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特開2022-75290耐火版、ロケット発射台および耐火版における耐火レンガ交換方法
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  • 特開-耐火版、ロケット発射台および耐火版における耐火レンガ交換方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075290
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】耐火版、ロケット発射台および耐火版における耐火レンガ交換方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/02 20060101AFI20220511BHJP
   F41F 3/04 20060101ALI20220511BHJP
   B64G 5/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
E04B2/02 132
F41F3/04
B64G5/00
E04B2/02 131
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020185981
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】特許業務法人MTS国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100144299
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 崇
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐人
(72)【発明者】
【氏名】秋江 辰司
(72)【発明者】
【氏名】平岩 徹夫
(72)【発明者】
【氏名】野中 聡
(72)【発明者】
【氏名】中村 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直洋
(72)【発明者】
【氏名】芳仲 敏成
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐火レンガを部分的に交換可能にすることができる耐火版を提供する。
【解決手段】底板12と、底板12上に敷き詰められて配置される複数の耐火レンガ14と、耐火レンガ14の底板12上での位置の移動を規制する規制部材と、を備え、規制部材は、底板12の耐火レンガ14の配置側とは反対側の面から底板12を貫通して耐火レンガ14側に突出する軸部を有し、耐火レンガ14側に突出した軸部の一部を底板12と対向する耐火レンガ14の底面から耐火レンガ14内部に挿入することで耐火レンガ14の底板12上での位置の移動を規制し、底板12には、耐火レンガ14の底面を押圧できる貫通孔12A、12Bが設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板上に敷き詰められて配置される複数の耐火レンガと、
前記耐火レンガの前記底板上での位置の移動を規制する規制部材と、
を備え、
前記規制部材は、前記底板の前記耐火レンガ配置側とは反対側の面から前記底板を貫通して前記耐火レンガ側に突出する軸部を有し、前記耐火レンガ側に突出した前記軸部の一部を前記底板と対向する前記耐火レンガの底面から前記耐火レンガ内部に挿入することで前記耐火レンガの前記底板上での位置の移動を規制し、
前記底板には、前記耐火レンガの底面を押圧できる貫通孔が設けられていることを特徴とする耐火版。
【請求項2】
前記規制部材は、前記軸部に設けられた保持部を含み、前記耐火レンガが前記底板から離れる方向へ移動することを、前記保持部により更に規制することを特徴とする請求項1に記載の耐火版。
【請求項3】
底板と、
前記底板上に敷き詰められて配置される複数の耐火レンガと、
前記耐火レンガの前記底板上での位置の移動を規制する規制部材と、
を備え、
前記規制部材は、前記底板の前記耐火レンガ配置側とは反対側の面から前記底板を貫通して前記耐火レンガ側に突出する軸部を有し、前記耐火レンガ側に突出した前記軸部の一部を前記底板と対向する前記耐火レンガの底面から前記耐火レンガ内部に挿入することで前記耐火レンガの前記底板上での位置の移動を規制し、
隣り合う前記耐火レンガ同士のうち、一方の耐火レンガの一の側面と他方の耐火レンガの一の側面とは、前記一方の耐火レンガを前記規制部材で前記底板上での位置の移動を規制することで、前記他方の耐火レンガも前記一方の耐火レンガを介して前記底板から離れる方向へ移動することが規制されるように重なり合って配置されており、
前記底板には、前記一方の耐火レンガの底面を押圧できるように貫通孔が設けられていることを特徴とする耐火版。
【請求項4】
前記一方の耐火レンガの前記一の側面は、底面に近い側より底面から遠い側が前記他方の耐火レンガ側に突出するように形成された傾斜面であり、前記他方の耐火レンガの前記一の側面は、底面に近い側が底面から遠い側より前記一方の耐火レンガ側に突出するように形成された傾斜面であることを特徴とする請求項3に記載の耐火版。
