(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075399
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】水棲生物飼育装置
(51)【国際特許分類】
A01K 63/00 20170101AFI20220511BHJP
【FI】
A01K63/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186160
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】599072530
【氏名又は名称】株式会社山利製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】山口 誠平
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA08
2B104CA03
2B104CB23
2B104CB30
2B104CB54
2B104EA01
(57)【要約】
【課題】ベランダや庭先に設置することができる、自然エネルギを利用した水棲生物飼育装置を提供する。
【解決手段】容器11と、その容器11に取り付けられる支持スタンド12と、上下方向に延び、前記支持スタンド12によって回転自在に支持される回転軸18と、前記回転軸18の上部に取り付けられる風車19と、前記回転軸18の下部に取り付けられ、水中で回転する旋回翼20と、前記容器11に給水する給水ボトルBを支持するボトル支持筒14とからなる水棲生物飼育装置10。回転軸18が針金ないし鋼線からなると共に、その下端18aが針状に形成され、前記容器11内に、回転軸18の下端18aを回転自在に支持する軸受け部材17が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、
その容器に取り付けられる支持スタンドと、
上下方向に延び、前記支持スタンドによって回転自在に支持される回転軸と、
前記回転軸の上部に取り付けられる風車と、
前記回転軸の下部に取り付けられ、水中で回転する旋回翼と、
前記容器に給水する給水ボトルを支持するボトル支持筒
とからなる水棲生物飼育装置。
【請求項2】
前記回転軸が針金ないし鋼線からなると共に、その下端が針状に形成され、前記容器内に、回転軸の下端を回転自在に支持する軸受け部材が設けられている請求項1記載の水棲生物飼育装置。
【請求項3】
前記支持スタンドが、略U字状に屈曲ないし湾曲された、前記容器に固定される支持板と、
その支持板に取り付けられ、前記回転軸を回転自在に支持する支持パイプとからなり、
前記支持板に、前記ボトル支持筒が取り付けられている請求項1または2記載の水棲生物飼育装置。
【請求項4】
前記旋回翼が、回転軸に対して直角に固定される基部と、その基部に対し、それぞれ斜め上向きまたは下向きに設けられた複数の翼片とからなる請求項1~3のいずれかに記載の水棲生物飼育装置。
【請求項5】
前記風車が、基材と、その基材の周縁部に固定された複数の風受けとからなり、前記風受けが、可撓性を有するシート材から略円錐状に形成されたものである請求項1~4のいずれかに記載の水棲生物飼育装置。
【請求項6】
前記ボトル支持筒が、貯水するための有底筒状の本体と、その本体内に設けられ、給水ボトルの口部と嵌合する内筒とを有し、
前記本体内の水に一端が浸され、他端が本体の外側に垂れる毛細管シートを備えている請求項1~5のいずれかに記載の水棲生物飼育装置。
【請求項7】
前記容器の底部に溝が形成され、容器の側壁または底部に形成されたドレン口に前記溝が連通している請求項1~6のいずれかに記載の水棲生物飼育装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水棲生物飼育装置に関し、とくにメダカや金魚などの小型の淡水魚の飼育に適する水棲生物飼育装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、メダカなどの淡水魚を飼育する池、戻り管路、開放水路などを環状に配列し、モータ駆動のポンプや水車で水を循環させることにより流水を楽しみながら淡水魚を飼育する栽培・飼育セットが開示されている。特許文献2には、風車によって駆動される水車で水路内の水を循環させるミニアチュア小川が開示されている。特許文献3には、水道水を貯留し、塩素が気化した水を多数の水槽に給水する鑑賞魚展示販売用の水槽台が開示されている。
