(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075675
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】タンニン酸を含有する組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7024 20060101AFI20220511BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220511BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220511BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20220511BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220511BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20220511BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220511BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220511BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20220511BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20220511BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220511BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20220511BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20220511BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20220511BHJP
A61K 36/22 20060101ALI20220511BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220511BHJP
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A61K 9/68 20060101ALI20220511BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20220511BHJP
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A61K 36/185 20060101ALI20220511BHJP
A61K 36/87 20060101ALI20220511BHJP
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C12N 9/99 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
A61K31/7024
A61K45/00
A61P25/00
A61P3/04
A61P43/00 111
A61P3/06
A61P3/10
A61P27/02
A61P25/24
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A61P25/28
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A61K36/22
A61K9/20
A61K9/48
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A61K36/82
A61K36/185
A61K36/87
A61K36/49
A61K36/48
A61K36/54
A23L33/105
C12N9/99
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022024942
(22)【出願日】2022-02-21
(62)【分割の表示】P 2018551820の分割
【原出願日】2017-03-28
(31)【優先権主張番号】62/313,946
(32)【優先日】2016-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/458,216
(32)【優先日】2017-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518343246
【氏名又は名称】シニュークス インターナショナル(タイワン)コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】クオチョアン エミル サイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン チン-チョン
(57)【要約】
【課題】タンニン酸を含有する組成物を提供すること。
【解決手段】タンニン酸、特に3以上のガロイル部分を有するタンニン酸を含む組成物(例えば、医薬組成物、栄養補助組成物又は医療用食品組成物)、その調製方法、及び肥満、高脂血症、糖尿病、又は中枢神経系障害を治療するためのその使用。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)タンニン酸又はその許容される塩の混合物、及び(ii)担体を含む組成物であって、ここで前記組成物が、4未満のガロイル部分を有するタンニン酸を実質的に含まない、組成物。
【請求項2】
タンニン酸の前記混合物が、4~10のガロイル部分を有するタンニン酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
タンニン酸の前記混合物が、5~12のガロイル部分を有するタンニン酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
タンニン酸の前記混合物が、5~10のガロイル部分を有するタンニン酸を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
タンニン酸の前記混合物が、8~12のガロイル部分を有するタンニン酸を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記混合物中の前記タンニン酸の20%以下が、1~5のガロイル部分を有する、請求項1~5の何れか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記混合物中の前記タンニン酸の少なくとも50%が、6~12のガロイル部分を有する、請求項1~6の何れか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記混合物中の前記タンニン酸の少なくとも50%が、8~12のガロイル部分を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
タンニン酸の前記混合物が、Rhus chinensis、Rhus javanica、Rhus semialata、Rhus coriaria、Rhus potaninii、Rhus punjabensis var. sinica (Diels) Rehder & E.H. Wilson、Camellia sinensis、Berry、Bixa orellana、Vitis vinifera、Punica granatum、Quercus infectoria、Quercus cerris、Acacia mearnsii、Pseudotsuga menziesii、Caesalpinia spinosa、Fagus hayata Palib. ex Hayata、及びMachilus thunbergii Sieb. & Zucc.からなる群から選択される少なくとも植物ソース由来のタンニン酸を含む、請求項1~8の何れか1項に記載の組成物。
【請求項10】
タンニン酸の前記混合物が、Rhus chinensis、Rhus javanica、Rhus semialata、Rhus coriaria、Rhus potaninii、及びRhus punjabensis var. sinica (Diels) Rehder & E.H. Wilsonからなる群から選択される少なくとも植物ソース由来のタンニン酸を含む、請求項1~8の何れか1項に記載の組成物。
【請求項11】
タンニン酸の前記混合物が、Rhus chinensis、Rhus potaninii、及びRhus punjabensis var. sinica (Diels) Rehder & E.H. Wilsonからなる群から選択される少なくとも植物ソース由来のタンニン酸を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
タンニン酸の前記混合物が、Andricus kollari、Andricus fecundatrix、Andricus quercuscalicis、Andricus quercuscalicis、Biorhiza pallida、Neuroterus quercusbaccarum、Neuroterus albipes、Neuroterus numismalis、Cynips quercusfolii、Melaphis chinensis (Bell)、Melaphis peitan Tsai et Tang、Nurudea sinica Tsai et Tang、Nurudea shiraii Matsumura、Nurudea rosea Matsumura、Meitanaphis elongallis Tsai et Tang、Macrorhinarium ensigallis Tsai et Tang、Macrorhinarium ovagallis Tsai et Tang、Floraphis meitanensis Tsai et Tang、Meitanaphis flavogallis Tang、Kaburagia rhusicola Takagi、Kaburagia ovatihuicola Xiang、Kaburagia ensigallis Tsai et Tang、Kaburagia ovogallis、Kaburagia thusicola Takagi、Meitanaphis microgallis Xiang、及びFloraphis choui Xiangからなる群から選択されるネスティング昆虫(nesting insect)を必要とする少なくとも植物ソース由来のタンニン酸を含む、請求項1~8の何れか1項に記載の組成物。
【請求項13】
タンニン酸の前記混合物が、Melaphis chinensis (Bell)、Melaphis peitan Tsai et Tang、Nurudea sinica Tsai et Tang、Nurudea shiraii Matsumura、Nurudea rosea Matsumura、Meitanaphis elongallis Tsai et Tang、Macrorhinarium ensigallis Tsai et Tang、Macrorhinarium ovagallis Tsai et Tang、Floraphis meitanensis Tsai et Tang、Meitanaphis flavogallis Tang、Kaburagia rhusicola Takagi、Kaburagia ovatihuicola Xiang、Kaburagia ensigallis Tsai et Tang、Kaburagia ovogallis、Kaburagia thusicola Takagi、Meitanaphis microgallis Xiang、及びFloraphis choui Xiangからなる群から選択されるネスティング昆虫を必要とする少なくとも植物ソース由来のタンニン酸を含む、請求項1~8の何れか1項に記載の組成物。
【請求項14】
タンニン酸の前記混合物が、ネスティング昆虫を必要とする少なくとも植物ソースの中国ベリー型没食子(Chinese belly-shaped gallnut)、角型没食子(horned gallnut)、硬剣状型没食子(hard ensiform gallnut)、卵硬剣状型没食子(egg-hard ensiform gallnut)、及び花房没食子(inflorescence gallnut)からなる群から選択される没食子由来のタンニン酸を含む、請求項1~8の何れか1項に記載の組成物。
【請求項15】
タンニン酸の前記混合物が、ネスティング昆虫を必要とする少なくとも植物ソースの中国角型没食子(Chinese horned gallnut)からなる群から選択される没食子由来のタンニン酸を含む、請求項1~8の何れか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記没食子が、1~8cmの範囲の直径を有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記没食子が、2~6cmの範囲の直径を有する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
タンニン酸の前記混合物が、前記組成物中の全タンニン酸含量の少なくとも95重量%を構成する、請求項1~17の何れか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、第2の治療薬をさらに含む、請求項1~18の何れか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記第2の治療薬が、抗肥満薬である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記抗肥満薬が、オルリスタット(orlistat)、ロルカセリン(lorcaserin)、シブトラミン(sibutramine)、リモナバント(rimonabant)、メトホルミン(metformin)、エクセナチド(exenatide)、プラリンチド(pralintide)、フェンテルミン(phentermine)、フェンフルラミン(fenfluramine)、デクスフェンフルラミントピラマート(dexfenfluramine topiramate)、ジニトロフェノール(dinitrophenol)、ブプロピオン(bupropion)、及びゾニサミド(zonisamide)からなる群から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記第2の治療薬が、中枢神経系(CNS)障害を治療するための薬剤である、請求項19の組成物。
【請求項23】
CNS障害を治療するための前記薬剤が、抗うつ薬、抗精神病薬、精神刺激薬、気分安定剤、抗不安薬、注意欠陥多動障害(ADHD)を治療する薬剤及びアルツハイマー病(AD)を治療する薬剤からなる群から選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
CNS障害を治療するための前記薬剤が、ブチロフェノン(butyrophenone)、フェノチアジン(phenothiazine)、フルフェナジン(fluphenazine)、ペルフェナジン(perphenazine)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)、チオリダジン(thioridazine)、トリフルオペラジン(trifluoperazine)、メソリダジン(mesoridazine)、プロマジン(promazine)、トリフルプロマジン(triflupromazine)、レボメプロマジン(levomepromazine)、プロメタジン(promethazine)、チオキサンテン(thioxanthene)、クロルプロチキセン(chlorprothixene)、フルペンチキソール(flupenthixol)、チオチキセン(thiothixene)、ズクロペンチキソール(zuclopenthixol)、クロザピン(clozapine)、オランザピン(olanzapine)、リスペリドン(risperidone)、クエチアピン(quetiapine)、ジプラシドン(ziprasidone)、アミスルプリド(amisulpride)、アセナピン(asenapine)、パリペリドン(paliperidone)、アリピプラゾール(aripiprazole)、ラモトリジン(lamotrigine)、メマンチン(memantine)、テトラベナジン(tetrabenazine)、カンナビジオール(cannabidiol)、LY2140023、ドロペリドール(droperidol)、ピモジド(pimozide)、ブタペラジン(butaperazine)、カルフェナジン(carphenazine)、レモキシプリド(remoxipride)、ピペラセタジン(piperacetazine)、スルピリド(sulpiride)、アカンプロセート(acamprosate)及びテトラベナジン(tetrabenazine)からなる群から選択される抗精神病薬である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
CNS障害を治療するための前記薬剤が、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、三環系抗うつ薬(TCA)、四環系抗うつ薬(TeCA)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ノルアドレナリン作動性及び特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NASSA)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害剤、ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤、及びセロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)からなる群から選択される抗うつ薬である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記抗うつ薬が、フルオキセチン(fluoxetine)、パロキセチン(paroxetine)、シタロプラム(citalopram)、エスシタロプラム(escitalopram)、セルトラリン(sertraline)、フルボキサミン(fluvoxamine)、ベンラファキシン(venlafaxine)、ベラファキシン(velafaxine)XR、ミルナシプラン(milnacipram)、デュロキセチン(duloxetine)、ミルタザピン(mirtazapine)、ミアンセリン(mianserin)、レボキセチン(reboxetine)、ブプロピオン(bupropion)、アミトリプチリン(amitriptyline)、ノルトリプチリン(nortriptiline)、プロトリプチリン(protriptyline)、デシプラミン(desipramine)、イミプラミン(imipramine)、トリミプラミン(trimipramine)、アモキサピン(amoxapine)、ブプロピオン(bupropion)、ブプロピオン(bupropion)SR、クロミプラミン(clomipramine)、ドキセピン(doxepin)、イソカルボキサジド(isocarboxazid)、トラニルシプロミン(tranylcypromine)、トラゾドン(trazodone)、ネファゾドン(nefazodone)、フェネルジン(phenelzine)、ラマトロギン(lamatrogine)、リチウム(lithium)、トピラマート(topiramate)、ガバペンチン(gabapentin)、カルバマゼピン(carbamazepine)、オキシカルバゼピン(oxacarbazepine)、バルプロエート(valporate)、マプロチリン(maprotiline)、ブロファミン(brofaromine)、ゲペロン(gepirone)、モクロベミド(moclobemide)、イソニアジド(isoniazid)、及びイプロニアジド(iproniazid)からなる群から選択される、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、経口投与用に製剤化される、請求項1~26の何れか1項に記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物が、健康食品又は医療用食品である、請求項1~27の何れか1項に記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物が、錠剤、カプセル、ソフトチュー(soft chew)、又はゲルである、請求項1~28の何れか1項に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物が、薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物である、請求項1~27の何れか1項に記載の組成物。
【請求項31】
前記医薬組成物が、経口投与又は非経口投与用に製剤化される、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
(i)タンニン酸又はその許容される塩、及び(ii)担体を含む組成物であって、ここで、前記タンニン酸が、4~12のガロイル部分からなる群から選択される複数のガロイル部分を含み、及びここで、前記タンニン酸が、前記組成物中に前記全タンニン酸含量の少なくとも90%(w/w)を構成する、組成物。
【請求項33】
前記タンニン酸が、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12のガロイル部分を有する、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記タンニン酸が、6、7、8、9、10、11、又は12のガロイル部分を有する、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記タンニン酸が、8、9、10、11、又は12のガロイル部分を有する、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記タンニン酸が、前記組成物中に前記全タンニン酸含量の少なくとも95重量%を構成する、請求項32~35の何れか1項に記載の組成物。
【請求項37】
前記組成物が、第2の治療薬を含む、請求項28~36の何れか1項に記載の組成物。
【請求項38】
前記第2の治療薬が、抗肥満薬である、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記抗肥満薬が、オルリスタット、ロルカセリン、シブトラミン、リモナバント、メトホルミン、エクセナチド、プラリンチド、フェンテルミン、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミントピラメート、ジニトロフェノール、ブプロピオン、及びゾニサミドからなる群から選択される、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記第2の治療薬が、中枢神経系(CNS)障害を治療するための薬剤である、請求項37に記載の組成物。
【請求項41】
CNS障害を治療するための前記薬剤が、抗うつ薬、抗精神病薬、精神刺激薬、気分安定剤、抗不安薬、注意欠陥多動障害(ADHD)を治療する薬剤又はアルツハイマー病(AD)を治療する薬剤からなる群から選択される、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
CNS障害を治療するための前記薬剤が、ブチロフェノン、フェノチアジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオリダジン、トリフルオペラジン、メソリダジン、プロマジン、トリフルプロマジン、レボメプロマジン、プロメタジン、チオキサンテン、クロルプロチキセン、フルペンチキソール、チオチキセン、ズクロペンチキソール、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、アミスルプリド、アセナピン、パリペリドン、アリピプラゾール、ドーパミン部分アゴニスト、ラモトリジン、テトラベナジン、カンナビジオール、LY2140023、ドロペリドール、ピモジド、ブタペラジン、カルフェナジン、レモキシプリド、ピペラセタジン、スルピリド、アカンプロセート、及びテトラベナジンからなる群から選択される抗精神病薬である、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
