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特開2022-75524分離器のための作動方法及び分級用の分離器
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  • 特開-分離器のための作動方法及び分級用の分離器 図5b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075524
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】分離器のための作動方法及び分級用の分離器
(51)【国際特許分類】
   B07B 7/083 20060101AFI20220511BHJP
   B02C 19/06 20060101ALN20220511BHJP
【FI】
B07B7/083
B02C19/06 B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021163847
(22)【出願日】2021-10-05
(31)【優先権主張番号】10 2020 006 724.7
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】509107781
【氏名又は名称】ネッチュ トロッケンマールテヒニク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】フランク ウインター
(72)【発明者】
【氏名】ヨアキム ドームス
【テーマコード(参考)】
4D021
4D067
【Fターム(参考)】
4D021FA23
4D021FA30
4D021GA02
4D021GA08
4D021GA12
4D021GA15
4D021GB10
4D021HA01
4D067CA02
4D067CA09
(57)【要約】
【課題】特に空気又は不活性ガスによる分離と比較して、出力された粉砕製品に関してより高微粉度を達成可能とする、分離器のための作動方法及び分離器を提供する。
【解決手段】本発明は、分級用の分離器(1)のための作動方法に関し、過熱蒸気が分離器(1)に分離ガスとして供給され、分離ガスとしての過熱蒸気の温度は、分離器内で過熱蒸気の凝縮が生じないよう低く選択される。更に、本発明は、分級用の分離器(1)に関し、分離器(1)は、分離ガスとしての過熱蒸気を生成するために、給水装置(18)を含む分離ガス供給部を備え、分離ガスとしての過熱蒸気における温度の調整又は調節手段が設けられ、その調整又は調節手段は、分離ガスとしての過熱蒸気の温度を分離器(1)内で過熱蒸気の特に凝縮が生じないよう低く調整するよう構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分級用の分離器(1)のための作動方法であって、
過熱蒸気を、前記分離器(1)に分離ガスとして供給し、分離ガスとしての前記過熱蒸気の温度を、特に前記分離器(1)内で前記過熱蒸気の特に凝縮が生じないよう低く選択することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の分級用の分離器(1)のための作動方法であって、分離ガスとしての前記過熱蒸気の温度を、
‐分離器入口(4)の絶対圧力(bar(a))と、
‐分離材料の温度と、
‐分離材料(S)の熱容量(J/kgK)と、
‐製品の供給量(Kg/h)と、
‐配置された分離ガス/プロセスガス圧縮機(9)によるエネルギー入力と、
‐前記分離器(1)によるエネルギー入力と、
‐蒸気を生成すると共に、前記プロセスガスを冷却するために注入される水の質量(kg/h)と、及び/又は、
‐環境への放出による熱流損失(W)と、
