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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075561
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20220511BHJP
   B25F 5/02 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B25F5/00 A
B25F5/02
B25F5/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175793
(22)【出願日】2021-10-27
(31)【優先権主張番号】109138461
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】513033560
【氏名又は名称】朝程工業股▲フン▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】000161909
【氏名又は名称】京都機械工具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鐘 福祥
(72)【発明者】
【氏名】鄭 真真
(72)【発明者】
【氏名】李 國州
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA01
3C064BA06
3C064BB01
3C064BB02
3C064BB03
3C064BB43
3C064BB44
3C064BB45
3C064BB52
3C064BB74
3C064CA05
3C064CA08
3C064CA28
3C064CA56
3C064CB17
3C064CB33
3C064CB35
3C064CB64
3C064CB73
3C064CB92
(57)【要約】      (修正有)
【課題】放熱効率を向上させ、全体の長さを短くした電動工具を提供する。
【解決手段】収容ケースは、内部に収容空間を有すると共に、相対する両端に第1端と第2端を有し、出力機構は、前記収容ケースの第1端に設置され、バッテリは、前記収容ケースの収容空間内に収容されて、該収容ケースの第2端側に配置され、モータは、前記収容ケースの収容空間内に収容されて、該収容ケースの第1端側に配置されると共に出力機構に連結され、制御ユニットは、前記バッテリ及びモータに電気接続されて、該バッテリとモータとの間に配置されるように前記収容ケースの収容空間内に収容されると共に、スイッチ本体と、該スイッチ本体とバッテリとの間に配置される制御基板とを含み、該スイッチ本体における該収容ケースの長手方向に沿って延びる長さは、該収容ケースの径方向に沿って延びる幅よりも長く、該スイッチ本体と収容ケースとの間に二つの放熱通路が形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容ケースと、出力機構と、バッテリと、モータと、制御ユニットとを含む、電動工具であって、
前記収容ケースは、その内部に収容空間を有すると共に、相対する両端に第1端と第2端を有し、
前記出力機構は、前記収容ケースの第1端に設置され、
前記バッテリは、前記収容ケースの収容空間内に収容されて、該収容ケースの第2端側に配置され、
前記モータは、前記収容ケースの収容空間内に収容されて、該収容ケースの第1端側に配置されると共に前記出力機構に連結され、
前記制御ユニットは、前記バッテリ及びモータに電気接続されて、該バッテリとモータとの間に配置されるように前記収容ケースの収容空間内に収容されると共に、スイッチ本体と、該スイッチ本体とバッテリとの間に配置される制御基板とを含み、該スイッチ本体における該収容ケースの長手方向に沿って延びる長さは、該収容ケースの径方向に沿って延びる幅よりも長く、該スイッチ本体と収容ケースとの間に二つの放熱通路が形成されることを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記モータは、前記収容ケースの第2端に向かう、少なくとも一つの空気導入孔を有することを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記収容ケースは、二つのケース体を備え、該各ケース体上に、径方向に貫通する複数のケース放熱孔が形成され、該両ケース体のケース放熱孔がそれぞれ、前記二つの放熱通路において流体連通していることを特徴とする請求項2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記スイッチ本体と前記二つのケース体のうちの一方との間に設置され、前記制御基板に電気接続される電界効果トランジスタを含むことを特徴とする請求項3に記載の電動工具。