IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アルビオンの特許一覧

特開2022-75265ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルを含有する水中油型乳化組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075265
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルを含有する水中油型乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/55 20060101AFI20220511BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220511BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20220511BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220511BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20220511BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20220511BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
A61K8/55
A61K8/37
A61K8/36
A61K8/34
A61K8/81
A61Q5/00
A61Q1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185949
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】592042750
【氏名又は名称】株式会社アルビオン
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100136696
【弁理士】
【氏名又は名称】時岡 恭平
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勝行
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB051
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC351
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC792
4C083AC901
4C083AC902
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD352
4C083AD571
4C083AD572
4C083CC11
4C083CC31
4C083DD31
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】液体の極性油を配合した水中油型乳化組成物(特に化粧料)において、特定の界面活性剤(特に乳化力の比較的弱い界面活性剤、特にリン脂質)を乳化剤として用いた場合であっても、乳化安定性に優れ、使用感も良好な乳化組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の水中油型乳化組成物は、(A)HLB12.0以上のノニオン性界面活性剤、およびイオン性界面活性剤からなる群から選択される1種又は2種以上の界面活性剤、(B)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル、(C)液体の極性油、(D)脂肪酸グリセリル、(E)水溶性高分子、および、(F)水、を含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(F):
(A)HLB12.0以上のノニオン性界面活性剤、およびイオン性界面活性剤からなる群から選択される1種又は2種以上の界面活性剤、
(B)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル、
(C)液体の極性油、
(D)脂肪酸グリセリル、
(E)水溶性高分子、および、
(F)水、
を含有する、水中油型乳化組成物。
【請求項2】
成分(B)に対する成分(D)の含有量の割合((D)/(B))が、重量比において、0.4以上である、請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項3】
成分(A)の少なくとも1つが、リン脂質である、請求項1または2に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項4】
成分(A)に対する成分(B)の含有量の割合((B)/(A))が、重量比において、0.2以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項5】
油性成分総量に対する、成分(C)を含めた極性油の含有量の合計の割合(極性油/油性成分総量)が、重量比において、0.2以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項6】
油性成分総量に対する、成分(A)および成分(B)の含有量の合計の割合(((A)+(B))/油性成分総量)が、重量比において、0.05以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項7】
成分(C)が、常温で液体形態である、合成もしくは天然の脂肪酸、その脂肪酸エステル、または高級アルコールから選ばれる、液体の極性油である、請求項1~6のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項8】
成分(D)が、ステアリン酸グリセリルである、請求項1~7のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項9】
成分(E)が、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、およびカルボマーからなる群から選択される1種以上を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項10】
成分(G)として高級アルコールをさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項11】
成分(H)として脂肪酸をさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項12】
乳化化粧料である、請求項1~11のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項13】
皮膚用である、請求項1~12のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
【請求項14】
次の成分(A)~(F):
(A)HLB12.0以上のノニオン性界面活性剤、およびイオン性界面活性剤からなる群から選択される1種又は2種以上の界面活性剤、
(B)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル、
(C)液体の極性油、
(D)脂肪酸グリセリル、
(E)水溶性高分子、および、
(F)水、
を混合することを含む、水中油型乳化組成物の製造における乳化安定化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルを含有する水中油型乳化組成物に関する。本発明はまた、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルを用いた、水中油型乳化組成物の製造における乳化安定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳化組成物(特に乳化化粧料)においては、経時変化等に対する乳化安定性が重要であるが、乳化力の弱い界面活性剤を用いた場合、乳化が不安定になるおそれがある。そのため、乳化が安定化するように、多くの検討が行われている。例えば、リン脂質は、皮膚への親和性が良好な保湿効果の高い天然界面活性物質であり、乳化剤として用いられるが、一般にリン脂質は乳化力が弱い。そのため、リン脂質を含む乳化組成物の乳化安定性を向上させることが求められる。例えば、特許文献1では、液状の高級アルコールおよびグリセリンを併用することで乳化を補い、リン脂質を含む乳化組成物の乳化安定性を向上させる技術が開示されている。
【0003】
