン性会合性ポリウレタン増粘剤であり、そのファミリーは、出願人により、仏国特許出願第0009609号に記載された。これらは、より特定すると、一般式(A):R-X-(P)n-[L-(Y)m]r-L'-(P')p-X'-R'(A)(式中、R及びR'は、同一であり又は異なり、疎水性基又は水素原子を表し、X及びX'は、同一であり又は異なり、疎水性基を保持しているかそうではないアミン官能基を含有する基を表し、或いはL''基を表し、L、L'及びL''は、同一であり又は異なり、ジイソシアネートに由来する基を表し、P及びP'は、同一であり又は異なり、疎水性基を保持しているかそうではないアミン官能基を含有する基を表し、Yは、親水性基を表し、rは、1から100の間、好ましくは1から50の間、特に1から25の間の整数であり、n、m及びpはそれぞれ、他から独立して、0から1000の間であり、分子は、少なくとも1個のプロトン化した又は四級化したアミン官能基、及び少なくとも1個の疎水性基を含有する)により表されうる。
【0295】
きわめて有利な実施形態では、これらのポリウレタンの唯一の疎水性基は、鎖の両端にあるR基及びR'基である。
【0296】
第1の好ましい実施形態によれば、会合性ポリウレタン増粘剤は、式(A)[式中、RとR'とは両方とも、独立に、疎水性基を表し、X、X'はそれぞれL''基を表し、n及びpは、1から1000の間であり、L、L'、L''、P、P'、Y及びmは、式(A)に示された意味を有する]に相当する。
【0297】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、会合性ポリウレタン増粘剤は、式(A)[式中、RとR'とは両方とも、独立に、疎水性基を表し、X、X'はそれぞれL''基を表し、n及びpは0に等しく、L、L'、L''、Y及びmは、上に示された式(A)における意味を有する]に相当する。
【0298】
n及びpが0に等しいという事実は、これらのポリマーが、重縮合中にポリマーに組み込まれたアミン官能基を含有するモノマーに由来する単位を含有しないことを意味する。これらのポリウレタンのプロトン化アミン官能基は、過剰のイソシアネート官能基の、鎖末端での加水分解から、続いて疎水性基を含有するアルキル化剤、すなわちRQ又はR'Qタイプ[式中、R及びR'は上記で定義した通りであり、Qは脱離基、例えば、ハライド、スルフェート等を示す]の化合物により形成された第一級アミン官能基のアルキル化から、得られる。
【0299】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、会合性ポリウレタン増粘剤は、式(A)[式中、RとR'とは両方とも、独立に、疎水性基を表し、XとX'とは両方とも、独立に、第四級アミンを含有する基を表し、n及びpはゼロに等しく、L、L'、Y及びmは、式(A)に示された意味を有する]に相当する。
【0300】
カチオン性会合性ポリウレタン増粘剤の数平均分子量は、通常、400から500000g/molの間、特に、1000から400000g/molの間、理想的には1000から300000g/molの間である。
【0301】
X及び/又はX'が第三級又は第四級アミンを含有する基を示す場合、X及び/又はX'は、次式:
【0302】
【0303】
【0304】
(式中、
R2は、1~20個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキレン基を表し、飽和若しくは不飽和の環又はアリーレン基を含有し又は含有せず、炭素原子のうちの1個又は複数が、N、S、O、Pから選ばれるヘテロ原子によって置き換えられることが可能であり、
R1及びR3は、同一であり又は異なり、直鎖状又は分枝状のC1~C30アルキル又はアルケニル基、アリール基を示し、炭素原子のうちの少なくとも1個は、N、S、O及びPから選ばれるヘテロ原子によって置き換えられることが可能であり、
A-は、生理学的に許容される対イオンである)
のうちの1つを表すことができる。
【0305】
L基、L'基及びL''基は、式:
【0306】
【0307】
(式中、
Zは、-O-、-S-又は-NH-を表し、
R4は、1~20個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキレン基を表し、飽和又は不飽和の環、アリーレン基を含有し又は含有せず、炭素原子のうちの1個又は複数が、N、S、O及びPから選ばれるヘテロ原子によって置き換えられることが可能である)
の基を表す。
【0308】
アミン官能基を含むP基及びP'基は、次式:
【0309】
【0310】
[式中、
R5及びR7は、上で定義されたR2と同じ意味を有し、R6、R8及びR9は、上で定義されたR1及びR3と同じ意味を有し、
R10は、直鎖状又は分枝状のアルキレン基を表し、これは、任意選択で不飽和であり、これは、N、O、S及びPから選ばれる1個又は複数のヘテロ原子を含有してもよく、
A-は、生理学的に許容される対イオンである)
のうちの1つを表すことができる。
【0311】
Yの意味に関して、親水性基という表現は、重合性又は非重合性の水溶性基を意味すると理解される。例として、挙げることができるのは、ポリマーが関与しない場合、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びプロピレングリコールである。好ましい実施形態によれば、親水性ポリマーの場合、挙げることができるのは、例として、ポリエーテル、スルホン化ポリエステル、スルホン化ポリアミド、又はこれらのポリマーの混合物である。好ましくは、親水性化合物は、ポリエーテル、特にポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシドである。
【0312】
式(A)のカチオン性会合性ポリウレタン増粘剤は、ジイソシアネートから、及び不安定水素を含有する官能基を有する様々な化合物から形成される。不安定水素を含有する官能基は、ジイソシアネート官能基との反応後に、ポリウレタン、ポリウレア及びポリチオウレアをそれぞれ付与するアルコール官能基、第一級若しくは第二級アミン官能基、又はチオール官能基であってもよい。本発明の用語「ポリウレタン」は、これらの3タイプのポリマー、すなわち厳密な意味でのポリウレタン、ポリウレア及びポリチオウレア、並びにそれらのコポリマーを対象とする。
【0313】
