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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075516
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】α―置換カルボニル化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 231/12 20060101AFI20220511BHJP
   C07C 233/07 20060101ALI20220511BHJP
   C07C 233/33 20060101ALI20220511BHJP
   C07C 233/25 20060101ALI20220511BHJP
   C07C 233/08 20060101ALI20220511BHJP
   C07C 269/06 20060101ALI20220511BHJP
   C07C 271/18 20060101ALI20220511BHJP
   C07C 233/47 20060101ALI20220511BHJP
   C07C 323/52 20060101ALI20220511BHJP
   C07C 319/14 20060101ALI20220511BHJP
   C07C 323/53 20060101ALI20220511BHJP
   C07D 307/52 20060101ALI20220511BHJP
   C07D 215/40 20060101ALI20220511BHJP
   C07H 5/06 20060101ALI20220511BHJP
   C07D 209/34 20060101ALI20220511BHJP
   C07D 213/60 20060101ALI20220511BHJP
   C07D 213/75 20060101ALI20220511BHJP
   C07D 211/66 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
C07C231/12 CSP
C07C233/07
C07C233/33
C07C233/25
C07C233/08
C07C269/06
C07C271/18
C07C233/47
C07C323/52
C07C319/14
C07C323/53
C07D307/52
C07D215/40
C07H5/06
C07D209/34
C07D213/60
C07D213/75
C07D211/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158533
(22)【出願日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2020184336
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504205521
【氏名又は名称】国立大学法人 長崎大学
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】水田 賢志
【テーマコード(参考)】
4C037
4C055
4C057
4H006
【Fターム(参考)】
4C037HA27
4C055AA01
4C055BA02
4C055BA53
4C055BB07
4C055CA02
4C055CA06
4C055CB02
4C057AA18
4C057CC03
4C057DD02
4C057HH02
4H006AA02
4H006AC30
4H006AC63
4H006BB21
4H006BC10
4H006BJ20
4H006BJ50
4H006BM10
4H006BM20
4H006BM30
4H006BM71
4H006BM72
4H006BN10
4H006BR70
4H006BT12
4H006BU26
4H006BV22
4H006BV25
4H006RA06
4H006RB34
4H006TA04
(57)【要約】
【課題】α―置換カルボニル化合物の新規な製造方法を提供する。
【解決手段】α―置換カルボニル化合物を、銀(I)の存在下で、α―ハロゲノカルボニル化合物のα位のハロゲノ基を、アニオン種で置換する工程(A)を含んで製造する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀(I)の存在下で、α―ハロゲノカルボニル化合物のα位のハロゲノ基を、アニオン種で置換する工程(A)を含む、α―置換カルボニル化合物の製造方法。
【請求項2】
カルボニル化合物が、アミド化合物である請求項1記載の方法。
【請求項3】
アニオン種が、カルボアニオン、チオラートアニオン、アミンアニオン、アルコキシアニオン、カルボキシラートイオン又はフッ化物イオンである請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
アニオン種が、α―ハロゲノカルボニル化合物のα位のハロゲノ基とは異なるハロゲノ基を有するものである請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
アニオン種が、フッ化物イオン、ハロアルコキシアニオン、ハロアルキルチオラートアニオン又はハロアルキルアニオンである請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
銀(I)及び/又は銅(I)の存在下で、α―ハロゲノアミド化合物のα位のハロゲノ基を、トリフルオロメチルチオラートアニオンで置換する工程(B)を含む、α―トリフルオロメチルチオアミド化合物の製造方法。
【請求項7】
フッ化銀(I)を用いた請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
酸の銀(I)塩を用いた請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
工程(A)又は(B)における反応溶媒がアセトニトリルを含む請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
工程(A)又は(B)における反応温度が10~40℃である請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
カルボニル化合物又はアミド化合物のα位が、第三級である請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
アミド化合物が、第二級アミド化合物である請求項2~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
α―置換カルボニル化合物が、下記式(1)で表される化合物である、請求項1~5及び7~12のいずれかに記載の方法。
【化1】
[R、R及びRは、H又は置換基を示し、Xは、O又はNR(Rは、H又は置換基)を示し、Yは、アニオン種に対応する基を示す。なお、Rは、R又はRと一緒になって環を形成していてもよく、RとRは、一緒になって環を形成していてもよい。]
【請求項14】
式(1)において、Xが、NR(Rは、H又は置換基)である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
α―トリフルオロメチルチオアミド化合物が、下記式(2)で表される化合物である、請求項6記載の方法。
【化2】
(R、R及びRは、H又は置換基を示す。)
【請求項16】
下記いずれかの化合物、又は下記いずれかの化合物の誘導体。
【化3】
【化4】
【化5】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α―置換カルボニル化合物の新規な製造方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
含フッ素化合物は、種々の分野(例えば、液晶、リチウム電池、医薬、農薬等)の材料に使用されている。特に、医薬や農薬においては、化合物にフッ素原子を導入すると、溶解度や体内動態が大きく変化するため、含フッ素化合物には大きな需要がある。
フッ素原子の導入は、入手可能な含フッ素化合物を化学変換することによって行われている。
【0003】
一方、現在、入手可能な含フッ素化合物は、ほとんどがフッ素置換芳香族化合物である。また、第3級炭素がフッ素置換された化合物は、極めて少ない。
【0004】
このような中、非特許文献1には、臭化銅(II)存在下で、CsFを用いてα―ブロモアミド化合物のα位のブロモ基をフッ素置換することにより、α―フルオロアミド化合物を製造する方法が開示されている。なお、当該方法における反応は、ラジカルを経由すると考えられている。
【0005】
なお、第3級炭素のフッ素置換反応は非常に難しい。非特許文献2には、ハロアルカンをフッ化銀(I)で処理することにより、第3級炭素のフッ素置換反応が進行したことが記載されているものの、当該文献に記載のように、このような置換反応が進行したとしても、基本的には副生成物が多く生成し、目的とするフッ素置換化合物はあまり得られない。第3級炭素のフッ素置換化合物が多く得られる場合も、非特許文献3に記載のように、特異的な基質をフッ素置換する場合であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Angew.Chem.2016,128,10162-10166
【非特許文献2】Angew.Chem.Int.Ed.2017,56,15411-15415
【非特許文献3】Adv.Synth.Catal.2009,351,1041-1054
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、α―置換カルボニル化合物(特に、α位が、フルオロ基又はフルオロ基を有する基で置換された化合物)の新規な製造方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、新規なα―置換カルボニル化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、銀(I)の存在下で、α―ハロゲノカルボニル化合物(例えば、α―クロロカルボニル化合物、α―ブロモカルボニル化合物、α―ヨードカルボニル化合物等)のα位のハロゲノ基を、フルオロ基等のアニオン種に効率よく置換しうること等を見出した。
【0010】
また、本発明者は、アニオン種の中でも、トリフルオロメチルチオラートアニオンについては、理由は定かではないが、銀(I)の存在下のみならず、銅(I)の存在下でも、α―ハロゲノアミド化合物のα位のハロゲノ基を、トリフルオロメチルチオ基に効率よく置換しうること等を見出し、さらに鋭意研究を重ねて本発明を完成させた。
【0011】
なお、非特許文献1には、銀の存在下でフッ素置換を行うことについて、何ら記載されていない。
【0012】
すなわち、本発明は、次の発明などに関する。
[1]
銀(I)の存在下で、α―ハロゲノカルボニル化合物のα位のハロゲノ基を、アニオン種で置換する工程(A)を含む、α―置換カルボニル化合物の製造方法。
[2]
カルボニル化合物が、アミド化合物である[1]記載の方法。
[3]
アニオン種が、カルボアニオン、チオラートアニオン、アミンアニオン、アルコキシアニオン、カルボキシラートイオン又はフッ化物イオンである[1]又は[2]記載の方法。
[4]
アニオン種が、α―ハロゲノカルボニル化合物のα位のハロゲノ基とは異なるハロゲノ基を有するものである[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]
アニオン種が、フッ化物イオン、ハロアルコキシアニオン、ハロアルキルチオラートアニオン又はハロアルキルアニオンである[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]
銀(I)及び/又は銅(I)の存在下で、α―ハロゲノアミド化合物のα位のハロゲノ基を、トリフルオロメチルチオラートアニオンで置換する工程(B)を含む、α―トリフルオロメチルチオアミド化合物の製造方法。
[7]
フッ化銀(I)を用いた[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]
酸の銀(I)塩を用いた[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9]
工程(A)又は(B)における反応溶媒がアセトニトリルを含む[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10]
工程(A)又は(B)における反応温度が10~40℃である[1]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11]
カルボニル化合物又はアミド化合物のα位が、第三級である[1]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12]
アミド化合物が、第二級アミド化合物である[2]~[11]のいずれかに記載の方法。
[13]
α―置換カルボニル化合物が、下記式(1)で表される化合物である、[1]~[5]及び[7]~[12]のいずれかに記載の方法。
【0013】
【化1】
[R、R及びRは、H又は置換基を示し、Xは、O又はNR(Rは、H又は置換基)を示し、Yは、アニオン種に対応する基を示す。なお、Rは、R又はRと一緒になって環を形成していてもよく、RとRは、一緒になって環を形成していてもよい。]
[14]
式(1)において、Xが、NR(Rは、H又は置換基)である[13]に記載の方法。
[15]
α―トリフルオロメチルチオアミド化合物が、下記式(2)で表される化合物である、[6]記載の方法。
【0014】
【化2】
(R、R及びRは、H又は置換基を示す。)
[16]
下記いずれかの化合物、又は下記いずれかの化合物の誘導体。
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、α―置換カルボニル化合物(特に、α位が、フルオロ基又はフルオロ基を有する基で置換された化合物)の新規な製造方法を提供できる。
このような方法によれば、α―置換カルボニル化合物を効率良く製造することができる。
【0019】