また、乳化組成物(特に乳化化粧料)では、適度な密着感と肌上での伸びを良好にする目的で液体の極性油を含有する場合があるが、極性油は乳化物の安定性に影響を与え得る。そのため、極性油の安定配合についても、多くの検討が行われている。例えば、特許文献2では、高級アルコール、極性油、および長鎖アシルスルホン酸塩型陰イオン性界面活性剤を組み合わせて、乳化安定性を向上させる技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術のように、乳化剤としてリン脂質、乳化助剤として液状の高級アルコールおよびグリセリンを用い、液体の極性油を乳化した化粧料は、液状の高級アルコールおよびグリセリンを配合することによるべたつきにより、使用性が著しく悪化する場合があった。また、特許文献2の技術は、乳化安定性を向上させ得るものであるが、高級アルコールの配合量が多くなって、肌なじみやなめらかな使用感が低下する場合があった。さらに、これらの文献のように、乳化助剤として高級アルコールを組み合わせた場合には、乳化界面から高級アルコールが水相中に析出することにより粘度が高くなる場合や、逆に、乳化界面から油相側へ溶解して粘度が低くなる場合があり、さらには、高級アルコールの一部が乳化剤(例えば、リン脂質)とゲルを形成することによって増粘が進行する場合があるなど、化粧料の塗布時のなめらかな感触等の使用性に問題となる場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-4912号公報
【特許文献2】特開2008-44866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、液体の極性油を配合した水中油型乳化組成物(特に化粧料)において、特定の界面活性剤(特に乳化力の比較的弱い界面活性剤、特にリン脂質)を乳化剤として用いた場合であっても、乳化安定性に優れ、使用感も良好な乳化組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記に挙げる実施態様を含むが、これらに限定されるものではない。
[項1]次の成分(A)~(F):
(A)HLB12.0以上のノニオン性界面活性剤、およびイオン性界面活性剤からなる群から選択される1種又は2種以上の界面活性剤、
(B)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル、
(C)液体の極性油、
(D)脂肪酸グリセリル、
(E)水溶性高分子、および、
(F)水、
を含有する、水中油型乳化組成物(以下「本乳化組成物」という)。
[項2]成分(B)に対する成分(D)の含有量の割合((D)/(B))が、重量比において、0.4以上である、項1に記載の水中油型乳化組成物。
[項3]成分(A)の少なくとも1つが、リン脂質である、項1または2に記載の水中油型乳化組成物。
[項4]成分(A)に対する成分(B)の含有量の割合((B)/(A))が、重量比において、0.2以上である、項1~3のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
[項5]油性成分総量に対する、成分(C)を含めた極性油の含有量の合計の割合(極性油/油性成分総量)が、重量比において、0.2以上である、項1~4のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
[項6]油性成分総量に対する、成分(A)および成分(B)の含有量の合計の割合(((A)+(B))/油性成分総量)が、重量比において、0.05以上である、項1~5のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
[項7]成分(C)が、常温で液体形態である、合成もしくは天然の脂肪酸、その脂肪酸エステル、または高級アルコールから選ばれる、液体の極性油である、項1~6のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
[項8]成分(D)が、ステアリン酸グリセリルである、項1~7のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
[項9]成分(E)が、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、およびカルボマーからなる群から選択される1種以上を含む、項1~8のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
[項10]成分(G)として高級アルコールをさらに含む、項1~9のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
[項11]成分(H)として脂肪酸をさらに含む、項1~10のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
[項12]乳化化粧料である、項1~11のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
[項13]皮膚用である、項1~12のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
[項14]次の成分(A)~(F):
(A)HLB12.0以上のノニオン性界面活性剤、およびイオン性界面活性剤からなる群から選択される1種又は2種以上の界面活性剤、
(B)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル、
(C)液体の極性油、
(D)脂肪酸グリセリル、
(E)水溶性高分子、および、
(F)水、
を混合することを含む、水中油型乳化組成物の製造における乳化安定化方法(以下「本乳化安定化方法」という)。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルを用いることで、液体の極性油を配合した場合でも、乳化安定性がよく、使用感に優れる水中油型乳化組成物(特に化粧料)を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の水中油型乳化組成物は、次の成分(A)~(F):
(A)HLB12.0以上のノニオン性界面活性剤、およびイオン性界面活性剤からなる群から選択される1種又は2種以上の界面活性剤、
(B)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル、
(C)液体の極性油、
(D)脂肪酸グリセリル、
(E)水溶性高分子、および、
(F)水、
を含有する。
なお、本明細書中、(A)~(F)は成分の標識記号であり、以下、成分(A)などともいう。
【0010】
成分(A)
成分(A)は、HLB12.0以上のノニオン性界面活性剤、およびイオン性界面活性剤からなる群から選択される1種又は2種以上の界面活性剤である。成分(A)に含まれるノニオン性界面活性剤は、HLB値が12.0以上であり、比較的親水性の高い界面活性剤である。もちろん、成分(A)が本乳化組成物中に含まれるのであれば、本乳化組成物は、HLB12.0未満のノニオン性界面活性剤をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。HLB値は、典型的にはノニオン性界面活性剤の水と油(疎水性の油)の親和性の程度を示す指標であり、その値が高いほど、親水性が高くなる。HLB値は、各物質に固有の値として求めることができ、あるいは公に知られている。HLB値(親水性-親油性のバランス(Hydrophilic-Lypophilic Balance))は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
【0011】
HLB12.0以上のノニオン性界面活性剤としては、これに限定されるものではないが、例えば、HLB値が12.0以上の、脂肪酸ポリオキシエチレン系界面活性剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸ポリグリセリル系界面活性剤、およびショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられ、具体例としては、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(HLB14.9)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(HLB15.0)、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(HLB16.7)、セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース(HLB15.0)、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(HLB13.8)、モノステアリン酸PEG-40(HLB17.5)、PEG-30フィトステロール(HLB18.0)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HLB14.0)、モノステアリン酸デカグリセリル(HLB12.0)、ポリオキシエチレンアルキル(12~15)エーテルリン酸(10E.O.)(HLB13.5))、およびステアリン酸スクロース(HLB15.0)などが挙げられる。
【0012】
イオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤(両イオン性界面活性剤)のいずれも用いることができる。このうち、アニオン性界面活性剤および両イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0013】
アニオン性界面活性剤としては、N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム、およびステアロイル乳酸ナトリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0014】
両性界面活性剤としては、リン脂質、ラウリルジメチルベタイン等のアルキルベタイン型両性界面活性剤、オレイン酸アミドプロピルベタイン等のアミドプロピルベタイン型両性界面活性剤、およびラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等のアミノ酸型両性界面活性剤などが挙げられるが、これに限定されるものではない。リン脂質は、両親媒性物質であり、本明細書では、両性界面活性剤に分類される。
【0015】
成分(A)として、特に、リン脂質を含むことが好ましい。リン脂質はレシチンとも呼ばれる。リン脂質は、皮膚への親和性が良好な保湿効果の高い界面活性物質であり、リン脂質によって界面活性効果とともに、使用感および保湿性の優れた乳化組成物を得ることができる。ここで、リン脂質は、肌への適合性が高いものの、乳化力が弱くなりやすい傾向にあるが、本乳化組成物では、特に成分(B)を含むこと等によって、リン脂質を乳化剤として用いた場合でも乳化安定性に優れた乳化組成物を得ることができる。本明細書において、リン脂質とは、グリセリンまたはスフィンゴシンを中心骨格として脂肪酸とリン酸が結合し、さらにリン酸にアルコールがエーテル結合した構造を有する化合物をいう。リン脂質としては、天然リン脂質および合成リン脂質のいずれであってもよく、またこれらのリン脂質を水素添加した水素添加リン脂質であってもよい。天然リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、卵黄リン脂質、大豆リン脂質等を挙げることができ、合成リン脂質としては、例えば、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、等を挙げることができる。また水素添加リン脂質としては、例えば、水素添加大豆リン脂質、水素添加大豆リゾリン脂質、水素添加卵黄リン脂質、水素添加ホスファチジルコリン、水素添加ホスファチジルセリン、等を挙げることができるが、とりわけ水素添加大豆リン脂質を好ましく用いることができる。
【0016】
本乳化組成物における成分(A)の含有量(複数ある場合はその合計量)は、これに限定されるものではないが、十分な界面活性能力を得る観点から、本乳化組成物総量(100重量%)に対して、0.001~10重量%とすることができ、好ましくは0.01~5重量%、より好ましくは0.1~1重量%とすることができる。特に成分(A)としてリン脂質が含まれる場合、十分な界面活性能力とともに、なめらかさなどの使用感を向上させるために、リン脂質の含有量が上記の範囲であることが好ましい。
【0017】
成分(B)
成分(B)のベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、下記の構造式で表される物質であり、分子内にホスホコリンの構造(-N(CH(CH-O-PO -)を有する化合物である。
【化1】
ホスホコリンの部分(ホスホコリン基ともいう)は、リン脂質の極性基であり、親水基として機能する。また、ホスホコリン基の両側にはそれぞれ、アルキル基(C22とC18の飽和アルキル)が結合しており、このアルキル基が疎水基として機能する。そのため、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、界面活性剤として機能し得る。より詳しくは、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、カチオン性部分とアニオン性部分との両方を含むため、両性界面活性剤(両イオン性界面活性剤)として分類される。また、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、リン脂質と類似の化学構造を有しているため、界面活性剤として使用され得るリン脂質との親和性が高い。したがって、本乳化組成物は、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルを含むことで、界面活性剤(特にリン脂質)の乳化を補い、乳化安定性を向上させることができる。また、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルはリン脂質と類似の構造を有することから、皮膚への親和性が高いと考えられ、本乳化組成物(特に化粧料)を皮膚に適用したときに、なめらかさなどの良好な使用感や保湿性などを得ることができる。ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、市販のもの(例えば、日油株式会社製「Vinoveil-BS-100P」)を用いることができる。
【0018】
本乳化組成物における成分(B)(ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル)の含有量は、これに限定されるものではないが、乳化安定性を向上させる観点から、本乳化組成物総量(100重量%)に対して、0.001~20重量%とすることができ、好ましくは0.01~15重量%、より好ましくは0.1~10重量%、さらに好ましくは0.2~10重量%、よりさらに好ましくは0.3~9重量%、より一層さらに好ましくは0.4~8重量%とすることができる。成分(B)の量が多くなるほど、成分(A)の界面活性剤を補助する能力が高まり組成物の乳化安定性が向上し得る。特に、成分(B)が0.1重量%を超えると(特に0.2重量%以上、さらに0.3重量%以上、あるいは0.4重量%以上)、乳化安定性が著しく向上する。ただし、成分(B)が多すぎると、使用感が損なわれる場合もあるため、上記のような上限(好ましくは20重量%以下)での配合が好ましい。
【0019】
成分(C)
成分(C)の液体の極性油は、本発明の水中油型乳化組成物(すなわちエマルション)において主要な油分を構成し得る。液体の極性油が含まれることにより、化粧料等へ優れた使用感を与えることが可能になる。具体的には、極性油によって、適度な密着感と肌上での伸びを良好にすることができ、使用中(塗布中)においてはなめらかな使用感を与えることができるとともに、使用後にはべたつき感およびツッパリ感を抑えながら適度な膜感をもたせることができる。本明細書において、極性油とは、分子内に極性を有する油を意味する。また、本明細書において、極性油における液体とは、化粧料を使用する際の通常の温度(例えば、10~30℃)において液体であることが好ましく、例えば常温(具体的には25℃)の条件下で液体であることを意味する。
【0020】
液体の極性油としては、これに限定されるものではないが、例えば、合成エステル油および天然エステル油、高級アルコール、および脂肪酸などを挙げることができる。その中でも好ましくは、成分(C)が、常温(具体的には25℃)で液体形態である、合成もしくは天然の脂肪酸、その脂肪酸エステル、または高級アルコールから選ばれる、液体の極性油であることが好ましい。
【0021】
合成エステル油は、特に限定されるものではないが、合成の脂肪酸のエステルとして、脂肪酸と低級または高級アルコールとのエステル、脂肪酸と多価アルコール(例えば、二価または三価のアルコール)とのモノエステル、ジエステルまたはトリエステル、などが挙げられる。
【0022】
合成エステル油は、特に合成の脂肪酸のエステルとして、具体的には、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソドデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸-2-エチルヘキシル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、アジピン酸ジイソブチル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、乳酸オクチルドデシル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット(テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル)、トリメリト酸トリトリデシル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、およびイソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、安息香酸アルキル(C12-15)、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、ポリヒドロキシステアリン酸、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、等が例示されるが、これに限定されるものではない。また、上記の合成の脂肪酸のエステルの他に、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)、酢酸トコフェロール、炭酸ジアルキル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ポリシリコーン-15、等も例示されるが、これに限定するものではない。これらのうち、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(別名:トリエチルヘキサノイン)など、脂肪酸と多価アルコールとのジエステルまたはトリエステルがより好ましい。
