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特開2022-75437スマートフォン制御の小型船の自動運転システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075437
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】スマートフォン制御の小型船の自動運転システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 3/00 20060101AFI20220511BHJP
   G01C 21/20 20060101ALI20220511BHJP
   B63B 79/40 20200101ALI20220511BHJP
   B63H 25/04 20060101ALI20220511BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G08G3/00 A
G01C21/20
B63B79/40
B63H25/04 D
B63H25/04 F
B63H25/04 J
H04Q9/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020195539
(22)【出願日】2020-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】500094107
【氏名又は名称】松尾 賢三
(72)【発明者】
【氏名】松尾 賢三
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5K048
【Fターム(参考)】
2F129AA14
2F129BB03
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD58
2F129DD62
2F129EE52
2F129EE78
2F129EE79
2F129FF02
2F129FF12
2F129GG06
5H181AA25
5H181BB04
5H181BB05
5H181FF04
5H181FF07
5H181FF10
5H181FF13
5H181LL09
5K048AA05
5K048BA44
5K048DA01
5K048EB02
5K048EB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】油圧やモーターなど舵の起動方式に関係なく利用可能で、スマートフォンの特徴である通信機能を活用した気象情報や緊急時通報などの安全対策、様々なアプリケーションソフトの利用など発展性が高く、プログラム更新も簡単で、操作性、メンテナンス性、価格など実用性の面でも他に類を見ない競争力を有した制御システムを提供する。
【解決手段】スマートフォンにより、オートパイロット制御を行う。GPS(準天頂衛星)の位置データを基に船の位置を制御し、基礎データはGPS計測点(d)2点間を結んだ針路角の取得、及び出発地と目的地(b)(行先)を結んだ目標航路(e)の作成機能を持つ。直進性の向上を図るための計測間隔(c)でGPSデータを取得し仮想行先を作成し、針路誤差(h)の算定と舵の方向決定を行う。無駄な蛇行防止のための操舵達成率(i)算出による、当舵(j)(舵の逆転)機能などがある。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型船の自動運転で出発地▲a▼と目的地▲b▼(行先)を結んだ線を目標航路▲e▼とする。目標航路▲e▼上のGPS計測点▲d▼から設定距離の位置に作成した仮想行先▲g▼とGPS計測点▲d▼を結んだ線と、目標航路▲e▼の角度差を船の進路誤差▲h▼とし、仮想行先▲g▼へ向け進路誤差▲h▼分の舵を自動操舵する。仮想行先▲g▼はGPS計測間隔▲c▼により反復し、常に新たな仮想行先▲g▼に向け進路誤差▲h▼を操舵するので短い区間で風波の影響を即座に修正でき直進性は大幅に向上し、最短の時間と距離で目的地▲b▼へ到着できる自動運転の制御方法。
【請求項2】
自動運転後の舵の効き過ぎによる蛇行防止のため、自動運転直後のGPS計測点▲d▼より舵効き効果を操舵達成率▲i▼として算出、操舵達成率▲i▼に応じた当舵▲j▼(舵の逆転)を即座に実行、自動運転の弱点である船の蛇行を未然防止し直進性の向上を図る自動運転制御方法。
