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特開2022-75233吸引車補助システム及び吸引車による吸引方法
<図1>
  • 特開-吸引車補助システム及び吸引車による吸引方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075233
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】吸引車補助システム及び吸引車による吸引方法
(51)【国際特許分類】
   E03F 7/10 20060101AFI20220511BHJP
   F04D 7/00 20060101ALI20220511BHJP
   F04D 7/04 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
E03F7/10 Z
F04D7/00 A
F04D7/04 K
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185895
(22)【出願日】2020-11-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-05-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 芝川(埼玉県川口市末広)の工事現場にて、令和2年10月7日~同年10月9日に出願人が実施により公開。
(71)【出願人】
【識別番号】515276587
【氏名又は名称】株式会社 ユーキ建工
(74)【代理人】
【識別番号】100134050
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 博孝
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 寧志
【テーマコード(参考)】
2D063
3H130
【Fターム(参考)】
2D063EB11
2D063EB25
3H130AA03
3H130AA27
3H130AA38
3H130AB07
3H130AB22
3H130AB42
3H130AC07
3H130AC08
3H130BA65J
3H130BA72J
3H130BA82J
3H130DG02X
3H130EA07J
3H130ED05J
(57)【要約】
【課題】
固形物ポンプ等を地下に降ろすことなく吸引作業を実現すると共に、連続して吸引できる吸引車補助システム及びその方法を提供する。
【解決手段】
地上に設置した固形物ポンプ120の吸い込み側122を吸引車110のタンク112に接続し、吸引車110の吸引装置を稼働させながら、固形物ポンプ120を稼働させて地下の汚水・汚泥等を吸引する。この時、最初に吸引車110の吸引装置を稼働させてタンク112に一定量の汚水・汚泥等を貯め、その後、吸引車110の排出口を開いて汚水・汚泥等を固形物ポンプ120側にまで到達させ、その後、固形物ポンプ120を稼働させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に設置した固形物ポンプを吸引車のタンクに接続し、当該固形物ポンプで前記タンク内の内容物を吐出しながら吸引する
ことを特徴とする吸引車補助システム。
【請求項2】
請求項1において
前記固形物ポンプは非自吸型の固形物ポンプである
ことを特徴とする吸引車補助システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記固形物ポンプが車両に搭載されている
ことを特徴とする吸引車補助システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかにおいて、
前記固形物ポンプは、前記タンクに備わる排出口に接続される
ことを特徴とする吸引車補助システム。
【請求項5】
地上に設置した固形物ポンプの吸い込み側を吸引車のタンクに接続し、前記吸引車の吸引装置を稼働させながら、当該固形物ポンプを稼働させて地下の汚水・汚泥等を吸引し続ける吸引車の吸引方法。
【請求項6】
請求項5において、
最初に前記吸引車の吸引装置を稼働させて前記タンクに一定量の汚水・汚泥等を貯め、
その後、前記吸引車の排出口を開いて汚水・汚泥等を前記固形物ポンプ側にまで到達させ、
その後、前記固形物ポンプを稼働させることにより、前記吸引車の吸引装置を稼働させながら、当該固形物ポンプを稼働させて地下の汚水・汚泥等を吸引し続ける吸引車の吸引方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯まった汚水等の汲みあげに関し、特に吸引車を補助するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、吸引車(特許文献1参照)を利用した地下に貯まった汚水や汚泥(以下単に「汚水等」という。)の汲み上げは一般に広く行われている。
【0003】
