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特開2022-75911ブーム作業機用モーメントリミッタ装置及びこれを備えたブーム作業機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075911
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】ブーム作業機用モーメントリミッタ装置及びこれを備えたブーム作業機
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/90 20060101AFI20220511BHJP
   B66C 23/78 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B66C23/90 Q
B66C23/78 H
B66C23/90 R
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047149
(22)【出願日】2022-03-23
(62)【分割の表示】P 2017224887の分割
【原出願日】2017-11-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 販売日 :平成29年5月26日 販売場所:タツキ輸送株式会社 公開者 :古河ユニック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506002823
【氏名又は名称】古河ユニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】金澤 二郎
(57)【要約】
【課題】ブーム作業機の性能を十分に活かしつつ過負荷作業の発生を防止又は抑制するブーム作業機用モーメントリミッタ装置を提供する。
【解決手段】モーメントリミッタ装置は、各アウトリガの接地状態時のアウトリガフロート16の中心座標とブーム旋回中心B0とを通る定格荷重切替ラインを設定し、ブーム5の旋回方向に隣り合う各2本のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標が共に張出距離を越えた座標であると判定したときに定格荷重性能を最大定格荷重性能に設定し、各2本のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標のうち少なくとも一方が張出距離を越えていない座標であると判定したときに定格荷重性能を最小定格荷重性能に設定し、ブーム5の先端方向側にある仮想エリアの定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルを用いて現在の作業半径に対する定格荷重値を算出する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の周囲に自在に展開且つ張り出し可能な複数のアウトリガと、前記機体の上部に垂直な軸回りに旋回可能に設けられたブームとを備えたブーム作業機に適用可能なブーム作業機用モーメントリミッタ装置であって、
各前記アウトリガの張出状態を検出するアウトリガ張出状態検出部と、
前記ブームの旋回角度を検出するブーム旋回角検出器と、
前記ブーム作業機の異なる複数の作業姿勢に対応する複数の定格荷重値が登録された定格荷重テーブルであって、定格荷重性能が異なる複数の前記定格荷重テーブルが記憶された定格荷重テーブル記憶部と、
前記ブーム作業機が予め設定された複数の前記定格荷重性能のうち最大定格荷重性能を発揮するために前記アウトリガの接地部材が越えなければならない張出距離を規定する仮想ラインである定格荷重テーブル判定ラインの情報が記憶された判定ライン情報記憶部と、
前記ブーム作業機の予め設定された基準位置の座標情報が記憶された座標情報記憶部と、
演算制御部と、を備え、
前記複数の定格荷重性能として、前記最大定格荷重性能と、該最大定格荷重性能よりも性能の劣る最小定格荷重性能と、の2つの定格荷重性能を有し、
前記演算制御部は、
前記基準位置の座標と前記アウトリガ張出状態検出部で検出した前記張出状態とに基づき、各前記アウトリガの接地状態時の前記接地部材の座標である接地座標を前記基準位置の座標を原点とした相対座標として演算し、
演算した各前記アウトリガの前記接地座標と前記ブームの旋回中心とを通る仮想直線を定格荷重切替ラインとして設定し、
前記ブームの旋回方向に隣り合う各2本のアウトリガの前記接地部材の前記接地座標が共に前記定格荷重テーブル判定ラインで規定された張出距離を越えた座標であると判定したときに、前記各2本のアウトリガに対応する2本の前記定格荷重切替ラインに挟まれた仮想エリアにおける定格荷重性能を前記最大定格荷重性能に設定し、前記各2本のアウトリガの前記接地座標のうち少なくとも一方が前記定格荷重テーブル判定ラインで規定された張出距離を越えていない座標であると判定したときに、前記仮想エリアにおける定格荷重性能を前記最小定格荷重性能に設定し、
前記ブーム旋回角検出器で検出した前記ブームの旋回角度に基づき前記機体から前記ブームの先端方向側に位置する前記仮想エリアを特定し、
前記定格荷重テーブル記憶部に記憶された前記複数の定格荷重テーブルのうち、特定した前記仮想エリアに設定された前記定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルを用いて前記ブーム作業機の現在の作業姿勢における定格荷重値を決定することを特徴とするブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
【請求項2】
前記作業姿勢は、前記ブーム作業機の作業半径であり、
前記作業半径を検出する作業半径検出部と、
前記ブームにかかる実荷重を検出する荷重検出部と、
前記演算制御部からの信号に応じて、前記ブーム作業機の過負荷状態に対する警報の出力又は作業動作の停止の少なくとも一方を含む対処を行う過負荷対処部と、を備え、
前記演算制御部は、前記機体から前記ブームの先端方向側に位置する仮想エリアに対応する定格荷重性能の前記定格荷重テーブルから前記作業半径検出部で検出した前記作業半径に対応する定格荷重値を取得し、取得した定格荷重値と前記荷重検出部で検出した前記実荷重とを比較し、前記実荷重が前記定格荷重値以上であるときに前記ブーム作業機が過負荷状態にあると判定し、前記過負荷対処部に信号を出力する請求項1に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
【請求項3】
前記作業半径検出部は、前記ブームの長さを検出するブーム長検出器と、前記ブームの角度を検出するブーム角検出器とを備え、前記ブームの長さと前記ブームの角度とに基づき前記作業半径を演算する請求項2に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
【請求項4】
前記アウトリガ張出状態検出部は、前記アウトリガの水平方向への展開角度を検出するアウトリガ展開角検出器と、前記アウトリガのアームの角度を検出するアーム角検出器と、前記アウトリガのアウターボックスの設置角度を検出するアウターボックス角検出器と、前記アウトリガのインナーボックスの伸長量を検出するインナーボックス長検出器とを有し、前記展開角度と、前記アームの角度と、前記設置角度と、前記伸長量とに基づき前記接地部材の前記接地座標を演算する請求項1から3のいずれか1項に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
【請求項5】
各前記アウトリガの前記接地部材の接地状態を検出するアウトリガ接地検出部を備え、
前記演算制御部は、前記アウトリガ接地検出部が前記複数のアウトリガの前記接地部材の接地状態を検出しているときに、前記定格荷重切替ラインの設定処理、前記定格荷重性能の設定処理、前記仮想エリアの特定処理及び前記定格荷重値の決定処理を実施する請求項1から4のいずれか1項に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
【請求項6】
前記ブーム作業機は、動作モードとして、作業動作を実行可能な作業モードと、前記アウトリガの展開動作及び張出動作を実行可能なアウトリガモードとを有しており、
前記演算制御部は、前記ブーム作業機の動作モードが、前記作業モードに設定されているときに、前記定格荷重切替ラインの設定処理、前記定格荷重性能の設定処理、前記仮想エリアの特定処理及び前記定格荷重値の決定処理を実施する請求項1から4のいずれか1項に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
【請求項7】
各前記定格荷重切替ラインの前記旋回方向の前後の領域に所定の角度領域を設けて、その角度領域を定格荷重切替領域とし、
前記演算制御部は、前記機体から前記ブームの先端方向側に前記定格荷重切替領域が位置するときに、前記定格荷重切替ラインを挟んで隣り合う前記仮想エリアに設定された前記定格荷重性能のうち、性能が劣る方の前記定格荷重性能に対応する前記定格荷重テーブルを用いて前記ブーム作業機の現在の作業姿勢における定格荷重値を決定する請求項1から6のいずれか1項に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置。
【請求項8】
