(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075801
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】触覚による操縦誘導システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20220511BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220511BHJP
B60W 50/16 20200101ALI20220511BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G08G1/09 V
B60W50/16
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022038042
(22)【出願日】2022-03-11
(62)【分割の表示】P 2019503272の分割
【原出願日】2017-06-15
(31)【優先権主張番号】62/365,960
(32)【優先日】2016-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】592051453
【氏名又は名称】ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】アダム ボーランガー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ヴァーベック
(72)【発明者】
【氏名】ステファン マルティ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ ディ センソ
(57)【要約】
【課題】好適な触覚による操縦誘導システムを提供すること。
【解決手段】触覚出力を介して乗物の態様を調整するようにユーザーを導くためのシステム。システムは、乗物装置の付近に配置され、制御信号に応答して触覚出力を生成するように構成された1つ以上の触覚出力装置を含む。システムは、1つ以上の触覚出力装置に結合されたプロセッサを更に含む。プロセッサは、乗物装置に関連したパラメータを調整すべきであると判定し、当該判定に応答して、1つ以上の触覚出力装置に制御信号を送信するように構成されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年7月22日に出願された米国仮特許出願第62/365,960号の利点を請求するものであり、参照することによって本願に組み込まれるものとする。
【0002】
実施形態の分野
各種実施形態は、一般に、マンマシンインタフェースに関し、より具体的には、触覚による操縦誘導システムに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
自動車、モーターバイク、ボート及び飛行機などの最近の乗物は、乗物サブシステムの性能を監視し、最適化するために制御ユニットへの依存を高めている。例えば、制御ユニットは、特定のサブシステムが最適に動作していないと判定とすることができ、次いで、サブシステムの動作を改善するために調節可能な1つ以上のパラメータを決定することができる。一方、いくつかのパラメータは、操縦者によって直接調節することができる。例えば、操縦者は、乗物の駆動シャフトを分離し、次いで変速比を調節するために、変速機クラッチ及びギアシフトなどの1つ以上の乗物装置を操作してもよい。
【0004】
従来、最適ではない方法で特定の乗物サブシステムを操縦者が操作しているとき、制御ユニットは、視覚及び/または聴覚的通知を作動させて、サブシステムに関連した1つ以上のパラメータを調節すべきであることを操縦者に指示してもよい。例えば、最適ではないギアに乗物の変速機があるとき、上向きの矢印を車のダッシュボードディスプレイ上に表示させて操縦者がより高いギアにシフトすべきであることを指示してもよく、または、下向きの矢印を表示させて操縦者がより低いギアにシフトすべきであることを指示してもよい。加えて、従来のシステムは、操縦者がギアをシフトすべきであることを指示するために警告音を生成してもよい。
【0005】
これらの種類の従来のアプローチは、視覚及び/または聴覚的通知(複数可)を解釈することに自分の注意を向けることを操縦者に要求し得る。例えば、視覚及び/または聴覚的通知は、所与の事態でどの行動(複数可)をとるべきかを操縦者に明らかに指示しない場合がある。その結果、操縦者には、視覚及び聴覚的通知を解釈するために追加の認識リソースを消費することが要求され得る。
【0006】
前述の事項が示すように、操縦誘導をユーザーにより効果的に提供するための技術が有用であると考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態は、触覚出力を介して乗物の態様を調整するようにユーザーを導くための方法について記載する。方法は、乗物装置に関連したパラメータを調整すべきであると判定することを含む。方法は、判定に応答して、乗物装置の付近にある1つ以上の触覚出力装置に1つ以上の制御信号を送信することを更に含み、1つ以上の触覚出力装置は、1つ以上の制御信号に基づいて触覚出力を生成する。
【0008】
更なる実施形態は、特に、上記の技術を実装するように構成されたシステム及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0009】
本明細書に記載された技術の少なくとも1つの利点は、ユーザーが視覚及び/または聴覚的通知に自分の注意を払うことを必要とせずに、パラメータを調整すべきであることをユーザーに通知することができる点である。従って、ユーザーは、視覚及び/または聴覚的通知を分析するためにユーザーが追加の認識リソースを消費せずに、調整すべきであるパラメータ(複数可)を決定することが可能である。更に、触覚感覚を、ユーザーの視覚及び聴覚的知覚に負担をかけずに様々な種類の情報をユーザーに伝達するための代替手段として実装することができる。その結果、本明細書に記載された技術は、様々な種類の情報がユーザーに提供されるときにユーザーに対して与えられる認識負荷を低減することができる。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
触覚出力を介して乗物の態様を調整するようにユーザーを導くためのシステムであって、制御信号に応答して触覚出力を生成するように構成された1つ以上の触覚出力装置と、
前記1つ以上の触覚出力装置に結合されたプロセッサであって、
乗物装置に関連したパラメータを調整すべきであると判定し、
前記判定に応答して、前記制御信号を前記1つ以上の触覚出力装置に送信するように構成された前記プロセッサと
を含む、前記システム。
(項目2)
前記触覚出力は、前記乗物装置を動かすべき方向及び前記乗物装置を動かすべき距離のうちの少なくとも1つを指示する、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記乗物装置に関連した前記パラメータを調整すべきであると判定することは、乗物制御ユニットから第2の制御信号を受信することを含む、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記第2の制御信号は、前記パラメータの目標値を含む、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記プロセッサは、
