(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075392
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】表示パネル
(51)【国際特許分類】
G09F 9/33 20060101AFI20220511BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/30 336
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186145
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山田 一幸
【テーマコード(参考)】
5C094
【Fターム(参考)】
5C094AA01
5C094BA25
5C094CA19
5C094EA02
5C094EB02
5C094FA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】透明なLED表示装置の画素の開口率を向上させる。
【解決手段】表示装置は、第1面及び第1面と反対側の第2面を有する基板と、第1面上に設けられ、第1方向に伸びる第1走査信号線、第1方向と交差する第2方向に伸びる第1データ信号線、並びに第1走査信号線及び第1データ信号線と電気的に接続された第1LEDチップを含む第1画素と、第2面上に設けられた第2方向に伸びる第1配線と、を有し、第1画素において、第1走査信号線と第1配線とは、基板を貫通する第1貫通電極により電気的に接続され、第1画素において、第1配線は、第1データ信号線と重畳する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有する基板と、
前記第1面上に設けられ、第1方向に伸びる第1走査信号線、前記第1方向と交差する第2方向に伸びる第1データ信号線、並びに前記第1走査信号線及び前記第1データ信号線と電気的に接続された第1LEDチップを含む第1画素と、
前記第2面上に設けられた前記第2方向に伸びる第1配線と、を有し、
前記第1画素において、前記第1走査信号線と前記第1配線とは、前記基板を貫通する第1貫通電極により電気的に接続され、
前記第1画素において、前記第1配線は、前記第1データ信号線と重畳する、表示装置。
【請求項2】
前記第1画素と前記第2方向に離れて設けられた第2画素、及び前記第2面上に設けられた第2配線をさらに有し、
前記第2画素は、前記第1方向に伸びる第2走査信号線、前記第1データ信号線、並びに前記第2走査信号線及び前記第1データ信号線と電気的に接続された第2LEDチップを含み、
前記第2画素において、前記第2走査信号線と、前記第2配線とは前記基板を貫通する第2貫通電極により電気的に接続され、
前記第2画素において、前記第2配線は、前記第2走査信号線と重畳する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1配線は、前記第2画素において、前記第1データ信号線と重畳し、
前記第1画素における前記第1配線の第1の幅は、前記第2画素における前記第1配線の第2の幅よりも小さい、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2画素において、前記第1配線の第2の幅は、前記第1データ信号線の第3の幅以下である、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2面上に設けられた第1端子をさらに有し、
前記第1配線は、前記第1端子と電気的に接続される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1面上に設けられた第1端子をさらに有し、
前記第1配線は、前記基板を貫通する第3貫通電極を介して、前記第1端子と電気的に接続される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有する基板と、
前記第1面上に設けられ、第1方向に伸びる第1走査信号線、前記第1方向と交差する第2方向に伸びる第1データ信号線、並びに前記第1走査信号線及び前記第1データ信号線と電気的に接続された第1LEDチップを含む第1画素と、
前記第2面上に設けられた前記第1方向に伸びる第1配線と、を有し、
前記第1画素において、前記第1走査信号線と前記第1配線とは、前記基板を貫通する第1貫通電極により電気的に接続され、
前記第1配線は、前記第1走査信号線と重畳する、表示装置。
【請求項8】
前記第1画素と前記第1方向に隣接して設けられた第2画素をさらに有し、
前記第2画素は、前記第1走査信号線、前記第2方向に伸びる第2データ信号線、並びに前記第1走査信号線及び前記第2データ信号線と電気的に接続された第2LEDチップを含み、
前記第2画素において、前記第1配線は、前記第2データ信号線と重畳する、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1配線は、屈曲部を有し、
前記屈曲部は、前記第1走査信号線と前記第2データ信号線とが交差する領域と重畳する、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1画素と前記第2方向に隣接して設けられた第3画素及び前記第2面上に第2配線をさらに有し、