本発明の製造方法における置換反応の反応機構は、定かではないが、銀(I)がα―ハロゲノカルボニル化合物のα位のハロゲノ基を活性化することにより、当該α位からハロゲン化物イオンを効率よく脱離させることができ、ハロゲン化物イオンが脱離した化合物にアニオン種が求核攻撃していると考えられる。ハロゲン化物イオンが脱離した化合物の形態は、定かではないが、カルボカチオン中間体や、環状構造(特に、三員環構造)を有するカチオン中間体(例えば、α―ハロゲノアミド化合物の場合は、アジリジノン中間体)等が考えられる。
特に、α―ハロゲノアミド化合物やα―ハロゲノエステル化合物を用いる場合、カルボニル基の隣の窒素原子や酸素原子に銀(I)が配位することにより、窒素原子や酸素原子が銀(I)を介してハロゲノ基と環状の遷移状態を形成するためか、ハロゲン化物イオンの脱離がより効率よく進行すると考えられる。
【0020】
このように、本発明の製造方法では、ハロゲン化物イオンを効率よく脱離させうるため、α―ハロゲノカルボニル化合物のα位炭素が、第三級である場合(すなわち、カルボニル基の炭素原子を含め、他の炭素原子3個と結合している場合)のみならず、第二級(すなわち、カルボニル基の炭素原子を含め、他の炭素原子2個と結合)や第一級(すなわち、カルボニル基の炭素原子を含め、他の炭素原子1個と結合)である場合でも、効率よく上記置換反応を実施しうる。
【0021】
本発明の他の態様では、上記のようにハロゲン化物イオンを効率よく脱離させうるため、α―ハロゲノカルボニル化合物が嵩高い置換基を有する場合でも、効率よく上記置換反応を実施しうる。
【0022】
本発明の他の態様では、室温(例えば、10~40℃等)においても効率よく上記置換反応を実施しうるため、マイルドな条件で反応を実施することができ、工業的に有利である。
【0023】
本発明の他の態様によれば、上記置換反応を比較的高収率で実施しうるため、工業的に有利である。
【0024】
本発明の他の態様によれば、上記置換反応において、副生成物の生成を少なくしうる。
【0025】
本発明の他の態様によれば、上記置換反応において、副生成物が生成した場合も、α―置換カルボニル化合物を効率良く単離しうる。
【0026】
本発明の他の態様によれば、新規なα―置換カルボニル化合物を提供しうる。
【0027】
本発明の他の態様によれば、上記置換反応により、光学活性なα―ハロゲノカルボニル化合物から、立体保持した光学活性なα―置換カルボニル化合物を提供しうる。
【0028】
本発明の他の態様によれば、陽電子放射断層画像(Positron Emission Tomography;PET)システムに用いる[18F]放射性標識化合物を効率良く製造しうる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[製造方法]
本発明のα―置換カルボニル化合物の製造方法は、銀(I)の存在下で、α―ハロゲノカルボニル化合物において、α位のハロゲノ基を、アニオン種で置換する(又は、アニオン種由来の基に置換する)工程(A)を含む。
【0030】
α―ハロゲノカルボニル化合物は、モノハロゲノ化合物、ジハロゲノ化合物、トリハロゲノ化合物等であってもよく、好適には、モノハロゲノ化合物であってもよい。
【0031】
α―ハロゲノカルボニル化合物としては、例えば、α―非フルオロハロゲノカルボニル化合物(例えば、α―クロロカルボニル化合物、α―ブロモカルボニル化合物、α―ヨードカルボニル化合物等)等が挙げられる。
【0032】
α―ハロゲノカルボニル化合物としては、代表的には、下記式(1a)で表される化合物等が挙げられる。
【0033】
【化6】
[R、R及びRは、H又は置換基を示し、Xは、O又はNR(Rは、H又は置換基)を示し、Zは、非フルオロハロゲノ基を示す。なお、Rは、R又はRと一緒になって環を形成していてもよく、RとRは、一緒になって環を形成していてもよい。]
【0034】
、R、R及びRにおいて、置換基としては、後述する式(1)に記載の基等が挙げられ、好ましい態様も後述の通りであってよい。
非フルオロハロゲノ基としては、例えば、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等が挙げられる。
【0035】
アニオン種は、目的とするα―置換カルボニル化合物の構造に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、求核性を有するものであってもよい。
アニオン種としては、例えば、カルボアニオン(C)、炭素原子以外の原子(例えば、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等)のアニオン[例えば、チオラートアニオン(S)、アミンアニオン(N)、フッ化物イオン、塩化物イオン、シアン化物イオン、水酸化物イオン、アルコキシアニオン、カルボキシラートイオン、スルホン酸イオン、リン酸イオン等]等が挙げられる。なお、チオラートアニオン、カルボキシラートイオン、スルホン酸イオン、リン酸イオン、塩化物イオン等のアニオン種は、酸からプロトンが失われてできるアニオン種(又は、酸の共役塩基)であってもよい。
なお、アニオン種は、1種又は2種以上であってもよいが、効率よく目的化合物を得る等の観点から、好ましくは、1種であってよい。
【0036】
アニオン種は、置換基を1種又は2種以上有していてもよい。置換基の数は、1個又は2個以上であってもよい。
置換基としては、例えば、炭化水素基{例えば、脂肪族炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等のC1-10アルキル基、好ましくは、C1-5アルキル基等)]等}、ハロゲノ基[例えば、α―ハロゲノカルボニル化合物のα位のハロゲノ基とは異なる基(例えば、フルオロ基等)等]、シリル基等が挙げられる。
置換基は、さらに他の置換基(例えば、上記例示の脂肪族炭化水素基、ハロゲノ基等)を1種又は2種以上有していてもよい。他の置換基は、1個又は2個以上であってもよい。
置換基は、好適には、ハロゲン化炭化水素基[例えば、ハロゲノC1-10アルキル基(例えば、フルオロC1-10アルキル基等)、好ましくは、ハロゲノC1-5アルキル基(例えば、フルオロC1-5アルキル基等)等のハロゲン化脂肪族炭化水素基]であってよく、特に、フルオロ基が多い炭化水素基[例えば、パ―フルオロ炭化水素基(例えば、トリフルオロメチル基等のパ―フルオロ脂肪族炭化水素基)等]等であってよい。
【0037】
カルボアニオンは、例えば、RC(Rは、炭化水素基)で表されるものであってよい。
Rの炭化水素基としては、例えば、アニオン種の置換基において上記例示したもの等が挙げられる。
カルボアニオンとしては、例えば、ハロアルキルアニオン{例えば、フルオロアルキルアニオン[例えば、トリフルオロメチルアニオン(CF )等]}、エノラート、アセチリドアニオン等が挙げられる。
【0038】
チオラートアニオンは、例えば、RS(Rは、炭化水素基)で表されるものであってよい。
Rの炭化水素基としては、例えば、アニオン種の置換基において上記例示したもの等が挙げられる。
チオラートアニオンとしては、例えば、ハロアルキルチオラートアニオン{例えば、フルオロアルキルチオラートアニオン[例えば、トリフルオロメチルチオラートアニオン(CF)等]}等が挙げられる。
【0039】
アミンアニオンは、例えば、NRR’(R及びR’は、H又は炭化水素基)で表されるものであってよい。
R及びR’の炭化水素基としては、例えば、アニオン種の置換基において上記例示したもの等が挙げられる。なお、R及びR’は、同一であっても良く、異なっていてもよい。
アミンアニオンとしては、例えば、NH 、ビス(トリメチルシリル)アミンアニオン等が挙げられる。
【0040】
アルコキシアニオンは、例えば、RO(Rは、炭化水素基)で表されるものであってよい。
Rの炭化水素基としては、例えば、アニオン種の置換基において上記例示したもの等が挙げられる。
アルコキシアニオンとしては、例えば、ハロアルコキシアニオン{例えば、フルオロアルコキシアニオン[例えば、トリフルオロメトキシアニオン(CF)、2,2,2-トリフルオロエトキシアニオン等]}等が挙げられる。
【0041】
カルボキシラートイオンは、例えば、RCOO(Rは、炭化水素基)で表されるものであってよい。
Rの炭化水素基としては、例えば、アニオン種の置換基において上記例示したもの等が挙げられる。
カルボキシラートイオンとしては、例えば、酢酸イオン等が挙げられる。
【0042】
アニオン種は、反応系において、置換対象のα―ハロゲノカルボニル化合物におけるα位のハロゲノ基由来のハロゲン化物イオンよりも求核性が高いものであってよい。
【0043】
工程(A)では、銀(I)の供給源と、アニオン種の供給源を使用してよい。
銀(I)の供給源とアニオン種の供給源は、一種類の化合物であってもよく(すなわち、一つの化合物を両者の供給源として使用してもよく)、それぞれ別の化合物であってもよい。
例えば、アニオン種がフッ化物イオンである場合、後述するフッ化銀(I)は、銀(I)の供給源とアニオン種の供給源の両方として機能しうる。
【0044】
銀(I)の供給源としては、例えば、フッ化銀(I)、酸の銀(I)塩(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、硝酸、炭酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、フルオロアンチモン酸、トリフルオロメタンチオール等の銀(I)塩等)等が挙げられる。銀(I)の供給源は、1種又は2種以上使用してもよい。
【0045】
アニオン種の供給源としては、目的とするアニオン種を発生させる化合物であれば、特に限定されないが、例えば、アニオン種を含む化合物等が挙げられる。
アニオン種を含む化合物としては、例えば、アニオン種の金属塩[例えば、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等)、銀塩(例えば、銀(I)塩、銀(II)塩等)、銅塩(例えば、銅(I)塩、銅(II)塩等)、亜鉛(II)塩等)]、アニオン種(又は、アニオン種由来の基)の骨格を有する化合物(例えば、スルホニル化合物)等が挙げられる。
アニオン種の供給源は、1種又は2種以上使用してもよい。
【0046】
カルボアニオンの供給源としては、例えば、トリメチル(トリフルオロメチル)シラン、シリルエノールエーテル、トリメチルシリルアセチレン等が挙げられる。
【0047】
チオラートアニオンの供給源としては、例えば、ハロアルキルチオ銀(I)[例えば、トリフルオロメチルチオ銀(I)等]、ハロアルキルチオ銅(I)[例えば、トリフルオロメチルチオ銅(I)等]等が挙げられる。
【0048】
アミンアニオンの供給源としては、例えば、ナトリウムアミド、ビス(トリメチルシリル)アミンアニオン・ナトリウム等が挙げられる。
【0049】
フッ化物イオンの供給源としては、例えば、アルカリ金属フッ化物(例えば、フッ化セシウム、フッ化カリウム等)、フッ化銀[例えば、フッ化銀(I)、フッ化銀(II)等]、XeF(二フッ化キセノン)等が挙げられる。
【0050】
アルコキシアニオンの供給源としては、例えば、アルコキシアニオンの骨格を有する化合物等が挙げられる。
アルコキシアニオン(例えば、ハロアルコキシアニオン)の骨格を有する化合物としては、例えば、アルコキシアニオン(例えば、ハロアルコキシアニオン)の骨格を有するスルホニル化合物(例えば、CFSOOCF、ArSOOCF)、CFOF等が挙げられる。
【0051】
カルボキシラートイオンの供給源としては、例えば、カルボン酸塩[例えば、酢酸塩(例えば、酢酸カリウム等)等]等が挙げられる。
【0052】
水酸化物イオンの供給源としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム等)、酸化銀(I)等が挙げられる。
【0053】
銀(I)の供給源の使用量は、特に限定されないが、α―ハロゲノカルボニル化合物に対して、例えば、0.5~5当量(例えば、1~4当量、1~3当量、1~2当量等)等であってもよい。
【0054】
アニオン種の供給源の使用量は、特に限定されないが、α―ハロゲノカルボニル化合物に対して、例えば、1~5当量(例えば、1.5~4当量)等であってもよい。
【0055】
本発明は、銀(I)及び/又は銅(I)の存在下で、α―ハロゲノアミド化合物において、α位のハロゲノ基をトリフルオロメチルチオラートアニオンで置換する(又は、トリフルオロメチルチオ基に置換する)工程(B)を含む、α―トリフルオロメチルチオアミド化合物の製造方法(以下、単に「第二の製造方法」ともいう)も包含する。
【0056】
第二の製造方法において、銀(I)の供給源は、上記工程(A)において例示したものであってよい。
また、第二の製造方法では、銀(I)の存在下のみならず、銅(I)の存在下(又は、銀(I)及び銅(I)の存在下)でも、工程(B)における置換反応を実施しうる。
銅(I)の供給源としては、酸の銅(I)塩(例えば、トリフルオロメタンチオールの銅(I)塩等)等が挙げられる。
銀(I)及び/又は銅(I)の供給源は、1種又は2種以上使用してもよい。
【0057】
第二の製造方法において、トリフルオロメチルチオラートアニオンの供給源としては、上記工程(A)において例示したもの(例えば、トリフルオロメチルチオ銀(I)、トリフルオロメチルチオ銅(I)等)であってよい。
【0058】
第二の製造方法において、銀(I)及び/又は銅(I)の供給源の使用量は、特に限定されないが、α―ハロゲノアミド化合物に対して、例えば、0.5~5当量(例えば、1~4当量)等であってもよい。
【0059】
第二の製造方法において、トリフルオロメチルチオラートアニオンの供給源の使用量は、特に限定されないが、α―ハロゲノアミド化合物に対して、例えば、1~5当量(例えば、1.5~4当量)等であってもよい。
【0060】
工程(A)又は(B)における反応溶媒は、置換対象の化合物やアニオン種の種類等に応じて適宜変更しうるが、例えば、非プロトン性極性溶媒[例えば、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル等)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、アセトン等]、プロトン性極性溶媒[例えば、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール等)、ニトロメタン等]、非極性溶媒[例えば、芳香族炭化水素系溶媒(例えば、トルエン等)等]等が挙げられる。代表的な反応溶媒としては、非プロトン性極性溶媒(例えば、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、DMSO、THF、ジクロロメタン、アセトン等)、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。溶媒は、1種又は2種以上を使用してもよい。
