(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075356
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】防寒被服
(51)【国際特許分類】
A41D 3/00 20060101AFI20220511BHJP
A41D 15/00 20060101ALI20220511BHJP
A41D 23/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
A41D3/00 N
A41D15/00
A41D23/00 C
A41D23/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186091
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】河村 篤
(72)【発明者】
【氏名】山本 晋司
(72)【発明者】
【氏名】松浦 健悟
(72)【発明者】
【氏名】足立 知佳
(72)【発明者】
【氏名】西谷 友紀
【テーマコード(参考)】
3B031
【Fターム(参考)】
3B031AA09
3B031AA10
3B031AB01
3B031AB11
3B031AC15
3B031AC16
3B031AC17
3B031AE09
3B031AE11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】裾部を取り外し可能な防寒衣において、取り外した裾部をネックピローとして使用することができる防寒被服を提供する。
【解決手段】着用者の上半身を覆う被服本体2と、被服本体の下端部全体に連結部材21,31を介して脱着可能に上端部全体が連結される裾部3を含み、いずれも、表地、裏地、及び表地と裏地の間に充填された詰め物を含み、裾部の詰め物の充填量は、50~100g/m
2であり、かつ、裾部の身長方向の長さは30~70cmであり、裾部において、裏地の上端部には第1係合部材4が設けられ、裏地の下端部の対向する箇所には第1係合部材と脱着可能に連結可能な第2係合部材5が設けられ、裾部が被服本体から分離されている場合、裾部を第1係合部材及び第2係合部材が配置されている箇所で折って丸め、第1係合部材及び第2係合部材を首の前で連結することでネックピローとなる、防寒被服。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも着用者の上半身を覆う被服本体と、前記被服本体に連結部材を介して脱着可能に連結される裾部を含み、
前記被服本体及び裾部は、いずれも、表地、裏地、及び表地と裏地の間に充填された詰め物を含み、
前記裾部の詰め物の充填量は、50g/m2以上100g/m2以下であり、かつ、前記裾部の身長方向の長さは30cm以上70cm以下であり、
前記裾部の裏地には、第1係合部材及び第1係合部材と脱着可能に連結可能な第2係合部材が対向するように設けられ、第1係合部材は、一方の端部が裾部の裏地の上端部に固定されており、第2係合部材は、一方の端部が裾部の裏地の下端部に固定されており、
前記裾部が前記被服本体から分離されている場合、前記裾部を第1係合部材及び第2係合部材が配置されている箇所に沿って折って丸め、第1係合部材及び第2係合部材を首の前で連結することでネックピローとなることを特徴とする防寒被服。
【請求項2】
第1係合部材及び第2係合部材からなる群から選ばれる少なくとも一つは、長さを調整することができる伸縮部材を備えている、請求項1に記載の防寒被服。
【請求項3】
前記裾部の裏地において、第2係合部材の固定部の上部には第2係合部材と脱着可能に連結可能な第3係合部材が設けられ、
前記裾部が前記被服本体に連結されている場合、第2係合部材は第3係合部材に連結されている、請求項1又は2に記載の防寒衣服。
【請求項4】
前記裾部において、第1係合部材及び第2係合部材は、身幅方向の中央部に配置されている、請求項1~3のいずれかに記載の防寒被服。
【請求項5】
前記裾部の裏地において、第1係合部材、第2係合部材、第3係合部材及び外縁部以外の箇所には編目がない、請求項1~4のいずれかに記載の防寒被服。
【請求項6】
前記表地及び中綿にはキルトステッチを入れた、請求項1~5のいずれかに記載の防寒被服。
【請求項7】
前記表地は、防水素材である、請求項1~6のいずれかに記載の防寒被服。
【請求項8】
前記裏地は、防水素材である、請求項1~7のいずれかに記載の防寒被服。
【請求項9】
