(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075379
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】第一級および第二級アミン化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 209/62 20060101AFI20220511BHJP
C07C 217/56 20060101ALI20220511BHJP
C07C 211/27 20060101ALI20220511BHJP
C07C 213/08 20060101ALI20220511BHJP
C07C 211/29 20060101ALI20220511BHJP
C07C 255/58 20060101ALI20220511BHJP
C07C 253/30 20060101ALI20220511BHJP
C07C 211/17 20060101ALI20220511BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220511BHJP
【FI】
C07C209/62
C07C217/56
C07C211/27
C07C213/08
C07C211/29
C07C255/58
C07C253/30
C07C211/17
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186123
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】591045677
【氏名又は名称】関東化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】内海 典之
(72)【発明者】
【氏名】片山 武昭
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC52
4H006AC80
4H006BA22
4H006BA46
4H006BA47
4H006BD70
4H006BE05
4H006BE36
4H006BJ50
4H006BM30
4H006BM73
4H006BP30
4H006BU32
4H006QN30
4H039CA71
4H039CB90
4H039CD90
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的は、アルデヒド化合物から第一級および第二級アミン化合物を選択的に合成することができ、かつ反応操作性に優れた第一級および第二級アミン化合物の実用的な製造方法を提供することである。
【解決手段】
特定のアミノアルコールをアミン源とした有機イリジウム錯体触媒によるアルデヒド化合物の還元的アミノ化反応と、酸化的な脱保護反応を組み合わせることによる第一級および第二級アミン化合物の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一級または第二級アミン化合物の製造方法であって、
下記一般式(1)
【化1】
式中、R
1は、水素原子、1または2以上の水素原子が置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基であり、
Wは、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であり、2以上のWは、一緒になって1または2以上の環を形成してもよく、
Ra、RbおよびRcは、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、環員数6~20のアラルキル基、環員数6~20のヘテロアラルキル基、環員数6~20のアルキルアリール基または環員数6~20のアルキルヘテロアリール基であり、
R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基であり、
nは1または2であり、
nが2の場合、R
1は存在しない、
で表されるアミノアルコールと、
下記一般式(2)
【化2】
式中、R
6は、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のカルボキシル基、C1~C20の炭素原子で結合するエステル基、C1~C20の炭素原子で結合するアミド基、C1~C20のアシル基であり、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有する、
で表されるアルデヒドとを、
下記一般式(3)
【化3】
式中、Arは、1または2以上の水素原子が前期置換基Wで置換されていてもよい、シクロペンタジエニル基であり、
Xは、ヒドリド基またはアニオン性基であり、
R
7およびR
8は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
jおよびkは、互いに同一または異なり、0~3までの整数であり、
R
7またはR
8が結合していないキノリン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
jが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、
下記一般式(4)
【化4】
式中、Ar、XおよびR
7は前記と同じ意味を有し、
R
9は、 水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
lは0~4までの整数であり、
R
7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
lが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、
下記一般式(5)
【化5】
式中、Ar、X、R
7、lは前記と同じ意味を有し、
R
10およびR
11は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
R
10とR
11とが一緒になって環を形成していてもよく、
R
12は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra または-C(=O)-NRaRbであって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
R
7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
lが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、または、
下記一般式(6)
【化6】
式中、Ar、Xは前記と同じ意味を有し、
Aは、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよい、少なくとも2つの窒素原子を含む飽和または不飽和の含窒素複素環カルベンであり、
R
13、R
14、R
15,R
16およびR
17は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
R
18は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-C(=O)-NRaRb、-C(=S)-NRaRb、C1~C20のフルオロアルキル基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有する、
で表される有機イリジウム化合物存在下において、水素を供与する化合物と反応させる工程、および
反応生成物における以下の一般式(A)
【化7】
式中、R
2、R
3、R
4、R
5およびnは一般式(1)と同じ意味を有する、
で表される部位を酸化的に脱保護する工程、
を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
第一級または第二級アミン化合物の製造方法であって、
下記一般式(1)
【化8】
式中、R
1は、水素原子、1または2以上の水素原子が置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基であり、
Wは、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であり、2以上のWは、一緒になって1または2以上の環を形成してもよく、
Ra、RbおよびRcは、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、環員数6~20のアラルキル基、環員数6~20のヘテロアラルキル基、環員数6~20のアルキルアリール基または環員数6~20のアルキルヘテロアリール基であり、
R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基であり、
nは1または2であり、
nが2の場合、R
1は存在しない、
で表されるアミノアルコールと、
下記一般式(2)
【化9】
式中、R
6は、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のカルボキシル基、C1~C20の炭素原子で結合するエステル基、C1~C20の炭素原子で結合するアミド基、C1~C20のアシル基であり、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有する、
で表されるアルデヒドとを、
下記一般式(7)
【化10】
式中、Arは、1または2以上の水素原子が前期置換基Wで置換されていてもよい、シクロペンタジエニル基であり、
Xは、ヒドリド基またはアニオン性基である、
で表される有機イリジウム化合物と、
下記一般式(8)
【化11】
式中、R
7およびR
8は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
jおよびkは、互いに同一または異なり、0~3までの整数であり、
R
7またはR
8が結合していないキノリン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
jが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、
下記一般式(9)
【化12】
式中、R
7は前記と同じ意味を有し、
R
9は、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
lは0~4までの整数であり、
R
7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
lが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、
下記一般式(10)
【化13】
式中、R
7およびlは前記と同じ意味を有し、
R
10およびR
11は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
R
10とR
11とが一緒になって環を形成していてもよく、
R
12は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra または-C(=O)-NRaRbであって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
R
7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
lが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、または
下記一般式(11)
【化14】
式中、R
13、R
14、R
15,R
16およびR
17は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
R
18は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-C(=O)-NRaRb、-C(=S)-NRaRb、C1~C20のフルオロアルキル基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよい、
A’は、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよい、少なくとも2つの窒素原子を含む飽和または不飽和の含窒素複素環カルベン前駆体であり、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有する、
Yはアニオン性基である、
で表される有機化合物との存在下において、水素を供与する化合物と反応させる工程、および
反応生成物における以下の一般式(A)
【化15】
式中、R
2、R
3、R
4、R
5およびnは一般式(1)と同じ意味を有する、
で表される部位を酸化的に脱保護する工程、
を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項3】
第一級および第二級アミン化合物の製造方法であって、
下記一般式(1)
【化16】
式中、R
1は、水素原子、1または2以上の水素原子が置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基であり、
Wは、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であり、2以上のWは、一緒になって1または2以上の環を形成してもよく、
Ra、RbおよびRcは、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、環員数6~20のアラルキル基、環員数6~20のヘテロアラルキル基、環員数6~20のアルキルアリール基または環員数6~20のアルキルヘテロアリール基であり、
R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基であり、
nは1または2であり、
nが2の場合、R
1は存在しない、
で表されるアミノアルコールと、
下記一般式(2)
【化17】
式中、R
6は、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のカルボキシル基、C1~C20の炭素原子で結合するエステル基、C1~C20の炭素原子で結合するアミド基、C1~C20のアシル基であり、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有する、
で表されるアルデヒドから調製されたヘミアミナールエーテル、イミン、またはエナミンを、
下記一般式(3)
【化18】
式中、Arは、1または2以上の水素原子が前期置換基Wで置換されていてもよい、シクロペンタジエニル基であり、
Xは、ヒドリド基またはアニオン性基であり、
R
7およびR
8は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
jおよびkは、互いに同一または異なり、0~3までの整数であり、
R
7またはR
8が結合していないキノリン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
jが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、
下記一般式(4)
【化19】
式中、Ar、XおよびR
7は前記と同じ意味を有し、
R
9は、 水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
lは0~4までの整数であり、
R
7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
lが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、
下記一般式(5)
【化20】
式中、Ar、X、R
7、lは前記と同じ意味を有し、
R
10およびR
11は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
R
10とR
11とが一緒になって環を形成していてもよく、
R
12は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra または-C(=O)-NRaRbであって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
R
7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
lが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、または、
下記一般式(6)
【化21】
式中、Ar、Xは前記と同じ意味を有し、
Aは、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよい、少なくとも2つの窒素原子を含む飽和または不飽和の含窒素複素環カルベンであり、
R
13、R
14、R
15,R
16およびR
17は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
R
18は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-C(=O)-NRaRb、-C(=S)-NRaRb、C1~C20のフルオロアルキル基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有する、
で表される有機イリジウム化合物存在下において、水素を供与する化合物と反応させる工程、および
反応生成物における以下の一般式(A)
【化22】
式中、R
2、R
3、R
4、R
5およびnは一般式(1)と同じ意味を有する、
で表される部位を酸化的に脱保護する工程、
を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項4】
第一級および第二級アミン化合物の製造方法であって、
下記一般式(1)
【化23】
式中、R
1は、水素原子、1または2以上の水素原子が置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基であり、
Wは、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であり、2以上のWは、一緒になって1または2以上の環を形成してもよく、
Ra、RbおよびRcは、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、環員数6~20のアラルキル基、環員数6~20のヘテロアラルキル基、環員数6~20のアルキルアリール基または環員数6~20のアルキルヘテロアリール基であり、
R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基であり、
nは1または2であり、
nが2の場合、R
1は存在しない、で表されるアミノアルコールと、
下記一般式(2)
【化24】
式中、R
6は、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のカルボキシル基、C1~C20の炭素原子で結合するエステル基、C1~C20の炭素原子で結合するアミド基、C1~C20のアシル基であり、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有する、
で表されるアルデヒドから調製されたヘミアミナールエーテル、イミン、またはエナミンを、
下記一般式(7)
【化25】
式中、Arは、1または2以上の水素原子が前期置換基Wで置換されていてもよい、シクロペンタジエニル基であり、
Xは、ヒドリド基またはアニオン性基である、
で表される有機イリジウム化合物と、
下記一般式(8)
【化26】
式中、R
7およびR
8は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
jおよびkは、互いに同一または異なり、0~3までの整数であり、
R
7またはR
8が結合していないキノリン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
jが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、
下記一般式(9)
【化27】
式中、R
7は前記と同じ意味を有し、
R
9は、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
lは0~4までの整数であり、
R
7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
lが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、
下記一般式(10)
【化28】
式中、
R
7およびlは前記と同じ意味を有し、
R
10およびR
11は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
R
10とR
11とが一緒になって環を形成していてもよく、
R
12は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra または-C(=O)-NRaRbであって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
R
7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
lが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、または
下記一般式(11)
【化29】
式中、R
13、R
14、R
15,R
16およびR
17は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
R
18は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-C(=O)-NRaRb、-C(=S)-NRaRb、C1~C20のフルオロアルキル基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよい、
A’は、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよい、少なくとも2つの窒素原子を含む飽和または不飽和の含窒素複素環カルベン前駆体であり、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有する、
Yはアニオン性基である、
で表される有機化合物との存在下において、水素を供与する化合物と反応させる工程、および
反応生成物における以下の一般式(A)
【化30】
式中、R
2、R
3、R
4、R
5およびnは一般式(1)と同じ意味を有する、
で表される部位を酸化的に脱保護する工程、
を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項5】
一般式(1)で表されるアミノアルコールが、2-アミノエタノール、2-アミノ-1-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、バリノール、フェニルグリシノールである請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
酸化的な脱保護を、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩または四酢酸鉛を酸化剤として用いて実施する請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
水素を供与する化合物が、ギ酸またはギ酸塩である請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一級および第二級アミン化合物の実用性に優れた製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルデヒド化合物から第一級または第二級アミン化合物を合成する方法としては、一般的にはアルデヒド化合物を対応する原料アミン化合物の存在下に還元する合成法が知られている(非特許文献1,2)。しかしながら、この方法では生成した第一級または第二級アミン化合物の求核性が原料アミン化合物より高いため、実際にはこれが更に反応した望まない第二級および/または第三級アミン化合物の副生を抑制することは難しく、実用的な方法ではなかった。
【0003】
第一級アミン化合物への選択性を高めた方法としては、アルデヒド化合物とヒドロキシルアミンからまずオキシムを合成し、これを接触水素化して第一級アミン化合物を製造する方法が知られている(特許文献1)。しかしながら、この方法ではまずオキシムを事前に調製する必要がある上、オキシムの還元反応を1MPaの高圧水素雰囲気下で実施し耐圧釜などの特別な反応容器を必要とすることから、簡便な方法ではなかった。また、アルデヒド化合物とカルバミド酸エステル化合物からトリクロロシランを還元剤として用いる還元的アミノ化反応によりカルバミド酸エステル誘導体を合成した後、これを例えば加水分解などにより脱保護して第一級アミン化合物を製造する方法も知られている(特許文献2)。しかしながら、この方法では還元剤として沸点が低く湿気に対して不安定であるトリクロロシランを必要とし、取り扱いが困難であることから簡便な方法ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-273069号公報
【特許文献2】特許第4212466号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J.Org.Chem.1996,61,3849.