前記パラメータの現在値及び前記パラメータの前記目標値に基づき、前記1つ以上の触覚出力装置によって生成される前記触覚出力の方向及び場所のうちの少なくとも一方を決定し、
前記方向及び前記場所のうちの前記少なくとも1つに基づいて前記制御信号を生成するように更に構成されている、項目4に記載のシステム。
(項目6)
前記プロセッサは、前記パラメータの現在値及び前記パラメータの前記目標値に基づき、前記1つ以上の触覚出力装置を複数の触覚出力装置から選択するように更に構成されている、項目4に記載のシステム。
(項目7)
前記プロセッサに結合され、センサデータを取得するように構成された1つ以上のセンサを更に含み、前記プロセッサは、前記センサデータを分析してユーザーの場所を決定するように更に構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目8)
前記プロセッサは、前記ユーザーの前記場所に基づき、前記1つ以上の触覚出力装置によって生成される前記触覚出力の方向及び場所のうちの少なくとも一方を決定するように更に構成されている、項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記プロセッサは、前記ユーザーの前記場所に基づき、前記1つ以上の触覚出力装置を複数の触覚出力装置から選択するように更に構成されている、項目7に記載のシステム。
(項目10)
前記1つ以上の触覚出力装置は、超音波トランスデューサ及び空気出力装置のうちの少なくとも一方を含む、項目1に記載のシステム。
(項目11)
前記触覚出力は畝を含み、前記1つ以上の触覚出力装置は、前記乗物装置を動かすべき方向を指示するために前記畝の場所を時間の関数として変えるように構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目12)
前記触覚出力を生成することは、前記1つ以上の触覚出力装置に含まれる第1の触覚出力装置を介して第1の触覚出力を生成することと、前記1つ以上の触覚出力装置に含まれる第2の触覚出力装置を介して第2の触覚出力を生成することとを含み、前記第1の触覚出力は、前記乗物装置の付近の前記第2の触覚出力と強め合うように干渉する、項目1に記載のシステム。
(項目13)
前記乗物装置は、ギアシフト装置、ステアリング装置、アクセル装置、ブレーキ装置及びクラッチ装置のうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載のシステム。
(項目14)
触覚出力を介して乗物の態様を調整するようにユーザーを導くための方法であって、
乗物装置に関連したパラメータを調整すべきであると判定することと、
前記判定に応答して、前記乗物装置の付近にある1つ以上の触覚出力装置に1つ以上の制御信号を送信することであって、前記1つ以上の触覚出力装置が、前記1つ以上の制御信号に基づいて触覚出力を生成する、前記送信することと
を含む、前記方法。
(項目15)
前記乗物装置は、ギアシフト装置、ステアリング装置、アクセル装置、ブレーキ装置及びクラッチ装置のうちの少なくとも1つを含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記乗物装置に関連した前記パラメータを調整すべきであると判定することは、乗物制御ユニットから第2の制御信号を受信することを含む、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記第2の制御信号は、前記パラメータの目標値を含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記パラメータの前記目標値に基づき、前記1つ以上の触覚出力装置を複数の触覚出力装置から選択することを更に含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
ユーザーの場所を指示するセンサデータを1つ以上のセンサから受信することと、
前記ユーザーの前記場所に基づき、前記1つ以上の触覚出力装置によって生成される前記触覚出力の方向及び場所のうちの少なくとも一方を決定することと
を更に含む、項目14に記載の方法。
(項目20)
命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、プロセッサによって実行されたとき、
乗物装置に関連したパラメータを調整すべきであるとの指示を乗物制御ユニットから受信するステップと、
前記指示に応答して、前記乗物装置の付近にある1つ以上の触覚出力装置に1つ以上の制御信号を送信するステップであって、前記1つ以上の触覚出力装置が、前記1つ以上の制御信号に基づいて触覚出力を生成する、前記送信するステップと
を実行することにより、前記触覚出力を介して乗物の態様を調整するようにユーザーを導くように前記プロセッサを構成する、前記非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0010】
1つ以上の上記の実施形態の列挙された特徴を詳細に理解することができるように、上で簡潔に要約された1つ以上の実施形態のより具体的な説明が、ある特定の実施形態を参照することによって与えられてもよい。この実施形態のうちのいくつかは、添付図面に例示されている。しかしながら、各種実施形態の範囲は他の実施形態も包含するため、添付図面は、典型的な実施形態を例示するものに過ぎず、従って、どの方法でもその範囲を制限するものとみなされないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】各種実施形態に係る、本発明の1つ以上の態様を実装するように構成されたコンピューティング装置の概念ブロック図を示す。
【
図2】各種実施形態に係る、乗物のギアシフトの位置をシフトするように触覚感覚を介して操縦者を導くための技術を示す。
【
図3】各種実施形態に係る、触覚感覚を介してステアリング挙動を誘導するための技術を示す。
【
図4】
図4A~4Cは、各種実施形態に係る、触覚感覚を生成するための触覚出力装置の種々の配列を示す。
【
図5】各種実施形態に係る、乗物の態様を調整するように触覚出力を介してユーザーを導くための方法ステップのフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、各種実施形態に係る、本発明の1つ以上の態様を実装するように構成されたコンピューティング装置100の概念ブロック図を示す。図に示すように、コンピューティング装置100は、処理ユニット110、入出力(I/O)装置120及びメモリ装置130を含むが、これらに限定されることはない。メモリ装置130は、データベース134と対話するように構成された触覚誘導アプリケーション132を含む。
【0013】