前記第3画素は、前記第1方向に伸びる第2走査信号線、前記第1データ信号線、並びに前記第2走査信号線及び前記第1データ信号線と電気的に接続された第3LEDチップを含み、
前記第3画素において、前記第2配線は、前記第2走査信号線と重畳する、請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第3画素と前記第1方向に隣接して設けられた第4画素をさらに有し、
前記第4画素は、前記第2走査信号線、前記第2データ信号線、並びに第4LEDチップを含み、
前記第4画素において、前記第2配線は、前記第2走査信号線と重畳する、請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第2面において、前記第1配線と、前記第2配線とが、交差する第1領域を有し、
前記第1領域は、前記第2走査信号線と前記第2データ信号線とが重畳する、第2領域と重畳する、請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第2配線は、前記第1走査信号線と重畳する第1領域及び第2領域、並びに前記第1領域と前記第2領域とを接続する第3領域と、を有し、
前記第3領域は、絶縁層を介して、前記第1領域及び前記第2領域上に設けられ、
前記第3領域は、前記絶縁層を介して、前記第1配線と重畳する、請求項12に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、表示パネルに関する。特に、画素としてマイクロLEDを用いた透明なLED表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、1個のLEDのサイズが1mm未満(ミクロンオーダ)の微小なマイクロLEDを画素とした表示パネルの開発が進んでいる。特許文献1には、複数のマイクロLED表示パネルを、タイル状に貼り合わせて、大面積のマイクロLED表示装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のマイクロLED表示パネルをタイル状に貼り合わせて表示装置を製造する場合、表示パネルの額縁を小さくするために、表示面とは反対側の面に引き回し配線を形成することがある。このとき、表示面とは反対側に引き回し配線を形成することとで画素開口率が低下して、透明度が低下してしまうという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明の一実施形態では、透明なマイクロLED表示パネルの画素の開口率を向上させることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る表示パネルは、第1面及び第1面と反対側の第2面を有する基板と、第1面上に設けられ、第1方向に伸びる第1走査信号線、第1方向と交差する第2方向に伸びる第1データ信号線、並びに第1走査信号線及び第1データ信号線と電気的に接続された第1LEDチップを含む第1画素と、第2面上に設けられた第2方向に伸びる第1配線と、を有し、第1画素において、第1走査信号線と第1配線とは、基板を貫通する第1貫通電極により電気的に接続され、第1画素において、第1配線は、第1データ信号線と重畳する。
【0007】
本発明の一実施形態に係る表示パネルは、第1面及び第1面と反対側の第2面を有する基板と、第1面上に設けられ、第1方向に伸びる第1走査信号線、第1方向と交差する第2方向に伸びる第1データ信号線、並びに第1走査信号線及び第1データ信号線と電気的に接続された第1LEDチップを含む第1画素と、第2面上に設けられた第2方向に伸びる第1配線と、を有し、第1画素において、第1走査信号線と第1配線とは、基板を貫通する第1貫通電極により電気的に接続され、第1画素において、第1配線は、第1走査信号線と重畳する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表示パネルの第1面側の概略平面図である。
【
図2】表示パネルの画素の構成を説明する断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る表示パネルの第2面側の概略平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る表示パネルの第2面側の平面レイアウトである。
【
図6】
図5に示す表示パネルをA1-A2線で切断したときの断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る表示パネルの第2面側の平面レイアウトの一部を拡大した図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る表示パネルの製造方法を説明する断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る表示パネルの製造方法を説明する断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る表示パネルの製造方法を説明する断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る表示パネルの第2面側の平面レイアウトである。
【