反応溶媒が非プロトン性極性溶媒を含む場合、全反応溶媒のうち、非プロトン性極性溶媒の含有量は、例えば、10重量%以上(例えば、20重量%以上)、30重量%以上(例えば、40重量%以上)、50重量%以上等であってもよく、90重量%以下(例えば、80重量%以下)、70重量%以下(例えば、60重量%以下)等であってもよい。
反応溶媒の使用量は、原料の混合物において、例えば、10~90重量%等であってもよい。
【0061】
工程(A)又は(B)における反応温度は、置換対象の化合物やアニオン種の種類等に応じて適宜設定しうるが、例えば、室温(例えば、10~40℃)であってもよく、40~100℃等の加熱条件下であってもよい。
【0062】
工程(A)又は(B)における反応時間は、置換対象の化合物やアニオン種の種類等に応じて適宜設定しうるが、例えば、30分~24時間等であってよい。
【0063】
工程(A)では、銀(I)の供給源に加えて、他の触媒を使用してもよい。
また、工程(B)では、銀(I)及び/又は銅(I)の供給源に加えて、他の触媒を使用してもよい。
他の触媒としては、特に限定されないが、例えば、酸、塩基及びこれらの塩[例えば、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩等)、銅(I)塩等)]等が挙げられる。
【0064】
他の触媒の使用量は、特に限定されないが、α―ハロゲノカルボニル化合物(又は、α―ハロゲノアミド化合物)に対して、例えば、0.5~5当量(例えば、1~4当量)等であってもよい。
【0065】
工程(A)又は(B)の反応終了後の反応液は、必要に応じて、濾過、乾燥、溶媒の添加、加熱、脱揮等を行ってもよい。また、工程(A)又は(B)で得られた化合物が保護基を有している場合、当該化合物に対して、脱保護反応を行ってもよい。これらの方法は、特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。
【0066】
[カルボニル化合物]
工程(A)において、α―ハロゲノカルボニル化合物は、特に限定されず、目的とするα―置換カルボニル化合物に応じて選択してよい。
カルボニル化合物としては、例えば、アミド化合物、ケトン化合物、エステル化合物、酸無水物等が挙げられ、好適には、アミド化合物であってもよい。
【0067】
カルボニル化合物のα位(α位炭素)は、第三級であってもよく、第二級や第一級であってもよい。
【0068】
また、カルボニル化合物がアミド化合物である場合、アミド化合物は、第一級アミド化合物、第二級アミド化合物及び第三級アミド化合物のいずれであってもよいが、置換反応を効率よく進行しやすい等の観点から、第二級アミド化合物を好適に用いてもよい。
【0069】
なお、α―ハロゲノカルボニル化合物及びα―置換カルボニル化合物は、保護基(例えば、後述する新規化合物において例示の、保護基の機能を有する置換基等)を有していてもよい。
【0070】
また、α―置換カルボニル化合物は、α―ハロゲノカルボニル化合物の立体が保持されたものであってもよいし、保持されていないものであってもよい。
【0071】
工程(A)で得られるα―置換カルボニル化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物等が挙げられる。
【0072】
【化7】
[R、R及びRは、H又は置換基を示し、Xは、O又はNR(Rは、H又は置換基)を示し、Yは、アニオン種(又は、アニオン種に対応する基)を示す。なお、Rは、R又はRと一緒になって環を形成していてもよく、RとRは、一緒になって環を形成していてもよい。]
【0073】
において、置換基としては、例えば、炭化水素基、非炭化水素基等が挙げられる。
【0074】
炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等のC1-10アルキル基等)、アルケニル基(例えば、エチル基、プロペニル基等のC2-10アルケニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基等のC2-10アルキニル基等)等が挙げられる。
【0075】
脂環族炭化水素基としては、例えば、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基等のC4-20シクロアルキル基等)等が挙げられる。
【0076】
芳香族炭化水素基としては、例えば、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等)等が挙げられる。
【0077】
非炭化水素基としては、例えば、複素環基等が挙げられる。
複素環基としては、例えば、複素芳香環基(例えば、ピリジニル基、ピリミジニル基、フラニル基等)等が挙げられる。
複素環基において、ヘテロ原子としては、特に限定されず、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられ、好ましくは、窒素原子、酸素原子等が挙げられる。複素環基は、ヘテロ原子を1種又は2種以上有していてもよい。複素環基において、ヘテロ原子の数は、特に限定されず、例えば、1個以上(例えば、1~5個、1~3個等)等であってもよい。なお、複素環基において、ヘテロ原子の結合箇所は、特に限定されない。
【0078】
脂環族基、芳香族炭化水素基及び複素環基の員数は、特に限定されず、例えば、3~12個(例えば、4~12個)等であってもよい。
また、脂環族基、芳香族炭化水素基及び複素環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。
【0079】
は、さらに置換基(a)を有していてもよい。
置換基(a)としては、特に限定されず、例えば、炭化水素基(例えば、上記例示の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基等、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アシル基(例えば、アセチル基等)、Boc基、アミド基、カルボニル基、カルボキシル基、ハロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等のC1-10アルキルオキシ基等)、ハロゲノ基(例えば、クロロ基、ブロモ基、フルオロ基等)、エステル基等が挙げられる。
置換基(a)の数は、1個又は2個以上であってもよい。また、置換基(a)は、1種又は2種以上であってもよい。なお、置換基(a)の位置は、特に限定されない。
【0080】
は、置換基(a)を有している場合、糖の残基、アミノ酸の残基等になっていてもよい。
糖の残基は、XとRで「R-X-」として糖となる基であってもよい。
アミノ酸の残基は、XとRで「R-X-」としてアミノ酸となる基であってもよい。
糖の残基は、特に限定されず、例えば、単糖、二糖等の残基であってもよい。また、糖の残基は、アミノ糖(例えば、グルコサミン等)の残基であってもよい。
アミノ酸の残基は、特に限定されず、例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン等であってもよい。
【0081】
置換基(a)は、さらに置換基(b)を有していてもよい。
置換基(b)としては、特に限定されず、例えば、上記例示の置換基(a)等が挙げられる。
置換基(b)の数は、1個又は2個以上であってもよい。また、置換基(b)は、1種又は2種以上であってもよい。なお、置換基(b)の位置は、特に限定されない。
【0082】
において、置換基が官能基(例えば、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等)を有する場合、官能基は、保護基(例えば、後述する新規化合物において例示の、保護基の機能を有する置換基等)によって保護されていてもよい。
【0083】
及びRにおいて、置換基としては、例えば、上記例示のRにおける炭化水素基等が挙げられる。
及びRにおいて、代表的な置換基としては、例えば、脂肪族炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等のC1-10アルキル基、好ましくは、C1-5アルキル基等)、アルケニル基(例えば、エチル基、プロペニル基等のC2-10アルケニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基等のC2-10アルキニル基等)等]、芳香族炭化水素族基[例えば、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等)]、脂環族炭化水素基[例えば、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基等のC4-20シクロアルキル基等)]等が挙げられる。
なお、R及びRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0084】
Xにおいて、NRのRにおける置換基としては、上記例示のRにおける、炭化水素基(例えば、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基等)等が挙げられる。
において、代表的な置換基としては、脂肪族炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基(Me)、エチル基(Et)等のC1-10アルキル基、好ましくは、C1-5アルキル基等)]等が挙げられる。
【0085】
Yにおいて、アニオン種(又は、アニオン種に対応する基)としては、例えば、-F、-CF、-OR(Rは、H又は置換基)、-SR(Rは、H又は置換基)等が挙げられる。
及びRにおいて、置換基としては、上記例示のRにおける、炭化水素基(例えば、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基等)等が挙げられる。
特に、R及びRは、フルオロ基を有する基であってもよく、例えば、フルオロアルキル基[例えば、トリフルオロメチル基(―CF)、2,2,2-トリフルオロエチル基]等であってもよい。
【0086】
工程(B)において、α―ハロゲノアミド化合物は、特に限定されず、目的とするα―トリフルオロメチルチオアミド化合物の構造に応じて選択してよい。
【0087】
工程(B)におけるα―トリフルオロメチルチオアミド化合物は、上記工程(A)において例示のアミド化合物に含まれるもの(例えば、上記式(1)に含まれる化合物)であってもよく、代表的には、下記式(2)で表される化合物であってよい。
【0088】
【化8】
(R、R及びRは、H又は置換基を示す。)
【0089】
、R及びRにおいて、置換基としては、特に限定されず、例えば、上記例示のR(例えば、炭化水素基、非炭化水素基等)、置換基(a)等が挙げられる。
及びRにおいて、代表的な置換基としては、例えば、ハロゲノ基(例えば、ブロモ基等)、ハロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基等)等が挙げられる。
また、Rにおいて、代表的な置換基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香環炭化水素基等が挙げられ、好適には、芳香族炭化水素基を有する基等であってもよい。
【0090】
本発明には、上記式(1)及び式(2)で表される化合物の中で新規な化合物が全て含まれる。なお、当該新規化合物において、立体異性体を有するものは、立体異性体も含まれる。
具体的な新規化合物としては、例えば、下記化合物、下記化合物の誘導体等が挙げられる。
誘導体は、塩、又は、官能基(例えば、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等)が置換基で置換された化合物等であってよい。当該置換基は、保護基の機能を有しているものであってもよい。このような置換基としては、例えば、炭化水素基[例えば、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基等)、脂環族炭化水素基(例えば、シクロアルキル基等)、芳香族炭化水素基(例えば、ベンジル基等)等]、アシル基(例えば、アセチル基等)、tert-ブトキシカルボニル(Boc)基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基等)等が挙げられる。なお、置換基は、官能基1個又は2個以上を置換していてもよい。また、置換基は、1種又は2種以上であってもよい。
【0091】
【化9】
【0092】
【化10】
【0093】
【化11】
【0094】
本発明の製造方法によって得られるα―置換カルボニル化合物、並びに、本発明に含まれる新規化合物は、種々の分野(例えば、液晶、リチウム電池、医薬、農薬等)の材料に使用してもよい。
【実施例0095】
以下、本発明について実施例をあげて具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0096】
[NMR測定]
全NMRスペクトルは、Varian 500PSスペクトロメーターを用いて測定された。H、13C、及び19F NMRスペクトルは、テトラメチルシラン及び(2,2,3,3-D4)トリメチルシリル-3-プロパン酸ナトリウム塩(H及び13C)を内部標準とした溶媒ピークに対するppm単位の化学シフト(δ)として記録された。化学シフト(δ)はppm単位で表し、カップリング定数(J)はHz単位で表した。なお、以下の記載において、s:シングレット、d:ダブレット、t:トリプレット、q:カルテット、quint.:クインテット、sext.:セクテット、sept.:セプテット、br:ブロード、m:マルチプレットを示す。また、NMRスペクトルは、ACD/SpecManagerにおいて解析された。
【0097】
[HRMS測定]
HRMSは、m-ニトロベンジルアルコールをマトリックスに用いて、JEOL JMS-700Nで測定された。
【0098】
(実施例1)化合物1の製造
【0099】
【化12】
【0100】