前記詰め物は、羽毛である、請求項1~8のいずれかに記載の防寒被服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防寒被服に関し、詳細には、少なくとも着用者の上半身を覆う被服本体と、該被服本体に脱着可能に連結される裾部を含む防寒被服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、防寒の目的で、表地と裏地の間に羽毛や中綿等の詰め物を充填したコート等の防寒衣が知られている。例えば、特許文献1には、表地と裏地を有し、表地と裏地の間に中材が収容され、表地と裏地は複数並んで配置された止着線で接合された衣類が記載されている。
一方、最近、旅行や出張等の際に旅行先や出張先の天気に合わせて着用することができるよう、裾部を取り外し可能にした防寒衣が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、裾部を取り外し可能な防寒衣において、取り外した裾部の更なる活用が求められている。
【0005】
本発明は、上記従来の問題を解決するため、少なくとも着用者の上半身を覆う被服本体と、該被服本体に脱着可能に連結される裾部を含む防寒被服において、分離した状態の裾部をネックピローとして使用することができる防寒被服を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも着用者の上半身を覆う被服本体と、前記被服本体に連結部材を介して脱着可能に連結される裾部を含み、前記被服本体及び裾部は、いずれも、表地、裏地、及び表地と裏地の間に充填された詰め物を含み、前記裾部の詰め物の充填量は、50g/m2以上100g/m2以下であり、かつ、前記裾部の身長方向の長さは30cm以上70cm以下であり、前記裾部の裏地には、第1係合部材及び第1係合部材と脱着可能に連結可能な第2係合部材が対向するように設けられ、第1係合部材は、一方の端部が裾部の裏地の上端部に固定されており、第2係合部材は、一方の端部が裾部の裏地の下端部に固定されており、前記裾部が前記被服本体から分離されている場合、前記裾部を第1係合部材及び第2係合部材が配置されている箇所に沿って折って丸め、第1係合部材及び第2係合部材を首の前で連結することでネックピローとなることを特徴とする防寒被服に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態の防寒被服の模式的正面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態の防寒被服の模式的背面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態の防寒被服において、被服本体と裾部を部分的に分離した状態を示す模式的拡大平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態における分離された裾部の模式的裏面展開図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態における分離された裾部の模式的表面展開図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態における分離された裾部をネックピローとして用いる場合の手順を説明する模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の発明者らは、少なくとも着用者の上半身を覆う被服本体と、該被服本体と脱着可能に連結される裾部を含む防寒被服において、被服本体と分離した状態の裾部をネックピローとして使用するために検討を重ねた。その結果、裾部の詰め物の充填量を50g/m2以上100g/m2以下、かつ、裾部の身長方向の長さを30cm以上70cm以下にするとともに、裾部において、一方の端部が裏地の上端部に固定されている第1係合部材と、一方の端部が裏地の下端部の対向する箇所に固定され、第1係合部材と脱着可能に連結可能な第2係合部材を設け、裾部を第1係合部材及び第2係合部材が配置されている箇所で折って丸め、第1係合部材及び第2係合部材を首の前で連結することでネックピローとして使用し得ることを見出した。
【0009】
本発明の防寒被服において、裾部の詰め物の充填量が50g/m2未満であると、ネックピロー状態におけるクッション性及び防寒性が劣る上、被服本体と連結された状態において防寒効果が不十分になる恐れがある。一方、本発明の防寒被服において、裾部の詰め物の充填量が100g/m2を超えると、ネックピローの場合に首に巻きにくくなる上、被服本体と連結された状態で歩行を妨害する恐れがある。本発明の防寒被服において、裾部の詰め物の充填量は、55g/m2以上95g/m2以下であることが好ましく、60g/m2以上90g/m2以下であることがより好ましい。
【0010】