【請求項5】
前記貫通孔は、前記規制部材の前記軸部が貫通している孔であり、該貫通孔から前記耐火レンガを前記底板とは反対方向に押圧できることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の耐火版。
【請求項6】
前記貫通孔は、前記規制部材の前記軸部が貫通している孔とは異なる箇所に設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の耐火版。
【請求項7】
底板と、
前記底板上に敷き詰められて配置される複数の直方体形状の耐火レンガと、
を備え、
前記複数の耐火レンガには、一の方向に並んで配置される第1の耐火レンガ群と、前記第1の耐火レンガ群に前記一の方向とは直交する方向に隣接し、前記一の方向に並んで配置される第2の耐火レンガ群を含み、前記第1の耐火レンガ群を構成する各耐火レンガの隣り合う側面の位置と、前記第2の耐火レンガ群を構成する各耐火レンガの隣り合う側面の位置とは、前記一の方向と直交する方向で見て互い違いになるように配置されており、
前記底板には、前記耐火レンガの底面を押圧できるように貫通孔が設けられていることを特徴とする耐火版。
【請求項8】
前記底板の面のうち、前記耐火レンガが配置された面とは反対側の面に補強部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の耐火版。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の耐火版を備えたロケット発射台。
【請求項10】
請求項7に記載の耐火版を水平面に対して前記一の方向の軸回りに斜めに配置してなる偏向版を備えたロケット発射台。
【請求項11】
請求項1または2に記載の耐火版の耐火レンガを交換する方法であって、
前記耐火レンガのうち交換対象の耐火レンガの前記底板上での位置の移動を規制している前記規制部材を取り外す規制部材取り外し工程と、
前記規制部材取り外し工程で取り外した前記規制部材が移動を規制していた前記耐火レンガに、前記底板に設けられた前記貫通孔から押圧力を加えて、該耐火レンガを前記底板とは反対方向に押し出して取り外す耐火レンガ取り外し工程と、
を備えることを特徴とする耐火レンガ交換方法。
【請求項12】
請求項1に記載の耐火版の耐火レンガを交換する方法であって、
前記軸部を介して前記耐火レンガに押圧力を加えて、該耐火レンガを前記底板とは反対方向に押し出して取り外す耐火レンガ取り外し工程を備えることを特徴とする耐火レンガ交換方法。
【請求項13】
請求項3に記載の耐火版の耐火レンガを交換する方法であって、
前記耐火レンガのうち交換対象の耐火レンガは前記他方の耐火レンガであり、
交換対象の前記他方の耐火レンガを押さえ付けている前記一方の耐火レンガの前記底板上での位置の移動を規制している前記規制部材を取り外す規制部材取り外し工程と、
前記規制部材取り外し工程で取り外した前記規制部材が移動を規制していた前記一方の耐火レンガに、前記底板に設けられた前記貫通孔から押圧力を加えて、前記一方の耐火レンガを前記底板とは反対方向に押し出して取り外す第1の耐火レンガ取り外し工程と、
前記第1の耐火レンガ取り外し工程で前記一方の耐火レンガを取り外した後、交換対象の前記他方の耐火レンガを取り外す第2の耐火レンガ取り外し工程と、
を備えることを特徴とする耐火レンガ交換方法。
【請求項14】
請求項10に記載のロケット発射台に偏向版として備えられた前記耐火版の耐火レンガを交換する方法であって、
前記耐火レンガのうち交換対象の耐火レンガに、前記底板に設けられた前記貫通孔から押圧力を加えて、前記交換対象の耐火レンガを前記底板とは反対方向に押し出して取り外す耐火レンガ取り外し工程を備え、
前記耐火レンガ取り外し工程で前記交換対象の耐火レンガを前記底板から押し出して取り外しても、他の前記耐火レンガの位置は変わらないことを特徴とする耐火レンガ交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐火版、ロケット発射台および耐火版における耐火レンガ交換方法に関し、詳細には、宇宙飛行体のための地上設備に使用可能な耐火版、ロケット発射台および耐火版における耐火レンガ交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
宇宙ステーションを有効に運用していくためには、人員や物資を宇宙輸送するための補給船が必要である。
【0003】
補給船を宇宙空間に送り出すためにはロケットが必要となるが、ロケットを打ち上げるためには発射台が必要である。また、近年では、補給船を宇宙空間に送り出すために発射したロケットを地上の着陸台に着陸させて再打ち上げすることも行われており、この場合にはロケットを着陸させるための着陸台が必要となる。
【0004】