CNS障害を治療するための前記薬剤が、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、三環系抗うつ薬(TCA)、四環系抗うつ薬(TeCA)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ノルアドレナリン作動性及び特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NASSA)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害剤、ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤、及びセロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)からなる群から選択される抗うつ薬である、請求項41に記載の組成物。
【請求項44】
前記抗うつ薬が、フルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、セルトラリン、フルボキサミン、ベンラファキシン、ベラファキシンXR、ミルナシプラン、デュロキセチン、ミルタザピン、ミアンセリン、レボキセチン、ブプロピオン、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、デシプラミン、イミプラミン、トリミプラミン、アモキサピン、ブプロピオン、ブプロピオンSR、クロミプラミン、ドキセピン、イソカルボキサジド)、トラニルシプロミン、トラゾドン、ネファゾドン、フェネルジン、ラマトロギン、リチウム、トピラマート、ガバペンチン、カルバマゼピン、オキシカルバゼピン、バルプロエート、マプロチリン、ブロファミン、ゲペロン、モクロベミド、イソニアジド、及びイプロニアジドからなる群から選択される、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記組成物が、経口投与用に製剤化される、請求項32~44の何れか1項に記載の組成物。
【請求項46】
前記組成物が、健康食品又は医療用食品である、請求項32~45の何れか1項に記載の組成物。
【請求項47】
前記組成物が、錠剤、カプセル、ソフトチュー、又はゲルである、請求項32~46の何れか1項に記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物が、薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物である、請求項32~44の何れか1項に記載の組成物。
【請求項49】
前記医薬組成物が、経口投与又は非経口投与用に製剤化される、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
肥満、高脂血症、糖尿病、又は中枢神経系(CNS)障害を治療する方法であって、請求項1~49の何れか1項に記載の組成物の有効量を、それを必要とする被験者に投与することを含む、方法。
【請求項51】
前記CNS障害が、ADHD、学習障害、統合失調症、疼痛、うつ病、自殺念慮及び/又は行動、双極性障害、チック症、外傷後ストレス障害、不安症、社会的不安障害、パニック障害、自閉症、アスペルガー障害、強迫性障害(OCD)、学習障害、トゥレット症候群、軽度認知障害、認知症、自殺念慮、行動血管性認知症、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、パーキンソン病、ハンチントン病、夜尿症、眼瞼痙攣、脳マラリア及び非てんかん発作からなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記被験者が、肥満であるか、又は肥満であることが疑われる被験者である、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記ヒト患者が、肥満の治療を受けているか、又は肥満の治療中である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記被験者が、前記CNS障害を有するか又は有すると疑われるヒト患者である、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項55】
前記ヒト患者が、前記CNS障害を治療するために供されるか、又は前記CNS障害を治療するために治療中である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
中枢神経系(CNS)障害を治療する方法であって、(i)1つ以上のタンニン酸又はその薬学的に許容される塩、及び(ii)薬学的に許容される担体を含む有効量の医薬組成物を、それを必要とする被験者に投与することを含み、ここで、前記医薬組成物が、濃縮タンニン及び/又はフロロタンニンを実施素敵に含まない; 及び前記CNS障害が、精神病、不安症、うつ病、自殺燃料及び/又は行動、自閉症、OCD、躁病、トゥレット症候群、並びに行動及び心理的徴候の認知症(BPSD)からなる群から選択される、方法。
【請求項57】
タンニン酸組成物を調製する方法であって、
(i)植物の没食子を用意すること;
(ii)前記没食子を粉砕し没食子粉末を形成すること;
(iii)前記没食子粉末を第1の溶媒で抽出して第1のタンニン酸抽出物を産生すること;
(iv)前記タンニン酸抽出物を木炭、CaSO4、MgSO4又はそれらの組合せと接触させ、前記木炭に吸着された物質又はCaSO4若しくはMgSO4によって沈殿した物質を除去し、それによって第1のタンニン酸組成物を産生すること;
を含む方法。
【請求項58】
(v)前記第1のタンニン酸組成物を第2の溶媒に溶解し溶液を形成すること、(vi)前記溶液に塩化メチレン(CH2Cl2)又はジクロロエタンを加えること、及び(vii)このように形成された固体物質を回収し、それによって第2のタンニン酸組成物を産生すること、
をさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
工程(iii)の後で工程(iv)の前に、前記第1のタンニン酸抽出物から2~5のガロイル部分を有するタンニン酸を除去し、第2のタンニン酸抽出物を形成する工程をさらに含む、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項60】
前記植物が、Rhus chinensis、Rhus javanica、Rhus semialata、Rhus coriaria、Rhus potaninii、Rhus punjabensis var. sinica (Diels) Rehder & E.H. Wilson、Camellia sinensis、Berry、Bixa orellana、Vitis vinifera、Punica granatum、Quercus infectoria、Quercus cerris、Acacia mearnsii、Pseudotsuga menziesii、Caesalpinia spinosa、Fagus hayata Palib. ex Hayata、及びMachilus thunbergii Sieb. & Zucc.からなる群から選択される、請求項57~59の何れか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記植物が、Rhus chinensis、Rhus javanica、Rhus semialata、Rhus coriaria、Rhus potaninii、及びRhus punjabensis var. sinica (Diels) Rehder & E.H. Wilsonからなる群から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記方法が、工程(iii)の前及び工程(ii)の後に、没食子粉末を20~60メッシュのふるいに通す工程をさらに含む、請求項57~61の何れか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記第1の溶媒が、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ヘキサン、又はそれらの組合せを含む、請求項57~62の何れか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記除去工程が、前記第1のタンニン酸抽出物と(i)アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、又は酢酸エチル、及び(ii)ペンタン、ヘキサン、又はヘプタンの組合せである溶媒を混合し、2つの有機層を形成することによって実施され; 油層を回収しタンニン酸抽出物を産生する、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記溶媒が、メチルエチルケトンとヘキサンの組合せ、又は酢酸エチルとヘキサンの組合せである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記第2の溶媒が、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、又はそれらの組合せである、請求項58に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年3月28日に出願された米国仮出願62/313,946及び2017年2月13日に出願された米国仮出願62/458,216に基づく優先権を主張しており、その内容は、本明細書において出典明記により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
タンニンは、例えば、Rhus chinensis、Rhus javanica、Rhus semialata、Rhus coriaria、Rhus potaninii、Rhus punjabensis var. sinica (Diels) Rehder & E.H. Wilson、Camellia sinensis、Berry、Bixa orellana、Vitis vinifera、Punica granatum、Quercus infectoria、Quercus cerris、Acacia mearnsii、Pseudotsuga menziesii、Caesalpinia spinosa、Fagus hayata Palib. ex Hayata、又はMachilus thunbergii Sieb. & Zucc.等の様々な植物に存在する天然化合物の群である。加水分解性タンニン(タンニン酸としても知られる)、縮合タンニン、及びフロロタンニンを含む3つの主要タンニンのクラスがあり、これは、没食子酸、フラボン、及びフロログルシノールを基本単位としてそれぞれ含む。タンニンは、産業用のパーティクルボード接着剤の一種として、及び耐腐食性のプライマー又は樹脂の製造のために広く用いられている。タンニンは、ヒトの健康に様々な影響を与え得ることも示された。
【0003】
D-アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)は、D-アミノ酸を対応するイミノ酸に酸化するペルオキシソーム酵素である。DAAOは、D-セリンを含む脳内D-アミノ酸の代謝及びグルタミン酸作動性神経伝達の制御に関与することが報告されている。このように、DAAOは、D-セリン及び/又はグルタミン酸作動性神経伝達に関連する中枢神経系(CNS)障害を治療するための標的である。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、タンニン酸、特に3以上のガロイル部分を有するものがDAAOの活性を効果的に阻害するという発見に基づいている。従って、このようなタンニン酸を含有する組成物は、DAAO及び/又はグルタミン酸作動性神経伝達に関連する疾患及び障害、例えば、肥満、糖尿病、高脂血症及びCNS障害の治療に有効であり得る。
【0005】
従って、本開示の一態様は、(i)タンニン酸又はその薬学的に許容される塩の混合物、及び(ii)担体を含む組成物(例えば、医薬組成物、健康食品、又は医療用食品)を特徴とし、ここで、組成物は、4未満のガロイル部分を有するタンニン酸を実質的に含まない。いくつかの実施例において、組成物中のタンニン酸の混合物は、4~10のガロイル部分を有するタンニン酸を含む(例えば、5~10のガロイル部分、5~12のガロイル部分、又は8~12のガロイル部分)。いくつかの実施例において、タンニン酸の混合物は、組成物中の全タンニン酸含量の少なくとも95重量%を構成する。いくつかの実施例において、本明細書に記載のタンニン酸は、組成物中のタンニン酸含量のみである。
【0006】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、1~5のガロイル部分を有するタンニン酸を20%以下(例えば、<15%、<10%又は<5%)で含み得る。選択的に又は追加的に、組成物は、6~12のガロイル部分(例えば、8~12のガロイル部分)を有するタンニン酸を少なくとも50%(例えば、>60%、>70%、又は>80%)で含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のタンニン酸は、限定されないが、Rhus chinensis、Rhus javanica、Rhus semialata、Rhus coriaria、Rhus potaninii、Rhus punjabensis var. sinica (Diels) Rehder & E.H. Wilson、Camellia sinensis、Berry、Bixa orellana、Vitis vinifera、Punica granatum、Quercus infectoria、Quercus cerris、Acacia mearnsii、Pseudotsuga menziesii、Caesalpinia spinosa、Fagus hayata Palib. ex Hayata、又はMachilus thunbergii Sieb. & Zuccを含む、少なくとも植物ソース由来である。
【0008】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のタンニン酸は、Rhus chinensis、Rhus javanica、Rhus semialata、Rhus coriaria、Rhus potaninii、Rhus punjabensis var. sinica (Diels) Rehder & E.H. Wilsonであり得る、少なくとも植物ソース由来である。
【0009】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のタンニン酸は、限定されないが、Andricus kollari、Andricus fecundatrix、Andricus quercuscalicis、Andricus quercuscalicis、Biorhiza pallida、Neuroterus quercusbaccarum、Neuroterus albipes、Neuroterus numismalis、Cynips quercusfolii、Melaphis chinensis (Bell)、Melaphis peitan Tsai et Tang、Nurudea sinica Tsai et Tang、Nurudea shiraii matsumura、Nurudea rosea Matsumura、Meitanaphis elongallis Tsai et Tang、Macrorhinarium ensigallis Tsai et Tang、Macrorhinarium ovagallis Tsai et Tang、Floraphis meitanensis Tsai et Tang、Meitanaphis flavogallis Tang、Kaburagia rhusicola Takagi、Kaburagia ovatihuicola Xiang、Kaburagia ensigallis Tsai et Tang、Kaburagia ovogallis、Kaburagia thusicola Takagi、Meitanaphis microgallis Xiang、又はFloraphis choui Xiangを含むネスティング昆虫(nesting insect)を必要とする少なくとも植物ソース由来である。
【0010】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のタンニン酸は、限定されないが、Melaphis chinensis (Bell)、Melaphis peitan Tsai et Tang、Nurudea sinica Tsai et Tang、Nurudea shiraii matsumura、Nurudea rosea Matsumura、Meitanaphis elongallis Tsai et Tang、Macrorhinarium ensigallis Tsai et Tang、Macrorhinarium ovagallis Tsai et Tang、Floraphis meitanensis Tsai et Tang、Meitanaphis flavogallis Tang、Kaburagia rhusicola Takagi、Kaburagia ovatihuicola Xiang、Kaburagia ensigallis Tsai et Tang、Kaburagia ovogallis、Kaburagia thusicola Takagi、Meitanaphis microgallis Xiang、又はFloraphis choui Xiangを含むネスティング昆虫を必要とする少なくとも植物ソース由来である。
【0011】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のタンニン酸は、ネスティング昆虫を必要とする少なくとも1つの植物ソースの中国ベリー型没食子(Chinese belly-shaped gallnut)、角型没食子(horned gallnut)、硬剣状型没食子(hard ensiform gallnut)、卵硬剣状型没食子(egg-hard ensiform gallnut)、及び花房没食子(inflorescence gallnut)から選択される没食子由来である。
【0012】
他の態様において、本開示は、(i)タンニン酸又はその許容される塩、及び(ii)担体を含む組成物を提供し、ここで、タンニン酸は、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12のガロイル部分を含む。タンニン酸は、組成物中の全タンニン酸含量の少なくとも90%(w / w)を構成し得る。いくつかの実施形態において、タンニン酸は、組成物中の全タンニン酸含量の少なくとも95重量%を構成する。
【0013】
本明細書に記載のタンニン酸組成物を調製する方法も本明細書で提供される。そのような方法は、(i)植物の没食子(例えば、本明細書に記載の何れかの植物ソース)を提供すること; (ii)没食子を摩砕し没食子粉末を形成すること; (iii)没食子粉末を第1の溶媒で抽出し、第1のタンニン酸抽出物を産生すること; 及び(iv)タンニン酸抽出物を炭、CaSO4、MgSO4又はそれらの組合せと接触させ、炭に吸着した物質若しくはCaSO4、又はMgSO4によって沈殿した物質を除去することを含み得、それによって、第1のタンニン酸組成物を産生する。必要に応じて、前記方法は、(v)第1のタンニン酸組成物を第2の溶媒に溶解し溶液を形成すること、(vi)溶液に塩化メチレン(CH2Cl2)又はジクロロエタンを加えること、及び(vii)このようにして形成された固形物質を回収することをさらに含み得、それによって、第2のタンニン酸組成物を産生する。工程(iii)において用いられる第1の溶媒の例は、限定されないが、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ヘキサン、又はこれらの組合せを含む。工程(v)において用いられる第2の溶媒の例は、限定されないが、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、又はそれらの組合せを含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の調製方法の何れかは、2~5のガロイル部分を有するタンニン酸を除去して濃縮タンニン酸抽出物を形成する工程をさらに含み得る。前記除去工程は、第1のタンニン酸抽出物と溶媒を混合することにより行うことができ、(i)アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、又は酢酸エチルの何れか1つ、及び(ii)ペンタン、ヘキサン、又はヘプタンの何れか1つ、の組合せであり得、2つの有機層を形成し、油層を回収して濃縮タンニン酸抽出物を産生する。場合によっては、溶媒は、メチルエチルケトン/ヘキサン、又は酢酸エチル/ヘキサンを含む。いくつかの実施形態において、前記除去工程は、工程(iii)の後で且つ、工程(iv)の前に行うことが出来る。
【0015】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の何れかの調製方法は、工程(iii)の前で且つ、工程(ii)の後に、没食子粉末を20~60メッシュのふるいに通す工程をさらに含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の何れかの組成物は、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。そのような医薬組成物は、第2の治療薬をさらに含み得る。
【0017】
いくつかの実施例において、第2の治療薬は、限定されないが、オルリスタット(orlistat)、ロルカセリン(lorcaserin)、シブトラミン(sibutramine)、リモナバント(rimonabant)、メトホルミン(metformin)、エクセナチド(exenatide)、プラリンチド(pralintide)、フェンテルミン(phentermine)、フェンフルラミン(fenfluramine)、デクスフェンフルラミントピラマート(dexfenfluramine topiramate)、ジニトロフェノール(dinitrophenol)、ブプロピオン(bupropion)、及びゾニサミド(zonisamide)を含む抗肥満薬である。
【0018】
他の実施例において、第2の治療薬は、中枢神経系(CNS)障害を治療するための薬剤である。そのような薬剤は、抗うつ薬、抗精神病薬、精神刺激薬、気分安定剤、抗不安薬、注意欠陥多動障害(ADHD)を治療する薬剤又はアルツハイマー病(AD)を治療する薬剤であり得る。
【0019】
抗精神病薬の例は、限定されないが、ブチロフェノン(butyrophenone)、フェノチアジン(phenothiazine)、フルフェナジン(fluphenazine)、ペルフェナジン(perphenazine)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)、チオリダジン(thioridazine)、トリフルオペラジン(trifluoperazine)、メソリダジン(mesoridazine)、プロマジン(promazine)、トリフルプロマジン(triflupromazine)、レボメプロマジン(levomepromazine)、プロメタジン(promethazine)、チオキサンテン(thioxanthene)、クロルプロチキセン(chlorprothixene)、フルペンチキソール(flupenthixol)、チオチキセン(thiothixene)、ズクロペンチキソール(zuclopenthixol)、クロザピン(clozapine)、オランザピン(olanzapine)、リスペリドン(risperidone)、クエチアピン(quetiapine)、ジプラシドン(ziprasidone)、アミスルプリド(amisulpride)、アセナピン(asenapine)、パリペリドン(paliperidone)、アリピプラゾール(aripiprazole)、ラモトリジン(lamotrigine)、メマンチン(memantine)、カンナビジオール(cannabidiol)、LY2140023、ドロペリドール(droperidol)、ピモジド(pimozide)、ブタペラジン(butaperazine)、カルフェナジン(carphenazine)、レモキシプリド(remoxipride)、ピペラセタジン(piperacetazine)、スルピリド(sulpiride)、アカンプロセート(acamprosate)及びテトラベナジン(tetrabenazine)を含む。