【0003】
特許文献4、特許文献5には給水ボトルを上下逆の状態で支持し、給水ボトルから出てくる水を徐々に流し出す植物栽培用の給水装置が開示されている。給水ボトルの開口部に給水弁を取り付けることも開示されている。特許文献6には毛細管現象を利用して給水する農業資材用袋織物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-278461号公報
【特許文献2】登録実用新案第3084755号公報
【特許文献3】特開2007-166911号公報
【特許文献4】特開2010-17097号公報
【特許文献5】特開2020-22399号公報
【特許文献6】特開2008-86256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メダカや金魚などの鑑賞用の小型の淡水魚は、泳ぐ姿や泳ぎ回っている動作が鑑賞の対象になる。また、泳いでいることにより、体調維持に寄与する。そのため、メダカや金魚を飼っている庭の池や水槽の水に適度の水流を生じさせたり、水を攪拌することが望ましい。また、えさの残りや糞を流し出すため、水を攪拌することも望まれる。このような水流や攪拌は、水道水を注いだり、ポンプで流れをつくったりすることにより得ることができる(特許文献1参照)。特許文献1の装置は、モータ駆動のポンプや水車で水を循環させているが、環境保護のため、自然エネルギを利用することが望まれる。
【0006】
特許文献2の装置は、風車の回転によってピストンや水車を駆動するので、自然エネルギの有効利用になる。しかしパイプなどからなる循環管路内で魚を飼育するので、充分に鑑賞することができない。特許文献3の装置は、水道水の塩素を除くことができる。しかし水道管と連結するなど、装置が大がかりになる。特許文献4~6の装置はいずれも植物栽培用の給水装置を教えているが、水棲生物飼育に使うことを教えていない。
【0007】
本発明は、メダカや金魚などを飼育するための水棲生物飼育装置であって、ベランダや庭先に設置することができる、自然エネルギを利用した水棲生物飼育装置を提供することを技術課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の水棲生物飼育装置10は、容器11、50と、その容器11、50に取り付けられる支持スタンド12と、上下方向に延び、前記支持スタンド12によって回転自在に支持される回転軸18と、前記回転軸18の上部に取り付けられる風車19と、前記回転軸18の下部に取り付けられ、水中で回転する旋回翼20と、前記容器11に給水する給水ボトルBを支持するボトル支持筒14とからなることを特徴としている。
【0009】
このような水棲生物飼育装置10では、前記回転軸18が針金ないし鋼線からなると共に、その下端18aが針状に形成され、前記容器11、50内に、回転軸18の下端18aを回転自在に支持する軸受け部材17が設けられているものが好ましい。また、前記支持スタンド12が、略U字状に屈曲ないし湾曲された、前記容器11、50に固定される支持板16と、その支持板16に取り付けられ、前記回転軸18を回転自在に支持する支持パイプ15とからなり、前記支持板16に、前記ボトル支持筒14が取り付けられているものが好ましい。
【0010】
さらに前記旋回翼20が、回転軸18に対して直角に固定される基部25aと、その基部25aに対し、それぞれ斜め上向きないし斜め下向きに設けられた複数の翼片27、28とからなるものが一層好ましい。さらに前記風車19が、基材32と、その基材32の周縁部に固定された複数の風受け33とからなり、前記風受け33が、可撓性を有するシート材から略円錐状に形成されたものであるのが好ましい。
【0011】