マグネチックスターラーを備えた15mLの試験管に、化合物1a(2-ブロモ-2-メチル-N-フェニルプロパンアミド)(24.2mg、0.1mmol)、AgF(25.4mg、0.2mmol)及びアセトニトリル(MeCN)(1.0mL)を入れた。混合物を室温で12時間撹拌した後、セライトパッドによりろ過し、酢酸エチルで洗浄した。その後、溶媒を真空乾燥により除去し、粗生成物を得た。粗生成物について、内部標準としてフルオロベンゼン(―113.1ppm)を用いて19F NMR分析を行ったところ、化合物1の収率は99%であった。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=8:1)によって精製し、白色固体の化合物1を得た(17.5mg、収率97%)。
【0101】
化合物1の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.67(d,J=22.5Hz,6H),7.16(t,J=7.3Hz,1H),7.32(dt,J=7.3,8.8Hz,2H),7.58(d,J=8.6Hz,2H),8.10(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:25.0(d,J=23.7Hz),96.6(d,J=180.9Hz),119.8,124.7,129.1,137.0,171.0(d,J=19.0Hz);
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-145.2(dsept.,J=8.7,21.9Hz,1F);
HRMS(FAB)m/z Calcd for C1013FNO[M+H] 182.0981,found 182.0982
【0102】
(実施例2)
アセトニトリルの代わりにトルエンを用いた以外は実施例1と同様にして反応を行ったところ、化合物1を収率49%で得た。
【0103】
(参考例1)
AgFの代わりにKFを用いた以外は実施例1と同様にして反応を行ったが、化合物1は得られなかった。
【0104】
(参考例2)
AgFの代わりにCuFを用いた以外は実施例1と同様にして反応を行ったが、化合物1は得られなかった。
【0105】
(実施例3)化合物2の製造
【0106】
【化13】
【0107】
化合物1aの代わりに化合物2a(6-(2-ブロモアセトアミド)-1-テトラロン)(28.2mg、0.1mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=2:1~1:1とした以外は実施例1と同様にし、茶色オイルの化合物2を得た(15.7mg、収率71%)。
【0108】
化合物2の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:2.14(quint.,J=6.4Hz,2H),2.65(t,J=6.1Hz,2H),2.97(t,J=6.2Hz,2H),4.95(d,J=47.2Hz,2H),7.36(dd,J=2.2,8.6Hz,1H),7.71(d,J=2.0Hz,1H),8.04(d,J=8.6Hz,1H),8.08(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:23.2,29.9,38.9,80.1(d,J=187.5Hz),117.8,118.9,128.6,129.4,140.6,146.3,165.7(d,J=16.1Hz),197.2;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-222.1(dt,J=5.8,46.9Hz,1F);
HRMS(FAB)m/z Calcd for C1213FNO[M+H]222.0930,found 222.0930
【0109】
(実施例4)化合物3の製造
【0110】
【化14】
【0111】
マグネチックスターラーを備えた15mLの試験管に、化合物3a(2-ブロモ-N-(4-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)フェニル)アセトアミド)(35.8mg、0.1mmol)、AgF(25.4mg、0.2mmol)及びアセトニトリル(1.0mL)を入れた。混合物を室温で12時間撹拌した後、セライトパッドによりろ過し、酢酸エチルで洗浄した。その後、溶媒を真空乾燥により除去し、粗生成物をテトラヒドロフラン(THF)(1.0mL)に溶解した後、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAF)(1.0M)のTHF溶液(1.0mL)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌後、溶媒を真空乾燥により除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=2:1~1:1)によって精製し、白色固体の化合物3を得た(10.9mg、収率60%)。
【0112】
化合物3の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDOD)δ:4.58(s,2H),4.99(d,J=47.7Hz,2H),7.33(d,J=8.8Hz,2H),7.58(d,J=8.6Hz,2H);
13C NMR(125MHz,CDOD)δ:64.9,81.1(d,J=181.9Hz),122.0,128.7,137.9,139.5,168.7(d,J=19.0Hz);
19F NMR(470MHz,CDOD)δ:-227.5(t,J=46.9Hz,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C11FNO[M+H]184.0774,found 184.0775
【0113】
(実施例5)化合物4の製造
【0114】
【化15】
【0115】
化合物1aの代わりに化合物4a(2-ブロモ-N-(フラン-2-イルメチル)プロパンアミド)(46.4mg、0.2mmol)を使用し、AgFを50.7mg(0.4mmol)、MeCNを2.0mLとし、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒をヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例1と同様にし、茶色オイルの化合物4を得た(26.0mg、収率76%)。
【0116】
化合物4の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.58(dd,J=6.8,24.7Hz,3H),4.48(t,J=5.9Hz,2H),5.01(dq,J=6.9,49.4Hz,1H),6.25(dd,J=0.5,3.0Hz,1H),6.33(dd,J=2.0,3.2Hz,1H),6.66(br.s,NH),7.37(dd,J=0.8,2.0Hz,1H);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:18.4(d,J=21.8Hz),35.9,88.8(d,J=180.9Hz),107.7,110.4,142.4,150.5,170.4(d,J=18.9Hz);
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-182.6(dsext.,J=4.4,24.9Hz,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C11FNO[M+H] 172.0774,found 172.0775
【0117】
(実施例6)化合物5の製造
【0118】
【化16】
【0119】
化合物1aの代わりに化合物5a(N-ベンジル-2-ブロモ-2-メチルプロパンアミド)(25.6mg、0.1mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例1と同様にし、白色固体の化合物5を得た(18.5mg、収率95%)。
【0120】
化合物5の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.61(d,J=22.3Hz,6H),4.47(t,J=5.6Hz,2H),6.71(br.s,NH),7.27-7.37(m,5H);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:25.1(d,J=23.7Hz),43.1,96.4(d,J=180.0Hz),127.6,127.6,128.7,137.8,173.0(d,J=20.8Hz);
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-147.1(dsept.,J=5.9,21.9Hz,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1015FNO[M+H] 196.1138,found 196.1138
【0121】
(実施例7)化合物6の製造
【0122】
【化17】
【0123】
化合物1aの代わりに化合物6a(2-ブロモ-2-メチル-N-フェネチルプロパンアミド)(27.0mg、0.1mmol)を使用した以外は実施例1と同様にし、白色固体の化合物6を得た(19.5mg、収率95%)。
【0124】
化合物6の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.61(d,J=22.2Hz,6H),2.84(t,J=6.9Hz,2H),3.55(q,J=6.1Hz,2H),6.42(br.s,NH),7.20(d,J=7.6Hz,2H),7.24(t,J=7.6Hz,1H),7.32(t,J=7.4Hz,2H);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:25.0(d,J=24.6Hz),35.6,40.2,96.3(d,J=180.0Hz),126.6,128.6,128.7,138.5,173.0(d,J=19.9Hz);
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-147.1(dsept.,J=5.9,22.0Hz,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1217FNO[M+H] 210.1294,found 210.1295.
【0125】
(実施例8)化合物7の製造
【0126】
【化18】
【0127】
化合物1aの代わりに化合物7a(tert-ブチル(2-(2-ブロモ-2-メチルプロパンアミド)エチル)カルバメート)(30.9mg、0.1mmol)を使用した以外は実施例1と同様にし、白色固体の化合物7を得た(21.8mg、収率88%)。
【0128】
化合物7の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.43(s,9H),1.55(d,J=23.7Hz,6H),3.30(q,J=5.4Hz,2H),3.38(q,J=5.7Hz,2H),4.94(br.s,NH),6.92(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:25.0(d,J=23.7Hz),28.3,40.0,40.1,79.6,96.1(d,J=180.0Hz),156.5,173.9(d,J=20.8Hz);
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-147.1(dsept.,J=5.9,21.9Hz,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1122FN[M+H] 249.1614,found 249.1614
【0129】
(実施例9)化合物8の製造
【0130】
【化19】
【0131】
化合物1aの代わりに化合物8a(2-ブロモ-2-メチル-N-(4-ニトロフェニル)プロパンアミド)(28.8mg、0.1mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例1と同様にし、白色固体の化合物8を得た(20.4mg、収率90%)。
【0132】
化合物8の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.69(d,J=22.5Hz,6H),7.79(d,J=9.1Hz,2H),8.25(d,J=9.3Hz,2H),8.40(br.d,J=7.1Hz,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:24.9(d,J=23.7Hz),96.6(d,J=181.9Hz),119.4,125.1,142.7,143.9,171.6(d,J=19.9Hz);
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-145.3(dsept.,J=8.8,22.0Hz,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1012FN[M+H] 227.0832,found 227.0833
【0133】
(実施例10)化合物9の製造
【0134】
【化20】
【0135】
化合物1aの代わりに化合物9a(2-ブロモ-N-(3-クロロフェニル)-2-メチルプロパンアミド)(27.7mg、0.1mmol)を使用した以外は実施例1と同様にし、白色固体の化合物9を得た(18.9mg、収率88%)。
【0136】
化合物9の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.66(d,J=22.5Hz,6H),7.11-7.14(m,1H),7.25-7.29(m,1H),7.39-7.42(m,1H),7.74(t,J=2.2Hz,1H),8.12(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:25.0(d,J=23.7Hz),96.5(d,J=181.9Hz),117.8,119.9,124.8,130.0,134.8,138.1,171.2(d,J=19.9Hz);
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-145.4(dsept.,J=8.8,21.9Hz,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1012ClFNO[M+H] 216.0591,found 216.0590.