【0020】
前記抗うつ薬は、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、三環系抗うつ薬(TCA)、四環系抗うつ薬(TeCA)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ノルアドレナリン作動性及び特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NASSA)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害剤、ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤、又はセロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)であり得る。その例には、限定されないが、フルオキセチン(fluoxetine)、パロキセチン(paroxetine)、エスシタロプラム(escitalopram)、シタロプラム(citalopram)、セルトラリン(sertraline)、フルボキサミン(fluvoxamine)、ベンラファキシン(venlafaxine)、ミルナシプラン(milnacipram)、デュロキセチン(duloxetine)、ミルタザピン(mirtazapine)、ミアンセリン(mianserin)、レボキセチン(reboxetine)、ブプロピオン(bupropion)、アミトリプチリン(amitriptyline)、ノルトリプチリン(nortriptiline)、プロトリプチリン(protriptyline)、デシプラミン(desipramine)、トリミプラミン(trimipramine)、アモキサピン(amoxapine)、ブプロピオン(bupropion)、クロミプラミン(clomipramine)、デシプラミン(desipramine)、ドキセピン(doxepin)イソカルボキサジド(isocarboxazid)、トラニルシプロミン(tranylcypromine)、トラゾドン(trazodone)、ネファゾドン(nefazodone)、フェネルジン(phenelzine)、ラマトロギン(lamatrogine)、リチウム(lithium)、トピラマート(topiramate)、ガバペンチン(gabapentin)、カルバマゼピン(carbamazepine)、オキシカルバゼピン(oxacarbazepine)、バルプロエート(valporate)、マプロチリン(maprotiline)、ブロファミン(brofaromine)、ゲペロン(gepirone)、モクロベミド(moclobemide)、イソニアジド(isoniazid)、及びイプロニアジド(iproniazid)を含む。
【0021】
本明細書に記載の医薬組成物の何れかは、経口投薬用又は非経口投薬用に製剤化され得る。
【0022】
他の実施形態において、前記組成物は、食用担体を含み得る健康食品(例えば、機能性食品組成物)又は医療用食品である。そのような組成物は、錠剤、カプセル剤、ソフトチュー、又はゲルとして製剤化され得る。
【0023】
さらに別の態様において、本開示は、(i)1つ以上のタンニン酸又はその薬学的に許容される塩及び(ii)薬学的に許容される担体を含む有効量の組成物(例えば、医薬組成物、健康食品、又は医療用食品)を、それを必要とする被験者に投与することを含む、DAAOに関連する疾患又は障害を治療する方法を特徴とし、ここで、前記医薬組成物は、濃縮タンニン及び/又はフロロタンニンを実質的に含まない。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法によって治療される標的疾患は、疼痛、精神病、不安症、うつ病、自殺念慮及び/又は行動、自閉症、OCD、躁病、トゥレット症候群、認知症、並びに行動及び心理的徴候の認知症(BPSD)であり得るCNS障害である。
【0024】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の治療方法に用いる組成物は、本明細書に記載の医薬組成物、健康食品及び/又は医療用食品の何れかであり得る。そのような組成物は、肥満を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態において、治療を必要とする被験者は、肥満を有する又は肥満を有すると疑われるヒト患者である。他の実施例において、被験者は、肥満に罹患しているか、又は肥満の治療を受けているヒト患者である。
【0025】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、中枢神経系(CNS)障害の治療に用いるためのものである。例示的なCNS障害は、限定されないが、ADHD、統合失調症、疼痛、うつ病、自殺念慮及び/又は行動、双極性障害、チック症、外傷後ストレス障害、不安症、社会的不安障害、パニック障害、自閉症、アスペルガー障害、強迫性障害(OCD)、学習障害、トゥレット症候群、軽度認知障害、認知症、血管性認知症、多発脳梗塞性認知症、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、夜尿症、眼瞼痙攣、及び非てんかん発作を含む。いくつかの実施例において、治療を必要とする被験者は、CNS障害を有するか、又は有すると疑われるヒト患者である。他の実施例において、被験者は、CNS障害を治療されているか、又はCNS障害を治療するための処置を受けているヒト被検者である。
【0026】
また、(i)例えば、本明細書に記載したDAAO及び/又はグルタミン酸作動性神経伝達関連疾患/障害の治療、又は肥満、高脂血症、糖尿病、又はCNS障害の治療に用いられる本明細書に記載された何れかのタンニン酸含有組成物(例えば、医薬組成物、健康食品、又は医療用食品)、及び(ii)本明細書に記載のものを含む何れかの標的疾患/障害の治療に用いる医薬製造におけるそのような組成物の使用も本開示の範囲内である。
【0027】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明に記載される。本発明の他の特徴又は利点は、以下の図面及びいくつかの実施形態の詳細な説明、並びに添付の特許請求の範囲から明らかになると考える。
【0028】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示の特定の態様をさらに実証するために含まれ、これらは、本明細書に記載された特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これらの1つ以上を参照することによってより理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、基(group)としてのタンニン酸が、D-アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)を阻害することを示すチャートである。
【
図2】
図2は、300nMでの異なる数のガロイル部分を有するタンニン酸の抗DAAO活性を示すチャートである。3のガロイル部分は、無視できる活性を示した。4以上のガロイル部分を有するタンニン酸は、3のガロイル部分を有するタンニン酸と比較して、DAAOの阻害に関してより高い活性を示した。ガロイル部分の数が多いほど、DAAOを阻害する効力は強くなる。
【
図3】
図3は、基本的な行動機能、不安症、うつ病、記憶、感覚運動ゲーティング及び認知行動を改善する上でのタンニン酸の活性を検証するための例示的なデザインの概略図である。マウスには、一日おきにビヒクルコントロール又は10mg/kg又は30mg/kgのタンニン酸を注入により投与した。1日おきに処置したマウスの体重を測定した。行動試験は、注入で投与されなかった日に実施した。
【
図4】
図4は、ビヒクルコントロール及びタンニン酸で処置したマウスの種々の用量での処置の間に示した体重変化を示すチャートである。10mg/kgのタンニン酸は、体重増加を抑制し、30mg/kgでは体重を減少させる。
【
図5】
図5は、タンニン酸又はビヒクルコントロールの反復注入後のマウスの自発的な運動活性の低下を示すチャートである。
【
図6】
図6は、種々の用量での単回強制経口投与によるタンニン酸(Merck Millipore、Germany)が用量依存的にマウスにおいて運動活性を低下させたことを示すチャートである。
【
図7】
図7は、ビヒクルコントロールに対するタンニン酸の反復注入後のマウスの不安症様挙動の改善を示す図を含む。パネルA: 各群の忌避期間。パネルB: 各群の嫌悪距離の比率。パネルC: 各群のリスクアセスメントの回数。
【
図8】
図8は、タンニン酸対ビヒクルコントロールの反復注入後のマウスの空間記憶想起の改善されたパフォーマンスを示すチャートである。
【
図9】
図9は、実施例3に記載のMK801で治療するマウスにおけるタンニン酸の効果を検証するための例示的な実験デザインの概略図である。タンニン酸又はビヒクルコントロールの何れかで処理した各マウスの自発的な運動活性及び感覚運動機能を、少なくとも1週間のテスト間隔で、オープンフィールド及びプレパルス阻害のそれぞれでテストした。MK801(又はビヒクル)投与の20分前に、各マウスにタンニン酸(又はビヒクル)を投与した。また、行動テストの20分前に、各マウスにMK801(又はビヒクル)を投与した。
【
図10】
図10は、MK801誘導性高運動を用量依存的に減少させる際の単回経口投与によるタンニン酸の効果を示すチャートである。
【
図11】
図11は、プレパルス阻害を用量依存的に改善する際のタンニン酸の効果を示すチャートである。
【
図12】
図12は、プレパルス阻害に対する異なるソース由来のタンニン酸の改善効果を示すチャートである。
【
図13】
図13は、実施例3に記載のMK801で処置したマウスにおけるタンニン酸の効果を検証するための例示的な実験デザインの概略図である。MK801に加えて、タンニン酸又はビヒクルコントロールの何れかで処置した各マウスの自発的な運動活性及び感覚運動機能が、テスト間に少なくとも1週間の間隔を設けて、オープンフィールド、プレパルス阻害、バーンズ迷路、ショ糖嗜好性のそれぞれによってテストされた。MK801(又はビヒクル)注入の20分前に、タンニン酸(又はビヒクル)が各マウスにi.p.注入された。また、行動テストの20分前に、MK801(又はビヒクル)は、各マウスにi.p.注入された。
【
図14】
図14は、用量依存的にMK-801誘導性運動亢進を改善する際のタンニン酸の効果を示すチャートである。
【
図15】
図15は、用量依存的にMK-801破壊性プレパルス阻害を改善する際のタンニン酸の効果を示すチャートである。
【
図16】
図16は、バーンズ迷路において用量依存的にMK-801破壊性作業記憶を改善する際の効果を示すチャートである。
【
図17】
図17は、用量依存的にMK-801破壊性ショ糖嗜好性を改善する際の効果を示すチャートである。
【
図18】
図18は、フォンフレイ(von Frey)テストでのマウスにおけるタンニン酸の効果を検証するための例示的な実験デザインの概略図である。タンニン酸(又はビヒクル)は、i.p.注入によって各マウスに投与された。
【
図19】
図19は、タンニン酸又はビヒクルコントロール(PBS)の注入後の経時的な足の疼痛逃避閾値(paw withdrawal pain threshold)の改善を示すチャートである。
【
図20】
図20は、Ouercus infectoriaからのタンニン酸を含有する組成物のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図21】
図21は、Rhus chinensisからのタンニン酸を含有する組成物のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図22】
図22は、Rhus chinensisからのタンニン酸を含有する組成物のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図23】
図23は、示された種々の植物ソース由来の没食子から抽出されたタンニン酸のDAAOに対する阻害活性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
タンニン酸は、種々の植物に存在するタンニン酸のサブファミリーである。植物から抽出されるタンニン酸は、2~12のガロイル部分を含むポリガロイルグルコース又はポリガロイルキナ酸エステルの混合物である。以下に、グルコース部分に結合した10のガロイル部分を含む例示的なタンニン酸分子の構造を示す。
【化1】
歴史的に、タンニン酸は、毒を吸収し、出血、発疹及び他の痛みの状態等の短期的な状態を治療するための解毒剤として用いられてきた。
【0031】
本開示は、タンニン酸、特に4以上のガロイル部分を有するタンニン酸が、肥満、高脂血症、糖尿病、及びCNS障害等の様々な疾患及び障害に関与していることが知られているDAAOに対して強い阻害活性を示した発見に基づく。現在の研究では、タンニン酸が首尾よくマウスモデルにおいて体重を減少させ、基本的な行動機能、運動亢進、不安症、うつ病、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶及び認知行動を改善することも示された。さらに、タンニン酸は、N-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDA受容体)のアンタゴニストであるMK801で処置したマウスにレスキュー(rescue)及び保護効果を示した。NMDA受容体は、神経細胞上に発現するグルタミン酸受容体及びイオンチャネルタンパク質であり、シナプス可塑性、修復、神経発達、学習及び記憶機能の制御に重要な役割を果たす。
【0032】
従って、本開示は、治療が必要な被験者に基本的機能、運動亢進、不安症、うつ病、自殺念慮及び/又は行動、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶及び認知行動を改善するため、及び/又はDAAOに関連する疾患及び障害(例えば、肥満及びCNS障害)を治療するためのタンニン酸含有組成物、キット及び使用方法を提供する。
【0033】
I. タンニン酸含有組成物及びそれを含有するキット
本開示の1つの態様は、例えば、医薬組成物、栄養補助食品組成物等の健康食品等の組成物、及び1つ以上のタンニン酸及び薬学的に許容される担体及び/又は可食担体等の担体を含む医療用食品に関する。天然又は非天然(合成)の何れかであるその担体は、例えば、タンニン酸のインビトロ及び/又はインビボ安定性の改善、タンニン酸のバイオアベイラビリティの強化、タンニン酸のバイオアクティビティの増加、及び/又は副作用の低減等の組成物中のタンニン酸の種々の利益をもたらし得る。適切な担体には、限定されないが、希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤、緩衝剤、防腐剤、又はそれらの組合せを含む、いくつかの例において、前記担体は、安息香酸ナトリウム等の安息香酸を含み得る。
【0034】
(A)タンニン酸含有量
本明細書に記載の組成物は、1つ以上のタンニン酸又はその薬学的に許容される塩を含む。用語「薬学的に許容される塩」は、タンニン酸の比較的に非毒性の無機又は有機塩基付加塩を指す。これらの塩は、投与ビヒクル若しくは剤形の製造工程においてその場で調製され得、又は1つ以上のタンニン酸を適切な有機又は無機塩基と別々に反応させ、次いでこのように形成された塩をその後の精製工程で単離することによって調製され得る。適切な無機塩は、限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化鉄(ii)、水酸化鉄(iii)、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、又は水酸化リチウムを含む。適切な有機塩は、限定されないが、ピリジン、メチルアミン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ヒスチジン、ホスファゼン塩基(phosphazene base)、又は水酸化第4級アンモニウム(quaternary ammonium hydroxide)及び水酸化ホスホニウム等の有機カチオンの水酸化物を含む。例えば、Berge et al. (1977) J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照。
【0035】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示された組成物に含まれるタンニン酸は、例えば、2~12、4~12、4~10、5~10、5~12、6~12、又は8~12等の種々の数のガロイル部分を有するタンニン酸の混合物、又はその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施例において、タンニン酸の混合物は、少なくとも4のガロイル部分(例えば、4~12、4~10、4~9、又は4~7のガロイル部分)を有するタンニン酸又はその薬学的に許容される塩を含む。必要に応じて、組成物中のタンニン酸は、3以下のガロイル部分を有するタンニン酸を実質的に含まなくてもよい。本明細書で使用される場合、3以下のガロイル部分を有するタンニン酸を「実質的に含まない」とは、組成物中のそのタンニン酸の総量が10重量%以下であることを意味する。いくつかの実施例において、本明細書に記載の組成物において3以下のガロイル部分を有するタンニン酸の総量は、8%、5%、2%、1%又はそれ以下であり得る。いくつかの実施例において、組成物は3以下のガロイル部分を有するタンニン酸を全く含まない。
【0036】
本明細書に記載される組成物の何れかは、1~5のガロイル部分を有するタンニン酸を20%以下(例えば、18%、15%、12%、10%、5%、又はそれ以下)を含み得る。選択的に又は追加的に、組成物は、6~12のガロイル部分を有するタンニン酸又は8~12のガロイル部分を有するタンニン酸を50%以上(例えば、60%、70%、75%、80%、85%、90%、又はそれ以上)を含み得る。1つの特定の実施例において、組成物は、1~5のガロイル部分を有するタンニン酸を18%以下及び6~12のガロイル部分を有するタンニン酸を60%以上含有する。他の実施例において、組成物は、1~5のガロイル部分を有するタンニン酸を15%以下及び6~12のガロイル部分を有するタンニン酸を70%以上含有する。さらに別の実施形態において、組成物は、1~5のガロイル部分を有するタンニン酸を12%以下及び6~12のガロイル部分を有するタンニン酸を80%以上含有する。あるいは、組成物は、1~5のガロイル部分を有するタンニン酸を10%以下及び6~12のガロイル部分を有するタンニン酸を90%以上含有する。
【0037】
本明細書に開示される組成物を製造するために使用されるタンニン酸又はタンニン酸混合物は、従来の方法によって調製され得る。例えば、タンニン酸の混合物は、限定されないが、Rhus chinensis、Rhus javanica、Rhus semialata、Rhus coriaria、Rhus potaninii、Rhus punjabensis var. sinica (Diels) Rehder & E.H. Wilson、Camellia sinensis、Berry、Bixa orellana、Vitis vinifera、Punica granatum、Quercus infectoria、Quercus cerris、Acacia mearnsii、Pseudotsuga menziesii、Caesalpinia spinosa、Fagus hayata Palib. ex Hayata、or Machilus thunbergii Sieb. & Zucc.を含む少なくとも適切な植物ソースから抽出又は単離され得る。いくつかの実施形態において、本明細書におけるタンニン酸又はタンニン酸混合物は、Rhus chinensis、Rhus javanica、Rhus semialata、Rhus coriaria、Rhus potaninii、又はRhus punjabensis var. sinica (Diels) Rehder & E.H. Wilson.から抽出される。
【0038】
本明細書に記載される植物ソースは、限定されないがAndricus kollari、Andricus fecundatrix、Andricus quercuscalicis、Andricus quercuscalicis、Biorhiza pallida、Neuroterus quercusbaccarum、Neuroterus albipes、Neuroterus numismalis、Cynips quercusfolii、Melaphis chinensis (Bell)、Melaphis peitan Tsai et Tang、Nurudea sinica Tsai et Tang、Nurudea shiraii Matsumura、Nurudea rosea Matsumura、Meitanaphis elongallis Tsai et Tang、Macrorhinarium ensigallis Tsai et Tang、Macrorhinarium ovagallis Tsai et Tang、Floraphis meitanensis Tsai et Tang、Meitanaphis flavogallis Tang、Kaburagia rhusicola Takagi、Kaburagia ovatihuicola Xiang、Kaburagia ensigallis Tsai et Tang、Kaburagia ovogallis、Kaburagia thusicola Takagi、Meitanaphis microgallis Xiang、及びFloraphis choui Xiangを含むネスティング昆虫を必要とし得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、タンニン酸又はタンニン酸混合物は、限定されないが、中国ベリー型没食子、角型没食子、硬剣状型没食子、卵硬剣状型没食子、及び花房没食子を含む没食子から抽出される。
【0040】
他の実施形態において、本明細書に記載の組成物に含まれるタンニン酸は、実質的に均一なポピュレーション(population)である。そのようなタンニン酸のポピュレーションは、定義された数のガロイル部分を有するタンニン酸、例えば3~12の何れかの数(3及び12を含む)、又はその薬学的に許容される塩を含み得る。本明細書で使用される場合、用語「実質的に均質」は、定義された数のガロイル部分を有するタンニン酸が、組成物中の総タンニン酸の少なくとも85重量%(例えば、90%、95%、97%、98%、99%、又はそれ以上)を構成する。いくつかの実施例において、実質的に均質なタンニン酸のポピュレーションは、4、5、6、7、8、9、10、11又は12のガロイル部分を有するタンニン酸含む。このような実質的に均質なタンニン酸のポピュレーションは、従来の方法、例えばクロマトグラフィーを介して、様々な数のガロイル部分(例えば、本明細書に記載される)を有するタンニン酸の混合物から単離され得る。
【0041】
タンニン酸抽出物は、例えば、ゲル濾過、分画、分配、再結晶、及びクロマトグラフィー(例えば、HPLC)又はそれらの組合せ等の1つ以上の精製手順に供され得る。例えば以下の実施例を参照。あるいは、タンニン酸又はタンニン酸混合物は、日常的な方法論に従って化学合成によって調製され得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のタンニン酸組成物は、以下に示すように調製され得る。例えば本明細書に記載されている適切な植物ソース由来の没食子は、日常的な方法により得られ得る。没食子は、粉砕され得、没食子粉末を形成する。いくつかの実施例において、没食子粉末は、適切なサイズ(例えば、20メッシュ、30メッシュ、40メッシュ、50メッシュ、又は60メッシュ)のふるいに通され得、没食子細粉を形成する。
【0043】
次いで、適切な溶媒は、本明細書に記載の没食子粉末の何れかからタンニン酸内容物を抽出するために用いられ得る。本明細書に記載される場合、用語「溶媒」は、1つ以上の溶質を溶解することが出来る溶液を指す。溶媒は、目的の溶質を溶解する物質の純粋なポピュレーションを含み得る。あるいは、本明細書で使用される溶媒は、溶質を溶解するための複数の物質の混合物であり得る。タンニン酸を抽出するために適した溶媒は、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、又はそれらの組合せを含む。タンニン酸内容物を抽出するために、没食子粉末は、適量の溶媒に入れられてもよい。このようにして形成された混合物は、適切な温度(例えば、室温)で適切な時間(例えば、6~18時間、6~12時間、12~18時間、18~24時間)撹拌され得る。次いで、得られた溶液は、日常的な実施行為(例えば、真空蒸発によって)によって濾過及び濃縮され得る。