前記いずれの水棲生物飼育装置10においても、前記ボトル支持筒14が、貯水するための有底筒状の本体14aと、その本体14a内に設けられ、給水ボトルBの口部(キャップB1)と嵌合する内筒14bと、一端が本体14a内の水に浸され、他端が本体14aの外側に垂れる毛細管シート40とからなるものが好ましい。
【0012】
さらに前記いずれの水棲生物飼育装置10においても、前記容器50の底部50aに溝51が形成され、容器11、50の側壁50bまたは底部50aに形成されたドレン口45に前記溝51が連通しているものが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水棲生物飼育装置は、風車が風を受けて回転すると、回転軸を介して旋回翼も回転し、水中に周囲に拡がる流れが生じ、あるいは水が攪拌される。それにより、メダカや金魚が流れによる刺激を受けて活発に泳ぎ回るので、看者に興趣をもたらすと共に、メダカや金魚の健康維持に寄与する。また、水を攪拌することにより、えさの残りや糞を流し出しやすくする。さらに給水ボトルから徐々に容器に給水できるので、水面維持が容易である。また、この装置は上部の風車と下部の水車を回転軸を介して連結したものであるので、自然エネルギの活用に資することができる。
【0014】
このような水棲生物飼育装置において、前記回転軸が針金ないし鋼線からなると共に、その下端が針状に形成され、前記容器内に、回転軸の下端を回転自在に支持する軸受け部材が設けられている場合は、回転軸の軽量化を図ることができ、微風によっても回転軸を回転させることができる。また、構成が一層シンプルである。
【0015】
また、前記支持スタンドが、略U字状に屈曲された、前記容器に固定される支持板と、その支持板の上板に取り付けられ、前記回転軸を回転自在に支持する支持パイプとからなり、前記支持板に、前記ボトル支持筒が取り付けられている場合は、回転軸が支持パイプによって保護される。そして回転軸は撓みながらでも回転を継続することができるので、回転軸を細くすることができる。また、給水ボトルを安定して支持することができる。
【0016】
前記旋回翼が、回転軸に対して直角に固定される基部と、その基部に対し、それぞれ斜め上向きまたは斜め下向きに設けられた複数の翼片とからなる場合は、旋回翼の構造がシンプルで、かつ軽量であるので、回転軸の支持構造を簡易なものとすることができる。前記風車が、基材と、その基材の周縁部に固定された複数の風受けとからなり、前記風受けが可撓性を有するシート材から略円錐状に形成されたものである場合は、風車の構造がシンプルで、かつ軽量であるので、回転軸の支持構造を簡易なものとすることができ、微風によっても回転する。
【0017】
前記ボトル支持筒が、貯水するための有底筒状の本体と、その本体内に設けられ、給水ボトルの口部と嵌合する内筒と、一端が本体内の水に浸され、他端が本体の外側に垂れる毛細管シートとからなる場合は、本体内の水が毛細管シートを伝わって徐々に容器へ流れるので、ゆっくりと給水していくことができ、水道水に対しカルキ抜きの効果がある。
【0018】
前記容器の底部に溝が形成され、容器の側壁または底部に形成されたドレン口に前記溝が連通している水棲生物飼育装置は、水の攪拌によってえさの残りや糞が溝に溜まる。そしてドレン口から排水するとき、えさの残りや糞を流出させることができる。それにより水質を良好に維持しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の水棲生物飼育装置の一実施形態を示す一部切り欠き斜視図である。
【
図5】
図1の水棲生物飼育装置における風車の平面図である。
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、本発明に関わる毛細管シートの一実施形態を示す正面断面図および側面断面図であり、
図7Cおよび
図7Dはそれぞれ毛細管シートとカバーの使用状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8Aおよび
図8Bは、容器の他の実施形態を示す要部平面図および要部断面図である。
【