本発明の防寒被服において、裾部の身長方向の長さが30cm未満であると、ネックピローの場合に首に巻きにくく、防寒性が劣る上、被服本体と連結された状態において防寒効果が不十分になる恐れがある。一方、本発明の防寒被服において、裾部の身長方向の長さが70cmを超えると、ネックピローの場合に首に巻きにくい上、被服本体と連結された状態で歩行を妨害する恐れがある。
【0011】
第1係合部材及び第2係合部材は、互いに脱着可能に連結可能なものであればよく、特に限定されない。例えば、面ファスナー、ホック、ボタン等を適宜用いることができる。また、面ファスナー、ホック、ボタン等を生地に取り付けたものを用いてもよい。簡便性、着用性及び接合強度の観点から、生地に縫製等によって取り付けた面ファスナーで構成されていることが好ましい。生地としては、特に限定されず、編物や織物等を適宜用いることができる。第1係合部材及び第2係合部材において、一方の端部の生地を裾部の裏地に縫製等によって固定することができる。
【0012】
本発明の防寒被服において、第1係合部材及び第2係合部材からなる群から選ばれる少なくとも一つは、長さを調整することができる伸縮部材を備えていることが好ましい。これにより、裾部をネックピローとして使用する場合、首に沿うように長さを調整しやすくなる。
【0013】
前記伸縮部材としては、特に限定されないが、例えば、第1係合部材及び/及び第2係合部材を構成する生地の少なくとも一部を伸縮性生地で構成することで設けることができる。伸縮性生地としては、特に限定されず、例えば伸縮性織編物、ゴム等を用いることができる。伸縮性織編物としては、例えば、ポリウレタン弾性繊維を含む織編物を用いることができる。前記伸縮部材は、第1係合部材及び/又は第2係合部材の裾部に固定されている端部近辺に配置されていることが好ましい。
【0014】
本発明の防寒被服において、特に限定されないが、第1係合部材及び第2係合部材は、前記裾部の身幅方向の中央部に配置されていることが好ましい。裾部を第1係合部材及び第2係合部材が配置されている箇所で折って丸めてネックピローとして使用しやすくなる。
【0015】
前記裾部の裏地において、第2係合部材の固定部の上部には第2係合部材と脱着可能に連結可能な第3係合部材が設けられ、前記裾部が前記被服本体に連結されている場合、第2係合部材は第3係合部材に連結されていることが好ましい。これにより、裾部が被服本体に連結されている状態の防寒被服を着用した際、第2係合部材が裾部からはみ出すことを抑制し、美観が良好になる。第3係合部材は、例えば、面ファスナー、ホック、ボタン等で構成してもよい。また、第3係合部材は、面ファスナー、ホック、ボタン等の生地に取り付けたものを用いてもよい。
【0016】
係合部材を面ファスナーで構成する場合、第1係合部材及び第3係合部材はループで構成し、第3係合部材をフックで構成することが好ましい。係合部材が防寒被服内に着用した他の衣服と接合することを抑制することができる。
【0017】
本発明の防寒被服において、特に限定されないが、前記裾部の裏地において、第1係合部材、第2係合部材、第3係合部材及び外縁部以外の箇所には編目がないことが好ましい。裾部をネックピローとして使用する際に、皮膚と接する編目がないことから、編目による不快感がなく、着用感が良好になる。裾部の身体側の下端部は、表地が折り返された構成でもよい。
【0018】
本発明の防寒被服において、洗濯等によって詰め物が偏ることを抑制する観点から、表地及び中綿にはキルトステッチを入れることが好ましい。
【0019】
本発明の防寒被服において、表地及び裏地は、特に限定されず、衣類に用いられる生地であればよく、特に限定されない。上記表地と裏地は、側地とも称される。例えば織物、編物等を用いることができる。織物としては、例えば平織、斜文織、朱子織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織、変わり織、紋織、片重ね織、二重組織、多重組織、経パイル織、緯パイル織、絡み織等が挙げられる。編物としては、例えば丸編、緯編、経編(トリコット編、ラッセル編を含む)、パイル編、平編、天竺編、リブ編、スムース編(両面編)、ゴム編、パール編、デンビー組織、コード組織、アトラス組織、鎖組織、挿入組織等が挙げられる。上記表地及び裏地は、羽毛の漏れを軽減する観点から、ダウンプルーフ素材を用いてもよい。
【0020】
前記表地は、防水素材であることが好ましい。表地として防水素材を用いることで、雨や雪が降る時に本発明の防寒被服を着用しても、詰め物が濡れにくくなる。前記被服本体を構成する裏地も、防水素材であってもよい。
【0021】