式(A)のポリウレタンの調製の材料となる第1のタイプの化合物は、アミン官能基を含有する少なくとも1個の単位を含有する化合物である。この化合物は、多官能性であってもよいが、好ましくは、該化合物は二官能性であり、すなわち、好ましい一実施形態によれば、この化合物は、例えば、ヒドロキシル、第一級アミン、第二級アミン又はチオール官能基により保持されている2個の不安定水素原子を含有する。多官能化合物と二官能化合物との混合物を使用することもまた可能であり、ここで、多官能化合物のパーセンテージは低い。
【0314】
上に示したように、この化合物は、アミン官能基を含有する1個超の単位を含有してもよい。そうであれば、これは、アミン官能基を含有する単位の繰り返しを保持しているポリマーである。
【0315】
このタイプの化合物は、式:HZ-(P)n-ZH又はHZ-(P')p-ZH(式中、Z、P、P'、n及びpは、上に定義した通りである)のうちの1つにより表すことができる。
【0316】
アミン官能基を含有する化合物の例として挙げることができるのは、N-メチルジエタノールアミン、N-tert-ブチルジエタノールアミン、及びN-スルホエチルジエタノールアミンである。
【0317】
式(A)のポリウレタンの調製の材料となる第2の化合物は、式O=C=N-R4-N=C=O(式中、R4は上に定義されている)に相当するジイソシアネートである。
【0318】
例として挙げることができるのは、メチレンジフェニルジイソシアネート、メチレンシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート及びヘキサンジイソシアネートである。
【0319】
式(A)のポリウレタンの調製の材料となる第3の化合物は、式(A)のポリマーの末端疎水性基を形成することが意図される疎水性化合物である。
【0320】
この化合物は、疎水性基と、不安定水素を含有する官能基、例えばヒドロキシル、第一級若しくは第二級アミン、又はチオール官能基とからなる。
【0321】
例として、この化合物は、脂肪アルコール、例えば、特にステアリルアルコール、ドデシルアルコール及びデシルアルコールであってもよい。この化合物が重合性鎖を含有するとき、それは、例えばヒドロキシル水添ポリブタジエンであってもよい。
【0322】
式(A)のポリウレタンの疎水性基は、少なくとも1個の第三級アミン単位を含有する化合物の第三級アミンが四級化した反応の結果によるものであってもよい。そのため、疎水性基は四級化剤により導入される。この四級化剤は、RQ又はR'Qタイプ(式中、R及びR'は、上で定義した通りであり、Qは、ハライド、スルフェート等の脱離基等を示す)の化合物である。
【0323】
カチオン性会合性ポリウレタン増粘剤は、加えて、親水性配列を含んでもよい。この配列は、ポリマーの調製の材料となる第4のタイプの化合物によって提供される。この化合物は、多官能性であってもよい。それは、好ましくは二官能性である。多官能化合物のパーセンテージが低い混合物を有することもまた可能である。
【0324】
不安定水素を含有する官能基は、アルコール、第一級若しくは第二級アミン、又はチオールの各官能基である。この化合物は、不安定水素を含有するこれらの官能基のうちの1個によって鎖末端において終了したポリマーであってもよい。
【0325】
例として、ポリマーが関与しないとき、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びプロピレングリコールを挙げることができる。
【0326】
親水性ポリマーの場合、例として、ポリエーテル、スルホン化ポリエステル、スルホン化ポリアミド、又はこれらのポリマーの混合物を挙げることができる。好ましくは、親水性化合物は、ポリエーテル、特にポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシドである。
【0327】
式(A)においてYと称される親水性基は、任意選択である。実際には、第四級又はプロトン化アミン官能基を含有する単位は、水溶液中のこのタイプのポリマーに必要な可溶性又は水分散性を十分に提供できる。親水性基Yの存在は任意選択であるが、このような基を含有するカチオン性会合性ポリウレタン増粘剤が、それにもかかわらず好ましい。
【0328】
本発明において使用される会合性ポリウレタン増粘剤はまた、非イオン性であってもよく、特に非イオン性ポリウレタン-ポリエーテルであってもよい。非イオン性ポリウレタン-ポリエーテルは、少なくとも1個の親水性部分と少なくとも1個の疎水性部分との両方を有してもよい。より特定すると、前記ポリマーは、それらの鎖中に、最も多くの場合、ポリオキシエチレン性の親水性配列と、脂肪族連結単独及び/又は脂環式及び/又は芳香族連結でありうる疎水性配列との両方を含有してもよい。
【0329】
好ましくは、これらのポリエーテル-ポリウレタンは、親水性配列によって分離された、6~30個、好ましくは6~20個の炭素原子を有する少なくとも2個の親油性炭化水素鎖を含み、この炭化水素鎖が、ペンダント鎖、又は親水性配列の末端にある鎖であることが可能である。特に、1個又は複数のペンダント鎖が想定されることが可能である。加えて、ポリマーは、親水性配列の片末端に又は両末端に、炭化水素鎖を含むことができる。
【0330】
ポリエーテル-ポリウレタンは、ポリブロック、特にトリブロックの形態であってもよい。疎水性配列は、鎖の各末端にあってもよく(例えば、親水性の中央配列を有するトリブロックコポリマー)、又は両末端及び鎖中に分布されていてもよい(例えば、ポリブロックコポリマー)。これらの同一のポリマーはまた、グラフト単位の形態であってもよく、星型であってもよい。
【0331】
会合性ポリウレタン増粘剤は疎水性部が疑似ミセルを接続させるネットワークを水中で形成しうる。
【0332】
したがって、会合性ポリウレタン増粘剤は、本発明による組成物の粘度又は稠度を上げることができる。そのため、本発明による組成物の塗布後、それは、組成物の元の弾力を急速に回復することができる。
【0333】
脂肪鎖を含有する非イオン性ポリエーテル-ポリウレタンは、その親水性配列が50~1000のオキシエチレン化基を含むポリオキシエチレン化鎖であるトリブロックコポリマーであってもよい。
【0334】
非イオン性ポリエーテル-ポリウレタンは、親水性配列同士の間にウレタン結合を含み、これが名称の起源である。
【0335】
拡大することにより、その親水性配列が、他の化学結合によって疎水性配列に連結されているものもまた、疎水性鎖を含有する非イオン性ポリエーテル-ポリウレタンの中に含まれる。
【0336】