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記スイッチ本体と前記二つのケース体のうちの一方との間に設置され、前記制御基板に電気接続される還流ダイオードをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の電動工具。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記電界効果トランジスタと結合され、前記二つの放熱通路のうちの一方に配置される放熱プレートを含むことを特徴とする請求項5に記載の電動工具。
【請求項7】
前記還流ダイオードと電界効果トランジスタとは並列に設置されており、前記放熱プレートはさらに該還流ダイオードと結合されることを特徴とする請求項6に記載の電動工具。
【請求項8】
前記放熱プレートが、前記スイッチ本体と、前記電界効果トランジスタ及び還流ダイオードとの間に配置されることを特徴とする請求項7に記載の電動工具。
【請求項9】
前記放熱プレートが、前記二つのケース体のうちの一方と、前記電界効果トランジスタ及び還流ダイオードとの間に配置されることを特徴とする請求項7に記載の電動工具。
【請求項10】
前記制御ユニットが、前記制御基板に電気接続されるキャパシタンスを含み、該キャパシタンスと前記電界効果トランジスタとがそれぞれ、前記スイッチ本体の両側に配置されることを特徴とする請求項4~8のいずれか1項に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具に関し、特に、内部機構が発生する熱を排出するための放熱通路を備える電動工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8及び図9に示すように、一般的なレバースタート式電動工具は、出力軸と、収容ケース71内に収容されるバッテリ、モータ73、及び制御ユニット75などの構成要素とを含み、該出力軸とバッテリはそれぞれ、電動工具の前後に配置され、該モータ73は、該出力軸の後端に連結されて該出力軸を駆動するものであり、該モータ73の後端には空気導入孔731が形成されており、電動工具の動作を制御する該制御ユニット75は、該モータ73とバッテリとの間に配置されると共に、スイッチ本体751及び二つの制御基板753から構成され、そのうちの一方の制御基板753は、該スイッチ本体751とバッテリとの間に配置され、他方の該制御基板753は、放熱プレート755と結合されて、該モータ73とスイッチ本体751との間に配置される。
【0003】
上記の一般的な電動工具は、使用時にモータ73の運転によって発生する熱が電動工具内に蓄積されると、電動工具の過熱の原因となり、内部の部品にダメージを与えてしまう。それを防ぐために、従来の電動工具のモータ73は一般的に放熱ファンを備えており、該放熱ファンを介して、該モータ73内に外気を導入し、該モータ73の後方に設けられた空気導入孔731及び前記収容ケース71の放熱孔から、熱を外部に放出する。
【0004】
しかしながら、該モータ73の後方の空気導入孔731から排出される気流が、該モータ73とスイッチ本体751との間に配置されている放熱プレート755に遮られるので、電動工具の放熱効率の低下の原因となる。また、従来のレバースタート式電動工具の制御ユニット75のスイッチ本体751は、その長手辺が電動工具の軸方向と直交するように前記収容ケース71内に収容され、即ち、該スイッチ本体751の短手辺が、該収容ケース71に隣接するように配置されており、このような構成により、該スイッチ本体751と収容ケース71との間の空間が狭く、空気が流通しにくくなるので、電動工具の放熱効率にも悪影響を及ぼしていた。それに加え、該二つの制御基板753が共にリード線により該スイッチ本体751に接続されており、かつ、該二つの制御基板753がそれぞれ、該スイッチ本体751の前後両側に配置されていることから、該制御ユニット75の寸法が長くなり、ひいては電動工具の全体の長さが長くなる。上述したように、従来の電動工具は、放熱効率の向上かつ全体の長さを抑えるために、構造設計にさらなる改善が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾特許第TWI316448B号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、放熱効率を向上させ、全体の長さを短くするために、スイッチ本体と収容ケースとの間に二つの放熱通路を形成すると共に、制御ユニットのスイッチ本体の寸法を短縮化する、電動工具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、収容ケースと、出力機構と、バッテリと、モータと、制御ユニットとを含む、電動工具であって、
