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特開2022-75256座標変換用パラメータ取得方法及び装置、自己位置推定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075256
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】座標変換用パラメータ取得方法及び装置、自己位置推定装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220511BHJP
【FI】
G05D1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185931
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】服部 晋悟
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB07
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】複数のセンサを使用して移動体の自己位置の推定を行う際に、移動体の自己位置の推定精度を確保することができる座標変換用パラメータ取得方法及び装置、自己位置推定装置を提供する。
【解決手段】座標変換用パラメータ取得方法は、GPS受信機11を使用してフォークリフト2の自己位置を推定する第1自己位置推定工程と、レーザセンサ12を使用してフォークリフト2の自己位置を推定する第2自己位置推定工程と、第1自己位置推定工程において得られたフォークリフト2の第1自己位置と第2自己位置推定工程において得られたフォークリフト2の第2自己位置とに基づいて、GPS受信機11の座標系をレーザセンサ12の座標系に変換するための座標変換用パラメータを算出するパラメータ算出工程とを有する。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1センサを使用して移動体の自己位置を推定する第1自己位置推定工程と、
第2センサを使用して前記移動体の自己位置を推定する第2自己位置推定工程と、
前記第1自己位置推定工程において推定して得られた前記移動体の第1自己位置と前記第2自己位置推定工程において推定して得られた前記移動体の第2自己位置とに基づいて、前記第1センサの座標系を前記第2センサの座標系に変換するための座標変換用パラメータを算出するパラメータ算出工程とを有する座標変換用パラメータ取得方法。
【請求項2】
前記第1センサ及び前記第2センサは、2次元座標における同じ位置に上下に並んで配置されている請求項1記載の座標変換用パラメータ取得方法。
【請求項3】
前記第1自己位置は、2次元座標における前記移動体の第1座標位置及び第1座標角度を含み、
前記第2自己位置は、前記2次元座標における前記移動体の第2座標位置及び第2座標角度を含み、
前記座標変換用パラメータは、前記第1座標位置と前記第2座標位置との座標位置オフセット量と、前記第1座標角度と前記第2座標角度との座標角度差とを含む請求項1または2記載の座標変換用パラメータ取得方法。
【請求項4】
前記第1自己位置は、2次元座標における前記移動体の第1座標位置を含み、
前記第2自己位置は、前記2次元座標における前記移動体の第2座標位置を含み、
前記座標変換用パラメータは、前記第1座標位置と前記第2座標位置との座標位置オフセット量と、前記移動体の第1座標角度と前記移動体の第2座標角度との座標角度差とを含み、
前記パラメータ算出工程は、複数の地点における前記第1座標位置に基づいて前記第1座標角度を算出すると共に、前記複数の地点における前記第2座標位置に基づいて前記第2座標角度を算出した後、前記座標角度差を算出する工程を有する請求項1または2記載の座標変換用パラメータ取得方法。
【請求項5】
移動体の自己位置を推定するための第1センサを有する第1自己位置推定部と、
前記移動体の自己位置を推定するための第2センサを有する第2自己位置推定部と、
前記第1自己位置推定部により推定して得られた前記移動体の第1自己位置と前記第2自己位置推定部により推定して得られた前記移動体の第2自己位置とに基づいて、前記第1センサの座標系を前記第2センサの座標系に変換するための座標変換用パラメータを算出するパラメータ算出部とを備える座標変換用パラメータ取得装置。