【請求項3】
小型船の自動運転装置(通称オートパイロットシステム)で起動方式(油圧やモーター等)に関わらず、スマートフォンのアプリケーションソフトでの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小型船の自動運転システム(通称オートパイロット)の制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の船舶用自動運転システム(通称オートパイロットシステム)は組込まれたコンピューター制御で、GPS受信機や目的地登録機能は備えてないため、別にGPSプロッター(テレビ型のGPS装置)やコンパス類が必須のため設置スペースが狭い小型船には向いていなかった。本発明は小型船用として、従来のシステムを凌ぐ機能と精度で、最短距離で目的地へ直進できる仕組みと蛇行防止機能を備え、市販のスマートフォンのGPS機能等をフルに活用したアプリケーション制御ソフトである。本発明では「GPSプロッター」や「コンパス類」も必要なく、万一起動装置にトラブルが生じた場合でもスマートフォン単独での利用が可能な低価格の小型船用オートパイロット制御システムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-065365公開特許公報
【0004】
【発明の概要】
【0005】
小型船の自動運転システム(通称オートパイロットシステム)の自動制御プログラムをスマートフォンアプリケーションのソフトウェアとして発明
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
▲1▼風波、潮流など悪天候の影響を考慮した船の直進性を高める方法
▲2▼自動操舵後の舵効きに応じた、当舵(舵の逆転)による蛇行防止方法
▲3▼スマートフォンの機能範囲で、船の自動運転制御を実現する技術
【課題を解決するための手段】
【0007】
▲1▼[図1]は自動運転に必要な基礎データの取得で、GPS計測点▲d▼から計測間隔▲c▼を移動したGPS計測点▲d▼との2点間を、直線で結んだ線を進路角▲f▼とし、出発地▲a▼と目的地▲b▼を結んだ線を目標航路▲e▼とする。[図2]は直進性向上を図るため、計測間隔▲c▼の間隔でGPS計測点▲d▼を反復し、GPS計測点▲d▼から設定距離の仮想行先▲g▼を生成する。仮想行先▲g▼は自動運転時の行先を短縮することで風波や潮流の影響を即座に修正し目標航路▲e▼に沿って航行させるためである。仮想行先▲g▼は新たなGPS計測点▲d▼の都度更新し、新しい仮想行先▲g▼を生成、常に仮想行先▲g▼に向け航行する。[図3]は自動運転の仕組みを示したもので、GPS計測点▲d▼と仮想行先▲g▼を結んだ線と、目標航路▲e▼との角度を進路誤差▲h▼として算出、進路誤差▲h▼を自動操舵量として、仮想行先▲g▼に向け自動操舵を実行。
▲2▼[図4]では船も陸上の自動車同様に運転後にハンドルを元の位置に戻す必要があるが、本発明では舵の効きを操舵達成率▲i▼として算出し、舵を元に戻すタイミングと量を自動判定し最適な当舵▲j▼(舵の逆転)で船の無駄な蛇行を防止。
▲3▼市販のスマートフォンはCPU、メモリー、GPS受信機、時計、地図表示、ブザーなど豊富な機能を標準装備しており、機能範囲で全て処理可能で、起動装置(油圧、又はモーター起動)の種類に関係なく制御可能。又、スマートフォン特有の通信機能で、気象情報や緊急時通報など付属機能も豊富で未来型の制御システムと云える。
【発明の効果】
【0008】
▲1▼船の進路角▲f▼の取得は、GPS(準天頂衛星)の位置精度の向上により磁気コンパスを凌ぐ精度が実現可能で、船の揺れや振動に影響を受けることなく、故障やトラブルも少なく船の進路確定の精度は飛躍的に向上した。
▲2▼小型船の自動運転で最も重要な要素である天候、特に風波や潮流、他船の引き波の影響など、自動車とは異なる運転環境をリアルタイムで判断し対処する必要があるが、目標航路▲e▼上に仮想行先▲g▼をGPS計測点▲d▼の度に作成、進路誤差▲h▼を算定し、自動操舵量として仮想行先▲g▼を目標に自動操舵するため直進性は飛躍的に向上、最短の距離と時間で目的地▲b▼への到達を実現した。