どれだけ地下深部の汚水等を汲み上げることができるかについては、吸引車の吸引能力に頼っているのが現状である。例えば、汲み上げ最大深度が40mの吸引車であれば、それ以上深い(深部にある)汚水等を汲み上げることは困難であるか、若しくは、可能であったとしても非常に時間のかかる非効率な作業となる。
【0004】
一方、吸引車の吸引能力を更に向上させようと思うと、吸引車自体が大きくなり、それに伴いコストや維持費も跳ね上げる。
【0005】
こういった問題を解決するべく、発明者は、汚水等溜まりと吸引車とを繋ぐ吸引ホースと、当該吸引ホースの途中に配置した固形物ポンプと、前記吸引ホースにおける前記固形物ポンプと前記吸引車の間の位置に接続したサブホースと、当該サブホースに接続され、当該サブホース内に加圧した空気を送り込むことが可能なエアコンプレッサーと、を備え、前記固形物ポンプは、非自吸型の固形物ポンプであることを特徴とする地下深部汚水等汲み上げシステムに関する発明を行い、特許を取得しているところである(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-71210号公報
【特許文献2】特許第6533616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載の方法であっても、移動式クレーン車などを用いて重量のある固形物ポンプ等を地下に降ろす必要がある。また、汚水や汚泥が大量に存在する場合、吸引車は搭載するタンク容量に制限があるため、タンクがいっぱいになるといったん吸引を停止して排出作業を行う必要がある。即ち、「吸引」「排出」の繰り返しが不可避的に生じるため、その分作業に時間がかかってしまう。
【0008】
そこで本発明は、こういった問題点を解決するべくなされたものであって、固形物ポンプ等を地下に降ろすことなく吸引作業を実現すると共に、連続して吸引できる吸引車補助システム及びその方法を提供する事をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するべく、本願発明は、地上に設置した固形物ポンプを吸引車のタンクに接続し、当該固形物ポンプで前記タンク内を吸引することを特徴とする。
【0010】
このような構成の補助システムを吸引車に加えることで、固形物ポンプ等を地下に降ろすことなく吸引作業を実現すると共に、連続した吸引が可能となった。
【0011】
また、前記固形物ポンプは非自吸型の固形物ポンプであることを特徴とする。
【0012】
このように構成したことによって、吸引車のタンクに想定外の陰圧を与える事がなく、吸引車側のトラブルを未然に回避することが可能となっている。
【0013】
また、固形物ポンプが車両に搭載されていることを特徴とする。
【0014】
このように構成すれば、補助システム自体の移動が容易となり、現場から現場への移動や、現場での位置調整作業等が容易となる。
【0015】
また、固形物ポンプは、前記タンクに備わる排出口に接続されることを特徴とする。
【0016】
このように構成することで、もともと吸引車に備わる排出コック(弁)を利用できるため、吸引作業がやりやすい。
【0017】
なお本発明は、見方を変えると、地上に設置した固形物ポンプの吸い込み側を吸引車のタンクに接続し、前記吸引車の吸引装置を稼働させながら、当該固形物ポンプを稼働させて地下の汚水・汚泥等を吸引し続ける吸引車の吸引方法として捉えることも可能である。
【0018】
更にこの時、最初に前記吸引車の吸引装置を稼働させて前記タンクに一定量の汚水・汚泥等を貯め、その後、前記吸引車の排出口を開いて汚水・汚泥等を前記固形物ポンプ側にまで到達させ、その後、前記固形物ポンプを稼働させることにより、前記吸引車の吸引装置を稼働させながら、当該固形物ポンプを稼働させて地下の汚水・汚泥等を吸引するという手順に従うのが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明を適用することで、固形物ポンプ等を地下に降ろすことなく吸引作業を実現すると共に、連続して吸引できる吸引車補助システム及びその方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態の一例である吸引車補助システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例である吸引車補助システム100について説明を加える。なお、図面理解容易の為、各部の大きさや寸法を誇張して表現している部分があり、実際の製品と必ずしも一致しない部分があることを付記しておく。また各図面は符号の向きに見るものとし、当該向きを基本に上下左右、手前、奥と表現する。
【0022】
〈吸引車補助システムの構成〉
図1に示しているように、本発明の実施形態の一例として示す吸引車補助システム100は、吸引車110のタンク112にホース132を介して接続される固形物ポンプ120そのものである。
【0023】
吸引車110の吸引ホース130は、例えば、地下に存在する汚水・汚泥等の中に先端が投入される。
【0024】