【請求項6】
移動体の自己位置を推定するための第1センサを有する第1自己位置推定部と、
前記移動体の自己位置を推定するための第2センサを有する第2自己位置推定部と、
予め決められた座標変換用パラメータを用いて、前記第1自己位置推定部により推定して得られた前記移動体の第1自己位置を前記第1センサの座標系から前記第2センサの座標系に変換する座標変換部と、
前記座標変換部により変換された前記移動体の第1自己位置と前記第2自己位置推定部により推定して得られた前記移動体の第2自己位置とに基づいて、前記移動体の自己位置を決定する自己位置決定部とを備える自己位置推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標変換用パラメータ取得方法及び装置、自己位置推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、自己位置推定装置が記載されている。特許文献1に記載の自己位置推定装置は、SLAMを用いてフォークリフトの自己位置を推定する第1自己位置推定器と、GNSSを用いてフォークリフトの自己位置を推定する第2自己位置推定器と、第1自己位置推定器及び第2自己位置推定器により得られた2つの位置推定値に基づいて、フォークリフトの自己位置を最終的に推定する最終自己位置推定部を有するコントローラとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-9252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、SLAMとGNSSとでは、座標軸が異なることがある。GNSSでは、南北方向がX軸となる。SLAMでは、地図作成時にX軸が決定されるが、南北方向を正確に把握することが困難である。このため、SLAMとGNSSとで座標合わせを行うことができない。SLAM及びGNSSの座標軸が一致していない場合には、フォークリフト等の移動体の自己位置の推定精度の低下につながる。
【0005】
本発明の目的は、複数のセンサを使用して移動体の自己位置の推定を行う際に、移動体の自己位置の推定精度を確保することができる座標変換用パラメータ取得方法及び装置、自己位置推定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る座標変換用パラメータ取得方法は、第1センサを使用して移動体の自己位置を推定する第1自己位置推定工程と、第2センサを使用して移動体の自己位置を推定する第2自己位置推定工程と、第1自己位置推定工程において推定して得られた移動体の第1自己位置と第2自己位置推定工程において推定して得られた移動体の第2自己位置とに基づいて、第1センサの座標系を第2センサの座標系に変換するための座標変換用パラメータを算出するパラメータ算出工程とを有する。
【0007】
このような座標変換用パラメータ取得方法においては、第1センサを使用して移動体の自己位置が推定されると共に、第2センサを使用して移動体の自己位置が推定される。そして、第1センサを使用して得られた移動体の第1自己位置と第2センサを使用して得られた移動体の第2自己位置とに基づいて、第1センサの座標系を第2センサの座標系に変換するための座標変換用パラメータが算出される。その後、実際に第1センサ及び第2センサを使用して移動体の自己位置を推定する際には、座標変換用パラメータを用いて、第1センサを使用して得られた移動体の第1自己位置が第1センサの座標系から第2センサの座標系に変換される。このため、第1センサを使用して得られた移動体の第1自己位置は、第2センサを使用して得られた移動体の第2自己位置と同様に、第2センサの座標系で表されることになる。これにより、移動体の自己位置の推定精度が確保される。
【0008】
第1センサ及び第2センサは、2次元座標における同じ位置に上下に並んで配置されていてもよい。このような構成では、移動体の自己位置が2次元座標で表される場合には、移動体の第1自己位置と移動体の第2自己位置とのオフセット量を後で補正する計算が不要となる。従って、演算処理の簡素化を図ることができる。
【0009】