機体の周囲に自在に展開且つ張り出し可能な複数のアウトリガと、
前記機体の上部に垂直な軸回りに旋回可能に設けられたブームと、
請求項1から7のいずれか1項に記載のブーム作業機用モーメントリミッタ装置と、を備えることを特徴とするブーム作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアウトリガを備えたブーム作業機に係り、ブーム作業機の過負荷作業を防止するためのモーメントリミッタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フレームの下部にクローラで走行する走行体を備えたクローラクレーンには、クレーン作業時の安定を確保するため、例えばフレームの前端部と後端部にそれぞれ左右一対(計4基)のアウトリガが設けられている。
これら4基のアウトリガは機体に対して放射状に回動可能であり、その放射状に配置された任意の位置で張り出しがなされる。そして、各アウトリガ先端を接地させて機体の安定を図るようになっている。
【0003】
この種のクローラクレーンでは、そのクレーン作業の安定性を十分に確保して、クレーン作業を行なうために、「最大限に安定性を確保できる決められた方向へ張り出す」、「アウトリガのアウターボックスを最大に拡げる」、「入れ子式のアウトリガのインナーボックスを最大限に伸長させる」、「アウトリガを確実に接地させる」等の設置条件が決められている。
【0004】
また、クレーンの過負荷作業を防止するための安全装置として、マイクロコンピュータを用いたモーメントリミッタ装置が装備されており、クレーンの状態量(荷重値、ブーム長値とブーム角値による作業半径値等)を演算するとともに、各アウトリガの張出状態を検出するリミットスイッチ等により、「最大限に安定性を確保できる決められた方向へ張り出す」、「アウトリガのアウターボックスを最大に拡げる」、「入れ子式のアウトリガのインナーボックスを最大限に伸長させる」、「アウトリガを確実に接地させる」等の各条件が満足しているか否かが判定される。そして、全ての条件を満足したと判定した場合のみ、ブームは全方位に渡り、アウトリガ最大張出状態に対応する最大定格荷重性能の定格荷重テーブルを用いて、クレーン作業の過負荷判定が可能になっている。
【0005】
但し、各アウトリガの張出状態が、前記条件を一つでも満足しない場合には、ブームは全方位に渡り、アウトリガが最小張出状態の場合を基にした安全性能の定格荷重テーブルを用いる、あるいは作業禁止とするなど、クレーンの転倒を未然に防止すべく作動停止や安全重視の過剰な能力制限等を行う。
【0006】
この種のクローラクレーンは、住宅の庭や墓地等、障害物が多くアウトリガの設置が困難な場所でのクレーン作業時でも、放射状に回動可能なアウトリガにより、設置可能な任意の位置に張り出すことができるという特徴を持っている。しかしながら、このような状況下では、「最大限に安定性を確保できる決められた方向へ張り出す」、「アウトリガのアウターボックスを最大に拡げる」、「入れ子式のアウトリガのインナーボックスを最大限に伸長させる」、「アウトリガを確実に接地させる」等の各条件を全て満足することが困難であり、その場合には、モーメントリミッタ装置がクレーンの転倒を未然に防止すべく作動停止や安全重視の過剰な能力制限等を行うため、クレーンが有する最大能力を発揮することができず、本来のクレーン作業に支障がでてしまう。
【0007】
これに対して、特許文献1に記載のアウトリガを備えた走行可能な作業機は、シャーシの前部と後部とにそれぞれ2基ずつ設けられた計4基のアウトリガを備え、これら4基のアウトリガには、動作信号又は距離信号を送信し受信するための送受信ユニットがそれぞれ3つずつ付設されている。この作業機は、更に、これら送受信ユニットにて受信した動作信号又は距離信号に基づき各アウトリガの支持脚の位置を特定する評価ユニットを備えている。そして、この評価ユニットによってアウトリガの任意の張り出し位置での支持脚の位置を特定し、特定した支持脚位置を結ぶ4本の傾倒エッジで囲まれた四角の範囲を設定し、この四角の範囲を作業機の重心が越えない範囲で任意の張り出し位置での作業を可能としている。具体的に、支持脚の支持位置が、シャーシ付近の内側支持位置とシャーシから遠い外側支持位置だけでなく、これらの中間位置でも作業を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2012-507427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1の従来技術では、作業時に作業機のブームにかかる負荷については考慮されておらず、負荷を考慮せずに作業を許可してしまった場合に、負荷発生時に作業機の重心が移動して四角の範囲を越えてしまう可能性がある。特に、クレーンなどの作業機の場合は作業時にブーム先端に大きな負荷がかかるため、作業開始前の重心位置が四角の範囲内にあるからといって作業を許可してしまうと負荷がかかった際に作業機が転倒する恐れがある。また、このことを考慮して、中間位置では最低負荷性能で作業を実施するという対処も可能であるが、中間位置の範囲でも負荷性能は支持脚の位置とブームの旋回位置との組み合わせによって異なるため、作業機の性能を十分に活かした作業ができなくなる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的とするところは、ブーム作業機の性能を十分に活かしつつ過負荷作業の発生を防止又は抑制することが可能なブーム作業機用モーメントリミッタ装置及びこれを備えたブーム作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るブーム作業機のモーメントリミッタ装置は、機体の周囲に自在に展開且つ張り出し可能な複数のアウトリガと、前記機体の上部に垂直な軸回りに旋回可能に設けられたブームとを備えたブーム作業機に適用可能なブーム作業機用モーメントリミッタ装置である。
【0012】
このブーム作業機用モーメントリミッタ装置は、各前記アウトリガの張出状態を検出するアウトリガ張出状態検出部と、前記ブームの旋回角度を検出するブーム旋回角検出器と、前記ブーム作業機の異なる複数の作業姿勢に対応する複数の定格荷重値が登録された定格荷重テーブルであって、定格荷重性能が異なる複数の前記定格荷重テーブルが記憶された定格荷重テーブル記憶部と、前記ブーム作業機が予め設定された複数の前記定格荷重性能のうち最小性能以外の所定の定格荷重性能を発揮するために前記アウトリガの接地部材が越えなければならない張り出し距離を規定する仮想ラインである定格荷重テーブル判定ラインの情報が記憶された判定ライン情報記憶部と、前記ブーム作業機の予め設定された基準位置の座標情報が記憶された座標情報記憶部と、演算制御部と、を備える。
さらに、前記複数の定格荷重性能として、前記最大定格荷重性能と、該最大定格荷重性能よりも性能の劣る最小定格荷重性能と、の2つの定格荷重性能を有する。
【0013】
そして、前記演算制御部は、前記基準位置の座標と前記アウトリガ張出状態検出部で検出した前記張出状態とに基づき、各前記アウトリガの接地状態時の前記接地部材の座標である接地座標を前記基準位置の座標を原点とした相対座標として演算し、演算した各前記アウトリガの前記接地座標と前記ブームの旋回中心とを通る仮想直線を定格荷重切替ラインとして設定し、前記ブームの旋回方向に隣り合う各2本のアウトリガの前記接地部材の前記接地座標が共に前記定格荷重テーブル判定ラインで規定された張出距離を越えた座標であると判定したときに、前記各2本のアウトリガに対応する2本の前記定格荷重切替ラインに挟まれた仮想エリアにおける定格荷重性能を前記最大定格荷重性能に設定し、前記各2本のアウトリガの前記接地座標のうち少なくとも一方が前記定格荷重テーブル判定ラインで規定された張出距離を越えていない座標であると判定したときに、前記仮想エリアにおける定格荷重性能を前記最小定格荷重性能に設定し、前記ブーム旋回角検出器で検出した前記ブームの旋回角度に基づき前記機体から前記ブームの先端方向側に位置する前記仮想エリアを特定し、前記定格荷重テーブル記憶部に記憶された前記複数の定格荷重テーブルのうち、特定した前記仮想エリアに設定された前記定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルを用いて前記ブーム作業機の現在の作業姿勢における定格荷重値を決定する。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様に係るブーム作業機は、機体の周囲に自在に展開且つ張り出し可能な複数のアウトリガと、前記機体の上部に垂直な軸回りに旋回可能に設けられたブームと、上記第1の態様に係るブーム作業機用モーメントリミッタ装置と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、機体の周囲に自在に展開且つ張り出し可能な複数のアウトリガを備えたブーム作業機において、アウトリガの張出状態に応じてよりきめ細かく定格荷重性能を設定することが可能となるので、任意の位置にアウトリガを張り出しても、アウトリガの張出状態及びブームの姿勢に応じて定格荷重性能の異なる複数の定格荷重テーブルのうちからブーム作業機の現在の作業姿勢に対して適切な定格荷重性能の定格荷重テーブルを適用して定格荷重値を決定することが可能となる。これによって、作業機の性能を十分に活かしつつ過負荷防作業の発生を防止又は抑制することが可能となる。加えて、定格荷重切替ライン、定格荷重テーブル判定ライン等を設定してこれらとブームやアウトリガフロートとの位置関係に基づき各仮想エリアの定格荷重性能を設定するようにしたので、簡易な計算処理にて適切な定格荷重性能を設定することが可能である。また、定格荷重切替ライン、定格荷重テーブル判定ラインは視覚化が容易であり、アウトリガの張出状態も含めこれらの関係を容易に画像化し表示することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係るクローラクレーンの作業時の状態を示す側面図である。