【0023】
天然エステル油は、特に天然の脂肪酸のエステルとして、具体的には、アボガド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、ホホバ油、および胚芽油、アブラナ種子油、アルモンド油、アンズ核油、エゴマ油、オレンジ油、キウイ種子油、ブドウ種子油、米胚芽油、セージ油、チャ種子油、月見草油、ハトムギ油、ピーナッツ油、ひまわり油、ひまわり種子油、メドウフォーム油、ローズマリー油、ホホバ種子油、ラベンダー油、ローズヒップ油、ミンク油等が例示されるが、これに限定されるものではない。
【0024】
高級アルコールとしては、具体的には、イソステアリルアルコール、2-ヘキシルデカノール、およびオレイルアルコール、等が例示されるが、これに限定されるものではない。
【0025】
脂肪酸としては、具体的には、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、およびオレイン酸、等が例示されるが、これに限定されるものではない。これらのうち、イソステアリン酸がより好ましい。
【0026】
成分(C)の含有量(複数ある場合はその合計量)は、これに限定されるものではないが、使用感(なめらかさ、後肌の良さ等)の良好な乳化組成物(特に化粧料)を得る観点から、本乳化組成物総量(100重量%)に対して、0.001~50重量%とすることができ、好ましくは0.01~40重量%、より好ましくは0.1~30重量%、よりさらに好ましくは1~20重量%とすることができる。
【0027】
成分(D)
脂肪酸グリセリルは、脂肪酸とグリセリンとのエステルである。グリセリン脂肪酸エステルとも称せられる。脂肪酸グリセリルが含まれることにより、乳化安定性をさらに向上することができる。脂肪酸グリセリルとしては、例えば、ステアリン酸グリセリル、水添ナタネ油脂肪酸グリセリズ、およびイソステアリン酸グリセリル、等が挙げられるが、これに限定されるものではない。脂肪酸グリセリルとして、特に、ステアリン酸グリセリル、および水添ナタネ油脂肪酸グリセリズから選ばれる1種以上が好ましく、ステアリン酸グリセリルがより好ましい。なお、成分(D)の脂肪酸グリセリルは極性油であってもよいが、このとき、固体の極性油であってもよいし、液体の極性油であってもよい。液体の極性油の場合、成分(C)を兼ねることになる。一実施態様では、成分(D)は固体であり得る。
【0028】
成分(D)の含有量(複数ある場合はその合計量)は、これに限定されるものではないが、乳化安定性を向上させる観点から、本乳化組成物総量(100重量%)に対して、0.001~20重量%とすることができ、好ましくは0.01~15重量%、より好ましくは0.1~10重量%とすることができる。
【0029】
成分(E)
水溶性高分子は、本乳化組成物において、外相である水相で溶解して高分子ネットワークを形成し、さらに粘度を高めて、相を分離しにくくさせて、組成物の乳化状態の安定性を向上することができると考えられる。水溶性高分子としては、例えば、ポリアクリル酸とメタクリル酸アルキルとの共重合体、および架橋型ポリアクリル酸などのアクリル酸系ポリマー、ならびに多糖類などが挙げられ、具体的には、例えば、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、カルボマー、キサンタンガム、セルロースガム、寒天、ジェランガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体、ポリビニルアルコール、コラーゲン、ヒアルロン酸、アクリレーツコポリマー、およびカラギーナン、等が挙げられるが、これに限定されるものではない。水溶性高分子として、特に、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、カルボマー、およびキサンタンガムから選ばれる1種以上が好ましく、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーおよびカルボマーから選ばれる1種以上がさらに好ましい。なお、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーは、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体と称されるものを包含する。(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーは、市販のもの(例えば、LUBRIZOL社製など)を使用することができる。
【0030】
成分(E)の含有量(複数ある場合はその合計量)は、これに限定されるものではないが、乳化安定性を向上させる観点から、本乳化組成物総量(100重量%)に対して、0.0001~10重量%とすることができ、好ましくは0.001~5重量%、より好ましくは0.01~1重量%とすることができる。
【0031】
成分(F)
成分(F)の水は、水中油型乳化組成物において、必須の成分となる。水は、これに限定されるものでないが、精製水が好ましく用いられる。本乳化組成物においては、乳化の形態が水中油型(O/W)となっており、水相が外相となり、油相が内相となる。
【0032】
成分(F)は、本乳化組成物中でもっとも含有量の多い成分となり得る。水中油型となる本乳化組成物における成分(F)の水の含有量は、油性成分総量よりも多いことが好ましく、油性成分総量の2倍以上、または3倍以上であってもよい。また、本乳化組成物総量(100重量%)に対して、成分(F)の含有量は、これに限定されるものではないが、1~99重量%とすることができ、好ましくは10~98重量%、より好ましくは20~95重量%、よりさらに好ましくは30~90重量%とすることができる。また、製剤の形態にもよるが、成分(F)の含有量は、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、あるいは70重量%以上、であってもよい。
【0033】
本乳化組成物は、成分(G)として高級アルコールをさらに含むことが好ましい。高級アルコールによって、乳化がさらに安定化するとともに、肌へのなめらかさ等の使用感が向上する。本発明では、成分(B)のベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルによって、高級アルコールの乳化界面の移動(油相から水相、または水相から油相)を起因とする組成物の不安定化(粘度上昇または粘度低下、あるいはゲル化など)が特に抑制され得ると推測されるが、本発明はこの推測に限定されるものではない。本明細書において、高級アルコールとは、炭素数6以上(具体的には炭素数6~24、好ましくは炭素数8~22より好ましくは炭素数10~20)の鎖状の炭化水素基を有する1価のアルコールを意味する。高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、イソステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、およびセトステアリルアルコール、等が挙げられるが、これに限定されるものではない。高級アルコールとして、特に、セトステアリルアルコールが好ましい。なお、成分(G)の高級アルコールは極性油に分類されるものであってもよいが、このとき、固体の極性油であってもよいし、液体の極性油であってもよい。成分(G)が液体の極性油の場合、成分(C)を兼ねることになる。一実施態様では、成分(G)は固体であり得る。
【0034】
成分(G)が本乳化組成物に含まれる場合、成分(G)の含有量(複数ある場合はその合計量)は、これに限定されるものではないが、乳化安定性を向上させる観点から、本乳化組成物総量(100重量%)に対して、0.0001~20重量%とすることができ、好ましくは0.001~10重量%、より好ましくは0.01~5重量%とすることができる。本乳化組成物は、ある実施態様では、成分(G)を含まなくてもよく、その場合、含有量は0重量%となる。
【0035】