【0044】
次いで、タンニン酸を含有する濃縮組成物は、木炭、CaSO4、MgSO4、又はそれらの組合せと望ましくない物質を除去するために混合され得る(例えば、木炭に吸収され得るか、又はCaSO4及び/又はMgSO4によって沈殿され得る)。いくつかの実施例において、先の工程から得られたタンニン酸含有組成物の何れかは、最初に適当な時間、木炭と混合され得る(例えば、室温で1~24時間撹拌する)。CaSO4及び/又はMgSO4は、混合物に添加され得、これは適切な温度(例えば、室温)下で適切な時間(例えば、30分~6時間)撹拌され得る。次いで、混合物は、例えば、セライト床で濾過され、適切な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、又はそれらの組合せ)で洗浄され、及び日常的な方法により濃縮され得、タンニン酸組成物を産生する。他の実施例において、先の工程から得られたタンニン酸含有組成物の何れかは、最初に適当な時間(例えば、室温で1~24時間、例えると6~12時間又は12時間~18時間で撹拌)で木炭と混合され得る。次いで、木炭は、溶液を形成するために混合物から除去され得る。CaSO4及び/又はMgSO4は、溶液に加えられ得、これは、適切な温度(例えば、室温)下で適切な時間(例えば、30分~6時間、例えると30分~2時間又は30分~1時間)撹拌され得る。次いで、混合物は、タンニン酸を産生するために日常的な方法により、例えばセライト床で濾過され、適切な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、又はそれらの組合せ)で洗浄され、及び濃縮され得る。
【0045】
必要に応じて、本明細書のタンニン酸組成物を調製する方法は、2~5のガロイル部分(2~5G)を有するタンニン酸を還元又は除去する工程、6~12のガロイル部分(6~12G)を有するタンニン酸を濃縮する工程、又はその両方をさらに含み得る。
【0046】
2~5Gを有するタンニン酸を除去するために、粗タンニン酸組成物は、適切な溶媒と混合物を形成するために混合され得、これは適切な時間(例えば、6~18時間)、適切な温度(例えば、室温)下でインキュベート(例えば、撹拌)され得、2つの有機層を形成する。5G未満のタンニン酸は、上層に溶解され得る。5G以上のタンニン酸は、固形物としてオイル層(下層)に留まる。多数のガロイル部分を有するタンニン酸で孵化されたオイル層が回収され得る。必要であれば、オイル層は濃縮され得、このようにして形成された固形物は、適切な曜日に溶解され得る。5G未満のタンニン酸を除去するために適した溶媒は、限定されないが、以下のリストの(i)群の溶媒の何れか1つと(ii)群の溶媒の何れか1つの混合物を含む。
(i)アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、又は酢酸エチル; と
(ii)ペンタン、ヘキサン、又はヘプタン
【0047】
得られた溶液は、本明細書に記載の望ましくない物質を除去するために、木炭、CaSO4及び/又はMgSO4処理に供され得る。
【0048】
複数のガロイル部分(例えば、6~12G)を有するタンニン酸を濃縮するために、タンニン酸含有組成物は、最初にアセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、又は酢酸エチル等の適切な溶媒に溶解され得る。このように形成された溶液は撹拌され得、及びCH2Cl2又はジクロロエタンは、溶液にゆっくり滴下され得、所望のタンニン酸を沈殿させる。濃縮されたタンニン酸組成物を産生するために、固体はその後、日常的な実施行為(例えば、濾過及び/又は乾燥)によって回収され得る。
【0049】
いくつかの例が続くが、これらは単なる例示であり、決して本開示をこれらの具体例に限定するものではない。
【0050】
(i)適切な植物ソースの没食子を粉砕し、粗没食子粉末を形成すること; (ii)40メッシュのふるいに前記粗没食子粉末を通し、没食子細粉を形成すること; (iii)前記没食子細粉を適当な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル(EtOH)、イソプロパノール(IPA)、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、又はそれらの組み合わせ)に溶解し、このように形成された混合物を20~45℃で3~24時間撹拌すること; (iv)得られた溶液を濾過し、濃縮して固体残渣を形成すること; (v)前記固体残渣を20~45℃で3~24時間、溶剤(20%~60%メチルエチルケトン/ヘキサン又は30%~50%メチルエチルケトン/ヘキサン)と混合し、2つの有機層を得ること; (vi)(v)からの油層を回収し、濃縮すること; (vii)このように形成された残渣を適切な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、又はそれらの組合せ)に溶解し、溶液を形成すること; (viii)(vii)からの溶液を木炭の存在下で1~24時間撹拌すること; (ix)(viii)からの溶液をCaSO4又はMgSO4の存在下で撹拌すること; (x)(ix)からの混合物から木炭及びCaSO4又はMgSO4を日常的な実施行為で除去すること; (xi)(x)からの濾液を濃縮すること; (xii)(xi)からの残渣を適切な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はそれらの組合せ)に溶解すること; (xiii)(xii)からの溶液に塩化メチレン又はジクロロエタンを加えること; 及び(xiv)(xiii)で形成された固体を回収し、乾燥させること; を含む方法。
【0051】
(i)適切な植物ソースの没食子を粉砕し、粗没食子粉末を形成すること; (ii)40メッシュのふるいに前記粗没食子粉末を通し、没食子細粉を形成すること; (iii)前記没食子細粉を適当な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、又はそれらの組み合わせ)に溶解し、このように形成された混合物を20~45℃で3~24時間撹拌すること; (iv)溶液を濾過すること; (v)(iv)からの溶液に適切な溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、又はそれらの組合せ)を加えること及びそれを3~24時間撹拌して2つの有機層を形成すること; (vi)(v)からの油層を回収し、濃縮すること; (vii)(vi)からの残渣を適切な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、又はそれらの組合せ)に溶解すること; (viii)(vii)からの溶液を木炭の存在下で1~24時間(例えば、6~12時間又は12~18時間)撹拌すること; (ix)(viii)からの溶液をCaSO4又はMgSO4の存在下で撹拌すること; (x)(ix)からの混合物から木炭及びCaSO4又はMgSO4を日常的な実施行為で除去すること; (xi)(x)からの濾液を濃縮すること; (xii)(xi)からの残渣を適切な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、又はそれらの組合せ)に溶解すること; (xiii)(xii)からの溶液に塩化メチレン又はジクロロエタンを加えること; 及び(xiv)(xiii)で形成された固体を回収し、乾燥させること; を含む方法。
【0052】
(i)適切な植物ソースの没食子を粉砕し、粗没食子粉末を形成すること; (ii)40メッシュのふるいに前記粗没食子粉末を通し、没食子細粉を形成すること; (iii)前記没食子細粉を適当な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、又はそれらの組み合わせ)イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、又はそれらの組み合わせ)に溶解し、このように形成された混合物を20~45℃で3~24時間撹拌すること; (iv)(iii)からの溶液を濾過すること; (v)(iv)からの溶液に適切な溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、又はそれらの組合せ)を加えること及びそれを3~24時間撹拌して2つの有機層を形成すること; (vi)(v)からの油層を回収し、濃縮すること; (vii)(vi)からの油層を適切な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、又はそれらの組合せ)に溶解すること; (viii)(vii)からの溶液を木炭の存在下で1~24時間(例えば、6~12時間又は12~18時間)撹拌すること; (ix)(viii)からの溶液をCaSO4又はMgSO4の存在下で撹拌すること; (x)(ix)からの混合物から木炭及びCaSO4又はMgSO4を日常的な実施行為で除去すること; (xi)(x)からの濾液を濃縮すること; (xii)(xi)からの残渣を適切な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、又はそれらの組合せ)に溶解すること; (xiii)(xii)からの溶液に塩化メチレン又はジクロロエタンを加えること; 及び(xiv)(xiii)で形成された固体を回収し、乾燥させること; を含む方法。
【0053】
(i)適切な植物ソースの没食子を粉砕し、粗没食子粉末を形成すること; (ii)40メッシュのふるいに前記粗没食子粉末を通し、没食子細粉を形成すること; (iii)前記没食子細粉を適当な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、又はそれらの組み合わせ)に溶解し、このように形成された混合物を20~45℃で3~24時間撹拌すること; (iv)(iii)からの溶液を木炭の存在下で1~24時間(例えば、6~12時間又は12~18時間)撹拌すること; (v)(iv)からの混合物をCaSO4又はMgSO4の存在下で撹拌すること; (vi)(v)からの混合物から木炭及びCaSO4又はMgSO4を日常的な実施行為で除去すること; (vii)(vi)からの濾液を濃縮すること; (viii)(vii)からの残渣を適切な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、又はそれらの組合せ)に溶解すること; (ix)(viii)からの溶液に塩化メチレン又はジクロロエタンを加えること; 及び(x)(ix)で形成された固体を回収し、乾燥させること; を含む方法。
【0054】
(i)適切な植物ソースの没食子を粉砕し、粗没食子粉末を形成すること; (ii)40メッシュのふるいに前記粗没食子粉末を通し、没食子細粉を形成すること; (iii)前記没食子細粉を適当な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、又はそれらの組み合わせ)に溶解し、このように形成された混合物を20~45℃で3~24時間撹拌すること; (iv)(iii)からの溶液を木炭の存在下で1~24時間(例えば、6~12時間又は12~18時間)撹拌すること; (v)(iv)からの混合物をCaSO4又はMgSO4の存在下で撹拌すること; (vi)(v)からの混合物から木炭及びCaSO4又はMgSO4を日常的な実施行為で除去すること; (vii)(vi)から濾液の容量を元の容量の約1/10~1/100に減少させること; (ix)(vii)からの溶液に塩化メチレン又はジクロロエタンを加えること; 及び(x)(ix)で形成された固体を回収し、乾燥させること; を含む方法。
【0055】
(i)適切な植物ソースの没食子を粉砕し、粗没食子粉末を形成すること; (ii)40メッシュのふるいに前記粗没食子粉末を通し、没食子細粉を形成すること; (iii)前記没食子細粉を適当な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、又はそれらの組み合わせ)に溶解し、このように形成された混合物を20~45℃で3~24時間撹拌すること; (iv)(iii)からの溶液を濾過すること; (v)(iv)からの濾液を木炭の存在下で1~24時間(例えば、6~12時間又は12~18時間)撹拌すること; (vi)(v)からの混合物をCaSO4又はMgSO4の存在下で撹拌すること; (vii)(vi)からの混合物から木炭及びCaSO4又はMgSO4を除去すること; (viii)(vii)からの濾液を日常的な実施行為で濃縮すること; (ix)(viii)からの残渣を適切な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、又はそれらの組合せ)に溶解すること; (x)(xi)からの溶液に塩化メチレン又はジクロロエタンを加えること; 及び(xi)(x)で形成された固体を回収し、乾燥させること; を含む方法。
【0056】
(i)適切な植物ソースの没食子を粉砕し、粗没食子粉末を形成すること; (ii)40メッシュのふるいに前記粗没食子粉末を通し、没食子細粉を形成すること; (iii)(ii)からの没食子細粉の溶液を溶媒(例えば、50~30%メチルエチルケトン/ヘキサン)に入れ、このように形成された混合物を室温で3~24時間撹拌すること; (iv)(iii)から溶液を濾過すること; (v)(iv)から回収した固体を適切な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、又はそれらの組み合わせ)に溶解し、その溶液を20~45℃で3~24時間撹拌すること; (vi)(v)からの溶液を濾過すること; (vii)(vi)からの濾液を木炭の存在下で1~24時間撹拌すること; (viii)(vii)からの混合物をCaSO4又はMgSO4の存在下で撹拌すること; (ix)(viii)からの混合物から木炭及びCaSO4又はMgSO4を日常的な実施行為で除去すること; (x)(ix)からの濾液を濃縮すること; (xi)(x)からの残渣を適切な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、又はそれらの組み合わせ)に溶解すること; (xii)(xi)からの溶液に塩化メチレン又はジクロロエタンを加えること; 及び(xiii)(xii)で形成された固体を回収し、乾燥させること; を含む方法。
【0057】
(i)適切な植物ソースの没食子を粉砕し、粗没食子粉末を形成すること; (ii)40メッシュのふるいに前記粗没食子粉末を通し、没食子細粉を形成すること; (iii)(ii)からの前記没食子細粉を適当な溶媒(20~60%、例えば、30~50%、メチルエチルケトン/ヘキサン)に入れ、このように形成された混合物を3~24時間撹拌すること; (iv)(iii)からの溶液を濾過すること; (v)(iv)から回収した固体を適切な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、又はそれらの組み合わせ)に溶解すること及び溶液を20~45℃で3~24時間撹拌すること; (vi)(v)からの濾液を木炭の存在下で1~24時間(例えば、6~12又は12~18時間)撹拌すること; (vii)(vi)からの混合物をCaSO4又はMgSO4の存在下で撹拌すること; (viii)(vii)からの混合物から木炭及びCaSO4又はMgSO4を除去すること; (ix)(viii)からの濾液の容量を元の容量の約1/10~1/100に減少させること; (x)(ix)からの残渣を適当な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、又はそれらの組み合わせ)に溶解すること; (xi)(x)からの溶液に塩化メチレン又はジクロロエタンを加えること; 及び(xii)(xi)で形成された固体を回収し、乾燥させること; を含む方法。
【0058】
(B)医薬組成物
いくつかの実施形態において、本明細に記載の1つ以上のタンニン酸(例えば、本明細書に記載されるような定義された数のガロイル部分を有するタンニン酸の混合物又はタンニン酸の実質的に均質なポピュレーション)は、薬学的に許容される担体(賦形剤)と混合され得、本明細所に記載の標的疾患の何れかを治療するために用いられ得る医薬組成物を形成する。いくつかの実施形態において、組成物中のタンニン酸のポピュレーションは、濃縮タンニン及び/又はフロロタンニンを実質的に含まない。「許容される」とは、担体が組成物の有効成分と適合しなければならず(好ましくは、有効成分を安定化することができる)、治療を受ける被験者に有害でないことを意味する。緩衝液を含む薬学的に許容される賦形剤(担体)は、当該技術分野で周知である。Remington: The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed. (2000) Lippincott Williams and Wilkins, Ed. K. E. Hoover.参照。
【0059】
薬学的に許容される担体は、当該分野で周知の希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤及び他の物質を含む。特にタンニン酸又はその塩のための薬学的に許容される担体の例は、米国特許5,211,657に記載されている。そのような調節物は、塩、緩衝剤、防腐剤、適合性のある担体、及び任意で他の治療薬を日常的に含み得る。医薬に使用される場合、前記塩は、薬学的に許容される必要があるが、薬学的に許容されない塩は、薬学的塩を調製するために便宜的に使用され得、本明細書の範囲から除外されない。このような薬理学的且つ、薬学的に許容される塩は、限定されないが、適切な無機塩(水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化鉄(ii)、水酸化鉄(iii)、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、又は水酸化リチウム)又は適切な有機塩(ピリジン、メチルアミン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ヒスチジン、ホスファゼン塩基、又は水酸化第4級アンモニウム及び水酸化ホスホニウム等の有機カチオンの水酸化物)から調製される塩を含む。また、薬学的に許容される塩は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩として調製され得る。
【0060】
本明細書に記載のタンニン酸含有医薬組成物は、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態の医薬上許容される担体、賦形剤、又は安定剤を含むことが出来る。Remington: The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed. (2000) Lippincott Williams and Wilkins, Ed. K. E. Hoover。許容される担体、賦形剤、又は安定剤は、使用される用量及び濃度で需要者に無毒であり、及びリン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸等の緩衝液; アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤; 防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(octadecyldimethylbenzyl ammonium chloride); ヘキサメトニウムクロリド(hexamethonium chloride); ベンザルコニウムクロリド(benzalkonium chloride);ベンゼトニウムクロリド(benzethonium chloride); フェノール、ブチル又はベンジルアルコール; メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン; カテコール; レゾルシノール; シクロヘキサノール; 3-ペンタノール; ベンゾエート, ソルベート及びm-クレゾール); 低分子量(約10残基未満)のポリペプチド; タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン; ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー; グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、セリン、アラニン又はリジン等のアミノ酸; 単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース又はデキストランを含む他の炭水化物; EDTA等のキレート剤; スクロース、マンニトール、トレハロース及びソルビトール等の糖類; ナトリウム等の塩形成カウンターイオン; 金属錯体(例えば、Znタンパク質錯体); 及び/又はTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤、を含み得る。
【0061】
他の実施例において、本明細書に記載の医薬組成物は、徐放性製剤で製剤化され得る。適切な徐放性製剤の例は、マトリックスが、例えば、フィルム、又はマイクロカプセル等の成形品の形態であるタンニン酸を含む固体疎水性ポリマーの半透明マトリックスを含む。徐放性マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許3,773,919)、L-グルタミン酸及び7エチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-ビニルアセテート、LUPRON DEPOTTM(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸リュープロリドから構成される注入用マイクロスフェア)等の分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、スクロースアセテートイソブチレート、ポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。
【0062】
インビボ投与に用いられる医薬組成物は無菌でなければならない。これは、例えば、滅菌濾過膜による濾過によって容易に達成される。医療用組成物は、例えば、皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを有する静脈注射用溶液又はバッグ等の滅菌アクセスポートを有するコンテナ(container)に一般的に入れられる。
【0063】
本明細書に記載の医薬組成物は、経口、非経口若しくは直腸投与、又は吸入若しくは吹送による投与、又は髄腔内(intrathecal)若しくは脳内経路のための、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤若しくは懸濁剤、又は坐剤等の単位投与形態であり得る。
【0064】
錠剤等の固体組成物を調製するために、主な活性成分は、医薬的担体、例えば、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム又はガム等の従来の錠剤成分、及び水等の他の医薬的希釈剤と混合され得、本発明の化合物の均質な混合物、又は無毒性の薬学的に許容されるその塩を含む固体予備製剤組成物を形成する。これらの予備製剤組成物を均質と称する場合、有効成分が組成物全体に均一に分散され、組成物が、同じくらい有効な単位剤形、例えば錠剤、丸薬及びカプセルに容易に細分され得ることを意味する。次いで、この固体予備製剤組成物は、0.1~約500mgの本発明の有効成分を含む上記タイプの単位投与形態に細分される。新規な組成物の錠剤又は丸剤は、長期作用の利点を与える剤形を提供するために、コーティング又は他の方法で調合され得る。例えば、錠剤又は丸剤は、内部投与成分及び外部投与成分を含むことができ、後者は前者の外被の形態である。2つの成分は、胃内の分解に抵抗する働きをする腸溶層によって分離され、内部成分が十二指腸を無傷で通過するか、又は放出を遅らせることを可能にする。様々な材料が、そのような腸溶層又はコーティングのために用いられ得、その材料は、複数のポリマー酸及びシェラック(shellac)、セチルアルコール(cetyl alcohol)、及びアセチルセルロース(cellulose acetate)等の材料とポリマー酸の混合物を含む。
【0065】
