(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075684
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】神経調節電極組立体
(51)【国際特許分類】
A61N 1/04 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
A61N1/04
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022025698
(22)【出願日】2022-02-22
(62)【分割の表示】P 2020520454の分割
【原出願日】2018-10-11
(31)【優先権主張番号】PV2017-647
(32)【優先日】2017-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CZ
(71)【出願人】
【識別番号】519122703
【氏名又は名称】テスラ・メディカル・エス・エル・オー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ルカーシュ・ドスコチル
(57)【要約】
【課題】所望の神経の正確な神経調節を提供すると共に、患者の皮膚と神経調節電極との間に有効な電気伝導性のインターフェースを形成するように構成された、有効な神経調節電極組立体。
【解決手段】神経調節電極は、開口部を有する端部まで延びる取り外し可能な突出部を片側に有する封入体と、電気的インターフェースと、一端部が電気的インターフェースに連結された電気伝導性の電極片であって、反対側の端部が、患者の皮膚と相互作用するように構成されている、電気伝導性の電極片と、を含む。電極片は、片側が電気的インターフェースに連結された導電性固体要素と、開口部を通って外側に突出し、固体要素と患者の皮膚との間にインターフェースを形成するように適合された、導電性軟質変形可能要素と、をさらに含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経調節電極(1)の組立体であって、
開口部(3)を有する端部まで延びる取り外し可能な突出部(2)を片側に有する封入体と、
外部器具に連結されるように適合された電気的インターフェース(4)と、
一端部が前記電気的インターフェースに連結された電気伝導性の電極片(5)であって、反対側の端部が、前記開口部を通って外側に突出する前記電極片の一部を介して患者の皮膚と相互作用するように構成されている、電気伝導性の電極片(5)と、
を含み、
前記封入体は、基部(6)をさらに含み、前記基部(6)から取り外し可能な前記突出部が延び、取り外し可能な前記突出部は、前記基部に取り外し可能に取り付けられ、
前記電極片は、
片側が前記電気的インターフェースに連結された導電性固体要素(16、15)と、
取り外し可能な前記突出部と前記基部との間に保持され、かつ前記開口部を通って外側に突出する、導電性軟質変形可能要素(7、14)と、
を含み、
前記導電性固体要素は、前記基部により固定され、
前記導電性軟質変形可能要素は、前記導電性固体要素と前記患者の皮膚との間にインターフェースを形成するように適合される、組立体。
【請求項2】
前記導電性軟質変形可能要素は、少なくとも部分的に中空であり、前記導電性固体要素は、前記導電性軟質変形可能要素の内部に受容され、
前記導電性軟質変形可能要素が前記開口部を通ってどれほど外側に突出するかを制御するために、取り外し可能な前記突出部の直径が選択される、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記突出部は、円錐形の形状、角錐の形状、ベル形状、円錐台状の形状、円筒形の形状、立方形の形状、角柱の形状、または多角形の形状から選択された形状を有する、請求項1または2に記載の組立体。
【請求項4】
前記導電性軟質変形可能要素は、導電性フィラメントを備えるか、もしくは備えずに、ゲル、ゴム、ポリマー、またはパラフィンから選択された材料から作られている、請求項1~3のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項5】
前記導電性軟質変形可能要素は、前記導電性固体要素を覆うとともに0.005~15mmの間に含まれる厚さを有する、接触部分を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項6】