【0137】
(実施例11)化合物10の製造
【0138】
【化21】
【0139】
化合物1aの代わりに化合物10a(2-ブロモ-N-(3,5-ジクロロフェニル)-2-メチルプロパンアミド)(31.1mg、0.1mmol)を使用した以外は実施例1と同様にし、無色結晶性固体の化合物10を得た(20.0mg、収率80%)。
【0140】
化合物10の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.66(d,J=22.3Hz,6H),7.14(t,J=1.7Hz,1H),7.57(t,J=1.7Hz,2H),8.12(br.d,J=6.1Hz,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:25.0(d,J=23.7Hz),96.5(d,J=180.9Hz),118.1,124.7,135.3,138.7,171.3(d,J=19.9Hz);
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-145.5(dsept.,J=8.8,23.4Hz,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1011ClFNO[M+H] 250.0202,found 250.0202
【0141】
(実施例12)化合物11の製造
【0142】
【化22】
【0143】
化合物1aの代わりに化合物11a(2-ブロモ-2-メチル-N-(キノリン-8-イル)プロパンアミド)(29.3mg、0.1mmol)を使用した以外は実施例1と同様にし、白色固体の化合物11を得た(19.9mg、収率86%)。
【0144】
化合物11の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.75(d,J=22.0Hz,6H),7.47(dd,J=4.2,8.3Hz,1H),7.56(d,J=4.4Hz,2H),8.18(dd,J=1.8,8.3Hz,1H),8.80(t,J=4.7Hz,1H),8.87(dd,J=1.7,4.4Hz,1H),10.8(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:25.2(d,J=23.7Hz),96.4(d,J=182.8Hz),116.5,121.7,122.2,127.2,127.9,133.8,136.2,138.8,148.6,171.7(d,J=19.9Hz);
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-145.8(dsept.,J=7.3,22.0Hz,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1314FNO[M+H] 233.1090,found 233.1090
【0145】
(実施例13)化合物12の製造
【0146】
【化23】
【0147】
化合物1aの代わりに化合物12a(1-ブロモ-N-フェニルシクロブタン-1-カルボキサミド)(25.4mg、0.1mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=10:1とした以外は実施例1と同様にし、白色固体の化合物12を得た(15.7mg、収率81%)。
【0148】
化合物12の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:2.00-2.07(m,2H),2.42-2.53(m,2H),2.72-2.79(m,2H),7.16(t,J=7.6Hz,1H),7.35(t,J=7.8Hz,2H),7.59(d,J=8.6Hz,2H),7.94(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:13.1,32.8(d,J=20.8Hz),96.4(d,J=224.5Hz),119.9,124.7,129.1,136.9,169.7(d,J=21.8Hz);
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-143.5(m,1F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1113FNO[M+H] 194.0981, found 194.098
【0149】
(実施例14)化合物13の製造
【0150】
【化24】
【0151】
化合物1aの代わりに化合物13a(tert-ブチル-4-ブロモ-4-(フェニルカルバモイル)ピペリジン-1-カルボキシレート)(38.3mg、0.1mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例1と同様にし、白色固体の化合物13を得た(30.0mg、収率93%)。
【0152】
化合物13の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.48(s,9H),1.89(m,2H),2.17-2.30(m,2H),3.00-3.19(m,2H),4.02-4.23(m,2H),7.16(t,J=7.6Hz,1H),7.36(t,J=8.3Hz,2H),7.57(dd,J=1.0,8.6Hz,2H),8.13(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:28.4,32.1(d,J=20.8Hz),38.5-39.4(m),80.0,95.6(d,J=186.6Hz),119.9,124.9,129.1,136.7,154.5,169.4(d,J=19.0Hz);
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-166.1(dt,J=8.8,39.5Hz,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1724FN[M+H] 323.1771,found 323.177
【0153】
(実施例15)化合物14の製造
【0154】
【化25】
【0155】
化合物1aの代わりに化合物14a(2-ブロモ-2-メチル-N-フェニルペンタンアミド)(27.0mg、0.1mmol)を使用した以外は実施例1と同様にし、白色固体の化合物14を得た(20.4mg、収率97%)。
【0156】
化合物14の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:0.95(t,J=7.3Hz,3H),1.37-1.41(m,1H),1.52-1.58(m,1H),1.63(d,J=22.5Hz,3H),1.78-1.87(m,1H),1.98-2.10(m,1H),7.16(tt,J=1.3,7.3Hz,1H),7.36(t,J=8.3Hz,2H),7.59(dd,J=1.0,8.6Hz,2H),8.11(br.d,J=NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:14.0,16.6(d,J=2.9Hz),23.8(d,J=23.7Hz),40.2(d,J=21.8Hz),98.9(d,J=184.7Hz),119.8,124.7,129.1,136.9,170.7(d,J=19.0Hz);
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-154.7(m,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1217FNO[M+H] 210.1294,found 210.1294
【0157】
(実施例16)化合物15の製造
【0158】
【化26】
【0159】
化合物1aの代わりに化合物15a(2-ブロモ-N-((R)-1-(4-メトキシフェニル)エチル)-2-メチルペンタンアミド)(49.2mg、0.15mmol)を使用し、AgFを38.1mg(0.3mmol)、MeCNを1.5mLとした以外は実施例1と同様にし、白色固体の化合物15を得た(35.6mg、収率89%、dr=1:1)。
【0160】
化合物15の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:0.86(t,J=7.3Hz,3/2H),0.94(t,J=7.3Hz,3/2H),1.17-1.22(m,1/2H),1.32-1.40(m,3/2H),1.48-1.52(m,9/2H),1.54(d,J=22.5H,3/2H),1.64-1.78(m,1H),1.90-2.00(m,1H),3.80(s,3H),5.05-5.11(m,1H),6.57(br.s,NH),6.87-6.90(m,2H),7.24-7.26(m,2H);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:14.0,14.0,16.5(d,J=2.8Hz),16.6(d,J=3.8Hz),21.7,21.7,23.9(d,J=23.7Hz),24.0(d,J=23.7Hz),40.2(d,J=21.8Hz),47.8,47.8,55.3,98.6(d,J=181.9Hz),98.6(d,J=182.8Hz),113.9,114.0,127.2,127.3,134.8,135.0,158.8,158.8,171.5(d,J=20.8Hz),171.6(d,J=20.8Hz);
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-156.6(m,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1523FNO[M+H] 268.1713, found268.1709
【0161】
(実施例17)化合物16の製造
【0162】
【化27】
【0163】
マグネチックスターラーを備えた50mLの丸底フラスコに、化合物16a(メチル(2-ブロモペンタノイル)-L-バリナート)(294.2mg、1.0mmol)、AgF(253.7mg、2.0mmol)及びアセトニトリル(10mL)を入れた。混合物を室温で12時間撹拌した後、セライトパッドによりろ過し、酢酸エチルで洗浄した。その後、溶媒を真空乾燥により除去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=8:1)によって精製し、無色オイルの化合物16を得た(201.3mg、収率86%、dr=1:1)。
【0164】
化合物16の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:0.91-0.98(m,9H),1.46-1.53(m,2H),1.81-1.99(m,2H),2.18-2.24(m,1H),3.76(s,3H),4.55-4.60(m,1H),4.86-5.00(m,1H),6.74(br.s,NH/2),6.80(br.s,NH/2);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:13.6,13.6,17.6(d,J=2.8Hz),17.7(d,J=4.7Hz),18.9,18.9,31.1,31.3,34.3(d,J=19.9Hz),24.5(d,J=19.9Hz),52.2,52.2,56.5,56.5,91.8(d,J=184.7Hz),91.9(d,J=184.7Hz),170.1(d,J=18.9Hz),170.2(d,J=19.9Hz);171.8,171.9;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-190.6(ddd,J=4.4,26.4,30.8Hz,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1121FNO[M+H] 234.1505,found 234.1507
【0165】
(実施例18)化合物17の製造
【0166】
【化28】
【0167】
化合物1aの代わりに化合物17a(メチル(2-ブロモ-2-メチルプロパノイル)-L-フェニルアラニナート)(32.8mg、0.1mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=2:1とした以外は実施例1と同様にし、白色固体の化合物17を得た(26.2mg、収率98%)。
【0168】
化合物17の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.47(d,J=22.2Hz,3H),1.53(d,J=22.3Hz,3H),3.09(dd,J=6.9,13.7Hz,1H),3.20(dd,J=5.6,13.9Hz,1H),3.74(s,3H),4.87(dq,J=1.3,13.7,1H),6.80(br.s,NH),7.11(d,J=6.8Hz,2H),7.25-7.32(m,3H);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:24.7(d,J=22.7Hz),24.9(d,J=23.7Hz),37.9,52.5(d,J=32.2Hz),96.0(d,J=180.9Hz),127.2,128.6,129.2,135.6,171.5,172.7(d,J=21.8Hz);
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-147.6(dsept.J=5.8,21.9Hz,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1419FNO[M+H] 268.1349,found 268.1349;[α]24 =8.3
【0169】
(実施例19)化合物18の製造
【0170】
【化29】
【0171】
化合物1aの代わりに化合物18a(エチル(2-ブロモ-2-メチルプロパノイル)-L-フェニルアラニルグリシナート)(39.9mg、0.1mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=1:1とした以外は実施例1と同様にし、白色固体の化合物18を得た(31.6mg、収率93%)。
【0172】
化合物18の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.28(t,J=7.3Hz,3H),1.44(d,J=22.0Hz,3H),1.55(d,J=22.3Hz,3H),3.09(dd,J=7.4,14.0Hz,1H),3.17(dd,J=7.1,14.0Hz,1H),3.93(dd,J=4.9,18.3Hz,1H),4.02(dd,J=5.4,18.3Hz,1H),4.20(q,J=7.1Hz,2H),4.65-4.70(m,1H),6.27(br.s,NH),6.27(br.t,J=6.4Hz,NH),7.22-7.27(m,3H),7.33(t,J=7.4Hz,2H);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:14.1,24.8(d,J=23.7Hz),24.9(d,J=23.7Hz),38.0,41.3,53.9,61.6,96.0(d,J=180.9Hz,127.1,128.6,129.2,136.2,169.2,170.5,173.3(d,J=20.8Hz);
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-147.5(dsept.J=5.8,22.0Hz,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1724FN[M+H]339.1720,found 339.1720;[α]24 =-8.8
【0173】
(実施例20)化合物19の製造
【0174】
【化30】
【0175】
化合物1aの代わりに化合物19a(1,3,4,6-テトラ-O-アセチル 2-[(2-ブロモ-2-プロパノイル)アミノ]-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース)(49.6mg、0.1mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=2:1とした以外は実施例1と同様にし、白色固体の化合物19を得た(33.6mg、収率77%)。
【0176】