発射台には、ロケット発射時の燃焼ガスを浴びる部位があり、また、着陸台には、ロケット着陸時の逆噴射の燃焼ガスを浴びる部位がある。これらの部位は極めて高い高温と高温ガス流体に耐えられることが必要であり、例えば、特許文献1には、ロケット発射台の偏向版構造として、コンクリート製基板上にグラウトにより多数のセラミックス製ライニングブロックが相隣り合って被覆敷設されている偏向版構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61-197998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年開発が進んでいる高性能ロケットエンジン(液体水素/液体酸素エンジン)は、従来のエンジンよりも燃焼ガスの温度が高く(3600℃程度に達すると言われている。)なっており、より高性能な耐火版が求められてきているが、本発明者は、従来のエンジンよりも高温の燃焼ガスを浴びる耐火版は、損傷を全く受けないようにすることは困難と考え、損傷を受けた部位のみを交換できるように耐火版を構成することが重要ではないかと考えた。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の偏向版構造では、セラミックス製ライニングブロックがコンクリート製基板上にグラウトにより取り付けられており、部分的にセラミックス製ライニングブロックを交換することは困難である。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、部分的に耐火レンガを交換可能な耐火版、ロケット発射台および耐火版における耐火レンガ交換方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の耐火版、ロケット発射台および耐火版における耐火レンガ交換方法により、前記課題を解決したものである。
【0010】
即ち、本発明に係る耐火版の第1の態様は、底板と、前記底板上に敷き詰められて配置される複数の耐火レンガと、前記耐火レンガの前記底板上での位置の移動を規制する規制部材と、を備え、前記規制部材は、前記底板の前記耐火レンガ配置側とは反対側の面から前記底板を貫通して前記耐火レンガ側に突出する軸部を有し、前記耐火レンガ側に突出した前記軸部の一部を前記底板と対向する前記耐火レンガの底面から前記耐火レンガ内部に挿入することで前記耐火レンガの前記底板上での位置の移動を規制し、前記底板には、前記耐火レンガの底面を押圧できる貫通孔が設けられていることを特徴とする耐火版である。
【0011】
本発明においては、複数の耐火レンガを底板上に敷き詰めて配置して耐火版を構成しているが、該耐火版を構成する個々の耐火レンガの各面が側面、底面、上面のいずれに該当するかは、該耐火版の底板が下方となるように該耐火版を水平面上に載置した状態を基準として判断するものとする。また、本発明に係る耐火版において、上下等の方向を観念する文言の解釈においても、該耐火版の底板が下方となるように該耐火版を水平面上に載置した状態を基準として解釈するものとする。これらのことは、本願の他の箇所の記載においても同様とする。
【0012】
また、耐火レンガを「敷き詰めて配置」とは、隣接する耐火レンガ同士をグラウト等で接着するようなものは含まず、側面同士が接して配置されているか、もしくは燃焼ガスが通過しない程度のわずかな隙間がある形で密に配置されるものをいう。本願の他の箇所の記載においても同様とする。
【0013】
また、「耐火レンガの前記底板上での位置の移動を規制する」とは、底板に対して耐火レンガを全くの移動をしないように固定する概念を下位概念として含むものであり、本発明の作用効果を奏する範囲で底板に対して耐火レンガが多少なりとも移動するものを排除するものではない。つまり、「耐火レンガの前記底板上での位置の移動を規制する規制部材」は、耐火レンガを規制部材を用いずに配置した場合と比べて、底板上での耐火レンガの配置位置からの移動(底板の底面と平行な方向又は底板から離れる方向の少なくとも一方の方向への移動)を制限する部材を意図したものであり、当該配置位置から全く移動しないようにする部材にのみ限定されるものではない。
【0014】
また、前記規制部材は、前記軸部に設けられた保持部を含み、前記耐火レンガが前記底板から離れる方向へ移動することを、前記保持部により更に規制する、ように構成してもよい。
【0015】
次に、本発明に係る耐火版の第2の態様は、底板と、前記底板上に敷き詰められて配置される複数の耐火レンガと、前記耐火レンガの前記底板上での位置の移動を規制する規制部材と、を備え、前記規制部材は、前記底板の前記耐火レンガ配置側とは反対側の面から前記底板を貫通して前記耐火レンガ側に突出する軸部を有し、前記耐火レンガ側に突出した前記軸部の一部を前記底板と対向する前記耐火レンガの底面から前記耐火レンガ内部に挿入することで前記耐火レンガの前記底板上での位置の移動を規制し、隣り合う前記耐火レンガ同士のうち、一方の耐火レンガの一の側面と他方の耐火レンガの一の側面とは、前記一方の耐火レンガを前記規制部材で前記底板上での位置の移動を規制することで、前記他方の耐火レンガも前記一方の耐火レンガを介して前記底板から離れる方向へ移動することが規制されるように重なり合って配置されており、前記底板には、前記一方の耐火レンガの底面を押圧できるように貫通孔が設けられていることを特徴とする耐火版である。
【0016】
