(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075342
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】飛行体及び算出方法
(51)【国際特許分類】
B64D 43/00 20060101AFI20220511BHJP
B64C 27/04 20060101ALI20220511BHJP
G01C 5/00 20060101ALI20220511BHJP
G05D 1/10 20060101ALN20220511BHJP
【FI】
B64D43/00
B64C27/04
G01C5/00 Z
G05D1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186073
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】519015117
【氏名又は名称】株式会社SkyDrive
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】特許業務法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】芝野 好希
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA06
5H301CC04
5H301CC07
5H301GG08
(57)【要約】
【課題】飛行体の高度測定の精度を向上することが可能な飛行体及び算出方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、飛行体が提供される。この距離は、ボディ、複数のセンサ、及び算出部を備える。複数のセンサは、対象物に対するセンサの設置面からの所定方向の距離を測定可能に構成される。算出部は、複数のセンサにより測定された複数の距離と、飛行状態におけるボディの傾斜角とに基づいて、飛行体の高度を算出可能に構成される。高度は、ボディの所定位置と対象物との距離であって、対象物から垂直方向の距離である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体であって、
ボディ、複数のセンサ、及び算出部を備え、
前記複数のセンサは、対象物に対するセンサの設置面からの所定方向の距離を測定可能に構成され、
前記算出部は、前記複数のセンサにより測定された複数の距離と、飛行状態における前記ボディの傾斜角とに基づいて、前記飛行体の高度を算出可能に構成され、
前記高度は、前記ボディの所定位置と前記対象物との距離であって、前記対象物から垂直方向の距離である、
飛行体。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行体において、
前記複数のセンサは、第1センサ、第2センサ及び第3センサを含み、
前記傾斜角は、飛行状態における前記ボディのロール角及びピッチ角である、
飛行体。
【請求項3】
請求項2に記載の飛行体において、
前記算出部は、前記複数のセンサにより測定された複数の距離に基づいて、飛行状態における前記ボディのロール角及びピッチ角を算出可能に構成される、
飛行体。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の飛行体において、
前記所定位置は、
前記複数のセンサを通る仮想平面上における、前記複数のセンサの重心に相当する位置、又は
前記ボディの下面のうち外部に最も突出している位置、
である、
飛行体。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の飛行体において、
前記複数のセンサはそれぞれ、前記ボディの長手方向の長さの30%以上離れた位置に設置される、
飛行体。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の飛行体において、
キャリブレーション部を備え、
前記キャリブレーション部は、前記複数のセンサが、前記ボディの下面に対して平行な同一の仮想平面上に設置されない場合、前記複数のセンサにおける前記同一の仮想平面からの距離の違いを吸収するようにキャリブレーションを実行可能に構成される、
飛行体。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の飛行体において、
前記複数のセンサは、前記ボディの下面に対して平行な同一の仮想平面上に設置される、
飛行体。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の飛行体において、
調整部を備え、
前記調整部は、前記傾斜角に基づいて、前記ボディの下面が前記対象物と平行に近づくように、前記飛行体の飛行機能を調整可能に構成される、
飛行体。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の飛行体において、
前記算出部は、前記複数のセンサにより測定された複数の距離のうち、最も短い距離に基づいて、前記高度を算出可能に構成される、