図2】第1実施形態に係るクローラクレーンの備えるアウトリガの側面図である。
図3】第1実施形態に係るクローラクレーンのモーメントリミッタ装置の構成図である。
図4】第1実施形態の過負荷防止制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5】機体から前後方向側に設定された定格荷重テーブル判定ラインを用いた定格荷重性能の判定方法の説明図である。
図6】機体から左右方向側に設定された定格荷重テーブル判定ラインを用いた定格荷重性能の判定方法の説明図である。
図7】第1実施形態に係るクローラクレーンの動作説明図である。同図ではアウトリガ張出状態のクローラクレーンの模式的な平面図に定格荷重切替ライン及び定格荷重テーブル判定ラインが記されている。
図8】アウトリガ画面の一例を示す図である。
図9】第2実施形態に係る過負荷防止制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10】第3実施形態に係る定格荷重切替領域の説明図である。同図ではアウトリガ張出状態のクローラクレーンの模式的な平面図に定格荷重切替ライン、定格荷重テーブル判定ライン及び定格荷重切替領域が記されている。
図11】第3実施形態に係る過負荷防止制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図12】第3実施形態に係る定格荷重テーブル選択処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るモーメントリミッタ装置を備えるブーム作業機の一実施形態であるクローラクレーンについて、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0018】
(第1実施形態)
(構成)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るクローラクレーン1(以下、単に「クレーン1」と称す)は、フレーム2上に、旋回するコラム4に枢支された伸縮且つ起伏自在なブーム5を有し、フレーム2の下部にクローラで走行する走行体3を備えている。加えて、クレーン作業時の安定を確保するため、フレーム2の前端部と後端部にそれぞれ左右一対(計4基)のアウトリガA、B、C、Dが設けられている。
【0019】
ブーム5には、ブーム長検出器40とブーム角検出器41が設けられており、ブーム5の起伏シリンダ6には、内圧差で吊荷の実荷重を検出する荷重検出器42が設けられている。荷重検出器42には、内圧差で実荷重を検出するものに限らずロードセルを用いるもの等、他の方式のものを用いることもできる。
フレーム2とコラム4との間には、ブームの旋回角度を検出するブーム旋回角検出器43が設けられている。
【0020】
クレーン1の各アウトリガA、B、C、Dは、図2に示すように、フレーム2にアウトリガ回転軸10で水平方向へ回動自在に支持されたブラケット11と、ブラケット11にアーム起伏軸17で起伏自在に支持されたアーム12とを備えている。加えて、アーム12にアウターボックス起伏軸18で起伏自在に支持されたアウターボックス14と、アウターボックス14に摺動自在に嵌挿されたインナーボックス15とを備えている。更に、インナーボックス15の先端に揺動自在に連結されたアウトリガフロート16と、ブラケット11とアーム12との間に設けられアーム12を起伏させるアウトリガシリンダ13とを備えている。
【0021】
アーム12の先端部には、アウターボックス14を、アウトリガの張出距離Lfを予め設定した最大距離を含む長めの距離に設定可能な角度に固定するための最大張出固定孔19と、アウトリガの張出距離Lfを予め設定した最小距離を含む短めの距離に設定可能な角度に固定するための最小張出固定孔20と、アウターボックス14を格納位置に固定するための格納固定孔21とが設けられている。そして、アウターボックス14の基端部の角度固定孔(図示略)を、最大張出固定孔19、最小張出固定孔20、又は格納固定孔21に同軸に重ね合わせて固定ピン22を挿入することにより、アーム12に対するアウターボックス14の角度を各固定孔に応じた角度に固定することができる。
【0022】
また、インナーボックス15の基端側には最大固定孔23が、インナーボックス15の先端側には最小固定孔24が、インナーボックス15の最大固定孔23及び最小固定孔24の中間位置には中間固定孔27がそれぞれ設けられている。そして、アウターボックス14の先端部の伸縮固定孔26に、インナーボックス15の最大固定孔23、中間固定孔27又は最小固定孔24を同軸に重ね合わせて固定ピン25を挿入する。これにより、アウターボックス14の固定角度との組み合わせから、アウトリガの張出距離Lfが最長、中間長(複数)又は最短となるようアウターボックス14とインナーボックス15の全長を変えて固定することができる。
【0023】
アウトリガ回転軸10の軸上にはアウトリガ(ブラケット11)の水平方向への展開角度を検出するためのアウトリガ展開角検出器30が取り付けられている。アウトリガ展開角検出器30には、ポテンショメータやエンコーダ等が用いられる。
アウトリガシリンダ13の基端部には、アウトリガフロート16が接地したことを検出するためのアウトリガ接地検出器31が取り付けられている。アウトリガ接地検出器31には、リミットスイッチ、近接スイッチ、ロードセル等が用いられる。
【0024】
アーム12の先端側には、アーム12の角度を検出するためのアーム角検出器32と、アウターボックス14の最大張出固定孔19に固定ピン22が挿入されたこと、及び最小張出固定孔20に固定ピン22が挿入されたことを検出するアウターボックス角検出器33が取り付けられている。アーム角検出器32には、ポテンショメータやエンコーダ、アウターボックス角検出器33には、リミットスイッチ、近接スイッチ等が用いられる。ここで、最大張出固定孔19に固定ピン22が挿入されたときと、最小張出固定孔20に固定ピン22が挿入されたときのアウターボックス14の角度は既知であるため、固定ピン22がどちらの固定孔に挿入されているかで角度を特定することが可能である。
【0025】
アウターボックス14には、インナーボックス15の伸長した長さを検出するためのインナーボックス長検出器34が取り付けられている。インナーボックス長検出器34には、リミットスイッチ、近接スイッチ、ポテンショメータ等が用いられる。
また、クレーン1の適所には演算制御部100(図示略)と過負荷対処部101(図示略)と表示部102(図示略)とが設けられている。過負荷対処部101は、警報ブザー等の音の出力や、油圧回路の自動停止などを行う装置から構成される。表示部102は、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等から構成される。
【0026】
演算制御部100は、図3に示すように、アウトリガ展開角検出器30、アーム角検出器32、アウターボックス角検出器33、インナーボックス長検出器34、アウトリガ接地検出器31、荷重検出器42、ブーム長検出器40、ブーム角検出器41、ブーム旋回角検出器43が接続され、各検出器からの信号が入力されるようになっている。更に、演算制御部100には、過負荷対処部101及び表示部102が接続されている。
【0027】
演算制御部100は、各検出器からの信号に基づき過負荷防止制御処理を実行してクレーン1が過負荷状態にあるか否かを判定する。そして、過負荷状態にあると判定したときに、過負荷対処部101に信号を出力するようになっている。
更に、演算制御部100は、各検出器からの信号と過負荷防止制御処理における演算結果とに基づいてアウトリガ画面表示処理を実行し、適時、表示部102にアウトリガ画面の画像表示信号を出力するようになっている。ここで、アウトリガ画面は、クレーン1の機体と各アウトリガA、B、C、Dとを模式的に示す画像、各アウトリガA、B、C、Dの接地状態を示す文字画像、各アウトリガA、B、C、Dの展開角度を示す文字画像、後述する仮想エリアに設定された定格荷重性能を示す文字画像等を含む画面である。アウトリガを模式的に示す画像は、実際のアウトリガの張出状態に合わせた長さで且つ実際の展開角度に応じた位置に表示されるようになっている。
【0028】
クレーン作業を行なう場合、まず、アウトリガA、B、C、Dを張り出す方向が決定したら、アウトリガA、B、C、Dを放射状に水平回動させる。このとき、クレーン作業中にアウトリガA、B、C、Dが回転しないようにフレーム2とブラケット11をピンで固定(図示略)する。その後、アウターボックス14を拡げて、アウターボックス14の角度固定孔(図示略)を最大張出固定孔19、又は最小張出固定孔20に合わせ、固定ピン22を挿入する。
【0029】