に応じて調整又は調節することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の分級用の分離器(1)のための作動方法であって、前記過熱蒸気を、再循環ガスプロセスで使用し、必要な前記過熱蒸気を、好適には、液体水を供給することによって生成することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の分級用の分離器(1)のための作動方法であって、過熱蒸気を、前記分離器(1)の分離ギャップをフラッシングするため、及び/又は、前記分離器(1)の軸受を製品汚染から保護するためにも、前記分離器(1)に供給することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の分級用の分離器(1)のための作動方法であって、分離ガス流をサイクル内で任意的に搬送するために、分離ガス送風機又は分離ガス圧縮機(9)によって圧力差を発生させることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の分級用の分離器(1)のための作動方法であって、前記圧力差を、プラントの抵抗に応じて調整又は調節することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の分級用の分離器(1)のための作動方法であって、前記過熱蒸気の温度を、前記過熱蒸気の温度を調整又は調節するための分離材料の加熱及び出力に関連して、前記分離器(1)における分離ガスとして使用することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の分級用の分離器(1)のための作動方法であって、分離ガスとしての前記過熱蒸気の温度を、前記分離ガスに導入した液体水の量及び/又は温度の調整又は調節によって生じさせることを特徴とする方法。
【請求項9】
分級用の分離器(1)であって、
前記分離器(1)が、分離ガスとしての過熱蒸気を生成するために、給水装置(18)を含む分離ガス供給部を備え、分離ガスとしての前記過熱蒸気における温度の調整又は調節手段(20)が設けられ、前記調整又は調節手段(20)が、分離ガスとしての前記過熱蒸気の前記温度を特に前記分離器(1)内で前記過熱蒸気の凝縮が生じないよう低く調整するよう構成されていることを特徴とする分離器。
【請求項10】
請求項9に記載の分離器(1)であって、前記過熱蒸気用のサイクルが設けられていることを特徴とする分離器。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の分離器(1)であって、前記分離器(1)における分離ギャップをフラッシングするためのフラッシング手段、及び/又は、前記分離器(1)における軸受を製品汚染から保護するためのフラッシング手段が設けられ、該フラッシング手段が、対応スポットに過熱蒸気を供給するよう構成されていることを特徴とする分離器。
【請求項12】
請求項9~11の何れか一項に記載の分離器であって、圧力差によって分離ガス流を搬送するための分離ガス送風機又は分離ガス圧縮機(9)が、サイクル内に任意的に設けられていることを特徴とする分離器。
【請求項13】
請求項12に記載の分離器であって、調整又は調節手段(20)が、プラントの抵抗に応じて前記圧力差を調整又は調節するために、前記分離ガス送風機又は分離ガス圧縮機(9)のために設けられていることを特徴とする分離器。
【請求項14】
請求項13に記載の分離器であって、過熱蒸気用の少なくとも1個の温度プローブ(14)が、前記分離器の出口に割り当てられると共に、分離ガスとしての前記過熱蒸気の温度用の前記調整又は調節手段(20)に機能結合され、これにより前記温度プローブ(14)の出力が、前記過熱蒸気の温度用の前記調整又は調節手段(20)に関して考慮すべき入力として使用されることを特徴とする分離器。
【請求項15】
請求項9~14の何れか一項に記載の分離器(1)であって、前記給水装置(18)が、分離ガスとしての前記過熱蒸気における温度用の前記調整又は調節手段(20)に結合されると共に、分離ガスとしての前記過熱蒸気における温度の調整又は調節を、前記分離ガスに導入される液体水の量及び/又は温度を調整又は調節することによって実現するよう構成されていることを特徴とする分離器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離器のための作動方法及び分級用の分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(独国特許出願公開第102006048864号明細書)には、空気分級器のための作動方法及び対応する空気分級器が既知である。