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特開2022-7583スクリーンの締まり機構及び該機構を備えた開閉装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007583
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】スクリーンの締まり機構及び該機構を備えた開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20220105BHJP
   E06B 9/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
E06B9/17 U
E06B9/00
E06B9/17 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110645
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000107930
【氏名又は名称】セイキ販売株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390020101
【氏名又は名称】セイキ住工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083851
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 義勝
(74)【代理人】
【識別番号】100194205
【弁理士】
【氏名又は名称】河内 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100173657
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬沼 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】野口 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 智哉
(72)【発明者】
【氏名】阿部 太輔
(72)【発明者】
【氏名】辻 和孝
(57)【要約】      (修正有)
【課題】火災時及び平時において、開閉装置のスクリーンがめくり上がって閉鎖状態が解除されることを抑制できるスクリーンの締まり機構及び該機構を備えた開閉装置を提供する。
【解決手段】上下方向に移動可能なスクリーン5による閉鎖状態を維持するスクリーン5の締まり機構12であって、スクリーン5の下端部に設けられるベース部材13、及び、ベース部材13に回転可能に設けられたラッチ部材14を備え、ラッチ部材14には、ラッチ部材14の回転の回転軸方向から離れる方向に延在するレバー部を形成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に移動可能なスクリーンによる閉鎖状態を維持するスクリーンの締まり機構であって、
前記スクリーンの下端部に設けられるベース部材、及び、
前記ベース部材に回転可能に設けられたラッチ部材を備え、
前記ラッチ部材には、前記ラッチ部材の回転の回転軸方向から離れる方向に延在するレバー部が形成されていることを特徴とする締まり機構。
【請求項2】
左ガイド枠、右ガイド枠及び下枠と、
幅方向端部が前記左ガイド枠及び前記右ガイド枠に囲まれ、且つ、前記左ガイド枠及び前記右ガイド枠に沿って巻取り及び巻戻しされるスクリーンと、
前記スクリーンを収容する収容ボックスと、
前記スクリーンの下端部に設けられるベース部材、及び、前記ベース部材に回転可能に設けられたラッチ部材を備えるスクリーンの締まり機構と、を備え、
前記ラッチ部材には、前記ラッチ部材の回転の回転軸方向から離れる方向に延在するレバー部が形成されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項3】
前記下枠には、スクリーンによる閉鎖状態において前記ラッチ部材が係止される被係止部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記下枠には、上面と屋内側側面との間に、面取り部が構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の開閉装置。
【請求項5】
前記下枠をその内部から支える下枠補強材をさらに備えることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の開閉装置。
【請求項6】
前記左右ガイド枠をそれらの内部から支えるガイド枠補強材をさらに備えることを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の開閉装置。
【請求項7】
前記左右ガイド枠をそれらの内部から支えるガイド枠補強材と、
前記下枠をその内部から支える下枠補強材とをさらに備え、
前記下枠補強材の長手方向端部と、前記ガイド枠補強材の長手方向端部とが臨む空間に、加熱発泡材を備えることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の開閉装置。
【請求項8】
前記加熱発泡材を、ガイド枠の長手方向下端側に備えることを特徴とする請求項7に記載の開閉装置。
【請求項9】
前記下枠と、前記左右ガイド枠の屋外側内側面及び/または屋内側内側面との間に、前記加熱発泡材を備えることを特徴とする請求項7または8に記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンの締まり機構及び該機構を備えた開閉装置に関し、特に防火設備として使用できる防火用開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
万が一の火災の際に、発生する恐れがある人的被害や延焼等を防ぐため、建物の開口部に防火設備を設置することが、要請されている。近年、このような防火設備として、建物の開口部の内周面に設けた枠体に沿って巻き取り及び巻戻し可能な可撓性シート状のスクリーンを備えた防火用開閉装置が利用されている。
【0003】