本乳化組成物は、成分(H)として脂肪酸をさらに含むことが好ましい。脂肪酸によって、乳化がさらに安定化するとともに、肌へのなめらかさ等の使用感が向上する。脂肪酸としては、高級脂肪酸が好ましい。本明細書において、高級脂肪酸とは、炭素数12以上の脂肪酸を意味する。脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよいし、不飽和脂肪酸であってもよいが、安定性の観点等から飽和脂肪酸が好ましい。脂肪酸(高級脂肪酸)としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、およびイソステアリン酸、等が挙げられるが、これに限定されるものではない。高級脂肪酸として、特に、ステアリン酸、およびイソステアリン酸から選ばれる1種以上が好ましい。なお、成分(H)の高級脂肪酸は極性油に分類されるものであってもよいが、このとき、固体の極性油であってもよいし、液体の極性油であってもよい。成分(H)が液体の極性油の場合、成分(C)を兼ねることになる。イソステアリン酸は、液体の極性油に該当する。一実施態様では、成分(H)は固体であり得る。
【0036】
成分(H)が本乳化組成物に含まれる場合、成分(H)の含有量(複数ある場合はその合計量)は、これに限定されるものではないが、乳化安定性を向上させる観点から、本乳化組成物総量(100重量%)に対して、0.0001~20重量%とすることができ、好ましくは0.001~10重量%、より好ましくは0.01~5重量%とすることができる。本乳化組成物は、ある実施態様では、成分(H)を含まなくてもよく、その場合、含有量は0重量%となる。
【0037】
その他の成分
本乳化組成物は、水中油型乳化組成物(特に化粧料)として配合され得る種々の成分を含有してもよい。そのような成分として、例えば、保湿剤、増粘剤、粉体、色素、紫外線吸収剤、被膜形成性剤、pH調整剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、植物抽出エキス、防腐剤、香料などが挙げられる。例えば、pH調整剤は、ある種の水溶性高分子(例えば、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーおよびカルボマーなどのアクリル酸系ポリマー)の粘度の調整を行うこともできるため、好ましく用いられる。pH調整剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびトリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0038】
また、本乳化組成物は、成分(A)~(F)を含有する限りにおいて、HLB12.0未満のノニオン性界面活性剤をさらに含んでもよい。HLB12.0未満のノニオン性界面活性剤としては、これに限定されるものではないが、例えば、セスキオレイン酸ソルビタン、PEG-5フィトステロール、およびポリオキシエチレンアルキル(12~15)エーテルリン酸(8E.O.)、等が挙げられる。
【0039】
また、本乳化組成物は、固形の極性油を含んでいてもよい。固形の極性油は、上記で述べたように、成分(D)、成分(G)および成分(H)として含まれてもよいし、それ以外の成分として含まれていてもよい。固形の極性油としては、これに限定されるもではないが、例えば、合成エステル油および天然エステル油などのエステル油、高級アルコール、および脂肪酸などを挙げることができる。具体的には、例えば、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ステアリルアルコール、ラウリン酸、および、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等が挙げられるが、これに限定されるものではない。なお、本明細書において、極性油における固形とは、25℃の条件下において固体であることを意味する。
【0040】
本乳化組成物は、非極性油を含んでいてもよい。本明細書において、非極性油とは、極性を有しない分子により構成される油を意味する。非極性油としては、炭化水素化合物やシリコン系化合物が挙げられ、具体的には、例えば、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、α-オレフィンオリゴマー、ワセリン、イソドデカン、および水添ポリイソブテン、ジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、シクロペンタシロキサン、等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0041】
また、本乳化組成物は、上記において例示した油性成分以外の油性成分を含んでいてもよい。そのような油性成分としては、ペースト油として、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ステアリン酸硬化ヒマシ油、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、イソステアリン酸デキストリン、等が挙げられ、固形油として、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、等が挙げられ、固形の水系分散可能な成分として、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0042】
本乳化組成物は、適宜、水溶性の液体成分を含み得る。水溶性液体成分としては、水溶性のアルコール、多価アルコールなどが挙げられる。水溶性のアルコールとしては、エタノール、メタノール、プロパノール、およびイソプロパノールなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、およびジプロピレングリコールなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0043】
好ましい成分の比率
本乳化組成物では、成分(B)に対する成分(D)の含有量の割合((D)/(B))が、重量比において、0.2以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.4以上であることがさらに好ましい。この割合((D)/(B))が上記のように高くなることで、乳化安定性がさらに向上し、使用感の良好な乳化組成物が得られる。この割合((D)/(B))は、0.5以上、または0.8以上であってもよい。ただし、この割合((D)/(B))が高くなりすぎると、本乳化組成物における成分(B)の含有量が相対的に低くなりすぎるおそれがあるため、例えば、この割合((D)/(B))は、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下であってよいが、これに限定されるものではない。
【0044】
本乳化組成物では、成分(A)に対する成分(B)の含有量の割合((B)/(A))が、重量比において、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.2以上であることがさらに好ましい。この割合((B)/(A))が上記のように高くなることで、成分(B)の成分(A)に対する乳化補助の作用が効果的に得られるため、乳化安定性がさらに向上し、また、界面活性能を有し得る成分の中で成分(B)の割合が高まることによって、後肌のよさ(適度な膜感)が良好な乳化組成物をより得られやすくすることができる。この割合((B)/(A))は、0.3以上、または0.5以上、あるいは0.8以上であってもよい。ただし、この割合((B)/(A))が高くなりすぎると、本乳化組成物における成分(A)の含有量が相対的に低くなりすぎて界面活性能が低下するおそれがあり、また後肌のよさ(適度な膜感)も低下するおそれがあるため、例えば、この割合((B)/(A))は、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下であってよいが、これに限定されるものではない。
【0045】
本乳化組成物では、油性成分総量に対する、成分(C)を含めた極性油の含有量の合計の割合(極性油/油性成分総量)が、重量比において、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.2以上であることがさらに好ましい。この割合(極性油/油性成分総量)が高くなることで、油性成分中に含まれる極性油の割合が多くなり、後肌(適度な密着感や膜感)がよく、使用中に伸びてなめらかな使用感を与える乳化組成物(特に化粧料)を得やすくすることができる。ここで、この割合において、極性油とは、成分(C)を含めた極性油であり、すなわち、液体の極性油、固体(固形)の極性油、および配合される場合には半固形の極性油を含む、全ての極性油を意味する。したがって、極性油の含有量は、極性油総量を意味する。また、油性成分とは、極性油および非極性油を含む油性の成分全体を意味する。油性成分には、水、界面活性剤、水溶性高分子、無機塩および有機塩は、含まれない。この割合(極性油/油性成分総量)は、0.3以上、または0.5以上、あるいは0.8以上であってもよい。なお、極性油は油性成分の構成成分であるため、この割合(極性油/油性成分総量)の上限は1であり(油性成分の全てが極性油の場合)、すなわち、この割合(極性油/油性成分総量)は1以下である。
【0046】
