(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075218
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】電子錠システム、物品収容什器
(51)【国際特許分類】
E05B 47/00 20060101AFI20220511BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20220511BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20220511BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20220511BHJP
【FI】
E05B47/00 H
E05B49/00 J
E05B65/00 D
H02J50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185872
(22)【出願日】2020-11-06
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】須賀 政晴
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA16
2E250BB08
2E250BB33
2E250BB65
2E250CC06
2E250CC10
2E250CC20
2E250CC22
2E250CC27
2E250CC28
2E250FF27
2E250FF36
2E250GG08
2E250GG14
(57)【要約】
【課題】構造の複雑化、及びコスト上昇を抑えつつ、電力を供給して電子錠システムを作動させることができる電子錠システム、物品収容什器を提供する。
【解決手段】電子錠システム10は、携帯可能な外部端末から非接触で給電される電力を受電する受電部15と、扉を少なくとも閉状態に拘束する拘束部材13と、受電部15で受電された電力によって拘束部材13による拘束を制御する拘束制御部25を有する制御装置20と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な外部端末から非接触で給電される電力を受電する受電部と、
開閉部材を少なくとも閉状態に拘束する拘束部材と、
前記受電部で受電された電力によって前記拘束部材による拘束を制御する拘束制御部を有する制御装置と、を備える
電子錠システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
外部から認証情報の入力を受け付ける認証情報受付部と、
予め登録された登録者情報を取得する登録者情報取得部と、
前記認証情報受付部で受け付けた認証情報が、前記登録者情報取得部で取得した前記登録者情報に一致するか否かを判定する認証部と、を更に備え、
前記拘束制御部は、前記認証部で前記認証情報が前記登録者情報に一致したと判定された場合に、前記拘束部材による拘束を解除可能とする
請求項1に記載の電子錠システム。
【請求項3】
前記認証部は、前記受電部で受電した電力により、前記認証情報が前記登録者情報に一致したか否かの判定を行う
請求項2に記載の電子錠システム。
【請求項4】
前記受電部で受電した電力を蓄える蓄電部を更に備え、
前記拘束制御部は、前記蓄電部における蓄電量が予め定められた閾値に到達した場合に、前記拘束部材による拘束を解除可能とする
請求項1から3のいずれか一項に記載の電子錠システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記蓄電部における蓄電量が、前記閾値に到達した場合、前記受電部における前記外部端末からの受電を停止させる受電制御部を更に備える
請求項4に記載の電子錠システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記蓄電部における蓄電量に基づき、前記外部端末に対し、前記外部端末から前記受電部への給電量の調整を要求する給電要求制御部を更に備える
請求項4又は5に記載の電子錠システム。
【請求項7】
前記受電部は、前記開閉部材に形成された板状部の一面に沿って配置されている
請求項1から6のいずれか一項に記載の電子錠システム。
【請求項8】
前記板状部の他面側に、前記外部端末を保持可能な端末保持部を備え、
前記受電部は、前記端末保持部の背面を挟んで前記外部端末の給電部と対向する位置に配置されている
請求項7に記載の電子錠システム。
【請求項9】
物品を出し入れ可能な開口部を有した物品収容部を備える什器本体と、
前記開口部を開閉可能とする開閉部材と、
請求項1から8のいずれか一項に記載の電子錠システムと、を備える
物品収容什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子錠システム、物品収容什器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、物品を収容するロッカー等の物品収容什器は、物品収容部に物品を出し入れするための開口部に、扉等の開閉部材が設けられている。このような開閉部材を閉状態で施錠するため、電子錠システムが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、施錠状態と解錠状態とを切り替える施解錠機構と、施解錠機構に電力を供給する電池(電源部)とを、一つのケースに収容した構成が開示されている。このように電源として電池を用いた構成では、電池の蓄電量が少なくなると、施解錠機構で施錠状態と解錠状態とを切り替えることができなくなってしまう。そこで、特許文献1に開示された構成では、施解錠機構に電力が供給されていない状態で、施解錠機構を施錠状態から解錠状態に移行可能とする非常解錠機構を更に備えている。