例えば特開平8-303147号公報には、スクリーンとしての布地2を伸長状態に維持するために、布地2の下方端にウエイトバー6を組み付けたロールスクリーンを備える開閉装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-303147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている開閉装置では、ウエイトバー6の重みにより、シリカクロス等の不燃性または難燃性素材からなるスクリーンとしての布地2が下方に引っ張られて伸長状態が維持される。そのため、火災時に火炎が屋内外に貫通してしまうことの抑制とともに、平時におけるプライバシーの保護に一定の効果がある。
しかしながら特許文献1の開閉装置では、避難時における人の通り抜けを可能とするために、布地2のたて辺を自由状態として、ウエイトバー6及び布地の下端を分割している。そのため、特許文献1の開閉装置では、火災時における開口部の変形や、平時における屋内空気の循環や強風により発生する負圧等により、布地2がめくり上がって閉鎖状態が解除されてしまう可能性がある。
よって特許文献1の開閉装置では、火災時に火炎が屋内外に貫通してしまい防火性能を発揮することができなくなる虞や、平時におけるプライバシーを十分に保護できない虞がある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決すべくなされたものであり、火災時及び平時において、開閉装置のスクリーンがめくり上がって閉鎖状態が解除されることを防止できるスクリーンの締まり機構及び該機構を備えた開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の締まり機構は、上下方向に移動可能なスクリーンによる閉鎖状態を維持するスクリーンの締まり機構であって、前記スクリーンの下端部に設けられるベース部材、及び、前記ベース部材に回転可能に設けられたラッチ部材を備え、前記ラッチ部材には、前記ラッチ部材の回転の回転軸方向から離れる方向に延在するレバー部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の開閉装置は、左ガイド枠、右ガイド枠及び下枠と、幅方向端部が前記左ガイド枠及び前記右ガイド枠に囲まれ、且つ、前記左ガイド枠及び前記右ガイド枠に沿って巻取り及び巻戻しされるスクリーンと、前記スクリーンを収容する収容ボックスと、前記スクリーンの下端部に設けられるベース部材、及び、前記ベース部材に回転可能に設けられたラッチ部材を備えるスクリーンの締まり機構と、を備え、前記ラッチ部材には、前記ラッチ部材の回転の回転軸方向から離れる方向に延在するレバー部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の開閉装置においては、前記下枠には、スクリーンによる閉鎖状態において前記ラッチ部材が係止される被係止部が形成されていることが好ましい。
【0010】
本発明の開閉装置においては、前記下枠には、上面と屋内側側面との間に、面取り部が構成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の開閉装置においては、前記下枠をその内部から支える下枠補強材をさらに備えることが好ましい。
【0012】
本発明の開閉装置においては、前記左右ガイド枠をそれらの内部から支えるガイド枠補強材をさらに備えることが好ましい。
【0013】
本発明の開閉装置においては、前記左右ガイド枠をそれらの内部から支えるガイド枠補強材と、前記下枠をその内部から支える下枠補強材とをさらに備え、前記下枠補強材の長手方向端部と、前記ガイド枠補強材の長手方向端部とが臨む空間に、加熱発泡材を備えることが好ましい。この場合には、前記加熱発泡材を、ガイド枠の長手方向下端側に備えることが好ましい。またこの場合には、前記下枠と、前記左右ガイド枠の屋外側内側面及び/または屋内側内側面との間に、前記加熱発泡材を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、レバー部の自重によりラッチ部材が、ラッチ部材が係止される被係止部、例えば開口部が設けられた建物や、開口部に設けられた開閉装置の下枠等に付勢される。また、スクリーンの下端を収納する下枠と、スクリーンのたて辺を収納する左右ガイド枠にそれぞれ備えられた補強材や加熱発泡材が、火災時における枠の変形を抑制してラッチ部材の係止を維持するので、火災時及び平時において、開閉装置のスクリーンがめくり上がって閉鎖状態が解除されることを防止できる。そのため、火災時においては、火炎が屋内外に貫通することを防止して十分な防火性能を発揮することができる。また平時においては、プライバシーを十分に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係る防火用開閉装置の中央縦断面図
図2】同横断面図
図3】スクリーンの要部拡大図
図4】ボトム枠の拡大図
図5】右ガイド枠の長手方向下端側の要部拡大図
図6】締まり機構が下枠に係止した状態を示す下枠及び締まり機構の拡大図
図7】締まり機構と下枠との係止が解除された状態を示す下枠及び締まり機構の拡大図
図8】(A)~(E)はそれぞれベース部材の平面図、正面図、右側面図、左側面図及び底面図
図9】(A)~(E)はそれぞれラッチ部材の平面図、正面図、右側面図、左側面図及び底面図
図10】締まり機構の概略斜視図
図11】ベース部材とラッチ部材とを連結した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。なお、本明細書においては、共通する構成には、共通する用語を用いると共に、各図において略同一に図示して詳細な説明は省略し、必要に応じて同一の符号で示すこととする。
【0017】
図1は、本実施形態に係るスクリーンの閉鎖状態維持機構を備えた開閉装置の中央縦断面図であり、図2は同横断面図である。本実施形態の開閉装置1は、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の構築・構造物における開口部分や内部に配設され、開口部分を開閉したり、躯体内部の空間を仕切ったり開放したりするシャッター装置として適用可能であるが、特に好ましい態様として、建築物開口部におけるサッシ窓の屋内側に装着される窓用シャッター装置の一例について説明する。
【0018】