次に、インナーボックス15を引き出して、アウターボックス14の伸縮固定孔26をインナーボックス15の最大固定孔23、中間固定孔27又は最小固定孔24に合わせ、固定ピン25を挿入する。そして、アウトリガシリンダ13を伸長させて、アウトリガフロート16を接地させる。このとき、走行体3のクローラ下面が地面から離れる(例えば50mm程度)まで、アウトリガシリンダ13を伸長させる。なお、アウトリガの設置作業は、上記のように作業者の手によって行う構成に限らず、アクチュエータによる自動作業で行う構成としてもよい。
【0030】
ここで、アウトリガ展開角検出器30、アーム角検出器32、アウターボックス角検出器33、インナーボックス長検出器34、アウトリガ接地検出器31、荷重検出器42、ブーム長検出器40、ブーム角検出器41、ブーム旋回角検出器43、演算制御部100、過負荷対処部101及び表示部102からモーメントリミッタ装置が構成される。
【0031】
(過負荷防止制御処理)
以下、演算制御部100で実行される過負荷防止制御処理の処理手順の一例について、図4図6に基づき詳しく説明する。
即ち、演算制御部100で過負荷防止制御処理が開始されると、図4に示すように、まず、ステップS1に移行する。
ステップS1では、アウトリガ接地検出器31からの信号に基づき、各アウトリガA、B、C、Dのアウトリガフロート16が接地された状態であるか否かを判定する。そして、接地された状態であると判定した場合(Yes)は、ステップS2に移行し、接地されていない状態であると判定した場合(No)は、ステップS1に戻る。
【0032】
ステップS2に移行した場合は、各アウトリガA、B、C、Dのアウトリガ展開角検出器30、アーム角検出器32、アウターボックス角検出器33、インナーボックス長検出器34の各検出器からの信号に基づき、演算制御部100の有するメモリ100aに予め記憶されたクレーン1の基準位置(例えば、ブーム旋回中心B0)を原点としたアウトリガフロート16の中心座標(相対座標)を算出し、ステップS3に移行する。
ステップS3では、ブーム旋回中心B0と各アウトリガフロート16の中心座標とを通る仮想直線である仮想ラインを定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldとして設定し、ステップS4に移行する。
【0033】
具体的に、図5及び図6中の破線に示すように、ブーム旋回中心B0と同図中に白丸及び黒丸で示される各アウトリガフロート16の中心座標(現在の接地位置に対応する中心座標)とを通る仮想の直線である仮想ラインを設定する。なお、図5及び図6中では、張出距離Lfが最長となる場合の水平方向の各展開角度における定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldを破線で示している。また、定格荷重切替ラインLa及びLbで挟まれた機体前方側の領域を前方仮想エリアとし、定格荷重切替ラインLb及びLcで挟まれた機体右側方側の領域を右仮想エリアとし、定格荷重切替ラインLc及びLdで挟まれた機体後方側の領域を後方仮想エリアとし、定格荷重切替ラインLd及びLaで挟まれた機体左側方側の領域を左仮想エリアとする。また、前方仮想エリア、右仮想エリア、後方仮想エリア及び左仮想エリアを区別する必要が無い場合に、単に「仮想エリア」と称する。
【0034】
ステップS4では、ブーム旋回方向に隣り合う各2基のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標に基づき、前方仮想エリア、右仮想エリア、後方仮想エリア及び左仮想エリアにおける定格荷重性能をそれぞれ設定し、ステップS5に移行する。
ここで、図5及び図6中の一点鎖線に示すように、クレーン1の機体の前方、右側方、後方及び左側方には、定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB及びLwLが設定されている。定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB及びLwLは、クレーン1の安定度に基づき、前方、右側方、後方、左側方に予め所定の値が設定されている。また、定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB及びLwLは、4本の仮想直線によって設定され、クレーン1の機体部分を囲う四角を形成する。
【0035】
具体的に、機体の前方側及び後方側の定格荷重テーブル判定ラインLwF及びLwBは、機体の左右方向に沿った直線から構成されている。定格荷重テーブル判定ラインLwFは、前端側の2基のアウトリガA及びBのアウトリガフロート16の中心座標の位置が、最大定格荷重性能を発揮可能な位置となるか否かを分ける境界線である。また、定格荷重テーブル判定ラインLwBは、後端側の2基のアウトリガC及びDのアウトリガフロート16の中心座標の位置が、最大定格荷重性能を発揮可能な位置となるか否かを分ける境界線である。即ち、定格荷重テーブル判定ラインLwF及びLwBは、ブーム5の先端が前方仮想エリア側及び後方仮想エリア側に向いているときにクレーン1が最大吊上性能を発揮するために最低限越えなければならない必要十分な張出距離を規定した仮想ラインである。
【0036】
第1実施形態では、定格荷重テーブル判定ラインLwF及びLwBは、いずれも最大定格荷重性能を発揮可能な最短の張出距離の位置に設定され、アウトリガフロート16の中心座標が定格荷重テーブル判定ラインLwF及びLwBのライン上並びにLwF及びLwBよりも外側にあるときは最大定格荷重性能を発揮可能と判定される。
即ち、図5に示すように、アウトリガフロート16の中心座標が同図中の黒丸で示す位置にあるときは、中心座標が定格荷重テーブル判定ラインLwF及びLwBのライン上又は外側に位置しており、最大定格荷重性能を発揮可能な位置となる。一方、アウトリガフロート16の中心座標が図5中の白丸で示す位置にあるときは、中心座標が定格荷重テーブル判定ラインLwF及びLwBの内側に位置しており、最大定格荷重性能を発揮させてはいけない位置となる。
【0037】
一方、図5及び図6中の一点鎖線に示すように、機体の右側方側及び左側方側の定格荷重テーブル判定ラインLwR及びLwLは、機体の前後方向に沿った直線から構成されている。定格荷重テーブル判定ラインLwRは、右側方側の2基のアウトリガB及びCのアウトリガフロート16の中心座標の位置が、最大定格荷重性能を発揮可能な位置となるか否かを分ける境界線である。また、定格荷重テーブル判定ラインLwLは、左側方側の2基のアウトリガA及びDのアウトリガフロート16の中心座標の位置が、最大定格荷重性能を発揮可能な位置となるか否かを分ける境界線である。即ち、定格荷重テーブル判定ラインLwR及びLwLは、ブーム5の先端が右仮想エリア側及び左仮想エリア側に向いているときにクレーン1が最大吊上性能を発揮するために最低限越えなければならない必要十分な張出距離を規定した仮想ラインである。
【0038】
第1実施形態では、最大定格荷重性能を発揮可能な最短距離の位置に設定され、アウトリガフロート16の中心座標が定格荷重テーブル判定ラインLwR及びLwLのライン上並びにLwR及びLwLよりも外側にあるときは最大定格荷重性能を発揮可能と判定される。
即ち、図6に示すように、アウトリガフロート16の中心座標が同図中の黒丸で示す位置にあるときは、中心座標が定格荷重テーブル判定ラインLwR及びLwLのライン上又は外側に位置しており、最大定格荷重性能を発揮可能な位置となる。一方、アウトリガフロート16の中心座標が同図中の白丸で示す位置にあるときは、中心座標が定格荷重テーブル判定ラインLwR及びLwLの内側に位置しており、最大定格荷重性能を発揮させてはいけない位置となる。
【0039】
ここで、定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB、LwLは、機体(例えばブーム旋回中心B0)から一定距離離れた位置に設定されているが、この距離は、図5及び図6の例に示すように、機体の前後方向と左右方向とで異なる。
第1実施形態では、ブーム旋回方向に隣り合う各2基のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標がそれぞれ、定格荷重テーブル判定ラインのライン上又は外側にあるか否かの組み合わせに基づき各仮想エリアの定格荷重性能を判定する。
【0040】
具体的に、前方仮想エリア及び後方仮想エリアに対しては、図5に示すように、機体の前端側及び後端側の各2基のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標の位置が両方とも黒丸となる組み合わせであれば、最大定格荷重性能と判定される。一方、両方とも白丸となる組み合わせであれば最小定格荷重性能と判定され、一方が白丸で他方が黒丸となる組み合わせであれば中間定格荷重性能と判定される。そして、判定結果の定格荷重性能が該当する仮想エリアに設定される。
【0041】
一方、右仮想エリア及び左仮想エリアに対しては、図6に示すように、機体の右側端側及び左側端側の各2基のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標の位置が両方とも黒丸となる組み合わせであれば、最大定格荷重性能と判定される。一方、両方とも白丸となる組み合わせであれば最小定格荷重性能と判定され、一方が白丸で他方が黒丸となる組み合わせであれば中間定格荷重性能と判定される。そして、判定結果の定格荷重性能が該当する仮想エリアに設定される。