【非特許文献2】J.Org.Chem.2010,75,5470.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、アルデヒド化合物から第一級および第二級アミン化合物を選択的に合成することができ、かつ反応操作性に優れた第一級および第二級アミン化合物の実用的な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、カルボニル化合物とアミン化合物との還元的アミノ化反応を研究する中で、アルデヒド化合物からアンモニア等価体をアミン源として用いて還元的アミノ化する方法では、過アルキル化などの問題により、第一級アミン化合物を選択的に合成することが困難である課題に直面した。また、特定のアルデヒド化合物においては、メチルアミン等の第一級アミンをアミン源として用いて還元的アミノ化する方法でも、同様に過アルキル化により第二級アミン化合物を選択的に合成することが困難となる場合があった。
【0008】
鋭意研究を進める中で、アミン源として特定のアミノアルコールを、触媒として有機イリジウム錯体を用いると、生成物である窒素上に2-ヒドロキシエチル骨格を有するアミンは、そのかさ高さから過アルキル化を起こし難く、選択的に第二級または第三級アミン化合物を合成できることを見出した。さらに、このアミノアルコールから合成された窒素上に2-ヒドロキシエチル骨格を有するアミン化合物は、窒素上の2-ヒドロキシエチル骨格を有する置換基を耐圧釜などの特別な反応容器を必要とせず簡便な操作で酸化的に脱保護することが出来るため、これらを組み合わせることで目的の第一級または第二級アミン化合物を選択的に合成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]第一級または第二級アミン化合物の製造方法であって、
下記一般式(1)
【化1】
式中、R
1は、水素原子、1または2以上の水素原子が置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基であり、
Wは、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であり、2以上のWは、一緒になって1または2以上の環を形成してもよく、
Ra、RbおよびRcは、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、環員数6~20のアラルキル基、環員数6~20のヘテロアラルキル基、環員数6~20のアルキルアリール基または環員数6~20のアルキルヘテロアリール基であり、
R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基であり、
nは1または2であり、
nが2の場合、R
1は存在しない、
で表されるアミノアルコールと、
下記一般式(2)
【化2】
式中、R
6は、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のカルボキシル基、C1~C20の炭素原子で結合するエステル基、C1~C20の炭素原子で結合するアミド基、C1~C20のアシル基であり、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有する、
で表されるアルデヒドとを、
下記一般式(3)
【化3】
式中、Arは、1または2以上の水素原子が前期置換基Wで置換されていてもよい、シクロペンタジエニル基であり、
Xは、ヒドリド基またはアニオン性基であり、
R
7およびR
8は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
jおよびkは、互いに同一または異なり、0~3までの整数であり、
R
7またはR
8が結合していないキノリン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
jが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、
下記一般式(4)
【化4】
式中、Ar、XおよびR
7は前記と同じ意味を有し、
R
9は、 水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
lは0~4までの整数であり、
R
7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
lが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、
下記一般式(5)
【化5】
式中、Ar、X、R
7、lは前記と同じ意味を有し、
R
10およびR
11は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
R
10とR
11とが一緒になって環を形成していてもよく、
R
12は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra または-C(=O)-NRaRbであって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
R
7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
lが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、または、
下記一般式(6)
【化6】
式中、Ar、Xは前記と同じ意味を有し、
Aは、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよい、少なくとも2つの窒素原子を含む飽和または不飽和の含窒素複素環カルベンであり、
R
13、R
14、R
15,R
16およびR
17は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
R
18は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-C(=O)-NRaRb、-C(=S)-NRaRb、C1~C20のフルオロアルキル基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有する、
で表される有機イリジウム化合物存在下において、水素を供与する化合物と反応させる工程、および
反応生成物における以下の一般式(A)
【化7】
式中、R
2、R
3、R
4、R
5およびnは一般式(1)と同じ意味を有する、
で表される部位を酸化的に脱保護する工程、
を含むことを特徴とする、前記方法。
【0010】
[2]第一級または第二級アミン化合物の製造方法であって、
下記一般式(1)
【化8】
式中、R
1は、水素原子、1または2以上の水素原子が置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基であり、
Wは、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であり、2以上のWは、一緒になって1または2以上の環を形成してもよく、
Ra、RbおよびRcは、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、環員数6~20のアラルキル基、環員数6~20のヘテロアラルキル基、環員数6~20のアルキルアリール基または環員数6~20のアルキルヘテロアリール基であり、
R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基であり、
nは1または2であり、
nが2の場合、R
1は存在しない、
で表されるアミノアルコールと、
下記一般式(2)
【化9】
式中、R
6は、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のカルボキシル基、C1~C20の炭素原子で結合するエステル基、C1~C20の炭素原子で結合するアミド基、C1~C20のアシル基であり、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有する、
で表されるアルデヒドとを、
下記一般式(7)
【化10】
式中、Arは、1または2以上の水素原子が前期置換基Wで置換されていてもよい、シクロペンタジエニル基であり、
Xは、ヒドリド基またはアニオン性基である、
で表される有機イリジウム化合物と、
下記一般式(8)
【化11】
式中、R
7およびR
8は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
jおよびkは、互いに同一または異なり、0~3までの整数であり、
R
7またはR
8が結合していないキノリン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
jが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、
下記一般式(9)
【化12】
式中、R
7は前記と同じ意味を有し、
R
9は、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
lは0~4までの整数であり、
R
7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
lが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、
下記一般式(10)
【化13】
式中、R
7およびlは前記と同じ意味を有し、
R
10およびR
11は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
R
10とR
11とが一緒になって環を形成していてもよく、
R
12は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra または-C(=O)-NRaRbであって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
R
7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
lが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、または
下記一般式(11)
【化14】
式中、R
13、R
14、R
15,R
16およびR
17は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
R
18は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-C(=O)-NRaRb、-C(=S)-NRaRb、C1~C20のフルオロアルキル基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよい、
A’は、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよい、少なくとも2つの窒素原子を含む飽和または不飽和の含窒素複素環カルベン前駆体であり、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有する、
Yはアニオン性基である、
で表される有機化合物との存在下において、水素を供与する化合物と反応させる工程、および
反応生成物における以下の一般式(A)
【化15】
式中、R
2、R
3、R
4、R
5およびnは一般式(1)と同じ意味を有する、
で表される部位を酸化的に脱保護する工程、
を含むことを特徴とする、前記方法。
【0011】
[3]第一級および第二級アミン化合物の製造方法であって、
下記一般式(1)
【化16】
式中、R
1は、水素原子、1または2以上の水素原子が置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基であり、
Wは、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であり、2以上のWは、一緒になって1または2以上の環を形成してもよく、
Ra、RbおよびRcは、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、環員数6~20のアラルキル基、環員数6~20のヘテロアラルキル基、環員数6~20のアルキルアリール基または環員数6~20のアルキルヘテロアリール基であり、
R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基であり、
nは1または2であり、
nが2の場合、R
1は存在しない、
で表されるアミノアルコールと、
下記一般式(2)
【化17】
式中、R
6は、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のカルボキシル基、C1~C20の炭素原子で結合するエステル基、C1~C20の炭素原子で結合するアミド基、C1~C20のアシル基であり、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有する、
で表されるアルデヒドから調製されたヘミアミナールエーテル、イミン、またはエナミンを、
下記一般式(3)
【化18】
式中、Arは、1または2以上の水素原子が前期置換基Wで置換されていてもよい、シクロペンタジエニル基であり、
Xは、ヒドリド基またはアニオン性基であり、
R
7およびR
8は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
jおよびkは、互いに同一または異なり、0~3までの整数であり、
R
7またはR
8が結合していないキノリン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
jが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、
下記一般式(4)
【化19】
式中、Ar、XおよびR
7は前記と同じ意味を有し、
R
9は、 水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
lは0~4までの整数であり、
R
7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
lが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、
下記一般式(5)
【化20】
式中、Ar、X、R
7、lは前記と同じ意味を有し、
R
10およびR
11は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
R
10とR
11とが一緒になって環を形成していてもよく、
R
12は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra または-C(=O)-NRaRbであって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
R
7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
lが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、または、
下記一般式(6)
【化21】
式中、Ar、Xは前記と同じ意味を有し、
Aは、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよい、少なくとも2つの窒素原子を含む飽和または不飽和の含窒素複素環カルベンであり、
R
13、R
14、R
15,R
16およびR
17は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
R
18は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-C(=O)-NRaRb、-C(=S)-NRaRb、C1~C20のフルオロアルキル基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有する、
で表される有機イリジウム化合物存在下において、水素を供与する化合物と反応させる工程、および
反応生成物における以下の一般式(A)
【化22】
式中、R
2、R
3、R
4、R
5およびnは一般式(1)と同じ意味を有する、
で表される部位を酸化的に脱保護する工程、
を含むことを特徴とする、前記方法。
【0012】
[4]第一級および第二級アミン化合物の製造方法であって、
下記一般式(1)
【化23】
式中、R
1は、水素原子、1または2以上の水素原子が置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基であり、
Wは、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であり、2以上のWは、一緒になって1または2以上の環を形成してもよく、