本実施形態の開閉装置1は、図1及び図2に示すように、右ガイド枠2、左ガイド枠3及び下枠4と、スクリーン5と、収容ボックス6とを備えている。
【0019】
防火用開閉装置1は、建物に設けられた窓、出入口等の開口部7の内周面7aに取付けられものである。本実施形態では、木造納まり又はRC造納まりのように、開口部7に取り付けられた額縁8により内周面7aが構成されている。なお、額縁8を取り付けずに、開口部7に直接防火用開閉装置1を取付けてもよい。
【0020】
右ガイド枠2及び左ガイド枠3は、略同一に構成されているので、右ガイド枠2の構成例について説明し、左ガイド枠3の構成例の説明を省略する。本実施形態では、右ガイド枠2は、図2に示すように、外側ガイド部21と、内側ガイド部22とを備えている。外側ガイド部21は、長尺状のもので、その断面形状が略コ字状に形成されている。具体的には、外側ガイド部21は、図2のように内周面7aに当接する第1の壁部21aと、開口部7の屋外側に位置する第2の壁部21bと、開口部7の屋内側に位置する第3の壁部21cと、左ガイド枠3と対向する一対の第4の壁部21dとを備えている。本実施形態の右ガイド枠2では、第1の壁部21a、第2の壁部21b及び第3の壁部21cは、防火用開閉装置1を開口部7に取り付けた状態において、下枠4側の長手方向の端部が、下枠4が取り付けられる内周面7aに当接するように構成されている。また一対の第4の壁部21dは、下枠側の長手方向端部が切り欠かれており、防火用開閉装置1を開口部7に取り付けた状態において、下枠4側の長手方向の端部が、後述する下枠4の上部44の上面44aに当接するように構成されている。
【0021】
第1の壁部21aの屋外側の端部には、一対の屋外側突出壁部21eが形成されている。一対の屋外側突出壁部21eは、互いに近づくように折れ曲がる折れ曲がり部21fを先端に有している。外側ガイド部21には、第1の壁部21aと、一対の屋外側突出壁部21eと、折れ曲がり部21fとにより、屋外側収容部21gが形成されている。
【0022】
第1の壁部21aの屋内側の端部には、一対の屋内側突出壁部21hが形成されている。一対の屋内側突出壁部21hは、互いに近づくように折れ曲がる折れ曲がり部21iを先端に有している。外側ガイド部21には、第1の壁部21aと、一対の屋内側突出壁部21hと、折れ曲がり部21iとにより、屋内側収容部21jが形成されている。
【0023】
第1の壁部21aには、一対の屋外側突出壁部21eと一対の屋内側突出壁部21hとの間に、一対の突出壁部21kが形成されている。
【0024】
一対の第4の壁部21dの間には、開口部21lが形成されている。一対の第4の壁部21dの開口部21l側の端には、第1の壁部21a側に向かって突出する一対の突出部21mが形成されている。開口部21lには、スクリーン5の先端辺を取付けるボトム枠11の端部が入込み、スクリーン5の巻取り及び巻戻しの際には、ボトム枠11は、一対の突出部21mにガイドされながら上下にスライドする。
【0025】
本実施形態では、外側ガイド部21の内周に、ガイド枠補強材23が設けられている。本実施形態では、ガイド枠補強材23は、右ガイド枠2の長手方向上端から、後述する下枠4の凹部42が形成される上部44の上面44aの仮想線位置に亘って設けられている。言い換えると、本実施形態では、下枠4の上面44aよりも下方には、ガイド枠補強材23は設けられていない。本実施形態のガイド枠補強材23は、図2に図示されているように、長手方向において、外側ガイド部21の内周の全体に沿って形成されている。
【0026】
ガイド枠補強材23が外側ガイド部21をその内部から支えることにより、火災を原因とする外力による変形に耐える剛性を外側ガイド部21に付与することができ、外側ガイド部21の屋内外からの火炎の貫通を防ぐことができる。
【0027】
外側ガイド部21は、例えばアルミニウムの成形品とすることができ、ガイド枠補強材23は、例えばスチールの成形品とすることができる。本実施形態では、外側ガイド部21及びガイド枠補強材23は、図2に図示しているように、ネジにより額縁8の内周面7aに共締めされている。
【0028】
屋外側収容部21gには、その両端に亘ってガイド枠開口部側加熱発泡材9cとしての加熱発泡材9が収容される。加熱発泡材9は、接着剤、両面テープ等を介して屋外側収容部21gに固定されている。加熱発泡材9は、加熱されることにより膨張して、耐火・防火性能を発揮するものである。よって、火災時に右ガイド枠2と内周面7aとの間に、枠の変形や躯体の歪み等によって隙間が発生した場合であっても、隙間を加熱発泡材9が閉塞することで、火炎が屋内外に貫通することを防ぐことができる。加熱発泡材9としては、例えば積水化学工業株式会社のフィブロック(登録商標)を使用することができる。
【0029】
外側ガイド部21の第1の壁部21aが内周面7aに固定され、屋外側収容部21gが内周面7aにより塞がれることにより、加熱発泡材9は、内周面7aと外側ガイド部21との間に納められている。そのため、接着剤等の経年劣化や、加熱発泡材9の膨張開始(約200℃)前に接着剤等の溶融(約120℃)により、加熱発泡材9が屋外側収容部21gから剥離しても、その取付位置が保持されるようになっていて、加熱発泡材9の機能の発揮が損なわれることが抑制されている。
【0030】
本実施形態では、加熱発泡材9が配置されていない屋内側収容部21jには、弾性材等の隙間隠材10が配置され、内周面7aと第1の壁部21aとの間に発生した隙間による、屋外側からの光漏れが抑制されている。
【0031】
図3は、スクリーンの要部拡大図である。内側ガイド部22は、例えばアルミニウムの成形品とすることができ、図2及び図3に示すように、スクリーン5の両縁のたて辺5aをスライドさせる案内溝としてのスリット22aを備える筒状の形材により形成されている。なお、本実施形態の内側ガイド部22は、屋内側部材22bに屋外側部材22cを嵌合することで形成された間隙をスリット22aとしている。この内側ガイド部22は、外側ガイド部21に沿うように長尺状に形成されており、外側ガイド部21に固定されることなく独立した状態で、外側ガイド部21の下端に配置された(呑み込まれた)下枠4上に載置されている。即ち、内側ガイド部22は、外側ガイド部21の内部において、その全側面の周囲にクリアランスが形成されるように収容されている。
【0032】