第1自己位置は、2次元座標における移動体の第1座標位置及び第1座標角度を含み、第2自己位置は、2次元座標における移動体の第2座標位置及び第2座標角度を含み、座標変換用パラメータは、第1座標位置と第2座標位置との座標位置オフセット量と、第1座標角度と第2座標角度との座標角度差とを含んでもよい。このような構成では、移動体の自己位置として、2次元座標における移動体の座標位置及び座標角度が推定される。従って、移動体の位置だけでなく、移動体の姿勢も推定されることになる。
【0010】
第1自己位置は、2次元座標における移動体の第1座標位置を含み、第2自己位置は、2次元座標における移動体の第2座標位置を含み、座標変換用パラメータは、第1座標位置と第2座標位置との座標位置オフセット量と、移動体の第1座標角度と移動体の第2座標角度との座標角度差とを含み、パラメータ算出工程は、複数の地点における第1座標位置に基づいて第1座標角度を算出すると共に、複数の地点における第2座標位置に基づいて第2座標角度を算出した後、座標角度差を算出する工程を有してもよい。このような構成では、複数の地点における移動体の座標位置に基づいて、移動体の座標角度が算出される。従って、精度が高い移動体の座標角度が得られる。
【0011】
本発明の他の態様に係る座標変換用パラメータ取得装置は、移動体の自己位置を推定するための第1センサを有する第1自己位置推定部と、移動体の自己位置を推定するための第2センサを有する第2自己位置推定部と、第1自己位置推定部により推定して得られた移動体の第1自己位置と第2自己位置推定部により推定して得られた移動体の第2自己位置とに基づいて、第1センサの座標系を第2センサの座標系に変換するための座標変換用パラメータを算出するパラメータ算出部とを備える。
【0012】
このような座標変換用パラメータ取得装置においては、第1自己位置推定部の第1センサを使用して移動体の自己位置が推定されると共に、第2自己位置推定部の第2センサを使用して移動体の自己位置が推定される。そして、第1センサを使用して得られた移動体の第1自己位置と第2センサを使用して得られた移動体の第2自己位置とに基づいて、第1センサの座標系を第2センサの座標系に変換するための座標変換用パラメータが算出される。その後、実際に第1センサ及び第2センサを使用して移動体の自己位置を推定する際には、座標変換用パラメータを用いて、第1センサを使用して得られた移動体の第1自己位置が第1センサの座標系から第2センサの座標系に変換される。このため、第1センサを使用して得られた移動体の第1自己位置は、第2センサを使用して得られた移動体の第2自己位置と同様に、第2センサの座標系で表されることになる。これにより、移動体の自己位置の推定精度が確保される。
【0013】
本発明の更に他の態様に係る自己位置推定装置は、移動体の自己位置を推定するための第1センサを有する第1自己位置推定部と、移動体の自己位置を推定するための第2センサを有する第2自己位置推定部と、予め決められた座標変換用パラメータを用いて、第1自己位置推定部により推定して得られた移動体の第1自己位置を第1センサの座標系から第2センサの座標系に変換する座標変換部と、座標変換部により変換された移動体の第1自己位置と第2自己位置推定部により推定して得られた移動体の第2自己位置とに基づいて、移動体の自己位置を決定する自己位置決定部とを備える。
【0014】
このような自己位置推定装置において、第1センサを有する第1自己位置推定部及び第2センサを有する第2自己位置推定部によって移動体の自己位置を推定する際には、予め決められた座標変換用パラメータを用いて、第1自己位置推定部により推定して得られた移動体の第1自己位置が第1センサの座標系から第2センサの座標系に変換される。このため、第1自己位置推定部により推定して得られた移動体の第1自己位置は、第2自己位置推定部により推定して得られた移動体の第2自己位置と同様に、第2センサの座標系で表されることになる。これにより、移動体の自己位置の推定精度が確保される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数のセンサを使用して移動体の自己位置の推定を行う際に、移動体の自己位置の推定精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る自己位置推定装置を備えた走行制御装置を概略的に示すブロック図である。
図2図1に示された走行制御装置が搭載されたフォークリフトが走行する様子を示す側面図である。