処理ユニット110には、中央演算処理ユニット(central processing unit:CPU)、デジタル信号処理ユニット(digital signal processing unit:DSP)、センサ処理ユニット、制御ユニットなどが含まれてもよい。各種実施形態では、処理ユニット110は、ユーザーの1つ以上の部分(例えば、ユーザーの手、指、手首、腕、足、膝、脚、体幹など)の位置及び/もしくは向きを決定するために、かつ/または乗物装置の位置及び/もしくは向きを決定するために1つ以上のセンサを介して取得されたセンサデータを分析するように構成されている。いくつかの実施形態では、処理ユニット110は、ユーザーの位置及び/または向きに対して乗物装置の位置及び/または向きを決定するように更に構成されている。例えば、限定されることはないが、処理ユニット110は、触覚誘導アプリケーション132を実行して、手及び/または乗物装置が特定の位置及び/または向きにあると判定するために1つ以上の制御ユニットからのセンサデータ及び/またはデータを分析することができる。加えて、処理ユニット110は、手及び/または乗物装置の位置または向きが変化すると共に1つ以上の制御ユニットからのセンサデータ及びデータを継続的に処理してもよい。
【0014】
入出力装置120には、入力装置、出力装置、及び入力の受信と出力の提供との両方が可能な装置が含まれてもよい。例えば、限定されることはないが、入出力装置120には、外部カメラ、操縦者を向いたカメラ、全球測位衛星システム(global navigation satellite system:GNSS)、速度計、タコメータ、テレメトリセンサ、外部ネットワーク接続、ジャイロスコープ、気圧計、燃料レベルセンサ、タイヤ圧力センサなどが含まれてもよい。入出力装置120はまた、超音波トランスデューサ、空気渦生成器、空気圧装置、空気嚢などの、1つ以上の触覚出力装置を含んでもよい。加えて、入出力装置120は、マイクロ流体、磁性流体、静電気及び/または電気力学的方法を利用して乗物表面の特性を改質させる装置などの表面改質装置を含んでもよい。更に、入出力装置はまた、前腕、脚、指などの表面にウェアラブル触覚トランスデューサを含んでもよい。入出力装置は、乗物装置とユーザーとの間の対話事象に加えて、乗物装置の位置及び/または向き、ユーザーの位置及び/または向きを含むセンサデータを(例えば、コントローラエリアネットワーク、ローカル相互接続ネットワーク、FlexRay(登録商標)などを介して)受信する1つ以上の有線または無線通信装置を含むことができる。
【0015】
メモリ装置130は、メモリモジュールまたはメモリモジュールの集合体を含んでもよい。メモリ装置130は、触覚誘導アプリケーション132及びデータベース134を含む。触覚誘導アプリケーション132は、入出力装置120及び/またはアクセスデータベース134からデータを受信してもよい。データベース134は、デジタル信号処理アルゴリズム、物体認識データ及びユーザー嗜好データを記憶してもよい。処理ユニット110は、触覚誘導アプリケーション132を実行することにより、コンピューティング装置100の一部または全ての機能を実装する。
【0016】
コンピューティング装置100は、全体として、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit:ASIC)、システムオンチップ(system-on-a-chip:SoC)などであってもよい。一般に、コンピューティング装置100は、超音波トランスデューサアレイ、空気渦生成器などの触覚出力装置の全体動作を調整するように構成されてもよい。他の実施形態では、コンピューティング装置100は、1つ以上の触覚出力装置に結合されているが、それとは別々である場合がある。このような実施形態では、触覚出力装置は、コンピューティング装置100からデータ(例えば、手及び乗物装置の位置及び/または向き)を受信し、コンピューティング装置100にデータ(例えば、触覚出力事象データ)を送信する専用プロセッサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、専用プロセッサは、操縦者支援システム内に含まれてもよく、または、モバイルもしくはウェアラブル装置としてユーザーによって環境内に物理的に持ち込まれてもよい。モバイルまたはウェアラブル装置は、物理的に、または無線でコンピューティング装置100に接続されてもよい。例えば、専用プロセッサは、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、ウェアラブル装置などの家庭用電子装置内に含めることができる。しかしながら、本明細書に開示された実施形態は、触覚出力装置の機能を実装するように構成された技術的に可能な任意のシステムを企図している。
【0017】
上述したように、従来のアプローチは、操縦者に対し、視覚及び/または聴覚的通知(複数可)を解釈することに自分の注意を向けることを必要とし得る。例えば、視覚及び/または聴覚的通知は、所与の事態でどの行動(複数可)をとるべきかを操縦者に明らかに指示しない場合がある。その結果、操縦者には、視覚及び聴覚的通知を解釈するために追加の認識リソースを消費することが要求され得る。
【0018】
本明細書に記載された各種実施形態は、1つ以上の乗物パラメータを調整するためにユーザー(例えば、操縦者)によって実行されるべきである1つ以上の行動を指示する1つ以上の触覚感覚を生成することにより、従来のアプローチを越えた操縦者誘導のための技術を提供する。例えば、操縦者は、1つ以上の乗物装置の位置及び/または状態を変えることによって1つ以上のパラメータを調整することができる。一般に、乗物は、任意の種類の輸送装置を含んでもよい。このような装置としては、車、トラック、モーターバイク、ボート、潜水艦、パーソナルウォータークラフト、スノーモービル、飛行機、宇宙船などが挙げられるが、これらに限定されることはない。操縦者は、乗物の内部に、または遠隔のドローン制御ステーション内などの乗物の外部に位置することができる。動作中、触覚誘導アプリケーション132は、調整すべきであるパラメータ(複数可)の通知を受信する。いくつかの実施形態では、触覚誘導アプリケーション132は、次いで、パラメータ(複数可)に対応する乗物装置に対するユーザーの場所などの、ユーザー(例えば、ユーザーの手、腕、足、足首、指、指先など)の場所を決定することができる。次に、触覚誘導アプリケーション132は、ユーザーに対して生成するための触覚感覚の種類を決定してもよい。例えば、触覚誘導アプリケーション132は、ユーザーに対して生成される触覚感覚の周波数、強度、場所、サイズ、動き、パターン、方向、形状などを決定することができる。最後に、触覚誘導アプリケーション132は、乗物パラメータ(複数可)を調整するようにユーザーを導くために、1つ以上の触覚出力装置を介してユーザーに対して触覚感覚を生成する。特に、ユーザーと直接的、物理的に接触せずにユーザーに対して触覚感覚を生成する触覚出力装置を、本明細書に開示された任意の実施形態において実装することができる。このような技術の例を、
図2、3、4A~4C及び5に関連して更に詳細に以下で説明する。
【0019】
図2は、各種実施形態に係る、乗物のギアシフトの位置をシフトするように触覚感覚を介して操縦者を導くための技術を示す。図に示すように、システム環境200は、ギアシフトノブ210、ギアシフトプレート220、センサ230及び触覚出力装置240を含む。一般に、触覚出力装置240は、超音波トランスデューサアレイ及び/または空気出力装置などの、ユーザーに対して触覚感覚を生成することができる任意の種類の装置を含んでもよい。