下枠4は、例えばアルミニウムの成形品とすることができ、図1及び図2に示すように右ガイド枠2及び左ガイド枠3の各下端間で固定される長尺状のもので、その断面形状が略C字状に形成されている。下枠4の底部41の背面41aが内周面7aとの取付面になっており、その底部41に対向する側の上部44には、後述するスクリーン5の下端に設けられるボトム枠11の下端が入り込む凹部42が設けられている。
【0033】
特に本実施形態では、下枠4は、長手方向端部4Eの両側が、右ガイド枠2及び左ガイド枠3と接触しないように構成されている。言い換えると、本実施形態の下枠4は、長手方向端部4Eの両側と、右ガイド枠2及び左ガイド枠3とが間隔を空けるように構成されている。
【0034】
本実施形態の下枠4には、下枠補強材43が設けられている。下枠補強材43は、ステンレスやスチールの成形品とすることができるものであり、本実施形態では、下枠4の全長に亘って、下枠4の底部41に当接し、かつ、凹部42に沿うように形成されており、下枠4の内部から下枠4を支持している。この下枠補強材43を設けることにより、下枠4の剛性を高めて火災を原因とする外力による変形を抑制し、かつ、火災の際の火炎が下枠4に回ってきた場合にも、火炎の屋内外の貫通を防ぐことができるようになっている。
【0035】
具体的には本実施形態の下枠補強材43は、下枠補強材43の長手方向断面において、下枠4の底部41に当接する底部43aと、底部43aの両端から下枠4の上部44に向かって延びる一対の起立部43bと、一対の起立部43bにおける下枠4の上部44側の端部から屋内外方向に延びる一対の折れ曲がり部43cとから形成されている。
【0036】
底部43aは、下枠補強材43の長手方向断面において、後述する下枠4の一対の屋外側突出壁部41eと一対の屋内側突出壁部41hとの間隔に等しい寸法を有している。この底部43aには、スクリーン5による閉鎖状態においてボトム枠11の底部が当接する。一対の折れ曲がり部43cは、底部43aと平行に構成されており、屋内方向の端部及び屋外方向の端部がそれぞれ下枠4の上部44により覆われている。
【0037】
特に本実施形態では、下枠補強材43は、下枠4の全長に亘って形成されているので、下枠補強材43もまた、長手方向端部43Eの両側が、右ガイド枠2及び左ガイド枠3と接触しないように構成されている。言い換えると、本実施形態の下枠補強材43は、長手方向端部43Eの両側と、右ガイド枠2及び左ガイド枠3とが間隔を空けるように構成されている。
【0038】
このように本実施形態では、下枠4の上面44aよりも下方には、ガイド枠補強材23が設けられておらず、また下枠4の長手方向端部43Eの両側と右ガイド枠2及び左ガイド枠3との間には、下枠補強材43が設けられていない。即ち本実施形態では、右ガイド枠2及び左ガイド枠3と下枠4との接合部分の一部に、ガイド枠補強材23及び下枠補強材43のいずれもが設けられていない空間、即ち枠補強材の熱延びを吸収するための空間Sが確保されている。この空間Sには、下枠補強材43の長手方向端部43Eと、ガイド枠補強材23の長手方向端部23Eとが臨んでいる。
【0039】
本実施形態の防火用開閉装置1は、この空間Sに、ガイド枠下端側加熱発泡材9aとしての加熱発泡材9を有している。具体的には、本実施形態では、右ガイド枠2の外側ガイド部21の第1の壁部21aの内側面に接着剤、両面テープ等を介して加熱発泡材9が固定されている。本実施形態では、図5の右ガイド枠2の長手方向下端側の要部拡大図に示すように、加熱発泡材9は、第1の壁部21aの下枠4側の長手方向端部(長手方向下端側)に固定されており、ガイド枠補強材23の長手方向端部23Eと間隔を空けて固定されている。また、本実施形態では、加熱発泡材9は、第2の壁部21b及び第3の壁部21cと間隔を空けて固定されている。さらに、本実施形態では、加熱発泡材9は、下枠補強材43の長手方向端部43Eに対向しており、そのほぼ全体を覆う大きさを有している。
【0040】
本実施形態の防火用開閉装置1では、火災時において加熱発泡材9が膨張して、枠補強材が設けられていない空間Sを閉塞することで、火炎が空間Sを介して屋内外に貫通することを防ぐことができる。
【0041】
図6は後述の締まり機構12が下枠4に係止した状態を示す下枠4及び締まり機構12の拡大図であり、図7は、締まり機構12と下枠4との係止が解除された状態を示す下枠4及び締まり機構12の拡大図である。これらの図に示すように、本実施形態の下枠4には、屋内側側部45の側面45a及び屋外側側部46の側面46aにそれぞれ、溝部47が形成されている。屋内側側部45の側面45aの溝部47は、スクリーン5による閉鎖状態を維持するためにスクリーン5のボトム枠11に取付けられる後述の締まり機構12のラッチ部材14が係止される。即ち本実施形態では、屋内側側部45の側面45aに形成された溝部47が被係止部を構成する。
【0042】
本実施形態の防火用開閉装置1は、この溝部47にもまた、下枠屋内外方向側加熱発泡材9bとしての加熱発泡材9を有している。具体的には、本実施形態では、溝部47の内部に接着剤、両面テープ等を介して加熱発泡材9が、下枠長手方向端部4Eの両側に固定されている。
【0043】
図6及び図7に示すように、本実施形態の下枠4は、上面44aと屋内側の側面45aとの間に、面取り部48が構成されている。本実施形態では、上面44aと屋外側の側面46aとの間にも、面取り部48が構成されている。
【0044】
このように本実施形態の防火用開閉装置1は、下枠4と、右ガイド枠2(及び左ガイド枠3)の第2の壁部21bの内側面及び第3の壁部21cの内側面との間、即ち、下枠4と、右ガイド枠2(及び左ガイド枠3)の屋外側内側面及び屋内側内側面との間に、加熱発泡材9を有している。言い換えると、本実施形態では、加熱発泡材9は右ガイド枠2(及び左ガイド枠3)に隠蔽されているので、開閉装置の美感を損なうことがない。また、火災時においては、下枠4のみならず右ガイド枠2(及び左ガイド枠3)の表面温度も感知するので、下枠4と右ガイド枠2(及び左ガイド枠3)の一方の表面温度が上昇しない場合であっても、他方の表面温度の上昇によって発泡することができる。
【0045】
本実施形態の防火用開閉装置1では、火災時において加熱発泡材9が膨張して、下枠4と右ガイド枠2(及び左ガイド枠3)の屋外側内側面及び屋内側内側面との間を閉塞することで、火炎が下枠4と右ガイド枠2(及び左ガイド枠3)の屋外側内側面及び屋内側内側面との間を介して屋内外に貫通することを防ぐことができる。