本発明において使用されうる疎水性鎖を含有する非イオン性ポリエーテル-ポリウレタンの例として、RHEOX社により販売されている、ウレア官能基を含有するRheolate(登録商標)205、又は他にRheolate(登録商標)208、204若しくは212、及びAcrysol RM 184(登録商標)を使用することもまた可能である。
【0337】
また挙げることができるのは、AKZO社製の、C12~C14アルキル鎖を含有する製品ELFACOS T210(登録商標)、及びC18アルキル鎖を含有する製品ELFACOS T212(登録商標)である。
【0338】
C20アルキル鎖を含有し、ウレタン結合を有し、水中20%乾燥物含有量で販売されている、ROHM & HAAS社製の製品DW 1206B(登録商標)もまた使用することができる。
【0339】
これらのポリマーの、特に水中又は水性-アルコール性媒体中の溶液又は分散体を使用することもまた可能である。このようなポリマーの例として挙げることができるのは、RHEOX社により販売されているRheolate(登録商標)255、Rheolate(登録商標)278及びRheolate(登録商標)244である。ROHM & HAAS社により提供されている製品DW 1206F及びDW 1206Jを使用することもまた可能である。
【0340】
上に記載した使用されうるポリエーテル-ポリウレタンはまた、G. Fonnum、J. Bakke及びFk. Hansenによる論文、Colloid Polym. Sci 271、380~389頁(1993年)に記載されているものからも選ぶことができる。
【0341】
上に記載したポリエーテル-ポリウレタンとして挙げることができるのは、少なくとも1個のポリオキシエチレン化親水性ブロックと、脂肪族配列、脂環式配列及び芳香族配列から選ばれる少なくとも1個を含有する少なくとも1個の疎水性ブロックとをこれらの鎖中に含む、ポリウレタン-ポリエーテルである。
【0342】
ポリウレタン-ポリエーテルが、親水性ブロックによって分離された8~30個の炭素原子を有する少なくとも2個の炭化水素系親油性鎖を含むことが好ましく、ここで、炭化水素系鎖は、ペンダント鎖及び親水性ブロックの末端にある鎖から選ばれる。
【0343】
本発明の特定の形態によれば、(i)150~180molのエチレンオキシドを含む少なくとも1種のポリエチレングリコールと、(ii)100molのエチレンオキシドを含むポリオキシエチレン化ステアリルアルコールと、(iii)ジイソシアネートとを含む、少なくとも3種の化合物の重縮合によって得られうるポリウレタン/ポリエーテルが使用される。
【0344】
このようなポリウレタン/ポリエーテルは、特にElementis社により名称Rheolate FX 1100(登録商標)及びRheoluxe 811(登録商標)で販売されており、これは、136molのエチレンオキシドを含有するポリエチレングリコールと、100molのエチレンオキシドでポリオキシエチレン化されたステアリルアルコールと、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)との、質量平均分子量が40000の重縮合物(INCI名:PEG-136/ステアレス-100/HDIコポリマー)である。
【0345】
本発明の別の特定の形態によれば、(i)150~180molのエチレンオキシドを含む少なくとも1種のポリエチレングリコールと、(ii)ステアリルアルコール又はデシルアルコールと、(iii)少なくとも1種のジイソシアネートとを含む、少なくとも3種の化合物の重縮合によって得られうるポリウレタン/ポリエーテルが使用される。
【0346】
このようなポリウレタン/ポリエーテルは、特にRohm & Haas社により名称Aculyn 46(登録商標)及びAculyn 44(登録商標)で販売されている。
【0347】
INCI名:PEG-150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマーを有するAculyn 46(登録商標)は、マルトデキストリン(4%)と水(81%)とのマトリクス中15質量%での、150又は180molのエチレンオキシドを含むポリエチレングリコールと、ステアリルアルコールと、メチレンビス(4-シクロへキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物(INCI名:PEG-150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマー)である。
【0348】
Aculyn 44(登録商標)(PEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマー)は、プロピレングリコール(39%)と水(26%)との混合物中35質量%での、150又は180molのエチレンオキシドを含むポリエチレングリコールと、デシルアルコールと、メチレンビス(4-シクロへキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物(INCI名:PEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマー)である。
【0349】
会合性ポリウレタンとして、次式(1):
R1-{(O-R2)k-OCONH-R3[-NHCOO-(R4-O)n-R5]h}m (1)
(式中、R1は、炭化水素基を表し、R2及びR4は、独立に、2~4個の炭素原子を有する、互いに同一であっても異なっていてもよいアルキレン基、又はフェニルエチレン基を表し、R3は、任意選択でウレタン結合を有しうる炭化水素基を表し、R5は、分枝鎖又は第二級炭化水素基を表し、mは、少なくとも2の数を表し、hは、少なくとも1の数を表し、kは、1~500の範囲内の数を表し、nは、1~200の範囲内の数を表す)
により表される化合物を使用することが好ましい。
【0350】
上に示される一般式(1)により表される疎水変性ポリウレタンは、例えば、式R1-[(O-R2)k-OH]mにより表される少なくとも1種のポリエーテルポリオールと、式R3-(NCO)h+1により表される少なくとも1種のポリイソシアネートと、式HO-(R4-O)n-R5により表される少なくとも1種のモノアルコールとを反応させることによって得られる。
【0351】
このような場合、一般式(1)のR1~R5は、化合物R1-[(O-R2)k-OH]m、R3-(NCO)h+1及びHO-(R4-O)n-R5によって決定される。3種の化合物の中の投入比率は特に限定されず、好ましくは、ポリイソシアネートに由来するイソシアネート基の、ポリエーテルポリオール及びポリエーテルモノアルコールに由来するヒドロキシル基に対する比が、0.8:1から1.4:1の間のNCO/OHの範囲内で選択されるべきである。