前記導電性軟質変形可能要素は、0Ω~250Ωの電気抵抗を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項7】
前記取り外し可能な突出部は、スナップ嵌めおよび/または少なくとも1つのねじもしくは接着層もしくは面ファスナによって前記基部に取り付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項8】
前記取り外し可能な突出部は、中空であり、前記基部に属する支持部分(12)を覆い、前記支持部分は、前記突出部に相補的であり、前記基部から前記導電性固体要素によって形成される頂点まで突出する、形状を有し、前記導電性軟質変形可能要素は、前記支持部分と前記突出部との間に保持される、請求項1~7のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項9】
前記封入体は、基部(6)をさらに含み、前記基部(6)から前記突出部が延び、前記基部は、前記神経調節電極の位置を患者の皮膚に対して固定するように適合された取り付
け部材(19)に連結される、請求項1から8のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項10】
前記取り付け部材は、患者の肢(23)を取り囲むことができるように構成されている、請求項9に記載の組立体。
【請求項11】
前記取り付け部材は、ストラップ、ベルト、チェーン、またはクリップのうちの1つである、請求項9または10に記載の組立体。
【請求項12】
前記取り付け部材は、前記神経調節電極を前記患者の皮膚に対して角度を付けて位置付けるための位置決め要素(21)を含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項13】
前記位置決め要素は、クッションを含む、請求項12に記載の組立体。
【請求項14】
前記クッションは、前記取り付け部材に沿って動くことができる、請求項13に記載の組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、脛骨および腓骨神経の神経調節、仙骨根(sacral spinal roots)または神経調節に適切な他の神経の経皮的調節に関する。より詳細には、これらの実施形態は、信号発生器から標的神経上への神経調節信号の有効な伝達を可能にする神経調節電極に関する。
【背景技術】
【0002】
本セクションは、必ずしも先行技術ではない、本開示に関する背景情報を提供する。
【0003】
電気的神経調節は、例えば、米国特許第5358513号に開示されるように、疼痛、尿失禁、精神および他の障害の治療、ならびに血管疾患の予防に使用されてきた。
【0004】
従来のシステムは、刺激される神経のすぐ近くに挿入される身体侵襲的針電極の形態の神経調節電極を利用する。神経のすぐ近くへの針電極の挿入は、神経損傷および/または患者の身体への感染症の導入のリスクと常に関連している。
【0005】
近年、金属で作られた電極を用いた新たな非侵襲的方法が、例えば、CZ2015-468およびCZ2015-467に記載されている。このような電極を使用して、例えば、失禁の治療における神経の神経調節に成功してきた。非侵襲的方法は、さまざまな用途の双極電極を記載しており、これは、金属で作られた、例えば銀でコーティングされたステンレス鋼で作られた電極を有し、所望の神経の調節を可能にする。このような電極は、それらのそれぞれの端部が患者の皮膚上の刺激点上にある状態で置かれる。記載された電極は、それらのそれぞれの端部が所望の表面積にわたって皮膚との良好な接触をもたらさないことが多いという欠点を有し、これは、例えば不均一な表面機械加工により生じる電極の製造欠陥、表面不純物、および他の欠陥によるか、または、皮膚のしわ、毛穴、もしくは毛髪などの生理学的影響によるものである。これは、電極と皮膚との接触面積の差を引き起こし、皮膚/組織の損傷を生じ得、このことは容認できない。皮膚と電極の接触面積が小さいほど、問題は大きくなる。さらに、皮膚と電極の所望の接触面積は、多くの条件で変化する。例えば、肥満の患者は、典型的には、より高い皮膚抵抗を有し、それゆえに、より高い強度の刺激電流が電極を通って皮膚へと流れることを必要とし、その結果、約2mA/cm2の安全閾値を超え得る。痩せた患者は、典型的には、より低い皮膚抵抗を有し、したがって、刺激電流強度は、高くする必要がない。
【0006】