なお、本発明に係る耐火版の第2の態様において、前記一方の耐火レンガの前記一の側面は、底面に近い側より底面から遠い側が前記他方の耐火レンガ側に突出するように形成された傾斜面であり、前記他方の耐火レンガの前記一の側面は、底面に近い側が底面から遠い側より前記一方の耐火レンガ側に突出するように形成された傾斜面である、ように構成してもよい。
【0017】
また、本発明に係る耐火版の第1および第2の態様において、前記貫通孔は、前記規制部材の前記軸部が貫通している孔であり、該貫通孔から前記耐火レンガを前記底板とは反対方向に押圧できる、ように構成してもよい。
【0018】
また、本発明に係る耐火版の第1および第2の態様において、前記貫通孔は、前記規制部材の前記軸部が貫通している孔とは異なる箇所に設けられている、ように構成してもよい。
【0019】
更に、本発明に係る耐火版の第3の態様は、底板と、前記底板上に敷き詰められて配置される複数の直方体形状の耐火レンガと、を備え、前記複数の耐火レンガには、一の方向に並んで配置される第1の耐火レンガ群と、前記第1の耐火レンガ群に前記一の方向とは直交する方向に隣接し、前記一の方向に並んで配置される第2の耐火レンガ群を含み、前記第1の耐火レンガ群を構成する各耐火レンガの隣り合う側面の位置と、前記第2の耐火レンガ群を構成する各耐火レンガの隣り合う側面の位置とは、前記一の方向と直交する方向で見て互い違いになるように配置されており、前記底板には、前記耐火レンガの底面を押圧できるように貫通孔が設けられていることを特徴とする耐火版である。
【0020】
また、本発明に係る耐火版の第1~第3の態様において、前記底板の面のうち、前記耐火レンガが配置された面とは反対側の面に補強部材が取り付けられている、ように構成してもよい。
【0021】
本発明に係るロケット発射台の第1の態様は、前記第1~第3の態様の耐火版のいずれかを備えたロケット発射台である。
【0022】
本発明に係るロケット発射台の第2の態様は、前記第3の態様の耐火版を水平面に対して前記一の方向の軸回りに斜めに配置してなる偏向版を備えたロケット発射台である。
【0023】
本発明に係る耐火レンガ交換方法の第1の態様は、前記第1の態様の耐火版の耐火レンガを交換する方法であって、前記耐火レンガのうち交換対象の耐火レンガの前記底板上での位置の移動を規制している前記規制部材を取り外す規制部材取り外し工程と、前記規制部材取り外し工程で取り外した前記規制部材が移動を規制していた前記耐火レンガに、前記底板に設けられた前記貫通孔から押圧力を加えて、該耐火レンガを前記底板とは反対方向に押し出して取り外す耐火レンガ取り外し工程と、を備えることを特徴とする耐火レンガ交換方法である。
【0024】
本発明に係る耐火レンガ交換方法の第2の態様は、前記第1の態様の耐火版の耐火レンガを交換する方法であって、前記軸部を介して前記耐火レンガに押圧力を加えて、該耐火レンガを前記底板とは反対方向に押し出して取り外す耐火レンガ取り外し工程を備えることを特徴とする耐火レンガ交換方法である。
【0025】
本発明に係る耐火レンガ交換方法の第3の態様は、前記第2の態様の耐火版の耐火レンガを交換する方法であって、前記耐火レンガのうち交換対象の耐火レンガは前記他方の耐火レンガであり、交換対象の前記他方の耐火レンガを押さえ付けている前記一方の耐火レンガの前記底板上での位置の移動を規制している前記規制部材を取り外す規制部材取り外し工程と、前記規制部材取り外し工程で取り外した前記規制部材が移動を規制していた前記一方の耐火レンガに、前記底板に設けられた前記貫通孔から押圧力を加えて、前記一方の耐火レンガを前記底板とは反対方向に押し出して取り外す第1の耐火レンガ取り外し工程と、前記第1の耐火レンガ取り外し工程で前記一方の耐火レンガを取り外した後、交換対象の前記他方の耐火レンガを取り外す第2の耐火レンガ取り外し工程と、を備えることを特徴とする耐火レンガ交換方法である。
【0026】
本発明に係る耐火レンガ交換方法の第4の態様は、前記第2の態様のロケット発射台に偏向版として備えられた前記耐火版の耐火レンガを交換する方法であって、前記耐火レンガのうち交換対象の耐火レンガに、前記底板に設けられた前記貫通孔から押圧力を加えて、前記交換対象の耐火レンガを前記底板とは反対方向に押し出して取り外す耐火レンガ取り外し工程を備え、前記耐火レンガ取り外し工程で前記交換対象の耐火レンガを前記底板から押し出して取り外しても、他の前記耐火レンガの位置は変わらないことを特徴とする耐火レンガ交換方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、部分的に耐火レンガを交換可能な耐火版、ロケット発射台および耐火版における耐火レンガ交換方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態に係る耐火版10を上方から見た平面図
図2】本発明の第1実施形態に係る耐火版10の鉛直端面図(図1のII-II線端面図)
図3】耐火版10から耐火レンガ14を取り除いた状態(底板12および補強部材18のみの状態)を下方から見た平面図
図4】本発明の第2実施形態に係る耐火版20を上方から見た平面図
図5】本発明の第3実施形態に係る耐火版30を上方から見た平面図