前記収容ケースは、その内部に収容空間を有すると共に、相対する両端に第1端と第2端を有し、
前記出力機構は、前記収容ケースの第1端に設置され、
前記バッテリは、前記収容ケースの収容空間内に収容されて、該収容ケースの第2端側に配置され、
前記モータは、前記収容ケースの収容空間内に収容されて、該収容ケースの第1端側に配置されると共に前記出力機構に連結され、
前記制御ユニットは、前記バッテリ及びモータに電気接続されて、該バッテリとモータとの間に配置されるように前記収容ケースの収容空間内に収容されると共に、スイッチ本体と、該スイッチ本体とバッテリとの間に配置される制御基板とを含み、該スイッチ本体における該収容ケースの長手方向に沿って延びる長さは、該収容ケースの径方向に沿って延びる幅よりも長く、該スイッチ本体と収容ケースとの間に二つの放熱通路が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記技術手段によって、本発明の電動工具は少なくとも以下の優れた点と効果を有する。
【0009】
第一に、本発明において、制御ユニットのスイッチ本体は、その収容ケースの軸方向に沿って延びる長さが、収容ケースの径方向に沿って延びる幅よりも長いことから、その長手辺を収容ケースの軸方向に対して平行するように配置すると共に、短手辺を収容ケースの径方向に対して平行するように配置すれば、スイッチ本体と収容ケースとの間に、二つの放熱通路が形成されることになり、これにより、電動工具内部の気流の流れを円滑にして、放熱効率を向上させ、過熱による不具合を未然に防ぐことが可能となる。
【0010】
第二に、本発明においては、制御基板がよりコンパクトに構成されることにより、配線空間を確保する必要がないので、制御ユニットの寸法を短縮化することができ、ひいては電動工具の全体の長さを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の好適な実施例の斜視図である。
図2】本発明の好適な実施例の分解斜視図である。
図3】本発明の好適な実施例における、部分的な構成要素を示す分解斜視図である。
図4】本発明の好適な実施例における、制御ユニットを示す分解斜視図である。
図5】本発明の好適な実施例における、制御ユニットの他の態様を示す分解斜視図である。
図6】本発明の好適な実施例における、部分的な構成要素の軸方向に沿った断面図である。
図7】本発明の好適な実施例における、径方向に沿った断面図である。
図8】従来技術の電動工具の部分的な分解斜視図である。
図9】従来技術の電動工具の制御ユニットを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面及び本発明の好適な実施例を参照しながら、本発明が予め決められた発明の目的を達成するために講じた技術的手段をさらに詳述する。
【0013】
図1図3に示すように、本発明に係る電動工具は、収容ケース10と、出力機構20と、バッテリ30と、モータ40と、制御ユニット50とを含む。
【0014】
図1図3に示すように、前記収容ケース10は、その内部に収容空間を有すると共に、相対する両端に第1端及び第2端を有する。本発明の好適な実施例において、該収容ケース10は二つのケース体11が対向するように組み合わされて構成され、また、該各ケース体11上には、径方向に貫通する複数のケース放熱孔111が形成されている。
【0015】
図1図3に示すように、前記出力機構20は、前記収容ケース10の第1端に設置され、ソケットなどの先端工具と接続するために用いられる。
【0016】
図1図3に示すように、前記バッテリ30は、前記収容ケース10の収容空間内に収容されて、該収容ケース10の第2端側に配置され、前記モータ40に電力を供給するものである。
【0017】
図1図3に示すように、前記モータ40は、前記収容ケース10の収容空間内に収容されて、該収容ケース10の第1端側に配置されると共に、前記出力機構20に連結されて駆動力を提供するものである。また、前記モータ40には、該収容ケース10の第2端に向かう少なくとも一つの空気導入孔41、及び該収容ケース10に向かう少なくとも一つのモータ放熱孔43が形成され、該モータ40の内部には、外気を該少なくとも一つの空気導入孔41から導入し、該モータ40の運転により発生した熱を、該少なくとも一つのモータ放熱孔43から導出して、前記複数のケース放熱孔111から放出するための、遠心ファン(図示せず)が設けられている。
【0018】