Ra、RbおよびRcは、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、環員数6~20のアラルキル基、環員数6~20のヘテロアラルキル基、環員数6~20のアルキルアリール基または環員数6~20のアルキルヘテロアリール基であり、
R
2、R
3、R
4およびR
5は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基であり、
nは1または2であり、
nが2の場合、R
1は存在しない、で表されるアミノアルコールと、
下記一般式(2)
【化24】
式中、R
6は、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のカルボキシル基、C1~C20の炭素原子で結合するエステル基、C1~C20の炭素原子で結合するアミド基、C1~C20のアシル基であり、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有する、
で表されるアルデヒドから調製されたヘミアミナールエーテル、イミン、またはエナミンを、
下記一般式(7)
【化25】
式中、
Arは、1または2以上の水素原子が前期置換基Wで置換されていてもよい、シクロペンタジエニル基であり、
Xは、ヒドリド基またはアニオン性基である、
で表される有機イリジウム化合物と、
下記一般式(8)
【化26】
式中、R
7およびR
8は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
jおよびkは、互いに同一または異なり、0~3までの整数であり、
R
7またはR
8が結合していないキノリン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
jが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、
下記一般式(9)
【化27】
式中、R
7は前記と同じ意味を有し、
R
9は、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
lは0~4までの整数であり、
R
7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
lが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、
下記一般式(10)
【化28】
式中、
R
7およびlは前記と同じ意味を有し、
R
10およびR
11は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
R
10とR
11とが一緒になって環を形成していてもよく、
R
12は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra または-C(=O)-NRaRbであって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、
R
7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、
lが2以上の場合、2以上のR
7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよい、または
下記一般式(11)
【化29】
式中、R
13、R
14、R
15,R
16およびR
17は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよく、
R
18は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-C(=O)-NRaRb、-C(=S)-NRaRb、C1~C20のフルオロアルキル基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよい、
A’は、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよい、少なくとも2つの窒素原子を含む飽和または不飽和の含窒素複素環カルベン前駆体であり、
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有する、
Yはアニオン性基である、
で表される有機化合物との存在下において、水素を供与する化合物と反応させる工程、および
反応生成物における以下の一般式(A)
【化30】
式中、R
2、R
3、R
4、R
5およびnは一般式(1)と同じ意味を有する、
で表される部位を酸化的に脱保護する工程、
を含むことを特徴とする、前記方法。
【0013】
[5]一般式(1)で表されるアミノアルコールが、2-アミノエタノール、2-アミノ-1-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、バリノール、フェニルグリシノールである前記[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]酸化的な脱保護を、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩または四酢酸鉛を酸化剤として用いて実施する前記[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
【0014】
[7]水素を供与する化合物が、ギ酸またはギ酸塩である前記[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特定のアミノアルコールをアミン源として、有機イリジウム錯体を触媒として用いることにより、アルデヒド化合物の還元的アミノ化反応が、過アルキル化を起こすことなく進行する。更に、特定のアミノアルコールを用いたことにより、窒素上の2-ヒドロキシエチル骨格を有する置換基が簡便な操作で酸化的に脱保護され、第一級または第二級アミン化合物を選択的に合成することができる。これにより、従来用いられてきた、アンモニア等価体や第一級アミン化合物をアミン源として用いるアルデヒド化合物の還元的アミノ化反応では困難であった、選択的な第一級または第二級アミン化合物の製造を行うことが可能となった。また、ヒドロキシルアミンをアミン源として用いるオキシムの還元反応では、反応を高圧水素雰囲気下で実施するため、耐圧釜などの特別な反応容器を必要とするのに対し、本発明により、還元反応、脱保護反応の両方に特別な反応容器を必要とせず、簡便な操作で実施することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】本発明の製造方法で用いるイリジウム化合物の例を示す構造式である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を、好適な実施態様に基づいて詳細に説明する。
本発明は、前記一般式(1)で表されるアミノアルコールと一般式(2)で表されるアルデヒド化合物とを、前記一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)または一般式(6)で表される有機イリジウム化合物の存在下において、水素を供与する化合物と反応させる工程、および窒素上の2-ヒドロキシエチル骨格を有する置換基を酸化的に脱保護する工程を含む、第一級または第二級アミン化合物を製造する方法である。
本発明において「窒素上の2-ヒドロキシエチル骨格を有する置換基」は前記一般式(A)で表される部位を意味する。
【0018】
本発明で用いられるアミノアルコールは、一般式(1)
【化31】
で表される。
式中、R
1は、水素原子、1または2以上の水素原子が置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基である。
なお、本明細書において、炭化水素基とは、炭素骨格およびそれに結合する水素原子からなる基を意味し、飽和もしくは不飽和の鎖状もしくは環状の炭化水素基を含む。例えば、飽和または不飽和の鎖状炭化水素基としては、直鎖または分枝鎖アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が、飽和または不飽和の環状炭化水素としては、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基およびこれら環状炭化水素基の1または2以上の水素原子が、飽和または不飽和の鎖状炭化水素基により置換されたもの、例えば、アラルキル基、アリールアルキル基などが挙げられる。
【0019】
また、本明細書においてアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、これらの直鎖または分枝鎖のものを含む。
置換基Wは、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基である。
【0020】
また、Ra、RbおよびRcは、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、環員数6~20のアラルキル基、環員数6~20のヘテロアラルキル基、環員数6~20のアルキルアリール基または環員数6~20のアルキルヘテロアリール基である。Ra、RbおよびRcの具体例としては、これに限定するものではないが、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロへキシル基、シクロヘキシレン基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、ベンジル基、ピリジルメチル基などが挙げられる。
【0021】
Wの具体例としては、これに限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロへキシル基、ベンジル基、シクロヘキシレン基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ベンジルオキシ基、アセチル基、プロピオニル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ヒドロキシル基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn-プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、
【0022】
カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-アセチルアミノ基、N-メチル-N-アセチルアミノ基、N-ベンゾイルアミノ基、N-メチル-N-ベンゾイルアミノ基、N-ヒドロキシルアミノ基、N-メトキシアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ジフェニルホスフィノ基、ジシクロへキシルホスフィノ基、シクロプロピルホスフィノ基、シクロブチルホスフィノ基、シクロペンチルホスフィノ基、シクロへキシルホスフィノ基、メタンスルフェニル基、エタンスルフェニル基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、フッ素基、臭素基、塩素基、ヨウ素基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
【0023】
また、2以上のWは、一緒になって1または2以上の環を形成してもよく、形成する環の具体例としては、これに限定するものではないが、例えばシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどのシクロアルカン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンなどの芳香環、インダン、テトラリンなどのアリール縮合シクロアルカン、ピロール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、チオフェン、フラン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、キノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフランなどのヘテロ芳香環、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ピロリジン、ピペリジン、クマラン、クロマン、インドリン、テトラヒドロキノリンなどの複素環式化合物などが挙げられ、これらの環の1または2以上の水素原子はさらに置換基Wによって置換されていてもよい。
【0024】
R1の具体例としては、これに限定するものではないが、例えば水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等の直鎖または分枝鎖アルキル基、トリフルオロメチル基などのフルオロアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル等のシクロアルキル基、ビニル、アリルなどの不飽和炭化水素、ベンジルなどのアラルキル基、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、インデニル基などの単環または多環式アリール基、チエニル、フリル、ピラニル、キサンテニル、ピリジル、ピロリル、イミダゾリニル、インドリル、カルバゾイル、フェナントロニリル、ピロリジル、ピペリジルなどの単環または多環式ヘテロシクリル基などが挙げられ、好ましくは水素原子である。
【0025】
R2、R3、R4およびR5は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~22のアリール基である。具体的には、これに限定するものではないが、例えば水素原子およびアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール並びにヘテロアリールなどの炭化水素基が挙げられる。好ましくは水素原子、飽和鎖状炭化水素基、アラルキル基、ヘテロアラルキル基、芳香族炭化水素基または複素芳香族炭化水素基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、2-ブチル基、tert-ブチル基、ベンジル基、(1H-イミダゾール-4-イル)メチル基、(3-インドリル)メチル基またはフェニル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、およびフェニル基である。
nは1または2であり、nが2である場合、R1は存在しないことを意味する。nは1であることが好ましい。
【0026】
一般式(1)で表されるアミノアルコールは、より具体的には、例えば2-アミノエタノール、2-アミノ-1-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、バリノール、ロイシノール、イソロイシノール、tert-ロイシノール、フェニルアラニノール、フェニルグリシノールであり、好ましくは2-アミノエタノール、2-アミノ-1-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、バリノール、フェニルグリシノールである。
【0027】
アルデヒド化合物は、一般式(2)
【化32】
で表される。
式中、R
6は、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよいC1~C20の飽和または不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のカルボキシル基、C1~C20の炭素原子で結合するエステル基、C1~C20の炭素原子で結合するアミド基、C1~C20のアシル基である。
【0028】
具体的には、これに限定するものではないが、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等の直鎖または分枝鎖アルキル基、トリフルオロメチル基などのフルオロアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル等のシクロアルキル基、ビニル、アリルなどの不飽和炭化水素、ベンジルなどのアラルキル基、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、インデニル基などの単環または多環式アリール基、チエニル、フリル、ピラニル、キサンテニル、ピリジル、ピロリル、イミダゾリニル、インドリル、カルバゾイル、フェナントロニリル、ピロリジル、ピペリジルなどの単環または多環式ヘテロシクリル基、フェロセニル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのエステル基、カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基などのアミド基、アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基などが挙げられる。好ましくは前記置換基Wを有していてもよい、分枝鎖アルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基である。