【0042】
ここで、定格荷重テーブルは、最大定格荷重性能、中間定格荷重性能、最小定格荷重性能の各性能に対応するテーブルが、演算制御部100の有するメモリ100aに予め記憶されている。各定格荷重テーブルは、クレーン1の異なる複数の作業半径にそれぞれ対応した定格荷重値が登録されたテーブルとなる。
また、各性能の違いは、例えば、同じ作業半径でも、最大定格荷重性能では定格荷重値が3[t]、中間定格荷重性能では定格荷重値が2[t]、最小定格荷重性能では定格荷重値が1[t]といった具合に、最大定格荷重性能、中間定格荷重性能、最小定格荷重性能の順に定格荷重性能が劣るように設定されている。
【0043】
図4に戻って、ステップS5では、ブーム旋回角検出器43からの信号により、機体からブーム5の先端が向いている方向側にある仮想エリアに設定された定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルを、定格荷重値の演算に使用する定格荷重テーブルとして選択し、ステップS6に移行する。
ステップS6では、ブーム長検出器40とブーム角検出器41からの信号に基づき、クレーン1の作業半径を算出し、ステップS7に移行する。
【0044】
ステップS7では、ステップS5で選択した定格荷重テーブルに基づき、ステップS6で求めた作業半径に対する定格荷重値を算出し、ステップS8に移行する。
ステップS8では、荷重検出器42からの信号に基づき実荷重値を算出し、算出した実荷重値がステップS7で算出した定格荷重値以上であるか否かを判定する。そして、定格荷重値以上であると判定した場合(Yes)は、ステップS9に移行し、定格荷重値以上ではないと判定した場合(No)は、ステップS1に移行する。
【0045】
ステップS9では、過負荷対処部101に信号を出力して、ステップS1に移行する。
これによって、過負荷対処部101により、警報音の出力や、油圧回路の自動停止などが実行される。
以降、予め設定された周期で上記ステップS1~S8又はS1~S9の一連の処理を繰り返し実行する。
【0046】
(動作)
次に、図7及び図8に基づき、第1実施形態に係るモーメントリミッタ装置を備えたクレーン1の実際の動作を説明する。
いま、例えば図7に示すような張り出し状態で各アウトリガA、B、C、Dが設置されたとする。
【0047】
クレーン1のモーメントリミッタ装置は、アウトリガ接地検出器31からの信号に基づき各アウトリガA、B、C、Dのアウトリガフロート16がいずれも接地状態であるか否かを判定する。そして、いずれも接地状態であると判定すると、次に、各アウトリガA、B、C、Dの各検出器30、31、32、33、34、40、41、42及び43からの信号と、メモリ100aに記憶されたブーム旋回中心B0とに基づき、各アウトリガA、B、C、Dのアウトリガフロート16の中心座標をそれぞれ演算する。これによって、図7中の黒丸で示す位置の座標が求まる。
【0048】
引き続き、モーメントリミッタ装置は、図7中の一点鎖線に示すように、ブーム旋回中心B0と各アウトリガフロート16の中心座標とを通る仮想直線を定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldとして設定する。
また、図7中の破線に示すように、クレーン1の周囲には、その機体部分を四角で囲むように、定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB及びLwLが設定されている。
続いて、モーメントリミッタ装置は、各アウトリガフロート16の中心座標と定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB及びLwLとに基づき、ブーム旋回方向に隣り合う各2本の定格荷重切替ライン間の仮想エリアに対して定格荷重性能を設定する。
【0049】
具体的に、図7に示す例では、アウトリガAとアウトリガBのそれぞれのアウトリガフロート16の前方への中心座標が、何れも定格荷重テーブル判定ラインLwFの内側であるため、定格荷重切替ラインLa及びLbの間の前方仮想エリアに対しては、最小定格荷重性能が設定される。同様に、アウトリガBとアウトリガCのそれぞれのアウトリガフロート16の右側方への中心座標が、何れも定格荷重テーブル判定ラインLwRの外側であるため、定格荷重切替ラインLb及びLcの間の右仮想エリアに対しては、最大定格荷重性能が設定される。また、アウトリガCとアウトリガDのそれぞれのアウトリガフロート16の後方への中心座標が、何れも定格荷重テーブル判定ラインLwBの内側であるため、定格荷重切替ラインLc及びLdの間の後方仮想エリアに対しては、最小定格荷重性能が設定される。また、アウトリガDとアウトリガAのそれぞれのアウトリガフロート16の左側方への中心座標が、定格荷重テーブル判定ラインLwLの内側と外側であるため、定格荷重切替ラインLd及びLaの間の左仮想エリアに対しては、中間定格荷重性能が設定される。
【0050】
引き続き、モーメントリミッタ装置は、ブーム旋回角検出器43からの信号に基づきブーム5の現在の旋回位置における定格荷重値の演算に使用する定格荷重テーブルを選択する。
図7に示す例では、ブーム旋回角度からブーム5の先端が機体の左側方を向いていることが解るため、左仮想エリアに設定された中間定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルが選択される。
【0051】
続いて、モーメントリミッタ装置は、ブーム長検出器40及びブーム角検出器41からの信号に基づき、クレーン1の作業半径を算出する。そして、選択した中間定格荷重性能の定格荷重テーブルに基づき、算出した作業半径に対する定格荷重値を算出する。
引き続き、決定した定格荷重値と荷重検出器42からの信号とに基づき、実吊荷重が定格荷重値以上であるか否かを判定する。現在はクレーン作業が行われておらず吊荷重が「0」となるため過負荷対処部101は非作動となる。
【0052】
以上説明した接地状態の検出動作からの一連の動作(以下、「過負荷防止制御動作」と称す)は、予め設定された周期で繰り返し実行される。
一方、モーメントリミッタ装置は、演算制御部100において、各アウトリガA、B、C、Dの各検出器30、31、32、33、34、40、41、42及び43と、過負荷防止制御処理における演算結果とに基づきアウトリガ画面を表示するための画像データを生成する。そして、生成した画像データに基づきアウトリガ画面の画像表示信号を表示部に出力する。
【0053】
これによって、表示部には、例えば、図8に示すようなアウトリガ画面200が表示される。このアウトリガ画面200は、画面中央に表示されたクレーン1の機体部分の模式画像201と、その前端側の左右両端から斜め前方に伸びるアウトリガA及びBの模式画像202A及び202Bと、後端側の左右両端から斜め後方に伸びるアウトリガC及びDの模式画像202C及び202Dとを含んでいる。これら模式画像202A、202B、202C及び202Dは、実際のアウトリガA、B、C及びDの張出距離及び水平方向の展開角度に対応する長さ及び角度で表示されている。
【0054】
加えて、アウトリガ画面200は、画面の左上方、右上方、左下方及び右下方に表示された各アウトリガの識別情報である「アウトリガA」、「アウトリガB」、「アウトリガC」及び「アウトリガD」の文字画像203A、203B、203C及び203Dを含んでいる。
更に、アウトリガ画面200は、文字画像203A及び203Bの下側に表示されたアウトリガA及びBのアウトリガフロート16の接地状態を示す文字画像205A及び205Bと、文字画像203C及び203Dの上側に表示されたアウトリガC及びDのアウトリガフロート16の接地状態を示す文字画像205C及び205Dとを含んでいる。なお、図8に示す例では、各アウトリガA、B、C、Dがいずれも接地状態であるため、文字画像205A、205B、205C及び205Dとして、いずれも「接地」の文字画像が表示されている。なお、接地状態では無い場合は、例えば「未接地」の文字画像が表示される。
【0055】
更に、アウトリガ画面200は、文字画像205A及び205Bの下側に表示されたアウトリガA及びBの展開角度、アウターボックスの起伏角度、インナーボックスの伸長位置を固定する各固定孔への固定ピン22及び25の挿入状態を示す文字画像206A及び206Bと、文字画像205C及び205Dの上側に表示されたアウトリガC及びDの有する同様の各固定孔への固定ピン22の挿入状態を示す文字画像206C及び206Dとを含んでいる。
【0056】
なお、図8に示す例では、各アウトリガA、B、C、Dのいずれも各固定孔に固定ピン22及び25が挿入された状態であるため、文字画像206A、206B、206C及び206Dとして、いずれも「ピン挿入」の文字画像が表示されている。なお、固定ピン22及び25の少なくとも一方が未挿入の場合は、例えば「ピン未挿入」の文字画像が表示される。
【0057】
更に、アウトリガ画面200は、模式画像202A及び202Bの下側に表示されたアウトリガA及びBの展開角度を示す文字画像207A及び207Bと、模式画像202C及び202Dの上側に表示されたアウトリガC及びDの展開角度を示す文字画像207C及び207Dとを含んでいる。