図12】本発明の一実施形態に係る表示装置の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略する。
【0010】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態に係る表示パネル100について、
図1~
図12を参照して説明する。
【0011】
(表示パネルの構成の概要)
図1は、本発明の一実施形態に係る表示パネル100の概略平面図である。表示パネル100は、基板101上に設けられた表示領域102及び周辺領域109を含む。
【0012】
基板101は、第1面101aと、第1面101aと反対側の第2面101bと、を有する。
図1では、基板101の第1面101a側を図示している。本明細書等において、第1面101aは、表示領域102が形成される面である。
【0013】
本実施形態において、表示パネル100は、第1面101a側から見たとき、表示領域102を介して表示パネル100の向こう側(表示パネル100の向こう側に位置する風景、物体、及び人物等)を視認可能な透明な表示パネルである。この場合、基板101は、透明基板であることが好ましく、例えば、ガラス基板を用いることが好ましい。
【0014】
表示領域102は、複数の画素103を有する。複数の画素103は、m行×n列のマトリクス状に配置されている。本明細書等において、行とは、第1方向D1に配列されるn個の画素行をいう。また、列とは、第1方向D1と直交する第2方向D2に配列されるm個の画素列をいう。mとnとの値は、表示領域102に配列される走査信号線104及びデータ信号線の本数に応じて決定される。表示領域102には、走査信号線104-1,104-2,104-3,104-4,・・・・・・,104-mが配列され、データ信号線105-1,105-2,105-3,105-4,・・・・・・,105-nが配列される。以下の説明において、m行×n列に配置された画素を、画素103(m,n)と記載する。複数の画素をそれぞれ区別しない場合には、画素103と記載する。なお、画素103の構成要素についても同様である。
【0015】
画素103は、走査信号線104、データ信号線105、及びLEDチップ106を有する。本明細書等において、画素103とは、一つの色要素(例えばR(赤)G(緑)B(青)のいずれか)の明るさを制御できる表示単位に相当する領域である。また、画素とは、
図1に示すように、LEDチップ106と電気的に接続された走査信号線104及びデータ信号線105を含み、隣接する走査信号線104及びデータ信号線105を除いた領域をいう。
【0016】
なお、開口率とは、画素の領域に対し、光が通過する領域の面積の比率について表したものである。したがって、画素において、光を透過しない部材が占める領域が広くなると、開口率が低下し、光を透過する部材が占める領域が広くなると開口率が向上することとなる。
【0017】
本実施形態では、複数の走査信号線104及び複数のデータ信号線105に電圧を印加することで、交点のLEDチップ106を駆動させるパッシブマトリクス構造の表示パネル100を示すが、本発明の一実施形態はこれに限定されない。走査信号線104及びデータ信号線105によって制御されるトランジスタによって、LEDチップ106のオンまたはオフ状態を制御するアクティブマトリクス構造の表示パネル100であってもよい。
【0018】
周辺領域109は、表示領域102を取り囲むように設けられる。なお、周辺領域109とは、基板101において、表示領域102から基板101の端部までの領域をいう。別言すれば、周辺領域109は、基板101上で表示領域102が設けられる以外の領域(すなわち、表示領域102の外側の領域)をいうものとする。第1面101a側において、周辺領域109には、複数のデータ信号線105に電圧を印加するための端子部107が設けられる。図示しないが、端子部107には、フレキシブルプリント回路(FPC)が接続されている。FPCに、データ信号線105に印加する電圧を制御するためのドライバICのチップが設けられている。
【0019】
図2は、表示パネル100の画素103を説明する構成の断面図である。本実施形態では、基板101に対向する面に2つの電極を有するフリップチップ型のLEDチップ106を実装する例について説明する。ただし、表示パネル100の画素103の構成はこれに限定されない。基板101に近い側にアノード(またはカソード)を有し、基板101から遠い側にカソード(またはアノード)を有するフェイスアップ型のLEDチップを実装してもよい。
【0020】
基板101の第1面101a上には、走査信号線104が設けられている。走査信号線104上には、絶縁膜141が設けられている。絶縁膜141上には、データ信号線105が設けられている。走査信号線104とデータ信号線105との間に絶縁膜141が設けられることで、走査信号線104とデータ信号線105とを交差するように配置することができる。データ信号線105上には、絶縁膜142が設けられている。絶縁膜141、142には、走査信号線104に達するコンタクトホールと、データ信号線105に達するコンタクトホールが設けられている。絶縁膜142上には、実装パッド121a、121bが設けられている。実装パッド121aはコンタクトホールを介して走査信号線104と接続されている。また、実装パッド121bはコンタクトホールを介してデータ信号線105と接続されている。
【0021】