【0020】
上述したように、各種実施形態では、触覚感覚は、乗物装置(例えば、ギアシフトノブ210)を操作して乗物の1つ以上のパラメータを調整するように操縦者を導くために生成されてもよい。いくつかの実施形態では、触覚誘導アプリケーション132は、1つ以上の通信経路(例えば、乗物のバス、コントローラエリアネットワーク、ローカル相互接続ネットワーク、無線通信プロトコルなど)を介して、乗物内に含まれる1つ以上の制御ユニットから制御信号を受信する。例えば、制御ユニットは、乗物パラメータをユーザーによって調整すべきであることを指示するために、1つ以上の信号を触覚誘導アプリケーション132に送信することができる。触覚誘導アプリケーション132は、次いで、触覚出力250を生成して、乗物パラメータを調整すべきこと及び/または乗物パラメータをどのように調整すべきかをユーザーに指示する。
【0021】
例えば、
図2に示すように、触覚出力装置240を介して操縦者の手に対して触覚感覚を生成することにより、ギアシフトノブ210を介して乗物の変速機をシフトアップまたはシフトダウンするように操縦者を導くことができる。いくつかの実施形態では、エンジン制御ユニットは、最初に、変速機をシフトアップまたはシフトダウンすべきであることを触覚誘導アプリケーション132に乗物のバスを介して通知することができる。触覚誘導アプリケーション132は、次いで、触覚出力装置240を介して触覚出力250を生成して、変速機を調整するためにギアシフトノブ210の位置を調整すべきであること及び/またはギアシフトノブ210の位置をどのように変えるべきか(例えば、より高い、もしくはより低い変速機ギアと関連しているギアシフトプレート220のスロットへとギアシフトノブ210を動かすことによって)を操縦者に指示することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、触覚出力装置(複数可)240によって生成された触覚出力250は、対応するパラメータを調整するためにユーザーが乗物装置を動かすべきである特定の方向を指示する。例えば、
図2に示すように、触覚出力250は、操縦者の手を横切る特定の方向に生成することができる。その場合、方向は、操縦者がギアシフトノブ210を動かすべき先のギアを示す。より具体的な例では、ギアシフトノブ210が第5ギアにあり、かつ変速機をシフトダウンすべきであることを指示する制御信号を触覚誘導アプリケーション132が受信した場合、触覚出力250-3を生成して、第4ギアにシフトするように操縦者に命じることができる。別の例では、ギアシフトノブ210が第2ギアにあり、かつ変速機をシフトアップすべきであることを指示する制御信号を触覚誘導アプリケーション132が受信した場合、触覚出力250-1を生成して、第3ギアにシフトするように操縦者に命じることができる。乗物装置を特定の方向に押すこと、引くこと、スライドすること、またはさもなければ再度位置付けることによってパラメータを調整することが可能である任意の種類の乗物装置について、方向を示す類似の技術が触覚誘導アプリケーション132によって実装されてもよい。
【0023】
一実施形態では、触覚誘導アプリケーション132が触覚出力を介して指示する特定の方向は絶対方向である。特に、絶対方向は、乗物装置を新しい位置に動かすために手が動くべき方向であってもよい。例えば、触覚出力250-1は、第2ギアスロットから第3ギアスロットにギアシフトノブ210を動かすために操縦者が自分の手を動かすべきである方向を指示することができる。ユーザーの手の向きがギアシフトノブ210に対して変わったときでも、触覚誘導アプリケーション132は、触覚出力250-1の方向を変化させない。追加的に、または代替的に、触覚誘導アプリケーション132は、ユーザーの手に対して相対方向を指示してもよい。相対方向を生成するとき、触覚誘導アプリケーション132は、ユーザーの手の現在の向きに対して触覚出力250-1の方向を変化させる。従って、触覚誘導アプリケーション132は、ユーザーの手の2つの部分の間を移動する触覚出力を、手が乗物装置に対してどのように向いているかに関係なく生成するように触覚出力装置を構成する。例えば、ユーザーの手がギアシフトノブ210に対してどのように向いているかに関係なく、触覚誘導アプリケーション132は、ユーザーの手の中央と小指の指関節との間を移動する触覚出力250-1を生成することができる。このような触覚感覚は、ユーザーが第2ギアスロットから第3ギアスロットにギアシフトノブ210をシフトすべきであることを矛盾なく指示することになる。
【0024】
いくつかの実施形態では、触覚誘導アプリケーション132は、特定の形状(例えば、畝)を有するものとしてユーザーによって知覚される触覚感覚を生成してもよい。加えて、触覚誘導アプリケーション132は、初期位置と、触覚感覚がユーザーの手の表面を移動する経路とを決定してもよい。具体的には、触覚感覚は、初期位置でユーザーの手に対して生成されてもよく、次いで経路に沿ってユーザーの手の1つ以上の方向に移動してもよい。例えば、触覚誘導アプリケーション132は、左手の手首で始まり、左手の各指関節まで移動する畝の形で触覚感覚を生成することができる。触覚誘導アプリケーション132は、更に、右手の各指関節で始まり、右手の手首まで移動する畝の形で別の触覚感覚を生成することができる。いくつかの実施形態では、触覚誘導アプリケーション132は、1つ以上のパラメータ(複数可)の現在値及びそのパラメータ(複数可)の目標値を受信してもよい。触覚誘導アプリケーション132は、次いで、どの乗物装置(複数可)がパラメータ(複数可)と関連しているか、及びパラメータ(複数可)の値を現在値から目標値に変えるために乗物装置(複数可)を調整すべきである方法を決定してもよい。追加的に、または代替的に、乗物パラメータを調整すべきであるとの指示を受信すると、触覚誘導アプリケーション132は、乗物装置と関連している(例えば、データベース134内に記憶された)一組の所定の切り替えから選択することができる。例えば、エンジン制御ユニットは、変速機が動作している現在のギア、及びギアを上げるべきであることを指示することができる。触覚誘導アプリケーション132は、第2ギアから第3ギアへのシフトに関連した所定の切り替えに基づき、ギアシフトノブ210を上方に、更には右に動かすようにユーザーを導くために触覚出力250-1をユーザーに対して生成すべきであることを決定することができる。触覚誘導アプリケーション132は、次いで、触覚出力装置240に、ユーザーに対する触覚出力250-1を生成させることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、触覚誘導アプリケーション132は、特定のパラメータを特定の乗物装置及び/または触覚出力装置240と(例えば、データベース134内に記憶されたルックアップテーブルを介して)関連させてもよい。次いで、制御ユニットから特定のパラメータを指定する制御信号を受信すると、触覚誘導アプリケーション132は、そのパラメータと関連している乗物装置、及び/または触覚感覚を生成するように実行されるべき1つ以上の触覚出力装置240を決定してもよい。触覚誘導アプリケーション132は、次いで、それらの触覚出力装置(複数可)240に、ユーザーに対する触覚感覚を生成させる。