【0029】
また、本発明は、一般式(1)で表されるアミノアルコールと一般式(2)で表されるアルデヒドから調製されたヘミアミナールエーテル、イミン、またはエナミンを、一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)または一般式(6)で表される有機イリジウム化合物存在下において、水素を供与する化合物と反応させた後、窒素上の2-ヒドロキシエチル骨格を有する置換基を酸化的に脱保護して、第一級または第二級アミン化合物を製造してもよい。
ヘミアミナールエーテル、イミンまたはエナミンは、前述の一般式(1)で表されるアミノアルコールと一般式(2)で表されるアルデヒド化合物を原料として、系中で生成または独立して合成したものであってもよい。
【0030】
本発明で用いられる有機イリジウム化合物は、本法において触媒として機能するものである。有機イリジウム化合物は、一般式(3)
【化33】
で表される。
上記一般式(3)中、Arは、1または2以上の水素原子が前期置換基Wで置換されていてもよい、シクロペンタジエニル基である。
【0031】
Arの具体例としては、これに限定するものではないが、例えば無置換のシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、イソプロピルシクロペンタジエニル基、フェニルシクロペンタジエニル基、ベンジルシクロペンタジエニル基、 1,2-ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3-ジメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3-トリメチルシクロペンタジエニル基、1,2,4-トリメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3,4-テトラメチルシクロペンタジエニル基、1,2,3,4,5-ペンタメチルシクロペンタジエニル基(Cp*)、1,2,3,4,5-ペンタフェニルシクロペンタジエニル基などが挙げられる。これらの内、好ましくは1,2,3,4,5-ペンタメチルシクロペンタジエニル基(Cp*)および1,2,3,4,5-ペンタフェニルシクロペンタジエニル基である。
【0032】
Xは、ヒドリド基またはアニオン性基である。Xの具体例としては、これに限定するものではないが、例えば、ヒドリド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、架橋したオキソ基、フッ素基、塩素基、臭素基、ヨウ素基、テトラフルオロボラート基、テトラヒドロボラート基、テトラキスペンタフルオロフェニルボラート基、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボラート基、ヘキサフルオロホスフェート基、ヘキサフルオロアンチモネート基、ヘキサクロロアンチモネート基、ヘキサフルオロアーセネート基、パークロレート基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、(2,6-ジヒドロキシベンゾイル)オキシ基、(2,5-ジヒドロキシベンゾイル)オキシ基、(3-アミノベンゾイル)オキシ基、(2,6-ジメトキシベンゾイル)オキシ基、(2,4,6-トリイソプロピルベンゾイル)オキシ基、
【0033】
1-ナフタレンカルボン酸基、2-ナフタレンカルボン酸基、トリフルオロアセトキシ基、トリフルオロメタンスルホンイミド基、ニトロメチル基、ニトロエチル基、トルエンスルホナート基、メタンスルホナート基、エタンスルホナート基、n-プロパンスルホナート基、イソプロパンスルホナート基、n-ブタンスルホナート基、フルオロスルホナート基、フルオロメタンスルホナート基、ジフルオロメタンスルホナート基、トリフルオロメタンスルホナート基、ペンタフルオロエタンスルホナート基、ホスフェート基、(S)-2,2′-ジヒドロキシ-1,1′-ビナフチルホスフェート基、(R)-2,2′-ジヒドロキシ-1,1′-ビナフチルホスフェート基などが挙げられる。これらの内、好ましくはヒドリド基、塩素基、臭素基、ヨウ素基、テトラフルオロボラート基、テトラヒドロボラート基またはトリフルオロメタンスルホナート基である。
【0034】
また、Irにはヒドリド基またはアニオン性基であるX以外に、配位性の中性分子が配位していてもよい。Irに配位する中性分子の具体例としては、水やメタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノールあるいは2-メトキシエタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルあるいはtert-ブチルメチルエーテルなどのエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトン、クロロホルム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ピリジン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィンあるいはトリシクロヘキシルホスフィンなどのトリアルキルホスフィンまたはトリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィンが挙げられる。このような中性分子は配位するとカチオン性錯体を形成し、これによりアニオン性基はカウンターアニオンとして存在することとなる。
【0035】
R7およびR8は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよい。
【0036】
R7およびR8は複数個導入されていてもよく、置換数jおよびkは、互いに同一または異なり、0~3までの整数であり、ここでjが2以上の場合、2以上のR7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよく、例えばフェナントリジン環、アクリジン環などを形成してもよい。さらに、R7またはR8が結合していないキノリン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、例えばナフチリジン環、キノキサリン環、シンノリン環、キナゾリン環、フタラジン環などを形成してもよい。
【0037】
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、R7およびR8の具体例としては、これに限定するものではないが、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロへキシル基、シクロヘキシレン基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ベンジルオキシ基、アセチル基、プロピオニル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ヒドロキシル基、
【0038】
メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn-プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-アセチルアミノ基、N-メチル-N-アセチルアミノ基、N-ベンゾイルアミノ基、N-メチル-N-ベンゾイルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ジフェニルホスフィノ基、ジシクロへキシルホスフィノ基、シクロプロピルホスフィノ基、シクロブチルホスフィノ基、シクロペンチルホスフィノ基、シクロへキシルホスフィノ基、メタンスルフェニル基、エタンスルフェニル基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、
【0039】
フッ素基、臭素基、塩素基、ヨウ素基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。R7およびR8は、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ベンジルオキシ基、ヒドロキシル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、フッ素基、トリフルオロメチル基であり、特に好ましくは、水素原子、メチル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシル基、ジメチルアミノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基である。
【0040】
また、本発明で用いられる有機イリジウム化合物は、一般式(4)
【化34】
で表される。
式中、Ar、XおよびR
7は前記と同じ意味を有する。
【0041】
R7は複数個導入されていてもよく、置換数lは0~4までの整数であり、ここでlが2以上の場合、2以上のR7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよく、例えばキノリン環、イソキノリン環などを形成してもよい。さらに、R7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、例えばピリダジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環などを形成してもよい。
【0042】
R9は、 水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよい。
【0043】
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、R9の具体例としては、これに限定するものではないが、例えば水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロへキシル基、シクロヘキシレン基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ジエチルフェニル基、ジイソプロピルフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-ジメチルアミノフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ベンジルオキシ基、アセチル基、プロピオニル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ヒドロキシル基、
【0044】
メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn-プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-アセチルアミノ基、N-メチル-N-アセチルアミノ基、N-ベンゾイルアミノ基、N-メチル-N-ベンゾイルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ジフェニルホスフィノ基、ジシクロへキシルホスフィノ基、シクロプロピルホスフィノ基、シクロブチルホスフィノ基、シクロペンチルホスフィノ基、シクロへキシルホスフィノ基、メタンスルフェニル基、エタンスルフェニル基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、フッ素基、臭素基、塩素基、ヨウ素基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
【0045】
好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ジイソプロピルフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-ジメチルアミノフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、4-シアノフェニル基、4-フルオロフェニル基、4-ニトロフェニル基であり、特に好ましくは、水素原子、メチル基、フェニル基、p-トルイル基、2,6-キシリル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-ジメチルアミノフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、4-ニトロフェニル基である。
【0046】
本発明で用いられる有機イリジウム化合物は、一般式(5)
【化35】
で表される。
式中、Ar、X、R
7、lは前記と同じ意味を有する。
【0047】
R7は複数個導入されていてもよく、置換数lが2以上の場合、2以上のR7は、一緒になって1または2以上の環を形成してもよく、例えばキノリン環、イソキノリン環などを形成してもよい。さらに、R7が結合していないピリジン環中の炭素原子が窒素原子によって置き換えられていてもよく、例えばピリダジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環などを形成してもよい。
【0048】
R10およびR11は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよい。
【0049】
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、R10およびR11の具体例としては、これに限定するものではないが、例えば水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロへキシル基、2,6-ジメチルシクロヘキシル基、2,2,6,6-テトラメチルシクロヘキシル基、シクロヘキシレン基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、フェニル基、トルイル基、キシリル基、メシチル基、
【0050】
ペンタメチルフェニル基、4-メトキシフェニル基、3,5-ジメトキシフェニル基、2,6-ジメトキシフェニル基、4-ジメチルアミノフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、インデニル基、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ベンジルオキシ基、アセチル基、プロピオニル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ヒドロキシル基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn-プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、
【0051】
カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-アセチルアミノ基、N-メチル-N-アセチルアミノ基、N-ベンゾイルアミノ基、N-メチル-N-ベンゾイルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ジフェニルホスフィノ基、ジシクロへキシルホスフィノ基、シクロプロピルホスフィノ基、シクロブチルホスフィノ基、シクロペンチルホスフィノ基、シクロへキシルホスフィノ基、メタンスルフェニル基、エタンスルフェニル基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、
【0052】
フッ素基、臭素基、塩素基、ヨウ素基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロへキシル基、フェニル基、トルイル基、キシリル基、メシチル基、ペンタメチルフェニル基、4-メトキシフェニル基、3,5-ジメトキシフェニル基、2,6-ジメトキシフェニル基、4-ジメチルアミノフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、インデニル基であり、特に好ましくは、水素原子、メチル基、イソプロピル基、フェニル基、p-トルイル基、3,5-キシリル基、2,6-キシリル基、2,4,6-メシチル基、ペンタメチルフェニル基である。R10とR11とは一緒になって環を形成していてもよい。
【0053】