適切な界面活性剤は、特に、ポリオキシエチレンソルビタン(polyoxyethylene sorbitan)(例えば、Tween(商標)20、40、60、80又は85)及び他のソルビタン(例えば、Span(商標)20、40、60、80又は85)等の非イオン剤を含む。界面活性剤を含む組成物は、0.05~5%の界面活性剤を含むことが好都合であり、0.1~2.5%であり得る。必要に応じて、例えば、マンニトール又は他の薬学的に許容されるビヒクル等の他の成分が加えられ得ることが理解される。
【0066】
適切な乳剤は、例えば、イントラリピッド(Intralipid)(商標)、リポシン(Liposyn)(商標)、インフォヌトロール(Infonutrol)(商標)、リポフンディン(Lipofundin)(商標)及びリピフィサン(Lipiphysan)(商標)等の市販の脂肪乳剤を用いて調整され得る。活性成分は、予め混合された乳剤組成物に溶解され得るか、あるいは油(例えば、大豆油、ベニバナ油、綿実油、ゴマ油、コーン油又はアーモンド油)に溶解され得、及びリン脂質(例えば、卵黄リン脂質、ダイズリン脂質又はダイズレシチン)と水との混合時に形成される乳剤であり得る。乳剤の浸透圧を調製するために、他の成分、例えばグリセロール又はグルコースが添加され得ることが理解される。適切な乳剤は、典型的に20%までの油、例えば5~20%の油を含む。
【0067】
吸入又は吹送のための医薬組成物は、薬学的に許容される水性若しくは有機溶剤、又はそれらの組合せ、及び散剤における溶液及び懸濁液を含む。液体又は固体組成物は、上記のような適切な薬学的に許容される賦形剤を含み得る。いくつかの実施形態において、組成物は、局所的又は全身効果のために、経口又は経鼻の呼吸経路によって投与される。
【0068】
好ましくは、無菌の薬学的に許容される溶媒中の組成物は、ガスを用いることによって噴霧され得る。噴霧された溶液は、噴霧装置から直接吸入されてもよく、又は噴霧装置は、フェイスマスク、テント又は間欠的陽圧呼吸機(intermittent positive pressure breathing machine)に取り付けられてもよい。溶液、懸濁液又は散剤組成物は、適切な様式で製剤を送達する装置から好ましくは経口又は経鼻で投与され得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、タンニン酸含有医薬組成物の何れかは、組成物の意図される治療用途に基づく第2の治療薬をさらに含み得る。
【0070】
いくつかの実施例において、第2の治療薬は、限定されないが、オルリスタット、ロルカセリン、シブトラミン、リモナバント、メトホルミン、エクセナチド、プラリンチド、フェンテルミン、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミントピラメート、ジニトロフェノール、ブプロピオン、及びゾニサミドを含む抗肥満薬である。
【0071】
他の実施例において、第2の治療薬は、CNS疾患/障害を治療するための薬剤である。そのような治療薬は、抗精神病薬であり得る。例示的な抗精神病薬は、限定されないが、ブチロフェノン(例えば、ハロペリドール(haloperidol)(HALDOL)(商標))、フェノチアジン(例えば、クロルプロマジン(chlorpromazine) (THORAZINE)(商標))、フルフェナジン(PROLIXIN(商標))、ペルフェナジン(TRILAFON(商標))、プロクロルペラジン(COMPAZINE(商標))、チオリダジン(MELLARIL(商標))、トリフルオペラジン(STELAZINE(商標))、メソリダジン、プロマジン、トリフルプロマジン(VESPRIN(商標))、レボメプロマジン(NOZINAN(商標))、プロメタジン(PHENERGAN(商標))、チオキサンテン(例えば、クロルプロチキセン(chlorprothixene)、フルペンチキソール(flupenthixol)(DEPIXOL(商標)、FLUANXOL(商標))、チオチキセン(NAVANE(商標))、ズクロペンチキソール(CLOPIXOL(商標)、ACUPHASE(商標))、クロザピン(CLOZARIL(商標))、オランザピン(ZYPREXA(商標))、リスペリドン(RISPERDAL(商標)、RISPERDAL CONSTA(商標))、クエチアピン(SEROQUEL(商標))、ジプラシドン(GEODON(商標))、アミスルプリド(SOLIAN(商標))、アセナピン、パリペリドン(INVEGA(商標))、アリピプラゾール(ABILIFY(商標))、ドーパミン部分アゴニスト(BIFEPRUNOX(商標)、NORCLOZAPINE(商標)(ACP-104))、ラモトリジン(LAMICTAL(商標))、テトラベナンジン(NITOMAN(商標)、XENAZINE(商標))、カンナビジオール、LY2140023、及び同様のものを含む。
【0072】
あるいは、第2の治療薬は、抗うつ薬及び/又は気分安定剤であり得る。特定の実施形態において、抗うつ薬は、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、三環系抗うつ薬(TCA)、四環系抗うつ薬(TeCA)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ノルアドレナリン作動性及び特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NASSA)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害剤、ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤、及び/又はセロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)を含む。例示的なSSRI類は、フルオキセチン(PROZAC(商標))、パロキセチン(PAXIL(商標)、SEROXAT(商標))、エスシタロプラム(LEXAPRO(商標)、ESIPRAM(商標))、シタロプラム(CELEXA(商標))、セルトラリン(ZOLOFT(商標))、フルボキサミン(LUVOX(商標))、を含む。例示的なSNRI類は、ベンラファキシン(EFFEXOR(商標))、ミルナシプラン、デュロキセチン(CYMBALTA(商標))を含む。さらなる抗うつ薬は、ノルアドレナリン作動性及び特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NASSA)(例えば、ミルタザピン(AVANZA(商標)、ZISPIN(商標)、REMERON(商標))、又はミアンセリン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害剤(NRI)(例えば、レボキセチン(EDRONAX(商標))、ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤(例えば、ブプロピオン(WELLBUTRIN(商標)、ZYBAN(商標))、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、デシプラミン、イミプラミン(imipramine)、トリミプラミン、アモキサピン、ブプロピオン、ブプロピオンSR、クロミプラミン、ドキセピン、イソカルボキサジド、ベンラファキシンXR、トラニルシプロミン、トラゾドン、ネファゾドン、フェネルジン、ラマトロギン、リチウム、トピラマート、ガバペンチン、カルバマゼピン、オキシカルバゼピン、バルプロエート、マプロチリン、ミルタザピン、ブロファミン、ゲペロン、モクロベミド、イソニアジド、イプロニアジド、及び同様のものを含む。
【0073】
他の実施例において、第2の治療薬は、ADD及び/又はADHDの治療のための薬剤であり得る。適切なADHD薬物は、限定されないが、アンフェタミン(amphetamine)、モダフィニル(modafinil)、デソキシン(desoxyn)、メタンフェタミン(methamphetamine)、コカイン(cocaine)、アレコリン(arecoline)、デクスメチルフェニデート(dexmethylphenidate)(フォカリン(focalin)、フォカリンXR(focalin XR))、デキストロアンフェタミン(dextroamphetamine)(デキセドリン(dexedrine)、デキシドリンスパンスル(dexedrine spansules)、デキストロアンフェタミンER(dextroamphetamine ER)、デキストロスタット(dextrostat))、メチルフェニデート(methylphenidate)(コンサータ(concerta)、デイトラナ(daytrana)、メタデータCD(metadate CD)、メタデータER(metadate ER)、メチリン(methylin)、メチリンER(methylin ER)、リタリン(ritalin)、リタリン-LA(ritalin-LA)、リタリン-SR(ritalin-SR)、リスデキサンフェタミンジメシレート(lisdexamfetamine dimesylate)(ビバンセ(Vyvanse))、アンフェタミン混合塩(mixed salts amphetamine)(アデラール(Adderall)、アデラールXR(Adderall XR))、アトモキセチン(atomoxetine)(ストラテラ(Strattera))、クロニジン塩酸塩(clonidine hydrochloride)(カタプレス(Catapres))、グアンファシン塩酸塩(guanfacine hydrochloride)(テネックス(Tenex))、アレコリン(arecoline)及びペモリン(pemoline)を含む。
【0074】
さらに、第2の治療薬は、認知障害、及び/又は神経変性を特徴とする症状(例えば、アルツハイマー病、又はパーキンソン病)の治療に用いられる薬剤であり得る。そのような治療薬は、限定されないが、タクリン(tacrine)、リバスチグミン(rivastigmine)、メマンチン(memantine)(AXURA(商標)、AKATINOL(商標)、NAMENDA(商標)EBIXA(商標)ABIXA(商標))、ドネペジル(donepezil)(アリセプト(Aricept)(商標))、フィゾスチグミン(physostigmine)、ニコチン(nicotine)、アレコリン(arecoline)、フペルジンアルファ(huperzine alpha)、セレギリン(selegiline)、リルテック(rilutek)(商標)(リルゾール(riluzole))、ビタミンc、ビタミンe、カロテノイド、イチョウ(ginkgo biloba)、及び同様のものを含む。
【0075】
(C)健康食品
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のタンニン酸含有組成物は、健康食品であり得、これは、ヒト及び動物に栄養素与えるため、基本的な行動機能、運動亢進、不安症、うつ病、自殺念慮及び/又は行動、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶及び/又は認知機能を改善するため、又は本明細書に記載の何れかの標的疾患(例えば、肥満又は本明細書に記載されるものを含むCNS障害)の治療を容易にするために用いられる何れかの種類の液体及び固体/半固体材料であり得る。健康食品は、食品(茶飲料、ジュース、ソフトドリンク、コーヒー、ミルク、ゼリー、クッキー、シリアル、チョコレート、スナックバー、ハーブエキス、乳製品(例えば、アイスクリーム、及びヨーグルト))、食品/栄養補助食品、又は栄養補助食品製剤(nutraceutical formulation)であり得る。
【0076】
1つ以上のタンニン酸(例えば、本明細書に記載のタンニン酸混合物、又は本明細書にも記載されている既定の数のガロイル部分を有するタンニン酸の実質的に均質なポピュレーション)を含む本明細書に記載の健康食品は、本明細書に記載の製品中のタンニン酸に1つ以上の利点を与える1つ以上の食用の担体を含み得る。食用の担体の例は、デンプン、シクロデキストリン、マルトデキストリン、メチルセルロース、カーボンメトキシセルロース、キサンタンガム、及びそれらの水溶液を含む。他の例は、当業者に公知であるように、溶媒、分散媒体、コーティング剤、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、染料、そのような同種材料及びそれらの組合せを含む。いくつかの実施例において、本明細書に記載の健康食品は、魚油、亜麻仁油及び/又は安息香酸等の神経保護食品をさらに含み得る。
【0077】
いくつかの実施例において、健康食品は、食品ソースからの成分を含有する組成物及び食品中に見出される基本的な栄養素に加えてさらなる健康上の利益をもたらす組成物を指す栄養補助食品組成物である。本明細書に記載される栄養補助食品組成物は、本明細書に記載のタンニン酸含有量(例えば、本明細書に記載のタンニン酸混合物又は実質的に均質なタンニン酸ポピュレーション)、並びにタンニン酸の良好な健康を促進する及び/又は安定性及びバイオアクティビティを増強する追加の成分及びサプリメントを含む。
【0078】
栄養補助食品組成物の作用は、例えば、CNS障害等のDAAOに関連する疾患を有する若しくはリスクを有するヒト被験者、又は肥満症である若しくはリスクを有するヒト被験者において、基本的な行動機能、運動亢進、不安症、うつ病、疼痛閾値、記憶及び/又は認知機能を改善すること等の本明細書に記載の長期的な健康目標を速く及び/又は短期間で達成し得る又は達成に役立ち得る。栄養補助食品組成物は、例えば、栄養補助食品又は医療用食品として食用材料に含まれ得る。栄養補助食品として、ビタミン、ミネラル又はアミノ酸等の追加栄養素が含まれる。組成物はまた、例えば、茶、ソフトドリンク、ジュース、ミルク、コーヒー、シリアル、チョコレート、及びスナックバー等の飲料又は食品であり得る。必要に応じて、組成物は、例えばソルビトール、マルチトール、水素化グルコースシロップ及び水素化デンプン加水分解物、高フルクトースコーンシロップ、ショ糖、ビート糖、ペクチン、又はスクラロース等の甘味料を加えることによって甘味付けされ得る。
【0079】
本明細書に開示される栄養補助食品組成物は、溶液の形態であり得る。例えば、栄養補助食品は、緩衝液、溶媒、希釈剤、不活性担体、油又はクリームなどの媒体中で提供され得る。いくつかの実施例において、前記製剤は、任意でアルコール等の非水性共溶媒を含む水溶液中に存在する。栄養補助食品組成物は、散剤、ペースト、ゼリー、カプセル、又は錠剤の形態であり得る。ラクトース及びコーンスターチは、カプセルのための希釈剤及び錠剤のための担体として一般に用いられる。例えば、ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤は、典型的に錠剤を形成するために加えられる。
【0080】
健康食品は、例えば経口投与等の適切な投与経路のために製剤化され得る。経口投与のために、前記組成物は、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース); 充填剤(例えば、ラクトース、結晶セルロース又はリン酸水素カルシウム); 潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ); 崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン又はデンプングリコール酸ナトリウム); 又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)等の許容される賦形剤を用いて従来の手段によって調製された、例えば、錠剤又はカプセル等の形態をとることが出来る。前記錠剤は、当該技術分野で周知の方法によってコーティングされ得る。また、バー及び他の咀嚼可能な製剤も含まれる。
【0081】
いくつかの実施例において、健康食品は、液体形態であり得、1つ以上の可食担体は、これに限定されないが、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、脂質(例えば、トリグリセリド、植物油、リポソーム)又はそれらの組合せを含む溶媒又は分散溶媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティング剤の使用によって; 例えば、液体ポリオール又は脂質等の担体中で分散による必要な粒子サイズの維持によって; 例えば、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤の使用によって; 又はそれらの組合せによって維持され得る。多くの場合、例えば、糖、塩化ナトリウム又はそれらの組合せ等の等張剤を含めることが推奨される。
【0082】
経口投与のための液体製剤は、例えば、溶液、シロップ若しくは懸濁液の形態をとることができ、又は使用前に水又は他の適切なビヒクルでの構成のために乾燥製品として提供され得る。いくつかの実施例において、前記液体製剤は、フルーツジュースでの投与のために製剤化され得る。そのような液体調製物は、例えば懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は硬化食用油脂); 乳化剤(例えば、レシチン又はアカシア); 非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール又は分画植物油); 及び防腐剤(例えば、メチル又はプロピル-p-ヒドロキシベンゾエート、ベンゾエート又はソルベート)等の薬学的に許容される添加剤を用いて従来の手段を用いて調整され得る。
【0083】
本明細書に記載される健康食品は、本明細書に記載されるものを含む1つ以上の第2の治療薬をさらに含み得る。
【0084】
(D)医療用食品
本開示はまた、基本的な行動機能、運動亢進、不安症、うつ病、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶及び/又は認知機能を改善するための使用、及び/又は本明細書に記載の標的疾患(肥満又はCNS障害)の治療のための医療用食品の組成物を提供する。医療用食品は、消費されるか又は経腸的に投与されるように製剤化された食品である。そのような食品は、通常、本明細書に記載されるような標的疾患の特定の食事管理のために医師の監督下で用いられる。場合によっては、そのような医療用食品組成物は、治療を必要とする患者(例えば、疾患に罹患しているか、又は特定の食物管理を介して疾患若しくは状態を緩和するための主要な活性剤としての製品の使用を必要とするヒト患者である)のために特別に製剤化され且つ、処理される(自然状態で使用される天然に存在する食品とは対照的に)。いくつかの実施例において、本明細書に記載される医療用食品組成物は、症状を管理し、又は疾患若しくは状態のリスクを低減するための全体的な食事の一部として医師によって単に推奨されるものの1つではない。
【0085】
1つ以上のタンニン酸分子又はその塩及び少なくとも1つの担体(例えば、本明細書に記載されているもの)を含む、本明細書に記載される何れかの医療用食品組成物は、下記のように、液体溶液; 適切な溶液中又は適切な乳剤中における粉末、バー、ウェーハー(wafer)、懸濁液の形態であり得る。天然に存在するか又は合成(天然に存在しない)の何れかであり得る少なくとも1つの担体は、組成物中のタンニン酸含有量に、例えば、安定性、バイオアベイラビリティ及び/又はバイオアクティビティ等の1つ以上の利益を与える。本明細書に記載される何れかの担体は、医療用食品組成物を製造するために使用され得る。いくつかの実施形態において、医療用食品組成物は、限定されないが、天然香料、人工香料、主要微量ミネラル及び超微量ミネラル、ミネラル、ビタミン、オートムギ、ナッツ、スパイス、ミルク、卵、塩、小麦粉、レシチン、キサンタンガム及び/又は甘未剤を含む群から選択される1つ以上のさらなる成分を含み得る。医療用食品組成物は、本明細書に記載されるような少なくとも1つのさらなる治療薬をさらに含み得る適切なコンテナに入れられ得る。
【0086】
(E)キット
本開示はまた、基本的な行動機能、運動亢進、不安症、うつ病、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶及び/又は認知機能を改善するための使用、及び/又は本明細書に記載の標的疾患(例えば、肥満又はCNS障害)を治療するためのキットを提供する。そのようなキットは、本明細書に記載のタンニン酸含有組成物及び任意で1つ以上の本明細書に記載の第2の治療薬を含む1つ以上のコンテナを含むことが出来る。
【0087】
いくつかの実施形態において、キットは、本明細書に記載の方法の何れかに従って使用するための説明書を含むことが出来る。含まれる説明書は、例えばタンニン酸含有組成物の投与の説明、及び任意で基本的な行動機能、運動亢進、不安症、うつ病、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶及び/又は認知機能を改善するため、又は本明細書に記載の標的疾患を治療するための第2の治療薬の投与の説明等を含むことが出来る。前記キットは、その個人が疾患を有するか又は疾患のリスクを有するか否かを同定することに基づいて、治療のための個人の適性を選択することの説明を含み得る。さらに他の実施形態において、説明書は、疾患のリスクを有する個人又は基本的な行動機能、運動亢進、不安症、うつ病、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶及び/又は認知機能を改善することを必要とする個人に、本開示の1つ以上の薬剤を投与する記述を含む。
【0088】
意図された治療効果を達成するためのタンニン酸含有組成物の使用に関する説明書は、一般に、意図された治療のための投与量、投与スケジュール、及び投与経路に関する情報を含む。前記コンテナは、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数用量パッケージ)又はサブユニット用量であり得る。本発明のキットで供給される説明書は、典型的に、ラベル又は添付文書(例えば、キットに含まれる紙シート)上の説明書による指示であるが、コンピュータで読み取ることが出来る説明書(例えば、磁気又は光学記憶ディスクに記録される説明書)もまた、許容される。
【0089】
ラベル又は添付文書は、組成物が、意図された治療的有用性のために用いられることを示し得る。説明書は、本明細書に記載の方法の何れかを実施するために提供され得る。
【0090】
本発明のキットは、適切なパッケージング(packaging)である。適切なパッケージングは、限定されないが、バイアル(vial)、ボトル(bottle)、ジャー(jar)、フレキシブルパッケージング(flexible packaging)、及び同様のものを含む。また、吸入器、経鼻投与装置(例えば、噴霧器)又はミニポンプ等の注入装置等の特定の装置と組み合わせて使用するためのパッケージも意図される。キットは、滅菌アクセスポート(例えば、コンテナは、皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを有する静脈注射用溶液又はバイアルであり得る)を有し得る。容器はまた、滅菌アクセスポート(例えば、コンテナは、皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを有する静脈注射用溶液又はバイアルであり得る)を有し得る。
【0091】
キットは、任意で緩衝液及び解釈上の情報等の追加要素を提供し得る。通常、キットは、コンテナ及びラベル又はコンテナ上若しくは付随する添付文書を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、上記キットの内容物を含む製品を提供する。
【0092】
II. タンニン酸含有組成物の応用
本明細書に記載されるタンニン酸含有組成物は、治療が必要な被験者に、基本的な行動機能、運動亢進、不安症、うつ病、自殺念慮及び/又は行動、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶及び/又は認知機能を改善するために用いられ得る。そのような組成物はまた、中枢神経障害(例えば、本明細書に記載されるもの)等のDAAOに関連する疾患又は障害を治療するために用いられ得る。前記組成物はまた、肥満を治療するために用いられ得る。
【0093】
本明細書で用いられる場合、用語「治療(treating)」は、治療を必要とする被験者、例えば、治療する(cure)、治す(heal)、緩和する(alleviate)、軽くする(relieve)、変える(alter)、治療する(remedy)、改良する(ameliorate)、改善する(improve)ための目的、又は障害、疾患の症状、又は疾患若しくは障害の傾向に影響を及ぼす目的で標的疾患又は障害、疾患/障害の症状、又は疾患/障害の傾向を有する、に1つ以上の活性薬剤を含む組成物の塗布又は投与に関する。
【0094】