この場合、空気分級器は、微粒子を生成するためのジェットミルに統合されている。ジェットミルの空気分級器は、分級ホイール、分級ホイール軸及び分級ハウジングを備える。この場合、分級ホイールと分級ハウジングとの間に分級器空隙が規定され、分級ホイール軸と分級ハウジングとの間に軸通路が形成されている。この既知の空気分級器においては、ジェットミルの粉砕ノズル自体に高エネルギーの過熱蒸気が充填されていても、分級器空隙及び/又は軸通路におけるギャップフラッシングが、低エネルギー含有量の圧縮ガスで行われることが想定されている。この構成の特徴は、粉砕ノズルには高エネルギーの過熱蒸気、即ち高エネルギー媒体が充填されるのに対して、分級器には低エネルギー媒体が使用されるという組み合わせにある。
【0003】
特許文献2(欧州特許第2696981号明細書)には、分級器を備えるジェットミル設備のための作動方法及び分級器を備えるジェットミル設備が既知である。この分級器は、分級軸、分級軸用の軸受ハウジング及び分級ホイールを有する。この場合、ジェットミルの作動媒体として過熱蒸気が使用され、分級軸とその軸受ハウジングとの間、並びに分級ホイールとジェットミルにおける微細製品排出ハウジングとの間に、過熱蒸気によるシールが提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006048864号明細書
【特許文献2】欧州特許第2696981号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既知の方法及び分離器(分級器)は、一般的に良好な結果をもたらす。本発明の課題は、分離器のための作動方法及び分離器を向上させることにより、特に空気又は不活性ガスによる分離と比較して、出力された粉砕製品に関してより高微粉度を達成可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、特に粉砕材料を分級するための分離器のための作動方法によって解決される。この場合、過熱蒸気が分離器に分離ガスとして供給され、分離ガスとしての過熱蒸気の温度が、分離器内で過熱蒸気の凝縮が生じないよう低く選択される。
【0007】
更に、上述した課題は、特に粉砕材料を分級するための分離器によって解決される。この場合、分離器は、分離ガスとしての過熱蒸気を生成するために、給水装置を含む分離ガス供給部を備え、分離ガスとしての過熱蒸気における温度の調整又は調節手段が設けられ、その調整又は調節手段は、分離ガスとしての過熱蒸気の温度を分離器内で過熱蒸気の特に凝縮が生じないよう低く調整するよう構成されている。
【0008】
発明者らが見出したところによれば、動的分離ホイールによる分離中の結果は、特に、使用されるプロセスガス、即ち分離ガスに依存する。分離ガスの選択により、例えば更なる粉砕のために供給される粗大材料と、所望の出力製品として最終製品又は更なる加工のために分離器から出力される微細材料との間の分離ステップに影響を及ぼすことができる。例えばアルゴンを使用した場合、他のプロセスパラメータが同じであれば、分離限界は空気に比べて18%だけ粗大化する。

dtargon = 1.18 dtair

ここに、
dtargon = アルゴンの場合の分離粒径(分離ガスとして使用)
dtair = 空気の場合の分離粒径(分離ガスとして使用)
である。
【0009】
換言すれば、分離ガスとして、空気の代わりにアルゴンを使用するだけで出力製品がより粗大状態で出力される。この場合、発明者らは、分離ガスとして過熱蒸気を使用すれば、分離限界は空気に比べて微細化することを発明として更に見出した:

dtsteam = 0.8 dtair

ここに、
dtsteam = 蒸気の場合の分離粒径(分離ガスとして使用)
である。
【0010】
実際の分析によれば、分離ガスとしての過熱蒸気を使用した分離においては、空気に比べた上述の0.8の理論係数よりも更に大幅に高い微粉度が得られる。
【0011】