図9】軸受け部材の他の実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示す水棲生物飼育装置10は、容器11と、支持スタンド12と、その支持スタンド12によって回転自在に支持される回転体13と、上下逆にした給水ボトルBの口部を支持するボトル支持筒14とからなる。支持スタンド12は、上下方向に配置される支持パイプ15と、その支持パイプ15の下部を支持し、容器11に取り付けられた支持板16とからなる。さらに容器11の底部には、回転体13の下端を支持する軸受け部材17が配置されている。回転体13は、支持パイプ15内で鉛直軸回りに回転自在に収容される回転軸18と、その回転軸18の上端に固定された風車19と、回転軸18の下端に固定された旋回翼20とからなる。
【0021】
図3に示すように、支持パイプ15の上端には回転軸18の上部を回転自在に支持するキャップ21が設けられている。キャップ21には回転軸18を通す貫通孔21aが形成されている。ボールベアリングなどは設けていない。支持パイプ15の下端にはねじソケット22が固定され、そのねじソケット22の筒状の雄ねじ部22aが支持板16の上板16bを貫通して下方に突出し、突出している部分にナット22bが螺着され、締め付けられている。容器11、支持パイプ15、キャップ21、ねじソケット22、ナット22bは塩化ビニル、ポリエチレンなどの耐候性を有する合成樹脂製が好ましい。
【0022】
前記支持板16は、略U字状に屈曲ないし湾曲した合成樹脂製の板からなり、両側の脚部16bが容器11内に挿入され、容器11の側壁の内面にビスなどで固定されている。支持板16は、透明な合成樹脂から製造するのが好ましく、たとえばPET樹脂板を温水や温風などで加熱しながら湾曲させることで製造しうる。PET樹脂のほか、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなども採用できる。
【0023】
支持板16の上板16bは容器11の側壁より高い。そのため、左右端では開放されている。この実施形態では、それらの開放されている部位を着脱自在の横蓋16cによって塞いでいる。それにより、エビなどのはねる水棲生物や魚介類を飼育する場合、外へ飛び出すことを防止することができる。またネコなどの外敵から保護することができる。魚にエサを与えたり容器11の内部をメンテナンスしたりするときは、横蓋16cを外す。横蓋16cとしては、支持板16と同様の透明な合成樹脂を採用することができる。糸や紐からなるネットまたは金属線からなる網板を用いてもよい。
【0024】
さらにこの実施形態では、支持板16の上板16bのそれぞれの端部近辺に2か所ずつスリット16dを設け、それらのスリット16dに、横蓋16cの上部2か所に形成したカギ状の係止片16eを係止している。それにより、横蓋16cを容器11と支持板16に着脱自在に取り付けている。さらに横蓋16cの左右端に、容器11の上縁に係合する係合片16fを設けている。それにより横蓋16cを安定して取り付けることができる。また、横蓋16cの下端には、装着したときに容器11の側壁内面と当接する折り曲げ片16gを設けている。それにより、横蓋16cと容器11の間の隙間を小さくすることができる。
【0025】
軸受け部材17は
図4Bに示すように、合成樹脂ないしゴム製の底板17aと、その中心に設けられる金属製の突起17bとからなる。底板17aは容器11の底に接着されている。この実施形態では突起17bとしてビスを利用しており、ビスのネジ部を底板17aの中心部にねじ込み、頭部に形成した凹部17cで回転軸18の下端18aを受けている。凹部17cの中心には、回転軸18の針状の先端を受ける円錐状の受け部が形成されている。
【0026】
前記回転軸18は、針金ないし鋼線から形成されている。そのため、軽量である。耐水性が高いステンレス鋼線が好ましい。回転軸18の上部は前述のキャップ21によって回転自在に支持されている。下端18aは針状に尖っており、前述の軸受け部材17の突起17bによって回転自在に支持される。突起17bもステンレス製とするのが好ましい。回転軸18の下端18aよりいくらか上に、旋回翼20が固定されている。このような構成により、回転体13全体が鉛直軸回りに回転自在に支持される。
【0027】
図4A、