標的疾患/障害を緩和することは、疾患の発症又は進行を遅らせること、又は疾患の重篤度を低下させることを含む。疾患を軽減することは、必ずしも治癒的結果を必要としない。本明細書で用いられる場合、標的疾患又は障害の発症を「遅延させる」とは、疾患の進行を遅延させ(defer)、妨害し(hinder)、遅くさせ(slow)、遅らせ(retard)、安定化させ(stabilize)、及び/又は延期(postpone)させることを意味する。この遅延は、疾患の履歴及び/又は治療される個人に依存して、様々な時間の長さであり得る。疾患の発症を「遅らせる」若しくは緩和する、又は疾患の発症を遅延させる方法は、その方法を使用しない場合と比較して、一定期間において疾患の1つ以上の症状を発症させる可能性を低減し、及び/又は一定期間において症状の程度を低減させる方法である。そのような比較は、典型的に、統計的に有意な結果をもたらすのに十分な数の被験者を用いての臨床試験に基づくものである。
【0095】
疾患の「発症」又は「進行」は、初期症状及び/又はその後の疾患の進行を意味する。疾患の発症は、当該技術分野で周知の標準的な臨床技術を用いて検出及び評価され得る。しかしながら、発症はまた、検出することが出来ない進行に関する。本開示の目的のために、発症又は進行は、症状の生物学的経過を指す。「発症」には、発生、再発、発症した(onset)を含む。本明細書で使用される場合、標的疾患又は障害の「発症した(onset)」又は「発生(occurrence)」は、発生した初期及び/又は発生初期を含む。
【0096】
本明細書に記載された意図された治療効果の何れかを達成するために、有効量のタンニン酸含有組成物は、適切な経路を介し、治療を必要とする被験者に投与され得る。
【0097】
用語「被験者(subject)」、「個人(individual)」及び「患者(patient)」は、本明細書において互換的に使用され、治療のために評価される及び/又は治療される哺乳動物を指す。被験者は、ヒトであってもよいが、他の哺乳類、例えば、マウス、ラット、ラビット、イヌ等の特にヒト疾患の実験モデルとして有用な哺乳動物を含む。
【0098】
治療を必要とするヒト被験者は、CNS障害、肥満、糖尿病、又は高脂血症等の標的疾患/障害を有するか、そのリスクを有するか、又は疑われるヒト患者であり得る。標的疾患又は障害を有する被験者は、日常的な健康診断、例えば、臨床検査、器官機能検査、及び/又は行動検査によって同定され得る。そのような標的疾患/障害の何れかを有することが疑われる被験者は、前記疾患/障害の1つ以上の症状を示し得る。疾患/障害のリスクを有する被験者は、その疾患/障害の1つ以上の危険因子、例えば遺伝的要因等を有する被験者であり得る。場合によっては、ヒト被験者は、例えば、注意欠陥/多動障害(ADHD)、自閉症、アスペルガー症候群、強迫神経症、うつ病、精神病、慢性疼痛、及び学習障害等の子供に関連するCNS障害を有するか、有することを疑われるか、又はリスクを有する子供である。
【0099】
本明細書に記載される方法及び組成物は、CNS障害を治療するために用いられ得る。本明細書に記載の方法及び組成物によって治療され得る例示的なCNS障害は、注意欠陥/多動障害(ADHD)、統合失調症、疼痛、うつ病、自殺念慮及び/又は行動、双極性障害、チック障害、心的外傷後ストレス障害、不安症、社会的不安障害、パニック障害、自閉症、アスペルガー障害、強迫性障害、学習障害、トゥレット症候群、軽度認知障害、認知症、血管性認知症、神経変性障害(例えば、アルツハイマー病若しくはパーキンソン病、前頭側頭型認知症、ハンチントン病)、夜尿症、眼瞼痙攣、非てんかん発作、精神病、躁病、脳マラリア及び認知症精神行動症状(BPSD)を含む。
【0100】
本明細書で用いられる場合、「有効量」は、単独又は1つ以上の他の活性剤、例えば、1つ以上の本明細書に記載の第2の治療薬との組み合わせの何れかを、被験者に治療効果を与えるために必要とされる各活性剤(例えば、本明細書に記載のタンニン酸混合物又はタンニン酸の実質的に均質なポピュレーション)の量を指す。いくつかの実施形態において、治療効果は、被験者においてDAAOの活性を阻害することである(例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又はそれ以上)。いくつかの実施形態において、治療効果は、基本的な行動機能、運動亢進、不安症、うつ病、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶の改善、及び/又は認知機能の改善である。いくつかの実施形態において、治療効果は、本明細書に記載のCNS障害の何れかに関連する1つ以上の症状を緩和することである。選択的に又は追加的に、治療効果は、被験者の体重を維持又は減少されることである。
【0101】
本明細書に記載の組成物の量が治療効果を達成するか否かの決定は、当業者にとって明らかである。有効量は、当業者によって認識されるように、治療される特定の症状、症状の重症度、個々の患者のパラメータ(年齢、身体状態、サイズ、性別及び体重、治療期間、併用療法の性質(存在する場合)、特定の投与経路、遺伝的要因及び医療従事者の知識及び専門知識での同様の要因)に基づき変化する。これらの因子は、当業者に周知であり、通常の実験のみで対処され得る。個々の成分又はその組合せの最大量が使用されること、すなわち、健全な医学的判断による最良の安全用量が、一般に好ましい。
【0102】
半減期等の実験に基づいた考慮事項は、一般的に、用量の決定に寄与する。投与の頻度は、治療過程にわたり決定及び調節され得、一般に、必ずしも必要ではないが、標的疾患/障害の治療及び/又は抑制及び/又は緩和及び/又は遅延に基づく。あるいは、本明細書に記載の組成物の徐放性持続放出製剤が適切であり得る。持続放出を達成するための様々な製剤及び装置は当該技術分野で周知である。
【0103】
一般に、何れかの組成物の投与のために、例示的な1日の投与量は、上記要因に基づき、約0.1μg/kg~3μg/kg~30μg/kg~300μg/kg~3mg/kg、~30mg/kg~100mg/kg又はそれ以上の何れかの範囲であり得る。条件に応じて、数日以上にわたる反復投与の場合、治療は、消耗の症状の抑制が起こるまで、又は標的疾患若しくは障害、又はその症状を緩和するために十分な治療レベルが達成されるまで持続される。例示的な投与レジメンは、適切な期間にわたり適切な間隔で1つ以上の初期用量を投与することを含む。必要に応じて、複数の維持投与量を適切な期間にわたり適切な間隔で被験者に投与することが出来る。しかしながら、医療従事者が達成することを薬物動態の崩壊パターンに依存して、他のレジメンが有用であり得る。例えば、1日又は1週間に1回~4回の投与が、意図される。いくつかの実施形態において、約3μg/mg~2mg/kg(例えば、約3μg/mg、約10μg/mg、約30μg/mg、約100μg/mg、約300μg/mg、約1mg/kg、及び約2mg/kg)の範囲の用量が用いられ得る。いくつかの実施形態において、投与頻度は、1日3回、1日2回、1日1回、1日おき、毎週1回、2週間に1回、4週間に1回、2か月に1回、又は3か月に1回であり得る。投与レジメンは時間と共に変化し得る。
【0104】
いくつかの実施形態において、正常体重の成人患者に関して、約0.3~50.00mg/kg/日の範囲の用量(例えば、0.5~40mg/kg/日、1~30mg/kg/日、5~30mg/kg/日、又は10~20mg/kg/日)が投与され得る。特定の投与レジメン、すなわち、投与量、タイミング及び反復は、特定の個人及びその個人の病歴、並びに個々の薬剤の特性(薬剤の半減期、及び当該技術分野で周知の他の考慮事項)に依存する。
【0105】
本開示の目的に関し、本明細書に記載のタンニン酸組成物の適切な用量は、組成物が、予防又は治療目的、以前の治療、DAAO阻害剤に対する患者の臨床履歴及び反応、及び主治医の裁量のために投与されたか否かに関わらず、特定のタンニン酸又はタンニン酸混合物、及び/又は使用される他の活性成分、疾患/障害のタイプ及び重症度に依存する。典型的に、臨床医は、所望の効果を達成する用量に達するまで、組成物を投与する。
【0106】
医学分野の当業者に知られている従来の方法は、治療すべき疾患のタイプ又は疾患の部位に依存して、組成物(例えば、医薬組成物、健康食品組成物、栄養補助食品組成物又は医療用食品組成物)を被験者に投与するために用いられ得る。この組成物はまた、例えば、経口、非経口、吸入スプレーによって、局所、直腸、経鼻、口腔、経腟等の他の従来の経路又はインプラントリザーバ(implanted reservoir)を介して投与され得る。本明細書で使用される用語「非経口」は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、関節滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内、及び頭蓋内注入又は注入技術を含む。加えて、1週間、半月(又は2週間)、1か月、3か月、又は6か月の蓄積注入可能又は生分解性の材料及び方法を用いる等の注入可能な蓄積投与経路を介して被験者に投与され得る。いくつかの実施例において、医薬組成物は、眼内又は硝子体内に投与される。
【0107】
注入用組成物は、例えば、植物油、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、乳酸エチル(ethyl lactate)、炭酸エチル(ethyl carbonate)、ミリスチン酸イソプロピル(isopropyl myristate)、エタノール、及びポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、及び同様のもの)等の種々の担体を含み得る。静脈内注入のために、水溶性抗体が、ドリップ法によって投与され得、それによって、タンニン酸及び生理学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物が注入される。生理学的に許容される賦形剤は、例えば、5%デキストロース、0.9%生理食塩水、リンガー溶液又は他の適切な賦形剤を含み得る。例えば、タンニン酸の適切な可溶性塩形態の滅菌製剤等の筋肉内製剤は、注入用水、0.9%生理食塩水、又は5%グルコース溶液等の医薬賦形剤に溶解され且つ、投与され得る。
【0108】
一実施形態において、タンニン酸含有組成物は、部位特異的又は標的局所送達技術を介して投与される。部位特異的又は標的局所送達技術の例は、例えば、注入カテーテル、留置カテーテル、又は針カテーテル、人工血管移植、外膜ラップ(adventitial wrap)、シャント及びステント若しくは他のインプラント可能な装置、部位特異的キャリア、直接注入、又は直接投与等のタンニン酸含有組成物の種々のインプラント可能な蓄積ソース又は局所送達カテーテルを含む。PCT公開WO 00/53211及び米国特許5,981,568等を参照。
【0109】
標的疾患/障害の治療効力は、当該技術分野で周知の方法によって評価され得る。
【0110】
III. 併用療法
本明細書に記載のタンニン酸含有組成物の何れか及び本明細書に記載のもの等の第2の治療薬を用いる併用療法もまた、本明細書で提供される。本明細書で使用される併用療法という用語は、これらの薬剤(例えば、タンニン酸含有組成物及び抗CNS障害又は抗肥満薬)の連続的な投与を包含し、すなわち、各治療薬は、異なる時間で、並びに実質的に同時の様式でこれら治療薬の投与、又は少なくとも2つの薬剤で投与される。各薬剤の逐次(sequential)的又は実質的に同時の投与は、限定されないが、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路皮下経路、及び粘膜組織を介する直接吸収経路を含む。前記薬剤は、同じ経路又は異なる経路によって投与され得る。例えば、第1の薬剤(例えば、タンニン酸含有組成物)は、経口投与され得、及び第2の薬剤(例えば、抗CNS障害薬又は抗肥満薬)は、静脈内に投与され得る。
【0111】
本明細書で使用される場合、用語「逐次」は、特に指定しない限り、規則的な順序又は順番によって特徴付けられる; 例えば、投与レジメンが、タンニン酸含有組成物及び抗CNS障害又は抗肥満薬の投与を含む場合、逐次投与レジメンが、抗CNS障害又は抗肥満薬の投与の前、同時、実質的に同時、又は後にタンニン酸含有組成物の投与を投与することを含み得るが、両方の薬剤は、規則的な順序又は順番で投与され得る; ことを意味する。用語「別個の」は、特に指定されない限り、互いに離れていることを意味する。用語「同時に」は、特に指定しない限り、同時に起こるか、又は行われる、すなわち、本発明の薬剤が同時に投与されることを意味する。用語「実質的に同時に」は、薬剤が互いに数分以内(例えば、お互いに10分以内に)に投与され、ジョイント投与(joint administration)並びに連続投与(consecutive administration)を包含することを意味するが、投与が連続的である場合、それは短時間(例えば、医療従事者が、2つの化合物を別々に投与するのにかかる時間)のみで時間的に分けられる。本明細書で使用される場合、同時投与及び実質的な同時投与は、互換的に用いられる。逐次投与は、本明細書に記載の薬剤の一時的に分離した投与を指す。
【0112】
併用療法はまた、他の生物学的に活性な成分(例えば、異なる抗CNS障害薬)及び非薬物療法(例えば、手術)とさらに組み合わせて、本明細書に記載の薬剤(例えば、タンニン酸含有組成物及び抗CNS障害薬又は抗肥満薬)の投与を包含し得る。
【0113】
タンニン酸含有組成物及び第2の治療薬(例えば、抗CNS障害薬又は抗肥満薬)の何れかの組合せは、標的疾患を治療するために何れかの順序で使用され得ることは理解されるべきである。本明細書に記載の組合せは、限定されないが、DAAOを阻害する有効性、基本的な行動機能の改善、運動亢進、不安症、うつ病、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶又は認知機能の強化、及び/又は標的疾患に関連する少なくとも1つの症状を緩和すること、又は別の薬剤の組合せの副作用を緩和するための有効性、を含む複数の要因に基づいて選択され得る。例えば、本明細書に記載の併用療法は、組み合わせの各個々のメンバーに関連する副作用の何れか、例えば、第2の治療薬に付随する副作用を低減し得る。
【0114】
IV. 一般的な技術
本発明の実施は、特に明記しない限り、当該技術分野の技術範囲である、神経科学、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学及び免疫学の従来の技術を用いる。このような技術は、以下に示す文献等に十分に説明される; 神経科学における最新のプロトコル (編集長: Eric Prager、オンラインISBN: 9780471142300、DOI: 10.1002/0471142301)。モレキュラークローニング: ラボラトリーマニュアル第2版(Sambrook, et al., 1989) コールドスプリングハーバープレス; オリゴヌクレオチド合成 (M. J. Gait, ed., 1984); 分子生物学における方法、フマーナプレス; 細胞生物学: ラボラトリーノートブック (J. E. Cellis編、1998) アカデミックプレス; 動物細胞の培養 (R. I. Freshney編、1987); 細胞及び組織培養の紹介 (J. P. Mather 及びP. E. Roberts、1998) プレナムプレス; 細胞及び組織培養: ラボラトリー手順 (A. Doyle、J. B. Griffiths、及びD. G. Newell編、1993-8) J. Wiley及びSons; 酵素学における方法 (アカデミックプレス、Inc.); 実験的免疫学ハンドブック (D. M. Weir及びC. C. Blackwell編); 哺乳類細胞のための遺伝子導入ベクター (J. M. Miller及びM. P. Calos編、1987); 分子生物学における最新のプロトコル (F. M. Ausubel, et al.、編、1987); PCR: ポリメラーゼ連鎖反応、(Mullis, et al.、編、1994); 免疫学の最新プロトコル (J. E. Coligan et al.、編、1991); 分子生物学におけるショートプロトコル (Wiley及びSons, 1999); 免疫生物学 (C. A. Janeway及びP. Travers、1997); 抗体(P. Finch、1997); 抗体: 実践的アプローチ (D. Catty.編、IRLプレス、1988-1989); モノクローナル抗体: 実践的アプローチ (P. Shepherd及びC. Dean、編、オックスフォード大学プレス、2000); 抗体の使用: ラボラトリーマニュアル (E. Harlow及びD. Lane (コールドスプリングハーバーラボラトリープレス、1999); 抗体 (M. Zanetti及びJ. D. Capra編、ハーウッドアカデミックパブリッシャー、1995)。
【0115】
それ以上の詳述なしに、当業者は、上記の説明に基づいて、本発明を最大限に利用することが出来ると考えられる。従って、本明細書で提供される特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるものであり、決して本開示の残りの部分を限定するものではない。本明細書に引用される全ての刊行物は、本明細書中で参照される目的又は主題のために参照として援用される。
【実施例0116】
実施例1. タンニン酸の強力な部分の同定及び中枢神経系(CNS)障害の治療効果のための有効性の決定
【0117】
D-アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)を阻害するためのタンニン酸の活性を以下のように測定した。
【0118】
DAAOの活性は、既知の基質であるD-プロリンの異化作用の阻害を測定することによってインビトロで測定された。補因子FAD(40μM)は、最初にDAAOストック溶液に加えられた。アッセイのために、潜在的なタンニン酸のインヒビターは、リン酸緩衝生理食塩水(137mM NaCl、3mM KCl、10mM Na2HPO4、2mM NaH2PO4、pH 7.4)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(5U/ml)、o-フェニレンジアミン(OPD、0.03%)、及び0.6μgヒト(又はブタ)DAAOを含む反応混合液を混合し、約5分間インキュベートした。プレインキュベーション期間の後、40mMのD-プロリンを基質として加え、反応を10分間続けた。OPDは、ホースラディッシュペルオキシダーゼにより酸化されて2,3-ジアミノフェナジン(DAP)を形成した。DAPの吸光度は、分光光度法により453nmで測定された。アッセイは、IC50を生成するための阻害剤の段階希釈液で行われ、プリズム(Prism)(グラフパッドソフトウェア)によって分析された。分析において、分光光度計の測定値を、標準方程式に適合し、50%阻害濃度(IC50)を決定した。全ての酵素アッセイは、室温、96ウェルプレート形式で行われた。
【0119】
図1に示すように、基としてのタンニン酸は、強力なD-アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)阻害活性を示し、IC
50値は5.47μMであった。
【0120】
タンニン酸のサブグループ(特定の数のガロイル部分を有する)のDAAO阻害活性は、以下のように測定された。異なる数のガロイル部分を有するタンニン酸画分は、グラジエント溶出においてアセトニトリル及び蒸留水の移動相を有する逆相カラム(LiChroprep(登録商標)RP-18)によって分離された。80μM(表1)及び300nM(
図2、表2)での各タンニン酸画分のDAAO阻害活性は、蒸留水及び10%DMSOをブランクコントロールとして、及び安息香酸ナトリウムをポジティブコントロールとして用い、上記の方法によって分析された。
【0121】
【0122】
表1は、異なる数のガロイル部分を有するタンニン酸の抗DAAO活性を示す。4又は4以上のガロイル部分を有するタンニン酸は、4未満のガロイル部分を有するタンニン酸と比較して、DAAOの阻害において非常に高い活性を示した。全てのDAAOアッセイは、80μMのタンニン酸で行われた。
【0123】
【0124】
表2は、300nMで異なる数のガロイル部分を有するタンニン酸の抗DAAO活性を示す。3ガロイル部分は弱い活性を示したが、より多くのガロイル部分は、DAAO活性の有意に高い阻害を示した。(G=ガロイル基の数)。
【0125】
以下の表3は、異なる数のガロイル部分を有するタンニン酸の抗DAAO活性のIC50を(μM)示す。IC50は、異なる数のガロイル部分を有する各タンニン酸について決定され、これは、3以上のガロイル部分を有する強力なタンニン酸を示した。4又は4以上のガロイル部分を有するタンニン酸は、4未満のガロイル部分を有するタンニン酸と比較して、非常に小さいIC50を示し、強力なDAAO阻害を示した。(G=ガロイル基の数)。
【0126】
【0127】
従って、3以上のガロイル部分を有するタンニン酸の精製は、タンニン酸混合物(表4)と比較して、より小さいIC50によって示される効力を高める。結果は、3以上のガロイル部分(例えば、4~10)を有するタンニン酸が、3以下のガロイル部分を有するタンニン酸よりも高いDAAO阻害効力を示したことを表す。
【0128】
【0129】
実施例2. 基本的な行動機能及び認知機能上でのタンニン酸の効果
【0130】
この試験の目的は、タンニン酸の複数回の投与の、基礎代謝、運動機能、及び認知行動上の影響を検証することであった。この実施例において、各マウスの体重、自発運動活性、不安様行動、空間学習及び記憶、うつ病様行動及び感覚運動ゲーティング機能が、タンニン酸の反復注入又は経口投与後に調べられた。これらの活性は、NMDA受容体によって媒介されることが知られている。(Wu et al., PNAS; 110(36):14765-70 (2013); Furuya et al., Eur J Pharmacol, 364(2-3):133-140 [1999]; Lai et al., Curr Pharm Des, 20(32):5139-5150 [2014]; McLamb et al., Pharmacol Biochem Behav, 37(1):41-45 [1990]; Vardigan et al., Pharmacol Biochem Behav, 95(2):223-229 [2010]; Wiley et al, Eur J Pharmacol, 294(1):101-107 [1995]; Wu et al., Psychopharmacology (Berl), 177(3):256-263 [2005])。本試験の例示的な図を
図3に示す。
【0131】
方法及び材料
動物及び飼育条件
C57BL/6J雌マウスは、動物飼育室内のポリスルホン換気ケージ(Alternative Design, AR, USA)に自由に摂取可能な食物及び水と共に群(1ケージ当たり3~5匹)飼育された。コロニーは、22±2℃の温度で、12/12時間の明/暗サイクルで維持され、全ての行動試験は、暗サイクル中に行われた。本試験で使用された全ての動物は、成体マウス(少なくとも2.5月齢)であった。
【0132】
タンニン酸の反復注入
タンニン酸は、Sigma(Sigma-Aldrich, USA)から購入された。成体マウスは、無作為に3群に分けられた: (1)コントロール、(2)タンニン酸(10mg/kg)、及び(3)タンニン酸(30mg/kg)、これらの群は、ビヒクルコントロール(PBS)、タンニン酸10mg/kg、及びタンニン酸30mg/kgでそれぞれ処理された。行動テストの2週間前に、全てのマウスは、ビヒクルコントロール又はタンニン酸を1日おきに腹腔内(i.p.)注入された。身体発達及び代謝の指標となる各マウスの体重は、注入の日に記録された。
【0133】
マウスの基本的な行動機能及び認知行動に対するタンニン酸の反復注入の影響の調査
上記のビヒクルコントロール又はタンニン酸の何れかで処理した全てのマウスは、5のタスクによって順次テストされた: (1)自発運動テストのためのオープンフィールド(open field)タスク、(2)高架式十字迷路による不安様行動テスト、(3)バーンズ(Barnes)迷路による空間学習及び記憶テスト、(4)テールサスペンションによる抑うつ様行動テスト、及び(5)プレパルス阻害による感覚運動機能テスト。異なるタスクの間に少なくとも1週間の間隔があった。キャリーオーバーを最小限に抑えるために、タスクは、ストレスの多いタスクがストレスの少ないタスクの先に行われないことを確保するための順番で用意された。この手順は神経科学の最新の手法((Developmental Editor: Eric Prager, Online ISBN: 9780471142300, DOI: 10.1002/0471142301)に記載されており、その関連する開示は、意図された目的のために出典明記により本明細書に組み込まれる。
【0134】
結果
身体発達及び体重減少