前記防水素材は、防水性を有するものであればよく、特に限定されないが、防水性に優れる観点から、編物及び織物等の生地の裏面に樹脂をラミネート又はコーティングした防水素材であることが好ましく、編物又は織物の裏面に樹脂をコーティングした防水コーティング素材或いは編物又は織物の裏面に樹脂をラミネートした防水ラミネート素材であることがより好ましい。前記樹脂としては、編物又は織物に防水性を付与するものであればよく、特に限定されず、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリアミノ酸系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等を用いることができる。中でも、透湿性及び防水性の観点から、ポリウレタン樹脂が好ましい。上記防水素材は、編物又は織物の裏面にポリウレタン樹脂をコーティングした防水コーティング素材或いは編物又は織物の裏面にポリウレタン樹脂をラミネートした防水ラミネート素材であることが特に好ましい。
【0022】
前記裾部を構成する裏地は、ネックピローとして使用する際の着用感の観点から、柔らかい生地を用いることが好ましい。例えば、織物の場合、生地を構成する糸のフィラメント数は18本以上であることが好ましく、24本以上であることがより好ましい。
【0023】
前記表地は、特に限定されないが、例えば、目付けが80g/m2以上140g/m2以下であることが好ましく、より好ましくは90g/m2以上130g/m2以下であり、さらに好ましくは100g/m2以上120g/m2以下である。前記裏地は、特に限定されないが、例えば、目付けが20g/m2以上70g/m2以下であることが好ましく、より好ましくは25g/m2以上55g/m2以下であり、さらに好ましくは30g/m2以上45g/m2以下である。
【0024】
前記被服本体において、特に限定されないが、防寒性及び着用感の観点から、詰め物の充填量は、60g/m2以上140g/m2以下であることが好ましく、70g/m2以上130g/m2以下であることがより好ましく、80g/m2以上120g/m2以下であることがさらに好ましい。
【0025】
前記詰め物は、特に限定されず、例えば、羽毛、綿素材等を用いることができる。羽毛は、ダウン及びフェザーのいずれか一方または両方を意味する。綿素材は、繊維ウェブであってもよく、繊維ウェブに樹脂を付着した樹脂綿であってもよい。繊維ウェブと構成する繊維としては、特に限定されず、合成繊維や天然繊維等を用いることができる。前記合成繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、アセテート繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維等が挙げられる。前記天然繊維としては、コットン、動物性繊維、麻等が挙げられる。前記樹脂は、特に限定されないが、成形性、取り扱い性の観点から、酢酸ビニル系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群から選ばれる一種以上であることが好ましい。前記詰め物は、軽量性及び保温性の観点から、羽毛であることが好ましい。
【0026】
本発明において、特に限定されないが、防寒被服は、さらに袖部、襟部やフードを有してもよい。本発明において、特に限定されないが、防寒被服は、被服本体と裾部が連結されている状態において、コートとして用いることができ、被服本体と裾部が分離されている状態において、被服本体は、ブルゾンやジャケットとして用い、裾部はネックピローとして用いることができる。
【0027】
以下、図面に基づいて、本発明の1以上の実施形態の防寒被服を説明する。本発明は、図面に示されたものに限定されない。以下の図面において、同一符号は同一物を示す。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態の防寒被服(コート)の模式的正面図である。
図2は、同模式的背面図である。
図3は、同被服本体と裾部を部分的に分離した状態を示す模式的拡大平面図である。
図4は、同分離された裾部の模式的裏面展開図である。
図5は、同分離された裾部の模式的表面展開図である。
図6~10は同分離された裾部をネックピローとして用いる場合の手順を説明する模式的説明図である。
【0029】
該実施形態の防寒被服1は、被服本体2と、被服本体2に脱着可能に連結される裾部3を含む。被服本体2と、裾部3は、連結部材21、31を介して脱着可能に連結される。連結部材21は、被服本体2の下端部の近傍に配置され、連結部材31は、裾部3の上端部に配置されている。連結部材21、31として、ファスナーを用いてもよい。
【0030】
被服本体2及び裾部3は、いずれも、表地100、裏地200、及び表地100と裏地00の間に充填された詰め物(図示なし)を含む。裾部3の身体側の下端部は、表地100が折り返された構成となっている。該実施形態において、表地及び中綿にはキルトステッチが施されている。
【0031】