LEDチップ106は、例えば、GaAs等の半導体ウエハーを用いた基板、又はサファイア等の絶縁材料で形成された基板の上に、例えば、窒化ガリウム等で形成されるバッファ層、窒化ガリウム系の化合物半導体で形成されるn型層、窒化ガリウム系の化合物半導体で量子井戸構造が形成される活性層、窒化ガリウム系の化合物半導体で形成されるp型層、パッシベーション層を有する。LEDチップ106には、端子電極161a、161bが設けられている。LEDチップ106のサイズは、所謂マイクロLEDと呼ばれるものである。なお、LEDチップ106のサイズは、マイクロLEDに限定されず、所謂ミニLEDと呼ばれるサイズであってもよい。LEDチップ106の端子電極161a、161bのそれぞれは、接続電極162a、162bを介して、実装パッド121a、121bと接続されている。
【0022】
複数のマイクロLED表示パネルをタイル状に貼り合わせて表示装置を製造する場合、表示パネルの額縁を小さくするために、表示面とは反対側の面に引き回し配線を形成することがある。このとき、表示面とは反対側に引き回し配線を形成することとで画素の開口率が低下して、透明度が低下してしまうという問題が生じる。
【0023】
そこで、本発明の一実施形態では、透明なLED表示パネルの画素の開口率を向上させることを目的の一つとする。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態に係る表示パネル100の第2面101b側の概略平面図である。
図3では、表示領域102と、画素103と、引き回し配線112と、貫通電極111と、を示している。
【0025】
貫通電極111は、基板101の第1面101aと第2面101bとを貫通する電極である。引き回し配線112は、貫通電極111を介して、走査信号線104と接続されている。1本の走査信号線104につき、1本の引き回し配線112が接続されている。第2面101b側において、周辺領域109には、複数の引き回し配線112に電圧を印加するための端子部108が設けられる。端子部108から引き回し配線112に印加された電圧は、貫通電極111を介して、走査信号線104に供給される。図示しないが、端子部108には、フレキシブルプリント回路(FPC)が接続されている。FPCに、走査信号線104に印加する電圧を制御するためのドライバICのチップが設けられている。
【0026】
図4は、
図3に示す表示パネル100の第2面101bの一部を拡大した図である。
【0027】
画素103(1,1)において、引き回し配線112-1は、第2方向D2に沿って伸びている。また、画素103(1,1)において、走査信号線104-1と引き回し配線112-1とが、貫通電極111-1によって電気的に接続されている。また、引き回し配線112-1は、データ信号線105-1と重畳するように設けられている。
【0028】
ここで、引き回し配線112の幅は、走査信号線104の幅及びデータ信号線105の幅以下であることが好ましい。引き回し配線112の幅が走査信号線104の幅及びデータ信号線105の幅よりも大きくなると、画素103の開口率が低下してしまう。走査信号線104の幅及びデータ信号線105の幅は、表示パネル100のサイズに応じて決定される。引き回し配線112の幅は、走査信号線104の幅及びデータ信号線105の幅以下となるように、適宜決定される。走査信号線104の幅及びデータ信号線105の幅は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0029】
画素103(2,1)において、引き回し配線112-2は、第1方向D1に沿って伸びている。また、画素103(2,1)において、走査信号線104-2と引き回し配線112-2とが、貫通電極111-2によって電気的に接続されている。また、引き回し配線112-2は、走査信号線104-2と重畳するように設けられている。
【0030】
画素103(2,2)において、引き回し配線112-2は、第2方向D2に沿って伸びている。また、引き回し配線112-2は、データ信号線105-2と重畳するように設けられている。
図4に示すように、引き回し配線112-2は、屈曲部123を有し、屈曲部123は、走査信号線104-2とデータ信号線105-2とが交差する領域と重畳するように設けられている。
【0031】
画素103(3,1)において、引き回し配線112-3は、第1方向D1に沿って伸びている。また、画素103(3,1)において、走査信号線104-3と引き回し配線112-3とが、貫通電極111-3によって電気的に接続されている。また、引き回し配線112-3は、走査信号線104-3と重畳するように設けられている。
【0032】
画素103(3,2)において、引き回し配線112-3は、走査信号線104-3と重畳するように設けられている。走査信号線104-3と、データ信号線105-2の交差部において、引き回し配線112-3は、引き回し配線112-2と交差している。
【0033】
本発明の一実施形態に係る表示パネル100では、基板101の第1面101aに設けられた走査信号線104を、貫通電極111によって、第2面101bに設けられた引き回し配線112と接続する。そして、引き回し配線112を、走査信号線104又はデータ信号線105と重畳させる。これにより、第2面101b側に形成された引き回し配線112によって、画素の開口率が低下することを抑制することができる。
【0034】