【0004】
また、特許文献2には、開閉部材(可動建材)に設けられる電気錠と、什器本体(固定構造体)側に設けられる給電ユニットと、開閉部材側に設けられる受電ユニットと、電磁誘導により給電ユニットから受電ユニットに電力を供給する非接触給電装置と、開閉部材側に設けられ、受電ユニットから出力される電力によって充電され、電気錠に駆動電力を供給する蓄電素子と、を備える構成が開示されている。このような構成では、開閉部材に設けられた電気錠に什器本体側から非接触給電により電力を供給することで、電気錠を作動させるための電源として電池を用いることなく、電気錠を作動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-108756号公報
【特許文献2】特開2017-22998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、非常解錠機構を備えるため、電子錠システムの構造の複雑化、及びコスト上昇に繋がる。
また、特許文献2に開示された構成では、什器本体側に、給電ユニットと、給電ユニットまで電力を供給する配線が必要となり、やはり、システムの構造の複雑化、及びコスト上昇に繋がる。
本発明は、構造の複雑化、及びコスト上昇を抑えつつ、電力を供給して電子錠システムを作動させることができる電子錠システム、物品収容什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る電子錠システムは、携帯可能な外部端末から非接触で給電される電力を受電する受電部と、開閉部材を少なくとも閉状態に拘束する拘束部材と、前記受電部で受電された電力によって前記拘束部材による拘束を制御する拘束制御部を有する制御装置と、を備える。
【0008】
このような構成によれば、受電部は、携帯可能な外部端末から非接触で給電される電力を受電する。拘束制御部は、受電部で受電した電力によって拘束部材による開閉部材の拘束を制御する。これにより、電子錠システムは、外部から供給される電力によって施錠・解錠動作を行うことができる。外部からの電力供給は非接触給電によるので、非接触で受電するための受電部を備えていればよく、構造の複雑化、及びコスト上昇を抑えることができる。したがって、構造の複雑化、及びコスト上昇を抑えつつ、電力を供給して電子錠システムを作動させることができる。
【0009】
本発明の一態様に係る電子錠システムにおいて、前記制御装置は、外部から認証情報の入力を受け付ける認証情報受付部と、予め登録された登録者情報を取得する登録者情報取得部と、前記認証情報受付部で受け付けた認証情報が、前記登録者情報取得部で取得した前記登録者情報に一致するか否かを判定する認証部と、を更に備え、前記拘束制御部は、前記認証部で前記認証情報が前記登録者情報に一致したと判定された場合に、前記拘束部材による拘束を解除可能とするようにしてもよい。
この構成によれば、外部から入力を受け付けた認証情報と、予め登録された登録者情報とが一致した場合に、拘束部材による開閉部材の拘束を解除可能とすることができる。そのため、セキュリティ性能を向上させることができる。
【0010】
本発明の一態様に係る電子錠システムにおいて、前記認証部は、前記受電部で受電した電力により、前記認証情報が前記登録者情報に一致したか否かの判定を行うようにしてもよい。
この構成によれば、電子錠システムにおける認証処理を、外部端末から受電した電力により実行することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る電子錠システムにおいて、前記受電部で受電した電力を蓄える蓄電部を更に備え、前記拘束制御部は、前記蓄電部における蓄電量が予め定められた閾値に到達した場合に、前記拘束部材による拘束を解除可能とするようにしてもよい。
この構成によれば、外部から受電した電力が、蓄電部に閾値まで蓄電された場合に、拘束部材による拘束を解除可能とする。つまり、拘束部材による拘束を解除できるようになるまで蓄電を続けることで、十分な電力を確保することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る電子錠システムにおいて、前記制御装置は、前記蓄電部における蓄電量が、前記閾値に到達した場合、前記受電部における前記外部端末からの受電を停止させる受電制御部を更に備えるようにしてもよい。
この構成によれば、蓄電量が閾値に到達した場合には、外部端末からの受電を停止させることで、電子錠システム側で必要とする電力量のみを、外部端末から受電する。これにより、外部端末から必要以上に受電するのを抑制できる。また、非接触給電により輻射される電磁波により、外部から受け付ける認証情報にノイズが重畳されるのを防ぐことができる。
【0013】
本発明の一態様に係る電子錠システムにおいて、前記制御装置は、前記蓄電部における蓄電量に基づき、前記外部端末に対し、前記外部端末から前記受電部への給電量の調整を要求する給電要求制御部を更に備えるようにしてもよい。
この構成によれば、蓄電部の蓄電量に応じて、外部端末からの給電を適切に調整することができる。例えば、電子錠システム側の蓄電量が少ない場合には、外部端末に大電流での給電を要求し、蓄電量が多い場合には、外部端末に小電流での給電を要求することができる。