なお、図8に示す例では、文字画像207A、207B、207C及び207Dとして、アウトリガA、B、C、Dの実際の展開角度を示す「110°」、「115°」、「103°」及び「103°」の文字画像が表示されている。
【0058】
なお更に、アウトリガ画面200は、模式画像201の左上方、右上方、右下方及び左下方に表示されたアウトリガA、B、C、Dの展開範囲及び張出範囲を示す扇形の領域画像204A、204B、204C、204Dを含んでいる。
更に、アウトリガ画面200は、領域画像204A及び204Bの扇形の領域内に表示された定格荷重テーブル判定ラインLwFに対応するライン画像210LwFと、領域画像204C及び204Dの扇形の領域内に表示された定格荷重テーブル判定ラインLwBに対応するライン画像210LwBとを含んでいる。加えて、領域画像204A及び204Dの扇形の領域内に表示された定格荷重テーブル判定ラインLwLに対応するライン画像210LwLと、領域画像204B及び204Cの扇形の領域内に表示された定格荷重テーブル判定ラインLwRに対応するライン画像210LwRとを含んでいる。
【0059】
更に、アウトリガ画面200は、模式画像201の上側及び下側に表示された前方仮想エリア及び後方仮想エリアの定格荷重性能を示す文字画像208F及び208Bと、文字画像207A及び207Dの左側に表示された左仮想エリアの定格荷重性能を示す文字画像208Lと、文字画像207B及び207Cの右側に表示された右仮想エリアの定格荷重性能を示す文字画像208Rとを含んでいる。
【0060】
アウトリガ画面200からは、アウトリガA、B、C、Dの展開状態及び張出状態、アウトリガA、B、C、Dの各アウトリガフロート16の接地位置、この接地位置(厳密には中心座標)が定格荷重テーブル判定ラインを越えているか否か、各仮想エリアの定格荷重性能などを簡易に視認することが可能である。
また、アウトリガ画面200は、カラー表示が可能であり、図8中の網掛けの部分には、アウトリガの張出状態、接地状態、固定ピンの挿入状態等に応じた色が付されている。例えば、クレーン作業を行う上で比較的安全性の高い状態を示す文字画像(例えば、接地、ピン挿入など)はその枠内の網掛け部分を例えば緑色で表示する。また、各アウトリガのアウトリガフロート16の接地位置の領域は、図8の例ではいずれも定格荷重テーブル判定ラインを1本しか越えていないため例えば黄色で表示する。なお、未接地やピン未挿入などの安全性が比較的低い状態の場合は例えば赤色で表示する。このようにカラー表示することで、視認性をより高めることが可能である。
【0061】
その後、荷役作業が開始されると、モーメントリミッタ装置は、過負荷防止制御動作によって設定された各定格荷重切替ラインと、各仮想エリアに設定された定格荷重性能と、ブーム旋回角検出器43からの信号とに基づき定格荷重値の算出に使用する定格荷重テーブルを選択する。
図7に示す例では、ブーム旋回角度からブーム5の先端が左側方を向いていることが解るため、定格荷重切替ラインLd及びLaの間の左仮想エリアに設定された中間定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルが選択される。
【0062】
引き続き、モーメントリミッタ装置は、ブーム長検出器40及びブーム角検出器41からの信号に基づき、クレーン1の作業半径を算出する。そして、選択された中間定格荷重性能の定格荷重テーブルから、算出した作業半径に対する定格荷重値を算出する。
引き続き、荷重検出器42からの信号に基づき実吊荷重を算出し、この実吊荷重が先に算出した定格荷重値以上であるか否かを判定する。そして、実吊荷重が定格荷重値以上であると判定した場合は、過負荷対処部101にその旨を示す信号を出力する。これにより、過負荷対処部101は、警報音の出力や、油圧回路の自動停止などを実行する。
【0063】
ここで、第1実施形態において、モーメントリミッタ装置がブーム作業機用モーメントリミッタ装置に対応し、アウトリガ展開角検出器30、アーム角検出器32、アウターボックス角検出器33及びインナーボックス長検出器34がアウトリガ張出状態検出部に対応する。
また、第1実施形態において、各アウトリガA、B、C、Dの水平方向への展開角度、各アウトリガA、B、C、Dを構成する各アーム12及び各アウターボックス14の角度、並びに各アウトリガA、B、C、Dを構成する各インナーボックス15の伸長量が張出状態に対応する。
【0064】
また、第1実施形態において、アウトリガフロート16が接地部材に対応し、メモリ100aが、定格荷重テーブル記憶部、判定ライン情報記憶部及び座標情報記憶部に対応し、アウトリガフロート16の中心座標が接地座標に対応する。
また、第1実施形態において、ブーム長検出器40、ブーム角検出器41及び演算制御部100が作業半径検出部に対応し、荷重検出器42が荷重検出部に対応し、アウトリガ接地検出器31がアウトリガ接地検出部に対応する。
【0065】
(第1実施形態の作用及び効果)
第1実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、アウトリガ展開角検出器30、アーム角検出器32、アウターボックス角検出器33及びインナーボックス長検出器34(以下、「アウトリガ張出状態検出器」と称する)が、アウトリガA、B、C、Dの水平方向への展開角度、各アーム12の角度、各アウターボックス14の角度及び各インナーボックス15の伸長量(以下、これらを総じて「張出状態情報」と称する)を検出する。ブーム旋回角検出器43が、ブーム5の旋回角度を検出する。演算制御部100のメモリ100aが、クレーン1の異なる複数の作業半径に対応する複数の定格荷重値が登録された定格荷重テーブルであって、最大定格荷重性能、中間定格荷重性能及び最小定格荷重性能にそれぞれ対応する定格荷重テーブルを記憶している。加えて、クレーン1が最大定格荷重性能を発揮するためにアウトリガA、B、C、Dのアウトリガフロート16が越えなければならない張出距離を規定する仮想ラインである定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB及びLwLの情報を記憶している。更に、クレーン1の予め設定された基準位置(ブーム旋回中心B0)の座標情報を記憶している。
【0066】
演算制御部100が、ブーム旋回中心B0の座標とアウトリガ張出状態検出器で検出した張出状態情報とに基づき、アウトリガA、B、C、Dのアウトリガフロート16の接地状態時の中心座標をブーム旋回中心B0の座標を原点とした相対座標として演算する。加えて、演算した各アウトリガA、B、C、Dのアウトリガフロート16の中心座標とブーム旋回中心B0とを通る仮想直線を定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldとして設定する。更に、ブーム5の旋回方向に隣り合う各2本のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標のそれぞれが、定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB、LwLで規定された張出距離を越えた位置の座標であるか否かの組み合わせに基づき、各2本のアウトリガに対応する2本の定格荷重切替ラインに挟まれた仮想エリアにおける定格荷重性能を設定する。演算制御部100が、ブーム旋回角検出器43で検出したブーム5の旋回角度に基づき機体からブーム5の先端方向側に位置する仮想エリアを特定する。加えて、メモリ100aに記憶された複数の定格荷重テーブルのうち、特定した仮想エリアに設定された定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルを用いてクレーン1の現在の作業半径における定格荷重値を算出する。
【0067】
このような構成であれば、任意の位置にアウトリガA、B、C、Dを張り出したときに、各アウトリガフロート16の接地時の中心座標を演算し、その中心座標とブーム旋回中心B0とから定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldを設定することが可能である。更に、ブーム5の旋回方向に隣り合う各2本のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標と定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB、LwLとに基づき、ブーム5の旋回方向に隣り合う各2本の定格荷重切替ライン間における仮想エリアに対して多段階(第1実施形態では3段階)の定格荷重性能のうちから適切な定格荷重性能を設定することが可能である。なお更に、ブーム5の旋回角度に応じて機体からブーム5の先端方向側にある仮想エリアを特定し、特定した仮想エリアに設定された定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルを用いてクレーン1の現在の作業半径に対応する定格荷重値を算出することが可能である。
【0068】
これによって、クレーン1の異なる複数の作業姿勢(アウトリガA、B、C、Dの張出状態及びブーム5の姿勢)に対してよりきめ細かく定格荷重性能を設定することが可能となり、クレーン1の性能を十分に活かしつつ過負荷作業を防止又は抑制することが可能となる。加えて、定格荷重切替ライン、定格荷重テーブル判定ライン等を設定してこれらとブームやアウトリガフロートとの位置関係に基づき各仮想エリアの定格荷重性能を設定するようにしたので、簡易な計算処理にて適切な定格荷重性能を設定することが可能である。また、定格荷重切替ライン、定格荷重テーブル判定ラインは視覚化が容易であり、アウトリガの張出状態も含めこれらの関係を容易に画像化して表示することが可能である。