空気の代わりに過熱蒸気を分離ガスとして使用した場合、分離プロセス中に製品に関して一種の添加が生じ、これが有利には大幅に高い収率をもたらすことによって分離限界又は分離のシャープさが向上すると推測されている。
【0012】
発明者らが更に見出したところによれば、過熱蒸気を使用した分離においては、その分離ガスの温度が結果に関係することが判明した。即ち、分離ガス温度がより高い場合には分離器による分離がより粗大化することが判明し、従って、過熱蒸気が飽和蒸気温度を下回ると凝縮するという事実により、分離ガス温度は、過熱蒸気を使用する場合には、蒸気の凝縮が特にプロセスにおいて生じないように設定されることが更なる基準である。このことから技術的には、必要な分離ガスの温度、即ち高温蒸気の温度又は過熱蒸気の温度の最小値を求めることになる。

dth= (Th/Tu)0.25

ここに、
dth = 分離ガスの温度に応じた分離粒径
Th = 分離ガスの高温度
Tu = 分離ガスのより低温度
である。
【0013】
過熱蒸気の温度限界:
Tu = 約383 K(飽和蒸気温度よりも約10 K高い)
Th = 約723 K
【0014】
本発明の文脈において注目すべきであると共に、特に分離ガスの温度の選択及び調整において含むべき更なるパラメータ、即ち対応のセンサ及び判定手段により、個別又は任意の組み合わせで、方法及び装置の両方に関して有利に含むべき更なるパラメータは、以下のとおりである。
‐分離器入口における絶対圧力(単位:bar(a))
‐分離材料の熱容量(単位:J/kgK)
‐分離材料の温度(単位:K)
‐製品の供給量(単位:Kg/h)
‐分離ガス/プロセスガス圧縮機によるエネルギー入力
‐分離器によるエネルギー入力
‐蒸気を生成すると共に、プロセスガスを冷却するために注入される水の質量(単位:kg/h)
‐環境への放出による熱流損失(単位:W)
【0015】
特に粉砕材料を分級するための分離器のための作動方法において、有利には、過熱蒸気を再循環ガスプロセスで使用することが想定されている。この場合、好適で有利な更なる構成においては、液体水を供給することにより、必要な過熱蒸気を生成することが想定可能である。
【0016】
特に粉砕材料を分級するための分離器のための作動方法における更なる好適な構成においては、分離器の分離ギャップをフラッシングするため、及び/又は、分離器の軸受を製品汚染から保護するためにも、過熱蒸気が分離器に供給される。
【0017】
有利には、特に粉砕材料を分級するための分離器のための作動方法は、分離ガス流を任意的にサイクル内で搬送するために、分離ガス送風機又は分離ガス圧縮機によって圧力差を発生させるよう更に構成することができる。この場合、好適には、圧力差は、プラントの抵抗に応じて調整又は調節することが更に想定可能である。これに加えて、過熱蒸気の温度は、過熱蒸気の温度を調整又は調節するための分離材料の加熱及び出力に関連して、分離器における分離ガスとして使用することが更に想定可能である。
【0018】
特に粉砕材料を分級するための分離器のための作動方法における更なる好適な構成において、分離ガスとしての過熱蒸気の温度は、分離ガスに導入された液体水の量及び/又は温度の調整又は調節によって生じさせる。
【0019】
分離器は、過熱蒸気用のサイクルが存在することによって更に有利に構成することができる。代替的又は付加的に、分離器における分離ギャップをフラッシングするためのフラッシング手段、及び/又は、分離器における軸受を製品汚染から保護するためのフラッシング手段が設けられ、そのフラッシング手段は、対応スポットに過熱蒸気を供給するよう構成されていることが想定可能である。
【0020】
分離器の更なる有利な構成において、圧力差によって分離ガス流を搬送するための分離ガス送風機又は分離ガス圧縮機は、サイクル内に任意的に存在する。この場合、調整又は調節手段は、プラントの抵抗に応じて圧力差を調整又は調節するために、分離ガス送風機又は分離ガス圧縮機のために有利に設けられていることが更に想定可能である。これに関しては、過熱蒸気用の少なくとも1個の温度プローブが、分離器の出口に割り当てられると共に、分離ガスとしての過熱蒸気の温度用の調整又は調節手段に機能結合され、これにより温度プローブの出力が、過熱蒸気の温度用の調整又は調節手段に関して考慮すべき入力として使用されることが更に想定可能である。