R12は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra または-C(=O)-NRaRbであって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよい。R12の具体例としては、これに限定するものではないが、例えば、メタンスルホニル基(Ms)、エタンスルホニル基(Es)、n-プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n-ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、n-ペンチルスルホニル基、シクロペンチルスルホニル基、1-オクタンスルホニル基、1-ヘキサデカンスルホニル基、o-トルエンスルホニル基、m-トルエンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基(Ts)、ベンゼンスルホニル基、2,6-ジメチルベンゼンスルホニル基、3,5-ジメチルベンゼンスルホニル基、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホニル基、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニル基、
【0054】
4-シアノベンゼンスルホニル基、2-ニトロベンゼンスルホニル基、3-ニトロベンゼンスルホニル基、4-ニトロベンゼンスルホニル基、2,4-ジニトロベンゼンスルホニル基、2-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル基、4-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル基、3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル基、4-クロロベンゼンスルホニル基、2,4-ジクロロベンゼンスルホニル基、4-フルオロベンゼンスルホニル基、3,4,5-トリフルオロベンゼンスルホニル基、2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゼンスルホニル基、4-メトキシベンゼンスルホニル基、(+)-10-カンファースルホニル基、(-)-10-カンファースルホニル基、ピリジン-3-スルホニル基、トリクロロメタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル基、4-ヒドロキシベンゼンスルホニル基、4-ビフェニルベンゼンスルホニル基、ベンジルスルホニル基(-SO2Bn)、
【0055】
アセチル基、プロピオニル基、イソプロピルカルボニル基、tert-ブチルカルボニル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基、ペンタフルオロプロピオニル基、3,3,3-トリフルオロプロピオニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基(Boc)、フェノキシカルボニル基、カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、N-イソプロピルカルバモイル基、N-tert-ブチルカルボニル基、N-トリフルオロメチルカルバモイル基、N-フェニルカルバモイル基、N-(4-フルオロフェニル)カルバモイル基、N-(4-シアノフェニル)カルバモイル基、N-(4-ニトロフェニル)カルバモイル基、N-(4-トリフルオロメチルフェニル)カルバモイル基、N-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)カルバモイル基、N-(3,5-ジフルオロフェニル)カルバモイル基、N-(3,4,5-トリフルオロフェニル)カルバモイル基などが挙げられ、好ましくは、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、ベンジルスルホニル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、N-フェニルカルバモイル基であり、特に好ましくはメタンスルホニル基である。
【0056】
さらに、本発明で用いられる有機イリジウム化合物は、一般式(6)
【化36】
で表せられる。
式中、Ar、Xは前記と同じ意味を有し、
【0057】
Aは、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよい、少なくとも2つの窒素原子を含む飽和または不飽和の含窒素複素環カルベンである。
Aを構成する複素環は、少なくともカルベン構造を有する複素環を含んで構成される。カルベン構造を有する複素環は、環員として2つの窒素原子と1以上の炭素原子を含み、2つの窒素原子が1つの炭素原子を挟み、当該炭素原子がカルベン構造を形成するように構成される。これにより、Aは、カルベン配位子としてIrに配位することができる。
Aは、単環式基であってもよいし、多環式基であってもよい。
Aが単環式基である場合、Aは、上述したカルベン構造を有する複素環のみを環構造として有する複素単環式基である。
一方で、Aが多環式基である場合、Aは、上述したカルベン構造を有する複素環に加え、さらに1または2以上の環を含む。この場合、それぞれの環は、スピロ結合または縮合により互いに結合するか、他の環を架橋することにより形成されることができる。好ましくは、それぞれの環は、縮合により互いに結合している。
【0058】
カルベン構造を有する複素環は、飽和または不飽和であることができる。
また、カルベン構造を有する複素環は、2つの窒素原子と1以上の炭素原子を含んで構成されるが、環員原子としてさらに1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。このようなヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が挙げられる。
カルベン構造を有する複素環としては、これに限定されないが、例えば、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、1,2,4-トリアゾール環、テトラゾール環、オキサゾリン環、オキサゾール環、オキサゾリジン環、チアゾリン環、チアゾール環、チアゾリジン環等のカルベン化した環が挙げられる。特に、Aが、カルベン構造を有する複素環として、イミダゾール環、イミダゾリン環またはイミダゾリジン環を含んで構成される単環または多環式カルベンであることが好ましい。
【0059】
また、A中のカルベン構造を有する複素環以外の環は、それぞれ、飽和または不飽和であることができる。
また、A中のカルベン構造を有する複素環以外の環は、それぞれ、炭化水素環であってもよいし、複素環であってもよい。複素環である場合、当該環は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選択される1または2以上のヘテロ原子を含む。
また、Aを構成する各環の環員数は、これに限定するものではないが、例えば、4~8であり、好ましくは4~6である。特に、カルベン構造を有する複素環の環員数は、好ましくは4~6であり、より好ましくは5である。
【0060】
Aの具体例としては、例えば、イミダゾール環、1,2,4-トリアゾール環、テトラゾール環などの単環式複素芳香族環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環などの単環式複素非芳香族環、ベンゾイミダゾール環、プリン環、プテリジン環などの多環式複素芳香族環などのカルベン化した環が挙げられる。
上述した中でも、反応性、および、触媒活性の観点から、イミダゾール環、イミダゾリン環のカルベン化した環が好ましく、イミダゾール環のカルベン化した環がより好ましい。
【0061】
R13、R14、R15、R16およびR17は、互いに同一または異なり、水素原子、C1~C20の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基、環員数3~20のヘテロシクリル基、C1~C20のアルコキシ基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-OC(=O)-Ra、ヒドロキシル基、-NRaRb、-C(=O)-NRaRb、-NRa-C(=O)-Rb、ニトロ基、シアノ基、-PRaRb、C1~20のスルフェニル基、C1~20のスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、-SiRaRbRc、ハロゲン基またはC1~C20のフルオロアルキル基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよい。
【0062】
Ra、RbおよびRcは前記と同じ意味を有し、R13、R14、R15、R16およびR17の具体例としては、これに限定するものではないが、例えば水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロへキシル基、2,6-ジメチルシクロヘキシル基、2,2,6,6-テトラメチルシクロヘキシル基、シクロヘキシレン基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、フェニル基、トルイル基、キシリル基、メシチル基、ペンタメチルフェニル基、4-メトキシフェニル基、3,5-ジメトキシフェニル基、2,6-ジメトキシフェニル基、4-ジメチルアミノフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、インデニル基、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ベンジルオキシ基、アセチル基、プロピオニル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、
【0063】
ヒドロキシル基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn-プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-アセチルアミノ基、N-メチル-N-アセチルアミノ基、N-ベンゾイルアミノ基、N-メチル-N-ベンゾイルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ジフェニルホスフィノ基、ジシクロへキシルホスフィノ基、シクロプロピルホスフィノ基、シクロブチルホスフィノ基、シクロペンチルホスフィノ基、シクロへキシルホスフィノ基、メタンスルフェニル基、エタンスルフェニル基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、スルホ基、メルカプト基、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、フッ素基、臭素基、塩素基、ヨウ素基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
【0064】
好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロへキシル基、フェニル基、トルイル基、キシリル基、メシチル基、ペンタメチルフェニル基、4-メトキシフェニル基、3,5-ジメトキシフェニル基、2,6-ジメトキシフェニル基、4-ジメチルアミノフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、インデニル基であり、特に好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、p-トルイル基、3,5-キシリル基、2,6-キシリル基、2,4,6-メシチル基、ペンタメチルフェニル基である。
【0065】
R18は、C1~C20のスルホニル基、-C(=O)-Ra 、-C(=O)-ORa、-C(=O)-NRaRb、-C(=S)-NRaRb、C1~C20のフルオロアルキル基または炭素原子がヘテロ原子で置き換えられていてもよい環員数6~20のアリール基であって、これらの基の1もしくは2以上の水素原子は前記置換基Wによって置換されていてもよい。R18の具体例としては、これに限定するものではないが、例えば、メタンスルホニル基(Ms)、エタンスルホニル基(Es)、n-プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n-ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、n-ペンチルスルホニル基、シクロペンチルスルホニル基、1-オクタンスルホニル基、1-ヘキサデカンスルホニル基、o-トルエンスルホニル基、m-トルエンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基(Ts)、ベンゼンスルホニル基、2,6-ジメチルベンゼンスルホニル基、3,5-ジメチルベンゼンスルホニル基、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホニル基、2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニル基、4-シアノベンゼンスルホニル基、2-ニトロベンゼンスルホニル基、3-ニトロベンゼンスルホニル基、4-ニトロベンゼンスルホニル基、2,4-ジニトロベンゼンスルホニル基、2-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル基、4-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル基、3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル基、4-クロロベンゼンスルホニル基、2,4-ジクロロベンゼンスルホニル基、4-フルオロベンゼンスルホニル基、3,4,5-トリフルオロベンゼンスルホニル基、2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゼンスルホニル基、4-メトキシベンゼンスルホニル基、(+)-10-カンファースルホニル基、(-)-10-カンファースルホニル基、ピリジン-3-スルホニル基、トリクロロメタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル基、4-ヒドロキシベンゼンスルホニル基、4-ビフェニルベンゼンスルホニル基、ベンジルスルホニル基(-SO2Bn)、
【0066】
アセチル基、プロピオニル基、イソプロピルカルボニル基、tert-ブチルカルボニル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基、ペンタフルオロプロピオニル基、3,3,3-トリフルオロプロピオニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基(Boc)、フェノキシカルボニル基、カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、N-イソプロピルカルバモイル基、N-tert-ブチルカルボニル基、N-トリフルオロメチルカルバモイル基、N-フェニルカルバモイル基、N-(4-フルオロフェニル)カルバモイル基、N-(4-シアノフェニル)カルバモイル基、N-(4-ニトロフェニル)カルバモイル基、N-(4-トリフルオロメチルフェニル)カルバモイル基、N-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)カルバモイル基、N-(3,5-ジフルオロフェニル)カルバモイル基、N-(3,4,5-トリフルオロフェニル)カルバモイル基、チオカルバモイル基、N-メチルチオカルバモイル基、N-フェニルチオカルバモイル基、
【0067】
トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、フェニル基、4-ニトロフェニル基、4 -シアノフェニル基、4-フルオロフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、3、4 ,5-トリフルオロフェニル基、4-(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5-ビス (トリフルオロメチル)フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられ、好ましくは、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、ベンジルスルホニル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、N-フェニルカルバモイル基である。
【0068】
上述した各置換基の内、R14、R15、R16、R17およびR18からなる群から選択される2以上の基は、一緒になって1または2以上の環を形成していてもよい。このようにして形成される環としては特に限定されないが、例えば、シクロアルカン環、シクロアルケン環、シクロアルキン環、芳香族環、ヘテロ環、環状ケトン、ラクトン環、ラクタム環、カルバミン酸エステル環、尿素環、チオ尿素環等が挙げられる。また、これらの基の1または2以上の水素原子は前記置換基Wで置換されていてもよい。これらの環の環員数としては、特に限定されないが、例えば3~20、好ましくは、3~12、より好ましくは4~8とすることができる。