飛行体。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の飛行体において、
表示部を備え、
前記表示部は、前記高度を表示可能に構成される、
飛行体。
【請求項11】
請求項10に記載の飛行体において、
搭乗部を備え、
前記搭乗部は、前記ボディ内に配置され、乗員が搭乗可能に構成され、
前記表示部は、前記搭乗部から視認可能に設けられる、
飛行体。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の飛行体において、
前記算出部による処理は、前記飛行体が前記対象物に着陸する前に実行される、
飛行体。
【請求項13】
請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の飛行体において、
前記所定方向は、垂直方向である、
飛行体。
【請求項14】
算出方法であって、
測定ステップ及び算出ステップを備え、
前記測定ステップでは、複数のセンサにより、対象物に対するセンサの設置面からの所定方向の距離を測定し、
前記算出ステップでは、前記複数のセンサにより測定された複数の距離と、飛行状態における飛行体のボディの傾斜角とに基づいて、前記飛行体の高度を算出可能に構成され、
前記高度は、前記ボディの所定位置と前記対象物との距離であって、前記対象物から垂直方向の距離である、
算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体及び算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンと称される飛行体に関する技術が向上している。特許文献1には、複数の無人飛行体が衝突を回避しながら飛行することが可能な無人飛行体の制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、飛行体の高度を計測するため、レーザを利用する場合がある。ここで、飛行体は機体のバランスをとるときや、離着陸の際に機体の姿勢を傾ける場合がある。このとき、飛行体の高度を計測するためにレーザを対象物に照射しても、機体の傾斜により正確な距離が測定できない。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、飛行体の高度測定の精度を向上することが可能な飛行体及び算出方法を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、飛行体が提供される。この距離は、ボディ、複数のセンサ、及び算出部を備える。複数のセンサは、対象物に対するセンサの設置面からの所定方向の距離を測定可能に構成される。算出部は、複数のセンサにより測定された複数の距離と、飛行状態におけるボディの傾斜角とに基づいて、飛行体の高度を算出可能に構成される。高度は、ボディの所定位置と対象物との距離であって、対象物から垂直方向の距離である。
【0007】
本発明の一態様によれば、複数のセンサを利用して飛行体の正確な高度を算出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】飛行体1のハードウェア構成を示す図である。
【
図6】距離L12の算出過程を説明するため模式図である。
【
図7】距離L1の算出過程を説明するため模式図である。
【
図8】距離d1と距離d2の比率を変化させたときの高度Lの値を表すグラフの一例である。
【
図9】高度Lの算出方法の流れを表すアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
本明細書において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、0又は1で構成される2進数のビット集合体として信号値の高低によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0011】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0012】
1.飛行体1の概要
飛行体1は、垂直離着陸が可能な機体である。
図1に示されるように、飛行体1は、ボディ12及び複数のセンサSを備える。複数のセンサSは、2以上のセンサSである。本実施形態では、複数のセンサSは、第1センサS1、第2センサS2及び第3センサS3を含む。複数のセンサSは、対象物Oに対するセンサの設置面からの所定方向の距離を測定可能に構成される。本実施形態では、当該所定方向を垂直方向として説明する。センサSはレーザ方式であることが好ましい。
【0013】
ボディ12には、複数のアーム13が設けられる。本実施形態では、4つのアーム13が設けられる。そして、各アーム13の先端に、一対のプロペラ14が設けられる。プロペラ14は、ロータ141及びブレード142により構成される。各プロペラ14はそれぞれ独立して制御することができる。
【0014】
また、飛行体1は、搭乗部11を備える。搭乗部11は、ボディ12内に配置され、乗員が搭乗可能に構成される。