【0026】
いくつかの実施形態では、制御ユニットは、調整すべきである1つ以上のパラメータと関連している乗物装置(複数可)、及びそれらの乗物装置(複数可)を調整すべきである方法を触覚誘導アプリケーション132に指示してもよい。例えば、制御ユニットは、ギアシフトノブ210の位置が調整される前にクラッチペダルを踏み込むべきであること及び/またはどの程度クラッチペダルを踏み込むべきかを触覚誘導アプリケーション132に指示することができる。触覚誘導アプリケーション132は、次いで、クラッチペダルの付近の1つ以上の触覚出力装置240を介して触覚出力250を生成して、制御ユニットによって指定された距離だけクラッチペダルを踏み込むように操縦者を導くことができる。例えば、触覚出力250は、制御ユニットによって指定された位置にクラッチペダルが到達するまで、ユーザーの脚または足に対して生成することができる。触覚誘導アプリケーション132は、乗物のアクセルペダル及び/または乗物のブレーキペダルに関して類似の技術を実装することができる。
【0027】
各種実施形態では、1つ以上のセンサ230は、ユーザー及び/または乗物装置の場所及び/または向きを決定するために、触覚誘導アプリケーション132によって次いで処理されるセンサデータを取得するように実装されてもよい。例えば、触覚誘導アプリケーション132は、センサ(複数可)230によって取得されたセンサデータを分析して、操縦者の手が1つ以上の乗物装置(例えば、ギアシフトノブ210)の付近に位置しているかどうかを判定することができる。触覚誘導アプリケーション132は、次いで、1つ以上の触覚出力装置240に、ユーザーの手の特定の場所に基づいて触覚出力250を生成させることができる。いくつかの実施形態では、ユーザー及び/またはユーザーによって操作されている乗物装置の特定の場所を決定することにより、乗物装置を特定の方法で調整するようにユーザーを導くために触覚出力250をより正確に生成してもよい。例えば、
図2を参照すると、様々なユーザーが、自分の手をギアシフトノブ210上の様々な場所に位置付けている場合がある。その結果、1つ以上のセンサ230を介してユーザーの手の場所を検出することにより、手の特定の部分に対して触覚出力250をより正確に生成することが可能となり得る。
【0028】
更に、誘導アプリケーション132は、センサデータを分析してユーザーの場所(例えば、手、腕、足、脚などの場所)を決定することにより、その場所付近にある1つ以上の触覚出力装置240を選択することができる。次いで、触覚出力250を、選択された触覚出力装置240を介してユーザーに対して生成することができる。例えば、触覚誘導アプリケーション132は、センサ230から受信したセンサデータを分析することにより、ギアシフトノブ210に対する操縦者の手の場所及び向きを決定することができる。触覚誘導アプリケーション132は、次いで、手に対して触覚感覚を生成するために最適に位置付けられている1つ以上の触覚出力装置240を選択することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、触覚誘導アプリケーション132は、触覚感覚の周波数、形状、向き、位置及び/または強度を更に決定してもよい。例えば、触覚誘導アプリケーション132は、変速機を異なるギアにシフトする緊急性を操縦者に伝えるために触覚感覚の周波数及び強度を変化させることができる。
【0030】
触覚出力装置240は、ギアシフトノブ210の上方、乗物のダッシュボードの上、操縦者の手の下など、乗物周辺の様々な位置に位置し得る。例えば、システム環境200内で、触覚出力装置240は、ギアシフトノブ210の上方に位置している。加えて、触覚出力装置240は、乗物装置(複数可)及び/または操縦者に対して適切な出力経路を提供する乗物の未使用領域(例えば、乗物のダッシュボード上の未使用空間)内に都合良く置くことができる。加えて、触覚出力装置240は、乗物装置の付近に(例えば、乗物装置の内部に、乗物装置の周辺部に沿って)、かつ/またはユーザーの付近に存在することができる。
【0031】
図3は、各種実施形態に係る、触覚感覚を介してステアリング挙動を誘導するための技術を示す。図に示すように、システム環境300は、ステアリングホイール310、センサ320及び触覚出力装置330を含む。
【0032】
各種実施形態では、触覚誘導アプリケーション132は、自分のステアリング挙動を調整するように触覚感覚を介して操縦者を導いてもよい。例えば、触覚誘導アプリケーション132は、制御ユニットから1つ以上の制御信号を受信ことができる。その場合、制御信号は、車を特定の方向にステアリングすべきことを指示する。1つ以上の触覚出力装置330は、次いで、特定の方法でステアリングホイールを動かすようにユーザーを導くためにユーザーの手に対して触覚感覚を生成するように実施されてもよい。例えば、触覚感覚をユーザーの左手に対して生成して左にステアリングするようにユーザーを導くことができ、または、触覚感覚をユーザーの右手に対して生成して右にステアリングするようにユーザーを導くことができる。加えて、いくつかの実施形態では、ユーザーの手及び/または腕を横切る特定の方向に触覚感覚を生成して、ステアリングホイールを左または右に回すべきであることを指示することができる。例えば、ユーザーを横切る時計回り方向に触覚感覚を生成してホイールを右に回すべきことを示すことができ、または、ユーザーを横切る反時計回り方向に触覚感覚を生成してホイールを左に回すべきことを指示することができる。乗物装置を回すこと、または回転させることによってパラメータを調整することが可能である任意の種類の乗物装置について、類似の技術が触覚誘導アプリケーション132によって実装されてもよい。
【0033】
触覚誘導アプリケーション132は、センサ320を介して乗物装置に対するユーザーの場所を更に決定してもよい。いくつかの実施形態では、触覚誘導アプリケーション132は、センサ320からのセンサデータを分析して、ユーザーの手に対して触覚感覚を生成するために触覚出力装置330が触覚出力を出力すべきである方向を決定してもよい。次いで、触覚誘導アプリケーション132は、ユーザーに対して生成するための触覚感覚の1つ以上の特性を更に決定してもよく、ユーザーに対して触覚感覚を生成する触覚出力装置330に制御信号を出力してもよい。
【0034】