【0069】
更に、第1実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、演算制御部100が、ブーム5の旋回方向に隣り合う各2本のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標が共に定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB、LwLで規定された張出距離を越えた座標であると判定したときに、該当する仮想エリアに対して最大定格荷重性能を設定する。加えて、各2本のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標のいずれか一方のみが定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB、LwLで規定された張出距離を越えた座標であると判定したときに、該当する仮想エリアに対して中間定格荷重性能を設定する。更に、各2本のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標が共に定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB、LwLで規定された張出距離を越えていない座標であると判定したときに、該当する仮想エリアに対して最小定格荷重性能を設定する。
【0070】
このような構成であれば、最大定格荷重性能、中間定格荷重性能及び最小定格荷重性能の3段階の定格荷重性能を各仮想エリアに対して適切に設定することが可能となるので、アウトリガの張出状態及びブームの姿勢に対してよりきめ細かく定格荷重性能を設定することが可能となる。
【0071】
更に、第1実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、ブーム長検出器40、ブーム角検出器41及び演算制御部100が、クレーン1の作業半径を検出し、荷重検出器42が、吊荷の実荷重を検出する。過負荷対処部101が、演算制御部100からの信号に応じて、クレーン1の過負荷状態に対する警報の出力又は油圧回路の自動停止による作業動作の停止の少なくとも一方を含む対処を行う。演算制御部100が、機体からブーム5の先端方向側に位置する仮想エリアに対応する定格荷重性能の定格荷重テーブルから、ブーム長及びブーム角に基づき検出した作業半径に対する定格荷重値を算出する。そして、算出した定格荷重値と荷重検出器42からの信号に基づき算出した実吊荷重とを比較し、実吊荷重が定格荷重値以上であるときにクレーン1が過負荷状態にあると判定する。
【0072】
このような構成であれば、クレーン1が過負荷状態であると判定したときに、過負荷対処部101に対して信号を出力することで、過負荷対処部101にて、警報ブザーによる警報音の出力や、油圧回路の自動停止によるクレーン1の作業動作の停止などの対処を行うことが可能である。
更に、第1実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、アウトリガ接地検出器31が、各アウトリガA、B、C、Dの接地状態を検出する。演算制御部100が、アウトリガ接地検出器31がアウトリガA、B、C、Dの各アウトリガフロート16の接地状態を検出しているときに、定格荷重切替ラインの設定処理、定格荷重性能の設定処理、仮想エリアの特定処理、定格荷重値の決定処理、過負荷状態の判定処理及び過負荷状態時の過負荷対処部101への信号出力処理を実施する。
【0073】
このような構成であれば、アウトリガA、B、C、Dのアウトリガフロート16がいずれも接地していて比較的安定した状態にあるタイミングで、定格荷重切替ラインの設定処理及び定格荷重性能の設定処理を実施することが可能となる。これによって、定格荷重切替ラインを適切な位置に設定することが可能となり、定格荷重性能の設定精度を向上することが可能となる。
【0074】
また、第1実施形態に係るクレーン1は、機体の周囲に自在に展開且つ張り出し可能なアウトリガA、B、C、Dと、機体の上部にコラム4を介して垂直な軸回りに旋回可能に設けられたブーム5と、上記モーメントリミッタ装置と、を備えている。
このような構成であれば、上記モーメントリミッタ装置と同等の作用及び効果が得られる。
【0075】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
上記第1実施形態では、アウトリガ接地検出器31からの信号に基づきアウトリガA、B、C、Dの各アウトリガフロート16の接地状態を検出した場合に、定格荷重切替ラインの設定処理、定格荷重性能の設定処理、仮想エリアの特定処理、定格荷重値の決定処理、過負荷状態の判定処理及び過負荷状態時の過負荷対処部101への信号出力処理を実施するようにした。これに対して、第2実施形態では、クレーンの動作モードを判定し、動作モードがクレーンモードであると判定したときに、上記各処理を実施する点が異なる。
以下、上記第1実施形態と同じ部分には同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
【0076】
(構成)
第2実施形態に係るクレーン1は、動作モードとして、アウトリガの設置動作(展開動作及び張出動作)を実施可能なモードであるアウトリガモードと、クレーン作業に係る動作を実施可能なモードであるクレーンモードと、走行動作を実施可能なモードである走行モードとを有している。更に、これらのモードを切り換えるためのモード切換スイッチ(不図示)を備えている。モード切換スイッチは、演算制御部100に接続されており、モード切換スイッチの切換状態を示す情報が演算制御部100に入力される。
【0077】
なお、クレーン1が遠隔操作装置を有している場合は、この遠隔操作装置にもモード切換スイッチが装備されており、この場合は、モード切換スイッチの切換状態を示す情報を含む無線信号が遠隔操作装置からクレーン1に無線送信される。クレーン1は、演算制御部100に接続された受信機(図示略)を備えており、この受信機にて無線信号を受信する。受信機は、受信した無線信号に含まれる切換情報を抽出し、抽出した切換情報を演算制御部100に入力する。
【0078】
第2実施形態に係る演算制御部100は、入力されたモード切換スイッチの切換状態を示す情報に基づき、クレーン1の動作モードがクレーンモードであると判定したときに、上記各処理を実施する。
なお、第2実施形態のクレーン1は、アウトリガA、B、C、Dの各アウトリガフロート16が接地状態ではない場合や他に問題がある場合に、クレーンモードに切り換えてもクレーン作業に係る動作(以下、「クレーン動作」と称す)を行えないようにするインターロック機能を備えている。即ち、動作モードがクレーンモードのときで且つクレーン動作を行える状態のときは、各アウトリガフロート16が接地状態となり且つクレーン動作を行える安定した状態となるため、第2実施形態では、これを処理実施のトリガとして利用している。
【0079】
(第2実施形態の過負荷防止制御処理)
以下、演算制御部100で実行される第2実施形態の過負荷防止制御処理の処理手順の一例について、図9に基づき説明する。
即ち、第2実施形態において、演算制御部100で過負荷防止制御処理が開始されると、図9に示すように、まず、ステップS11に移行する。
【0080】
ステップS11では、モード切換スイッチからの信号又は遠隔操作装置からのモード切換スイッチの状態を示す信号に基づき、クレーン1の動作モードがクレーンモードに設定されているか否かを判定する。そして、クレーンモードに設定されていると判定した場合(Yes)は、ステップS12に移行し、設定されていないと判定した場合(No)は、ステップS11に戻る。
以降のステップS12~S19の処理は、上記第1実施形態のステップS2~S9の処理と同様となるので説明を省略する。
また、クレーン1の動作モードを判定する動作以外の動作は上記第1実施形態と同様となるので以降の動作の説明も省略する。
【0081】
(第2実施形態の作用及び効果)
第2実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、演算制御部100が、クレーン1の動作モードが、クレーンモードに設定されているときに、定格荷重切替ラインの設定処理、定格荷重性能の設定処理、仮想エリアの特定処理、定格荷重値の決定処理、過負荷状態の判定処理及び過負荷状態時の過負荷対処部101への信号出力処理を実施する。
【0082】
この構成であれば、クレーンモードが設定されているときに上記各処理を実施することが可能となるので、接地状態を検出して処理を実施する上記第1実施形態の構成と比較して、アウトリガモードでは処理が行われないため計算負荷を軽減することが可能となる。また、第2実施形態のクレーン1は、インターロック機能を備えているため、クレーンモードの設定中に何らかの問題が発生していても、クレーン動作が行われないため、例えば不適切な定格荷重値が算出された場合でもそれが適用されないため安全性を損なうことがない。
【0083】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