裾部3の詰め物の充填量は、50g/m2以上100g/m2以下であり、かつ、裾部3の身長方向の長さは30cm以上70cm以下である。
【0032】
裾部3の裏地200には、一方の端部が裾部の裏地の上端部に固定されている第1係合部材4、及び一方の端部が裾部の裏地の下端部の対向する箇所に固定されている第2係合部材5が設けられている。第1係合部材4及び第2係合部材5は、脱着可能に連結可能である。
【0033】
裾部3の裏地200において、第2係合部材5の固定部の上部には第2係合部材5と脱着可能に連結可能な第3係合部材6が設けられ、裾部3が被服本体2に連結されている場合、第2係合部材5は第3係合部材6に連結されていることが好ましい。
【0034】
該実施形態において、第1係合部材4及び第2係合部材5は、裾部3の身幅方向の中央部に配置されている。これにより、裾部3を第1係合部材4及び第2係合部材5が配置されている箇所で折って丸めてネックピローとして使用しやすくなる。
【0035】
該実施形態において、裾部3の裏地の第1係合部材、第2係合部材、第3係合部材及び外縁部以外の箇所には編目がない。裾部をネックピローとして使用する際に、皮膚と接する編目がないことから、編目による不快感がなく、着用感が良好になる。
【0036】
該実施形態において、第1係合部材4、第2係合部材5は、いずれも生地に取り付けられている面ファスナー(ループ)で構成されている。第3係合部材6も、面ファスナー(フック)で構成されている。
【0037】
該実施形態において、第2係合部材5は、長さを調整することができる伸縮部材7を備えている。第1係合部材4が長さを調整することができる伸縮部材を備えていてもよい。
【0038】
該実施形態において、防寒衣服1は、さらに、袖部8、襟部9及びフード10を有する。袖部8、襟部9及びフード10は、いずれも、表地100、裏地200、及び表地100と裏地200の間に充填された詰め物(図示なし)を含んでもよい。
【0039】
裾部3が被服本体2と分離されている場合、裾部3を第1係合部材4及び第2係合部材5が配置されている箇所に沿って折って丸め、第1係合部材4及び第2係合部材5を首の前で連結することでネックピロー300として用いることができる。
【0040】
具体的には、
図6に示すように、裾部3を裏地200側を表にし、第1係合部材4及び第2係合部材5が配置されている箇所に沿って半分に折る。次に、
図7~9に示すように、第1係合部材4及び第2係合部材5が配置されていない側から空気をぬきながら丸める。その後、
図10に示すように、第1係合部材4及び第2係合部材5が外側になるように首に巻き、第1係合部材4及び第2係合部材5を首の前の連結することで、ネックピロー300として使用する。
【実施例0041】
以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0042】
実施例及び比較例において、下記に示す素材を用いた。
生地a:ゴアテックス(登録商標)「bNWM111/2L」、タフタ2層組織、目付114g/m2。
生地b:伊藤忠社製「CTF0008」、経糸20デニール(24f)、経糸密度226本/インチ、緯糸20デニール(24f)、緯糸密度185本/インチ、タフタ組織、目付38g/m2
羽毛:中国産「650FPホワイトダック」
【0043】
(実施例1)
生地aを表地、生地bを裏地とし、羽毛を詰め物とし、
図1~5に示す防寒被服(コート、JASPOサイズL)を作製した。各端は袋縫いで閉じた。
被服本体2において、詰め物の充填量は100g/m
2であった。
裾部3において、詰め物の充填量は90g/m
2であり、身長方向の長さLは68cmであった。
【0044】
(比較例1)
裾部3における詰め物の充填量は30g/m2にした以外は、実施例1と同様にして防寒被服(コート)を作製した。
【0045】
(比較例2)
裾部3の身長方向の長さLを25cmにした以外は、実施例1と同様にして防寒被服(コート)を作製した。
【0046】
裾部3が被服本体2に連結されている状態での着用感及び裾部3が被服本体2と分離した状態におけるネックピローとしての使用感を確認した。
実施例の場合は、裾部3が被服本体2に連結されている状態において、歩行しやすく、防寒効果も良好であり、裾部3が被服本体2と分離したネックピロー状態においても、クッション性及び防寒性が良好であった。
一方、比較例1の場合、裾部3が被服本体2に連結されている状態において、裾部による防寒効果も不十分であり、裾部3が被服本体2と分離したネックピロー状態においても、クッション性及び防寒性が劣っていた。
比較例2の場合、裾部3が被服本体2に連結されている状態において、裾部による防寒効果も不十分であり、裾部3が被服本体2と分離したネックピロー状態においては、首に巻きにくく、防寒性が劣っていた。