▲3▼陸上の自動車には走行中にハンドルを切ると自動的に元に戻す仕組みがあるが、船には無いため舵ハンドルを元に戻すことが必要。しかし戻すタイミングと量を間違えると大きな蛇行の原因となる。本発明では自動操舵直後に舵効きを操舵達成率▲i▼として算定し、適切な量の当舵▲j▼(舵の逆転)を実行し、蛇行の少ない自動運転を実現。
▲4▼市販のスマートフォンを自動運転の制御に用いたことで、プログラムの差替えや機能アップも簡単にでき、万一起動装置にトラブルが生じた場合も、手動運転で目的地へ安全に誘導できるため単独での利用も可能。又、ワンタッチで気象情報や緊急時通報ができる他、別のアプリケーションも利用可能で発展性が高いシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は本発明に係る船の進路角▲f▼、目標航路▲e▼の取得を示す図である。
図2図2は本発明に係るGPS計測点▲d▼、及び仮想行先▲g▼の生成を示す図である。
図3図3は本発明に係る自動操舵量、進路誤差▲h▼の生成を示す図である。
図4図4は本発明に係る操舵達成率▲i▼、当舵▲j▼を示す図である。
図5図5はスマートフォン制御の機器構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る実施例について、図1から図5を参照して、以下説明する。
【実施例0011】
▲1▼図1はGPS受信間隔▲c▼(設定時間1~10秒程度)の間で出発地▲a▼、又は直前のGPS計測点▲d▼と現在のGPS計測点▲d▼を結んだ直線を進路角▲f▼とし、目的地▲b▼が確定した場合は、出発地▲a▼と目的地▲b▼を結んだ線を目標航路▲e▼として自動運転の基礎データとする。目的地▲b▼の確定方法は、(1)出発地▲a▼と進路角▲f▼の延長線上の設定距離の位置に自動生成。(2)画面表示の地図上で指定。(3)緯度経度を入力。(4)登録済の行先リストから選択する。など多彩な目的地▲b▼の選択機能を備える。
▲2▼図2は計測間隔▲c▼の設定時間(秒)ごとにGPS計測点▲d▼は反復し、目標航路▲e▼上には各GPS計測点▲d▼からの設定距離に仮想行先▲g▼を生成する。仮想行先▲g▼は船の直進性を高め無駄な航行を省き、最短の距離と時間で目的地へ到達させるためのもので、GPS計測点▲d▼が切替わる度に新たな仮想行先▲g▼を自動生成する。
▲3▼図3はGPS計測点▲d▼と仮想行先▲g▼を結んだ線と、目標航路▲e▼との角度を進路誤差▲h▼として算出したもので、自動運転時は進路誤差▲h▼を操舵量(角度)として、仮想行先▲g▼の方向へ自動操舵を実行する。
▲4▼図4は自動操舵した舵の切り過ぎを防止する機能で、自動操舵直後のGPS計測点▲d▼で自動操舵の効果(舵効き)を操舵達成率▲i▼として算定し、操舵達成率▲i▼に応じた当舵▲j▼(舵の逆転)を実行し船の蛇行を未然に防止する。
▲5▼図5はスマートフォン制御の機器構成図で、市販のスマートフォン▲k▼、ケーブル又はWiFi装置▲l▼、起動装置▲m▼(モーター起動方式の場合)、舵ハンドル▲n▼で構成。
モーター起動方式を採用した場合の部品点数は、油圧式の1/10程度とシンプル。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は一般に普及する市販のスマートフォンのアプリケーションプログラムを、小型船の自動運転システム制御に利用したものである。スマートフォンはCPU、メモリー、GPS受信機など多彩な機能を標準で装備しており、直進性や蛇行防止など複雑な自動運転処理に十分に対処できる処理速度と精度がある。本発明は自動運転の起動方式(油圧からモーター起動)に関係なく制御が可能で、非常に安価で取付やメンテナンスも容易なため、設置スペースが限定される小型の釣りボートなどに新たな需要が期待できる。
【符号の説明】
【0013】
▲a▼・・・・出発地
▲b▼・・・・目的地(行先)
▲c▼・・・・GPS計測間隔(時間/秒)
▲d▼・・・・GPS計測点
▲e▼・・・・目標航路(出発点から目的地を結んだ方位)
▲f▼・・・・針路角(船の船首方位角)
▲g▼・・・・仮想行先(各GPS計測点で生成した仮想的な行先)
▲h▼・・・・進路誤差▲1▼(GPS計測点→仮想行先▲f▼と目標航路▲e▼との角度差)
▲i▼・・・・操舵達成率(自動操舵の効きを数値化)
▲j▼・・・・当舵(舵の逆転)
▲k▼・・・スマートフォン本体
▲l▼・・・・USBケーブル、又はWiFi装置
▲m▼・・・・起動装置(モーター起動方式の例)
▲n▼・・・・舵ハンドル(モーター起動方式の例)
図1
図2
図3
図4
図5