【0015】
2.飛行体1のハードウェア構成
図2に示すように、飛行体1は、制御部10、通信部20、記憶部30、入力部40及び表示部50を備える。
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)等であって、情報処理装置の全体を制御する。
通信部20は、NIC(Network Interface Card)等であって、他の情報処理装置又は構成要素と有線又は無線によりデータ通信可能に構成される。
記憶部30は、種々のプログラム及びデータを記憶するものであり、例えばメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。また、記憶部30は、プログラムや種々のデータ等を記憶する。そして、記憶部30に記憶されているプログラムに基づいて制御部10が種々の処理を実行することにより、種々の機能が実現する。
入力部40は、飛行体1に種々の情報を入力するものであり、マウス、キーボード、ポインティングデバイス等により構成される。
表示部50は、テキストや画像(静止画及び動画を含む)を表示するものであり、任意のディスプレイにより構成される。表示部50は、高度を表示可能に構成されてもよい。ここで、本実施形態における高度は、ボディ12の所定位置と対象物Oとの距離であって、対象物Oから垂直方向の距離である。このとき、表示部50は、搭乗部11から視認可能に設けられる。
【0016】
3.飛行体1の機能
図3に示すように、飛行体1の制御部10は、算出部101、比較部102、出力部103、調整部104及びキャリブレーション部105を備える。
【0017】
<算出部101>
算出部101は、複数のセンサSにより測定された複数の距離と、飛行状態におけるボディ12の傾斜角とに基づいて、飛行体1の高度を算出可能に構成される。複数のセンサSが2つの場合、傾斜角は、飛行状態におけるボディ12のロール角又はピッチ角である。また、本実施形態のように、複数のセンサSが3つの場合、傾斜角は、飛行状態におけるボディ12のロール角及びピッチ角である。ここで、ロール角は、
図1に示されるX軸回転(ボディ12の左右方向の回転)である。また、ピッチ角は、
図1に示されるY軸回転(ボディ12の上下方向の回転)である。
【0018】
算出部101は、複数のセンサSにより測定された複数の距離に基づいて、飛行状態におけるボディ12のロール角及びピッチ角を算出可能に構成されてもよい。算出部101による算出手法については後述する。
【0019】
<比較部102>
比較部102は、
図6に示すように、第1センサS1により測定された距離L1と、第2センサS2により測定された距離L2を比較し、いずれの値が大きいかを特定可能に構成される。また、比較部102は、算出部101により算出されたL12とL3’を比較し、いずれの値が大きいかを特定可能に構成される。
【0020】
<出力部103>
出力部103は、算出部101により算出された高度L(
図7参照)を出力可能に構成される。ここで、出力部103は、高度Lを外部の情報処理装置(例:コントロールセンターに設置された情報処理装置)に出力してもよく、表示部50に出力してもよい
【0021】
<調整部104>
調整部104は、傾斜角に基づいて、ボディ12の下面が対象物Oと平行に近づくように、飛行体1の飛行機能を調整可能に構成される。かかる調整は、複数のプロペラ14の回転数を独立制御することにより実現される。
【0022】
<キャリブレーション部105>
キャリブレーション部105は、複数のセンサSが、ボディ12の下面に対して平行な同一の仮想平面VP(
図5参照)上に設置されない場合、複数のセンサSにおける同一の仮想平面VPからの距離の違いを吸収するようにキャリブレーションを実行可能に構成される。これにより、飛行体1と対象物Oの高度を正確に算出することができる。
【0023】
4.センサSの配置例
複数のセンサSは、ボディ12の下方側に任意に設置することができる。
図4は、複数のセンサSの配置例を表す図である。
図4の例では、第1センサS1~第3センサS3が正三角形の頂点に対応する箇所に設けられる。本実施形態では、センサSの中心点Cから光又は電波が出力されるものとする。
図4の例では、中心点C1、中心点C2及び中心点C3が正三角形の頂点に相当する。
【0024】
また、各中心点C間の距離をd1する。そして、中心点C1と中心点C2の中点をM1とした場合に、中心点C3と中点M1の距離をd2とする。また、中心点C1、中心点C2及び中心点C3の重心を重心Gとすると、M1とGの距離と、C3とGの距離の比率は1:2となる。また、複数のセンサSの重心Gと、飛行体1の重心が一致するようにセンサSを設けてもよい。
【0025】
複数のセンサSはそれぞれ、ボディ12の長手方向の長さの30%以上離れた位置に設置されてもよい。これにより、一定の距離を保った状態で距離を測定することができ、高度の算出精度が向上する。
【0026】
また、
図5に示すように複数のセンサSは、ボディ12の下面に対して平行な同一の仮想平面VP上に設置されてもよい。これにより、高度Lの算出にあたり、キャリブレーション部105によるキャリブレーションが不要になる。