前述した現状技術から既知の電極では、皮膚と電極の有効な接触表面積を達成することができない。さらに、衛生要件により、これらの電極は、使用するたびに殺菌する必要があり、これは、電極の表面上にさらなる微細なかすり傷をもたらし、接触をさらに悪化させる。電極のコストは比較的高く、それらを頻繁に取り換えることは、法外にコストがかかるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5358513号
【特許文献2】CZ2015-468
【特許文献3】CZ2015-467
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、前述した問題のうちの少なくともいくつか、場合により他の問題を考慮した、器具を有することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のさまざまな態様によると、神経調節電極組立体の例示的な実施形態は、開口部を有する端部まで延びる突出部を片側に有する封入体と、外部器具に連結されるように適合された電気的インターフェースと、一端部が電気的インターフェースに連結された電気伝導性の電極片であって、反対側の端部が、開口部を通って外側に突出する電極片の一部を介して患者の皮膚と相互作用するように構成されている、電気伝導性の電極片と、を含む。電極片は、片側が電気的インターフェースに連結された導電性固体要素と、開口部を通って外側に突出し、固体要素と患者の皮膚との間にインターフェースを形成するように適合された、導電性軟質変形可能要素と、をさらに含む。
【0010】
神経調節電極組立体の実施形態では、以下の特徴部およびそれらの任意の組合せのうちの1つおよび/またはいくつかを使用し得る:
突出部は、実質的に円錐形の形状、実質的に角錐の形状、ベル形状、実質的に円錐台状の形状、実質的に円筒形の形状、実質的に立方形の形状、実質的に角柱の形状、または実質的に多角形の形状から選択された形状を有し、
導電性軟質変形可能要素は、導電性フィラメントを備えるか、もしくは備えずに、ゲル、ゴム、ポリマー、またはパラフィンから選択された材料から作られ、
導電性軟質変形可能要素は、少なくとも部分的に中空であり、前記導電性固体要素は、前記導電性軟質変形可能要素内部に受容され、
導電性軟質変形可能要素は、前記導電性固体要素を覆うとともに0.005~15mmの間に含まれる厚さを有する、接触部分を有し、
導電性軟質変形可能要素は、0Ω~250Ωの電気抵抗を有し、
封入体は、基部をさらに含み、この基部から前記突出部が延び、前記突出部は、基部に取り外し可能に取り付けられ、前記導電性固体要素は、基部により固定され、導電性軟質変形可能要素は前記突出部と前記基部との間に保持され、
取り外し可能なホルダーが、スナップ嵌めおよび/または少なくとも1つのねじもしくは接着層もしくは面ファスナ(hook and loop fastener)によって基部に取り付けられ、
突出部は、中空であり、基部に属する支持部分を覆い、前記支持部分は、突出部に実質的に相補的であり、基部から導電性固体要素によって形成される頂点まで突出する、形状を有し、導電性軟質変形可能要素は、前記支持部分と前記突出部との間に保持され、
封入体が、基部をさらに含み、この基部から前記突出部が延び、前記基部は、神経調節
電極の位置を患者の皮膚に対して固定するように適合された取り付け部材に連結され、
取り付け部材は、患者の肢を取り囲むことができるように構成され、
取り付け部材は、ストラップ、ベルト、チェーン、またはクリップのうちの1つであり、
取り付け部材は、神経調節電極を患者の皮膚に対して角度を付けて位置付けるための位置決め要素を含み、
位置決め要素は、クッションを含み、
クッションは、取り付け部材に沿って動くことができる。
【0011】
さらなる適用性の分野が、本明細書の説明から明らかとなるであろう。概要における説明および具体的な実施例は、例示目的のみを意図しており、本開示の範囲を制限することは意図していない。
【0012】
本発明の他の特徴部および利点は、添付図面を参照しながら、非限定的な実施例として与えられたその実施形態のうちのいくつかに関する以下の詳細な説明から、明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】使用構成にある、神経調節電極組立体の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図2】取り外し可能なホルダーが取り外された位置にある、
図1と同様の図である。
【
図3】
図1および
図2の神経調節電極組立体の分解組立図である。
【
図5】取り付け部材を特徴とする、
図1~