図4Bに示すように、旋回翼20は、翼部材25と、その翼部材25の下部または上部に重ねて固定した円柱状の固定部26とからなる。翼部材25は、円板状の基部25aと、その基部25aから半径方向外向きに延びる枝部25bと、枝部25bの一方の側縁(回転の後側)から斜め上向きに延びる上向き翼片27と、他方の側縁(回転の前側)から斜め下向きに延びる下向き翼片28とからなる。
【0028】
翼部材25の回転方向は
図4Aでは時計方向(矢印P)であり、前下がりの斜めに延びる翼片27、28には、回転によって水からの反力が下向きに加わる。そのため、回転体13は軸受け部材17に押し付けられ、軸受け部材17の凹部17cから外れにくい。翼部材25は合成樹脂シートから形成することができる。固定部26は合成樹脂製またはゴム製とすることができる。両者はねじ26aなどで結合されている。固定部26は翼部材25と回転軸18とを結合する部材である。
【0029】
この実施形態では、枝部25bは120°間隔で3か所に設けられており、上向き翼片27は円弧状の切れ目によって4枚の湾曲した細片27a、27b、27c、27dに分離されている。そして最も外側の細片27aと3番目の細片27dの傾斜角度は同一(たとえば40~60°)とされ、2番目の細片27bと4番目の細片27dの角度は同一の角度で、前述の最も外側の細片の角度より急な角度(たとえば70~90°)としている。なお、最も外側の細片27aと3番目の細片27cの角度を急角度とし、2番目の細片27bと4番目の細片27dの角度を緩い傾斜とすることもできる。
【0030】
下向き翼片28には切れ目を入れておらず、略三角形ないし扇状を呈している。下向き翼片28は、枝部25bの前進側の端縁から、たとえば40~60°の角度で斜め下向きに延びている。下向き翼片28は設けなくてもよく、その場合は枝部25bの前進側の端縁で切断するか、あるいは切断したり折り曲げたりせずに、枝部25bを略扇状とすることができる。
【0031】
このような翼部材25は、PET樹脂などの合成樹脂シートを所定の形状に切断し、折り目で折り曲げることにより製造することができる。合成樹脂材料としては、PET樹脂のほか、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニルなども採用できる。それぞれの切れ目は輪郭の切断の時に同時に設けてもよく、輪郭を抜き落とした後、切れ目を入れてもよい。
【0032】
この実施形態では枝部25bは3か所としているが、2か所でもよく、4か所以上とすることもできる。また、上向き翼片27の細片27a~dは4枚としているが、3枚でもよく、5枚以上とすることもできる。切れ目を設けなくてもよい。ただし上向き翼片27を複数の細片27a~dで構成し、細片27a~dの角度に変化をつけることにより、中央から半径方向外側に向けて充分に水を攪拌することができる。
【0033】
旋回翼20の基部25aは固定部26に固定するため、平坦にしている。また、枝部25bも基部25aと面一で平坦にされている。
図4Bでは固定部26を旋回翼20の下面側に設けているが、旋回翼20の上面側に設けてもよく、上下両側に設けてもよい。
【0034】
図5に示すように、風車19は、略円形の基材32と、その基材32の周縁部に固定された複数の風受け33と、基材32の中央部の下面に取り付けた固定部(
図3の符号34)とからなる。基材32と風受け33は合成樹脂製のシートからなる。固定部34は合成樹脂製またはゴム製の円柱である。この実施形態では、風受け33は等角度で6個所に設けている。ただし2個所~5個所でもよく、7個所以上でもよい。
【0035】
風受け33は、可撓性を有するシートを扇状に切断し、円錐状に湾曲形成したものである(
図1参照)。シートの厚さは0.01~0.5mm程度、好ましくは0.03~0.05mm程度と薄い。それにより、風受け33が先端側で風を受けたとき、いくらか扁平に変形して風圧を弱めることができ、後端側で風を受けたとき、拡がって充分に風圧を受けることができる。ただし硬質の樹脂シートを採用することもできる。
【0036】