本乳化組成物では、油性成分総量に対する、成分(A)および成分(B)の含有量の合計の割合(((A)+(B))/油性成分総量)が、重量比において、0.01以上であることが好ましく、0.03以上であることがより好ましく、0.05以上であることがさらに好ましい。この割合(((A)+(B))/油性成分総量)が高くなることで、油性成分をより十分な量の成分(A)および成分(B)で乳化することができ、乳化安定性を向上することができる。なお、上記と同じく、油性成分とは、極性油および非極性油を含む油性の成分全体を意味し、また、油性成分には、水、界面活性剤、水溶性高分子、無機塩および有機塩は、含まれない。この割合(((A)+(B))/油性成分総量)は、0.06以上、または0.08以上、あるいは0.09以上であってもよい。ただし、この割合(((A)+(B))/油性成分総量)が高くなりすぎると、本乳化組成物における成分(A)と成分(B)の合計量が乳化に要する量を超えて高くなりすぎて過剰となったり、あるいは油性成分の含有量が相対的に低くなって使用感が低下したりするおそれがあるため、例えば、この割合(((A)+(B))/油性成分総量)は、好ましくは1以下、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.6以下であってよいが、これに限定されるものではない。
【0047】
本乳化組成物は、乳化化粧料(すなわち、水中油型乳化化粧料)であることが好ましい一実施態様である。その場合、乳化安定性に優れ、使用感の良好な化粧料を得ることができる。化粧料としては、皮膚化粧料、毛髪化粧料などが挙げられるが、本乳化組成物は、皮膚用の乳化組成物、特に皮膚化粧料(皮膚用の化粧料)であることが特に好ましい。また、本乳化組成物は、スキンケア製品およびメイク製品を含め、あらゆる用途の乳化組成物に適用可能である。本乳化組成物は、使用中(塗布中)になめらかな感触を与えることができ、後肌がよく、塗布後のべたつき感およびツッパリ感を低減し、膜感を感じさせることができる。
【0048】
皮膚化粧料としては、水中油型乳化の形態をとるものであれば、特に限定されるものではなく、種々の用途の化粧料として利用することができる。例えば、乳液、クリーム、美容液、ハンドクリーム、アイクリーム、ボディクリーム、メーキャップ化粧料、化粧用下地、ファンデーションなどの化粧料が例示される。皮膚化粧料の使用方法としては、手や指につけて塗布する方法、コットンで使用する方法、不織布などに含浸させて使用する方法、スプレーやミストで吹きつける方法などが挙げられる。
【0049】
毛髪化粧料としては、水中油型乳化の形態をとるものであれば、特に限定されるものではなく、種々の用途の化粧料として利用することができる。例えば、ヘアクリーム、ヘアワックス、ヘアリンス、ヘアマスク、ヘアトリートメントなどの化粧料が例示される。毛髪化粧料の使用方法としては、手や指につけて塗布する方法、スプレーやミストで吹きつける方法などが挙げられる。
【0050】
本乳化組成物は、上記した成分を混合することにより製造することができる。例えば、予め加熱および混合した水性成分と、予め加熱および混合した油性成分とを混合して乳化させ、その後、冷却する方法を利用することができる。もちろん、本乳化組成物を製造する方法は、これに限定されるものではない。
【0051】
本明細書においては、成分(A)~(F)を混合することを含む、水中油型乳化組成物の製造における乳化安定化方法が開示される。上記したように、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルの配合によって、乳化が安定化し得る。その適用方法や適用手段などは、特に限定されるものではないが、好ましくは、上述のとおりである。
【0052】
以上のように、本発明の一実施態様では、主たる乳化剤として親水性の界面活性剤(特にリン脂質)(成分(A))を用い、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分(B))を乳化助剤として用いることで、液体の極性油(成分(C))を配合(特に高配合)した水中油型乳化組成物(特に化粧料)においても、乳化安定性が高く、なめらかな感触に優れ、後肌の膜感(べたつきのなさ)にも優れる水中油型乳化組成物を提供することが可能である。そして、高級アルコール(成分(G))をさらに配合した場合には、高級アルコールによる乳化安定性向上と使用感の向上の効果が得られることに加え、高級アルコールを起因とする粘度変化やゲル化を抑制することが可能となり、安定な水中油型乳化組成物を提供することが可能である。
【実施例0053】
以下、本発明に係る水中油型乳化組成物を実施例により説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0054】
表1および表2に、実施例1~24および比較例1~6の乳化組成物(乳化化粧料、具体的には乳液)の成分およびその配合量(重量%)、重量比の関係、安定性等の評価の結果を示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
表1および表2に示す実施例および比較例は、以下の方法により製造した。
実施例1~11および16~24の製造方法
(1)成分(A)、(B)、(C)、(D)、(G)および(H)を混合し、(実施例8についてはさらに流動パラフィンを混合し)、75℃に加熱溶解して溶液(油相)を得た。
(2)成分(E)、(F)および水酸化ナトリウムを混合し、75℃に加熱溶解して溶液(水相)を得た。
(3)上記(2)の溶液に上記(1)の溶液を加えて混合し、乳化させた。
(4)上記(3)の混合物を冷却し、乳化組成物を得た。
【0058】
実施例12~15の製造方法
(1)成分(B)、(C)、(D)、(G)および(H)を混合し、75℃に加熱溶解して溶液を得た。
(2)成分(A)、(E)、(F)および水酸化ナトリウムを混合し、75℃に加熱溶解して溶液(水相)を得た。
(3)上記(2)の溶液に上記(1)の溶液を加えて混合し、乳化させた。
(4)上記(3)の混合物を冷却し、乳化組成物を得た。
【0059】
比較例1~6の製造方法
比較例1は、成分(A)を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして製造し、乳化組成物を得た。
比較例2は、成分(A)に変えて、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HLB10.5)を用いたこと以外は、実施例12と同様にして製造し、乳化組成物を得た。
比較例3は、成分(B)を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして製造し、乳化組成物を得た。
比較例4は、成分(E)および水酸化ナトリウムを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして製造し、乳化組成物を得た。
比較例5は、成分(D)を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして製造し、乳化組成物を得た。
比較例6は、成分(C)を配合しなかったこと以外は、実施例8と同様にして製造し、乳化組成物を得た。
【0060】
表1および表2に示す実施例および比較例の乳化組成物の評価は、以下の方法により行った。
乳化安定性
乳化組成物を40℃の恒温槽に1ヶ月間(30日間)静置し、分離等の外観変化の有無を目視にて観察した。外観変化(相の分離など)が認められるまでの日数を確認した。
◎:30日後までまったく外観変化が認められない
○:14日~29日の間で外観変化が認められた
△:2日~13日の間で外観変化が認められた
×:恒温槽に静置後~1日の間で外観変化が認められた
【0061】
製造直後の結晶物の抑制
製造直後の乳化組成物について、結晶物の有無を目視にて観察した。
◎:結晶物がまったく認められない
○:結晶物がわずかに認められるが、極少量であり肌で触れた際に全く気にならない
△:結晶物がわずかに認められ、少量ではあるが肌で触れた際に気になる(存在を認識できる)
×:結晶物が明らかに認められる
【0062】
経時の結晶物の抑制
乳化組成物を40℃の恒温槽に1週間(7日間)静置し、結晶物の有無を目視にて観察した。
◎:結晶物がまったく認められない
○:結晶物がわずかに認められるが、極少量であり肌で触れた際に全く気にならない
△:結晶物がわずかに認められ、少量ではあるが肌で触れた際に気になる(存在を認識できる)
×:結晶物が明らかに認められる
【0063】
使用中のなめらかさ
専門評価パネル20名が下記絶対基準(評点)にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には、各試料を肌にのせ、伸び広げた際になめらかさ(伸び広がりの良さ)を感じたかどうかを評価した。
<評点>
3 :なめらかさ(伸び広がり)を十分に感じられる
2 :なめらかさ(伸び広がり)を感じられるが、わずかに不十分である
1 :なめらかさ(伸び広がり)がやや不十分である
0 :なめらかさ(伸び広がり)が不十分である
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
2.5点以上 : ◎
2点以上2.5点未満: ○
1点以上2点未満 : △
1点未満 : ×
【0064】
(後肌)適度な膜感