図6】本発明の第3実施形態に係る耐火版30の鉛直端面図(図5のVI-VI線端面図)
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0030】
(1)第1実施形態
(1-1)第1実施形態の構成および作用効果
図1は、本発明の第1実施形態に係る耐火版10を上方から見た平面図であり、図2は、耐火版10の鉛直端面図(図1のII-II線端面図)である。図3は、耐火版10から耐火レンガ14を取り除いた状態(底板12および補強部材18のみの状態)を下方から見た平面図である。なお、図1では、図示の都合上、底板12の下面に取り付けられている補強部材18の表示は省略している。
【0031】
本第1実施形態に係る耐火版10は、底板12と、直方体形状の耐火レンガ14と、規制部材16と、補強部材18と、を有してなり、底板12の一方の面に複数の耐火レンガ14が、側面同士が接するように敷き詰められて配置されていて、耐火版10の長辺方向(以下、X方向と記すことがある。)に平行に4列に、耐火版10の短辺方向(以下、Y方向と記すことがある。)に平行に6列に配置されており、耐火版10の全体の形状は、図1および図2に示すように、平板状に形成されている。底板12の一方の面に敷き詰められて配置された耐火レンガ14は、底板12の固定用貫通孔12Aを挿通して耐火レンガ14の固定用孔14Aに一端部が挿入された規制部材16によって底板12上に固定されているため、底板12と平行な方向及び底板12から離れる方向への移動が規制されている(図1では、底板12の固定用貫通孔12Aと耐火レンガ14の固定用孔14Aは重なって表示されている。)。底板12の他方の面には補強部材18が縦横に取り付けられていて、底板12を補強しており、耐火版10の全体の形状が安定的に保持されている。
【0032】
底板12は、平板状に敷き詰められて側面同士が接するように配置された複数の耐火レンガ14の位置を固定する裏打ち材としての役割を果たす長方形の鋼板部材であり、標準的には厚さ3~6mm程度の鋼板を用いる。隣り合う耐火レンガ14の側面同士が接するように耐火レンガ14を敷き詰めて配置することにより、ロケットの発射時および着陸時に浴びる燃焼ガスが、隣り合う耐火レンガ14の側面同士の間を通過しないようにすることができる。また、底板12には、固定用貫通孔12Aおよび押し出し用貫通孔12Bが設けられている。
【0033】
規制部材16は、耐火レンガ14の底板12上での位置を規制する部材であり、軸部16Aと保持部16Bとを有してなる。規制部材16の軸部16Aが、底板12の固定用貫通孔12Aを挿通して耐火レンガ14の固定用孔14Aに一端部が挿入されて、耐火レンガ14の底板12上での位置を規制する。また、規制部材16の保持部16Bは、耐火レンガ14が底板12から離れる方向へ移動することを更に規制する。
【0034】
底板12の固定用貫通孔12Aは規制部材16の軸部16Aが挿通する貫通孔であり、固定用貫通孔12Aを挿通した規制部材16の軸部16Aは、耐火レンガ14の底面に設けられた固定用孔14Aに挿入されて耐火レンガ14に固定される。また、規制部材16の保持部16Bが底板12の下面に押し付けられて、底板12に対する軸部16Aの位置を保持する。このようにして、規制部材16は耐火レンガ14の底板12上の位置を固定する。規制部材16としては、例えば、軸部にねじが切られたボルトを用いることができ、この場合、該ボルトの頭部が保持部16Bとなる。また、例えば、ねじが切られた棒状部材を軸部16Aとして用い、これに螺合するナットを保持部16Bとして用いてもよい。
【0035】
耐火版10を発射台の偏向版に使用する場合、水平面から45°程度傾けて使用することになるが、規制部材16により耐火レンガ14を底板12に固定しているので、耐火版10を発射台の偏向版として使用していても、交換対象ではない耐火レンガ14の位置がずれることなく、耐火レンガ14の交換をすることが可能になっている。なお、耐火版10を着陸台に使用する場合は、耐火版10を水平にした状態で使用するため、規制部材16による固定は省略することも可能であるが、ロケット着陸台の燃焼ガスを浴びる部位は、高熱を浴びるだけでなく、高速燃焼ガスも浴びるので、耐火版10を着陸台に使用する場合でも、規制部材16による固定は省略しない方が好ましい。
【0036】
押し出し用貫通孔12Bは、耐火レンガ14の交換の際に用いる貫通孔であり、交換対象の耐火レンガ14を固定していた規制部材16を取り外した後、交換対象の耐火レンガ14の底面に底板12側から押圧力を加えて、交換対象の耐火レンガ14を押し出して取り外せるようにするための貫通孔である。押し出し用貫通孔12Bから、交換対象の耐火レンガ14の底面に底板12側から押圧力を加える際には、例えば小型の油圧ジャッキ等を用いることができる。
【0037】
底板12の端部(長方形の4辺)には、耐火レンガ14の厚さよりもやや低い高さの側壁12Cが上方向に設けられている。底板12の上面に耐火レンガ14を敷き詰めて配置する際に、耐火レンガ14を側壁12Cの方向に力を加えつつ配置(側壁12Cに押し付けつつ配置)することにより、隣り合う耐火レンガ14の側面同士が隙間なく接するように配置させやすくなる。また、ロケット発射台または着陸台の燃焼ガスを浴びる部位は、高熱を浴びるだけでなく、大きな風圧も浴びるので、側壁12Cは、耐火版10の耐火レンガ14の固定を確実にする役割もある。側壁12Cは、底板と同様に厚さ3~6mm程度の鋼板を用いることが標準的である。