扇状に切断したシートは、半径方向に延びる両端縁に折り曲げ片35を設けており、それらの折り曲げ片35で基材32を挟み、両面テープで基材32に固定している。鋲やリベットで固定することもできる。折り曲げ片35は基材32の中心を囲む略六角形を形成するように配置する。前記固定部34は、回転軸18と基材32を結合する部材である。
【0037】
この実施形態では、風受け33は円錐の頂点37が時計方向に向けられ、円錐の底38側が半時計方向に向けられている。そのため、頂点37側に向かう風による反時計方向の回転トルクより、底38側に向かう風による時計方向の回転トルクが大きい。そのため、風車18は時計方向(矢印P方向)に回転する。
【0038】
つぎに
図6A、
図6Bを参照してボトル支持筒14を説明する。ボトル支持筒14は、貯水するための有底筒状の本体14aと、その本体14a内に設けられ、給水ボトルBのキャップB1と嵌合する内筒14bと、一端が本体14a内の水に浸され、他端が本体14aの外側に垂れる毛細管シート40とを有する。内筒14bには、本体14a内と連通する縦方向のスリット14cが複数個所形成されている。内筒14bと本体14aの間には補強リブ14dが設けられており、それにより、重量がある水を入れた状態の給水ボトルBをしっかり支持することができる。
【0039】
なお、給水ボトルBのキャップB1には、給水ボトルBを上下逆にしたときに口部を閉じ、内筒14bに装着したときに口部を開く給水弁B2を設けるのが好ましい。給水弁B2は、キャップB1に上下自在に設けられる軸B3と、その軸B3のボトル内の端部に取り付けられる閉鎖部B4と、軸B3を常時突出する方向に付勢するバネ(図示しない)とからなる公知のものが好ましい(特許文献4、5参照)。それにより、水道水などを充填した給水ボトルBを上下逆にしたときに水がこぼれない。そして給水ボトルBをボトル支持筒14に装着すると、給水弁B2が開く。そのため、給水ボトルBの水の交換が容易である。
【0040】
ボトル支持筒14の前記本体14aの外面には、上下に貫通するコ字状の保護枠14eが突設されている。そして本体14aを構成する側壁の保護枠14eと対応する位置に、毛細管シート40を配置するための切り欠き14fが形成されている。切り欠き14fは保護枠14eの上端とほぼ同一の位置から本体14aの上端まで形成されている。ボトル支持筒14の外面の対向する2か所には、ボトル支持筒14を支持板16に固定するネジを収容する取り付け筒14gが突設されている。
【0041】
毛細管シート40は、
図7A、Bに示すように、扁平な長方形のシートであり、可撓性を有するチューブ41内に収容されている。そして毛細管シート40がチューブ41から外れないように、両端に係止部42を設けている。毛細管シート40としては、連通気泡の発泡樹脂や、繊維質のテープなどが用いられる。チューブ41は毛細管シート40を保護し、取り扱いやすくするものである。
【0042】
ボトル支持筒14の本体14a、内筒14b、保護枠14cなどは、ナイロン(ポリアミド(PA))、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンなどの硬質の合成樹脂によって成形することができる。チューブ41としては、柔軟性、耐候性が高い合成樹脂やゴム、たとえばポリ塩化ビニル(PVC)やエチレンプロピレンゴム(EPT)などのチューブが用いられる。チューブ41の長さ方向の中央部あるいは中央部よりいくらか一方に寄った位置には、チューブ41を折り曲げ易くするための切れ目41aが形成されている。切れ目41aはチューブ41の半周を回って形成されている。それにより、
図7Cのように、切れ目41aを開くようにしてチューブ41を屈曲させることができる。
【0043】
チューブ41と共に屈曲させた毛細管シート40は、
図6Bに示すように、一端をボトル支持筒14の本体14aと内筒14bの間に垂らして16hその先端を水に漬けると共に、他端を保護枠14e内に垂らす。支持板16の保護枠14eの下端に対応する部位には、水を流し出す開口が形成されている。それにより毛細管現象で本体14a内の水を徐々に外部に流し出すことができ、容器11内への給水を継続することができる。本体14a内の水は、空気に開放されているので、水道水のカルキ抜きの効果を奏する。
【0044】
チューブ41の切れ目41aの部位では毛細管シート40が露出するので、