【0014】
本発明の一態様に係る電子錠システムにおいて、前記受電部は、前記開閉部材に形成された板状部の一面に沿って配置されているようにしてもよい。
この構成によれば、板状部の他面側から受電部に外部端末を接近させれば、外部端末からの非接触給電を容易に行うことができる。
【0015】
本発明の一態様に係る電子錠システムにおいて、前記板状部の他面側に、前記外部端末を保持可能な端末保持部を備え、前記受電部は、前記端末保持部の背面を挟んで前記外部端末の給電部と対向する位置に配置されているようにしてもよい。
この構成によれば、外部端末が端末保持部に保持されることで、外部端末の給電部が端末保持部の背面を挟んで受電部と対向した状態を容易に維持することができる。
【0016】
この発明に係る物品収容什器は、物品を出し入れ可能な開口部を有した物品収容部を備える什器本体と、前記開口部を開閉可能とする開閉部材と、上記したような電子錠システムと、を備える。
【0017】
この構成によれば、上記電子錠システムを備えることで、構造の複雑化、及びコスト上昇を抑えつつ、電力を供給して作動させることができる電子錠システムを備えた物品収容什器を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、構造の複雑化、及びコスト上昇を抑えつつ、電力を供給して電子錠システムを作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る電子錠システム、物品収容什器の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る什器本体の構成を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る電子錠システムが設けられた扉を示す側断面図である。
【
図4】本実施形態に係る電子錠システムが設けられた扉を示す斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る電子錠システムの機能ブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図7】外部端末の機能構成を示すブロック図である。
【
図8】本実施形態に係る電子錠システムで解錠動作を行う場合の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明による電子錠システム、物品収容什器を実施するための形態を説明する。しかし、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る電子錠システム10、物品収容什器1の全体構成を示す斜視図である。
物品収容什器1は、いわゆるロッカーであり、什器本体2と、什器本体2に備えられた扉(開閉部材)3と、電子錠システム10と、を備えている。
以下の説明において、物品収容什器1において扉3が設けられた側を前方、水平方向において前方と反対側を後方とし、前方と後方とを結ぶ方向を前後方向Dfとする。また、水平面内において前後方向Dfに直交する方向を幅方向Dwとする。前後方向Df及び幅方向Dwに直交する方向を上下方向Dvとする。
【0022】
図2は、本実施形態に係る什器本体2の構成を示す斜視図である。
図2に示すように、什器本体2は、基板部4と、一対の側板5と、天板6と、背板(不図示)と、を備えている。基板部4は、床面Fに沿って設置されている。基板部4は、平面視長方形状である。
【0023】
一対の側板5は、基板部4の幅方向Dwの両端部からそれぞれ上方に向けて立設されている。一対の側板5は、幅方向Dwに直交する鉛直面に沿って、互いに平行に設けられている。各側板5は、幅方向Dwから視た側面視で、上下方向Dvに長い矩形状に形成されている。
【0024】
天板6は、平面視矩形で、一対の側板5の上端部間に架設されている。背板(不図示)は、基板部4、側板5及び天板6によって囲まれる空間の後方開口部を塞ぐように設けられている。
【0025】
什器本体2の内部には、縦仕切板7と、横仕切板8とが配置されている。縦仕切板7は、一対の側板5の間に、複数枚配置されている。縦仕切板7は、側板5と平行に、幅方向Dwに間隔を空けて配置されている。各縦仕切板7は、幅方向Dwから視た側面視で、上下方向Dvに長い矩形状に形成されている。縦仕切板7は、什器本体2の内部を、幅方向Dwに区画している。横仕切板8は、幅方向Dwで隣り合う縦仕切板7同士の間に架設されている。横仕切板8は、上下方向Dvに間隔をあけて複数枚が設けられている。各横仕切板8は、平面視矩形状で、幅方向Dwで隣り合う縦仕切板7同士の間の空間を、上下方向Dvに区画している。
【0026】
これらの基板部4,一対の側板5、天板6、背板(不図示)、縦仕切板7、及び横仕切板8により、什器本体2の内部が格子状に区画されることで、什器本体2内に、複数の物品収容部Sが画成されている。各物品収容部Sは、前方に向かって開口する開口部Kを有している。
【0027】
図1に示すように、扉3は、什器本体2の前面に複数枚設けられている。各扉3は、前後方向Dfに直交する面に沿った板状部3pを有している。各扉3は、各物品収容部Sの開口部Kを開閉可能に構成されている。扉3は、幅方向Dw一方の側の端部3sが、不図示の蝶番(不図示)を介して什器本体2に連結されている。扉3は、蝶番(不図示)により、鉛直軸周りに回動可能に取り付けられている。
【0028】