【0352】
式R1-[(O-R2)k-OH]mにより表され、一般式(1)により表される会合性増粘剤を得るために好ましく使用されうるポリエーテルポリオール化合物は、m価ポリオールの、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、若しくはエピクロロヒドリンとの、又はスチレンオキシド等との付加重合から得ることができる。
【0353】
ポリオールは、好ましくは、2~8価ポリオールであるべきである。2~8価ポリオールの例には、2価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール及びネオペンチルグリコール;3価アルコール、例えばグリセロール、トリオキシイソブタン、1,2,3-ブタントリオール、1,2,3-ペンタントリオール、2-メチル-1,2,3-プロパントリオール、2-メチル-2,3,4-ブタントリオール、2-エチル-1,2,3-ブタントリオール、2,3,4-ペンタントリオール、2,3,4-ヘキサントリオール、4-プロピル-3,4,5-ヘプタントリオール、2,4-ジメチル-2,3,4-ペンタントリオール、ペンタメチルグリセロール、ペンタグリセロール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,4-ペンタントリオール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパン;4価アルコール、例えばペンタエリスリトール、1,2,3,4-ペンタンテトロール、2,3,4,5-ヘキサンテトロール、1,2,4,5-ペンタンテトロール及び1,3,4,5-ヘキサンテトロール;5価アルコール、例えばアドニトール、アラビトール及びキシリトール;6価アルコール、例えばジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール及びイジトール;並びに8価アルコール、例えばスクロースが挙げられる。
【0354】
また、R2は、付加に供されるアルキレンオキシド、スチレンオキシド等によって決定される。特に、入手可能性及び優れた効果のために、2~4個の炭素原子を有するアルキレンオキシド、又はスチレンオキシドが好ましい。
【0355】
付加に供されるアルキレンオキシド、スチレンオキシド等は、単独重合に供されてもよく、又は少なくとも2つの構成員のランダム重合若しくはブロック重合に供されてもよい。付加のための手順は、従来の手順であってもよい。また、重合度kは、0~1,000の範囲内、好ましくは1~500の範囲内、より好ましくは10~200の範囲内で選択することができる。更に、R2を占めるエチレン基の比は、好ましくは、R2の総量に対して、50~100質量%の範囲内にあるべきである。このような場合に、本発明の目的に適した会合性増粘剤が得られる。
【0356】
更に、式R1-[(O-R2)k-OH]mにより表されるポリエーテルポリオール化合物の分子量は、好ましくは500~100,000の範囲内で選択されるべきであり、より好ましくは1,000~50,000の範囲内で選択されるべきである。
【0357】
式R3-(NCO)h+1により表され、且つ本発明により用いられる一般式(1)により表される疎水変性されたポリエーテルウレタンを得るために好ましくは使用されうるポリイソシアネートは、そのポリイソシアネートが分子内に少なくとも2個のイソシアネート基を有する限り、特に限定されない。ポリイソシアネートの例には、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、フェニルメタンジイソシアネート、フェニルメタントリイソシアネート及びフェニルメタンテトライソシアネートが挙げられる。
【0358】
また、上に列挙されたポリイソシアネートの二量体及び三量体(イソシアヌレート結合)を用いることも可能である。更に、アミンとの反応によって得られるビウレットを用いることが可能である。
【0359】
更に、前述のポリイソシアネート化合物とポリオールとの反応によって得られるウレタン結合を有するポリイソシアネートを用いることが可能である。ポリオールとして、2~8価ポリオールが好ましく、上に列挙されたポリオールが好ましい。3価以上のポリイソシアネートが、式R3-(NCO)n+1により表されるポリイソシアネートとして使用される場合、ウレタン結合を有する前述のポリイソシアネートを用いることが好ましい。
【0360】
式HO-(R4-O)n-R5により表され、且つ本発明により用いられる一般式(1)により表される疎水変性されたポリエーテルウレタンを得るために好ましくは使用されうるポリエーテルモノアルコールは、そのポリエーテルモノアルコールが、直鎖、分枝鎖、又は第二級一価アルコールのポリエーテルである限り、特に限定されない。ポリエーテルモノアルコールは、直鎖、分枝鎖、又は第二級一価アルコールの、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド若しくはエピクロロヒドリンとの、又はスチレンオキシド等との、付加重合によって得ることができる。
【0361】
一般式(1)により表される化合物は、例えば、80~90℃の温度で1~3時間加熱し、それによってポリエーテル及びイソシアネートの通常の反応と同じ方法で反応を引き起こすことによって生成することができる。
【0362】
一般式(1)により表される化合物として、ポリエチレングリコール-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネートコポリマーが好ましい。ポリエチレングリコール-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネートコポリマーはまた、PEG-240/HDIコポリマービス-デシルテトラデセス-20エーテルとも称される。
【0363】
本発明によれば、会合性ポリウレタン増粘剤が、Rheox社により名称Rheolate FX 1100で販売されているステアレス-100/PEG-136/HDIコポリマー、旭電化工業株式会社(Asahi Denka;現在、株式会社ADEKA)により名称Adekanol GT-700で販売されているPEG-240/HDIコポリマービス-デシルテトラデセス-20エーテル、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0364】