反復注入の間、タンニン酸(10mg/kg)群の体重は、コントロール群よりも低いレベルで増加したのに対し、タンニン酸(30mg/kg)の体重は、コントロールよりも軽かった。
図4参照。
【0135】
自発的な運動活動
オープンフィールドタスクは、マウス及びラットの両方の新規誘導性行動及び一般的な活動の共通の測量である。この試験において、マウスは、50~65ルクスの光強度でPLEXIGLAS(登録商標)ケージ(37.5cm×21.5cm×18 cm)に入れられた。マウスの自発的な運動活性は、EthoVisionビデオ追跡システム(Noldus Information Technology, the Netherlands)を用いて60分間測定された。各マウスの移動距離は、運動活動の指標として測定された。
図5に示すように、タンニン酸は、処理されたマウスの走行距離を用量依存的に減少させた。
【0136】
同様の実験は、マウスを、10mg/kg、30mg/kg、100mg/kg、300mg/kg、及び600mg/kgの単回投与で経口投与し、マウスの運動活性を30分、60分、90分、及び120分で測定することで実施された。全てのテスト用量でのタンニン酸は、ビヒクルコントロールで処置したマウスと比較して、処置したマウスの移動を減少させた。結果を
図6に示す。
【0137】
不安様行動
本能的に不安な行動を評価するために、2つのオープンアームと2つのクローズドアームからなる上昇した高架式十字迷路を用いた。迷路は、2つのオープンアーム(各長さ50cm×幅10cm)、2つのクローズドアームプラス屋根の無い高さ45cmの壁(各長さ50cm×幅10cm)、正方形の中央プラットフォーム(10×10cm)で床から50cm上昇した。各マウスは、中央プラットフォームに置かれ、5分間50~65ルクスの光強度で観察するために、クローズドアームの1つに向けた。迷路の各部分に費やされた時間及び迷路の各部分の移動距離は、EthoVision追跡システム(Noldus Information Technology, the Netherlands)によって記録された。
【0138】
各群の嫌悪期間(aversive duration)の比率を
図7のパネルAに示した。コントロール群と比較して、タンニン酸(30mg/kg)群は、わずかに高い嫌悪期間の比率を示したが、タンニン酸(10mg/kg)群は示さなかった。各群の嫌悪期間の比率を
図7のパネルBに示した。タンニン酸(30mg/kg)群は、コントロール群と比較して有意に高い嫌悪期間の比率を示した。各群のリスクアセスメントの数は、
図7のパネルCに示される。コントロール群と比較して、両方のタンニン酸の群は、有意に低いリスクアセスメントを示した(全てP<0.05)。
【0139】
マウスは、以前の研究(Barnes, J Comp Physiol Psychol, 93(1):74-104 [1979])に記されているように、それらの空間学習及び記憶を調べるためにバーンズ迷路においてテストされた。テスト装置は、周囲に均等に間隔を空けて配置された20個の穴(直径7cm、穴間7cm)を有する円形の高架PLEXIGLAS(登録商標)プレート(直径100cm)であった。マウスは、プレート上で、標的の穴の後ろに隠れたエスケープボックス(25×8×6cm)を同定するように訓練され、これは、モリス水路迷路タスクにおける塞がれたプラットフォームと類似するものとして示された。標的の穴の位置は、各マウスについて選択されたが、各マウスで無作為化された。マウスは、最初に不透明なシリンダーで覆われたプレートの中央に置かれ、シリンダーは、嫌悪トーン(tone)(440 Hz、85dB)及びライト(100lux)の両方のスイッチを入れ試験開始後10秒後に取り除かれた。3日連続して1日3回の訓練試験で、周囲の視覚的手がかりにしたがって標的穴を突き止め、嫌悪色調から逃げるようにマウスを訓練した。空間的記憶は、「プローブテスト」によって測定された。全ての訓練試験及びプローブ試験を3分間のビデオテープに記録した。その後、プローブテスト中のトレーニング試験のエスケープ待ち時間及びプローブテスト中の異なる四分円(標的、左、右、及び反対)における時間の割合が解析された。プローブ試験において、
図8に示すように、タンニン酸(30mg/kg)群は、標的ゾーンに対して有意な優位性を示したが、他の群では示さなかった。
【0140】
種々の用量での複数注入によるタンニン酸で処置されたマウスの基本的な代謝、行動機能、及び認知行動特性が、実施例2に記載の実験で試験された。要約すると、3つの主な所見が認められた。
【0141】
第1に、タンニン酸(30mg/kg)群のマウスの体重は、減少した。このマウスの群はまた、オープンフィールドでのより低い自発的な運動を示した。オープンフィールドタスクは、新規誘導性自発運動活性及び一般運動機能を試験するために用いられた(Powell et al., Biol Psychiatry, 59(12):1198-1207 [2006]; van den Buuse, Schizophr Bull, 36(2):246-270 [2010])。理論に縛られるものではないが、反復タンニン酸注入をしたマウスにおける自発運動活性の低下は、新規環境へのより早い慣れに由来するものと考えられる。
【0142】
第2に、高架プラス迷路において、タンニン酸で処置したマウスの不安様行動は、減少した。高架プラス迷路タスクは、推定上の抗不安薬又は不安惹起化合物のスクリーニングのためのマウスモデルである(Rodgers et al., Braz J Med Biol Res, 30(3):289-304 [1997]; Steimer, Dialogues Clin Neurosci, 13(4):495-506 [2011])。オープンアームで費やされる時間の割合の増加は、プラス迷路における不安の低下を表す。実験において、注入を繰り返したマウスは、オープンアームで費やされた時間の割合が高いだけでなく、オープンアームでの移動距離の割合も高く、リスク評価が低かった。これらの結果は、タンニン酸の反復注入が、高架プラス迷路における不安様行動を減少させることを支持している。
【0143】
第3に、タンニン酸注入を繰り返したマウスは、バーンズ迷路における空間記憶回復増強を示した。バーンズ迷路は、マウスの認知機能、特に空間学習機能と記憶を評価するタスクである(Rosenfeld et al., J Vis Exp, (84):e51194 [2014])。特定の認知機能領域の理解の進歩に基づいて、臨床研究の数の増加は、統合失調症、認知症、アルツハイマー病、うつ病、及び強迫神経症(OCD)等の多くの精神疾患における認知障害の影響が強調される(Kirova et al., Biomed Res Int, 748212 [2015]; Lai et al., Curr Pharm Des, 20(32):5139-5150 [2014]; Okasha et al., Acta Psychiatr Scand, 101(4):281-285 [2000]; Rosenblat et al., Int J Neuropsychopharmacol, pii: pyv082 [2015]; Terry et al., Ann Neurol, 30(4):572-580 [1991])。プローブテスト(記憶回復フェーズ)において、タンニン酸が(30基(group))、標的ゾーンに優先的に表示された。この証拠は、高用量タンニン酸の反復注入が、正常マウスにおける認知機能を増強し得ることを示した。さらに、NMDA受容体シグナル伝達は、学習プロセス及び記憶強化において重要な役割を果たすと考えられている(Newcomer et al., Hippocampus, 11(5):529-542 [2001]; Rezvani, Animal Models of Cognitive Impairment, 1(4) [2006])。従って、タンニン酸の反復注入は、マウスにおけるNMDAシグナル伝達を介して認知機能を増強し得る。
【0144】
従って、本試験の結果は、タンニン酸が、体重減少及び基本的な行動機能、運動亢進、不安症、記憶及び/又は認知行動の改善に有効であることを示している。例えば、ADHDを患う子供の大部分は、学習及び記憶に及ぼす影響を考慮すると、タンニン酸によって改善され得る併存症の学習障害を有する。
【0145】
実施例3. MK801処置マウスに対するタンニン酸注入のレスキュー及び保護効果
本実験の目的は、周知のNMDA受容体アンタゴニストであるMK801を用いて、CNS障害を治療する際のタンニン酸のモデル機構を評価することであった。タンニン酸及びMK801は、行動テスト前(すなわち、オープンフィールド及びプレパルス阻害)に、腹腔内(i.p.)注入によってマウスに投与された。
【0146】
実験デザイン
本実験は、タンニン酸の作用機構を特徴づけるためにデザインされた。ジゾシルピン(dizocilpine)としても知られているMK801は、NMDA受容体のアンタゴニストである(Kovacic et al., Oxid Med Cell Longev, 3(1):13-22 [2010])。これは、ステレオタイプの行動、アンヘドニア(anhedonia)、学習及び記憶障害、作業記憶障害及び感覚機能異常を含む、中枢神経系疾患のNMDA低機能誘発性症状の多くの局面で用いられている(Furuya et al., Eur J Pharmacol, 364(2-3):133-140 [1999]; McLamb et al., Pharmacol Biochem Behav, 37(1):41-45 [1990]; Vardigan et al., Pharmacol Biochem Behav, 95(2):223-229 [2010]; White et al., Pharmacol Biochem Behav, 59(3):613-617 [1998]; Wu et al., Psychopharmacology (Berl), 177(3):256-263 [2005])。これら実験の目的は、低機能NMDA受容体を有するマウスに対するタンニン酸の効果を評価することであった。例示的な実験デザインを
図9に示す。
【0147】
方法及び材料
動物及び飼育条件
C57BL/6J雄マウスは、動物飼育室内のポリスルホン換気ケージ(Alternative Design, AR, USA)に自由に摂取可能な食物及び水と共に群(1ケージ当たり3~5匹)飼育された。コロニーは、22±2℃の温度で、12/12時間の明/暗サイクルで維持され、全ての行動試験は、暗サイクル中に行われた。本試験で使用された全ての動物は、成体マウス(少なくとも2.5月齢)であった。
【0148】
薬物投与
マウスは、無作為に6群に分けられた:
群1: PBS+生理食塩水コントロール;
群2: PBS+MK801;
群3: タンニン酸 (10mg/kg)+MK801;
群4: タンニン酸 (15mg/kg) + MK801;
群5: タンニン酸 (20mg/kg) + MK801; 及び
群6: タンニン酸 (30mg/kg) + MK801。
【0149】
群2~6における各マウスは、行動テストの20分前にMK801(Sigma-Aldrich, USA、通常の生理食塩水に溶解した、0.1mg/kg、i.p.)の急性投与を受けた。群3~6における各マウスは、MK801の投与の20分前にタンニン酸(Sigma-Aldrich, USA、PBSに溶解した、10、15、20又は30mg/kg、i.p.)の急性投与を受けた。
【0150】
MK801処置マウスに対するタンニン酸投与の高架の検査
この試験の全てのマウスは、2つのタスク間に少なくとも1週間の間隔をおいたオープンフィールドタスク及びプレパルス阻害タスクでテストされた。マウスのさらなるコホートを用いて、プレパルス阻害に対する種々のタンニン酸ソースの効果をテストした。
【0151】
結果
MK801処置マウスにおける運動に対するタンニン酸の影響
コントロール群(群1)と比較して、MK801群(群2)は、過剰な運動活性を示した。タンニン酸10、20、及び30の群(群3、群5、及び群6)は、
図10に示すように、コントロール群よりも低い運動活性を示した。MK801群(群2)と比較して、全てのタンニン酸群は、
図10に示すように、より低い運動活性を示した。
【0152】
MK801処置マウスにおけるプレパルス阻害に対するタンニン酸の効果-感覚運動機能
前注意過程は、自動で迅速であり、自覚している意識の外で影響を及ぼす傾向があるが、意識的な注意過程は、リソースが限られており、より多くの努力を必要とし、よりゆっくり影響を及ぼす。前注意過程の一般的な尺度は、プレパルス阻害である。このパラダイムは、いくつかの精神病(例えば、統合失調症、アルツハイマー病)のマウスモデルにおいて、その欠如が、ヒトの症状と同様に現れるため一般的に調べられている(Arguello et al., Neuron, 52(1):179-196 [2006]; Lai et al., Curr Pharm Des, 20(32):5139-5150 [2014]; McCool et al., Brain Res, 994(1):99-106 [2003])。
【0153】
プレパルス阻害は、SR-LAB驚愕装置(San Diego Instruments, San Diego, CA, USA)を用いた感覚運動ゲーティング機能の指標として用いられた。72dBのバックグラウンドノイズの下では、各セッションは5分間の蓄積期間と、その後の4ブロックの64回の試行で構成された。パルス単独(PA)試行は、40ms、120dBのホワイトノイズバーストであった。プレパルス(pp)+パルス試行において、40msの120dBパルスの前に、78ms(pp6)、82dB(pp10)、及び90dB(pp18)の20msのホワイトノイズプレパルス刺激が100msで提示された。非刺激(NS)試行は、バックグラウンドノイズのみを提示した。最初及び最後のブロックは、それぞれ6回のPA試行から構成された。2つの中間ブロックは、PA、pp +パルス、及びNS試行で構成された。これらの試行は、疑似無作為に提示され、平均して15秒(10~20秒間の間で変化する)の間隔で区切られた。プレパルス阻害のパーセンテージは以下の式によって評価された: %PPI=100×[(PAスコア)-(pp-Pスコア)]/(PAスコア)、ここで、PAスコアは、中間ブロックのPA値の平均であった。タンニン酸は、
図11及び12のようにプレパルス阻害を改善し、
図11に示すように用量依存的に改善した。
【0154】
78dBのプレパルス強度では、6群間に有意差は見られなかった。82dBのプレパルス強度において、MK801及びタンニン酸(10mg/kg)群は、コントロール群との差を示さなかった。コントロール群と比較して、タンニン酸(15mg/kg)群は、プレパルス阻害のわずかに高いパーセンテージを示し、タンニン酸(20mg/kg)及びタンニン酸(30mg/kg)群は、プレパルス阻害の有意に高いパーセンテージを示した。90dBプレパルス強度に関して、コントロール群と比較して、タンニン酸(15mg/kg)、タンニン酸(20mg/kg)及びタンニン酸(30mg/kg)群は、
図11に示すように、コントロール群と比較して、プレパルス阻害の有意に高いパーセンテージを示したが、MK801及びタンニン酸(10mg/kg)群ではそのような結果が観察されなかった。
【0155】
MK801処置マウスにおけるプレパルス阻害に対する異なるタンニン酸ソースの効果
この実験の目的は、プレパルス阻害に対する種々のタンニン酸ソースの影響を評価することであった。この試験において、Sigma-Aldrich (ソースA)及びSpectrum、USA (ソースB)から購入したタンニン酸を15mg/kgで用いた。
【0156】
78dB及び82dBのプレパルス強度に関しては、2つのソースのタンニン酸で処理したマウスとコントロール群又はMK801群との間に有意差は観察されなかった。90dBのプレパルス強度に関して、両方のタンニン酸群が、コントロール群と比較して有意に高いプレパルス阻害のパーセンテージを示したが、MK801群ではそのような結果が観察されなかった。
図12に示すように、ソースAタンニン酸及びソースBタンニン酸で処置したマウスから得られた結果は、類似していた。
【0157】
精神病の病状は、動物モデルで観察し測定することが難しいが、精神病関連行動は、精神運動興奮、興奮症状、感覚運動ゲーティング及びMK801等の精神異常薬に対する感受性を含む精神病関連行動をテストすることが出来る(Arguello et al., Neuron, 52(1): 179-196 [2006]; Lai et al., Curr Pharm Des, 20(32):5139-5150 [2014])。マウスにおいて、オープンフィールドタスクにおける過剰な運動活性及び新規誘導性運動活性(新しいものへの慣れの減少又は探索の増加の何れか)に関連するパラメータは、それぞれ、精神運動興奮及び興奮症状を測定するために用いられ得る(Lai et al., Curr Pharm Des, 20(32):5139-5150 [2014]; Powell et al., Biol Psychiatry, 59(12):1198-1207 [2006]; Vardigan et al., Pharmacol Biochem Behav, 95(2):223-229 [2010])。本試験において、腹腔内又は経口経路(p.o.)の両方によるタンニン酸、逆/保護(reversed/protected)MK801の投与は、オープンフィールドにおいて過剰な運動活性を誘導した。結果は、タンニン酸が、精神病症状(例えば、妄想及び幻覚)を治療するための潜在的な治療薬であることを示した。
【0158】
プレパルス阻害タスクにおいて、15mg/kgのタンニン酸は、MK801で処置したマウスにおいて感覚運動ゲーティング機能を増強するために十分であった。加えて、異なるソースのタンニン酸は、プレパルス阻害タスクにおける感覚運動機能の増強に影響しなかった。プレパルス阻害の欠損は、前記欠損の発現が、ヒトにおいて同様に同定され得るため、マウスモデルにおいて統合失調症のエンドフェノタイプとして一般に考慮されてきた((Arguello et al., Neuron, 52(1):179-196 [2006]; Geyer et al., Schizophr Bull, 13(4):643-668 [1987]; Lai et al., Curr Pharm Des, 20(32):5139-5150 [2014])。プレパルス阻害の欠損はまた、自閉症スペクトラム障害(McAlonan et al., Brain, 125(Pt 7):1594-1606 [2002])、強迫性障害、ハンチントン病、夜尿症、注意欠陥障害、トゥレット症候群、眼瞼痙攣、非てんかん発作、心的外傷後ストレス障害(Braff et al., Psychopharmacology (Berl), 156(2-3):234-258 [2001])、パニック障害、双極性障害、アルツハイマー病の軽度認知症、レビー小体型認知症、並びに注意欠陥多動性障害及びチック障害(Giakoumaki et al., Biol Psychiatry, 62(12):1418-1422 [2007]; Ludewig et al., Depress Anxiety, 15(2):55-60 [2002]; Perriol et al., J Neurol Neurosurg Psychiatry, 76(1):106-108 [2005]; Ueki et al., Psychiatry Clin Neurosci, 60(1):55-62 [2006])を含む他の中枢神経系疾患において見出された。
【0159】
従って、タンニン酸は、様々なCNS障害のための有望な治療薬である。さらに、タンニン酸は、自発的及びMK801誘導性過剰運動の両方を減少させ、これは、タンニン酸が、ADHD及びそれに関連する障害の症状を改善するための治療薬として役立ち得ることを示す。
【0160】
さらに、タンニン酸は、タンニン酸処置されたマウスにおいて体重を減少させることができ、これはタンニン酸が、体重のコントロール及び/又は肥満の治療及びそれに関連した障害において有効であることを示す。
【0161】
実施例4. MK801処置マウスに対するタンニン酸経口投与のレスキュー及び保護効果
この実験の目的は、周知のNMDA受容体アンタゴニストであるMK801を用いて、CNS障害を治療する際のタンニン酸の潜在的な作用機序を評価することであった。タンニン酸及びMK801は、それぞれ行動テスト前(すなわち、オープンフィールド、プレパルス阻害、バーンズ迷路及びショ糖嗜好性)に、強制経口投与(p.o.)及び腹腔内(i.p.)注入のそれぞれによってマウスに投与された。
【0162】
実験デザイン
この実験は、タンニン酸の作用機序を特徴づけるためにデザインされた。ジゾシルピンとしても知られるMK801は、NMDA受容体のアンタゴニストである(Kovacic et al., Oxid Med Cell Longev, 3(1):13-22 [2010])。それは、ステレオタイプの行動、アンヘドニア、学習及び記憶障害、作業記憶障害及び感覚機能異常を含む中枢神経系疾患のNMDA機能低下誘導性症状の多くの局面で用いられる(Furuya et al., Eur J Pharmacol, 364(2-3):133-140 [1999]; McLamb et al., Pharmacol Biochem Behav, 37(1):41-45 [1990]; Vardigan et al., Pharmacol Biochem Behav, 95(2):223-229 [2010]; White et al., Pharmacol Biochem Behav, 59(3):613-617 [1998]; Wu et al., Psychopharmacology (Berl), 177(3):256-263 [2005])。これら実験の目的は、機能低下NMDA受容体を有するマウスに対するタンニン酸の効果を評価することであった。例示的な実験デザインを
図13に示す。
【0163】
方法及び材料
動物及び飼育条件
C57BL/6J雄マウスは、動物飼育室内のポリスルホン換気ケージ(Alternative Design, AR, USA)に自由に摂取可能な食物及び水と共に群(1ケージ当たり3~5匹)飼育された。コロニーは、22±2℃の温度で、12/12時間の明/暗サイクルで維持され、全ての行動試験は、暗サイクル中に行われた。本試験で使用された全ての動物は、成体マウス(少なくとも2.5月齢)であった。
【0164】
薬物投与
マウスは、無作為に5群に分けられた:
群1: PBS+生理食塩水コントロール;
群2: PBS+MK801;
群3: タンニン酸 (10mg/kg)+MK801;
群4: タンニン酸 (30mg/kg) + MK801; 及び
群5: タンニン酸 (100mg/kg) + MK801。
【0165】
群2~5の各マウスは、行動テストの20分前に、通常の生理食塩水に溶解したMK801(Sigma-Aldrich, USA)、オープンフィールド及びバーンズ迷路タスクのために0.1mg/kg、及びプレパルス阻害及びショ糖嗜好性タスクのために0.2mg/kg、i.p.注入によって急性投与を受けた。群3~5における各マウスは、MK801の投与の20分前にタンニン酸(Sigma-Aldrich, USA、PBSに溶解した、10、30、又は100mg/kg、p.o.)の急性投与を受けた。
【0166】
結果
MK801処置マウスに対するタンニン酸投与の効果の検査
この試験の全てのマウスは、少なくとも1週間の間隔でオープンフィールドタスク、プレパルス阻害タスク、バーンズ迷路及びショ糖嗜好性でテストされた。
【0167】
MK801処置マウスにおける行動に対してのタンニン酸経口投与の効果
このテストにおいて、タンニン酸は、MK801(0.1mg/kg)注入の20分前に経口投与された。
図14に示すように、MK801は、過剰な運動活性を誘導し、タンニン酸は、用量依存的にMK801誘導性過剰運動をレスキューした。
【0168】
MK801処置マウスにおけるプレパルス阻害に対するタンニン酸の効果
コントロール群と比較して、MK801(0.2mg/kg)は、強力なプレパルス阻害欠損を誘導した。78dB及び82dBのプレパルス強度において、タンニン酸(10、30及び100mg/kg)は、MK801誘導性プレパルス阻害欠損をレスキュー/保護しなかった。90dBのプレパルス強度に関して、MK801群と比較して、タンニン酸(30mg/kg)、及びタンニン酸(100mg/kg)群は、MK801誘導性プレパルス阻害欠損に有意なレスキュー/保護効果を示した。一方、
図15に示すように、MK801及びタンニン酸(10mg/kg)群では、このような結果は観察されなかった。
【0169】
MK801処置マウスおける空間学習及び記憶に対するタンニン酸の効果
タンニン酸は、
図16に示すように用量依存的に、MK801処置マウスにおけるバーンズ迷路タスクの記憶回復を改善する。
【0170】
MK801処置マウスおけるうつ病様行動(アンヘドニア)に対するタンニン酸の効果