引き回し配線112-1~112-nはそれぞれが設けられる位置に応じて、配線抵抗が異なる場合がある。配線抵抗の影響を低減するために、
図4に示すように、走査信号線104-1~104-nと引き回し配線112-1~112-nとを接続する貫通電極111は、1列目の画素(1,1)~画素(n,1)に沿って設けることが好ましい。これにより、引き回し配線112の配線抵抗の影響により、表示ムラが生じることを抑制することができる。
【0035】
図5は、3行目の引き回し配線112-3の一部を拡大した図である。
図6は、3行目の引き回し配線112-3をA1-A2線で切断した時の断面図である。
【0036】
基板101の第2面上において、引き回し配線112-3は、画素103(3,1)の走査信号線104-3と重畳する導電層131-1と、画素103(3,2)の走査信号線104-3と重畳する導電層131-2と、を有する。また、第2面101b上において、導電層131-1と導電層131-2との間には、引き回し配線112-2が設けられている。導電層131-1、導電層131-2、及び引き回し配線112-2上には、絶縁膜143が設けられている。絶縁膜143には、導電層131-1及び導電層131-2の一部を露出するコンタクトホール132-1、132-2が設けられている。絶縁膜143上において、導電層131-1と導電層131-2とを接続するように、接続電極131-3が設けられている。これにより、引き回し配線112-2と、引き回し配線112-3とを、交差して設けることができる。また、引き回し配線112-2と引き回し配線112-3とが交差する領域と、走査信号線104とデータ信号線105とが交差する領域とを重畳させることができる。これにより、画素103における開口率の低下を抑制することができる。また、表示パネル100は基板101の第2面101b側に、絶縁膜143と接続電極131-3と貫通電極111を覆う保護膜を備えても良い。保護膜は接続電極131-3及び貫通電極111を保護する絶縁膜として機能する。
【0037】
表示パネル100によれば、基板101の第2面101bに設けられる引き回し配線112は、第1面101aに設けられる走査信号線104及びデータ信号線105と重畳するように配置される。これにより、引き回し配線112によって、画素103の開口率が低下することを抑制することができる。したがって、表示パネル100の透明度を高めることができるため、透明な表示パネル100を提供することができる。
【0038】
図7は、表示パネル100の第2面101bの一部を拡大した図である。具体的には、画素(1,1)の近傍と、画素(n,1)の近傍の拡大図である。
図7では、画素(1,1)~画素(n,1)に配置される引き回し配線112-1について説明する。
【0039】
表示パネル100のサイズが大きくなると、引き回し配線112が有する配線抵抗の影響により、複数のLEDチップ106の発光輝度にばらつきが生じる場合がある。また、表示パネル100では、複数の引き回し配線112において、第1方向D1に伸びる領域の長さがそれぞれ異なっているため、その分、配線抵抗が増加する場合がある。これにより、表示領域102では、画像の表示ムラが生じる場合がある。
【0040】
そこで、配線抵抗による影響を低減するために、引き回し配線112の配線の幅を調整してもよい。
図7において、引き回し配線112-1は、画素103(1,1)~画素103(n,1)のデータ信号線105-1と重畳するように設けられている。画素103(1,1)における引き回し配線112-1の幅W1は、画素103(n,1)における引き回し配線112-1の幅W2よりも小さい。引き回し配線112-1の幅W1及び幅W2は、データ信号線105-1の幅W3以下である。引き回し配線112-1において、画素103(1,1)から画素103(n,1)にかけて、徐々に配線幅を変化させてもよいし、段階的に配線幅が増加する部分を有していてもよい。
【0041】
引き回し配線112-2は、画素103(2,2)の走査信号線104-2と重畳する領域と、画素103(2,2)~画素(n,2)のデータ信号線105-2に重畳する領域を有する。画素103(2,2)における引き回し配線112-1の幅W1は、画素103(n,2)における引き回し配線112-1の幅W2よりも小さい。引き回し配線112-1の幅W1及び幅W2は、データ信号線105-2の幅W3以下であり、走査信号線104-2の幅W4以下である。引き回し配線112-2において、画素103(2,2)から画素103(n,2)にかけて、徐々に配線幅を変化させてもよいし、段階的に配線幅が増加する部分を有していてもよい。
【0042】
これにより、複数の引き回し配線112の各々の配線抵抗の大きさを調整することができる。複数のLEDチップ106の各々について、発光輝度を均一化することできるため、表示パネル100の表示ムラを低減することができる。なお、本実施形態では、引き回し配線112の幅を変化させることで、配線抵抗の大きさを調整する例について説明したが、これに限定されない。例えば、画素103(n,1)における引き回し配線112-2の膜厚を、画素103(1,1)における引き回し配線112-1の膜厚よりも大きくすることで、配線抵抗の大きさを調整してもよい。
【0043】
(表示パネルの製造方法)
次に、本発明の一実施形態に係る表示パネル100の製造方法について、
図8~
図10を参照して説明する。なお、
図8~