専門評価パネル20名が下記絶対基準(評点)にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には、各試料を肌にのせ伸び広げた後の肌が、べたつき感やツッパリ感を感じていないかどうか、および膜感を感じられるかどうかを評価した。
<評点>
3 :べたつき感・ツッパリ感をともに感じず、膜感を十分に感じられる
2 :べたつき感・ツッパリ感をともに感じないが、膜感がわずかに不十分である
1 :べたつき感・ツッパリ感のどちらかを感じ、膜感がやや不十分である
0 :べたつき感・ツッパリ感のどちらかを感じ、膜感が不十分である
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
2.5点以上 : ◎
2点以上2.5点未満: ○
1点以上2点未満 : △
1点未満 : ×
【0065】
結果
成分(A)~(F)を含有する実施例1~24は、全ての評価項目(乳化安定性、製造直後の結晶物の抑制、経時の結晶物の抑制、使用中のなめらかさ、および(後肌)適度な膜感)において、×の評価がなく、乳化安定性および使用感がバランスよく良好であった。一方、比較例1~6は、「(後肌)適度な膜感」の評価項目において×の評価を示し、さらに、比較例3~5は、「乳化安定性」、「製造直後の結晶物の抑制」および「経時の結晶物の抑制」においても×の評価であった。
【0066】
実施例(処方例)
化粧料として使用可能な、以下の実施例を製造した。なお、以下の実施例において、配合量(重量%)で「残量」とあるのは、合計量が100重量%となる量であることを意味する。
【0067】
実施例25:乳液
(成分) (重量%)
1.水素添加大豆リン脂質(水素添加大豆レシチン)(成分A) 1.0%
2.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分B) 1.0%
3.ジカプリン酸PG(成分C) 5.0%
4.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(成分C) 3.0%
5.イソノナン酸イソトリデシル(成分C) 1.0%
6.イソステアリン酸(成分C)(成分H) 2.0%
7.オレイン酸エチル(成分C) 0.5%
8.ホホバ油(成分C) 1.0%
9.ステアリン酸グリセリル(成分D) 1.5%
10.ベヘニルアルコール(成分G) 0.5%
11.セトステアリルアルコール(成分G) 1.5%
12.スクワラン 3.0%
13.ワセリン 0.5%
14.ラウロイルグルタミン酸(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)
0.5%
15.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) 0.3%
16.テトラヘキシルデカン酸アスコルビル(成分C) 0.2%
17.カルボマー(成分E) 0.1%
18.(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー)(成分E) 0.1%
19.キサンタンガム(成分E) 0.1%
20.1,3-ブチレングリコール 8.0%
21.ジプロピレングリコール 3.0%
22.水酸化ナトリウム 0.06%
23.エタノール 3.0%
24.フェノキシエタノール 0.5%
25.マツリカ花エキス、ブドウ葉エキス、セイヨウハッカ葉エキス、ビフィズス菌培養溶解質、サトザクラ花エキス、ポリクオタニウム-51、ノイバラ果実エキス、ハマナス花エキス、イザヨイバラエキス、水溶性コラーゲン、ローヤルゼリーエキス、トウキ根エキス、センチフォリアバラ花エキス、ダマスクバラ花水、ローズマリー葉エキス、アセロラ果実エキス、アセチルグルタミン酸、テアニン、グリシン、加水分解ヒアルロン酸、およびヒアルロン酸Naの混合物(美容成分の混合物)
1.0%
26.精製水(成分F) 残量
【0068】
(製造方法)
(1)成分1~16を75℃に加熱溶解して溶液(油相)を得た。
(2)成分17~21を混合し、成分26の一部を加え、75℃に加熱混合し、溶液(水相)を得た。
(3)上記(2)の溶液に成分22および残りの成分26を加え溶液(水相)を得た。
(4)上記(3)の溶液に上記(1)を加え、乳化し乳化物を得た。
(5)上記(4)の乳化物を冷却した後、均一混合した成分23、24を加え、その後成分25を加え、混合し乳化組成物を得た。
(評価)
実施例25の乳液は、乳化安定性および使用感(使用中のなめらかさ、後肌など)もよいことが確認された。
なお、重量比の関係は次のとおりであった。(D)/(B)は、1.5であった。(B)/(A)は、1.0であった。ここで、油性成分は、成分3~16であり、その総量は20.5%である。また、油性成分のうちの成分12および13以外の成分が極性油であり、その総量は17.0%である。よって、極性油/油性成分総量は、0.829であった。((A)+(B))/油性成分総量は、0.098であった。
【0069】
実施例26:クリーム
(成分) (重量%)
1.水素添加大豆リゾリン脂質(水素添加大豆リゾレシチン)(成分A)0.5%
2.N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム(成分A) 0.2%
3.モノステアリン酸ポリエチレングリコール(成分A) 0.1%
4.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分B) 1.2%
5.ポリオキシエチレンアルキル(12~15)エーテルリン酸(8E.O.)
0.01%
6.N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム(成分A) 0.05%
7.ステアリン酸硬化ヒマシ油 1.0%
8.ジカプリン酸PG(成分C) 3.0%
9.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル
1.0%
10.ジリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)(成分C) 1.0%
11.ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2(成分C) 2.0%
12.2-エチルヘキサン酸セチル(成分C) 2.0%
13.オレイン酸エチル(成分C) 0.2%
14.メドウフォーム油(成分C) 2.0%
15.オリーブ油(成分C) 1.5%
16.ベヘニルアルコール(成分G) 1.5%
17.セトステアリルアルコール(成分G) 2.5%
18.ステアリン酸グリセリル(成分D) 1.5%
19.水添ナタネ油脂肪酸グリセリズ(成分D) 0.5%
20.スクワラン 2.0%
21.流動パラフィン 3.0%
22.ジメチコン 0.5%
23.イソステアリン酸デキストリン 0.1%
24.酢酸トコフェロール(成分C) 0.01%
25.(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー)(成分E) 0.2%
26.キサンタンガム(成分E) 0.1%
27.カラギーナン(成分E) 0.01%
28.ヒドロキシプロピルメチルセルロース(成分E) 0.01%
29.アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体(成分E) 0.1%
30.1,3-ブチレングリコール 6.0%
31.グリセリン 1.0%
32.ジグリセリン 1.0%
33.水酸化ナトリウム 0.06%
34.エタノール 3.0%
35.フェノキシエタノール 0.1%
36.メチルパラベン 0.05%
37.加水分解コンキオリン液、ゲンチアナエキス、加水分解シルク液、加水分解米エキス、海藻エキス、L-セリン、イワショウブ葉エキス、カワラヨモギ花エキス、ゲットウ葉エキス、サッカロミセスセレビシアエエキス、ザクロ果実エキス、ザクロ果皮エキス、テンニンカ果実エキス、ナス果実エキス、ハルパゴフィタム根エキス、パセリエキス、ローヤルゼリーエキス、ロサアルバ花エキス、アボカドエキス、アマチャズルエキス、カモミラ水、ムラサキシキブ果実エキス、リンゴエキス、レモングラス抽出液、一人静エキス、アスパラガスエキス、アルテミアエキス、グアバエキス、コーヒーエキス、タイソウエキス、ブドウ葉エキス、およびワレモコウエキスの混合物(美容成分の混合物)
2.0%
38.精製水(成分F) 残量
【0070】
(製造方法)
(1)成分1、4、7~24を75℃に加熱溶解して溶液(油相)を得た。
(2)成分2、3、5、6、25~32を混合し、成分38の一部を加え、75℃に加熱混合し、溶液(水相)を得た。
(3)上記(2)の溶液に成分33および残りの成分38を加え溶液(水相)を得た。
(4)上記(3)の溶液に上記(1)を加え、乳化し乳化物を得た。
(5)上記(4)の乳化物を冷却した後、均一混合した成分34~36を投入し、その後、成分37を加え、混合し乳化組成物を得た。
(評価)
実施例26のクリームは、乳化安定性および使用感(使用中のなめらかさ、後肌など)もよいことが確認された。