例えば、乗物が車線の外にそれている、かつ/または道路の端に向かって移動している場合、触覚誘導アプリケーション132は、1つ以上のセンサ320を介して、ステアリングホイールの向きを決定し、必要に応じて操縦者の手の場所及び向きを決定することができる。触覚誘導アプリケーション132は、次いで、操縦者に対し、自分が乗物をステアリングして車線内に戻す、かつ/または道路の端から離れるべきであることを指示するために、操縦者の手に対して生成するための触覚感覚の1つ以上の特性を決定することができる。いくつかの実施形態では、上述した畝として操縦者によって知覚される1つ以上の触覚感覚を操縦者の手(複数可)に対して生成して、自分がステアリングホイールを右または左に回すべきであることを指示することができる。加えて、乗物が道路の端に向かって、車線ラインを横切って、かつ/または別の乗物もしくは物体に向かって更にそれたときなど、操縦者が危険な状況に向かって更にそれているときに触覚感覚の周波数及び/または強度を上げてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、触覚誘導アプリケーション132は、ある場所から別の場所まで乗物を操縦するために操縦者がとるべきいくつかの、または全ての行動を通じて操縦者を誘導してもよい。例えば、触覚誘導アプリケーション132は、自分の家と仕事場との間を運転する際に操縦者を誘導するために一連の触覚感覚を生成することができる。触覚誘導アプリケーション132は、1つ以上の触覚出力装置240を介して一連の触覚感覚を更に生成して、所与の目的地まで安全に移動する際に操縦者を助けるために操縦者のシフト挙動、加速、ブレーキなどを誘導することができる。
【0036】
例えば、触覚出力装置330は、乗物のステアリングコラム上に、かつ/または乗物のフットウェル内に位置することができる。乗物を加速すべきであることを指示する制御信号を触覚誘導アプリケーション132が受信したとき、触覚誘導アプリケーション132は、フットウェル内に位置する1つ以上のセンサ320からのセンサデータを介して操縦者の足の場所及び向きを決定することができる。次いで、操縦者の足がアクセルの上に位置していると触覚誘導アプリケーション132が判定した場合、触覚誘導アプリケーション132は、自分がアクセルを踏み込むべきことを操縦者に指示するために、操縦者の足に対して生成するための触覚感覚の1つ以上の特性を決定することができる。これに対して、足がブレーキの上に位置していると触覚誘導アプリケーション132が判定した場合、触覚誘導アプリケーション132は、操縦者が自分の足をブレーキペダルから上げ、アクセル上に足を動かすべきことを操縦者に指示するために、操縦者の足に対して生成するための触覚感覚の1つ以上の特性を決定することができる。例えば、触覚誘導アプリケーション132は、触覚出力装置330を介して操縦者の足に対して触覚感覚を生成することができる。その場合、触覚感覚は、操縦者が自分の足をブレーキペダルからアクセルに動かすべきであることを操縦者に指示するために足の左側から足の右側まで移動する。次に、触覚誘導アプリケーション132は、触覚出力装置330に制御信号を送信することにより、操縦者の足に対して第2の触覚感覚を生成することができる。この触覚感覚は、自分がアクセルを踏み込むべきであることを操縦者に指示する。
【0037】
加えて、触覚誘導アプリケーション132は、乗物の事象、道路の状態などについて操縦者に警告するために、操縦者に対して触覚感覚を生成してもよい。例えば、操縦者が半自律的な操縦環境にあり、かつ操縦者のシートが乗物の後部を向いているとき、触覚誘導アプリケーション132は、操縦者が自分のシートの向きを変えるべきである、かつ/または特定の乗物装置の制御を行うべきであるときに触覚感覚の形態で操縦者に警告を提供してもよい。加えて、触覚誘導アプリケーション132は、乗物の正面を向くように自分のシートの向きを変える際に一連の触覚感覚を生成して操縦者を誘導することにより、乗物装置を調整する際に操縦者を助けてもよい。
【0038】
更に、半自律的な乗物内では、触覚誘導アプリケーション132は、1つ以上の制御装置から制御信号を受信してもよく、1つ以上のパラメータを調整することが安全ではないと操縦者に警告するために操縦者に対して触覚感覚を生成してもよい。例えば、現在の乗物の速度では安全ではないギアに変速機をシフトすることを操縦者が試みる場合、触覚誘導アプリケーション132は、制御信号を受信して触覚感覚を操縦者に対して生成してもよい。触覚誘導アプリケーション132は、次いで、高強度を有する触覚感覚を操縦者の手に対して生成することができる。高強度を有する触覚感覚を実行することにより、触覚誘導アプリケーション132は、操縦者に警告する、かつ/または操縦者が安全ではないギアに変速機をシフトしないようにすることができる。
【0039】
加えて、操縦者監視システムを乗物が有する場合、触覚誘導アプリケーション132は、操縦者監視システムからの各種通知を操縦者に対する触覚感覚を介して実施してもよい。例えば、触覚誘導アプリケーション132は、操縦者監視システムから、1つ以上の乗物装置の位置を変えることによって操縦者が1つ以上のパラメータを調整すべきであることを指示する制御信号を受信することができる。触覚誘導アプリケーション132は、次いで、乗物装置(複数可)の位置を自分がどのように変えてパラメータ(複数可)を調整すべきかを操縦者に指示するために触覚感覚を操縦者に対して生成することができる。
【0040】
図4A~4Cは、各種実施形態に係る、触覚感覚を生成するための触覚出力装置の種々の配列を示す。図に示すように、システム環境400は、乗物装置410及び触覚出力装置420を含む。
【0041】
本明細書で述べたように、触覚出力装置420は、超音波トランスデューサ、空気出力装置及び/または他の種類の触覚出力装置を含んでもよい。各種実施形態では、触覚誘導アプリケーション132は、操縦者の手に対して生成される触覚感覚の1つ以上の特性を決定してもよい。このような特性としては、触覚感覚の強度、場所、形状、周波数、動き及びサイズが挙げられる。
【0042】
このような実施形態では、触覚誘導アプリケーション132は、2つ以上の触覚出力装置420の触覚出力を強め合うように、かつ/または弱め合うように干渉させることにより、特定の一組の特性を有する触覚感覚を生成してもよい。例えば、2つ以上の触覚出力装置420によって生成された触覚出力は、特定の時間において空間内の特定の場所を占有して、各触覚出力装置の触覚出力が1つ以上の他の触覚出力装置の触覚出力と強め合うように、かつ/または弱め合うように干渉することを可能にしてもよい。異なる触覚出力装置によって生成された触覚出力間の強め合う、かつ/または弱め合う干渉は、次いで、触覚出力が強め合うように干渉する場所において触覚感覚を生じさせることができる。従って、各種実施形態では、触覚誘導アプリケーション132は、触覚出力装置からの触覚出力を1つ以上の他の触覚出力装置の触覚出力と干渉させることにより、特定の場所において触覚感覚を生成してもよい。
【0043】
更に、各種実施形態では、触覚誘導アプリケーション132は、各触覚出力装置によって生成された触覚出力の強度及び/または位相を調整することにより、触覚出力によって生成された強度パターンを更に制御してもよい。このような技術を利用して、触覚誘導アプリケーション132は、強度ピークの場所をシフトしてもよく、強度ピークの数を増加または減少させてもよく、かつ/または1つ以上の強度ピークの形状及び/または大きさを調節してもよい。その結果、触覚誘導アプリケーション132は、ユーザーに対して生成される触覚感覚の各種特性を局所化及び/または調整してもよい。例えば、触覚誘導アプリケーション132は、このような技術を利用して、ユーザーの手に対して生成される触覚感覚の強度、サイズ、場所及び/または形状を改変することができる。
【0044】