図3】GNSS座標系及びSLAM座標系を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る座標変換用パラメータ取得装置を概略的に示すブロック図である。
図5図4に示されたパラメータ算出部により実行されるパラメータ算出処理の手順を示すフローチャートである。
図6図4に示されたパラメータ算出部により実行されるパラメータ算出処理の手順の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る自己位置推定装置を備えた走行制御装置を概略的に示すブロック図である。図1において、走行制御装置1は、図2に示されるように、建物Tの内外においてフォークリフト2を自動走行させるように制御する装置である。
【0019】
フォークリフト2は、荷役を行う移動体である。フォークリフト2は、車体3と、この車体3に回転可能に支持された複数の車輪4と、車体3の前側に配置された荷役装置5とを備えている。荷役装置5は、車体3の前端部に連結されたマスト6と、このマスト6に昇降可能に支持されたフォーク7とを有している。
【0020】
走行制御装置1は、GPS受信機11と、レーザセンサ12と、自己位置推定用コントローラ13と、駆動部14とを備えている。走行制御装置1は、フォークリフト2に搭載されている。
【0021】
GPS受信機11及びレーザセンサ12は、図2に示されるように、フォークリフト2の車体3の屋根に取り付けられている。GPS受信機11は、レーザセンサ12上に載置されている。つまり、GPS受信機11及びレーザセンサ12は、2次元座標(XY座標)における同じ位置に上下に並んで配置されている。なお、レーザセンサ12がGPS受信機11上に載置されていてもよい。
【0022】
GPS受信機11は、GPS衛星15から送信される電波を受信して、フォークリフト2の現在位置を測定する。GPS受信機11は、主として建物Tの外(屋外)においてフォークリフト2の自己位置を推定するための第1センサを構成している。
【0023】
レーザセンサ12は、フォークリフト2の周囲にレーザLを照射し、レーザLの反射光を受光することにより、フォークリフト2の周囲の物体との距離を検出する。レーザセンサ12としては、例えば2Dまたは3Dのレーザレンジファインダが使用される。レーザセンサ12は、主として建物T内(屋内)においてフォークリフト2の自己位置を推定するための第2センサを構成している。
【0024】
自己位置推定用コントローラ13は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。自己位置推定用コントローラ13は、GPS受信機11及びレーザセンサ12の検出データを入力し、フォークリフト2の自己位置の推定に関する処理を実行し、駆動部14を制御する。
【0025】
駆動部14は、特に図示はしないが、例えばフォークリフト2の車輪4を回転させる走行モータと、車輪4を転舵させる操舵モータとを有している。
【0026】
自己位置推定用コントローラ13は、第1推定演算部21と、第2推定演算部22と、パラメータ記憶部23と、座標変換部24と、自己位置決定部25と、駆動制御部26とを有している。
【0027】
第1推定演算部21は、GPS受信機11により検出された測位データに基づいて、フォークリフト2の自己位置の推定演算を行う。第1推定演算部21は、例えばRTK-GNSS(realtimekinematic-global navigation satellite system)測位法を用いて、フォークリフト2の自己位置の推定演算を行う。RTK-GNSS測位法は、GPS衛星15から送信される電波を利用して自己位置推定を行う自己位置推定技術である。
【0028】
第1推定演算部21により得られたフォークリフト2の自己位置(第1自己位置)は、図3(a)に示されるように、GPS受信機11の座標系(GNSS座標系)で表される。GNSS座標系は、緯度及び経度で表される2次元座標系である。GNSS座標系では、南北方向がX軸方向であり、東西方向がY軸方向である。
【0029】
フォークリフト2の第1自己位置は、GNSS座標系において座標Pg(xg,yg,θg)で表される。(xg,yg)は、GNSS座標系におけるフォークリフト2のXY座標位置(第1座標位置)に相当する。θgは、GNSS座標系におけるフォークリフト2の座標角度(第1座標角度)に相当する。θgは、GNSS座標系におけるX軸に対する角度である。