【0038】
耐火レンガ14は、本第1実施形態に係る耐火版10の耐火性能を直接的に担う部材である。耐火レンガ14の厚さは標準的には200mm程度である。耐火レンガ14は直方体形状であり、全て同一の形状であり、底板12の一方の面(上面)に敷き詰められて配置されていて、隣り合う耐火レンガ14同士は、側面同士が接するように配置されていて、隣り合う耐火レンガ14の側面同士の間を燃焼ガスが通過できないように配置されている。なお、本第1実施形態に係る耐火版10の耐火レンガ14は直方体形状であるが、本発明に係る耐火版の耐火レンガの形状は必ずしもそれに限定されるわけではなく、例えば後述する第3実施形態の耐火版30の耐火レンガ(下向き耐火レンガ34、34Xおよび上向き耐火レンガ36、36X)のように側面が台形状になっているような非直方体形状、もしくはその他の形状であってもよい。
【0039】
また、耐火レンガ14の材質は、必要な耐火性能等を発現できるものであれば特には限定されず、必要な耐火性能等に応じて、具体的には例えば、アルミナ、マグネシア、酸化クロム、ジルコニア等を用いることができる。
【0040】
底板12の下面(耐火レンガ14が敷き詰められて配置されている面とは反対側の面)には、補強部材18が縦横に取り付けられている。補強部材18は、底板12を補強して、耐火版10の全体の形状が安定的に保たれるようにする役割を有する。本第1実施形態に係る耐火版10では、補強部材18として断面H形の鋼材を用いているが、必要な機械的特性(高温での機械的特性を含む)を有しているのであれば、材質および形状は特には限定されない。
【0041】
以上説明したように、本第1実施形態に係る耐火版10は、耐火レンガ14を底板12の一方の面(上面)に敷き詰めて配置しており、隣り合う耐火レンガ14の側面同士が接した状態で、耐火レンガ14は、底板12の固定用貫通孔12Aを挿通する規制部材16によって底板12に固定されることで底板12上での位置の移動が規制されており、グラウト等による接着はしていない。
【0042】
また、底板12には、押し出し用貫通孔12Bが設けられているので、交換対象の耐火レンガ14を固定していた規制部材16を取り外した後、交換対象の耐火レンガ14の底面に押し出し用貫通孔12Bから押圧力を加えて、交換対象の耐火レンガ14を押し出して容易に取り外すことができる。
【0043】
したがって、本第1実施形態に係る耐火版10においては、損傷した耐火レンガ14のみを取り外して、新しい耐火レンガ14に交換することを容易に行うことができる。
【0044】
また、本第1実施形態に係る耐火版10を構成する耐火レンガ14の形状は全て同一であるので、耐火レンガ14の作製作業を容易に行うことができ、また、交換用にストックしておく耐火レンガ14の種類も1種類でよい。
【0045】
(1-2)第1実施形態に係る耐火版10の作製方法
本第1実施形態に係る耐火版10の作製に際しては、底板12の一方の面(上面)に、耐火レンガ14を側壁12Cの方向に力を加えつつ配置(側壁12Cに押し付けつつ配置)することにより、隣り合う耐火レンガ14の側面同士が隙間なく接するように配置することができる。耐火レンガ14を所定の位置に配置したら、規制部材16の軸部16Aを底板12の固定用貫通孔12Aに挿通させて、軸部16Aの一端を耐火レンガ14の固定用孔14Aに固定するとともに、規制部材16の保持部16Bを底板12の下面に押し付けて底板12に対する軸部16Aの位置を保持する。このようにして、規制部材16によって耐火レンガ14を底板12に固定して耐火版10を作製する。
【0046】
(2)第2実施形態
図4は、本発明の第2実施形態に係る耐火版20を示す平面図である。図4では、底板22の固定用貫通孔22Aと耐火レンガ26の固定用孔26Aは重なって表示されている。
【0047】
第1実施形態に係る耐火版10を構成する耐火レンガ14の形状は全て同一の直方体形状であったが、本第2実施形態に係る耐火版20を構成する耐火レンガは、長さの長い耐火レンガ24と長さの短い耐火レンガ26の2種類である。この点およびそれに付随した事項以外の点は、本第2実施形態に係る耐火版20は、第1実施形態に係る耐火版10と同様であるので、第1実施形態に係る耐火版10についての説明の対応する記載をもって本第2実施形態に係る耐火版20の説明に替えることとする。
【0048】
本第2実施形態に係る耐火版20は、図4に示すように、底板22の上に耐火レンガ24、26が、側面同士が接するように敷き詰められて配置されていて、耐火版20の短辺方向(以下、Y方向と記すことがある。)に平行に6列に耐火レンガ24、26が配置されている。各列には3つの耐火レンガ24と1つの耐火レンガ26が配置されている。
【0049】
このため、図4に示すように、耐火版20の短辺方向(Y方向)には、耐火レンガ24、26の側面が連なっているが、耐火版20の長辺方向(以下、X方向と記すことがある。)には耐火レンガ24、26の側面が連ならないように、即ち、耐火レンガ24、26の側面の位置がX方向で見て互い違いになるように、耐火レンガ24、26を配置することができる。