加えて、空気出力装置(例えば、空気渦生成器)を使用して操縦者の手に対して触覚感覚を生成してもよい。各種実施形態では、触覚誘導アプリケーション132は、空気出力装置を含む触覚出力装置420を使用して、本明細書に記載された技術のうちのいずれかを実装してもよい。例えば、乗物装置410の付近に位置する空気出力装置は、自分が乗物装置410の位置を調整すべきであることを操縦者に指示するために、操縦者の手、手のひら、前腕などに対して触覚感覚を生成することができる。加えて、各空気出力装置は、空気渦生成器が様々な方向に空気渦を放出することを可能にするパン・チルト作動を実施することなどにより、複数の領域内に空気渦を放出してもよい。このような実施形態では、触覚誘導アプリケーション132は、複雑な特性を有する触覚感覚をユーザーの各種部分に対して生成することができる。
【0045】
図4Aに示すように、触覚出力装置420は、乗物装置410の付近のアレイに配列されてもよい。例えば、触覚出力装置420は、5×2のアレイに配列することができる。各種実施形態では、他の寸法及び/または形状のアレイを実装してもよい。例えば、超音波トランスデューサアレイは、4×4アレイ、8×8アレイ、16×16アレイなどに配列することができる。更に、触覚出力装置420は乗物装置410に対して特定の位置にあるものとして示されているが、他の実施形態では、触覚出力装置420は、乗物装置410の付近の任意の位置に位置付けられてもよい。
【0046】
図4Bでは、触覚出力装置420は、乗物装置410の周縁部を囲んで配列されている。
図4Bに示した実施形態は触覚出力装置420の楕円構成を実装しているが、他の任意の形状(例えば、円形、矩形、多角形、自由形など)を各種実施形態において実装してもよい。このような実施形態では、触覚感覚を操縦者の手のひら及び/または前腕に対して生成してもよい。加えて、触覚感覚を操縦者の指及び/または指先に対して生成してもよい。
【0047】
図4Cでは、触覚出力装置420は、乗物装置410上に配列されている。このような実施形態では、触覚感覚を操縦者の手のひら、指及び/または前腕に対して生成することができる。追加的に、または代替的に、触覚出力装置は、乗物装置410を囲んで散在的に配列することができる。いくつかの実施形態では、触覚出力装置420は、利用可能な空間を有する乗物の各種領域内に(例えば、乗物装置、物体、またはディスプレイなどの他の障害物がない乗物の表面上に)位置してもよい。次いで、乗物装置410の付近の触覚出力装置420の特定の配列を所与として、触覚誘導アプリケーション132は、操縦者の手に対して触覚感覚を生成するために触覚出力装置420のそれぞれの触覚出力を制御してもよい。
【0048】
本明細書に開示された各種実施形態は特定の種類の乗物装置に関して記載されているが、本明細書に開示された技術のいずれもが、任意の種類の乗物装置に関して実装され得る。更に、各種実施形態は触覚出力装置の特定の配列と共に記載されているが、
図4A~4Cに関して上述したものなどの、本明細書に開示された触覚出力装置の配列のいずれもが、任意の種類の乗物装置の付近に触覚出力を生成するための任意の技術で実装され得る。加えて、触覚出力装置420の任意の配列を実装して任意の形状を有する触覚感覚を生成してもよい。このような触覚感覚としては、楕円形、矩形、多角形及び自由形の形状を有する触覚感覚が挙げられるが、これに限定されることはない。
【0049】
図5は、各種実施形態に係る、乗物の態様を調整するように触覚出力を介してユーザーを導くための方法ステップのフロー図を示す。方法ステップは
図1~3及び4A~4Cのシステムに関連して記載されているが、当業者は、方法ステップを任意の順序で実行するように構成された任意のシステムが本発明の範囲内に含まれることを理解するであろう。
【0050】
図5に示すように、方法500はステップ510から始まる。ここで、触覚誘導アプリケーション132は、制御ユニットから1つ以上の制御信号を受信する。いくつかの実施形態では、ステップ510で、触覚誘導アプリケーション132はまた、調整すべきであるパラメータ及びそのパラメータと関連している乗物装置を決定してもよい。次いで、ステップ520で、触覚誘導アプリケーション132は、乗物装置の付近に位置する1つ以上の触覚出力装置を選択する。次いで、ステップ530で、触覚誘導アプリケーション132は、1つ以上の触覚出力装置を介して生成するための触覚感覚を決定する。
【0051】
次に、ステップ540で、触覚誘導アプリケーション132は、ユーザーに対して触覚感覚を生成する。最後に、ステップ550で、触覚誘導アプリケーション132は、(例えば、ユーザーによって)パラメータが調整されたかどうかを判定する。例えば、ステップ550で、触覚誘導アプリケーション132は、パラメータが変化したことを制御ユニットによって通知することができる。代替的に、または追加的に、触覚誘導アプリケーション132は、乗物装置の位置が変化したことを指示するセンサデータを分析することによってパラメータが調整されたことを判定してもよい。
【0052】
ステップ550で、パラメータが変化したと触覚誘導アプリケーション132が判定した場合、方法500はステップ510に戻る。そこで、触覚誘導アプリケーション132は、制御ユニットから1つ以上の制御信号を受信する。パラメータが変化しなかった場合、方法500はステップ530に戻る。そこで、触覚誘導アプリケーション132は、1つ以上の触覚出力装置を介して操縦者に対して生成するための触覚感覚を再度決定してもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、触覚誘導アプリケーション132は、ユーザー(例えば、ユーザーの手)の位置及び/または向きが変化したことを判定してもよい。このような実施形態では、パラメータが変化しなかった場合、方法500はステップ520に戻る。そこで、触覚誘導アプリケーション132は、乗物装置の付近の1つ以上の触覚出力装置を選択する。触覚誘導アプリケーション132は、ユーザーの手の新しい場所及び/または向きに触覚出力を向けることができる乗物装置の付近の触覚出力装置を選択する。各種実施形態はユーザーの手に対して触覚感覚を生成するものとして記載されているが、上記の実施形態のいずれにおいても、触覚感覚は、ユーザーの体の任意の部分に対して生成され得る。各種実施形態では、触覚出力装置は、ユーザーとの直接的、物理的な任意の種類の接触を行うことなく、ユーザーに対して触覚感覚を生成する。
【0054】
各種実施形態では、ステップ510で、触覚誘導アプリケーション132は、1つ以上のセンサからのセンサデータを介してユーザーの位置を決定してもよい。触覚誘導アプリケーション132は、乗物装置に対する手の位置及び向きに加えて、操縦者の手のサイズ及び向きを更に受信してもよい。更に、いくつかの実施形態では、ステップ520で、触覚誘導アプリケーション132は、どの触覚出力装置が乗物装置の付近にあるかを決定してもよく、ユーザーに対して触覚感覚を生成するための1つ以上の触覚出力装置を選択してもよい。次いで、ステップ530で、触覚誘導アプリケーション132は、ユーザーに対して生成するための触覚感覚の1つ以上の特性を決定することができる。例えば、触覚誘導アプリケーション132は、触覚感覚のサイズ、形状、場所及び強度を決定することができる。加えて、触覚誘導アプリケーション132は、触覚感覚がユーザーの手に対して有するべき方向、周波数及び動きを決定することができる。触覚誘導アプリケーション132は、乗物装置の付近にある触覚出力装置の種類、位置及び/または向き、ならびに乗物装置及びユーザーの位置及び向きに基づいて触覚感覚の1つ以上の特性を決定してもよい。