挙げることができる(ii)架橋アクリル酸ホモポリマーの中では、糖系のアリール性アルコールエーテルで架橋されたものがある。挙げることができるのは、Lubrizol社により名称Carbopol 980、981、954、2984及び5984で販売されている製品、又は3 VSA社により名称Synthalen M及びSynthalen Kで販売されている製品等の、ペンタエリスリトールのアリルエーテル、スクロースのアリルエーテル又はプロピレンのアリルエーテルで架橋された、アクリル酸のホモポリマーであるカルボマーである。
【0365】
(iii)(メタ)アクリル酸とC1~C6アクリル酸アルキルとの架橋コポリマーは、例えばCoatex社により名称Viscoatex 538Cで販売されている、38%の活性材料を含む水性分散体としてのメタクリル酸とアクリル酸エチルとの架橋コポリマー、及びRohm & Haas社により名称Aculyn 33で販売されている、28%の活性材料を含む水性分散体としてのアクリル酸とアクリル酸エチルとの架橋コポリマーから選ぶことができる。メタクリル酸とアクリル酸エチルとの架橋コポリマーには、NOVEON社により名称CARBOPOL AQUA SF-1で販売されている、30%の活性材料を含む水性分散体が挙げられる。
【0366】
(iv)エステル及び/又はアミドタイプのエチレン不飽和モノマーを含む非イオン性ホモポリマー又はコポリマーの中で挙げることができるのは、Cytec社により名称:Cyanamer P250(ポリアクリルアミド)で、US Cosmetics社により名称PMMA MBX-8C(メタクリル酸メチル/ジメタクリル酸エチレングリコールコポリマー)で、Rohm & Haas社により名称Acryloid B66(メタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチルコポリマー)で、及びKobo社により名称BPA 500(メタクリル酸ポリメチル)で販売されている製品である。
【0367】
挙げることができる(v)アクリル酸アンモニウムホモポリマーには、Hoechst社により名称Microsap PAS 5193で販売されている製品がある。
【0368】
アクリル酸アンモニウムとアクリルアミドとのコポリマーには、Hoechst社により名称Bozepol C Nouveau又は製品PAS 5193で販売されている製品が挙げられる(これは、文献、FR-2 416 723、米国特許第2,798,053号及び米国特許第2,923,692号に記載されており調製されている)。
【0369】
(vi)多糖は、例えば、グルカン、変性及び非変性デンプン(例えば、穀物、例としてはコムギ、トウモロコシ又はコメに由来するもの、野菜、例としては黄色エンドウに由来するもの、及び塊茎、例としてはジャガイモ又はキャッサバに由来するもの)、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン、セルロース、及びそれらの誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース)、マンナン、キシラン、リグニン、アラバン、ガラクタン、ガラクツロナン、キチン、キトサン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、キシログルカン、グルコマンナン、ペクチン酸及びペクチン、アルギン酸及びアルギネート、アラビノガラクタン、カラゲナン、寒天、グリコサミノグルカン、アラビアガム、トラガカントガム、ガッティガム、カラヤガム、カロブガム、ガラクトマンナン、例えばグアーガム、及びそれらの非イオン性誘導体(例えばヒドロキシプロピルグアー)、スクレロチウムガム及びキサンタンガム、並びにこれらの混合物から選ばれる。
【0370】
例えば、使用されうる多糖は、例えば、「Encyclopedia of Chemical Technology」、Kirk-Othmer、第3版、1982年、第3巻、896~900頁、及び第15巻、439~458頁、E. A. MacGregor及びC. T. Greenwoodによる「Polymers in Nature」、John Wiley & Sons社発行、第6章、240~328頁、1980年、並びに「Industrial Gums-Polysaccharides and their Derivatives」、Roy L. Whistler編、第2版、Academic Press Inc.社発行に記載されているものから選ばれ、これらの3つの刊行物の内容は、参照のため全体が組み込まれている。
【0371】
例えば、デンプン、グアーガム、セルロース、及びこれらの誘導体を使用することができる。
【0372】
使用されうるデンプンの中で挙げることができるのは、例えば、無水グルコース単位であるベース単位を含むポリマーの形態の高分子である。これらの単位の数及びこれらのアセンブリは、アミロース(直鎖状ポリマー)とアミロペクチン(分枝状ポリマー)とを区別することを可能にする。アミローズとアミロペクチンとの相対的割合、並びにそれらの重合度は、デンプンの植物起源に応じて多様となりうる。
【0373】
使用されるデンプンの分子は、それらの植物起源として穀物又は塊茎を有してもよい。そのため、デンプンは、例えば、トウモロコシ、コメ、キャッサバ、タピオカ、オオムギ、ジャガイモ、コムギ、モロコシ及びエンドウマメの各デンプンから選ぶことができる。
【0374】
デンプンは、一般に、冷水中で不溶性である白色粉末の形態で存在し、その初期の粒径は3~100ミクロンの範囲である。
【0375】
デンプンは、任意選択でC1~C6ヒドロキシアルキル化されていてもよく、又はC1~C6アシル化(例えばアセチル化)されていてもよい。デンプンはまた、加熱処理を受けてもよい。
【0376】
リン酸二デンプン、又はリン酸二デンプンに富む化合物、例えばAVEBE社により参照名PREJEL VA-70-T AGGL(ゼラチン化ヒドロキシプロピル化キャッサバのリン酸二デンプン)、又はPREJEL TK1(ゼラチン化キャッサバのリン酸二デンプン)、又はPREJEL 200(ゼラチン化アセチル化キャッサバのリン酸二デンプン)で提供されている製品もまた使用することができる。
【0377】
グアーガムは、変性されていても変性されていなくてもよい。
【0378】