【0046】
背面41aには、右ガイド枠2の第1の壁部21aと同様に、折れ曲がり部41fを先端に有する一対の屋外側突出壁部41eが形成されて、屋外側収容部41gが形成されている。また、背面41aには、折れ曲がり部41iを先端に有する一対の屋内側突出壁部41hが形成されて、屋内側収容部41jが形成されている。
【0047】
屋外側収容部41gには、屋外側収容部21gと同様に、その両端に亘って下枠開口部側加熱発泡材9dとしての加熱発泡材9が収容される。下枠4の背面41aが内周面7aに固定され、屋外側収容部41gが内周面7aにより塞がれることにより、加熱発泡材9は、内周面7aと屋外側収容部41gの間に納められている。そのため、接着剤等の経年劣化や、加熱発泡材9の膨張開始(約200℃)前に接着剤等の溶融(約120℃)により、加熱発泡材9が屋外側収容部41gから剥離しても、その取付位置が保持されるようになっていて、加熱発泡材9の機能の発揮が損なわれることが抑制されている。
【0048】
屋内側収容部41jには、屋内側収容部21jと同様に、隙間隠材10が収容される。この、隙間隠材10により、内周面7aと背面41aとの間に発生した隙間による、屋外側からの光漏れが抑制されている。
【0049】
本実施形態においては、加熱発泡材9は、右ガイド枠2(及び左ガイド枠3)の屋外側収容部21g及び下枠4の屋外側収容部41gに配置されているが、開口部7(内周面7a)側であれば加熱発泡材9の配置の位置、範囲及び数は限定されず、例えば、屋内側収容部21j及び屋内側収容部41jに配置してもよく、あるいは屋外側収容部21g及び屋外側収容部41g並びに屋内側収容部21j及び屋内側収容部41jの両方に配置してもよい。また、加熱発泡材9は、第1の壁部21a及び背面41aの中央に配置してもよい。
【0050】
スクリーン5は、防火性のもので、ガラスクロス若しくはシリカクロス、又はこれらのクロスに耐火塗料を塗布したもの、含浸させたものにより形成されている。図3のように、このスクリーン5の一対のたて辺5aには、不燃材料からなる糸により構成された抜止部51が形成されている。抜止部51は、内側ガイド部22の内部に位置している。この抜止部51は、スクリーン5が撓む力を受けた場合に、たて辺5aが、内側ガイド部22のスリット22aから抜け出ることを防ぐものである。
【0051】
抜止部51を構成する不燃材料からなる糸としては、例えば、ステンレスからなる糸を使用することができ、本実施形態では、ステンレス製の糸により抜止部51を構成している。糸の直径としては、例えば0.35mm~1.06mmのものを使用することができ、本実施形態の抜止部51は、太さ0.35mmのステンレス製の糸により構成されている。特に本実施形態では、たて辺5aに沿って、ステンレス製の糸のミシン縫いを複数回重ねることで、抜止部51を略球状に構成し、スリット22aを通過しない厚みに形成している。
【0052】
本実施形態では、不燃材料により構成された抜止補助部52が、スクリーン5の幅方向端部に形成されている。特に本実施形態では、抜止部51に重なるようにスクリーン5の高さ方向(右ガイド枠2及び左ガイド枠3の長手方向)に一定間隔で、抜止補助部52が形成されている。このような抜止補助部52は、例えばステープラ用の針を使用することができる。本実施形態では、針の太さが0.5mm、針足長さ6.0mm、幅11.6mmのステンレス製のステープラ用の針を使用している。なお、ステープラ用の針の材質としては、ステンレスの他に、スチール、アルミ、銅等を使用することができる。また、ステープラの針の材質は、抜止部51を構成する不燃材料からなる糸の材質と同じでもよく、異なっていてもよい。
【0053】
本実施形態のスクリーン5は、不燃材料からなる金属製の板53が下端部に設けられている。具体的には、本実施形態のスクリーン5は、アルミ製の板53が、スクリーン5の下端5bに沿って、スクリーン5の幅方向の全体に亘って形成されている。このアルミ製の板53は、両面テープにより、スクリーン5に貼り付けられている。
【0054】
本実施形態のスクリーン5は、不燃材料からなる糸により構成された抜止部51が下端部にも設けられている。具体的には、不燃材料からなる板53の下端に沿って、不燃材料からなる糸により構成された抜止部51が設けられている。
【0055】
図4はボトム枠11の拡大図である。図1及び図4に示すように、本実施形態のスクリーン5には、下端部の全体を覆うように、下端部の全体にわたってボトム枠11が取り付けられている。ボトム枠11は、例えばアルミニウムの成形品とすることができる。本実施形態では、アルミ製の板53を座として、ボトム枠11がスクリーン5にネジ止めされている。特に本実施形態では、ボトム枠11が屋内側部材111と屋外側部材112とから構成されており、アルミ製の板53を座として、スクリーン5の下端部を挟んだ状態で屋外側部材112にスクリーン5をネジ止めした後、屋内側部材111を屋外側部材112に嵌合及びネジ止めしている。よって、アルミ製の板53及び下端部に設けられた抜止部51の全体がボトム枠11により覆われるように、ボトム枠11が取り付けられている。
【0056】
スクリーン5に取り付けられたボトム枠11を構成する屋内側部材111には、屋内側の面に形成された開口部111aと、後述するベース部材13の取付部131を収容する収容部111bが、長手方向の全体にわたって形成されている。収容部111bは、開口部111aに連通して形成されている。本実施形態では、収容部111bにベース部材13の取付部131を収容することで、ベース部材13がスクリーン5の下端部に設けられる。
【0057】
本実施形態の開閉装置1は、スクリーン5の下端部に設けられるベース部材13、及び、ベース部材13に回転可能に設けられたラッチ部材14を備えるスクリーン5の締まり機構12を備える。図8の(A)~(E)はそれぞれ、ベース部材13の平面図、正面図、右側面図、左側面図及び底面図である。ベース部材13は、例えばアルミダイカストから構成することができ、屋内側部材111の収容部111bに収容される取付部131と、ベース部材13とともに締まり機構12を構成するラッチ部材14が連結される連結部132と、任意の上下方向の位置にあるスクリーン5の上下移動の際に操作される操作部133とを備えている。ベース部材13の長手方向(開閉装置における左右方向)の寸法は、ベース部材13をスクリーン5(本実施形態では屋内側部材111)に設けることができれば任意の長さとすることができる。本実施形態のベース部材13では、ベース部材13を構成する全ての部分においてその長手方向の寸法が、屋内側部材111よりも短く構成されている。