【0055】
要約すれば、触覚誘導アプリケーションは、制御ユニットから制御信号を受信する。触覚誘導アプリケーションは、次いで、調整すべきパラメータ及びそのパラメータと関連している乗物装置を決定してもよい。触覚誘導アプリケーションは、次いで、乗物装置の付近の1つ以上の触覚出力装置を選択してもよく、更にはユーザーに対して生成するための触覚感覚を決定してもよい。触覚誘導アプリケーションは、次いで制御信号を触覚出力装置(複数可)に送信し、触覚出力装置は、ユーザーに対して触覚感覚を生成する。
【0056】
本明細書に記載された技術の少なくとも1つの利点は、ユーザーが視覚及び/または聴覚的通知に自分の注意を払うことを必要とせずに、パラメータを調整すべきであることをユーザーに通知することができる点である。従って、ユーザーは、視覚及び/または聴覚的通知を分析するためにユーザーが追加の認識リソースを消費せずに、調整すべきであるパラメータ(複数可)を決定することが可能である。更に、触覚感覚を、ユーザーの視覚及び聴覚的知覚に負担をかけずに様々な種類の情報をユーザーに伝達するための代替手段として実装することができる。その結果、本明細書に記載された技術は、様々な種類の情報がユーザーに提供されるときにユーザーに与えられる認識負荷を低減することができる。
【0057】
各種実施形態についての記載は、例示の目的で与えられているが、網羅的であることも、開示される実施形態に限定されることも意図しない。記載された実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく、多くの修正及び変形が当業者にとって明らかとなるであろう。
【0058】
本実施形態の態様は、システム、方法またはコンピュータプログラム製品として具現化されてもよい。従って、本開示の態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアの態様とハードウェアの態様とを組み合わせた実施形態の形をとり得るが、これらは全て、一般に、本明細書において「回路」、「モジュール」または「システム」と呼ぶことができる。更に、本開示の態様は、1つ以上のコンピュータ可読媒体(複数可)であって、当該媒体上に具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形をとることができる。
【0059】
1つ以上のコンピュータ可読媒体(複数可)の任意の組み合わせを利用してもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線もしくは半導体システム、機器もしくは装置、または前述したものの任意の適切な組み合わせであってもよいが、これらに限定されることはない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非限定なリスト)としては、1本以上のワイヤを有する電気的接続、可搬型コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(random access memory:RAM)、リードオンリーメモリ(read-only memory:ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(erasable programmable read-only memory:EPROM、もしくはフラッシュメモリ)、光ファイバ、可搬型コンパクトディスクリードオンリーメモリ(compact disc read-only memory:CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、または前述したものの任意の適切な組み合わせが挙げられる。本文書の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、機器もしくは装置によって、またはそれと共に使用するためのプログラムを含む、または記憶することが可能な任意の有形媒体であってもよい。
【0060】
本開示の態様は、開示の実施形態に係る方法、機器(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート説明図及び/またはブロック図を参照して上述されている。フローチャート説明図及び/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート説明図及び/またはブロック図内の各ブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実装可能であることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、機械を製作するために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理機器のプロセッサに提供されてもよい。それにより、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理機器のプロセッサを介して実行される命令は、フローチャート及び/またはブロック図のブロックもしくは複数のブロック内で指定された機能/作用の実装を可能にする。このようなプロセッサは、限定されることはないが、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、特定用途向けプロセッサ、またはフィールドプログラマブルプロセッサもしくはゲートアレイであってもよい。
【0061】
図面内のフローチャート及びブロック図は、本開示の各種実施形態に係るシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の可能な実装の構造、機能及び動作を示す。この点に関して、フローチャートまたはブロック図内の各ブロックは、モジュール、セグメント、またはコードの一部を表してもよい。これは、指定された論理機能(複数可)を実装するための1つ以上の実行可能な命令を含む。いくつかの代替的な実装では、ブロック内に記述された機能は、図面内に記述された順序以外で行われてもよいことにも留意すべきである。例えば、連続的に示した2つのブロックは、実際に、実質的に同時に実行されてもよく、またはブロックは、場合によっては、関係する機能に応じて逆の順序で実行されてもよい。ブロック図及び/またはフローチャート説明図の各ブロック、ならびにブロック図及び/またはフローチャート説明図内の各ブロックの組み合わせは、指定された機能もしくは作用を実行する専用ハードウェアベースシステム、または専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実装することができることにも留意されよう。
【0062】
先の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱せずに他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてもよく、本開示の範囲は、続く特許請求の範囲によって決まる。
【外国語明細書】