【0069】
このような環の具体例としては、特に限定されないが、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロペンタノン環、シクロヘキサノン環、シクロヘプタノン環、シクロオクタノン環、ベンゼン環、ピラン環、フラン環、ピロール環、イミダゾリン環、イミダゾール環、イミダゾリジン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピロリジン環、ピペリジン環 、ピペラジン環、モルホリン環、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタム、2-オキサゾリジノン環、2-イミダノリジノン環、テトラヒドロ-2-ピリミジノン環、2-イミダゾリジチオン環、テトラヒドロ-2-ピリミジンチオン環等が挙げられる。
【0070】
特に、R16および/またはR17とR18が、すなわち、R16とR18、R17とR18またはR16とR17とR18が、一緒になって環を形成していることが好ましい。このような場合、形成される環は、好ましくは、ラクタム環、ヘテロ環、カルバミン酸エステル環、尿素環、チオ尿素環であり、より好ましくは、γ-ラクタム、2-オキサゾリジノン環、2-イミダゾリジノン環、テトラヒドロ-2-ピリミジノン環、2-イミダゾリジチオン環、テトラヒドロ-2-ピリミジンチオン環である。
【0071】
本発明では、前述の一般式(1)で表されるアミノアルコールと一般式(2)で表されるアルデヒド化合物とを、後述する一般式(7)で表される有機イリジウム化合物と、一般式(8)、一般式(9)、一般式(10)または一般式(11)で表される有機化合物存在下において、水素を供与する化合物と反応させた後、窒素上の2-ヒドロキシエチル骨格を有する置換基を酸化的に脱保護することにより、第一級または第二級アミン化合物を製造することも可能である。
【0072】
さらに、前述の一般式(1)で表されるアミノアルコールと一般式(2)で表されるアルデヒド化合物から調製されたヘミアミナールエーテル、イミンまたはエナミンを、後述する一般式(7)で表される有機イリジウム化合物と、一般式(8)、一般式(9)、一般式(10)または一般式(11)で表される有機化合物存在下において、水素を供与する化合物と反応させた後、窒素上の2-ヒドロキシエチル骨格を有する置換基を酸化的に脱保護することにより、第一級または第二級アミン化合物を製造することも可能である。
すなわち、一般式(7)で表される有機イリジウム化合物と、一般式(8)、一般式(9)、一般式(10)または一般式(11)で表される有機化合物が、反応系内でそれぞれ一般式(3)、一般式(4)、一般式(5)または一般式(6)に相当する有機イリジウム化合物を形成し、触媒として機能するものである。
【0073】
本発明で用いられる有機イリジウム化合物は一般式(7)
で表され、Ar、Xは前記と同じ意味を有する。
本発明で用いられる有機化合物は、一般式(8)、
【化37】
一般式(9)、
【化38】
一般式(10)、
【化39】
または一般式(11)
【化40】
で表される。
【0074】
これらの式中、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、j、k、lは前記と同じ意味を有する。
A’は、1または2以上の水素原子が前記置換基Wで置換されていてもよい、少なくとも2つの窒素原子を含む飽和または不飽和の含窒素複素環カルベン前駆体であり、2つの窒素原子で挟まれた炭素原子上のプロトンが脱離することにより、前述した飽和または不飽和の含窒素複素環カルベンAとなる。すなわち、A’は、前述したAにおけるカルベンを、カルベン前駆体へ読み替えたものと同じ意味を有する。
【0075】
Yは、アニオン性基であり、具体例としては、これに限定するものではないが、例えば、フッ素基、塩素基、臭素基、ヨウ素基、テトラフルオロボラート基、テトラヒドロボラート基、テトラキスペンタフルオロフェニルボラート基、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボラート基、ヘキサフルオロホスフェート基、ヘキサフルオロアンチモネート基、ヘキサクロロアンチモネート基、ヘキサフルオロアーセネート基、パークロレート基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、(2,6-ジヒドロキシベンゾイル)オキシ基、(2,5-ジヒドロキシベンゾイル)オキシ基、(3-アミノベンゾイル)オキシ基、(2,6-ジメトキシベンゾイル)オキシ基、(2,4,6-トリイソプロピルベンゾイル)オキシ基、1-ナフタレンカルボン酸基、2-ナフタレンカルボン酸基、トリフルオロアセトキシ基、トリフルオロメタンスルホンイミド基、トルエンスルホナート基、メタンスルホナート基、エタンスルホナート基、n-プロパンスルホナート基、イソプロパンスルホナート基、n-ブタンスルホナート基、フルオロスルホナート基、フルオロメタンスルホナート基、ジフルオロメタンスルホナート基、トリフルオロメタンスルホナート基、ペンタフルオロエタンスルホナート基、ホスフェート基、(S)-2,2′-ジヒドロキシ-1,1′-ビナフチルホスフェート基、(R)-2,2′-ジヒドロキシ-1,1′-ビナフチルホスフェート基などが挙げられる。これらの内、好ましくは塩素基、臭素基、ヨウ素基、テトラフルオロボラート基、テトラヒドロボラート基、p-トルエンスルホナート基、メタンスルホナート基、またはトリフルオロメタンスルホナート基である。
【0076】
本発明における水素を供与する化合物は、熱的作用によって、または触媒作用によって水素を供与することのできる化合物を意味しており、このような水素供与性の化合物については特にその種類に限定されない。好適な水素を供与する化合物としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、1-ペンタノール、シクロペンチルアルコール、1-へキサノール、シクロへキシルアルコール、ベンジルアルコール、ギ酸、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸リチウム、ギ酸アンモニウムなどが挙げられ、単独または複数種組み合わせて用いることができる。反応性や経済性という点で、好ましくはギ酸、ギ酸塩、メタノール、エタノール、2-プロパノールである。
【0077】
用いられる水素を供与する化合物の量は、アルデヒド化合物に対し、1~30当量で用いることができるが、反応性や経済性の点から、好ましくは1~10当量で用いる。水素を供与する化合物としてギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸リチウム、ギ酸アンモニウムなどのギ酸塩を用いる場合は、必要に応じて相間移動触媒を添加して反応を実施してもよい。用い得る相間移動触媒としては、長鎖アルキルアンモニウムカチオンを有する塩であれば何でもよいが、反応性や経済性の点から好ましくはテトラブチルアンモニウム塩である。相間移動触媒の添加によっては、多くの場合、反応速度が向上する効果が認められる。添加する相間移動触媒の量としては、アルデヒド化合物に対して通常0.001~10モル当量の範囲で用いるが、反応性や経済性の点から好ましくは0.01~0.1モル当量用いるのが望ましい 。
【0078】
用いられるアミノアルコールの量は、アルデヒド化合物に対し、通常1~30当量で用いることができるが、反応性や経済性の点から好ましくは1~10当量で用いる。また、アミノアルコール塩としても用いることができる。
【0079】
用いられる有機イリジウム化合物の量は、有機イリジウム化合物に対するアルデヒド化合物の物質量比をS/C(基質/触媒モル比)で表記すると、アルデヒド化合物の構造、有機イリジウム化合物の種類、濃度、反応温度、水素を供与する化合物の種類などによって大きく変動するが、S/C=10~10,000,000の範囲で、好ましくはS/C=100~1,000,000の範囲で用いることができる。
【0080】
本発明における第一工程の反応である、アミノアルコールとアルデヒド化合物との反応、またはヘミアミナールエーテル、イミンもしくはエナミンの反応においては、基質や生成物、有機イリジウム化合物、水素を供与する化合物の物理的性質や化学的性質を考慮し、適宜反応溶媒を用いることができる。プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、イオン性液体、水および緩衝液を単独で、もしくは複数組み合わせて用いることができる。反応性、経済性の面で、好ましくは水、メタノール、エタノール、2-プロパノール、エチレングリコール、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、tert-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、トルエン、クロロホルム、塩化メチレンである。
【0081】
第一工程の反応温度は、基質や生成物の溶解度、反応性、および経済性を考慮して、好ましくは-20℃~100℃程度で実施することができるが、さらに好ましくは20℃~80℃である。反応時間は、S/C、基質濃度、温度などの反応条件によって異なるが、数分から100時間で反応が完結する。
【0082】
本発明における第二工程の反応である、窒素上の2-ヒドロキシエチル骨格を有する置換基、すなわち第一工程の反応生成物における下記一般式(A)
【化41】
式中、R
2、R
3、R
4、R
5およびnは一般式(1)と同じ意味を有する、で表される部位、の酸化的な脱保護反応は、2-アミノ-1-エタノール骨格の炭素炭素結合が酸化開裂した後、加水分解することによって達成される。この反応を駆動する酸化剤としては、1,2-ジオール類の酸化開裂で用いられる酸化剤を使用することができ、特にその種類に限定されないが、例えば、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸アンモニウムなどの過ヨウ素酸塩、四酢酸鉛、(ジアセトキシヨード)ベンゼンやDess-Martinペルヨージナンなどの超原子価ヨウ素化合物、次亜塩素酸ナトリウムなどを単独で、もしくは複数組み合わせて用いることができる。反応性、経済性を考慮して、好ましくは過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、四酢酸鉛、Dess-Martinペルヨージナンである。
【0083】
用いられる酸化剤の量は、アルデヒド化合物に対して1~30当量で用いることができるが、反応性や経済性の点から、好ましくは1~10当量で用いる。
【0084】
第二工程においても、基質や生成物、酸化剤の物理的性質や化学的性質を考慮し、適宜反応溶媒を用いることができる。特に用いた酸化剤の性質によって使い分けるのが好ましく、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、イオン性液体、水および緩衝液を単独で、もしくは複数組み合わせて用いることができる。
【0085】
第二工程の反応温度も、基質や生成物、酸化剤の物理的性質、化学的性質、反応性、および経済性を考慮して、適宜選択される。特に用いた酸化剤の性質に応じて選択するのが好ましい。通常-78℃~100℃程度で実施することができる。反応時間は、酸化剤の性質、量、基質濃度、温度などの反応条件によって異なるが、数分から100時間で反応が完結する。
【0086】
生成した第一級または第二級アミン化合物の精製は、酸-塩基抽出、カラムクロマトグラフィー、蒸留、塩化、再結晶等の公知の方法により、または適宜それらの組み合わせにより行なうことができる。
また、上記反応の反応形式は、特に限定されず、バッチ式、連続式あるいはフロー反応装置のいずれにおいても実施することができる。
【実施例0087】
以下、実施例を示しさらに詳しく本発明について説明する。もちろん、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、下記の実施例において、反応に使用した基質、触媒、反応剤、溶媒などは、特に記載のない限り試薬購入品を用いた。
また、NMRは、JNM-ECX400P(400MHz,日本電子)を用いて測定した。1H-NMRはテトラメチルシラン(TMS)を内部標準物質に用い、その信号をδ=0(δは化学シフト)とした。
GCは、7890B(Agilent Technologies)を用いて測定した。カラムはHP-5(30m×0.32mm×0.25μm,Agilent Technologies)を用いた。
Cp*IrCl(N-(4-ジメチルアミノフェニル)-4-ジメチルアミノピリジン-2-カルボン酸アミダート)(Ir-PA)、Cp*IrCl(8-キノリノラート)(Ir-QN1)およびCp*IrCl(4-ジメチルアミノ-8-キノリノラート)(Ir-QN2)は、試薬を購入し、使用した。
Cp*IrCl(N-((2,4,6-メシチル)(2-ピリジル)メチル)メタンスルホンアミダート)(Ir-PSA)およびCp*IrCl(5-((3,4,5-トリエチル-4-イミダゾリン-2-イリデン-1-イル)メチル)-1-ピロリジナート-2-オン)(Ir-CA)は、それぞれ特許第6227889号および特許第6254811号に記載の方法を参考に合成した。
【0088】
[比較例1]4-メトキシベンジルアミンのシアノ水素化ホウ素ナトリウムによる合成
アルゴン置換したシュレンク管に、パラアニスアルデヒド(0.136g,1mmol)、酢酸アンモニウム(1.93g,25mmol)、28%アンモニア水(8mL)、エタノール(20mL)を仕込んだ。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.186g,3mmol)を加えて、反応液を還流温度で19時間攪拌した。反応液に約5%水酸化ナトリウム水溶液を加えて攪拌し、塩化メチレンで3回抽出した。塩化メチレン相を合わせて水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して生成物を得た。NMR、GC分析により、目的の4-メトキシベンジルアミンは46%しか生成しておらず、残りは二量体および三量体であった。
【0089】
[比較例2]N-メチル-4-メトキシベンジルアミンのナトリウムトリアセトキシボロヒドリドによる合成
アルゴン置換したシュレンク管に、パラアニスアルデヒド(0.681g,5mmol)、テトラヒドロフラン(25mL)を仕込んだ。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1.59g,7.5mmol)を加えて、反応液を室温付近で20時間攪拌した。反応液に約5%水酸化ナトリウム水溶液を加えて攪拌し、ジエチルエーテルで2回抽出した。ジエチルエーテル相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して生成物を得た。NMR、GC分析により、目的のN-メチル-4-メトキシベンジルアミンは64%しか生成しておらず、残りは二量体であった。
【0090】
[比較例3]パラアニスアルデヒドとアンモニア等価体との触媒的還元的アミノ化反応
Ir-PA(1.29mg,2μmol)、ギ酸アンモニウム(3.78g,60mmol)をシュレンク管に仕込み、アルゴン置換した。メタノール(20mL)、パラアニスアルデヒド(2.73g,20mmol)、酢酸(2.3mL,40mmol)を加えた。反応液を40℃で18時間激しく攪拌した。反応液に水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、ジエチルエーテルで抽出した。ジエチルエーテル相を水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、生成物を得た。NMR、GC分析により、4-メトキシベンジルアミンは全く生成しておらず、二量体および三量体が生成していた。
【0091】
[実施例1]N-(2-ヒドロキシエチル)-4-メトキシベンジルアミンの合成
Ir-PA(0.53mg,0.823μmol)をシュレンク管に仕込み、アルゴン置換した。メタノール(41mL)、パラアニスアルデヒド(5.60g,41.1mmol)、2-アミノエタノール(3.02g,49.4mmol)、ギ酸(5.68g,123mmol)を加えた。反応液を40℃で24時間激しく攪拌した。反応液を減圧下で濃縮しメタノールを留去した後、約10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物6.88gを得た。NMR、GC分析により、99%のN-(2-ヒドロキシエチル)-4-メトキシベンジルアミンが、収率92%で生成していた。
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ2.0(br,1H),2.79(t,2H,J=5.0Hz),3.64(t,2H,J=5.0Hz),3.74(s,2H),3.80(s,3H),6.87(m,2H),7.23(m,2H).