図10における表示パネル100の製造方法を説明する断面図は、
図6に示す表示パネル100の断面図に対応している。そのため、絶縁膜142よりも上に設けられる実装パッド121a、121bや、LEDチップ106については図示が省略されている。
【0044】
図8は、基板101の第1面101a上に、走査信号線104から絶縁膜142を形成する工程を説明する図である。まず、基板101の第1面101a上に、導電膜を成膜して、フォトリソグラフィ工程により加工して、走査信号線104を形成する。走査信号線104は、例えば、銅、モリブデン、タンタル、タングステン、アルミニウムなどの金属材料で構成される。また、走査信号線104として、例えば、透光性を有する酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide;ITO)、酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide;IZO)などの金属酸化物材料を用いてもよい。次に、走査信号線104上に、絶縁膜141を形成する。絶縁膜141は、透光性を有していればよく、例えば、酸化シリコンまたは窒化シリコンなどの無機材料を用いて形成される。次に、絶縁膜141上に、導電膜を成膜して、フォトリソグラフィ工程により加工して、データ信号線105を形成する。図示しないが、データ信号線105の一部の領域が、端子部107として機能する。データ信号線105は、走査信号線104と同様の材料を用いて形成される。データ信号線105上には、絶縁膜142を形成する。絶縁膜142は、絶縁膜141と同様の材料を用いてもよいし、透光性を有するポリイミド、ポリアミド、アクリル、エポキシ等の有機材料であってもよい。
【0045】
図8において図示しないが、絶縁膜142上に実装パッド121a、121bを形成する。まず、絶縁膜142、141に、走査信号線104に達するコンタクトホール及びデータ信号線105に達するコンタクトホールを形成する。次に、絶縁膜142上に、導電膜を成膜して、フォトリソグラフィ工程により加工して、実装パッド121a、121bを形成する。実装パッド121a、121bは、走査信号線104と同様の材料を用いて形成される。実装パッド121aはコンタクトホールを介して走査信号線104と接続され、実装パッド121bはコンタクトホールを介してデータ信号線105と接続される。
【0046】
図9は、基板101の第2面101b上に、引き回し配線112-1~112-3、絶縁膜143、接続電極131-3を形成する工程を説明する図である。まず、基板101の第2面101b上に、導電膜を成膜して、フォトリソグラフィ工程により加工して、引き回し配線112-1~112-3を形成する。図示しないが、引き回し配線112-1~112-3の一部の領域が、端子部108として機能する。引き回し配線112-1~112-3は、走査信号線104と同様の材料を用いて形成される。
図6において、引き回し配線112-3として、導電層131-1、131-2を図示している。
【0047】
次に、引き回し配線112-1、112-2、導電層131-1、131-2上に、絶縁膜143を形成する。絶縁膜143は、絶縁膜141と同様の材料を用いて形成される。次に、絶縁膜143に導電層131-1に達するコンタクトホール132-1と、導電層131-2に達するコンタクトホール132-2とを形成する。次に、絶縁膜143上に、導電膜を成膜して、フォトリソグラフィ工程により加工して、接続電極131-3を形成する。接続電極131-3は、コンタクトホール132-1を介して導電層131-1と接続され、コンタクトホール132-2を介して導電層131-2と接続される。導電層131-1、接続電極131-3、及び導電層131-2が接続されることで、引き回し配線112-3を形成することができる。このように、引き回し配線112-2上において、接続電極131-3を形成して、接続電極131-3と導電層131-1、131-2とを接続する。これにより、引き回し配線112-2と引き回し配線112-3とを交差して配置することができる。なお、
図9において図示しないが、接続電極131-3上に、さらに保護膜を形成してもよい。当該保護膜は、絶縁膜141と同様の材料を用いて形成され、接続電極131を保護する。
【0048】
図10は、基板101に貫通孔110-3を形成する工程を説明する図である。まず、基板101の第1面101aにレジストマスク121及び第2面101bにレジストマスク122を形成して、エッチングを行う。これにより、第1面101aと第2面101bとを貫通する貫通孔110-3を形成する。貫通孔110-3の孔径は、引き回し配線112の幅に応じて、数μm~100μmとする。
【0049】
次に、貫通孔110-3に貫通電極111-3を形成する。貫通電極111-3は、例えば、電界めっき、無電解めっきなどの方法により形成する。以上の工程により、
図6に示す表示パネル100を製造することができる。なお、
図6では、貫通電極111-3が貫通孔110-3を充填するように形成している場合について示しているが、これに限定されない。例えば、貫通孔110-3の表面に、貫通電極111-3が形成される構成であってもよい。また、貫通電極111形成後に、接続電極131-3及び貫通電極111を覆う保護膜を形成しても良い。
【0050】