図4の神経調節電極組立体の底面斜視図である。
【
図6】取り付け部材を特徴とする、
図1~
図4の神経調節電極組立体の側面斜視図である。
【
図7】位置決め要素をさらに特徴とする、
図5~
図6の組立体の斜視図である。
【
図8】位置決め要素をさらに特徴とする、
図5~
図6の組立体の斜視図である。
【
図9】肢に取り付けられている
図7~
図8の組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用される場合、単数形で列挙され、「a」または「an」という単語に続く、要素またはステップは、複数のそれらの要素またはステップを除外すると明示的に述べていない限りは、そのような除外をするものではないと理解されたい。さらに、「一実施形態」への言及は、列挙された特徴部も組み込んだ、追加の実施形態の存在を除外するものと解釈されることを意図していない。さらに、反対のことを明示的に述べない限り、特定の特性を有する、ある要素または複数の要素を「含む」または「有する」実施形態は、その特性を有していない、追加の要素を含み得る。
【0015】
図面中、同じ参照符号(references)は、特に明記しない限り、同一または類似要素を示す。
【0016】
図1は、神経調節電極組立体1の例示的な実施形態の斜視図を示す。この実施形態は、開口部3を有する端部まで延びる突出部2を片側に有する封入体を含む。電気的インターフェース4が、神経調節のための信号を提供し得る、外部器具に連結されるように適合される。神経調節電極組立体1は、電気伝導性の電極片5をさらに含み得、これは、一端部が電気的インターフェース4に連結され得、反対側の端部が、開口部を通って外側に突出する電極片5の一部を介して患者の皮膚と相互作用するように構成されている。電極片は、片側が電気的インターフェースに連結された導電性固体要素15、16を含み得る。電極片は、開口部3を通って外側に突出し、固体要素と患者の皮膚との間にインターフェースを形成するように適合され得る、導電性軟質変形可能要素をさらに含み得る。有利には、開口部3のサイズは可変であってよい。
【0017】
突出部2は、実質的に円錐形の形状、実質的に角錐の形状、ベル形状、実質的に円錐台状もしくは角錐台状の形状、実質的に円筒形の形状、実質的に立方形の形状、実質的に角柱の形状、または実質的に多角形の形状から選択された形状を有し得る。導電性軟質変形可能要素は、導電性フィラメントを備えるか、もしくは備えずに、ゲル、ゴム、ポリマー、またはパラフィンから選択された材料から作られ得る。導電性フィラメント7、14は、炭素、炭化物、グラフェン、導電性液体、または、例えば金属などの導電性固体材料で作られ得る。
【0018】
好ましくは、導電性軟質変形可能要素は、水中に懸濁し得る親水性材料系ゲルである、ヒドロゲルで作られ得る。親水性材料系ゲルは、1つまたは複数のポリマー、炭酸カリウム、およびセルロースまたはシリコーン系材料で構成され得る。
【0019】
好ましくは、導電性軟質変形可能要素は、取り外し可能であってよく、容易に交換可能となるように構成され得る。好ましくは、導電性軟質変形可能要素は、ホイルまたは可撓性フィルムで作られ得、突出部2および支持部分12の形状に適応することがさらに可能となり得る。
【0020】
好ましくは、導電性軟質変形可能要素は、ヒドロゲルで作られ得る。ヒドロゲルは、インクジェット/押出印刷、湿式紡糸および/または物理加硫のうちの1つを介して作られ得る。導電性軟質変形可能要素は、部品またはコーティングであってよい。
【0021】
好ましくは、導電性軟質変形可能要素の厚さは、0.05mm~55mm、さらに好ましくは0.05mm~15mm、さらに好ましくは0.05mm~10mmの範囲である。
【0022】
好ましくは、導電性軟質変形可能要素は、導電性固体要素を覆うとともに0.005~15mmの厚さを有する、接触部分を有する。
【0023】
好ましくは、導電性軟質変形可能要素は、0Ω~250kΩの電気抵抗を有する。
【0024】
神経調節電極組立体は、電気的インターフェース4を介して外部器具に電気連結され得、これにより、所望の波形の電気信号を提供し得る。波形周波数は、好ましくは1Hz~20Hzに設定され、またはさらに好ましくは2Hz~6Hzの周波数に設定され得る。パルスは、単相または二相、例えば、直角、正弦曲線、または三角形であってよく、指数関数的な始まりもしくは終わりがあり、幅が0.1ms~5msであり、振幅が0mAから最大で50mAである。
【0025】