【0021】
分離器においては更に、給水装置は、分離ガスとしての過熱蒸気における温度用の調整又は調節手段に結合されると共に、分離ガスとしての過熱蒸気における温度の調整又は調節を、分離ガスに導入される液体水の量及び/又は温度を調整又は調節することによって実現するよう構成されていることが有利に想定可能である。
【0022】
本発明及びその個々の態様の更なる好適な構成及び/又は有利な構成は、従属請求項の組み合わせ及び本明細書の全体に記載したとおりである。
【0023】
以下においては、具体的な構成に関する幾つかの例示的な説明をし、また本発明の実施形態は、図面との関連において例示的にのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】分離器を含む本発明に係るプロセスを示す概略図である。
図2】第1サンプル計算の作動パラメータを示す説明図である。
図3図3a及び3bは、第1サンプル計算のプロセスパラメータを示す説明図である。
図4】第2サンプル計算の作動パラメータを示す説明図である。
図5図5a及び5bは、第2サンプル計算のプロセスパラメータを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、記載された例示的な実施形態及び実施例に基づいてより詳細に説明する。即ち、本発明は記載されたこれら例示的な実施形態及び実施例に限定されない。方法及び装置の特徴は、それぞれ、装置又は方法に関する記載から同様に明らかになる。
【0026】
具体的かつ例示的な実施形態に関連して説明及び/又は図示される個々の特徴は、その例示的な実施形態又はその例示的な実施形態の他の特徴との組み合わせに限定されるものではなく、技術的に可能な限り、本明細書において特に記載されていなくても他の任意の代替案と組み合わせることができる。
【0027】
図1は、分離器1の例示的な実施形態を示し、分離器1における個々の構成要素及び接続部を例示的かつ概略的にのみ示す。図1の分離器1における構成要素の寸法比は、実際の寸法比に対応していないが、明瞭性を高めてより容易に理解するために選択されている。
【0028】
本発明の基礎をなしている方法は、(好適には過熱蒸気に限定されないが)過熱蒸気を使用する特にジェットミルなどのミル(図示せず)における特に粉砕材料を、再循環ガスプロセスにおいて分離、即ち分級する方法である。この場合、分離器1は、プロセス実行中にミル内に任意的に粉砕材料出口の上流側に統合されるか、又はミルの下流側、即ちミルの粉砕材料出口に別箇の装置として接続することができる。
【0029】
分離器1は、分離ハウジング3内で分離ホイール軸線(図示せず)周りに回転可能に配置された動的分離ホイール2を備えると共に、いわゆる分離ギャップ(図示せず)によって分離ハウジング3の内壁(図示せず)から離間している。分離ホイール2は、分離器1の回転を実現するために、分離器1における少なくとも1個の軸受(図示せず)に回転可能に支持されている。
【0030】
以下、分離器1の構成及び作動方法を明確にするために、例示的にのみ理解すべき実施形態を図1を参照しつつ詳細に説明する。この説明は、過熱蒸気の生成及び再循環ガスプロセスを含むが、これらは何れも1つの可能性として理解されるべきである。過熱蒸気は、他の方法で提供及び供給することも可能であると共に、再循環ガスプロセス以外で使用することもできる。これは、特に、過熱蒸気による分離プロセスは、一般的に、再循環ガス作動においてのみならずスルーガス作動においても適用可能であることを意味する。ただし、再循環ガスプロセスのエネルギー需要は、好適には、スルーガスプロセスの約5%に過ぎない。これは、開放作動においては、蒸気が過熱状態でプラント(設備)から流出し、完全に失われるからである。
【0031】
分離器1における製品流は以下のとおりである。
【0032】