13C{1H}NMR(CDCl3,100MHz):δ50.4,52.9,55.3,113.8,129.3,132.2,158.7.
【0092】
[実施例2]4-メトキシベンジルアミンの合成
アルゴン置換した4つ口フラスコに、N-(2-ヒドロキシエチル)-4-メトキシベンジルアミン(5.71g,31.5mmol)を仕込んだ。メタノール95mL、水95mL、40%メチルアミン水溶液32mL、過ヨウ素酸ナトリウム(17.5g,81.9mmol)を加えて、室温で18時間激しく攪拌した。不溶物をろ別し、メタノールで洗浄した後、メタノールを減圧下留去した。5%水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物3.75gを得た。NMR分析により、4-メトキシベンジルアミンが、収率87%で生成していた。
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ1.5(br,2H),3.80(s,2H),3.80(s,3H),6.87(m,2H),7.23(m,2H).
13C{1H}NMR(CDCl3,100MHz):δ45.9,55.3,113.9,128.2,135.6,158.4.
【0093】
[実施例3]N-(2-ヒドロキシエチル)ベンジルアミンの合成
Ir-PA(1.29mg,2μmol)をシュレンク管に仕込み、アルゴン置換した。メタノール(20mL)、ベンズアルデヒド(2.12g,20mmol)、2-アミノエタノール(1.47g,24mmol)、ギ酸(2.76g,60mmol)を加えた。反応液を40℃で3時間激しく攪拌した。反応液を減圧下で濃縮しメタノールを留去した後、約10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物2.24gを得た。NMR、GC分析により、94%のN-(2-ヒドロキシエチル)ベンジルアミンが、収率70%で生成していた。
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ2.1(br,1H),2.80(m,2H),3.65(m,2H),3.80(s,2H),7.24-7.35(m,5H).
13C{1H}NMR(CDCl3,100MHz):δ50.5,53.5,60.9,127.1,128.1,128.4,140.1.
【0094】
[実施例4]ベンジルアミンの合成
アルゴン置換した4つ口フラスコに、N-(2-ヒドロキシエチル)ベンジルアミン(0.509g,3.4mmol)を仕込んだ。メタノール10mL、水10mL、40%メチルアミン水溶液3.4mL、オルト過ヨウ素酸(2g,8.75mmol)を加えて、室温で18時間激しく攪拌した。反応液に5%水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、塩化メチレンで2回抽出した。塩化メチレン相を合わせて、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物を得た。NMR分析により、ベンジルアミンが生成していた。
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ1.5(br,2H),3.87(s,2H),7.22-7.39(m,5H).
【0095】
[実施例5]N-(2-ヒドロキシエチル)-3-ブロモベンジルアミンの合成
Ir-PA(0.65mg,10μmol)をシュレンク管に仕込み、アルゴン置換した。メタノール(50mL)、3-ブロモベンズアルデヒド(9.25g,50mmol)、2-アミノエタノール(3.67g,60mmol)、ギ酸(6.91g,150mmol)を加えた。反応液を40℃で24時間激しく攪拌した。反応液を減圧下で濃縮しメタノールを留去した後、約10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物11.1gを得た。NMR、GC分析により、91%のN-(2-ヒドロキシエチル)-3-ブロモベンジルアミンが、収率88%で生成していた
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ2.1(br,1H),2.79(m,2H),3.66(m,2H),3.78(s,2H),7.17-7.25(m,2H),7.39(m,1H),7.48(s,1H).
13C{1H}NMR(CDCl3,100MHz):δ50.5,52.9,61.0,122.5,126.6,130.0,130.1,131.1,142.4.
【0096】
[実施例6]3-ブロモベンジルアミンの合成
アルゴン置換した4つ口フラスコに、N-(2-ヒドロキシエチル)-3-ブロモベンジルアミン(2.77g,11.8mmol)を仕込んだ。メタノール35mL、水35mL、40%メチルアミン水溶液12mL、過ヨウ素酸ナトリウム(6.55g,30.6mmol)を加えて、室温で20時間激しく攪拌した。不溶物をろ別し、メタノールで洗浄した後、メタノールを減圧下留去した。5%水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物2.06gを得た。NMR分析により、3-ブロモベンジルアミンが、収率94%で生成していた。
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ1.6(br,2H),3.85(s,2H),7.18-7.25(m,2H),7.37(m,1H)、7.48(s,1H).
13C{1H}NMR(CDCl3,100MHz):δ45.9,122.6,125.6,129.8,130.1,130.1,145.5.
【0097】
[実施例7]N-(2-ヒドロキシエチル)-4-シアノベンジルアミンの合成
Ir-PA(1.29mg,2.0μmol)をシュレンク管に仕込み、アルゴン置換した。メタノール(20mL)、4-シアノベンズアルデヒド(2.62g,20mmol)、2-アミノエタノール(1.47g,24mmol)、ギ酸(2.76g,60mmol)を加えた。反応液を40℃で24時間激しく攪拌した。反応液を減圧下で濃縮しメタノールを留去した後、約10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物2.92gを得た。NMR、GC分析により、91%のN-(2-ヒドロキシエチル)-4-シアノベンジルアミンが、収率75%で生成していた。
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ2.2(br,1H),2.80(m,2H),3.68(m,2H),3.88(s,2H),7.45(m,2H),7.61(m,2H).
13C{1H}NMR(CDCl3,100MHz):δ50.6,53.0,61.0,110.7,118.8,128.6,132.2,145.7.
【0098】
[実施例8]4-シアノベンジルアミンの合成
アルゴン置換した4つ口フラスコに、N-(2-ヒドロキシエチル)-4-シアノベンジルアミン(1.46g,8.3mmol)を仕込んだ。メタノール25mL、水25mL、40%メチルアミン水溶液8.3mL、過ヨウ素酸ナトリウム(4.62g,21.6mmol)を加えて、室温で20時間激しく攪拌した。不溶物をろ別し、メタノールで洗浄した後、メタノールを減圧下留去した。5%水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物0.89gを得た。NMR分析により、4-シアノベンジルアミンが、収率81%で生成していた。
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ1.5(br,2H),3.96(s,2H),7.45(m,2H),7.63(m,2H).
13C{1H}NMR(CDCl3,100MHz):δ46.0,110.6,119.0,127.7,132.3,148.4.
【0099】
[実施例9]N-(2-ヒドロキシエチル)-2-フェニルプロピルアミンの合成
Ir-PA(1.29mg,2.0μmol)をシュレンク管に仕込み、アルゴン置換した。メタノール(20mL)、2-フェニルプロピオンアルデヒド(2.68g,20mmol)、2-アミノエタノール(1.47g,24mmol)、ギ酸(2.76g,60mmol)を加えた。反応液を40℃で22時間激しく攪拌した。反応液を減圧下で濃縮しメタノールを留去した後、約5%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物3.28gを得た。NMR、GC分析により、91%のN-(2-ヒドロキシエチル)-2-フェニルプロピルアミンが、収率83%で生成していた。
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ1.27(d,3H,J=6.8Hz),2.73(m,2H),2.79(dd,2H,J=0.8,7.2Hz),2.91(m,1H),3.55(m,2H),7.20-7.34(m,5H).
13C{1H}NMR(CDCl3,100MHz):δ19.9,40.1,50.7,56.4,60.6,126.4,127.1,127.2,128.6,145.2.
【0100】
[実施例10]2-フェニルプロピルアミンの合成
アルゴン置換した4つ口フラスコに、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-フェニルプロピルアミン(2.38g,13.3mmol)を仕込んだ。メタノール40mL、水40mL、40%メチルアミン水溶液13.5mL、過ヨウ素酸ナトリウム(7.37g,34.5mmol)を加えて、室温で23時間激しく攪拌した。不溶物をろ別し、メタノールで洗浄した後、メタノールを減圧下留去した。5%水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、MTBEで3回抽出した。MTBE相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物1.61gを得た。NMR分析により、2-フェニルプロピルアミンが、収率90%で生成していた。
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ1.1(br,2H),1.25(d,3H,J=7.2Hz),2.74(m,1H),2.85(m,2H),7.20-7.34(m,5H).
13C{1H}NMR(CDCl3,100MHz):δ19.3,43.6,49.5,126.3,127.3,128.5,145.0.