図2は、例示的な神経調節電極組立体で利用され得る一実施形態の斜視図を示す。封入体は、基部6を含み得、基部6から突出部2が延びることができ、これは、基部6に取り外し可能に取り付けられ得る。導電性固体要素は、基部により固定され得、導電性軟質変形可能要素7、14は、突出部2と基部6との間に保持され得る。導電性軟質変形可能要素7、14は、少なくとも部分的に中空であってよく、導電性固体要素16、15は、導電性軟質変形可能要素内部に受容され得る。あるいは、導電性固体要素は、少なくとも部分的に中空であってよく、導電性軟質変形可能要素7の一部が、導電性固体要素内部に受容され得る。
【0026】
突出部2は、中空であってよく、基部6に属する支持部分12を覆い得る。支持部分1
2は、突出部2に実質的に相補的であり、基部から導電性固体要素によって形成される頂点まで突出する、形状を有し得、導電性軟質変形可能要素7は、支持部分12と突出部2との間に保持され得る。そして、基部6に取り外し可能に取り付けられ得る突出部2は、スナップ嵌め10および/または少なくとも1つのねじもしくは接着層もしくはベルクロ(登録商標)型締め具(面ファスナ)によって基部6に取り付けられ得る、取り外し可能なホルダー8を形成し得る。
【0027】
導電性軟質変形可能要素7が、取り外し可能なホルダー8を形成し得る取り外し可能な突出部2と、支持部分12または基部6との間に保持される場合、導電性軟質変形可能要素7は、変形することができ、それゆえに、導電性固体要素16、15の形状に適応することができる可撓性フィルムを形成することができ、皮膚との有効な電気的インターフェースを形成することができ、神経調節信号の分配を改善し得る。取り外し可能なホルダー8を形成し得る、取り外し可能な突出部2に作られ得る、可変サイズの開口部3により、導電性軟質変形可能要素が開口部3を通ってどれほど外側に突出するかを制御することが可能となり得る。有利には、これにより、導電性軟質変形可能要素と患者の皮膚との間のインターフェースを適応させることを可能にし得る。有利には、取り外し可能なホルダー8を形成することができ、所与の患者の生理学的パラメータに左右される開口部3の対応する直径を特徴とする、突出部2を選択することが可能となり得る。
【0028】
したがって、好ましくは、取り外し可能なホルダー8を形成し得る突出部2は、さまざまな直径および/または形状を有する開口部3を備えて作られ得、それゆえに、神経調節電極と患者の皮膚との間にインターフェースを形成し得る導電性軟質変形可能要素7の表面積を変化させることが可能となり、それによって、神経調節電極と皮膚との電気的インターフェースの神経調節電流分布に影響を及ぼす。
【0029】
あるいは、導電性軟質変形可能要素は、導電性軟質変形可能要素を基部に対してある位置に固定する、基部に作られた特徴部または外形部(profile)を介して、基部6に取り付けられ得る。別の代替的な実施形態では、導電性軟質変形可能要素は、接着層を介して基部に取り外し可能に取り付けられ得る。別の代替的な実施形態では、導電性軟質変形可能要素ゲル電極は、神経調節電極が皮膚と接触させられた結果として、基部内部に保持され得る。
【0030】
図3は、神経調節電極組立体1の構成の可能な一実施形態を示す分解組立図を示す。神経調節電極組立体1の構成の可能な一実施形態は、取り外し可能なホルダー8を形成することができ、基部6に属する支持部分12に連結され得る、突出部2を含み得る、封入体を含む。この実施形態は、磁場供給源18と、好ましくは表面を有する成形端部16を有し得る導電性固体要素15と、導電性軟質変形可能要素14と、磁場供給源18を支持部分12または基部6に取り付ける手段17と、をさらに含み得る。導電性固体要素15の成形端部16は、半円の形状、円錐形の形状、角錐の形状、ベル形状、実質的に円錐台状もしくは角錐台状の形状、実質的に円筒形の形状、実質的に立方形の形状、実質的に角柱の形状もしくは実質的に多角形の形状のうちの1つであってよい。成形端部16はコーティングされ得る。
【0031】
磁場供給源18は、少なくとも1つの磁石によって形成され得る。磁場供給源18は、封入体の内側または外側に位置し得る。磁場供給源18は、神経調節電極組立体1によって送信される神経調節信号の深さ範囲を増大させるのに使用され得る。磁場供給源18は、永久磁石または電磁石であってよい。磁場供給源18は、導電性固体要素15の一部を内部に受容するように構成された中空シリンダーの形状を有し得る。代替的な実施形態では、磁場供給源18は、導電性固体要素15の一部を取り囲み得る、磁石群であってよい。導電性固体要素15は、さまざまな材料で、好ましくは反磁性材料のうちの少なくとも