吸引車110と固形物ポンプ120を繋ぐホース132は、吸引車110のタンク112に備わる排出口(図示していない)と、固形物ポンプ120の吸引側122を繋いでいる。
【0025】
固形物ポンプ120の排出側(吐出側)124に接続されるホース134は、例えば下水道など、汲み上げた汚水・汚泥等を流してもよい場所に投入される。
【0026】
なお、固形物ポンプ120は車両150に搭載されており、同時に当該車両150に搭載される電源140によって駆動するよう構成されている。
【0027】
また、車両にはコンプレッサー142が搭載されており、吸引車110の吸引ホース130の先端130a付近に加圧ホース144が接続される。
【0028】
〈吸引車補助システムの作用・機能(吸引方法)〉
上記説明したように、吸引車110と固形物ポンプ120をホース132で接続し、その他のホース130、132もセッティングした状態で、最初に吸引車110に備わる吸引装置を稼働させる。同時に、コンプレッサー142によって、吸引ホース130の先端130a付近に加圧した空気が送られる。この加圧した空気の送り込みを行わないと、吸引ホース130内が真空状態になり吸引できなくなるためであり、コンプレッサー142によって空気を送り込んで真空圧を落としている。
【0029】
これにより、ホース130の先にある汚水・汚泥等が吸引車110のタンク112に吸い上げられる。
【0030】
タンク112の中にある程度の量の汚水・汚泥等が貯まった段階で、タンク112の排出口に備わるコックを開く。そうすると、タンク112内の汚水・汚泥等は、ホース132を伝って固形物ポンプ124の吸引側122にまで達する。
【0031】
ホース132内が、汚水・汚泥等で十分満たされたタイミングを見計らって、固形物ポンプ120を稼働させる。
【0032】
このような手順で吸引することによって、吸引車110が吸引した汚水・汚泥等でタンク112が満タンになることを回避して、連続して吸引し続けることが可能となる。また、固形物ポンプ120が引く力が吸引車の110の吸引力に上乗せされ、地下にポンプを降ろすことなく、地下の汚水・汚泥等を吸引できる(吸引できる範囲が広がる)。
【0033】
上記構成で説明した通り、本願発明は、地上に設置した固形物ポンプ120を吸引車110のタンク120に接続し、固形物ポンプ120でタンク112内の内容物を吐出しながら吸引していた。このような構成の補助システム100を吸引車110に加えることで、固形物ポンプ120等を地下に降ろすことなく吸引作業を実現すると共に、連続した吸引が可能となったのである。
【0034】
また、固形物ポンプ120は「非自吸型」の固形物ポンプであるため、吸引車のタンクに想定外の陰圧を与える事がなく、吸引車側のトラブルを未然に回避することが可能となっている。
【0035】
また、固形物ポンプ120が車両150に搭載されていることによって、補助システム100自体の移動が容易となり、現場から現場への移動や、現場での位置調整作業等が容易となっている。
【0036】
また、固形物ポンプ120は、タンク112に備わる排出口に接続されるので、もともと吸引車110に備わる排出コック(弁)を利用でき、吸引作業がやりやすい。
【0037】
〈その他の構成例〉
上記では、固形物ポンプは「非自吸型」を前提としていたが、「自吸型」であってもよい。ただし、固形物ポンプ自体が発生する吸引力を把握し、吸引車側に過度な負担が生じないよう配慮する必要がある。
【0038】
その他、例えば、タンク112内の汚水等の容量を権検知できるセンサ等を搭載しておき、一定量以下となれば固形物ポンプ120の稼働を停止(若しくは稼働量を減らし)したり、一定量以上となれば固形物ポンプ120の稼働を再開させる(若しくは稼働量を増やす)等の自動制御を付加することも可能である。もちろん、自動制御まで行わずとも、音や光などでタンク112内の容量が容易に確認できるシステムであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
100・・・吸引車補助システム
110・・・吸引車
112・・・タンク
120・・・固形物ポンプ
122・・・固形物ポンプ吸引側(流入側)
124・・・固形物ポンプ外出側(吐出側)
130、132、134・・・ホース
140・・・電源
142・・・コンプレッサー
144・・・加圧ホース
150・・・車両
図1
【手続補正書】
【提出日】2021-01-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に設置した固形物ポンプの吸い込み側を吸引車のタンクに接続し、前記吸引車の吸引装置を稼働させながら、当該固形物ポンプを稼働させて地下の汚水・汚泥を吸引し続ける吸引車の吸引方法。
【請求項2】
請求項1において、
最初に前記吸引車の吸引装置を稼働させて前記タンクに一定量の汚水・汚泥を貯め、
その後、前記吸引車の排出口を開いて汚水・汚泥を前記固形物ポンプ側にまで到達させ、
その後、前記固形物ポンプを稼働させることにより、前記吸引車の吸引装置を稼働させながら、当該固形物ポンプを稼働させて地下の汚水・汚泥を吸引し続ける吸引車の吸引方法。