図3は、本実施形態に係る電子錠システム10が設けられた扉3を示す側断面図である。
図4は、本実施形態に係る電子錠システム10が設けられた扉3を示す斜視図である。
図3、
図4に示すように、電子錠システム10は、各扉3に設けられている。電子錠システム10は、扉3の幅方向Dw他方の側の端部3tに配置されている。
【0029】
扉3において、前方を向く板状部3pの前面(他面)3f側には、端末保持部31が設けられている。端末保持部31は、外部端末100が着脱可能に構成されている。端末保持部31は、例えば、上向きコ字状を成し、上方から外部端末100を挿入することで、外部端末100が保持される。端末保持部31は、保持された外部端末100を上方に引き抜くことで、外部端末100を取り外すことができるようになっている。
【0030】
図5は、本実施形態に係る電子錠システム10の機能ブロック図である。
電子錠システム10は、係止部材11と、錠12と、拘束部材13と、受電部15と、蓄電部16と、第二通信部18と、制御装置20と、を主に備えている。
【0031】
係止部材11は、例えば、前後方向Dfに延びる錠12の回転軸12c回りに回動可能に設けられている。係止部材11は、つまみ12kとともに回転軸12c回りに回動することで、什器本体2に形成された係止孔(不図示)に係合可能に構成されている。係止部材11は係止孔内に係止されることで扉3を施錠状態とする。施錠状態において、扉3は、開口部Kを塞いだ状態に拘束される。係止部材11は、係止孔から離脱することで扉3を解錠状態とする。解錠状態では、扉3と什器本体2との拘束が解除されて、扉3が開閉可能な状態とされる。なお、係止部材11は、例えば、扉3の端部3tから、幅方向Dwにスライド可能となるように構成してもよい。この場合、係止部材11を扉3の端部3tから突出させ、什器本体2の係止孔に係止部材11が挿入されることで施錠状態となり、係止部材11が係止孔から引き抜かれることで解錠状態となる。
【0032】
図4に示すように、錠12は、扉3の背面3b側に装着されている。錠12は、扉3の前面3fに露出するつまみ12kを備えている。錠12は、利用者が扉3の前方側からつまみ12kを回すと、係止部材11が回動するように構成されている。
【0033】
図5に示すように、拘束部材13は、係止部材11の回転軸12c回りの回動を拘束する。拘束部材13は、係止部材11が什器本体2の係止孔(不図示)に係合した施錠状態を維持するよう、係止部材11の回動を拘束(規制)する。これにより、拘束部材13は、扉3を閉状態に拘束可能に構成されている。このような拘束部材13としては、例えば、ラッチングソレノイド等が用いられる。拘束部材13は、例えば、
図5の紙面に沿った上下方向に進退する。拘束部材13は、錠12のカム溝12gに噛み合うことで、係止部材11の回動を拘束する。拘束部材13は、係止部材11のカム溝12gから退避することで、係止部材11の回動の拘束を解除する。拘束部材13による拘束が解除されることで、係止部材11は、回動可能な状態とされる。拘束部材13は施錠状態、すなわち係止部材11が什器本体2と係合していない状態において係止部材11の回転を拘束する位置にもカム溝12gを設けてもよい。
【0034】
受電部15は、後述する携帯可能な外部端末100から非接触で給電される電力を受電する。受電部15は、受電コイルであり、整流部15a、第一通信部15bを備える。受電部15は、端末保持部31の背面31bに沿って配置されている。受電部15は、例えば、ワイヤレスパワーコンソーシアム(Wireless Power Consortium; WPC)が策定したQi規格に基づいた電磁誘導方式により、電力を受電する。受電部15は、端末保持部31の背面31bを挟んで、端末保持部31に保持された外部端末100の給電コイル103と対向するように配置されている。整流部15aは受電コイルで受電した電力を直流に整流して制御装置20に供給する。第一通信部15bは後述する給電の開始や停止、給電要求制御部28が給電量の増減の要求するコマンド信号を非接触給電の電力に重畳して外部端末100に送信する。
【0035】
蓄電部16は、受電部15で受電した電力を蓄える。蓄電部16は、例えば電気二重層キャパシタ等のコンデンサから成る。蓄電部16は、バッテリー等であってもよい。蓄電部16は、蓄電した電力を制御装置20に供給し、電子錠システム10の解錠動作のために必要な処理を実行可能とする。
【0036】
第二通信部18は、外部端末100との間でワイヤレス通信を行う。第二通信部18は、コイルから成る。第二通信部18を構成するコイルは、受電部15を構成する受電コイルと共用し、通信用信号を非接触で給電される電力に重畳させてもよい。第一通信部15bを介して給電の開始や停止、給電要求制御部28が給電量の増減の要求するコマンド信号は、第二通信部18を介して外部端末100との間でワイヤレス通信を行ってもよい。
【0037】
図6は、本実施形態に係る制御装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。
制御装置20は、電子錠システム10の動作を制御する。
図6に示すように、制御装置20は、プロセッサ61、メモリ62、入出力インターフェイス63と、を備えるコンピュータである。プロセッサ61は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。メモリ62は、制御装置20で実行されるプログラムや、プログラムで使用されるデータ等を記憶する。メモリ62は、Random Access Memory(RAM)等の記憶媒体であってもよい。入出力インターフェイス63は、制御装置20と、拘束部材13、受電部15、蓄電部16,第二通信部18等との間で、信号の入出力を行う。