1つで、作られ得る。要素15の成形端部16は、例えば貴金属、真鍮、銅、炭素、炭化物などの反磁性材料のうちの少なくとも1つから形成され得る。代替的な実施形態では、導電性固体要素15は、電気的インターフェース4に連結された内側面を有し得る電気伝導性のプレートの形態であってよい。あるいは、電気伝導性のバネが、導電性固体要素15の片側に連結され得、バネの他端部は、電気的インターフェース4に接続され得、導電性固体要素15と電気的インターフェース4との間に電気的接続部を形成する。電気伝導性のバネは、コイルバネ、圧縮型バネ、ディスクスプリング、円錐バネ、または板バネであってよい。そのような場合、導電性固体要素15は、バネによって導電性軟質変形可能要素14に向かって積極的に押され得、導電性軟質変形可能要素14は、それゆえに、開口部3を通って外側に突出させられ得、また、導電性固体要素15の成形端部16の外側表面を形成し得る。
【0032】
好ましくは、電磁石群として磁場供給源18を実装する場合、磁場は、有利には、電磁石のうちの少なくとも1つの可変または整調可能な励起を用いて調節され得る。このような場合、可変または整調可能な励起は、神経調節電極から患者組織内への電気エネルギー流の方向に影響を及ぼし得る。これは、有利には、神経調節電極が患者の皮膚上に不正確に設置された場合であっても、所望の神経を見つけるのに使用され得る。
【0033】
図4は、神経調節電極組立体において描かれた例示的な実施形態の側面断面図を示す。この実施形態では、取り外し可能なホルダー8によって形成され得る突出部2と支持部分12との間に設置された導電性軟質変形可能要素8、14の厚さは、突出部2および支持部分12の嵌合表面の形状を介して制御され得る。さらに、または代わりに、導電性軟質変形可能要素14の厚さは、導電性固体要素15の成形端部16を介して、かつ/または導電性固体要素15に連結されたバネによって生じ得る正の力を介して、制御され得る。バネは、開口部3を通じて導電性固体要素15を外側に押し出すように構成され得る。
【0034】
図5は、例示的な神経調節電極組立体と共に利用され得る取り付け部材を特徴とする別の実施形態の底面斜視図を示す。この実施形態では、封入体は、基部6に連結された取り付け部材19をさらに含む。取り付け部材は、電極組立体の位置を皮膚に対して特定の位置に固定するように適合され得る。取り付け部材19は、患者の肢23を取り囲むことができるように構成され得る。好ましくは、取り付け部材19は、ストラップ、ベルト、チェーン、またはクリップのうちの1つで作られ得る。好ましくは、取り付け部材19は、基部6の少なくとも片側にある少なくとも1つの開口部20を通じて組立体に連結され得る。
【0035】
図6は、例示的な神経調節電極組立体と共に利用され得る取り付け部材19を特徴とする
図5の側面斜視図を示す。これは、取り付け部材19が封入体の基部に固定され得る、1つの可能性を示す。好ましくは、取り付け部材19は、ゴム、ネオプレン、エラストマー、革、プラスチック、または他の適切な材料で作られ得る。有利には、取り付け部材は、取り付け部材が生じさせている肢23に対する電極の予荷重を制御することによって、肢23への神経調節電極の没入深さを制御するように構成され得る。これは、取り付け部材の張力、言い換えれば、取り付け部材がどれだけきつく患者の肢23を取り囲むかを制御することによって、達成され得る。導電性軟質変形可能要素は、その弾性により、肢23への神経調節電極の没入深さを制御するのに寄与するように構成されることもできる。
【0036】
図7および
図8は、例示的な神経調節電極組立体と共に利用され得る位置決め要素21を特徴とする別の実施形態の斜視図を示す。この実施形態では、取り付け部材は、神経調節電極を患者の皮膚に対して角度を付けて位置付けるのに使用され得る、位置決め要素を含む。好ましくは、位置決め要素21は、ストラップ、ベルト、チェーン、またはクリップのうちの1つを介して取り付け部材19に連結され得る。好ましくは、位置決め要素は
、クッション、パッド、枕、または固体もしくは半固体片のうちの少なくとも1つを含む。好ましくは、位置決め要素21は、取り付け部材(21)に可動に取り付けられ得る。好ましくは、位置決め要素は、肢に沿って、および/または肢の周りで動かされ得るように、取り付け部に沿って可動とすることができる。
【0037】