【0030】
GPS受信機11及び第1推定演算部21は、フォークリフト2の自己位置を推定する第1自己位置推定部を構成している。
【0031】
第2推定演算部22は、レーザセンサ12により検出された距離データに基づいて、フォークリフト2の自己位置の推定演算を行う。第2推定演算部22は、レーザSLAM(simultaneous localization andmapping)手法を用いて、フォークリフト2の自己位置の推定演算を行う。SLAMは、センサデータ及び地図データを使って自己位置推定を行う自己位置推定技術である。第2推定演算部22は、レーザセンサ12により検出された距離データとフォークリフト2の周囲環境の地図データとをマッチングさせて、フォークリフト2の自己位置の推定演算を行う。
【0032】
第2推定演算部22により得られたフォークリフト2の自己位置(第2自己位置)は、図3(b)に示されるように、レーザセンサ12の座標系(SLAM座標系)で表される。SLAM座標系は、地図データに対応する2次元座標系である。SLAM座標系では、地図の作成時にX軸が決定される。また、SLAM座標系は、GNSS座標系に対してY軸の正負が逆となっている。
【0033】
フォークリフト2の第2自己位置は、SLAM座標系において座標Ps(xs,ys,θs)で表される。(xs,ys)は、SLAM座標系におけるフォークリフト2のXY座標位置(第2座標位置)に相当する。θsは、SLAM座標系におけるフォークリフト2の座標角度(第2座標角度)に相当する。θsは、SLAM座標系におけるX軸に対する角度である。
【0034】
レーザセンサ12及び第2推定演算部22は、フォークリフト2の自己位置を推定する第2自己位置推定部を構成している。
【0035】
パラメータ記憶部23は、GNSS座標系をSLAM座標系に変換するための座標変換用パラメータを記憶する。座標変換用パラメータは、座標位置オフセット量(x´,y´)と座標角度差θ´とを含んでいる。座標変換用パラメータは、予め決められている。座標変換用パラメータについては、後で詳述する。
【0036】
座標変換部24は、パラメータ記憶部23に記憶された座標変換用パラメータを用いて、第1推定演算部21により得られたフォークリフト2の第1自己位置をGNSS座標系からSLAM座標系に変換する。
【0037】
具体的には、座標変換部24は、座標角度差θ´を用いて、GNSS座標系におけるフォークリフト2の座標角度θgをSLAM座標系におけるフォークリフト2の座標角度θに変換する。この時の座標変換は、下記式により行われる。
【数1】
【0038】
また、座標変換部24は、座標角度差θ´及び座標位置オフセット量(x´,y´)を用いて、GNSS座標系におけるフォークリフト2の座標位置(xg,yg)をSLAM座標系におけるフォークリフト2の座標位置(x,y)に変換する。この時の座標変換は、下記式により行われる。
【数2】
【0039】
自己位置決定部25は、座標変換部24により変換されたフォークリフト2の第1自己位置と第2推定演算部22により得られたフォークリフト2の第2自己位置とに基づいて、フォークリフト2の自己位置を決定する。このとき、フォークリフト2の自己位置は、SLAM座標系で表される。
【0040】
例えば、自己位置決定部25は、フォークリフト2が屋外を走行するときは、基本的にはフォークリフト2の第1自己位置をフォークリフト2の最終的な自己位置として決定する。自己位置決定部25は、フォークリフト2が屋内を走行するときは、基本的にはフォークリフト2の第2自己位置をフォークリフト2の最終的な自己位置として決定する。
【0041】
駆動制御部26は、自己位置決定部25により決定されたフォークリフト2の自己位置に応じて、フォークリフト2を目的地に向けて自動的に走行させるように駆動部14を制御する。
【0042】
ここで、GPS受信機11、レーザセンサ12、自己位置推定用コントローラ13の第1推定演算部21、第2推定演算部22、パラメータ記憶部23、座標変換部24及び自己位置決定部25は、本実施形態の自己位置推定装置10を構成している。
【0043】
次に、上述した座標変換用パラメータを取得する座標変換用パラメータ取得方法及び装置について説明する。
【0044】