【0038】
図5に示すように、制御装置20は、プロセッサ61が予め自装置で記憶するプログラムを実行することにより、信号入出力部21と、認証情報受付部22と、登録者情報記憶部23と、認証部(登録者情報取得部)24と、蓄電量監視部27と、拘束制御部25と、受電制御部26と、給電要求制御部28と、を機能的に備えている。信号入出力部21は、ハードウェア的には入出力インターフェイス63であり、拘束部材13、受電部15、蓄電部16,第二通信部18等との間で、信号の入出力を行う。制御装置20は、蓄電部16に蓄電された電力によって、電子錠システム10で解錠動作を行うための所定の処理を実行する。
【0039】
認証情報受付部22は、外部から認証情報の入力を受け付ける。本実施形態では、認証情報受付部22は、第二通信部18を介して外部端末100から認証情報の入力を受け付ける。外部端末100からの入力を受け付ける認証情報としては、例えば、外部端末100に予め付与された端末識別情報や、外部端末100の利用者を特定するためのID情報等である。
【0040】
登録者情報記憶部23は、ハードウェア的にはメモリ62であり、予め登録された、各物品収容部Sの利用が許可された登録者に関する登録者情報が記憶されている。
認証部24は、登録者情報記憶部23に記憶された登録者情報を取得する。認証部24は、認証情報受付部22で受け付けた認証情報が、登録者情報記憶部23に記憶された登録者情報に一致するか否かを判定する。
【0041】
蓄電量監視部27は、蓄電部16における蓄電量を監視する。
受電制御部26は、受電部15における受電動作(処理)を制御する。受電制御部26は、非接触給電を行っている外部端末100が接近した場合に、受電部15における受電を開始する。受電制御部26は、蓄電量監視部27で取得される蓄電部16の蓄電量に基づき、蓄電部16における蓄電量が予め定められた閾値以上となった場合に、第一通信部15bを介して外部端末100に給電停止信号を送信する。この閾値は、拘束部材13が係止部材11の拘束を解除させるために後述する一連の動作を行うのに必要な電力に基づいて設定される。
【0042】
拘束制御部25は、受電部15で受電された電力によって拘束部材13による拘束を制御する。具体的には、拘束制御部25は、認証情報受付部22で受け付けた認証情報が、登録者情報記憶部23に記憶された登録者情報に一致すると判定(認証)された場合に、蓄電部16から拘束部材13に電力を供給するように制御する。これにより、拘束部材13は、供給された電力により、係止部材11の拘束を解除させるための動作を行う。
【0043】
給電要求制御部28は、外部端末100に対し、受電部15への給電量(給電電流値)の増減を要求する制御を行う。給電要求制御部28は、蓄電量監視部27で取得される蓄電部16の蓄電量に基づき、第一通信部15bを介して、外部端末100に対し、外部端末100から受電部15への給電量の調整(増減)を要求する。
【0044】
図7は、外部端末100の機能構成を示すブロック図である。
図7に示すように、外部端末100は、可搬性を有し、利用者が携帯可能なものである。本実施形態では、外部端末100は、いわゆるスマートフォンである。外部端末100は、筐体101内に、バッテリー102と、給電コイル103と、通信コイル104と、操作受付部105と、記憶部108と、端末制御部106と、を備えている。
【0045】
バッテリー102は、電力を蓄えている。給電コイル103は、バッテリー102に蓄えられた電力を、電子錠システム10の受電部15に対し、非接触で給電可能に構成されている。通信コイル104は、電子錠システム10の制御装置20との間で、信号の送受信を行う。本実施形態において、通信コイル104は、例えば、NFC(Near Field Communication)規格に基づく近距離無線通信によって、信号の送受信を行う。なお、通信コイル104は、給電コイル103と共用して、通信用信号を非接触で給電する電力に重畳させるようにしてもよい。
【0046】
操作受付部105は、利用者による外部端末100の操作入力を受け付ける。操作受付部105は、表示モニターに設けられたタッチパネル等であり、利用者の指等によるタッチ操作等によって操作入力が行われる。
【0047】
記憶部108は、筐体101内に設けられたメモリ等の記憶媒体によって構成されている。記憶部108は、外部端末100に予め付与された端末識別情報や、外部端末100の利用者を特定するためのID情報等を認証情報として記憶している。
【0048】
端末制御部106は、外部端末100の各部の動作を制御する。端末制御部106は、電子錠システム10の制御装置20からのリクエストに応じ、記憶部108に記憶された認証情報の出力、記憶部108に記憶された給電コイル103における外部への非接触給電動作、給電コイル103における外部への給電量の調整等の処理を実行する。
【0049】
図8は、本実施形態に係る電子錠システム10で解錠動作を行う場合の制御方法の流れを示すフローチャートである。
図8に示すように、電子錠システム10を解錠するには、まず、利用者が、外部端末100の操作受付部105に対し、電子錠システム10を解錠することを要求する所定の操作を行う。すると、操作受付部105が、所定の操作の入力を受け付ける(ステップS11)。
【0050】