図9は、肢23に取り付けられている例示的な神経調節電極組立体の別の実施形態の斜視図を示す。この実施形態は神経調節電極の有利な位置決めを示し、位置決め要素21が、特定の神経の神経調節のために神経調節電極の最も有利な位置に到達し、かつ/またはそれを固定するよう、神経調節電極の動きおよび/または角度傾斜を可能にするように構成され得る。これは、神経調節処置の有効性に重要である神経調節電極の正確な場所での設置を達成することを可能にし、神経調節電極の不適切な場所での設置により処置の有効性が低減されるリスクを排除する。
【0038】
さらに、本開示は以下の項による実施形態を含む。
【0039】
項1. 封入体と、導電性表面によって終端した導電性要素と、を含む神経調節用の器具の刺激電極であって、電極は、導電性表面を通じて電気信号の発生器に電気連結された、取り外し可能なゲル電極をさらに含む、刺激電極。
【0040】
項2. 刺激電極は、封入体の内側または外側に磁場の供給源をさらに含む、項1に記載の刺激電極。
【0041】
項3. 導電性要素は、少なくとも1つの磁石によって作られた磁場を通って突出する、項2に記載の刺激電極。
【0042】
項4. 磁石は、永久磁石または電磁石のうちの一方である、項2または3に記載の刺激電極。
【0043】
項5. ゲル電極のホルダーは、封入体に取り外し可能に取り付けられている、項1に記載の刺激電極。
【0044】
項6. ホルダーは、封入体を少なくとも部分的に取り囲む、弾性的に変形可能な要素を含むか、または、ホルダーは、封入体に装着可能なねじ山を備えた要素を備えている、項5に記載の刺激電極。
【0045】
項7. 封入体は、ゲル電極配置のための開口部を有し、開口部は、ゲル電極を所定の場所に保持する、項5または6に記載の刺激電極。
【0046】
項8. ゲル電極は、ゲル電極が挿入される開口部を有する支持部分の一部である、項1に記載の刺激電極。
【0047】
項9. ゲル電極の厚さは0.005mm~5mmである、項1に記載の刺激電極。
【0048】
項10. ゲル電極は、0Ω~250Ωの電気抵抗を有する電気伝導性の材料で作られている、項1の刺激電極。
【0049】
項11. 神経調節電極(1)の組立体であって、開口部(3)を有する端部まで延びる突出部(2)を片側に有する封入体と、外部器具に連結されるように適合された電気的インターフェース(4)と、一端部が前記電気的インターフェースに連結された電気伝導性の電極片(5)であって、反対側の端部が、前記開口部を通って外側に突出する前記電極片の一部を介して患者の皮膚と相互作用するように構成されている、電気伝導性の電極片(5)と、を含み、前記電極片は、片側が前記電気的インターフェースに連結された導電性固体要素(16、15)と、前記開口部を通って外側に突出し、前記導電性固体要素と前記患者の皮膚との間にインターフェースを形成するように適合された、導電性軟質変形可能要素(7、14)と、を含む、組立体。
【0050】
項12. 前記突出部は、実質的に円錐形の形状、実質的に角錐の形状、ベル形状、実質的に円錐台状の形状、実質的に円筒形の形状、実質的に立方形の形状、実質的に角柱の形状、または実質的に多角形の形状から選択された形状を有する、11項に記載の組立体。
【0051】
項13. 前記導電性軟質変形可能要素は、導電性フィラメントを備えるか、もしくは備えずに、ゲル、ゴム、ポリマー、またはパラフィンから選択された材料から作られている、11項または12項に記載の組立体。
【0052】
項14. 前記導電性軟質変形可能要素は、少なくとも部分的に中空であり、前記導電性固体要素は、前記導電性軟質変形可能要素内部に受容される、11~13項のいずれか一項に記載の組立体。
【0053】
項15. 前記導電性軟質変形可能要素は、前記導電性固体要素を覆うとともに0.005~15mmの間に含まれる厚さを有する、接触部分を有する、11~14項のいずれか一項に記載の組立体。
【0054】
項16. 前記導電性軟質変形可能要素は、0Ω~250Ωの電気抵抗を有する、11~15項のいずれか一項に記載の組立体。
【0055】
項17. 前記封入体は、基部(6)をさらに含み、前記基部(6)から前記突出部が延び、前記突出部は、前記基部に取り外し可能に取り付けられ、前記導電性固体要素は、前記基部により固定され、前記導電性軟質変形可能要素は、前記突出部と前記基部との間に保持される、11~16項のいずれか一項に記載の組立体。
【0056】
項18. 前記取り外し可能な突出部は、スナップ嵌めおよび/または少なくとも1つのねじもしくは接着層もしくは面ファスナによって前記基部に取り付けられる、17項に記載の組立体。
【0057】