非変性グアーガムは、例えば、Unipectine社により名称Vidogum GH 175で、並びにMeyhall社により名称Meypro-Guar 50及びJaguar Cで販売されている製品である。
【0379】
変性非イオン性グアーガムは、例えば、C1~C6ヒドロキシアルキル基で変性されている。
【0380】
挙げることができるヒドロキシアルキル基の中では、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル及びヒドロキシブチルの各基がある。
【0381】
これらのグアーガムは、従来技術において周知であり、例えば、ヒドロキシプロピル基で変性されたグアーガムを得るために、プロピレンオキシド等の相当するアルケンオキシドをグアーガムと反応させることによって調製することができる。
【0382】
ヒドロキシアルキル化度は、グアーガムに存在する遊離ヒドロキシ官能基の数によって消費されるアルキレンオキシド分子の数に相当し、例えば0.4~1.2の範囲であってもよい。
【0383】
ヒドロキシアルキル基で任意選択で変性されたこのような非イオン性グアーガムは、例えば、Rhodia Chimie社(Meyhall)により商品名Jaguar HP8、Jaguar HP60、Jaguar HP120、Jaguar DC 293及びJaguar HP 105で、又はAqualon社により名称Galactasol 4H4FD2で販売されている。
【0384】
使用されるセルロース及びセルロース誘導体、例えばヒドロキシアルキル基で変性されたセルロースの中では、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース、並びに疎水性化されているヒドロキシプロピルメチルセルロースがある。挙げることができるのは、Aqualon社により名称Klucel E F、Klucel H、Klucel L H F、Klucel M F及びKlucel Gで販売されている製品である。
【0385】
(vii)脂肪アルコールは、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールから選ばれる。
【0386】
増粘剤が、親水性増粘剤から選択されることが好ましい。親水性増粘剤は、本発明による組成物の(e)水により形成された水性相を増粘することができる。
【0387】
増粘剤が、多糖、より好ましくはセルロース誘導体、更により好ましくはヒドロキシエチルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロースから選択されることが、より好ましい。
【0388】
本発明による組成物中の増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0389】
本発明による組成物中の増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下であってもよい。
【0390】
本発明による組成物中の増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~1質量%、より好ましくは0.1質量%~0.5質量%であってもよい。
【0391】
(他の成分)
本発明の組成物はまた、少なくとも1種の任意選択の又は追加の成分をも含んでもよい。
【0392】
任意選択の又は追加の成分の量は限定されないが、本発明による組成物の総質量に対して、0.01~30質量%、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0393】
任意選択の又は追加の成分は、カチオン性、アニオン性又は両性界面活性剤、UV遮蔽剤、ペプチド及びその誘導体、タンパク質加水分解物、膨潤剤及び浸透剤、脱毛に有効な作用剤、ふけ防止剤、懸濁剤、金属イオン封鎖剤、乳白剤、ビタミン又はプロビタミン、香料、保存剤、安定剤、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0394】
本発明による組成物の水性相は、水に加えて、1種又は複数の、化粧料として許容される有機溶媒を含んでもよく、この有機溶媒は、アルコール、特に一価アルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール、糖、糖アルコール;並びにエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、並びにブチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテルであってもよい。
【0395】
このとき、有機溶媒は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~15質量%の濃度で存在してもよい。
【0396】
(調製)
本発明による組成物は、上に記載した必須成分と任意選択の成分とを従来の方法で混合して調製することができる。
【0397】
例えば、本発明による組成物は、
(a) ケイ酸及びその塩から選択される、少なくとも1種の無機化合物と、
(b) アミノ酸、その誘導体及びその塩から選択される少なくとも1種の有機化合物と、
(c) (a)無機化合物及び(b)有機化合物以外の少なくとも1種のアルカリ剤と、
(c) 少なくとも1種の脂肪物質と、
(e) 水、及び任意選択で(f)少なくとも1種の染料と
を混合する工程を含む、方法によって調製することができる。
【0398】
上記の成分(a)~(f)について、上で説明したものを使用することができる。
【0399】
その中に、任意選択の成分のうちの任意のものを更に混合することが可能である。
【0400】
[使用]
本発明による組成物は、好ましくは、ケラチン繊維の美容目的のために使用される。そのため、本発明による組成物は、好ましくはケラチン繊維のための、特にケラチン繊維を脱色する又は着色するための化粧用組成物である。
【0401】
ケラチン繊維として挙げることができるのは、毛髪、まつ毛及び眉毛である。
【0402】
上で説明した本発明による組成物が、毛髪等のケラチン繊維を脱色するのに使用される場合、例えば、染料を含まない本発明による組成物は、以下に説明する(g)少なくとも1種の酸化剤を含む別の組成物との混合物として使用することができる。
【0403】
或いは、本発明による組成物が、毛髪等のケラチン繊維を染色するのに使用される場合、(f)少なくとも1種の染料を更に含む本発明による組成物は、(g)少なくとも1種の酸化剤を含む別の組成物との混合物として使用することができる。