【0050】
また、図4に示すように、底板22の押し出し用貫通孔22Bも、X方向で見て互い違いになるように配置されている。
【0051】
このように耐火レンガを配置した耐火版20を発射台の偏向版として用いる場合、耐火版20を水平面に対してY方向軸回りに45°程度傾けて用いることになるが、耐火版20のX方向と水平面とのなす角が45°程度となるように傾けて用いた場合に、耐火レンガ24、26のいずれかにおいて交換が必要になって取り外した場合でも、X方向には耐火レンガ24、26の側面が連なっていないため、それよりも上方にある耐火レンガ24(長さが長い耐火レンガ)については、規制部材16による固定がなくてもずれ落ちてくることはない。このため、本第2実施形態に係る耐火版20においては、長さが短い耐火レンガ26のみに底板上における位置の移動を規制する規制部材16による固定を行っており、長さが長い耐火レンガ24には規制部材16による固定を行っておらず、第1実施形態の耐火版10よりも規制部材16による固定箇所が大幅に少なくなっている。また、底板22に設けた固定用貫通孔22Aも長さが短い耐火レンガ26が配置される位置に対応する箇所のみに設けている。
【0052】
(3)第3実施形態
図5は、本発明の第3実施形態に係る耐火版30を示す平面図であり、図6は、図5のVI-VI線端面図である。なお、図5では、図示の都合上、底板32の下面に取り付けられている補強部材18の表示は省略している。また、図5では、底板32の固定用貫通孔32Aと下向き耐火レンガ34、34Xの固定用孔34Bは重なって表示されている。
【0053】
第1実施形態の耐火版10で用いた耐火レンガ14および第2実施形態の耐火版20で用いた耐火レンガ24、26は、いずれも直方体形状であったが、本第3実施形態に係る耐火版30で用いる耐火レンガ(下向き耐火レンガ34、34Xおよび上向き耐火レンガ36、36X)は、図6に示すように、X方向(耐火版30の長手方向)の鉛直断面の形状が台形状になっている。この点およびそれに付随した事項以外の点は、本第3実施形態に係る耐火版30は、第1実施形態に係る耐火版10と同様であるので、第1実施形態に係る耐火版10についての説明の対応する記載をもって本第3実施形態に係る耐火版30の説明に替えることとする。
【0054】
本第3実施形態に係る耐火版30で用いる耐火レンガのうち、下向き耐火レンガ34、34Xは底板32の方向を向いている下向き傾斜側面34Aを有しており、上向き耐火レンガ36、36Xは底板32の方向ではなく上方向を向いている上向き傾斜側面36Aを有している。下向き傾斜側面34Aの傾斜と上向き傾斜側面36Aの傾斜は対応しており、下向き耐火レンガ34、34Xおよび上向き耐火レンガ36、36Xを底板32上に敷き詰めて配置した場合に、下向き傾斜側面34Aと上向き傾斜側面36Aとが隙間なく接する形状になっている。このため、下向き傾斜側面34Aを有する下向き耐火レンガ34、34Xおよび上向き傾斜側面36Aを有する上向き耐火レンガ36、36Xを用いても、ロケットの発射時および着陸時に浴びる燃焼ガスが、下向き傾斜側面34Aと上向き傾斜側面36Aとの間を通過しないようにすることができる。
【0055】
なお、下向き耐火レンガ34Xおよび上向き耐火レンガ36Xは、耐火版30のX方向の端部に位置する耐火レンガであり、X方向の一方の側面が側壁12Cに接しており、該側面は上面および底面と直交している。
【0056】
また、本第3実施形態に係る耐火版30では、下向き耐火レンガ34、34Xの下向き傾斜側面34Aと、上向き耐火レンガ36、36Xの上向き傾斜側面36Aとは隙間なく接しており、上向き耐火レンガ36、36Xは、下向き耐火レンガ34、34Xと一部が重なり合う構成をとっているため、底板32から離れる方向の移動が拘束されており、下向き耐火レンガ34、34Xのみを規制部材16で固定すれば、上向き耐火レンガ36、36Xも底板32上での位置の移動が規制されることになる。
【0057】
したがって、本第3実施形態に係る耐火版30においては、下向き耐火レンガ34、34Xのみに規制部材16による固定を行っており、上向き耐火レンガ36、36Xには規制部材16による固定を行っておらず、第1実施形態に係る耐火版10よりも規制部材16による固定箇所が大幅に少なくなっている。
【0058】
上向き耐火レンガ36、36Xを交換する場合には、交換対象の上向き耐火レンガ36、36Xの上向き傾斜側面36Aを押さえ付けている下向き傾斜側面34Aを備える下向き耐火レンガ34、34Xを固定している規制部材16を取り外した後、該下向き耐火レンガ34、34Xに押し出し用貫通孔32Bから押圧力を加えて押し出して取り外し、その後、交換対象の上向き耐火レンガ36、36Xを取り外す。
【0059】