例えばミル(図示せず)又はミルの粉砕チャンバ(図示せず)からの分離材料Sは、分離器入口4としての分離器材料供給部を介して分離器1に供給される。プロセスを大気から分離するために、分離材料Sは、例えば、供給ゲート5としてのロータリーゲートバルブを介して、分離ハウジング3に計量された状態で導入される。粗大材料Gは、粗大過ぎるが故に、更に粉砕されるか或いは再度粉砕され、又は選別され、例えば、粗大材料ゲート6を介して分離器1を離れる。
【0033】
所望の最終仕様を満たす微細材料Fは、分離ホイール2を通過し、分離ガスと共にフィルタ7に搬送され、大気に対して隔離するために、例えば微細材料ゲート8を介してフィルタ7を離れる。分離ガスは、少なくとも大部分が分離ガス圧縮機9又は一般的にプロセスガス圧縮機9に移送され、その圧縮機の上流側には、圧縮機を保護するために例えば安全フィルタ又はポリスフィルタ10が接続されている。
【0034】
以下、図1に概略的に示す例示的な実施形態に関して、分離流、又は分離器との関連で、一般的なプロセスガス流について説明する。
【0035】
図示の例において、例えば分離ガス送風機(ブロワー)9として実現可能であると共にそのように称することができる分離ガス圧縮機は、プロセスガス、特に分離ガスをサイクル内で搬送するために必要な圧力差を発生させる。この場合、有利には、分離/プロセスガス送風機又は分離/プロセスガス圧縮機9は、安定したプロセスガス流、特に分離ガス流を生成するために、プラントによる抵抗の全てを克服可能に構成されるのが好適である。
【0036】
過熱蒸気の形態のプロセスガスは、3つの部分流に分けることができる。
1)分離ガス
2)分離器ギャップをフラッシングするためのクラックガス
3)製品による汚染から軸受を保護するための軸受ガス
【0037】
3つの部分ガス流の全てには過熱蒸気が使用され、それらの合計がプロセスガス流であるが、これら部分流のうち分離ガス流のみが、微細材料Fに関してより高い/より良い微粉度を得るための本発明の態様に関連する。再循環ガスプロセスに可能な限り空気を供給しないことが有利であり、従ってそのようにするのが好適である。空気が供給されると、プロセスガスの希釈及び粘度と密度の変動がもたらされ、分離器における分離が粗大化する。
【0038】
特に、分離器1の軸受(図示せず)のみならず分離ギャップ(図示せず)も過熱蒸気でフラッシュされれば有利であり、その目的のために過熱蒸気は分離ガス流から分岐する。図1における分離器1の例示的な実施形態の更なる構成要素は、パイプライン11、水注入フィッティング12、調整バルブ13、温度センサ14、作動圧力センサ15、供給圧力センサ16、調整バルブ17、給水装置18、並びに排気蒸気出口19である。
【0039】
過熱蒸気は、飽和蒸気温度を下回ると凝縮するため、分離ガス温度は、過熱蒸気を使用する場合、蒸気の凝縮が特にプロセスにおいて生じないように設定される。換言すれば、この場合、必要最小限の分離ガス温度を得る必要がある。
dth = (Th/Tu)0.25
ここに、
dth = 分離ガスの温度に応じた分離粒径
Th = 分離ガスの高温度
Tu = 分離ガスのより低温度
である。
【0040】
過熱蒸気の温度限界:
Tu = 約383 K(飽和蒸気温度よりも約10 K高い)
Th = 約723 K
【0041】
本発明の文脈において注目すべきであると共に、特に分離ガスの温度の選択及び調整において含むべき更なるパラメータ、即ち対応のセンサ及び判定手段により、個別又は任意の組み合わせで、方法及び装置の両方に関して有利に含むべき更なるパラメータは、以下のとおりである:
‐分離器入口における絶対圧力(単位:bar(a))
‐分離材料の温度(単位:K)
‐分離材料Sの熱容量(単位:J/kgK)
‐製品の供給量(単位:Kg/h)
‐分離ガス/プロセスガス圧縮機によるエネルギー入力
‐分離器によるエネルギー入力
‐蒸気を生成すると共に、プロセスガスを冷却するために注入される水の質量(単位:kg/h)
‐環境への放出による熱流損失(単位:W)。これは、十分な絶縁性及びヒートトレースが存在する場合には無視できる(図1の6,7,8参照)。
【0042】
以下、過熱蒸気の生成について例示的により詳細に説明する。
【0043】
再循環ガスプロセスにおいては、エネルギー流が供給及び排出される。再循環ガスプロセスにおける断熱システムの許容可能な仮定においては、エネルギー収支を行うことができる。