図4は、本発明の一実施形態に係る座標変換用パラメータ取得装置を概略的に示すブロック図である。図4において、本実施形態の座標変換用パラメータ取得装置30は、上述した座標変換用パラメータを取得する装置である。
【0045】
座標変換用パラメータ取得装置30は、上記のGPS受信機11と、上記のレーザセンサ12と、パラメータ取得用コントローラ31とを備えている。パラメータ取得用コントローラ31は、GPS受信機11及びレーザセンサ12と共に、フォークリフト2に搭載されている。
【0046】
パラメータ取得用コントローラ31は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。パラメータ取得用コントローラ31は、GPS受信機11及びレーザセンサ12の検出データを入力し、座標変換用パラメータの取得に関する処理を実行する。
【0047】
パラメータ取得用コントローラ31は、第1推定演算部32と、第2推定演算部33と、パラメータ算出部34と、パラメータ保存部35とを有している。
【0048】
第1推定演算部32は、自己位置推定用コントローラ13の第1推定演算部21と同じ機能を有している。第1推定演算部32は、GPS受信機11を使用してフォークリフト2の自己位置を推定する第1自己位置推定工程を実施する。GPS受信機11及び第1推定演算部32は、フォークリフト2の自己位置を推定する第1自己位置推定部を構成している。
【0049】
第2推定演算部33は、自己位置推定用コントローラ13の第2推定演算部22と同じ機能を有している。第2推定演算部33は、レーザセンサ12を使用してフォークリフト2の自己位置を推定する第2自己位置推定工程を実施する。レーザセンサ12及び第2推定演算部33は、フォークリフト2の自己位置を推定する第2自己位置推定部を構成している。
【0050】
パラメータ算出部34は、第1推定演算部32により得られたフォークリフト2の第1自己位置と第2推定演算部33により得られたフォークリフト2の第2自己位置とに基づいて、GNSS座標系をSLAM座標系に変換するための座標変換用パラメータを算出するパラメータ算出工程を実施する。
【0051】
図5は、パラメータ算出部34により実行されるパラメータ算出処理の手順を示すフローチャートである。本処理では、任意の1カ所において、GPS受信機11及びレーザセンサ12を使用してフォークリフト2の自己位置が推定される。
【0052】
図5において、パラメータ算出部34は、まず第1推定演算部32により得られたフォークリフト2の第1自己位置データと第2推定演算部33により得られたフォークリフト2の第2自己位置データとを取得する(手順S101)。
【0053】
フォークリフト2の第1自己位置は、上述したようにGNSS座標系における第1座標位置(xg,yg)及び第1座標角度θgを含んでいる。フォークリフト2の第2自己位置は、上述したようにSLAM座標系における第2座標位置(xs,ys)及び第2座標角度θsを含んでいる。パラメータ算出部34は、フォークリフト2の第1自己位置データ及び第2自己位置データを複数ずつ取得する。
【0054】
続いて、パラメータ算出部34は、複数の第1自己位置における第1座標位置(xg,yg)及び第1座標角度θgをそれぞれ平均化する(手順S102)。また、パラメータ算出部34は、複数の第2自己位置における第2座標位置(xs,ys)及び第2座標角度θsをそれぞれ平均化する(手順S103)。
【0055】
続いて、パラメータ算出部34は、平均化された第1座標角度θgと平均化された第2座標角度θsとに基づいて、第1座標角度θg及び第2座標角度θsとの座標角度差θ´を算出する(手順S104)。座標角度差θ´は、第1座標角度θgと第2座標角度θsとの差分であり、下記式により算出される。
【数3】
【0056】
続いて、パラメータ算出部34は、平均化された第1座標位置(xg,yg)と平均化された第2座標位置(xs,ys)と座標角度差θ´とに基づいて、座標位置オフセット量(x´,y´)を算出する(手順S105)。座標位置オフセット量(x´,y´)は、第1座標位置(xg,yg)と第2座標位置(xs,ys)との差分であり、下記式により算出される。
【数4】
【0057】
続いて、パラメータ算出部34は、座標角度差θ´及び座標位置オフセット量(x´,y´)のデータをパラメータ保存部35に出力する(手順S106)。