したがって、本第3実施形態に係る耐火版30においては、底板32の押し出し用貫通孔32Bのうち、下向き耐火レンガ34、34Xの底面に押圧力を加えるための押し出し用貫通孔32Bのみが少なくともあればよく、上向き耐火レンガ36、36Xの底面に押圧力を加えるための押し出し用貫通孔32Bは設けなくてもよい。ただし、上向き耐火レンガ36、36Xの底面に押圧力を加えるための押し出し用貫通孔32Bも設けておいた方が、上向き耐火レンガ36、36Xを取り外すときに便利であるため、本第3実施形態に係る耐火版30においては、上向き耐火レンガ36、36Xの底面に押圧力を加えるための押し出し用貫通孔32Bも設けている。
【0060】
なお、下向き耐火レンガ34、34Xの下向き傾斜側面34Aは、底面に近い側より底面から遠い側が上向き耐火レンガ36、36X側に突出するように形成された傾斜面であり、上向き耐火レンガ36、36Xの上向き傾斜側面36Aは、底面に近い側が底面から遠い側より下向き耐火レンガ34、34X側に突出するように形成された傾斜面であると表現することもできる。
【0061】
また、本第3実施形態に係る耐火版30を構成する耐火レンガ34、34X、36、36XではY方向に延びる側面に傾斜側面を用いたが、X方向に延びる側面に傾斜側面を用いてもよく、また、側面同士が接するのであれば、傾斜側面に替えて、嵌め合わすことができる段差を有する側面や、嵌め合わすことができる凹凸を有する側面に替えてもよい。
【0062】
(4)補足
第1実施形態に係る耐火版10は、底板12の一方の面に複数の耐火レンガ14を、側面同士が接するように敷き詰めて配置して構成しているが、耐火レンガ14の側面同士が接していることは必須ではなく、燃焼ガスが通過しない程度のわずかな隙間がある形で密に敷き詰めて配置して構成してもよい。第2、3実施形態に係る耐火版20、30においても同様である。
【0063】
第1~3実施形態に係る耐火版10、20、30の底板12、22、32においては、固定用貫通孔12A、22A、32Aと押し出し用貫通孔12B、22B、32Bとを別々に設けたが、押し出し用貫通孔12B、22B、32Bは設けずに、固定用貫通孔12A、22A、32Aから規制部材16を取り外した後、固定用貫通孔12A、22A、32Aから、耐火レンガ14、24、下向き耐火レンガ34、34Xを、底板12、22、32の方向とは反対方向に押圧して、耐火レンガ14、24、下向き耐火レンガ34、34Xを取り外すようにしてもよい。つまり、固定用貫通孔12A、22A、32Aに、押し出し用貫通孔としての機能も担わせてもよい。
【0064】
また、例えば、ねじが切られた棒状部材を軸部16Aとして用い、これに螺合するナットを保持部16Bとして用いた規制部材16を用いて耐火レンガ14、26、下向き耐火レンガ34、34Xを固定した場合、軸部16Aから保持部16B(ナット)を取り外すのみで、軸部16Aは耐火レンガ14、26、下向き耐火レンガ34、34Xから取り外さない状態で、軸部16Aを介して耐火レンガ14、26、下向き耐火レンガ34、34Xを底板12、22、32の方向とは反対方向に押圧して、耐火レンガ14、26、下向き耐火レンガ34、34Xを取り外すようにしてもよい。
【0065】
また、保持部16Bを設けずに、棒状部材のみを軸部16Aとして用い、固定用貫通孔12A、22A、32Aに軸部16Aを貫通させて、その一端を耐火レンガ14、26、下向き耐火レンガ34、34Xの固定用孔14A、26A、34Bに固定することで、耐火レンガ14、26、下向き耐火レンガ34、34Xが、底板12、22、32上における位置を移動すること(ここでは底板12、22、32と平行な方向に動くこと)を規制するのみでもよい(軸部16Aが固定用貫通孔12A、22A、32Aの縁に引っ掛かるため、底板12、22、32と平行な方向に動くことが規制される。)。この場合、保持部16Bを設けていないので、耐火レンガ14、26、下向き耐火レンガ34、34Xを取り外す際には、軸部16Aを介して耐火レンガ14、26、下向き耐火レンガ34、34Xを底板12、22、32の方向とは反対方向に押圧して取り外せばよく、取り外す際の手間が少なくなる。
【0066】
また、軸部16Aをネジが切られた棒状構成とするとともに、底板12、22、32の固定用貫通孔12A、22A、32Aの内周面もそれに合わせてネジを切り、軸部16Aを固定用貫通孔12A、22A、32Aに螺合させつつ、底板12、22、32を貫通させて、耐火レンガ14、26、下向き耐火レンガ34、34Xの固定用孔14A、26A、34Bにねじ込んで固定する構成とすれば、別途保持部16Bを備えていなくても、底板12、22、32から離れる方向への移動も規制され、耐火レンガ14、26、下向き耐火レンガ34、34Xの底板12、22、32上での位置の移動を安定的に規制して固定することができるため、そのような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
10、20、30…耐火版
12、22、32…底板
12A、22A、32A…固定用貫通孔
12B、22B、32B…押し出し用貫通孔
12C…側壁
14、24、26…耐火レンガ
14A、26A、34B…固定用孔
16…規制部材
16A…軸部
16B…保持部
18…補強部材
34、34X…下向き耐火レンガ
34A…下向き傾斜側面
36、36X…上向き耐火レンガ
36A…上向き傾斜側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6