化合物19の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.48(d,J=22.3Hz,3H),1.50(d,J=22.3Hz,3H),2.03(s,3H),2.05(s,3H),2.09(s,3H),2.10(s,3H),3.83-3.87(m,1H),4.13(dd,J=2.2,12.5Hz,1H),4.24-4.31(m,2H),5.13(t,J=9.6Hz,1H),5.29(dd,J=9.3,10.5Hz,1H),5.80(d,J=8.6Hz,1H),6.68(dd,J=6.1,9.5Hz,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:20.4,20.5,20.7,24.7(d,J=23.7Hz),24.8(d,J=23.7Hz),52.6,61.6,60.4,67.8,72.2,72.9,92.2,96.1(d,J=180.8Hz),169.2,169.3,170.6,170.7,173.4(d,J=20.8Hz);
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-147.2(dsept.J=5.9,22.0Hz,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1827FNO10[M+H]436.1619,found 436.1619;[α]24 =28.2
【0177】
(実施例21)化合物20の製造
【0178】
【化31】
【0179】
化合物1aの代わりに化合物20a(2-ブロモ-2-メチル-N-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパンアミド)(44.1mg、0.15mmol)、AgFを38.1mg(0.3mmol)とし、MeCNを1.5mLとし、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例1と同様にし、淡黄色固体の化合物20を得た(31.5mg、収率71%)。
【0180】
化合物20の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.69(d,J=22.3Hz,3H),7.99-8.11(m,2H),8.11(d,J=1.5Hz,1H),8.50(br.d,J=7.8Hz,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:24.9(d,J=23.7Hz),96.5(d,J=181.9Hz),118.5(q,J=5.7Hz),121.6(q,J=271.9Hz),122.4,125.3(q,J=34.1Hz),127.0,141.2,143.4,171.8(d,J=20.9Hz);
19F NMR(470z,CDCl)δ:-145.6(dsept.,J=8.8,21.9Hz,1F),-60.2(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1111[M+H]295.0706,found 295.0705
【0181】
(実施例22)化合物21の製造
【0182】
【化32】
【0183】
化合物1aの代わりに化合物21a(4-(2-ブロモプロパンアミド)フェニル 2-ブロモプロパノエート)(24.0mg、0.63mmol)、AgFを24.1mg(1.9mmol)とした以外は実施例1と同様にし、白色固体の化合物21を得た(15.6mg、収率77%)。
【0184】
化合物21の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.68(dd,J=6.9,25.0Hz,3H),1.95(d,J=7.1Hz,3H),4.59(q,J=6.9Hz,1H),5.13(dq,J=6.9,49.4Hz,1H),7.13(d,J=9.1Hz,2H),7.62(d,J=9.1Hz,2H),8.04(br.d,J=5.1Hz,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:18.4(d,J=20.8Hz),21.4,39.5,88.9(d,J=182.8Hz),120.9,121.7,134.7,147.0,168.6(d,J=18.0Hz),168.8;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-180.3(dsext,J=7.3,24.9Hz,1F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1214BrFNO[M+H] 318.0141,found 318.0141
【0185】
(実施例23)化合物22の製造
【0186】
【化33】
【0187】
マグネチックスターラーを備えた15mLの試験管に、トリフルオロメチル 4-フルオロベンゼンスルフォネート(48.8mg、0.2mmol)、CsF(60.8mg、0.4mmol)、AgF(25.4mg、0.2mmol)、溶媒(トルエン:MeCN=2:1、1.0mL)及び化合物22a(2-ブロモ-2-メチル-N-(キノリン-8-イル)プロパンアミド(29.3mg、0.1mmol)を入れた。混合物を室温で12時間撹拌した後、セライトパッドによりろ過し、酢酸エチルで洗浄した。その後、溶媒を真空乾燥により除去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=8:1)によって精製し、淡黄色オイルの化合物22を得た(12.5mg、収率42%)。
【0188】
化合物22の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.84(s,3H),1.84(s,3H),7.48(dd,J=4.4,8.3Hz,1H),7.56(d,J=1.7Hz,1H),7.57(s,1H),8.19(dd,J=1.8,8.3Hz,1H),8.75(dd,J=3.4,5.4Hz,1H),8.87(dd,J=1.7,4.4Hz,1H),10.9(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:25.0,85.4,116.5,119.2(q,J=255.7Hz),121.8,122.2,127.1,127.9,133.8,136.2,138.8,148.7,170.2;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-51.4(s,3F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1414[M+H] 299.1007,found 299.1007
【0189】
(実施例24)化合物23の製造
【0190】
【化34】
【0191】
マグネチックスターラーを備えた15mLの試験管に、化合物23a(2-ブロモ-2-メチル-N-フェニルプロパンアミド)(24.2mg、0.1mmol)、AgSCF(41.9mg、0.2mmol)、AgOTf(2.6mg、10mol%)、EtN(28μL,0.2mmol)及びMeCN(1.0mL)を入れた。混合物を室温で20時間撹拌した後、セライトパッドによりろ過し、酢酸エチルで洗浄した。その後、溶媒を真空乾燥により除去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=8:1)によって精製し、白色固体の化合物23を得た(17.6mg、収率67%)。
【0192】
化合物23の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.76(s,6H),7.16(tt,J=1.2,7.6Hz,1H),7.37(t,J=7.3Hz,2H),7.52(dd,J=1.0,8.6Hz,2H),8.38(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:27.1,53.5,120.1,124.9,129.1,129.3(q,J=307.8Hz),137.2,170.4;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-37.3(s,3F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1113NOS[M+H]264.0670,found 264.0671
【0193】
(実施例25)化合物24の製造
【0194】
【化35】
【0195】
化合物23aの代わりに化合物24a(2-ブロモ-N-フェニルプロパンアミド)(34.2mg、0.15mmol)を使用し、AgSCFを62.7mg(0.30mmol)、AgOTfを3.9mg(10mol%)、EtNを42μL(0.3mmol)、MeCNを1.5mLとした以外は実施例24と同様にし、白色固体の化合物24を得た(32.2mg、収率86%)。
【0196】
化合物24の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.69(d,J=7.3Hz,3H),4.00(q,J=7.4Hz,1H),7.17(t,J=7.3Hz,1H),7.35(t,J=8.1Hz,2H),7.51(d,J=7.8Hz,2H),8.12((br.d,J=5.1Hz,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:18.7,44.0,120.3,125.1,129.1,129.9(q,J=305.0Hz),136.9,168.3;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-40.4(s,3F)
【0197】
(実施例26)化合物25の製造
【0198】
【化36】
【0199】
化合物24aの代わりに化合物25a(2-ブロモ-N-(4-メトキシフェニル)プロパンアミド)(38.7mg、0.15mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例25と同様にし、白色固体の化合物25を得た(33.9mg、収率81%)。
【0200】
化合物25の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.68(d,J=7.3Hz,3H),3.80(s,3H),3.98(q,J=7.4Hz,1H),6.87(d,J=8.8Hz,2H),7.39(d,J=8.8Hz,2H),7.98(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:18.8,43.9,55.5,114.2,122.2,129.9,130.0(q,J=305.0Hz),157.0,168.3;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-40.4(s,3F)
【0201】
(実施例27)化合物26の製造
【0202】
【化37】
【0203】
化合物24aの代わりに化合物26a(2-ブロモ-N-(4-メトキシフェニル)-2-メチルプロパンアミド)(40.8mg、0.15mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例25と同様にし、無色オイルの化合物26を得た(21.9mg、収率50%)。
【0204】
化合物26の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.75(s,6H),3.81(s,3H),6.89(d,J=9.1Hz,2H),7.40(d,J=9.0Hz,2H),8.28(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:27.2,53.4,55.5(q,J=3.8Hz),114.2,122.2,129.3(q,J=306.9Hz),130.6,156.9,170.3;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-37.3(s,3F)
【0205】
(実施例28)化合物27の製造
【0206】
【化38】
【0207】
化合物24aの代わりに化合物27a(1-ブロモ-N-フェニルシクロヘキサン-1-カルボキサミド)(42.3mg、0.15mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例25と同様にし、白色固体の化合物27を得た(18.6mg、収率41%)。
【0208】
化合物27の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.39-1.47(m,1H),1.67-1.80(m,5H),1.97-2.00(m,2H),2.25-2.31(m,2H),7.16(t,J=7.4Hz,1H),7.36(t,J=7.6Hz,2H),7.51(d,J=7.6Hz,2H),8.26(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:22.0,25.1,34.1,59.2,120.2,124.8,129.0,129.5(q,J=307.8Hz),137.4,170.3;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-36.8(s,3F)
【0209】
(実施例29)化合物28の製造
【0210】
【化39】
【0211】
化合物24aの代わりに化合物28a(N-ベンジル-2-ブロモ-2-メチルプロパンアミド)(38.0mg、0.15mmol)を使用した以外は実施例25と同様にし、白色固体の化合物28を得た(26.8mg、収率64%)。
【0212】
化合物28の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.68(s,6H),4.56(d,J=5.6Hz,2H),6.88(br.s,NH),7.26-7.30(m,3H),7.35(t,J=6.9Hz,2H);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:27.2,44.4,52.9,127.6,127.7,129.4(q,J=306.9Hz),137.7,172.3;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-37.1(s,3F)
【0213】
(実施例30)化合物29の製造
【0214】
【化40】
【0215】
マグネチックスターラーを備えた15mLの試験管に、化合物29a(3-ベンジル-3-ブロモインドリン-2-オン)(24.2mg、0.1mmol)、AgSCF(41.8mg、0.2mmol)及び溶媒(トルエン:MeCN=4:1、1.0mL)を入れた。混合物を室温で24時間撹拌した後、セライトパッドによりろ過し、酢酸エチルで洗浄した。その後、溶媒を真空乾燥により除去し、粗生成物を得た。内部標準としてベンゾトリフルオリド(―62.7ppm)を用いた19F NMRにより、粗生成物を分析したところ、化合物29の収率は80%であった。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=3:1)によって精製し、白色固体の化合物29を得た(25.3mg、収率78%)。
【0216】
化合物29の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:3.28(d,J=13.0Hz,1H),3.34(d,J=13.0Hz,1H),6.75(d,J=7.8Hz,1H),6.90(d,J=7.4Hz,2H),7.07-7.14(m,3H),7.23(t,J=8.1Hz,1H),7.27(d,J=7.6Hz,1H),8.38(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:42.2,57.6,110.3,122.8,125.5,127.2,127.5,127.9,128.9(q,J=307.8Hz),130.3,132.4,140.0,176.7;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-37.6(s,3F)
【0217】
(実施例31)
AgSCFの代わりにCuSCF(80%、41.2mg、0.2mmol)を用いた以外は実施例30と同様にして、化合物29を収率84%で得た。
【0218】
(実施例32)化合物30の製造
【0219】
【化41】
【0220】
化合物29aの代わりに化合物30a(3,5-ジブロモ-3-ネオペンチルインドリン-2-オン)(36.1mg、0.10mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例30と同様にし、茶色固体の化合物30を得た(18.2mg、収率48%)。
【0221】