なお、重量比の関係は次のとおりであった。(D)/(B)は、1.67であった。(B)/(A)は、1.41であった。ここで、油性成分は、成分7~24であり、その総量は25.31%である。また、油性成分のうちの成分20~22以外の成分が極性油であり、その総量は19.81%である。よって、極性油/油性成分総量は、0.783であった。((A)+(B))/油性成分総量は、0.081であった。
【0071】
実施例27:ファンデーション
(成分) (重量%)
1.水素添加大豆リン脂質(水素添加大豆レシチン)(成分A) 1.5%
2.モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)(成分A)
0.5%
3.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分B) 1.0%
4.2-エチルヘキサン酸セチル(成分C) 1.0%
5.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(成分C) 1.0%
6.イソステアリン酸(成分C)(成分H) 2.0%
7.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(成分C) 5.0%
8.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1.0%
9.ステアリン酸グリセリル(成分D) 0.5%
10.ベヘニルアルコール(成分G) 0.4%
11.セトステアリルアルコール(成分G) 0.6%
12.スクワラン 4.0%
13.流動パラフィン 6.0%
14.ジメチコン 0.5%
15.ステアリン酸(成分H) 1.5%
16.(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー)(成分E) 0.2%
17.カルボマー(成分E) 0.1%
18.キサンタンガム(成分E) 1.5%
19.1,3-ブチレングリコール 6.0%
20.トリエタノールアミン 2.0%
21.エタノール 3.0%
22.フェノキシエタノール 0.3%
23.レシチン0.5%処理および水酸化アルミニウム3%処理酸化チタン(平均粒子径:0.25μm) 6.0%
24.ジメチコン・水酸化アルミニウム・含水シリカ処理酸化チタン
(平均粒子径:0.030μm) 1.0%
25.レシチン0.5%処理ベンガラ 0.3%
26.レシチン0.5%処理黄酸化鉄 2.0%
27.レシチン0.5%処理黒酸化鉄 0.2%
28.レシチン1%処理タルク(平均粒子径:10.5μm) 3.0%
29.酸化亜鉛(平均粒子径0.3μm) 3.0%
30.シリカ(ゴッドボールE-90C:鈴木油脂工業株式会社) 0.5%
31.シリカ(サイロスフェアC-1504:富士シリシア化学株式会社)
0.5%
32.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5%
33.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)(成分A)
0.8%
34.マツリカ花エキス、ブドウ葉エキス、セイヨウハッカ葉エキス、ビフィズス菌培養溶解質、サトザクラ花エキス、ポリクオタニウム-51、ノイバラ果実エキス、ハマナス花エキス、イザヨイバラエキス、水溶性コラーゲン、ローヤルゼリーエキス、トウキ根エキス、センチフォリアバラ花エキス、ダマスクバラ花水、ローズマリー葉エキス、アセロラ果実エキス、アセチルグルタミン酸、テアニン、グリシン、加水分解ヒアルロン酸、およびヒアルロン酸Naの混合物(美容成分の混合物)
1.0%
35.精製水(成分F) 残量
【0072】
(製造方法)
(1)成分1~15を75℃に加熱溶解して溶液(油相)を得た。
(2)成分16~19を混合し、成分35の一部を加え、75℃に加熱混合し、溶液(水相)を得た。
(3)上記(2)の溶液に成分20および残りの成分35を加え溶液(水相)を得た。
(4)上記(3)の溶液に上記(1)を加え、乳化し乳化物を得た。
(5)上記(4)の乳化物を冷却した後、均一混合した成分21、22を加え、その後、成分34を投入し、その後均一分散した成分23~33を加え、混合し乳化組成物を得た。
(評価)
実施例27のファンデーションは、乳化安定性および使用感(使用中のなめらかさ、後肌など)もよいことが確認された。
なお、重量比の関係は次のとおりであった。(D)/(B)は、0.5であった。(B)/(A)は、0.357であった。ここで、油性成分は、成分4~15であり、その総量は23.5%である。また、油性成分のうちの成分12~14以外の成分が極性油であり、その総量は13%である。よって、極性油/油性成分総量は、0.553であった。((A)+(B))/油性成分総量は、0.162であった。
【0073】
実施例28:日焼け止め
(成分) (重量%)
1.水素添加大豆リン脂質(水素添加大豆レシチン)(成分A) 0.5%
2.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)(成分A)
1.0%
3.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分B) 2.0%
4.PEG-5フィトステロール 0.6%
5.PEG-30フィトステロール(成分A) 0.4%
6.イソステアリン酸(成分C)(成分H) 2.0%
7.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(成分C) 7.0%
8.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.0%
9.ポリシリコーン-15(成分C) 3.0%
10.ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン
1.5%
11.ステアリン酸グリセリル(成分D) 1.0%
12.ベヘニルアルコール(成分G) 1.5%
13.セトステアリルアルコール(成分G) 0.5%
14.酢酸トコフェロール(成分C) 0.1%
15.セラミド3 0.1%
16.テトラヘキシルデカン酸アスコルビル(成分C) 0.1%
17.スクワラン 2.0%
18.流動パラフィン 1.0%
19.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 3.0%
20.ジメチコン 0.5%
21.ステアリン酸(成分H) 1.0%
22.(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー)(成分E) 0.2%
23.アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体(成分E) 0.4%
24.1,3-ブチレングリコール 6.0%
25.グリセリン 2.0%
26.メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール 1.0%
27.水酸化ナトリウム 0.06%
28.エタノール 5.0%
29.フェノキシエタノール 0.2%
30.香料 0.1%
31.トリイソステアリン酸イソプロピルチタン・(ジメチコン/メチコン)コポリマー処理酸化亜鉛(平均粒子径0.025μm) 15.0%
32.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー
0.5%
33.ポリヒドロキシステアリン酸(成分C) 2.5%
34.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5%
35.セイヨウニワトコ花エキス、チャ葉エキス、テンチャエキス、マツリカ花エキス、ポリクオタニウム-51、ノイバラ果実エキス、ハマナス花エキス、イザヨイバラエキス、水溶性コラーゲン、ローヤルゼリーエキス、トウキ根エキス、センチフォリアバラ花エキス、ダマスクバラ花水、ローズマリー葉エキス、アセロラ果実エキス、アセチルグルタミン酸、テアニン、グリシン、加水分解ヒアルロン酸、およびヒアルロン酸Naの混合物(美容成分の混合物)
1.0%
36.精製水(成分F) 残量
【0074】
(製造方法)
(1)成分1~21を75℃に加熱溶解して溶液(油相)を得た。
(2)上記(1)に均一分散した成分31~34を加え混合し、溶液(油相)を得た。
(3)成分22~25を混合し、成分36の一部を加え、溶液(水相)を得た。
(4)上記(3)の溶液に、成分27および成分36の大部分を加え、75℃に加熱混合し、溶液(水相)を得た。
(5)上記(4)の溶液に上記(2)を加え、乳化し乳化物を得た。
(6)上記(5)の乳化物を冷却した後、成分26と残りの成分36を加え、均一混合した成分28~30、35を投入混合し、乳化組成物を得た。
(評価)
実施例28の日焼け止めは、乳化安定性および使用感(使用中のなめらかさ、後肌など)もよいことが確認された。
なお、重量比の関係は次のとおりであった。(D)/(B)は、0.5であった。(B)/(A)は、1.053であった。ここで、油性成分は、成分6~21であり、その総量は26.3%である。また、油性成分のうちの成分17~20以外の成分が極性油であり、その総量は19.8%である。よって、極性油/油性成分総量は、0.753であった。((A)+(B))/油性成分総量は、0.148であった。