【0404】
(g)少なくとも1種の酸化剤を含む上記の組成物は、顕色剤として機能することができる。
【0405】
上記の混合物は、すぐ使える組成物とみなされてもよい。本発明の目的では、表現「すぐ使える組成物」は、本明細書では、毛髪等のケラチン繊維にすぐ塗布されることになる組成物であると定義される。すぐ使える組成物はまた、ケラチン繊維のための、特に毛髪等のケラチン繊維を脱色する又は着色するための化粧用組成物でもありうる。
【0406】
本発明による組成物と別の組成物との混合比は限定されない。混合比は、それらの質量比として、1:3~3:1、好ましくは1:2~2:1、より好ましくは1:1であってもよい。
【0407】
(酸化剤)
本発明による組成物と組み合わされうる顕色剤は、少なくとも1種の(g)酸化剤を含む。2種以上の(g)酸化剤が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0408】
(g)酸化剤は、過酸化水素、過酸化された塩、及び加水分解により過酸化水素を生成することのできる化合物から選ぶことができる。例えば、(g)酸化剤は、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸性塩及びフェリシアン化物、並びに過ホウ酸性塩及び過硫酸性塩等の過酸性塩から選ぶことができる。例えばラッカーゼ、ペルオキシダーゼ及び2-電子オキシドレダクターゼ、例えばウリカーゼから選ばれる少なくとも1種のオキシダーゼ酵素もまた、それらのそれぞれの供与体又は補助因子の存在下において適切な場合、(g)酸化剤として使用することができる。
【0409】
一実施形態では、(g)酸化剤は過酸化水素であり、顕色剤は過酸化水素水溶液である。
【0410】
一実施形態では、顕色剤が過酸化水素水溶液であるとき、該顕色剤は、少なくとも1種の過酸化水素安定剤を含んでもよく、それは、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のピロリン酸性塩、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のスズ酸性塩、フェナセチン、並びに酸とオキシキノリンとの塩、例えば硫酸オキシキノリンから選ぶことができる。別の実施形態では、少なくとも1種のピロリン酸性塩と任意選択で組み合わされた少なくとも1種のスズ酸性塩が使用される。
【0411】
サリチル酸及びその塩、ピリジンジカルボン酸及びその塩、並びにパラセタモールを使用することもまた可能である。
【0412】
過酸化水素水溶液の形態にある顕色剤中、過酸化水素安定剤の濃度は、顕色剤の総質量に対して、0.0001質量%~5質量%、例えば0.01質量%~2質量%の範囲であってもよい。
【0413】
過酸化水素水溶液の形態にある顕色剤中の、過酸化水素の、可能な少なくとも1種の安定剤に対する濃度比は、0.05:1~1,000:1、例えば0.1:1~500:1、更に例えば1:1~200:1の範囲であってもよい。
【0414】
顕色剤中の(g)酸化剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0415】
顕色剤中の(g)酸化剤の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0416】
顕色剤中の(g)酸化剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0417】
[キット]
本発明はまた、ケラチン繊維のためのキット、好ましくは化粧用キット、より好ましくはケラチン繊維、特に毛髪を脱色する又は染色するための化粧用キットであって、
(a) ケイ酸及びその塩から選択される少なくとも1種の無機化合物、
(b) アミノ酸、その誘導体及びその塩から選択される少なくとも1種の有機化合物、
(c) (a)無機化合物及び(b)有機化合物以外の少なくとも1種のアルカリ剤、
(b) 少なくとも1種の脂肪物質、
(e) 水、及び任意選択で(f)少なくとも1種の染料
を含む第1の組成物を含む第1の区画と、
(g) 少なくとも1種の酸化剤
を含む第2の組成物を含む第2の区画と
を含む、キットにも関する。
【0418】
上記の成分(a)~(f)について、上で説明したものを使用することができる。
【0419】
例えば、第1の区画から第1の組成物を分配し又は放出し、一方で第2の区画から第2の組成物を分配し又は放出して、その後に毛髪等のケラチン繊維を、第1の組成物と第2の組成物との混合物で処理することによって、キットを使用することが可能である。
【0420】
第1の組成物と第2の組成物との混合物は、上で説明したすぐ使える組成物とみなされてもよい。
【0421】
第1の組成物と第2の組成物との混合比は限定されない。混合比は、その質量比として、1:3~3:1、好ましくは1:2~2:1、より好ましくは1:1であってもよい。
【0422】
[方法]
本発明はまた、方法、好ましくは美容方法、より好ましくはケラチン繊維、特に毛髪を脱色する又は染色するための美容方法であって、
(1) 第1の組成物と第2の組成物とを混合して混合物を調製する工程であり、
第1の組成物が、
(a) ケイ酸及びその塩から選択される少なくとも1種の無機化合物、
(b) アミノ酸、その誘導体及びその塩から選択される少なくとも1種の有機化合物、
(c) (a)無機化合物及び(b)有機化合物以外の少なくとも1種のアルカリ剤、
(b) 少なくとも1種の脂肪物質
(e) 水、及び任意選択で(f)少なくとも1種の染料
を含み、
第2の組成物が、
(g) 少なくとも1種の酸化剤
を含む、
工程と、
(2) 該混合物をケラチン繊維に塗布する工程と
を含む、方法にも関する。
【0423】
上記の成分(a)~(f)について、上で説明したものを使用することができる。
【0424】
第1の組成物と第2の組成物との混合物は、上で説明したすぐ使える組成物とみなされてもよい。
【0425】
第1の組成物と第2の組成物との混合比は限定されない。混合比は、その質量比として、1:3~3:1、好ましくは1:2~2:1、より好ましくは1:1であってもよい。
【0426】
本発明による方法が、第1の組成物と第2の組成物との混合物をすぐ使える組成物としてケラチン繊維に塗布する工程の前に及び/又は後に、乾燥ありで又はなしで、ケラチン繊維を洗浄する工程を更に含むことが好ましい。
【0427】
すぐ使える組成物をケラチン繊維に塗布する工程は、ブラシ等の従来の塗布用器具、又は手によっても実施することができる。