化合物30の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:0.76(s,9H),2.06(d,J=13.7Hz,1H),2.23(d,J=13.9Hz,1H),6.87(d,J=8.1Hz,1H),7.43(d,J=8.1Hz,1H),7.53(s,1H),8.78(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:30.8,33.1,47.6,56.4,112.1,115.3,128.6(q,J=308.8Hz),129.3,130.2,132.8,139.0,177.3;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-37.9(s,3F)
【0222】
(実施例33)
AgSCFの代わりにCuSCF(80%、41.2mg、0.2mmol)を用いた以外は実施例32と同様にして、化合物30を収率43%で得た。
【0223】
(実施例34)化合物31の製造
【0224】
【化42】
【0225】
化合物29aの代わりに化合物31a(3-ブロモ-3-(5-クロロ-2-メトキシフェニル)-6-(トリフルオロメチル)インドリン-2-オン)(42.1mg、0.10mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=4:1~2:1とした以外は実施例30と同様にし、白色固体の化合物31を得た(37.3mg、収率84%)。
【0226】
化合物31の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:3.57(s,3H),6.81(d,J=8.8Hz,1H),7.07(d,J=8.1Hz,1H),7.19(s,1H),7.25(dd,J=0.8,7.9Hz,1H),7.37(dd,J=2.5,8.8Hz,1H),7.99(d,J=2.5Hz,1H),9.63(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:55.8(q,J=3.8Hz),58.3,107.2(q,J=3.8H),113.5,120.0(q,J=3.8Hz),123.5(q,J=270.9H),124.6,124.8,125.8(q,J=307.8Hz),126.4,129.4,130.5,131.6,132.3(q,J=33.2Hz),141.0,154.9,176.8;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-62.7(s,3F),-37.1(s,3F)
【0227】
(実施例35)
AgSCFの代わりにCuSCF(80%、41.2mg、0.2mmol)を用いた以外は実施例34と同様にして、化合物31を収率25%で得た。
【0228】
(実施例36)化合物32の製造
【0229】
【化43】
【0230】
化合物1aの代わりに化合物32a((R)-2-ブロモ-N-フェニルプロパンアミド)(22.8mg、0.1mmol)を使用した以外は実施例1と同様にし、白色固体の化合物32を得た(16.7mg、収率99%)。
【0231】
(実施例37)化合物33の製造
【0232】
【化44】
【0233】
化合物1aの代わりに化合物33a((R,R)-2-ブロモ-N-1-(4-メトキシフェネチル)アミン)(28.6mg、0.1mmol)を使用した以外は実施例1と同様にし、白色固体の化合物33を得た(17.5mg、収率78%)。
【0234】
(実施例38)化合物34の製造
【0235】
【化45】
【0236】
化合物23aの代わりに化合物34a(2-ブロモ-2-フェニルアセトアミド)(32.1mg、0.15mmol)を使用し、AgSCFを62.7mg(0.30mmol)、AgOTfを3.9mg(10mol%)、EtNを42μL(0.3mmol)、MeCNを1.5mLとし、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=1:1とした以外は実施例24と同様にし、白色固体の化合物34(2-フェニル-2-((トリフルオロメチル)チオ)アセトアミド)を得た(20.7mg、収率59%)。
【0237】
化合物34の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:5.06(s,1H),5.92(br.s,NH),6.00(br.s,NH),7.38-7.45(m,5H);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:53.4,128.1,129.2,129.3,129.8(q,J=303.1Hz),134.9,169.9;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-40.8(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for CNOS [M+H] 236.0357, found 236.0357
【0238】
(実施例39)化合物35の製造
【0239】
【化46】
【0240】
化合物34aの代わりに化合物35a(2-ブロモ-N-(4-クロロフェニル)プロパンアミド)(39.3mg、0.15mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒をヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例38と同様にし、白色固体の化合物35(N-(4-クロロフェニル)-2-((トリフルオロメチル)チオ)プロパンアミド)を得た(34.5mg、収率81%))。
【0241】
化合物35の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.68(d,J=7.3Hz,3H),3.98(q,J=7.3Hz,1H),7.30(d,J=8.6Hz,2H),7.46(d,J=8.6Hz,2H),8.11(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:18.6,43.9,121.5,129.1,129.8(q,J=306.0Hz),130.3,135.5,168.2;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-40.4(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1010ClFNOS [M+H] 284.0124, found 284.0125
【0242】
(実施例40)化合物36の製造
【0243】
【化47】
【0244】
化合物34aの代わりに化合物36a(2-ブロモ-N-(4-エチルフェニル)プロパンアミド)(38.4mg、0.15mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒をヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例38と同様にし、白色固体の化合物36(N-(4-エチルフェニル)-2-((トリフルオロメチル)チオ)プロパンアミド)を得た(32.6mg、収率78%)。
【0245】
化合物36の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.22(t,J=7.6Hz,3H),1.68(d,J=7.1Hz,3H),2.63(q,J=7.9Hz,2H),4.00(q,J=7.4Hz,1H),7.17(d,J=8.3Hz,2H),7.41(d,J=8.6Hz,2H),8.06(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:15.6,18.8,28.3,44.0,120.4,128.4,130.0(q,J=305.0Hz),134.5,141.3,168.1;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-40.4(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1010ClFNOS [M+H] 278.0826, found 278.0826
【0246】
(実施例41)化合物37の製造
【0247】
【化48】
【0248】
化合物34aの代わりに化合物37a(2-ブロモ-N-(5-メチルピリジン-2-イル)プロパンアミド)(36.5mg、0.15mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒をヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例38と同様にし、白色固体の化合物37(N-(5-メチルピリジン-2-イル)-2-((トリフルオロメチル)チオ)プロパンアミド)を得た(24.4mg、収率62%)。
【0249】
化合物37の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.69(d,J=7.3Hz,3H),2.31(s,3H),3.99(q,J=7.3Hz,1H),7.56(dd,J=2.2,8.3Hz,1H),8.08(d,J=8.6Hz,1H),8.13(s,1H),8.82(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:17.8,18.7,44.1,113.7,129.8,129.9(q,J=306.0Hz),139.1,147.7,148.5,168.4;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-40.5(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1012OS [M+H] 265.0622, found 265.0622
【0250】
(実施例42)化合物38の製造
【0251】
【化49】
【0252】
化合物34aの代わりに化合物38a(2-ブロモ-N-(5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル)プロパンアミド)(44.4mg、0.15mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒をヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例38と同様にし、茶色オイルの化合物38(N-(5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル)-2-((トリフルオロメチル)チオ)プロパンアミド)を得た(27.1mg、収率57%)。
【0253】
化合物38の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.70(d,J=7.4Hz,3H),2.13(quint.,J=6.4Hz,2H),2.64(t,J=6.8Hz,2H),2.95(t,J=6.1Hz,2H),7.29(dd,J=2.2,8.6Hz,1H),7.71(s,1H),8.01(d,J=8.6Hz,1H),8.35(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:18.6,23.2,29.9,38.9,44.0,117.8,118.9,128.6,129.2,129.8(q,J=306.4Hz),141.5,146.4,168.5,197.5;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-40.3(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1415NO [M+H] 318.0776, found 318.0776
【0254】
(実施例43)化合物39の製造
【0255】
【化50】
【0256】
化合物23aの代わりに化合物39a(2-ブロモ-N-(4-ヨードフェニル)プロパンアミド)(35.4mg、0.10mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例24と同様にし、白色固体の化合物39(N-(4-ヨードフェニル)-2-((トリフルオロメチル)チオ)プロパンアミド)を得た(29.5mg、収率79%)。
【0257】
化合物39の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.69(d,J=7.3Hz,3H),3.98(q,J=7.4Hz,1H),7.30(d,J=8.6Hz,2H),7.65(d,J=8.6Hz,2H),8.01(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:18.6,43.9,88.6,122.0,129.8(q,J=305.9Hz),136.7,138.0,168.1;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-40.4(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1010INOS [M+H] 375.9480, found 375.9480
【0258】
(実施例44)化合物40の製造
【0259】
【化51】
【0260】
化合物34aの代わりに化合物40a(2-ブロモ-N-フェニルペンタンアミド)(38.3mg、0.15mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒をヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例38と同様にし、白色固体の化合物40(N-フェニル-2-((トリフルオロメチル)チオ)ペンタンアミド)を得た(34.0mg、収率82%)。
【0261】
化合物40の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:0.98(t,J=7.3Hz,3H),1.47-1.57(m,2H),1.86-1.90(m,1H),2.04-2.10(m,1H),3.88(t,J=7.4Hz,1H),7.17(t,J=7.4Hz,1H),7.34(t,J=7.6Hz,2H),7.52(d,J=7.6Hz,2H),8.10(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:13.4,20.3,34.4,49.1,120.3,125.1,129.1,130.0(q,J=305.9Hz),136.9,168.0;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-40.4(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1215NOS [M+H] 278.0826, found 278.0826
【0262】
(実施例45)化合物41の製造
【0263】
【化52】
【0264】
化合物34aの代わりに化合物41a(2-ブロモ-N-(4-フルオロベンジル)ペンタンアミド)(43.2mg、0.15mmol)を使用し、AgSCFを62.7mg(0.30mmol)とし、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒をヘキサン:酢酸エチル=2:1とし、混合物の撹拌時間を36時間とした以外は実施例38と同様にし、白色固体の化合物41(N-(4-フルオロベンジル)-2-((トリフルオロメチル)チオ)ペンタンアミド)を得た(30.9mg、収率67%)。
【0265】
化合物41の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:0.95(t,J=7.4Hz,3H),1.38-1.52(m,2H),1.77-1.81(m,1H),1.96-2.01(m,1H),3.73(t,J=7.4Hz,1H),4.43(d,J=5.9Hz,2H),6.56(br.s,NH),7.03(t,J=8.8Hz,2H),7.24(dd,J=5.6,8.6Hz,2H);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:13.4,20.2,34.4,43.3,48.3,115.5(d,J=21.8Hz),129.4(d,J=7.6Hz),130.0(q,J=305.0Hz),133.3(d,J=3.8Hz),162.3(d,J=244.4Hz),169.7;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-114.6(s,1F),-40.6(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1316NOS [M+H] 310.0889, found 310.0889
【0266】