図1図3に示すように、前記制御ユニット50は、前記バッテリ30及びモータ40に電気接続されて、該バッテリ30とモータ40との間に配置されるように、前記収容ケース10の収容空間内に収容され、また、スイッチ本体51、スタートボタン52、制御基板53、放熱プレート54、還流ダイオード55、キャパシタンス56、レバー57及び電界効果トランジスタ58を含む。
【0019】
図4図6及び図7に示すように、前記スイッチ本体51は、前記収容ケース10の長手方向(軸方向)に沿って延びる長さL、及び該収容ケース10の径方向に沿って延びる幅Wを有し、該スイッチ本体51の長さLを長手辺と定義すると共に、幅Wを短手辺と定義し、該スイッチ本体51の長さLは幅Wよりも長いことから、その長手辺を該収容ケース10の軸方向に対して平行に配置すると共に、短手辺を該収容ケース10の径方向に対して平行に配置するように設置すれば、該スイッチ本体51と収容ケース10との間に、二つの放熱通路Cが形成されることになる。
【0020】
図2図4に示すように、前記スタートボタン52は、前記スイッチ本体51に設置され、前記制御基板53は、該スイッチ本体51に結合されて、該スイッチ本体51とバッテリ30との間に介在するように配置される。前記還流ダイオード55及び電界効果トランジスタ58(MOSFET)は、前記制御基板53上に互いに並行するように挿設(並列に設置)されると共に、該制御基板53と電気接続され、該還流ダイオード55及び電界効果トランジスタ58は、該スイッチ本体51と前記二つのケース体11のうちの一方との間に設置されている。前記放熱プレート54は、該還流ダイオード55及び電界効果トランジスタ58と結合され、前記二つの放熱通路Cのうちの一方に配置されている。なお、前記放熱プレート54は、前記スイッチ本体51と、還流ダイオード55及び電界効果トランジスタ58との間に配置されてもよく、又は、図5に示すように、前記還流ダイオード55及び電界効果トランジスタ58と、前記二つのケース体11のうちの一方との間に配置されてもよく、更に、該放熱プレート54は、比熱の小さい大面積の金属材料で構成されることが好ましい。前記還流ダイオード55の設置により、前記スイッチ本体51へのサージ電流の発生を防止する電流保護機能が具備される。
【0021】
図2図4に示すように、前記還流ダイオード55及び電界効果トランジスタ58はそれぞれ、三つの端子ピンを有することが好ましいが、これに限定されるものではない。本発明の好適な実施例における該還流ダイオード55が持つ三つの端子ピン、及び電界効果トランジスタ58が持つ三つの端子ピンはいずれも、前記制御基板53に電気接続されており、前記キャパシタンス56も同様に、該制御基板53に電気接続されている。また、該キャパシタンス56と、該還流ダイオード55及び電界効果トランジスタ58とは、前記スイッチ本体51の両側辺に配置されている。前記レバー57は、前記スタートボタン52の設置位置に対応するように前記収容ケース10に押圧操作可能に装着され、該レバー57の押圧操作により、該スタートボタン52を押し込んで、本発明の電動工具を作動させる。
【0022】
上記の技術手段によって、本発明の電動工具は、以下に示すような優れた点と効果を有する。
【0023】
第一に、本発明における制御ユニット50のスイッチ本体51の長さLを幅Wよりも長く設定することにより、該スイッチ本体51と収容ケース10との間に、二つの放熱通路Cが形成されることから、電動工具内部の気流の流れを円滑にして、放熱効率を向上させる効果をもたらす。
【0024】
第二に、本発明における制御ユニット50の制御基板53が、スイッチ本体51とバッテリ30との間に配置されることで、制御基板53がモータ40の後方の空気導入孔41を遮ることを回避できるので、放熱効率を一層向上させることができる。さらに、制御基板53をよりコンパクトにすることにより、配線空間を確保する必要がなくなることから、制御ユニット50の寸法を短縮化することができ、ひいては電動工具の全体の長さを抑えることが可能となる。
【0025】
第三に、本発明において、制御基板53に還流ダイオード55を設置することにより、スイッチ本体51においてのサージ電流の発生を防止できる電流保護機能を提供することができる。
【符号の説明】
【0026】
10 収容ケース
11 ケース体
111 ケース放熱孔
20 出力機構
30 バッテリ
40 モータ
41 空気導入孔
43 モータ放熱孔
50 制御ユニット
51 スイッチ本体
52 スタートボタン
53 制御基板
54 放熱プレート
55 還流ダイオード
56 キャパシタンス
57 レバー
58 電界効果トランジスタ
71 収容ケース
73 モータ
75 制御ユニット
731 空気導入孔
751 スイッチ本体
753 制御基板
755 放熱プレート
C 放熱通路
L 長さ
W 幅

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9