図7Dに示すカバーシート44で覆うのが好ましい。カバーシート44は合成樹脂シートを長方形状に切断し、両端を屈曲することで製造できる。カバーシート44の上部44aには、ボトル支持筒14の本体14aの切り欠き14fの左右の内縁と係合するガイド溝44bが形成されている。
【0045】
図2に示すように、前記容器11の下部には、水を排出するためのドレン口45が設けられ、そのドレン口45に排水用ホース46の一端が固定されている。排水用ホース46の他端は、ホース保持具47によって容器11の上部に保持させている。そのため、必要に応じて排水用のホース46の他端をホース保持具47から取り外し、下方に延ばすことにより、容器11内の水を重力で排水することができる。
【0046】
図8A、
図8Bに示す容器50は、底部50aに餌の食べ残しや糞などのゴミないし汚れを溜める溝51を設けると共に、その溝51の端部にドレン口45を設けている。ドレン口45は側壁50bに設けるほか、底部50aに設けることもできる。溝51は底部50aを構成する板を下向きに突出・湾曲させることにより形成できる。このように構成することにより、容器50の底部50aに残ったエサや糞は水の攪拌によって溝51内に溜まるので、排水時に水と一緒に流れ出ていく。そのため容器11内を清潔に保ちやすくなる。
【0047】
図4Bでは回転軸18の下端18aを支持する軸受け部材17を底板17aと突起17bとで構成しているが、
図9に示すように、容器11の底部11aに厚肉部11a1を一体に成形し、その厚肉部11a1に突起17bを取り付ける穴11a2を形成してもよい。穴11a2は容器11の底部11aを貫通していない。厚肉部11a1は底部11aの下面側に設けてもよい。また、
図3に示すように、容器11内にトンネル部材53を配置すると、水棲生物が隠れることができるので、水棲生物のストレス解消に役立つ。トンネル部材53は不透明な合成樹脂、金属などから製造することができ、着脱自在にするのが好ましい。
【0048】
図10に示すように、風車19を2段で設けることもできる。風車19の風受け33は同じ向きである。風車19は3段以上設けることもできる。風車19を複数段にすることにより、回転力が増大し、水を攪拌する作用が増大する。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されない。前記実施形態では、支持板16は容器11の開口のほぼ全体を覆っているが、たとえば支持板16の容器11の長手方向に対応する寸法を短くして、中央部だけを覆い、両端近辺を開放することもできる。その場合は開放している部分で太陽光を充分に取り入れることができ、また、水棲生物を直接鑑賞することができる。また、支持板16を風車用の支持板とボトル支持筒用の支持板の2枚の支持板に分離してもよい。その場合は両者の間に間隔をあけて取り付けることができる。
【符号の説明】
【0050】
10 水棲生物飼育装置
11 容器
12 支持スタンド
13 回転体
14 ボトル支持筒
14a 本体
14b 内筒
14c スリット
14d 補強リブ
14e 保護枠
14f 切り欠き
14g 取り付け筒
15 支持パイプ
16 支持板
16a 脚部
16b 上板
16c 横蓋
16d スリット
16e 係止片
16f 係合片
16g 折り曲げ片
17 軸受け部材
17a 底板
17b 突起
17c 凹部
18 回転軸
18a 下端
19 風車
20 旋回翼
21 キャップ
22 ねじソケット
22a 雄ねじ部
22b ナット
25 翼部材
25a 基部
25b 枝部
26 固定部
26a ねじ
27 上向き翼片
27a、27b、27c、27d 細片
28 下向き翼片
P 回転方向
32 基材
33 風受け
34 固定部
35 折り曲げ片
37 頂点
38 底
B 給水ボトル
B1 キャップ
B2 給水弁
B3 軸
B4 閉鎖弁
40 毛細管シート
41 チューブ
41a 切れ目
42 係止部
44 カバーシート
44a 上部
44b ガイド溝
45 ドレン口
46 排水用ホース
47 ホース保持具
50 容器
50a 底部
50b 側壁
51 溝
11a1 厚肉部
11a2 穴
53 トンネル部材