【0058】
ベース部材13は、収容部111bの長手方向端部から取付部131を挿入することで、屋内側部材111に取り付けることがでる。本実施形態の取付部131及び収容部111bは、取付部131を収容部111bに収容した状態で、取付部131と収容部111bとの間に僅かな隙間が生じるように構成されている。このような構成とすることで、収容部111bの長手方向端部から挿入された取付部131は、収容部111b内を長手方向にスライド移動することができる。そのため本実施形態では、屋内側部材111の長手方向におけるベース部材13の固定位置まで、容易に移動することができる。
【0059】
取付部131の下端側には、長手方向の両端側にそれぞれ、ねじ穴131aが形成されている。ベース部材13は、このねじ穴131aを介して屋内側部材111に形成されたねじ穴(図示せず)にねじ止めされることにより、屋内側部材111の長手方向における位置に固定される。なお、屋内側部材111の長手方向におけるベース部材13の固定位置は、屋内側部材111に形成するねじ穴の位置を変更することにより任意の位置に変更することができる。本実施例では、ベース部材13は、屋内側部材111の長手方向の中央に固定されている。
【0060】
ラッチ部材14が連結される連結部132は、略円柱形状を有している。連結部132には、長手方向の両端側の側面にそれぞれ、ラッチ部材14をねじ止めするためのねじ穴132aが形成されている。本実施形態の連結部132は、長手方向の両端が、取付部131に形成されたねじ穴131aの直径よりも、長手方向内側に位置するように構成している。このような構成により、連結部132が取付部131のねじ止めの障害となることを抑制しつつ、取付部131の上下方向の寸法、即ちベース部材13の上下方向の寸法が大きくなることを抑制している。
【0061】
本実施形態の連結部132は、接続部134を介して取付部131に接続(連続して形成)されている。接続部134は、長手方向の両端が取付部131の両端と面一となるように構成されている。
【0062】
本実施形態のベース部材13は、連結部132と接続部134との間に、切り欠き筒状部135を有している。切り欠き筒状部135は、連結部132の円柱と同心の円筒を切り欠いた形状を有しており、長手方向の両端が連結部132の両端と面一となるように構成されている。
また、接続部134には、長手方向の両端と連結部132の長手方向の両端との間に、円弧状の凹部134aが形成されている。本実施形態では、この凹部134aの円弧面及び切り欠き筒状部135の外側の円弧面は、同一の円の円弧面で構成している。
【0063】
本実施形態の操作部133は、長手方向の両端が、取付部131及び接続部134の長手方向の両端よりも、長手方向外側に位置するように構成されている。操作部133の上面133aは、スクリーン5が後述するドラム62に巻取られてボトム枠11が上部に移動した際、収容ボックス6の下面に当接して、ボトム枠11の最上部の位置を決める当接面の機能も兼ねている。また、操作部133の下面133bには、接続部134の室内側の上方端から上方に向かって延在する板状部136が接続されている。板状部136は、長手方向の両端が取付部131及び接続部134の両端と面一となるように構成されている。
【0064】
図9の(A)~(E)はそれぞれ、ラッチ部材14の平面図、正面図、右側面図、左側面図及び底面図である。本実施形態のラッチ部材14は、例えばアルミダイカストから構成することができ、ベース部材13に連結される連結部141と、溝部47に係止される係止部142と、レバー部143とを備えている。
【0065】
本実施形態の連結部141は、長手方向の全体にわたって中空部141aが形成された円筒の長手方向に沿って開口部141bを設けた切り欠き円筒形状を有しており、長手方向の寸法が、ベース部材13の取付部131、接続部134及び板状部136の長手方向の寸法と同じとなるように構成されている。
【0066】
中空部141aは、ベース部材13の連結部132を収容する。本実施形態の中空部141aは、ベース部材13の連結部132を収容した状態で、連結部132との間に僅かな隙間が生じるように構成されている。
【0067】
連結部141の開口部141bは、連結部141の長手方向に垂直な面における寸法が、ベース部材13の長手方向に垂直な面における連結部132が切り欠き筒状部135に接続される部分の両端の間隔(切り欠き筒状部135の内側の円弧面の両端の間隔)よりも大きく、かつ、連結部132の直径よりも小さくなるように構成されている。
【0068】
本実施形態では、図11に示すように、ベース部材13の切り欠き筒状部135が連結部141の開口部141bの開口範囲内に位置した状態で、連結部132を中空部141aの長手方向端部から挿入することで、ラッチ部材14を、ベース部材13に設けることができる。
【0069】
本実施形態では特に、連結部141を上記のように構成しているので、ラッチ部材14は、ベース部材13の連結部132を回転軸として、図6に示す連結部141の切り欠き円筒形状の一端141cがベース部材13の切り欠き筒状部135に接触した状態と、図7に示す連結部141の切り欠き円筒形状の他端141dがベース部材13の切り欠き筒状部135に接触した状態との間で、ベース部材13に対して回転することができる。また、後述する連結部132のねじ止めによって、連結部132が開口部141bから抜け出ることが抑制されているため、ラッチ部材14がベース部材13から脱落することが抑制されている。
【0070】
本実施形態の連結部141には、中空部141aを構成する内周面141eに、長手方向の両端部から切り欠き筒状凹部141fが形成されている。切り欠き筒状凹部141fは、ラッチ部材14の長手方向に垂直な面において、内周面141eの全体に形成されている。ラッチ部材14の長手方向における切り欠き筒状凹部141fの寸法はそれぞれ、ベース部材13の長手方向におけるベース部材13の取付部131の一端と連結部132の一端との間隔と等しくなるように形成されている。そのため、2つの切り欠き筒状凹部141fの間隔は、連結部132の長手方向の長さと等しい。
【0071】