【0027】
5.高度Lの算出手法
図6及び
図7を用いて、高度Lの算出手法について説明する。
図6は、
図1のX軸の前方から見た図であって、第1センサS1及び第2センサS2を含む平面の模式図である。また、
図7は、
図1のY軸の右側から見た図であって、第3センサS3及び中点M1を含む平面の模式図である。
【0028】
本実施形態では、飛行体1のロール角がθrであり、ピッチ角がθpであるとする。また、第1センサS1により測定された、対象物Oに対する第1センサS1の設置面からの垂直方向の距離がL1であるとする。また、第2センサS2により測定された、対象物Oに対する第2センサS2の設置面からの垂直方向の距離がL2であるとする。さらに、第3センサS3により測定された、対象物Oに対する第3センサS3の設置面からの垂直方向の距離がL3であるとする。
【0029】
図6に示すように、中点M1から対象物Oまでの距離L12を求めるため、まず、tanθrを求める。ここで、tanθr=(点P2と点P3の距離)/(点P1とP3の距離)である。点P2と点P3の距離は、L1-L2(L1<L2)となる。なお、L1がL2以上である場合には、点P2と点P3の距離は、L2-L1となる。一方、点P1とP3の距離は、中心点C1と中心点C2の距離d1である。
【0030】
【0031】
ここで、L12=(中点M1と点P4の距離)cosθrである。また、(中点M1と点P4の距離)=(中点M1と交点I1の距離)+(交点I1と点P4の距離)である。ここで、中点M1と交点I1の距離はL1である。また、三角形C1P4C2と三角形P2P4P3が相似であるため、(交点I1と点P4の距離)=(点P3と中点M2の距離)=(L2-L1)/2(L1<L2)となる。なお、L1がL2以上である場合には、点P2と中点M2の距離は、(L1-L2)/2となる。以上より、以下の数式が成り立つ。
【0032】
【0033】
次に、
図7を用いて、高度Lの算出方法について説明する。まず、L3をL12の計算軸に合わせるため、以下の数式のようにL3’を定義する。
【数3】
【0034】
高度Lを求めるため、まず、tanθpを求める。ここで、tanθp=(点P7と点P8の距離)/(点P6とP8の距離)である。点P7と点P8の距離は、L12-L3’(L3’<L12)となる。なお、L3’がL12以上である場合には、点P7と点P8の距離は、L3’-L12となる。一方、点P6とP8の距離は、中心点C3と中点M1の距離d2である。
【0035】
【0036】
ここで、高度L=(中点M3と点P9の距離)cosθpである。なお、本実施形態では、
図4に示すように、中点M4は重心Gと一致する。(中点M3と点P9の距離)=(中点M3と交点I2の距離)+(交点I2と点P9の距離)である。ここで、点M3と交点I2の距離はL3’である。また、三角形C3P9M1と三角形P7P9P8が相似であるため、点P7と中点M4の距離:点P8とM4の距離=1:2となる。したがって、(交点I2と点P9の距離)=(点P8と中点M4の距離)=(L12-L3’)×(2/3)(L3’<L12)となる。なお、L3’がL12以上である場合には、点P8と中点M4の距離は、(L3’-L12)/3となる。以上より、以下の数式が成り立つ。
【0037】
【0038】
これにより、複数のセンサSにより測定された距離(L1~L3)が、対象物に対するセンサSの設置面から垂直方向の距離であるにも関わらず、重心G(ボディ12の所定位置の一例)と対象物Oの高度L(対象物から垂直方向の距離)を算出することが可能になる。高度Lを算出することにより、ボディ12の所定位置が対象物Oと接触するまでの距離を正確に求めることが可能になる。
【0039】
また、上記の例では、ボディ12の所定位置を重心Gとする例について説明したが、これに限られない。例えば、ボディ12の所定位置を、ボディ12の下面のうち外部に最も突出している位置としてもよい。これにより、ボディ12の下面と対象物Oの接触を回避しやすくなる。
すなわち、ボディ12の所定位置は、以下の(1)又は(2)のいずれかとすることができる。
(1)複数のセンサSを通る仮想平面VP上における、複数のセンサSの重心に相当する位置
(2)ボディ12の下面のうち外部に最も突出している位置
【0040】
ここで、算出部101は、複数のセンサSにより測定された複数の距離のうち、最も短い距離に基づいて、高度Lを算出してもよい。例えば、第1センサS1と第2センサS2を設けた場合において、L1>L2であったときに、L2を用いて第2センサS2の設置面と対象物Oの高度Lを算出してもよい。これにより、最も対象物Oに近いセンサSと対象物Oが接触することを防止しやすくなる。
【0041】
図8は、d1とd2(
図4参照)の比率を変化させ、種々の状態における高度Lの算出値を示すグラフの一例である。
図8の例では、ボディ12の所定位置が第1センサS1~第3センサS3の重心Gである。なお、最上段の結果は、第1センサS1~第3センサS3を正三角形の頂点に配置した例である。
【0042】
6.処理の流れ
次に、