項19. 前記取り外し可能な突出部は、中空であり、前記基部に属する支持部分(12)を覆い、前記支持部分は、前記突出部に実質的に相補的であり、前記基部から前記導電性固体要素によって形成される頂点まで突出する、形状を有し、前記導電性軟質変形可能要素は、前記支持部分と前記突出部との間に保持される、17または18項に記載の組立体。
【0058】
項20. 前記封入体は、基部(6)をさらに含み、前記基部(6)から前記突出部が延び、前記基部は、前記神経調節電極の位置を患者の皮膚に対して固定するように適合された取り付け部材(19)に連結される、11~19項のいずれか一項に記載の組立体。
【0059】
項21. 前記取り付け部材は、患者の肢(23)を取り囲むことができるように構成されている、20項に記載の組立体。
【0060】
項22. 前記取り付け部材は、ストラップ、ベルト、チェーン、またはクリップのうちの1つである、20または21項に記載の組立体。
【0061】
項23. 前記取り付け部材は、前記神経調節電極を前記患者の皮膚に対して角度を付けて位置付けるための位置決め要素(21)を含む、20~22項のいずれか一項に記載の組立体。
【0062】
項24. 前記位置決め要素は、クッションを含む、23項に記載の組立体。
【0063】
項25. 前記クッションは、前記取り付け部材に沿って動くことができる、24項に記載の組立体。
【0064】
前述した実施形態は、所望の神経の正確な神経調節を提供すると共に、患者の皮膚と神経調節電極との間に有効な電気伝導性のインターフェースを形成するように構成された、有効な神経調節電極組立体を提供し得る。さらに、導電性軟質変形可能要素は、低コストの使い捨て付属品を代表し得る。
【0065】
上部、底部、下方、中間、横方向、水平方向、垂直方向、前などといった、さまざまな空間的用語および方向を示す用語が、本開示の実施形態を説明するのに使用され得るが、このような用語は図面に示す向きに関して使用されるにすぎないことが理解される。これらの向きは、反転されるか、回転されるか、または別様に変更され得、それによって、上方部分が下方部分となり、その逆もまた同様であり、水平方向が垂直方向となる、などする。
【0066】
前述した説明は例示することを意図しており、制限することを意図していないことが理解される。例えば、前述した実施形態(および/またはその態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。さらに、本開示の範囲から逸脱せずに、特定の状況または材料を本開示のさまざまな実施形態の教示に適応させるために、多くの改変が行われ得る。本明細書に記載された材料の寸法および種類は、本開示のさまざまな実施形態のパラメータを定めることが意図されているが、これらの実施形態は、決して限定するものではなく、例示的な実施形態である。多くの他の実施形態は、前述した説明を考察すれば当業者には明らかであろう。したがって、本開示のさまざまな実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲と共に参照して、決定されるべきである。添付の特許請求の範囲では、「含む(including)」および「それにおいて(in which)」という用語は、それぞれの用語「含む(comprising)」および「ここで(wherein)」の平易な英語の等価物として使用される。さらに、用語「第1の」、「第2の」、および「第3の」などは、単に標識として使用され、それらの物体に対して数値要件を課すことは意図していない。
【0067】
この記載された説明は、最良の形態を含む本開示のさまざまな実施形態を開示し、また、任意の装置またはシステムを作製および使用し、任意の組み込まれる方法を実行することを含む、本開示のさまざまな実施形態を当業者が実施することを可能にする、実施例を用いている。本開示のさまざまな実施形態の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定められ、当業者が思いつく他の実施例も含み得る。このような他の実施例は、特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0068】
1 神経調節電極組立体
2 突出部
3 開口部
4 電気的インターフェース
5 電極片
6 基部
7 導電性フィラメント、導電性軟質変形可能要素
8 取り外し可能なホルダー
10 スナップ嵌め
12 支持部分
14 導電性フィラメント、導電性軟質変形可能要素
15 導電性固体要素
16 導電性固体要素
17 取り付ける手段
18 磁場供給源
19 取り付け部材
20 開口部
21 位置決め要素
23 肢
【外国語明細書】