図10において図示しないが、最後に、実装パッド121a、121bに、LEDチップ106を実装する。LEDチップ106の端子電極161a、161bと、実装パッド121a、121bとを、接続電極162a、162bによって接続する。
【0051】
以上の工程により、本発明の一実施形態に係る表示パネル100を製造することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、基板101の第2面101bに、端子部108を形成する例について説明したが、本発明の一実施形態はこれに限定されない。端子部108は第1面101aに形成されてもよい。この場合には、データ信号線105形成する際に、端子部108を構成する導電層を予め形成しておく。そして、貫通電極111を形成する際に、端子部108を構成する導電層と、引き回し配線112とが重畳する領域においても貫通孔110を形成する。そして、貫通孔110に貫通電極111を形成すると同時に、端子部108を構成する導電層と、引き回し配線112とを接続する貫通電極を形成してもよい。
【0053】
(変形例1)
図11は、
図4に示す表示パネルの第2面側の平面レイアウトとは、一部異なる平面レイアウトである。
図11では、走査信号線104と引き回し配線112とが接続される貫通電極111の位置が、
図4に示す走査信号線104と引き回し配線112とが接続される貫通電極111の位置とは異なっている。
【0054】
例えば、1行目の画素103においては、貫通電極111-1を、画素103(1,1)に設け、2行目の画素103においては、貫通電極111-2を画素103(2、1)に設けている。また、3行目の画素103においては、貫通電極111-3を画素103(3,2)に設け、4行目の画素103においては、貫通電極111-4を画素103(4,3)に設けている。このように、表示領域102において、貫通電極111-1~111-4を設けることで、引き回し配線112-1~112-4を交差せずに設けることができる。
【0055】
なお、
図11に示す平面レイアウトにおいて、貫通電極111-1~111-4が設けられる位置に応じて、引き回し配線112-1~112-4の配線抵抗が異なる場合がある。そのため、
図7で示した引き回し配線112-1、112-2と同様に、
図11に示す引き回し配線112-1~112-4の幅を徐々に変化させることで、配線抵抗の影響を低減することが好ましい。
【0056】
(変形例2)
図12は、本発明の一実施形態に係る表示装置を説明するための図である。
図12では、表示装置200は、複数の表示パネル100-1、100-2、100―3、100-4を有する例を示す。また、
図12では、表示パネル100-1~100-4のいずれも、第1面101a側のレイアウトを示している。
【0057】
図12では、表示パネル100が2×2形式で配置されている例について示すが、これに限定されない。複数の表示パネル100がそれぞれ、N×M形式(Nは2以上の正の整数であり、Mは2以上の正の整数)で配置されてもよい。複数の表示パネル100-1~100-4はそれぞれ、
図1等において説明した表示パネル100である。本発明の一実施形態に係る表示パネル100-1~100-4は、透光性を有しており、額縁領域が小さい。
【0058】
表示パネル100-1~100-4はそれぞれの表示領域102-1~102-4が隣接するように配置される。表示パネル100-1、100-3が有する端子部107、108は左側に設けられ、表示パネル100-2、100-4が有する端子部107、108は右側に配置される。また、端子部107は、第1面101a側に設けられており、端子部108は、第2面101b側に設けられている。表示パネル100-1~100-4は、それぞれの額縁領域が小さい。そのため、複数の表示パネル100をつなぎ合わせた場合であっても、表示領域102の境界領域を目立たなくさせることができる。これにより、表示領域102-1~102-4によって、一つの大きな画像を途切れることなく表示させることができる。
【0059】
複数の表示パネル100-1~100-4の側面は、接着部材によって互いに接着されていてもよい。このように、複数の表示パネル100-1~100-4を隣接するように配置することで、大面積の透明な表示装置200を提供することができる。
【0060】
本発明の実施形態として上述した表示パネル100、100A及び表示装置200を元にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0061】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に相当し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0062】
また、本実施形態において態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0063】
100:表示パネル、101:基板、101a:第1面、101b:第2面、102:表示領域、103:画素、104:走査信号線、105:データ信号線、106:LEDチップ、107:端子部、108:端子部、109:周辺領域、110:貫通孔、111:貫通電極、112:引き回し配線、131-1:導電層、131-2:導電層、131-3:接続電極、132-1:コンタクトホール、132-2:コンタクトホール、141~143:絶縁膜、200:表示装置