コントロール群と比較して、MK801群のマウスは、ショ糖溶液(2%)に対して嗜好性を示さなかった。MK801群と比較して、タンニン酸30mg/kg及び100mg/kgを有するマウスは、
図17に示すように、MK801誘導性うつ病様行動(アンヘドニア)に対するレスキュー/保護効果を示した。
【0171】
実施例5. マウスにおけるタンニン酸の鎮痛効果
この実験の目的は、マウスにおけるタンニン酸の鎮痛効果を評価することであった。タンニン酸は、行動テストの前(すなわちフォンフライテスト)に腹腔内(i.p.)注入によってマウスに投与された。
【0172】
実験デザイン
フォンフライテスト(疼痛感覚の典型的なアッセイ)のために別のコホートが用いられた。各マウスの足の疼痛逃避閾値は、
図22に示すように、薬物注入前並びに薬物注入後30、60、90及び120分後に採取された。
【0173】
方法及び材料
動物及び飼育条件
C57BL/6J雄マウスは、動物飼育室内のポリスルホン換気ケージ(Alternative Design, AR, USA)に自由に摂取可能な食物及び水と共に群(1ケージ当たり5匹)飼育された。コロニーは、22±2℃の温度で、12/12時間の明/暗サイクルで維持され、全ての行動試験は、暗サイクル中に行われた。本試験で使用された全ての動物は、成体マウス(少なくとも8週齢)であった。
【0174】
薬物投与
マウスは、無作為に2群に分けられた:
群1: PBS+生理食塩水コントロール; 及び
群2: タンニン酸 (15mg/kg)。
【0175】
群1の各マウスは、i.p.注入によるビヒクルコントロールとしてPBSの急性投与を受けた。群2の各マウスは、タンニン酸(Merck Millipore, Germany; 15mg/kg、PBSに溶解、i.p.)の急性投与を受けた。
【0176】
結果
マウスにおけるタンニン酸注入の鎮痛効果
ベースライン時には、群間に差は見られなかった。PBSコントロールと比較して、群2の閾値は、
図19に示すように、薬物注入の30分、60分、及び90分後に有意に高かった。
【0177】
実施例6. 種々のタンニン単組成物の比較
異なるサプライヤーからの3つの市販のタンニン酸のD-アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)に対する組成物及び阻害活性が比較された。
【0178】
実験デザイン
市販の3つのタンニン酸組成物は、HPLCによって測定され、D-AAOに対する阻害活性は、実施例1に示した方法によって測定された。
【0179】
方法及び材料
HPLC条件
-器具: Agilent 1260 Column: Atlantis T3 150*4.6mm、30μm
-移動相A: 水+0.1%トリフルオロ酢酸
-移動相B: メタノール : アセトニトリル 2 : 8 (v/v)
-カラム温度: 25℃
-検出器: DAD 280nm
-流量: 1.5mL/min
-試料調製: 10mg/mL
-注入容量: 10μL
-希釈剤: 水
-勾配:
【表5】
【0180】
結果
組成物:
異なる植物ソースから3つのタンニン酸のHPLCクロマトグラフが、
図20~22に示される。
【0181】
DAAOに対する阻害活性:
DAAOに対する3つの市販のタンニン酸の阻害活性及びその組成物が表5に示す。
【0182】
【0183】
Rhus chinensisから抽出されたタンニン酸は、Quercus infectoriaからのタンニン酸よりもはるかに高い6~12Gの割合及びより低い2~5Gの割合を有する。
【0184】
実施例7. 比較のための種々の植物ソースの没食子からのタンニン酸の抽出
タンニン酸は、示されている種々の植物ソースの没食子から抽出され、D-アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)に対するそれらの活性が、調査された。
【0185】
方法
没食子粉砕方法
適切な植物ソース(以下の表6参照)からのタンニン酸を産生する没食子を、機械的粉砕機で摩砕し、40メッシュのふるいに通し、没食子細粉を産生した。
【0186】
没食子細粉抽出方法
没食子細粉(20.0g)は、200.0mLの適切な溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル(EtOAc)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、又は1,4-ジオキサン)中に入れた。このように形成された上記混合物は、室温又は40℃の何れかで一晩撹拌された。得られた溶液を濾過し、前記濾液を減圧濃縮し、タンニン酸を含む組成物を生成した。
【0187】
結果
DAAOに対する阻害活性
上記方法に従って、DAAOに対する種々の植物ソースの没食子から抽出されたタンニン酸の阻害活性を表6に示した。様々な直径の没食子とDAAO IC
50の比較を
図23に示した。
【0188】
【0189】
表6及び
図23に示すように、Rhus chinensis又はRhus potaninii由来の没食子の何れかは、Quercus infectoriaからのIC
50よりもDAAOに対して低いIC
50(強い阻害)を有する。さらに、Rhus chinensis (直径3~4cm)及びRhus potaninii (直径4~5cm)からのより小さい没食子は、同じ植物ソースからのより大きな没食子(直径6~7cm)と比較してより低いIC
50を有する。
【0190】
実施例8. 種々の植物ソースの没食子から抽出されたタンニン酸の濃縮方法
本明細書に記載の各植物ソースの没食子から抽出されたタンニン酸は、下記のように濃縮された。DAAOに対するそれらの阻害活性を調査した。
【0191】
濃縮方法1
没食子細粉(20.0g)は、200.0mLの適切な溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)中に入れられ、及びこのように形成された上記混合物は、室温又は40℃の何れかで一晩撹拌された。得られた濾液を濾過し、濾液を減圧濃縮し、タンニン酸を含む組成物を得た。前記組成物は、50.0mLの50又は30%のメチルエチルケトン/ヘキサン溶液(ヘキサン中の50%又は30%メチルエチルケトン)と混合された。このように形成された上記混合物は、室温で12時間さらに撹拌され、得られた2つの有機層を分離した。油層(下層)を真空中で濃縮し、粗固体を得た。前記固体は、50.0mLの適切な溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)に溶解され、得られた溶液は木炭(1.6g)と混合された。得られた混合物は、室温で12時間撹拌され、CaSO4又はMgSO4 (2.5g)が、混合物に加えられた。このように形成された上記混合物は、室温で30分間さらに撹拌され、セライト床で濾過され、適切な溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)(100mL×2)で洗浄され、真空中で濃縮された。得られた固体(タンニン酸を含む)は、アセトン又は酢酸エチル(12.0mL)に溶解され、次いでこのうように形成された上記溶液は、撹拌され、CH2Cl2(72.0mL)と一滴ずつ混合された。このようにして形成された上記固体は、濾過によって回収され、40℃で2時間真空乾燥され、濃縮タンニン酸固体を生成した。
【0192】
濃縮方法2
没食子細粉(20.0g)は、200.0mLの適切な溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール)中に入れられ、室温で12時間撹拌された。このようにして形成された上記溶液は、濾過され、回収された濾液は、200.0mLのヘキサンと混合された。混合物は、室温で12時間撹拌され、得られた2つの有機層は分離された。油層(下層)は、減圧濃縮され、次いで得られた固体は、50.0mLの適切な溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール等)に溶解された。得られた溶液は、木炭(1.6g)と混合され、さらに室温で12時間撹拌された。このようにして得られた上記混合物は、CaSO4又はMgSO4 (2.5g)とさらに混合され、室温で30分間撹拌された。前記混合物は、セライト床で濾過され、(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール等)(100mL×2)で洗浄され、真空で濃縮された。このようにして得られた粗残留物は、アセトン又は酢酸エチル(12.0mL)に溶解され、次いでこのように形成された上記溶液は撹拌され、CH2Cl2(72.0mL)とゆっくりと混合された。このようにして形成された固体を、濾過により回収し、40℃で2時間真空乾燥し、濃縮タンニン酸組成物を生成した。
【0193】
濃縮方法3
没食子細粉(20.0g)は、200.0mLの適切な溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)中に入れられ、室温で12時間撹拌された。得られた濾液は濾過され、濾液は回収された。次いで、濾液は、200.0mLのヘキサンに加えられた。このように形成された上記混合物は、室温で12時間撹拌され、得られた2つの有機層は、分離された。油層(下層)は、回収され、40.0mLの溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)及び木炭(1.6g)と混合され、得られた混合物は、室温で12時間撹拌された。前記混合物は、さらにCaSO4又はMgSO4と混合され、室温で30分間撹拌され、セライト床で濾過され、溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)(100mL×2)で洗浄された。このようにして回収された上記濾液は、真空中で濃縮され、得られた固体物質は、アセトン又は酢酸エチル(12.0mL)に溶解された。このようにして形成された上記溶液は、撹拌され、CH2Cl2(72.0mL)と一滴ずつ混合された。このようにして形成された上記固体は、濾過により回収され、40℃で2時間真空乾燥され、濃縮タンニン酸組成物を形成した。
【0194】
濃縮方法4
没食子細粉(20.0g)は、200.0mLの適切な溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)中に混合物を形成するために入れられ、室温で12時間撹拌された。前記混合物は、木炭(1.6g)と混合され、室温で12時間撹拌された。得られた混合物は、CaSO4又はMgSO4(2.5g)とさらに混合され、室温で30分間撹拌され、セライト床で濾過され、溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)(100mL×2)で洗浄された。濾液は、真空中で濃縮され、得られた残渣は、アセトン又は酢酸エチル(12.0mL)に溶解され、このように形成された上記溶液は、撹拌され、CH2Cl2(72.0mL)とゆっくり混合された。このように形成された固体は、濾過によって回収され40℃で2時間真空乾燥され、濃縮タンニン酸組成物を産生した。
【0195】
濃縮方法5
没食子細粉(20.0g)は、200.0mLの適切な溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)中に入れられ、このように形成された混合物は、室温で12時間撹拌された。前記混合物は、木炭(1.6g)と混合され、室温で12時間撹拌された。前記混合物は、CaSO4又はMgSO4(2.5g)とさらに混合され、室温で30分間撹拌された。前記混合物は、セライト床で濾過され、溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)(100mL×2)で洗浄された。濾液は、約10~5mLまで濃縮され、得られた溶液は、CH2Cl2 (60~90mL)と一滴ずつ混合された。このように形成された固体は、濾過により回収され、40℃で2時間真空乾燥され、濃縮タンニン酸組成物を形成した。
【0196】
濃縮方法6
没食子細粉(20.0g)は、200.0mLの適切な溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)中に入れられ、このように形成された溶液は、室温で12時間撹拌され、次いで濾過された。濾液は回収され、木炭(1.6g)と混合され、室温で12時間撹拌された。前記混合物は、CaSO4又はMgSO4(2.5g)とさらに混合され、室温で30分間撹拌された。次いで得られた混合物は、セライト床で濾過され、溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)(100mL×2)で洗浄され、合わせた濾液は、真空蒸発により濃縮された。このように形成された粗固体は、アセトン又は酢酸エチル(12.0mL)に溶解され、溶液は撹拌され、CH2Cl2 (72.0mL)とゆっくり混合された。このようにして形成された固体は濾過によって回収され、40℃で2時間真空乾燥され、濃縮タンニン酸組成物を得た。
【0197】
濃縮方法7
没食子細粉(20.0g)は、50.0mLの50%又は30%のメチルエチルケトン/ヘキサンに入れられ、室温で12時間撹拌された。得られた混合物は、濾過され、固体が回収された。次いで前記固体は、200.0mLの溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)と混合された。このように形成された混合物は、室温で12時間撹拌され、濾過され、濾液が回収された。次いで、濾液は、木炭(1.6g)と混合され、室温で12時間撹拌された。得られた混合物は、CaSO4又はMgSO4(2.5g)とさらに混合され、室温で30分間撹拌され、セライト床で濾過され、溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)(100mL×2)で洗浄され、濾液は、真空蒸発により濃縮された。次いで、得られた残渣は、アセトン又は酢酸エチル(12mL)に溶解され、次いで溶液は、撹拌され、CH2Cl2 (72.0mL)と一滴ずつ混合された。このようにして形成された固体は、濾過により回収され、40℃で2時間真空乾燥され、濃縮タンニン酸組成物を産生した。
【0198】
濃縮方法8
没食子細粉(20.0g)は、50.0mLの50%又は30%のメチルエチルケトン/ヘキサンに入れられ、室温で12時間撹拌された。溶液は、濾過され、回収された固体は、200.0mLの溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)と混合された。混合物は、室温で12時間撹拌され、濾過され、回収された濾液は、木炭(1.6g)と混合され、室温で12時間撹拌された。得られた混合物は、CaSO4又はMgSO4(2.5g)とさらに混合され、室温で30分間撹拌された。次いで、混合物はセライト床で濾過され、溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)(100mL×2)で洗浄され、濾液は、約10~15mLに濃縮された。残留溶液は、CH2Cl2 (60~90mL)とゆっくり混合され、このように形成された固体は、濾過によって回収され、40℃で2時間真空乾燥され、濃縮タンニン酸組成物を産生した。
【0199】
濃縮方法9
没食子細粉(20.0g)は、200.0mLの適切な溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)中に入れられ、40~45℃で12時間撹拌された。溶液は、濾過され、濾液は、200.0mLのヘキサンに入れられた。このように形成された混合物は、室温で12時間撹拌され、2つの得られた有機層は、分離された。油層(下層)は、回収され、40mLの溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)と混合され、このように形成された溶液は、木炭(1.6g)と混合され、室温で12時間撹拌された。前記混合物は、CaSO4又はMgSO4(2.5g)とさらに混合され、室温で30分間撹拌された。次いで、前記混合物は、セライト床で濾過され、溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、又はエタノール)(100mL×2)で洗浄され、濾液は、真空下で濃縮された。このように形成された残渣は、アセトン又は酢酸エチル(12mL)に溶解され、次いで溶液は撹拌され、CH2Cl2(72.0mL)と一滴ずつ混合された。このように形成された固体は、濾過によって回収され、40~45℃で2時間真空乾燥され濃縮タンニン酸組成物を産生した。
【0200】
結果
DAAOに対する阻害活性
DAAOに対する種々の植物ソースの没食子から抽出された異なる濃縮されたタンニン酸の阻害活性を表7及び8に示す。
【0201】
【0202】
表7に示すように、本明細書に記載された調製方法の何れかによる全ての濃縮タンニン酸は、濃縮されていないもの(直接抽出のみ、2~5ガロイル部分を有するタンニン酸の除去なし、木炭及びCaSO4又はMgSO4による処置なし、及び/又は第2の溶媒及び塩化メチレンによるさらなる処理なし)よりも低いIC50値(より強い阻害を示す)を示した。加えて、濃縮方法2及び3は、方法1及び7と比較して、DAAOに対して最も低いIC50を有するタンニン酸を提供し、濃縮方法3は、濃縮方法2よりも低いIC50値を有する濃縮タンニン酸を与えた。また示されているように、濃縮方法1に続いてEtOHで抽出したタンニン酸は、同じ濃縮方法に続いてMEKで抽出したタンニン酸よりもわずかに弱い阻害を示した。
【0203】
【0204】
表8に示すように、抽出温度40℃、酢酸エチル(EtOAc)で抽出した後濃縮方法3を行い、室温でMEKによる抽出、40℃でMEKによる抽出、及び40℃でMEKによる抽出後濃縮方法3を行ったのそれぞれの抽出物よりDAAOに対してより低いIC50を有するタンニン酸を提供した。さらに、表6及び8に示すように、6cm以下の直径の没食子は、6cmを超えるものよりも低いIC50を示した。
【0205】
他の実施形態
本明細書に開示された全ての特徴は、何れかの組合せで組み合わせられ得る。本明細書に開示された各特徴は、同じ、同等、又は同様の目的を果たす代替の特徴と置き換えられ得る。従って、特に明記しない限り、開示された各特徴は、同等又は同様の特徴の一般的なシリーズの一例に過ぎない。
【0206】
上記の説明から、当業者は、本開示の本質的な特徴を容易に確かめることができ、その本質及び範囲から逸脱することなく、様々な用途及び条件に適合させるために本開示の様々な変更及び改変を行うことが出来る。従って、他の実施形態もまた、特許請求の範囲内にある。
【0207】
均等物
いくつかの本発明の実施形態を本明細書に記載し、説明してきたが、当業者であれば、機能を実行すること、及び/又は結果及び又は1つ以上の本明細書に記載された利点をえることのための様々な他の手段及び/又は構造を容易に想到し得、及びそのような変形及び/又は改変の各々は、本明細書に記載される本発明の実施形態の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書に記載された全てのパラメータ、寸法、材料及び構成は、例示的なものであり、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明の教示が用いられている特定のアプリケーション又はアプリケーション類に依存する。当業者は、本明細書に記載の特定の本発明の実施形態に対する多くの均等物を、通常の実験以外を用いて、認識又は確認し得る。従って、前述の実施形態は単なる例示として提示され、添付の特許請求の範囲及びそれと均等な範囲内で、本発明の実施形態は、具体的に記載され且つ、請求される以外の方法で実施されることが理解されるべきである。本開示の発明の実施形態は、本明細書に記載される各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象とする。加えて、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の2つ以上の何れかの組合せは、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0208】
本明細書で定義され且つ、使用されている全ての定義は、辞書定義、出典明記により組み込まれた文献の定義、及び/又は定義された用語の通常の意味をコントロールすると理解されるべきである。
【0209】
本明細書中に開示される全ての文献、特許及び特許出願は、それぞれが引用されている主題に関して出典明記として組み込まれており、ある場合には、文書全体が包含され得る。
【0210】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される不定冠詞「a」及び「an」は、明確に反対の指示がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0211】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される「及び/又は」という語句は、そのように結合された要素の「一方又は両方」、すなわち、場合によっては結合的に存在し、他方では選言的に存在する要素、を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」と列挙された複数の要素は、同じように、すなわち、そのように結合された要素の「1つ以上」と解釈されるべきである。具体的に特定された要素と関連するか否かに関わらず、「及び/又は」によって具体的に特定される要素以外の他の要素が任意に存在してもよい。従って、非限定的な例として、「含む(comprising)」などの開放型言語と併せて使用される場合、「A及び/又はB」への言及は、一実施形態では、Aのみ(任意でB以外の要素を含む); 別の実施形態では、Bのみ(任意でA以外の要素を含む); さらに別の実施形態では、A及びBの両方(任意で他の要素を含む)等を指すことが出来る。
【0212】
本明細書及び特許請求項の範囲で使用される「又は(or)」は、上記で定義したように「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を分離する場合、「又は」又は「及び/又は」は、包括的である(すなわち、要素の数又はリスト、及び任意で追加の非リスト項目の少なくとも1つ(1つ以上もまた含む)の包含)と解釈されるべきである。例えば、「1つのみ」若しくは「正確に1つ」又は、特許請求の範囲において使用される場合、「からなる(consisting)」等の逆に明示された用語のみが、要素の数又はリストの正確に1つの要素を含むことを意味する。一般的に、本明細書で用いられる用語「又は」は、例えば、「何れか」、「1つの」、「1つのみの」、又は「正確に1つの」等の排他性の用語が先行する場合、排他的な選択肢(すなわち、どちらか一方、又は両方ではない)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。特許請求の範囲で使用される場合、「本質的になる」とは、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0213】
明細書及び特許請求の範囲において本明細書で用いられる場合、1つ以上の要素のリストを参照して、「少なくとも1つ」という語句は、要素のリストの何れか1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであり、必ずしも要素のリスト内に具体的に列挙された各要素の少なくとも1つを含む必要はなく、要素のリスト内の要素の何れかの組み合わせを排除するものではない。この定義はまた、「少なくとも1つの」という語句が、特定された要素に関連しているか否かに関わらず、指し示す要素のリスト内で具体的に特定される要素以外に要素が任意で存在し得ることを可能にする。従って、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも1つ」(又は、同等に「A又はBの少なくとも1つ」、又は同等に「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、一実施形態において、Bが存在しない(任意でB以外の要素を含む)1つ以上のAを任意で含む少なくとも1つのA; 他の実施形態において、Aが存在しない(任意でA以外の要素を含む)1つ以上のBを任意で含む少なくとも1つのB; さらに別の実施形態において、任意で1つ以上のAを含む少なくとも1つのA、及び任意で1つ以上のBを含む少なくとも1つのB(任意で他の要素を含む); 等を指すことが出来る。
【0214】
反対に明確に示されていない限り、1つ以上の工程又は動作を含む本明細書で請求される何れかの方法においても、方法の工程又は動作の順序は、必ずしも方法の工程又は動作が列挙される順序に限定されないことを理解すべきである。