【0044】
【0045】
エネルギー流の差は、添加された液体水の蒸発及び過熱に利用される。
【0046】
図示の例示的な実施形態において、給水装置18を介して供給された液体水の添加量は、エネルギー流の差に起因して生じる蒸気がプラントの各スポットで過熱された状態で存在するよう選択されるのが重要である。給水装置18は、分離ガス及びプロセスガスの流れ方向において、分離ガス又はプロセスガス圧縮機の下流側に接続されており、そこではプラント内で最も高い温度レベルが存在、即ち分離器1及びその構成要素の全てが存在する。
【0047】
以下、図示の実施形態における再循環ガスプロセスの温度調整についてより詳細に説明する。
【0048】
プラントの各スポット、即ち分離器1の各スポットで蒸気が過熱状態で存在することを保証するために、プラントの異なるスポットで再循環ガスの温度が測定される。
【0049】
調整変数としては、分離器1の下流側の温度が使用される。予想されるように、この箇所では分離材料の加熱及び出力に起因して最大の温度降下が生じる。この温度降下は、計算で求めることができる。分離器1の下流側における温度に応じて、規定かつ液体状態の水量が分離ガス又はプロセスガス圧縮機の下流側に供給される。供給されるべき水量は、飽和蒸気温度を超える十分な温度差(約dT = 10~100 K)が分離ガス又はプロセスガス圧縮機の上流側に適用されるよう選択される。
【0050】
供給されるべき水量の調整又は調節に関しては、以下のパラメータを考慮することができる。これらパラメータの考慮は、対応のセンサ(図示せず)及び調整又は調節手段20によって実現される。
‐プロセスガス圧縮機の上流側におけるプロセスガスの絶対圧力(単位:bar(a))
‐分離材料Sの熱容量(単位:J/kgK)
‐分離材料の温度(単位:K)
‐製品の供給量(単位:Kg/h)
‐プロセスガス圧縮機によるエネルギー入力
‐分離器によるエネルギー入力
【0051】
プロセスは、水の蒸発エンタルピーによって冷却され、従って一定の温度レベルに維持することができる。この場合、過熱蒸気が生成される。飽和蒸気温度を下回ると凝縮液が生じてプロセスの確実な作動モードが不可能になるため、飽和蒸気温度を下回ることは確実に回避されなくてはならない。飽和蒸気温度は圧力に応じるため、その圧力は、プラント内、即ち分離器1内で連続的に測定されることが好適であり、その圧力から飽和蒸気温度が計算される。実際の温度との調整も、連続的に行われるのが好適である。
【0052】
環境への熱流損失が生じないよう保証するために、プラント全体、即ち分離器1は、好適には、断熱されている。入力要素、特に供給ゲート5としてのロータリーゲートバルブと、出力要素、特に粗大材料ゲート6及び微細材料ゲート8、並びにフィルタ7及び安全フィルタ又はポリスフィルタ10は、有利には、付加的なヒートトレースを有する。
【0053】
以下、例示的な実施形態において、再循環ガスプロセスにおける圧力調整に関する幾つかの詳細も説明する。
【0054】
再循環ガスプロセスにおける入力と出力との間のエネルギー差によって蒸発及び過熱された供給水量は、プラント内の圧力を増加させるため、サイクルから再び離れるよう排出する必要がある。この目的のために、調整バルブ13又は対応の調整フラップを介してプラントの圧力を調整する作動圧力センサ15が分離ハウジング3の上流側に配置されている。これにより、供給された水量及び排出されたガス量に応じて、任意の又は必要なプラント圧力を調整することができる。過熱蒸気に変化するこの水量により、プラント内の空気及び作動中に製品によって供給される空気がプロセスから排出される。
【0055】
供給圧力センサ16及び調整バルブ17による更なる圧力調整は、分離ガス又は分離/プロセスガス圧縮機9の上流側で想定されている。これにより、必要であれば、プラント全体の抵抗を高めることができる。これにより、分離/プロセスガス送風機又は分離/プロセスガス圧縮機によるエネルギー入力が増加する。これは、粗大材料G及び微細材料Fの排出による分離プロセス中に、極めて大きなスループット及びそれに伴うより強力な冷却に際して必要になる場合がある。