【0101】
[実施例11]N-(2-ヒドロキシエチル)シクロヘキシルメチルアミンの合成
Ir-PA(1.29mg,2μmol)をシュレンク管に仕込み、アルゴン置換した。メタノール(20mL)、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド(2.24g,20mmol)、2-アミノエタノール(1.47g,24mmol)、ギ酸(2.76g,60mmol)を加えた。反応液を40℃で22時間激しく攪拌した。反応液を減圧下で濃縮しメタノールを留去した後、約10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物2.87gを得た。NMR、GC分析により、97%のN-(2-ヒドロキシエチル)シクロヘキシルメチルアミンが、収率88%で生成していた。
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ0.86-0.96(m,2H),1.11-1.30(m,3H),1.44(m,1H),1.66-1.76(m,5H),2.2(br,1H),2.45(d,2H,J=6.9Hz),2.75(m,2H),3.62(m,2H).
13C{1H}NMR(CDCl3,100MHz):δ26.0,26.6,31.4,38.0,51.1,56.2,60.7.
【0102】
[実施例12]シクロヘキシルメチルアミンの合成
アルゴン置換した4つ口フラスコに、N-(2-ヒドロキシエチル)シクロヘキシルメチルアミン(1.36g,8.66mmol)を仕込んだ。メタノール26mL、水26mL、40%メチルアミン水溶液8.7mL、過ヨウ素酸ナトリウム(4.81g,22.5mmol)を加えて、室温で21時間激しく攪拌した。不溶物をろ別し、メタノールで洗浄した後、メタノールを減圧下留去した。5%水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、ジエチルエーテルで3回抽出した。ジエチルエーテル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物を得た。NMR分析により、シクロヘキシルメチルアミンが生成していた。
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ1.5(br,2H),3.80(s,2H),3.80(s,3H),6.87(m,2H),7.23(m,2H).
【0103】
[実施例13]N-(2-ヒドロキシエチル)-3-ベンゾチエニルメチルアミンの合成
Ir-PA(1.29mg,2μmol)をシュレンク管に仕込み、アルゴン置換した。メタノール(2mL)、3-ベンゾチオフェンカルボキシアルデヒド(0.324g,2mmol)、2-アミノエタノール(0.147g,2.4mmol)、ギ酸(0.276g,6mmol)を加えた。反応液を40℃で2時間激しく攪拌した。反応液を減圧下で濃縮しメタノールを留去した後、約10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、ジエチルエーテルで2回抽出した。ジエチルエーテル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物0.37gを得た。NMR、GC分析により、96%のN-(2-ヒドロキシエチル)-3-ベンゾチエニルメチルアミンが、収率83%で生成していた。
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ1.5(br,1H),2.90(m,2H),3.69(m,2H),4.08(s,2H),7.31-7.41(m,3H), 7.82-7.88(m,2H).
13C{1H}NMR(CDCl3,100MHz):δ47.2,50.7,61.0,121.7,123.0,123.1,124.1,124.4,135.0,138.3,140.7.
【0104】
[実施例14]3-ベンゾチエニルメチルアミンの合成
アルゴン置換した4つ口フラスコに、N-(2-ヒドロキシエチル)-3-ベンゾチエニルメチルアミン(0.35g,1.7mmol)を仕込んだ。メタノール5mL、水5mL、40%メチルアミン水溶液1.8mL、過ヨウ素酸ナトリウム(0.95g,4.4mmol)を加えて、室温で17時間激しく攪拌した。不溶物をろ別し、メタノールで洗浄した後、メタノールを減圧下留去した。5%水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、塩化メチレンで3回抽出した。塩化メチレン相を併せて、水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物を得た。NMR分析により、3-ベンゾチエニルメチルアミンが生成していた。
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ1.6(br,2H),4.14(s,2H),7.30-7.42(m,3H), 7.77-7.88(m,2H).
【0105】
【0106】
[実施例15]N-(2-(1-ヒドロキシ)ブチル)-4-メトキシベンジルアミンの合成
Ir-PA(0.53mg,0.82μmol)をシュレンク管に仕込み、アルゴン置換した。メタノール41mL、4-メトキシベンズアルデヒド(5.6g,41.1mmol)、2-アミノ-1-ブタノール(4.4g,49.4mmol)、ギ酸(5.68g,123mmol)を加えた。反応液を40℃で24時間激しく攪拌した。反応液を減圧下で濃縮しメタノールを留去した後、約10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物8.77gを得た。NMR、GC分析により、96%のN-(2-(1-ヒドロキシ)ブチル)-4-メトキシベンジルアミンが、収率88%で生成していた。
1H NMR(CDCl
3,400MHz):δ0.92(t,3H,J=7.3Hz),1.39-1.60(m,2H),2.62(m,1H),3.31(dd,1H,J=6.4,10.5Hz),3.65(dd,1H,J=3.7,10.5Hz),3.68-3.78(m,2H),3.80(s,3H),6.87(m,2H),7.24(m,2H).
構造式は下記のとおりである。
【化42】
【0107】
[実施例16]4-メトキシベンジルアミンの合成
アルゴン置換した4つ口フラスコに、N-(2-(1-ヒドロキシ)ブチル)-4-メトキシベンジルアミン(5.08g,24.3mmol)を仕込んだ。メタノール73mL、水73mL、40%メチルアミン水溶液24mL、過ヨウ素酸ナトリウム(13.5g,63.1mmol)を加えて、室温で18時間激しく攪拌した。不溶物をろ別し、メタノールで洗浄した後、メタノールを減圧下留去した。5%水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物3.39gを得た。NMR分析により、4-メトキシベンジルアミンが、収率81%で生成していた。
【0108】
[実施例17]N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-3-フェニルプロピルアミンの合成
Ir-QN2(1.1mg,2μmol)をシュレンク管に仕込み、アルゴン置換した。メタノール20mL、3-フェニルプロピオンアルデヒド(2.68g,20mmol)、ジエタノールアミン(2.52g,24mmol)、ギ酸(2.76g,60mmol)を加えた。反応液を40℃で21時間激しく攪拌した。反応液を減圧下で濃縮しメタノールを留去した後、約10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物3.99gを得た。NMR、GC分析により、93%のN,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-3-フェニルプロピルアミンが、収率83%で生成していた。
1H NMR(CDCl
3,400MHz):δ1.81(m,2H),2.56-2.64(m,4H),2.65(m,4H),3.60(m,4H),7.17-7.30(m,5H).
13C{
1H}NMR(CDCl
3,100MHz):δ28.7,33.5,54.2,56.0,59.7,125.9,128.3,128.4,141.8.
構造式は下記のとおりである。
【化43】
【0109】
[実施例18]N-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチル-3-フェニルプロピルアミンの合成
Ir-QN2(1.1mg,2μmol)をシュレンク管に仕込み、アルゴン置換した。メタノール20mL、3-フェニルプロピオンアルデヒド(2.68g,20mmol)、N-メチル-2-アミノエタノール(1.8g,24mmol)、ギ酸(2.76g,60mmol)を加えた。反応液を40℃で21時間激しく攪拌した。反応液を減圧下で濃縮しメタノールを留去した後、約10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物3.54gを得た。NMR、GC分析により、90%のN-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチル-3-フェニルプロピルアミンが、収率82%で生成していた。
1H NMR(CDCl
3,400MHz):δ1.81(m,2H),2.24(s,3H),2.44(m,2H),2.52(m,2H),2.63(m,2H),2.9(br,1H),3.57(m,2H),7.18-7.30(m,5H).
13C{
1H}NMR(CDCl
3,100MHz):δ29.0,33.5,41.4,57.1,58.3,58.7,125.8,128.3,128.3,142.1.
構造式は下記のとおりである。
【化44】
【0110】
[実施例19]N-(2-ヒドロキシエチル)-4-メトキシベンジルアミンの合成
Ir-QN1(1.01mg,2μmol)をシュレンク管に仕込み、アルゴン置換した。メタノール(2mL)、パラアニスアルデヒド(0.27g,2mmol)、2-アミノエタノール(0.15g,2.4mmol)、ギ酸(0.28g,6mmol)を加えた。反応液を40℃で24時間激しく攪拌した。反応液を減圧下で濃縮しメタノールを留去した後、約10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物0.27gを得た。NMR分析により、N-(2-ヒドロキシエチル)-4-メトキシベンジルアミンが、収率73%で生成していた。
【0111】
[実施例20]N-(2-ヒドロキシエチル)-4-メトキシベンジルアミンの合成
Ir-PSA(1.33mg,2μmol)をシュレンク管に仕込み、アルゴン置換した。メタノール(2mL)、パラアニスアルデヒド(0.27g,2mmol)、2-アミノエタノール(0.15g,2.4mmol)、ギ酸(0.28g,6mmol)を加えた。反応液を40℃で24時間激しく攪拌した。反応液を減圧下で濃縮しメタノールを留去し、N-(2-ヒドロキシエチル)-4-メトキシベンジルアミンが生成していた。
【0112】
[実施例21]N-(2-ヒドロキシエチル)-4-メトキシベンジルアミンの合成
Ir-CA(1.23mg,2μmol)をシュレンク管に仕込み、アルゴン置換した。メタノール(2mL)、パラアニスアルデヒド(0.27g,2mmol)、2-アミノエタノール(0.15g,2.4mmol)、ギ酸(0.28g,6mmol)を加えた。反応液を40℃で24時間激しく攪拌した。反応液を減圧下で濃縮しメタノールを留去し、N-(2-ヒドロキシエチル)-4-メトキシベンジルアミンが生成していた。
【0113】
[実施例22]2-(4-メトキシフェニル)オキサゾリジンの合成
アルゴン置換したシュレンク管に、モレキューラーシーブ3A(4.6g)を仕込んだ。トルエン25mL、4-メトキシベンズアルデヒド(3.40g,25mmol)、2-アミノエタノール(1.83g,30mmol)を加えて、室温で18時間攪拌した。不溶物をろ別し、トルエンで洗浄した後、トルエンを減圧下留去して、目的物4.48gを得た。NMR分析により、2-(4-メトキシフェニル)オキサゾリジンが、収率99%で生成していた。
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ2.1(br,1H),3.73(m,2H),3.85(s,3H),3.90(m,2h),6.93(m,2H),7.68(m,2H),8.28(s,1H).
【0114】
[実施例23]N-(2-ヒドロキシエチル)-4-メトキシベンジルアミンの合成
アルゴン置換したシュレンク管中の2-(4-メトキシフェニル)オキサゾリジン(2.66g,15mmol)に、Ir-PA(0.19mg,0.3μmol)、メタノール(15mL)、ギ酸(2.1g,45mmol)を加えた。反応液を40℃で24時間激しく攪拌した。反応液を減圧下で濃縮しメタノールを留去した後、約10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル相を併せて、水次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を留去して、目的物を得た。NMR分析により、89%のN-(2-ヒドロキシエチル)-4-メトキシベンジルアミンが生成していた。