外部端末100の端末制御部106は、操作受付部105で所定の操作の入力を受け付けると、給電準備モードに移行する(ステップS12)。端末制御部106は、給電準備モードに移行すると、微弱な電力で非接触給電を開始し、第一通信が確立する相手先となる第一通信部15b(受電部15)の探索を開始する。
【0051】
利用者が、外部端末100を、扉3に設けられた端末保持部31にセットすると、外部端末100の通信コイル104と、電子錠システム10の第一通信部15b(受電部15)とが、端末保持部31の背面31bを挟んで対向する。すると、電子錠システム10の受電部15に電力が給電されて制御装置20が起動する。給電要求制御部28が第一通信部15bを介して外部端末100に給電開始を要求するコマンド信号を送信する(ステップS13)。外部端末100は給電開始を要求するコマンド信号を受信すると、電子錠システム10との間で第一通信が確立する(ステップS14)。続いて、端末制御部106は、給電コイル103から非接触給電を開始する(ステップS15)。
【0052】
給電要求制御部28は、蓄電量監視部27で取得される蓄電部16の蓄電量に基づき、外部端末100に対し、外部端末100から受電部15への給電量の増減を、第一通信部15bを介して要求するようにしてもよい。蓄電部16の蓄電量が少ない場合には、外部端末100に大電流での給電を要求し、蓄電量が多い場合には、外部端末100に小電流での給電を要求するようにしてもよい。
【0053】
外部端末100からの非接触給電が開始されると、電子錠システム10の受電制御部26は、受電部15で受電した電力を蓄電部16に出力開始する(ステップS16)。蓄電開始後、蓄電量監視部27は、蓄電部16における蓄電量を監視する。受電制御部26は、蓄電量監視部27で検出される蓄電部16の蓄電量が、予め設定された閾値に到達したか否かを一定時間間隔で確認する(ステップS17)。
【0054】
なお、ステップS17において、予め定めた規定時間内に、蓄電部16の蓄電量が閾値に到達しない場合、受電制御部26は、外部端末100や電子錠システム10のトラブル、あるいは給電コイル103と受電部15との間の非接触給電状態の異常等に起因して、蓄電動作が正常に行われていない可能性があると判定するようにしてもよい。この場合、受電制御部26は、電子錠システム10に備えたブザー(不図示)の鳴動、インジケータランプ(不図示)の点灯、第二通信部18を介した外部端末100側への異常発生メッセージの送信等を行い、蓄電異常の発生を利用者に通知するようにしてもよい。
【0055】
ステップS17で、蓄電部16の蓄電量が閾値を超えた場合、制御装置20は、信号入出力部21を介し、外部端末100に対し、第一通信部15bを介して給電コイル103による給電の停止を要求するコマンド信号を送信する(ステップS18)。これら第一通信部15bを介した信号の送受信は、Qi規格に基づいて行われる。
外部端末100は、給電コイル103での給電の停止を要求するコマンド信号を受信すると、端末制御部106が、給電コイル103からの給電を停止させる(ステップS19)。
【0056】
なお、電子錠システム10側におけるステップS18までの処理は、外部端末100から非接触給電により受電部15で受電し、蓄電部16に蓄電される電力を、制御装置20が逐次用いることで実行される。また、蓄電部16に、一連の処理の開始前に残存していた電力があった場合、この電力を制御装置20が用いてもよい。
【0057】
電子錠システム10では、ステップS17の後、制御装置20が第二通信部18(例えば、NFC規格による通信)を起動させる。続いて、制御装置20の認証部24が、第二通信部18を介して、外部端末100に対し、認証情報を要求する信号を送信する(ステップS20)。
外部端末100は、通信コイル104で認証部24からの認証情報を要求する信号を受信する(ステップS21)。端末制御部106は、認証情報の要求を受けて、記憶部108に記憶された認証情報を読み出し、通信コイル104を介して電子錠システム10に送信する(ステップS22)。
【0058】
認証部24は、外部端末100から送信された認証情報を第二通信部18で受信すると、受信した認証情報が、登録者情報記憶部23に記憶された登録者情報と一致するか否かを判定する(ステップS23)。判定の結果、受信した認証情報と登録者情報とが一致していない場合、ステップS20に戻り、認証情報を再度要求する。ステップS20~S23を所定回数繰り返しても、認証情報と登録者情報とが一致しない場合、認証部24は、外部端末100の利用者を正規の利用者ではないと判定し、その判定結果を、ブザーの鳴動、インジケータランプの点灯、外部端末100へのエラーメッセージ送信、等によって通知する。
【0059】
ステップS23における判定の結果、外部端末100から送信された認証情報が登録者情報に一致していた場合、制御装置20が、第二通信部18を用いた通信モードを終了させる。さらに、認証部24は、認証が完了したことを、ブザーの鳴動、インジケータランプの点灯、外部端末100へのメッセージ送信、等によって利用者に通知する(ステップS24)。
【0060】
続いて、拘束制御部25が、蓄電部16に蓄電された電力を拘束部材13に供給して拘束部材13を作動させ、係止部材11の回動の拘束を解除する(ステップS25)。これにより、係止部材11は、施錠状態から解錠状態に回動可能な状態となる。
その後、利用者が、錠12のつまみ12kを所定方向に回転させると、錠12の回転軸12cとともに係止部材11が回動し、什器本体2の係止孔から離脱する。これによって、扉3が回動可能となり、利用者が扉3を開くことで、物品収容部S内に物品を出し入れすることが可能となる。