このような切り欠き筒状凹部141fを形成することにより、内周面141eには、段部141gが形成される。この段部141gは、ベース部材13にラッチ部材14を設けた状態において、連結部132の長手方向の両端と面一となる。特に本実施形態では、段部141gの厚みhが、ベース部材13の切り欠き筒状部135の厚みHと同じとなるように切り欠き筒状凹部141fを形成している。
【0072】
このように本実施形態では、図11に示すように、切り欠き筒状部135及び段部141gは、外側の円弧面が同一の円の円弧面により構成されていると共に、内側の円弧面は略同一の円の円弧面により構成されており、ほぼ同一の円環上に位置している。そこで本実施形態では、この切り欠き筒状部135及び段部141gと、連結部132とを座として、長手方向の両側からねじ穴132aを利用して、ラッチ部材14をベース部材13にねじ止めしている。
【0073】
本実施形態の係止部142は、板状部144により連結部141に接続されている。係止部142は、図6に示す連結部141の切り欠き円筒形状の一端141cがベース部材13の切り欠き筒状部135に接触した状態では、下枠4の溝部47内に係止する。また、図7に示す連結部141の切り欠き円筒形状の他端141dがベース部材13の切り欠き筒状部135に接触した状態では、係止部142は、溝部47の外方に位置して、溝部47に係止されない。
【0074】
レバー部143は、ラッチ部材14の回転の回転軸方向から離れる方向に延在するものであり、本実施形態では連結部141の外周部に形成されている。本明細書においてレバー部143が回転軸方向から離れる方向に延在するとは、回転軸方向に垂直な断面において、レバー部が、レバー部143の回転軸側の一端よりも回転軸から離れた部分を有することを意味する。本実施形態では、ラッチ部材14の長手方向に垂直な面において、板状部144とのなす角が90度以上180度未満となるように、レバー部143を形成している。また、レバー部143の屋内側端部は円筒状に形成され、その長手方向の両端が、板状部144の長手方向の両端よりも、長手方向外側に位置するように構成されている。
【0075】
収容ボックス6は、図1のように本体60と、これを取付ける収容ボックス補強材としてのベース材61からなり、本体60には、スクリーン5の基端辺を取付けたドラム62が収容され、そのドラム62はスクリーン5を巻取り、巻戻すと共に、その途中において、一時的に、任意の上下方向の位置で停止できる機構を備えている。
【0076】
ベース材61は、その材質をスチールとすると共に、肉厚に構成されており、収容ボックス6の剛性を強めるようになっている。
【0077】
ボックス6と内周面7aの間には、火災時に隙間ができる場合を考慮して、本体60が内周面7aに接する部分に収容部を形成し、収容部内に加熱発泡材を配置してもよい。
【0078】
本実施形態の防火用開閉装置1では、スクリーン5の下端部に設けられるベース部材13、及び、ベース部材13に回転可能に設けられたラッチ部材14を備えるスクリーンの締まり機構を備えており、このラッチ部材14には、ラッチ部材14の回転の回転軸方向から離れる方向に延在するレバー部143が形成されている。そのため、レバー部143の自重によりラッチ部材14が、ラッチ部材14の係止部142が係止される被係止部としての溝部47に付勢される。また、下枠4に設けられた下枠補強材43が、火災時における下枠4(被係止部)の変形を抑制してラッチ部材の係止を維持する。
【0079】
また、右ガイド枠2(及び左ガイド枠3)は、外側ガイド部21の内周にガイド枠補強材23が設けられ、スクリーン5のたて辺を収納する内側ガイド部22が、外側ガイド部21の内部に、その全側面の周囲にクリアランスが形成されるように収容されている。よって、火災時にガイド枠補強材23が右ガイド枠2(及び左ガイド枠3)の変形を抑制すると共に、内側ガイド部22の周囲に形成されたクリアランスが高温等による内側ガイド部22の変形も抑制するため、スクリーン5のたて辺が、右ガイド枠2(及び左ガイド枠3)から抜け出すことがない。
【0080】
また、右ガイド枠2(及び左ガイド枠3)と下枠4との接合部分には、ガイド枠補強材23及び下枠補強材43のいずれもが設けられていない、枠補強材の熱延びを吸収するための空間Sが確保されている。よって、火災時においてガイド枠補強材23及び下枠補強材43が熱延びして当接することを防止し、枠補強材の熱延びによる右ガイド枠2(及び左ガイド枠3)と下枠4の変形を抑制する。さらに、空間Sには加熱発泡材9が配置されており、火災時において加熱発泡材9が膨張して、枠補強材が設けられていない空間Sを閉塞する。そのため、開閉装置1のスクリーン5がめくり上がって閉鎖状態が解除されることを防止できるので、火災時においては、火炎が屋内外に貫通することを防止して十分な防火性能を発揮することができる。また平時においては、プライバシーを十分に保護することができる。
【0081】
また、レバー部143の自重によりラッチ部材14が付勢されるので、バネ等のラッチ部材14を付勢する部材を別に使用する必要がない。そのため、部品点数を少なくすることができるとともに、閉鎖状態の維持機能の寿命を長くすることができる。
【0082】
上記実施形態の下枠4は、上面44aと屋内側側面45aとの間に、面取り部48が構成されている。このような構成により、スクリーン5を閉鎖状態にする際に下枠4に当接した係止部142は、面取り部48に沿って屋内側側部48に形成された溝部47に移動することができる。そのため、係止部142の移動が下枠4の上面44aとの接触により阻害されることがないので、操作部133を下方に付勢してスクリーン5を閉鎖状態にするだけで、簡単に係止部142を被係止部としての溝部47に係止させることができる。なお、スクリーン5を閉鎖する際、スクリーン5が任意の上下方向の位置にある場合、及び、ボトム枠11が最上部に位置して操作部133が収容ボックス6の下面に当接している場合、レバー部143を持って操作を行うこともできる。
【0083】
また、スクリーン5を収容ボックス6に収納する際には、レバー部143を上方に持ち上げる(回転させる)だけで、係止の解除及びスクリーンの収納をある程度まで行うことができるため、スクリーン5の収納操作を簡単なものとすることができる。
【0084】