【0058】
図4に戻り、パラメータ保存部35は、パラメータ算出部34により得られた座標角度差θ´及び座標位置オフセット量(x´,y´)のデータを自己位置推定用コントローラ13のパラメータ記憶部23に保存する。
【0059】
以上のように本実施形態にあっては、GPS受信機11を使用してフォークリフト2の自己位置が推定されると共に、レーザセンサ12を使用してフォークリフト2の自己位置が推定される。そして、GPS受信機11を使用して得られたフォークリフト2の第1自己位置とレーザセンサ12を使用して得られたフォークリフト2の第2自己位置とに基づいて、GNSS座標系をSLAM座標系に変換するための座標変換用パラメータが算出される。その後、実際にGPS受信機11及びレーザセンサ12を使用してフォークリフト2の自己位置を推定する際には、座標変換用パラメータを用いて、GPS受信機11を使用して得られたフォークリフト2の第1自己位置がGNSS座標系からSLAM座標系に変換される。このため、GPS受信機11を使用して得られたフォークリフト2の第1自己位置は、レーザセンサ12を使用して得られたフォークリフト2の第2自己位置と同様に、SLAM座標系で表されることになる。これにより、フォークリフト2の自己位置の推定精度が確保される。
【0060】
また、本実施形態では、GPS受信機11及びレーザセンサ12は、2次元座標における同じ位置に上下に並んで配置されている。このため、フォークリフト2の第1自己位置とフォークリフト2の第2自己位置とのオフセット量を後で補正する計算が不要となる。従って、演算処理の簡素化を図ることができる。
【0061】
また、本実施形態では、フォークリフト2の自己位置として、2次元座標におけるフォークリフト2の座標位置及び座標角度が推定される。従って、フォークリフト2の位置だけでなく、フォークリフト2の姿勢も推定されることになる。
【0062】
図6は、パラメータ算出部34により実行されるパラメータ算出処理の手順の変形例を示すフローチャートである。本処理では、任意の2カ所(地点A,Bとする)において、GPS受信機11及びレーザセンサ12を使用してフォークリフト2の自己位置が推定される。
【0063】
図6において、パラメータ算出部34は、まず地点Aにおいて、第1推定演算部32により得られたフォークリフト2の第1自己位置データと第2推定演算部33により得られたフォークリフト2の第2自己位置データとを取得する(手順S111)。パラメータ算出部34は、フォークリフト2の第1自己位置及び第2自己位置データを複数ずつ取得する。
【0064】
続いて、パラメータ算出部34は、地点Aにおいて取得された複数の第1自己位置における第1座標位置(xAg,yAg)を平均化する(手順S112)。また、パラメータ算出部34は、地点Aにおいて取得された複数の第2自己位置における第2座標位置(xAs,yAs)を平均化する(手順S113)。
【0065】
続いて、パラメータ算出部34は、地点Bにおいて、第1推定演算部32により得られたフォークリフト2の第1自己位置データと第2推定演算部33により得られたフォークリフト2の第2自己位置データとを取得する(手順S114)。このとき、パラメータ算出部34は、例えばフォークリフト2を地点Aから地点Bに移動させた状態で、フォークリフト2の第1自己位置データ及び第2自己位置データを取得する。また、パラメータ算出部34は、フォークリフト2の第1自己位置データ及び第2自己位置データを複数ずつ取得する。なお、上記の手順S112,S113は、手順S114の後に実行してもよい。
【0066】
続いて、パラメータ算出部34は、地点Bにおいて取得された複数の第1自己位置における第1座標位置(xBg,yBg)を平均化する(手順S115)。また、パラメータ算出部34は、地点Bにおいて取得された複数の第2自己位置における第2座標位置(xBs,yBs)を平均化する(手順S116)。
【0067】
続いて、パラメータ算出部34は、下記の計算式によってフォークリフト2の第1座標角度θg及び第2座標角度θsを算出する(手順S117)。
【数5】
【0068】
続いて、パラメータ算出部34は、図5に示される処理手順と同様に、手順S104~手順S106を実行する。
【0069】
本変形例においては、2つの地点におけるフォークリフト2の座標位置に基づいて、フォークリフト2の座標角度が算出される。従って、精度が高いフォークリフト2の座標角度が得られる。