ここで、ステップS24以降、点灯させたインジケータランプを、拘束部材13による解錠状態が維持される所定の設定時間の間、点灯させ続けてもよい。これにより、利用者は、つまみ12kによる解錠が可能である状態にあることを認識することができる。
【0061】
その後、前記設定時間が経過した時点で、拘束制御部25が、インジケータランプを消灯する(ステップS26)。
【0062】
物品を出し入れした後、扉3を閉めて施錠するには、ステップS11からステップS26までの処理と同様の処理を繰り返すことによって施錠を行うことができる。ただし、解錠時のステップS26において、図示しない解錠検出装置により係止部材11が解錠状態になったことを検出すると、拘束部材13を作動させ、係止部材11の解錠位置で回転を拘束しておく。
【0063】
施錠時のステップS23では受信した認証情報が、登録者情報記憶部23に記憶された登録者情報と一致するか否かを判定することは行わず、受信した認証情報を新たな登録者情報として登録者情報記憶部23に記憶するようにしてもよい。これにより不特定多数の異なる登録者情報を記憶した外部端末100を持つ利用者が使用するロッカー等において、施錠するたびに登録者情報を書き換えることができる。
【0064】
また、ステップS25において、利用者がつまみ12kを施錠錠方向に回すと、係止部材11が解錠状態から施錠状態となる。図示しない施錠検出装置により係止部材11が施錠状態になったことを検出すると、拘束部材13を作動させ、係止部材11の施錠位置で回転を拘束する。
【0065】
施錠方法として、他にも扉3が閉まる間際に図示しないラッチが什器本体2に押されて作動することにより、係止部材11を施錠状態に回転させた後、拘束部材13を係止部材11の回転を拘束する位置に移動させてもよい。これにより、ロッカーを一人の利用者が占有する場合、予め登録者情報を登録者情報記憶部23に記憶しておくことにより、施錠時はステップS11からステップS27までのステップを行って、登録者情報を書き換えることなく、自動的に施錠することができる。
【0066】
上述したような電子錠システム10によれば、受電部15は、携帯可能な外部端末100から非接触で給電される電力を受電する。制御装置20の拘束制御部25は、受電部15で受電した電力によって拘束部材13による扉3の拘束を制御する。これにより、電子錠システム10は、外部から供給される電力によって施錠・解錠動作を行うことができる。外部からの電力供給は非接触給電によるので、非接触で受電するための受電部15を備えていればよく、構造の複雑化、及びコスト上昇を抑えることができる。したがって、構造の複雑化、及びコスト上昇を抑えつつ、電力を供給して電子錠システム10を作動させることができる。
【0067】
また、上記電子錠システム10によれば、外部端末100から受電した電力によって、外部から入力を受け付けた認証情報と、予め登録された登録者情報とが一致した場合に、拘束部材13による扉3の拘束を解除する処理を実行する。そのため、セキュリティ性能を向上させることができる。
【0068】
また、上記電子錠システム10によれば、認証部24における認証処理を、外部端末100から受電した電力により実行することができる。
【0069】
また、上記電子錠システム10によれば、外部から受電した電力による蓄電部16の蓄電量が閾値に到達した場合に、拘束部材13による拘束を解除する。つまり、拘束部材13による拘束を解除できるようになるまで蓄電を続けることで、十分な電力を確保することができる。
【0070】
また、上記電子錠システム10によれば、蓄電量が閾値に到達した場合には、外部端末100からの受電を停止させる。これにより、電子錠システム10側で必要とする電力のみを、外部端末100から受電する。したがって、外部端末100から必要以上に受電し、外部端末100のバッテリー102の蓄電量が過度に減少することが抑制される。また、非接触給電により輻射される電磁波により、外部から受け付ける認証情報にノイズが重畳されるのを防ぐことが出来る。
【0071】
また、上記電子錠システム10によれば、給電要求制御部28により、電子錠システム10側の蓄電部16の蓄電量に応じて、外部端末100からの給電を適切に調整することができる。
【0072】
また、上記電子錠システム10によれば、受電部15は、端末保持部31の背面31b側に沿って配置されている。この構成によれば、外部端末100からの受電を行う際には、板状部3pの前面3f側で、背面31bを挟んで受電部15と外部端末100の給電コイル103とが対向する位置に外部端末100を配置すれば、外部端末100からの非接触給電を容易かつ効率的に行うことができる。
【0073】
また、上記電子錠システム10によれば、外部端末100を端末保持部31に保持させることで、板状部3pを挟んで受電部15と外部端末100の給電コイル103とが対向した状態を容易に維持することができる。
【0074】
また、上述したような物品収容什器1によれば、上記電子錠システム10を備えることで、構造の複雑化、及びコスト上昇を抑えつつ、電力を供給して作動させることができる電子錠システム10を備えた物品収容什器1を提供することが可能となる。
【0075】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、上記実施形態において、什器本体2に画成される物品収容部Sの数は、適宜変更可能であり、1以上であればよい。