【0428】
そこにすぐ使える組成物が塗布されたケラチン繊維は、ケラチン繊維を処理するために必要とされる適切な時間、放置することができる。処理のための時間の長さは限定されないが、それは、1分間~1時間、好ましくは1分間~30分間、より好ましくは1分間~15分間とすることができる。例えば、ケラチン繊維を染色するための時間は、1~20分間、好ましくは5~15分間であってもよい。
【0429】
ケラチン繊維は、室温にて処理されてもよい。或いは、ケラチン繊維は、すぐ使える組成物をケラチン繊維に塗布する工程の前に及び/又はその間に及び/又はその後に、25℃~65℃、好ましくは30℃~60℃、より好ましくは35℃~55℃、更により好ましくは40℃~50℃にて加熱することができる。
【実施例0430】
本発明を、実施例によって、より詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。以下の実施例は、本発明の分野における非限定的な例示として提示する。
【0431】
(実施例1及び比較例1~3)
表1に示す実施例1及び比較例1~3による以下の組成物を、表1に示す成分を混合して調製した。表1に示す成分の量についての数値は全て、原材料の「質量%」に基づく。
【0432】
【0433】
[評価]
(脱色試験)
実施例1及び比較例1~3による組成物のそれぞれを、表2に示す配合率の顕色剤と混合した。組成物と顕色剤との混合質量比は1対1とした。
【0434】
【0435】
こうして得た混合物3gを、中国人の天然の黒髪の房1gに、27℃にて35分間塗布し、続いて房を水で洗浄し、シャンプーし、1回濯ぎ、乾かした。
【0436】
上の脱色方法前及び後に、房の色差を、Minolta CM-3600Aを使用して評価した。ΔΕ*をCIE1976に基づいて、次式(1):
ΔΕ*i= {(Li-L0)2 + (ai-a0)2 + (bi-b0)2}1/2 (1)
により算出した。
【0437】
式(1)中、(Li、ai、bi)は、脱色後の毛髪の房の(L*、a*、b*)値を指し、(L0、a0、b0)は、脱色前の毛髪の房の(L*、a*、b*)値を指す。
【0438】
ΔΕ*値を、以下の評価基準に従ってスコア付けした。ΔΕ*が大きいほど、脱色は大きい。
A: >20
B: 19~20
C: 18~19
D: <18
【0439】
結果を表1に示す。
【0440】
(易動性タンパク質試験)
実施例1及び比較例1~3による組成物のそれぞれを、顕色剤(iNoa 30 Volume Developer、L'Oreal社製の市販製品)と混合した。組成物と顕色剤との混合質量比は1対1とした。
【0441】
こうして得た混合物3gを、中国人の天然の黒髪の房1gに、33℃にて50分間塗布し、続いて房を水で洗浄し、シャンプーし、1回濯ぎ、乾かした。この方法を4回繰り返した。
【0442】
各房をTRIZMA-Base/メルカプト-エタノール混合物で処理して抽出物を得、該抽出物を9N塩酸で水和した。易動性タンパク質を、Hitachi L8500アミノ酸自動分析機で測定した。
【0443】
易動性タンパク質の量(g/毛髪100g)を、以下の評価基準に従ってスコア付けした。易動性タンパク質の量が多いほど、損傷は大きい。
A: <6
B: 6~7
C: 7~8
D: >8
【0444】
結果を表1に示す。
【0445】
(システイン酸試験)
実施例1及び比較例1~3による組成物のそれぞれを、顕色剤(iNoa 30 volume、L'Oreal社の市販製品)と混合した。組成物と顕色剤との混合質量比は1対1とした。
【0446】
こうして得た混合物3gを、中国人の天然の黒髪の房1gに、33℃にて50分間塗布し、続いて房を水で洗浄し、シャンプーし、1回濯ぎ、乾かした。この方法を4回繰り返した。
【0447】
各房をメタンスルホン酸及び6N塩酸で水和した。水和物中のシステイン酸の量をHitachi L8500アミノ酸自動分析機で測定した。
【0448】
システイン酸の量(g/毛髪100g)を、以下の評価基準に従ってスコア付けした。システイン酸の量が大きいほど、損傷は大きい。
A: <8
B: 8~9
C: 9~10
D: >10
【0449】
結果を表1に示す。
【0450】
実施例1による組成物は、易動性タンパク質及びシステイン酸の点で比較例1~3によるものよりも低いスコアに反映された脱色及び減少した毛髪損傷の点でより良好な結果を示している。
【0451】
(実施例2~4及び比較例4)
表3に示す、実施例2~4及び比較例4による以下の組成物を、表3に示す成分を混合して調製した。表3に示す成分の量についての数値は全て、原材料の「質量%」に基づく。
【0452】
【0453】
実施例2~4及び比較例4による組成物のそれぞれを、上の表2に示す配合率を有する顕色剤と混合した。組成物と顕色剤との混合質量比は1対1とした。
【0454】
こうして得た混合物3gを、中国人の天然の黒髪の房1gに、27℃にて35分間塗布し、続いて房を水で洗浄し、シャンプーし、1回濯ぎ、乾かした。
【0455】
上記の染色方法の前と後との房の色差を、Minolta CM-3600Aを使用して評価した。ΔΕ*を、CIE1976に基づいて、次式(1):
ΔΕ*i = {(Li-L0)2 + (ai-a0)2+(bi-b0)2}1/2 (1)
により算出した。
【0456】
式(1)中、(Li、ai、bi)は、脱色後の毛髪の房の(L*、a*、b*)値を指し、(L0、a0、b0)は、脱色前の毛髪の房の(L*、a*、b*)値を指す。
【0457】
結果を表3に示す。ΔΕ*が大きいほど、脱色は大きい。
【0458】
脂肪物質の使用が、脂肪物質の非使用よりも高い脱色効果に寄与することを見出した。更に、40質量%以上、好ましくは50質量%以上の脂肪物質の使用は、脂肪物質の非使用よりも明らかに高い脱色効果を提供した。
【0459】
(実施例5)
表4に示す実施例5による以下の組成物を、表4に示す成分を混合して調製した。表4に示す成分の量についての数値は全て、原材料の「質量%」に基づく。
【0460】
【0461】
実施例5による組成物を、上の表2に示す配合率を有する顕色剤と混合した。組成物と顕色剤との混合質量比は1対1とした。
【0462】
こうして得た混合物3gを、中国人の天然の黒髪、中国人の脱色した毛髪、及びあごひげの房のそれぞれ1gに、27℃にて35分間塗布し、続いて房を水で洗浄し、シャンプーし、1回濯ぎ、乾かした。
【0463】
実施例5による組成物が、試験した3種の房の全てについて十分な着色効果を提供したことを見出した。