図9を用いて、高度Lの算出方法の流れについて説明する。
【0043】
まず、測定ステップでは、複数のセンサSにより、対象物Oに対するセンサSの設置面からの垂直方向の距離を測定する(A1)。そして、L1及びL2を用いて、算出部101により、ロール角θrを算出する(A2)。そして、比較部102による比較の結果により、A3a又はA3bに処理が分岐する。A3aでは、算出部101により、(数2a)を用いてL12を算出する。一方、A3bでは、算出部101により、(数2b)を用いてL12を算出する。
【0044】
算出ステップでは、複数のセンサSにより測定された複数の距離と、飛行状態における飛行体1のボディ12の傾斜角とに基づいて、高度Lを算出可能に構成される。ここで、高度Lは、ボディ12の所定位置と対象物Oの距離であって、対象物Oから垂直方向の距離である。
本実施形態では、A2~A6が算出ステップに相当する。
【0045】
算出部101は、L3’及びθpを算出する(A4~A5)。そして、比較部102による比較の結果により、A6a又はA6bに処理が分岐する。A6aでは、算出部101により、(数5a)を用いて高度Lを算出する。一方、A6bでは、算出部101により、(数5b)を用いて高度Lを算出する。その後、出力部103により、高度Lが出力され(A7)、処理を終了する。ここで、コントロールセンターに設置された情報処理装置に高度Lを出力する場合、通信部20を介して高度Lの値が送信される。そして、飛行体1が搭乗部11を備え、搭乗員が飛行体1を操縦している場合には、コントロールセンターの担当者とのやりとりに基づいて飛行体1の姿勢を制御してもよい。
【0046】
7.その他
本発明は、次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記飛行体において、前記複数のセンサは、第1センサ、第2センサ及び第3センサを含み、前記傾斜角は、飛行状態における前記ボディのロール角及びピッチ角である、飛行体。
前記飛行体において、前記算出部は、前記複数のセンサにより測定された複数の距離に基づいて、飛行状態における前記ボディのロール角及びピッチ角を算出可能に構成される、飛行体。
前記飛行体において、前記所定位置は、前記複数のセンサを通る仮想平面上における、前記複数のセンサの重心に相当する位置、又は前記ボディの下面のうち外部に最も突出している位置、である、飛行体。
前記飛行体において、前記複数のセンサはそれぞれ、前記ボディの長手方向の長さの30%以上離れた位置に設置される、飛行体。
前記飛行体において、キャリブレーション部を備え、前記キャリブレーション部は、前記複数のセンサが、前記ボディの下面に対して平行な同一の仮想平面上に設置されない場合、前記複数のセンサにおける前記同一の仮想平面からの距離の違いを吸収するようにキャリブレーションを実行可能に構成される、飛行体。
前記飛行体において、前記複数のセンサは、前記ボディの下面に対して平行な同一の仮想平面上に設置される、飛行体。
前記飛行体において、調整部を備え、前記調整部は、前記傾斜角に基づいて、前記ボディの下面が前記対象物と平行に近づくように、前記飛行体の飛行機能を調整可能に構成される、飛行体。
前記飛行体において、前記算出部は、前記複数のセンサにより測定された複数の距離のうち、最も短い距離に基づいて、前記高度を算出可能に構成される、飛行体。
前記飛行体において、表示部を備え、前記表示部は、前記高度を表示可能に構成される、飛行体。
前記飛行体において、搭乗部を備え、前記搭乗部は、前記ボディ内に配置され、乗員が搭乗可能に構成され、前記表示部は、前記搭乗部から視認可能に設けられる、飛行体。
前記飛行体において、前記算出部による処理は、前記飛行体が前記対象物に着陸する前に実行される、飛行体。
前記飛行体において、前記所定方向は、垂直方向である、飛行体。
算出方法であって、測定ステップ及び算出ステップを備え、前記測定ステップでは、複数のセンサにより、対象物に対するセンサの設置面からの所定方向の距離を測定し、前記算出ステップでは、前記複数のセンサにより測定された複数の距離と、飛行状態における飛行体のボディの傾斜角とに基づいて、前記飛行体の高度を算出可能に構成され、前記高度は、前記ボディの所定位置と前記対象物との距離であって、前記対象物から垂直方向の距離である、算出方法。
もちろん、この限りではない。
【符号の説明】
【0047】
1 :飛行体
10 :制御部
11 :搭乗部
12 :ボディ
13 :アーム
14 :プロペラ
20 :通信部
30 :記憶部
40 :入力部
50 :表示部
101 :算出部
102 :比較部
103 :出力部
104 :調整部
105 :キャリブレーション部
141 :ロータ
142 :ブレード
C :中心点
C1 :中心点
C2 :中心点
C3 :中心点
G :重心
I1 :交点
I2 :交点
L :高度
L1 :距離
L12 :距離
L2 :距離
M1 :中点
M2 :中点
M3 :中点
M4 :中点
O :対象物
S :センサ
S1 :第1センサ
S2 :第2センサ
S3 :第3センサ
VP :仮想平面
d1 :距離
d2 :距離
θr :ロール角