【0070】
なお、本変形例では、2つの地点におけるフォークリフト2の座標位置に基づいて、フォークリフト2の座標角度が算出されているが、特にその形態には限られず、3つ以上の地点におけるフォークリフト2の座標位置に基づいて、フォークリフト2の座標角度を算出してもよい。例えば、任意の3カ所(地点A~Cとする)でフォークリフト2の自己位置を推定する場合は、地点A,Bの座標位置から得られた座標角度と地点B,Cの座標位置から得られた座標角度と地点C,Aの座標位置から得られた座標角度との平均をとってもよい。
【0071】
また、本変形例では、複数の地点におけるフォークリフト2の座標位置に基づいて、フォークリフト2の座標角度が算出される。このため、第1推定演算部32及び第2推定演算部33は、フォークリフト2の自己位置として、フォークリフト2の座標位置のみを推定し、フォークリフト2の座標角度を推定しなくてもよい。
【0072】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、GPS受信機11及びレーザセンサ12は、2次元座標における同じ位置に上下に並んで配置されているが、特にそのような形態には限られない。GPS受信機11及びレーザセンサ12は、フォークリフト2の車輪4の前後方向または左右方向に並んで配置されていてもよい。この場合には、フォークリフト2の第1自己位置とフォークリフト2の第2自己位置とのオフセット量を後で補正する計算を行う。
【0073】
また、上記実施形態では、座標変換用パラメータ取得装置30のGPS受信機11及びレーザセンサ12は、実際に使用されるフォークリフト2に搭載されているが、特にそのような形態には限られない。座標変換用パラメータ取得装置30のGPS受信機11及びレーザセンサ12は、実際に使用されるフォークリフト2とは異なる専用の車両等に搭載されていてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、座標変換用パラメータ取得装置30のパラメータ取得用コントローラ31は、フォークリフト2に搭載されているが、特にそのような形態には限られない。例えば、第1推定演算部、第2推定演算部33及びパラメータ保存部35を有するコントローラは、車両に搭載され、パラメータ算出部34を有するコントローラは、パソコン(PC)等であってもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、座標変換用パラメータは、GNSS座標系をSLAM座標系に変換するためのパラメータであるが、座標変換用パラメータとしては、特にその形態には限られず、SLAM座標系をGNSS座標系に変換するためのパラメータであってもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、GPS受信機11を使用してフォークリフト2の自己位置が推定されると共に、レーザセンサ12を使用してフォークリフト2の自己位置が推定されているが、フォークリフト2の自己位置を推定するための2つのセンサとしては、特にそのような形態には限られない。フォークリフト2の自己位置を推定するためのセンサとしては、例えば車両の周囲を撮像するカメラ、路面に設置された磁気テープを検出する磁気センサ、或いは地上からの電波を受信するトランスポンダ等を使用してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、フォークリフト2の自己位置が推定されているが、本発明は、特にフォークリフト2には限られず、例えば搬送台車や搬送ロボット等の移動体にも適用可能である。
【符号の説明】
【0078】
2…フォークリフト(移動体)、10…自己位置推定装置、11…GPS受信機(第1センサ、第1自己位置推定部)、12…レーザセンサ(第2センサ、第2自己位置推定部)、21…第1推定演算部(第1自己位置推定部)、22…第2推定演算部(第2自己位置推定部)、24…座標変換部、25…自己位置決定部、30…座標変換用パラメータ取得装置、32…第1推定演算部(第1自己位置推定部)、33…第2推定演算部(第2自己位置推定部)、34…パラメータ算出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6