【0056】
図2図5は、プラント特性曲線/プロセスパラメータ/作動パラメータを例示的に示す。これに関しては、プロセスパラメータ及び供給されるべき水量が、作動パラメータに応じてどの程度変化するかを示すのに異なる計算が行われた。対応する計算は、1つの分離器タイプに関して例示的に行われた。他の変数へのスケールアップを行うことは可能である。
【0057】
第1サンプル計算において、作動パラメータは図2に示し、プロセスパラメータは図3a及び図3bに示し(明瞭性を高める見地から、図3aにおける測定点A~Iの値は図3bの表に表されている)、第2サンプル計算において、作動パラメータ(分離器1の供給能力の変化、及びプロセスガス圧縮機9の下流側における循環蒸気量の減少及びプラント圧力の低下)は図4に示し、プロセスパラメータは図5に示す(明瞭性を高める見地から、図5aにおける測定点A~Iの値は図5bの表に表されている)。
【0058】
特に粉砕材料の分級用の分離器1のための作動方法及び装置としての分離器1に関しては、個別的な又は組み合わせ可能な効果及び設計オプションとして、プロセスにおける以下の特徴を言及又は強調しなければならない。
‐プロセスガスの選択(より微細な分離及びより高い収率のための過熱蒸気)
‐プロセスガス(過熱蒸気)による軸受のフラッシングにより、プロセスガスの希釈が回避される
‐プロセスガスを温度調整するための液体H2Oの添加
‐プロセスガス(過熱蒸気)を生成するための液体H2Oの添加
‐飽和蒸気温度に応じて、水添加を調整
‐供給及び排出された熱量流に応じて、水添加を調整
‐プラント内の可変圧力調整による飽和蒸気温度の調整
‐蒸発及び過熱が最も効果的に行われるよう、分離ガス/プロセスガス送風機の下流側への水添加
‐分離ガス/プロセスガス送風機のシャフト出力を変化させ、従って分離ガス/プロセスガス圧縮機の上流側における圧力依存調整を介して、プロセスへのエネルギー入力の可変調整を実行
‐断熱システム:フィルタ、入力及び出力要素、並びにパイプラインの断熱材におけるヒートトレースによる熱損失のバランスをとる
‐再循環ガスシステムにおけるプロセスの作動
‐再循環ガスシステムの作動時におけるエネルギー需要は、開放作動時におけるエネルギー需要の約5%
‐開放プロセスにおける作動が可能
【0059】
供給圧力センサ16及び調整バルブ17による更なる圧力調整は、分離ガス又はプロセスガス圧縮機9の上流側で想定されている。これにより、必要であれば、プラント全体の抵抗を高めることができる。これにより、分離/プロセスガス送風機又は分離/プロセスガス圧縮機9によるエネルギー入力が増加する。これは、粗大材料G及び微細材料Fの排出による分離プロセス中に、極めて大きなスループット及びそれに伴うより強力な冷却に際して有利な補償を可能にする。
【0060】
本発明は、本明細書において例示的な実施形態及び好適な実施形態に基づいて例示的にのみ説明され、これに限定されるものではない。当業者であれば、本明細書、特に特許請求の範囲の文脈、本明細書の冒頭における一般的な説明、並びに例示的な実施形態の説明から読み取り、自らの専門知識及び先行技術と組み合わせることのできる全ての変形、修正、代替、並びに組み合わせを含む。本発明における個別的な特徴及び設計可能性の全ては、特に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 分離器
2 分離ホイール
3 分離ハウジング
4 分離器材料供給部、分離器入口
5 供給ゲート
6 粗大材料ゲート
7 フィルタ
8 微細材料ゲート
9 分離ガス送風機又は分離ガス圧縮機又はプロセスガス送風機又はプロセスガス圧縮機
10 安全フィルタ又はポリスフィルタ
11 パイプライン
12 水注入フィッティング
13 調整バルブ
14 温度プローブ、温度センサ
15 作動圧力センサ
16 供給圧力センサ
17 調整バルブ
18 給水装置
19 排気蒸気出口
20 調整又は調節手段
F 微細材料
G 粗大材料
S 分離材料
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
【外国語明細書】