【0076】
また、上記実施形態では、端末保持部31は、扉3の前面3fに配置され、外部端末100を扉3の前面3fに沿わせた状態で保持するようにしたが、これに限られない。例えば、扉3の前面3fに、下方に向かって前方に突出する傾斜面や、上方を向く平面を形成し、これらの傾斜面や平面に、外部端末100を載せることで、端末保持部を構成してもより。これらの場合、受電部15は、傾斜面や平面を挟んで外部端末100の給電コイル103と対向するように配置する必要がある。
【0077】
また、上記実施形態では、端末保持部31、及び受電部15を扉3に設けるようにしたが、これに限られない。例えば、端末保持部31、及び受電部15は、扉3以外の場所、例えば什器本体2の外表面や、物品収容什器1の周辺に形成された壁面等に設置してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、利用者がつまみ12kを回すことで係止部材11を回動させる構成としたが、これに限られない。係止部材11は、拘束部材13によって直接作動させることで、施錠状態と解錠状態とを切り替えるようにしても良い。さらに、つまみ12kを用いて、係止部材11をスライドさせるような構成とすることも可能である。
【0079】
また、物品収容什器1の形態は、ロッカーに限らず、書棚、収納庫、金庫、デスクの引き出し部等であってもよい。
【0080】
また、電子錠システム10が設けられる開閉部材は、蝶番を介して回動することで開閉する扉3に限らず、スライドすることで開閉する扉(引き戸)や、引出しのように前後することで開口部を開閉するものであってもよい。
また、扉3等の開閉部材で開閉する対象も、物品収容部Sの開口部Kに限らない。すなわち、開閉部材は、例えば室内空間や室外空間を仕切るパーティション、ゲート(門)、シャッター等であってもよい。これにともない、開閉部材は、扉3のような板状部3pに限らず、巻取り可能なシャッターや、蛇腹状(アコーディオン状)に伸縮するもの、門ゲートのような格子状のもの等、様々な形態であってもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、外部端末100としてスマートフォンを例示し、電子錠システム10への給電を行う構成と、認証情報を記憶した記憶媒体としての構成の双方を備えるようにしたが、これに限られない。
例えば、認証情報を記憶した情報記憶媒体としては、外部端末100とは別個のものを用いてもよい。認証情報を記憶する情報記憶媒体としては、利用者が所持するICカード等を利用してもよい。
この場合、電子錠システム10への給電を行う外部端末100は、スマートフォンであってもよいし、例えば、受電部15との間で非接触での給電を行うことができる機能を有した、例えば、携帯可能なモバイルバッテリーであってもよい。
【0082】
また、電子錠システム10への給電は、外部端末100で行いつつ、認証情報としては、指紋認証、顔認証等の生体認証や、10キー等によるパスワード入力を採用してもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、電子錠システム10の制御装置20に備えた登録者情報記憶部23で登録者情報を記憶しているようにしたが、これに限られない。登録者情報は、物品収容什器1に備えられ、制御装置20の外部に配置された記憶装置や、物品収容什器1の外部に配置された記憶装置に記憶されていてもよい。これらの記憶装置では、例えば、物品収容什器1の複数の物品収容部Sの登録者情報を一括して管理(記憶)していてもよい。このような場合、登録者情報取得部としての認証部24は、制御装置20の外部の記憶装置から、利用者が解錠しようとした物品収容部Sに対応づけられた登録者情報を取得する。
【0084】
また、上記実施形態では、電子錠システム10が、バッテリーを備えない構成としたが、これに限られない。電子錠システム10がバッテリーを備えている構成において、バッテリーの残蓄電量が少なくなった場合に、上記実施形態で示したような、外部端末100からの給電を行うようにしてもよい。また、電子錠システム10が、商用電源等の交流電源を用いている場合に、停電時に上記実施形態で示したような外部端末100からの給電を行うようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、受電部15は、ワイヤレスパワーコンソーシアム(Wireless Power Consortium; WPC)が策定したQi規格に基づいた電磁誘導方式としたが、これに限られない。AirFuel Allianceが策定した磁界共鳴方式や電界結合方式、マイクロ波方式などであってもよい。
また、通信コイル104は、NFC(Near Field Communication)規格に基づく近距離無線通信としたが、これに限られない。Bluetoothや無線LAN、ZigBeeや独自規格の無線通信方式を用いてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…物品収容什器
2…什器本体
3…扉(開閉部材)
3b…背面(一面)
3f…前面(他面)
3p…板状部
10…電子錠システム
13…拘束部材
15…受電部
16…蓄電部
20…制御装置
22…認証情報受付部
23…登録者情報記憶部
24…認証部(登録者情報取得部)
25…拘束制御部
26…受電制御部
28…給電要求制御部
31…端末保持部
31b…背面
100…外部端末
K…開口部
S…物品収容部