上記実施形態では、切り欠き筒状部135、段部141g及び連結部132を座として利用して、ラッチ部材14をベース部材13にねじ止めしている。また、切り欠き筒状部135、段部141g及び連結部132による座の位置を、中空部141aの長手方向端部よりも内側とするために、ラッチ部材14の長手方向の両端に切り欠き筒状凹部141fを設けている。このような構成とすることにより、座として別の部材を使用する必要がなく、また、ねじの存在を見えづらくしている。
【0085】
本実施形態の防火用開閉装置1では、スクリーン5の幅方向端部に、不燃材料からなる糸により構成された抜止部51が形成されている。そのため、シート状のスクリーン5が右ガイド枠2及び左ガイド枠3から抜けることを防止する抜止部51を設けても、スクリーン5の巻取り状態において、スクリーン5の幅方向端部側で抜止部51が径方向に重なり合っても、幅方向端部側の巻き径が大きくなることを、抑制することができる。そのため上記実施形態の防火用開閉装置1では、収容ボックス6の大型化、設置可能な場所の制限、及び、建物の開口部の美観の低下を抑制しつつ、防火用開閉装置の操作性の低下を抑制可能である。
【0086】
また、本実施形態の防火用開閉装置1では、スクリーン5の下端部に、不燃材料からなる金属製の板53が設けられている。このような不燃材料からなる板53は、スクリーン5の下端を火災から保護する機能を発揮するだけでなく、ボトム枠11をスクリーン5にネジ止めする際に、不燃材料からなる板53を座として使用することができる。そのため、上記実施形態の防火用開閉装置1では、火災からの保護機能の向上と、ボトム枠11をスクリーン5に取り付ける取付構造の簡素化を同時に達成することができる。
【0087】
さらに、本実施形態の防火用開閉装置1では、スクリーン5の下端部に、不燃材料からなる糸により構成された抜止部51が形成されている。そのため、シート状のスクリーン5の下端部が、ボトム枠11から抜けることを防止することができる。
【0088】
その上、本実施形態の防火用開閉装置1では、不燃材料により構成された抜止補助部52を、スクリーン5の幅方向端部に形成しているので、スクリーン5に火災時の右ガイド枠2及び左ガイド枠3の変形や、通常時に子供がスクリーン5を強く押す等の大きな力が加わった場合でも、シート状のスクリーン5が右ガイド枠2及び左ガイド枠3から抜けることを防止することができる。
【0089】
上記実施形態においては、抜止補助部52としてステープラを使用しているが、大きな力が加わった場合でも、スクリーン5が抜けることを防止することが可能であれば、抜止補助部52はステープラに限定されず、また、抜止補助部52を設けずともスクリーン5が抜けることを防止することが可能であれば、抜止補助部52を設けなくともよい。
【0090】
上記実施形態においては、抜止部として、不燃材料からなる糸により構成された抜止部のみが形成されているが、本発明の効果を奏する範囲において、不燃材料からなる糸により構成された抜止部以外の抜止部が形成されていてもよい。
【0091】
上記実施形態においては、ガイド枠下端側加熱発泡材9aとしての加熱発泡材9は、第1の壁部21aの下枠4側の端部に設けられているが、加熱発泡材9は、下枠補強材43の長手方向端部43Eと、ガイド枠補強材23の長手方向端部23Eとが臨む空間であれば、任意の部材・位置に設けることができる。
【0092】
上記実施形態においては、下枠屋内外方向側加熱発泡材9bとしての加熱発泡材9は、下枠4の溝部47内に設けられているが、加熱発泡材9は、下枠と、左右ガイド枠の屋外側内側面及び/または屋内側内側面との間であれば、任意の部材・位置に取り付けることができる。
【0093】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において、通常の知識を有する者により可能である。例えば上記実施形態では、係止部を下枠の溝部に係止させているが、下枠の他の部分に係止させてもよく、また建物に被係止部を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明によれば、火災時及び平時において、開閉装置のスクリーンがめくり上がって閉鎖状態が解除されることを抑制できるスクリーンの締まり機構及び該機構を備えた開閉装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0095】
1:開閉装置
2:右ガイド枠
21:外側ガイド部
21a:第1の壁部 21b:第2の壁部 21c:第3の壁部
21d:一対の第4の壁部 21e:一対の屋外側突出壁部
21f:折れ曲がり部 21g:屋外側収容部
21h:一対の屋内側突出壁部 21i:折れ曲がり部
21j:屋内側収容部 21k:一対の突出壁部
21l:開口部 21m:一対の突出部
22:内側ガイド部
22a:スリット
23:ガイド枠補強材
3:左ガイド枠
4:下枠
4E:長手方向端部
41:底部
41a:背面 41e:一対の屋外側突出壁部
41f:折れ曲がり部 41g:屋外側収容部
41h:一対の屋内側突出壁部 41i:折れ曲がり部
41j:屋内側収容部
42:凹部
43:下枠補強材
43a:底部 43b:一対の起立部
43c:一対の折れ曲がり部
43E:長手方向端部
44:上部
44a:上面
45:屋内側側部
45a:側面
46:屋外側側部
46a:側面
47:溝部(被係止部)
48:面取り部
5:スクリーン
5a:たて辺 5b:下端
51:抜止部 52:抜止補助部 53:板
6:収容ボックス
60:本体 61:ベース材 62:ドラム
7:開口部
7a:内周面
8:額縁
9:加熱発泡材
9a:ガイド枠下端側加熱発泡材 9b:下枠屋内外方向側加熱発泡材
9c:ガイド枠開口部側加熱発泡材 9d:下枠開口部側加熱発泡材
10:隙間隠材
11:ボトム枠
111:屋内側部材
111a:開口部 111b:収容部
112:屋外側部材
12:締まり機構
13:ベース部材
131:取付部
131a:ねじ穴
132:連結部
132a:ねじ穴
133:操作部
133a:上面
133b:下面
134:接続部
134a凹部
135:切り欠き筒状部
136:板状部
14:ラッチ部材
141:連結部
141a:中空部 141b:開口部 141c:一端
141d:他端 141e:内周面
141f:切り欠き筒状凹部 141g:段部
142:係止部
143:レバー部
H:厚み
h:厚み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11