(実施例46)化合物42の製造
【0267】
【化53】
【0268】
化合物34aの代わりに42a(2-ブロモ-2-メチル-N-(4-ニトロフェニル)プロパンアミド)(43.1mg、0.15mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒をヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例38と同様にし、白色固体の化合物42(2-メチル-N-(4-ニトロフェニル)-2-((トリフルオロメチル)チオ)プロパンアミド)を得た(25.2mg、収率55%)。
【0269】
化合物42の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.77(s,6H),7.73(d,J=9.3Hz,2H),8.24(d,J=9.3Hz,2H),8.67(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:26.9,53.4,119.4,125.1,129.1(q,J=306.9Hz),143.0,144.0,170.9;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-37.4(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1112 [M+H] 309.0521 found 309.0522
【0270】
(実施例47)化合物43の製造
【0271】
【化54】
【0272】
化合物34aの代わりに化合物43a(2-ブロモ-N-(3-クロロフェニル)-2-メチルプロパンアミド)(41.5mg、0.15mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒をヘキサン:酢酸エチル=8:1とした以外は実施例38と同様にし、白色固体の化合物43(N-(3-クロロフェニル)-2-メチル-2-((トリフルオロメチル)チオ)プロパンアミド)を得た(23.6mg、収率53%)。
【0273】
化合物43の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.75(s,6H),7.13-7.14(m,1H),7.23(t,J=8.1Hz,1H),7.35-7.37(m,1H),7.65(t,J=2.0Hz,1H),8.39(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:27.0,53.4,118.0,120.20,124.9,125.5,127.9,129.2(q,J=307.8Hz),130.0,134.7,138.3,170.5;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-37.3(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1112ClFNOS [M+H] 298.0280 found 298.0280
【0274】
(実施例48)化合物44の製造
【0275】
【化55】
【0276】
化合物34aの代わりに化合物44a(2-ブロモ-2-エチル-N-フェニルブタンアミド)(40.5mg、0.15mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒をヘキサン:酢酸エチル=8:1とした以外は実施例38と同様にし、白色固体の化合物44(2-エチル-N-フェニル-2-((トリフルオロメチル)チオ)ブタンアミド)を得た(21.6mg、収率49%)。
【0277】
化合物44の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.03(t,J=7.4Hz,6H),1.91-1.98(m,2H),2.08-2.14(m,2H),7.16(t,J=7.4Hz,1H),7.36(t,J=8.3Hz,2H),7.51(d,J=7.6Hz,2H),8.31(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:8.3,27.1,63.4,120.3,124.8,129.1,129.3(q,J=306.9Hz),137.2,169.5;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-37.1(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1317NOS [M+H] 292.0983 found 292.0983
【0278】
(実施例49)化合物45の製造
【0279】
【化56】
【0280】
化合物34aの代わりに化合物45a(1-ブロモ-N-フェニルシクロブタン-1-カルボキサミド)(38.1mg、0.15mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒をヘキサン:酢酸エチル=8:1とした以外は実施例38と同様にし、白色固体の化合物45(N-フェニル-1-((トリフルオロメチル)チオ)シクロブタン-1-カルボキサミド)を得た(17.3mg、収率42%)。
【0281】
化合物45の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:2.13-2.17(m,1H),2.31-2.42(m,3H),2.98-3.04(m,3H),7.16(t,J=7.3Hz,1H),7.36(t,J=7.6Hz,2H),7.53(d,J=8.6Hz,2H),8.02(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:16.8,32.4,53.4,120.0,124.8,129.1,129.2(q,J=307.8Hz),137.4, 169.3;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-38.9(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1213NOS [M+H] 276.0670 found 276.0670
【0282】
(実施例50)化合物46の製造
【0283】
【化57】
【0284】
化合物34aの代わりに化合物46a(1-ブロモ-N-フェニルシクロペンタン-1-カルボキサミド)(40.2mg、0.15mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒をヘキサン:酢酸エチル=8:1とした以外は実施例38と同様にし、白色固体の化合物46(N-フェニル-1-((トリフルオロメチル)チオ)シクロペンタン-1-カルボキサミド)を得た(16.6mg、収率38%)。
【0285】
化合物46の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.90-1.93(m,4H),1.99-2.05(m,2H),2.54-2.60(m,2H),7.16(t,J=7.6Hz,1H),7.36(t,J=8.6Hz,2H),7.52(d,J=7.3Hz,2H),8.38(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:24.8,38.1,62.0,120.1,124.8,129.1,129.2(q,J=307.8Hz),137.4,170.1;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-38.1(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1315NOS [M+H] 290.0826 found 290.0826
【0286】
(実施例51)化合物47の製造
【0287】
【化58】
【0288】
化合物34aの代わりに化合物47a(2-ブロモ-2-メチル-N-フェニルペンタンアミド)(40.5mg、0.15mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒をヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例38と同様にし、白色固体の化合物47(2-メチル-N-フェニル-2-((トリフルオロメチル)チオ)ペンタンアミド)を得た(17.7mg、収率41%)。
【0289】
化合物47の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:0.96(t,J=7.3Hz,3H),1.41-1.55(m,2H),1.79(s,3H),1.89-1.92(m,2H),7.16(t,J=7.6Hz,1H),7.37(t,J=8.6Hz,2H),7.51(dd,J=1.0,8.6Hz,2H),8.40(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:14.1,17.9,24.1,42.1,57.8,120.2,124.9,129.1,129.4(q,J=307.8Hz),137.2,169.9;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-36.6(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1317NOS [M+H] 392.0983 found 292.0983
【0290】
(実施例52)化合物48の製造
【0291】
【化59】
【0292】
化合物23aの代わりに化合物48a(tert-ブチル 4-ブロモ-4-(フェニルカルバモイル)ピペリジン-1-カルボキシレート)(32.2mg、0.10mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒を、ヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例24と同様にし、白色固体の化合物48(tert-ブチル 4-(フェニルカルバモイル)-4-((triフルオロメチル)チオ)ピペリジン-1-カルボキシレート)を得た(16.7mg、収率41%)。
【0293】
化合物48の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.48(s,9H),1.93-2.01(m,2H),2.26-2.50(m,2H),3.38-3.49(m,2H),3.86-3.88(m,2H),7.18(t,J=7.6Hz,1H),7.37(t,J=8.4Hz,2H),7.50(d,J=7.6Hz,2H),8.24(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:28.4,33.1-33.5(m),39.2-40.6(m),56.9,80.2,120.4,125.1,129.1,129.2(q,J=307.8Hz),137.0,154.4,169.1;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-36.2(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1824 [M+H] 405.1460, found 405.1460
【0294】
(実施例53)化合物49の製造
【0295】
【化60】
【0296】
化合物34aの代わりに化合物49a(2-ブロモ-2-メチル-N-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロパンアミド)(53.3mg、0.15mmol)を使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの展開溶媒をヘキサン:酢酸エチル=4:1とした以外は実施例38と同様にし、白色固体の化合物49(2-メチル-N-(4-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-((トリフルオロメチル)チオ)プロパンアミド)を得た(21.3mg、収率38%)。
【0297】
化合物49の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.78(s,6H),7.95-8.03(m,3H),8.73(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:26.9,53.3,118.4(q,J=5.7Hz),121.6(q,J=271.9Hz),122.4,125.4(q,J=34.1Hz),127.1,129.0(q,J=307.8Hz),141.5,143.5,171.2;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-60.1(s,3F),-37.4(s,3F);
HRMS (FAB) m/z Calcd for C1211OS [M+H] 377.0395 found 377.0395.
【0298】
(実施例54)化合物50の製造
【0299】
【化61】
【0300】
マグネチックスターラーを備えた15mLの試験管に、化合物50a(2-ブロモ-2-メチル-N-フェニルプロパンアミド)(24.2mg、0.1mmol)、CFSONa(62.4mg、0.4mmol)、AgOTf(51.3mg、0.2mmol)、EtN(28μL、0.20mmol)及びMeCN(1.0mL)を入れた。混合物を室温で30分間撹拌した後、セライトパッドによりろ過し、酢酸エチルで洗浄した。その後、溶媒を真空乾燥により除去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=8:1)によって精製し、白色固体の化合物50(2-メチル-1-オキソ-1-(フェニルアミノ)プロパン-2-イル トリフルオロメタンスルフィネート)を得た(24.7mg、収率84%)。
【0301】
化合物50の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.80(s,3H),1.89(s,3H),7.16(t,J=7.6Hz,1H),7.36(t,J=7.8Hz,2H),7.53(d,J=8.3Hz,2H),8.13(br.s,NH);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:25.9,26.4,88.0,120.0,122.7(q,J=331.5Hz),125.2,129.1,136.6,168.8;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-79.8(s,3F)
【0302】
(実施例55)化合物51の製造
【0303】
【化62】
【0304】
マグネチックスターラーを備えた15mLの試験管に、化合物51a((R)-2-ブロモ-N-((R)-1-(4-メトキシフェニル)エチル)プロパンアミド)(42.9mg、0.15mmol)、AgSCF62.7mg(0.30mmol)、AgOTf(4.1mg(10mol%)、EtN42μL(0.3mmol)及びMeCN(1.5mL)を入れた。混合物を室温で20時間撹拌した後、セライトパッドによりろ過し、酢酸エチルで洗浄した。その後、溶媒を真空乾燥により除去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=4:1)によって精製し、白色固体の化合物51(N-((R)-1-(4-メトキシフェニル)エチル)-2-((トリフルオロメチル)チオ)プロパンアミド(4z))を得た(38.7mg、収率83%)。なお、異性体の比率は、粗生成物の19F NMR分析によって決定した(dr=14:1)
【0305】
化合物51の分析結果を以下に示す。
H NMR(500MHz,CDCl)δ:1.50(d,J=6.9Hz,3H),1.58(d,J=7.3Hz,3H),3.79(q,J=7.3Hz,1H),3.80(s,3H),5.05(quint.,J=7.1Hz,1H),6.37(br.d,J=6.9Hz,NH),6.88(d,J=8.8Hz,2H),7.23(d,J=8.6Hz,2H);
13C NMR(125MHz,CDCl)δ:18.7,21.1,43.3,48.8,55.3,114.0,127.3,130.1(q,J=305.0Hz),134.4,159.0,168.9;
19F NMR(470MHz,CDCl)δ:-40.3(s,3F);
HRMS(FAB) m/z Calcd for C1317NO [M+H] 308.0932, found 308.0932
【産業上の利用可能性】
【0306】
本発明は、α―置換カルボニル化合物を効率良く製造しうるため、極めて有用である。