上記第1実施形態では、定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldを境に定格荷重テーブルを切り換えるようにしたが、第3実施形態では、定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldの前後の所定の旋回角度範囲に定格荷重切替領域を設定する。そして、ブーム5の先端が定格荷重切替領域側を向いているときに隣接する各2つの仮想エリアに設定されている定格荷重性能のうち劣る方の性能に対応する定格荷重テーブルを選択する点で上記第1実施形態と異なる。
以下、上記第1実施形態と同じ部分には同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
【0084】
(構成)
第3実施形態に係る演算制御部100は、定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldを設定後に、更に、定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldそれぞれのラインを中心とした前後の所定の旋回角度範囲に定格荷重切替領域Aa、Ab、Ac、Adを設定するようになっている。
【0085】
ここで、定格荷重切替領域Aa、Ab、Ac、Adでは、最小定格荷重性能が設定された仮想エリアから他の性能の設定された仮想エリアへと切り替わった際に最小定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルがそのまま適用される。加えて、最大定格荷重性能又は中間定格荷重性能が設定された仮想エリアから最小定格荷重性能の設定された仮想エリアへと切り替わる手前で先行して最小定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルが適用される。
即ち、第3実施形態の演算制御部100は、ブーム5の先端が定格荷重切替領域Aa、Ab、Ac、Adのいずれか1つの側を向いているときに、その定格荷重切替領域が設定された定格荷重切替ラインを中心に隣接する各2つの仮想エリアに設定されている定格荷重性能のうち劣る方の性能に対応する定格荷重テーブルを選択するようになっている。
【0086】
(第3実施形態の過負荷防止制御処理)
以下、演算制御部100で実行される第3実施形態の過負荷防止制御処理の処理手順の一例について、図11に基づき説明する。
即ち、第3実施形態において、演算制御部100で過負荷防止制御処理が開始されると、図11に示すように、まず、ステップS21に移行する。
ここで、ステップS21~S24までの処理は、上記第1実施形態のステップS1~S4と同様の処理となるので説明を省略する。
【0087】
ステップS25では、定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldそれぞれのラインを中心とした前後の所定旋回角度範囲に、定格荷重切替領域Aa、Ab、Ac、Adを設定して、ステップS26に移行する。
ステップS26では、ブーム旋回角検出器43からの信号により、機体からブーム5の先端が向いている方向にある定格荷重切替領域又は定格荷重切替領域以外の仮想エリアに基づき、以降の定格荷重値の演算に使用する定格荷重テーブルを選択して、ステップS27に移行する。
なお、以降のステップS27~S30の処理は、上記第1実施形態のステップS5~S9の処理と同様となるので説明を省略する。
【0088】
(定格荷重テーブル選択処理)
次に、上記ステップS26で実行される定格荷重テーブル選択処理の処理手順の一例について、図12に基づき説明する。
即ち、上記ステップS26において定格荷重テーブル選択処理が実行されると、図12に示すように、まず、ステップS261に移行する。
【0089】
ステップS261では、ブーム旋回角検出器43からの信号に基づき、ブーム5の先端が定格荷重切替領域Aa、Ab、Ac、Adのいずれか1つの側を向いているか否かを判定する。そして、向いていると判定した場合(Yes)は、ステップS262に移行し、向いていないと判定した場合(No)は、ステップS264に移行する。
ステップS262に移行した場合は、ブーム5の先端が向く定格荷重切替領域と隣接する定格荷重切替ラインを挟んで隣にある仮想エリアの方が、定格荷重性能が劣るか否かを判定する。そして、劣ると判定した場合(Yes)は、ステップS263に移行し、劣らないと判定した場合(No)は、ステップS264に移行する。
【0090】
ステップS263に移行した場合は、定格荷重値の演算に使用する定格荷重テーブルとして、劣る方の定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルを選択し、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
一方、ステップS264に移行した場合は、定格荷重値の演算に使用する定格荷重テーブルとして、ブーム先端の向く仮想エリアに設定された定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルを選択し、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
【0091】
(動作)
次に、図10に基づき、第3実施形態に係るモーメントリミッタ装置を備えたクレーン1の動作を説明する。
いま、例えば、図10に示すような張り出し状態で各アウトリガA、B、C、Dが設置されたとする。
【0092】
なお、各アウトリガフロート16の接地状態を検出する動作から各仮想エリアに定格荷重性能を設定するまでの動作は、上記第1実施形態と同様となるので、以下、定格荷重切替領域Aa、Ab、Ac、Adを設定する動作から説明する。
クレーン1のモーメントリミッタ装置は、各仮想エリアに対して定格荷重性能の設定が完了すると、次に、定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldそれぞれのラインを中心とした前後の所定旋回角度範囲に定格荷重切替領域Aa、Ab、Ac、Adを設定する。具体的に、定格荷重切替ラインLaの前後に定格荷重切替領域Aaを、定格荷重切替ラインLbの前後に定格荷重切替領域Abを、定格荷重切替ラインLcの前後に定格荷重切替領域Acを、定格荷重切替ラインLdの前後に定格荷重切替領域Adを設定する。
【0093】
引き続き、モーメントリミッタ装置は、ブーム旋回角検出器43からの信号に基づきブーム5の現在の旋回位置における定格荷重値の演算に使用する定格荷重テーブルを選択する。
例えば、ブーム5の先端が定格荷重切替領域Aa側を向いている場合、モーメントリミッタ装置は、定格荷重切替ラインLaを挟んで隣り合う前方仮想エリアと左仮想エリアとでは前方側が最小定格荷重性能で、左側が中間定格荷重性能であるため、定格荷重切替領域Aaでは、定格荷重性能が劣る方の最小定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルを選択する。
【0094】
同様に、例えば、ブーム5の先端が定格荷重切替領域Ab側を向いている場合、定格荷重切替ラインLbを挟んで隣り合う仮想エリアのうち前方仮想エリアが最小定格荷重性能で右仮想エリアが最大定格荷重性能であるため劣る方の最小定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルを選択する。
また、例えば、ブーム5の先端が定格荷重切替領域Ac側を向いている場合、定格荷重切替ラインLcを挟んで隣り合う仮想エリアのうち右仮想エリアが最大定格荷重性能で後方仮想エリアが最小定格荷重性能であるため劣る方の最小定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルを選択する。
【0095】
また、例えば、ブーム5の先端が定格荷重切替領域Ad側を向いている場合、定格荷重切替ラインLdを挟んで隣り合う仮想エリアのうち後方仮想エリアが最小定格荷重性能で左仮想エリアが中間定格荷重性能であるため劣る方の最小定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルを選択する。
なお、以降の動作は、上記第1実施形態と同様の動作となるので説明を省略する。
【0096】
(第3実施形態の作用及び効果)
第3実施形態は、上記第1実施形態と同様の作用及び効果に加えて、下記の作用及び効果を奏する。
第3実施形態に係るモーメントリミッタ装置は、演算制御部100が、定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldのブーム5の旋回方向の前後の所定旋回角度領域である定格荷重切替領域Aa、Ab、Ac、Adを設定する。加えて、機体からブーム5の先端方向側に定格荷重切替領域Aa、Ab、Ac、Adのいずれか1つが位置するときに、その定格荷重切替領域に隣接する定格荷重切替ラインを挟んで隣り合う2つの仮想エリアに設定された定格荷重性能のうち、性能が劣る方の定格荷重性能に対応する定格荷重テーブルを選択する。そして、選択した定格荷重テーブルを用いて現在の作業半径における定格荷重値を算出する。
【0097】
このような構成であれば、例えば、クレーン作業で荷物を吊り上げた状態で、定格荷重性能の良い仮想エリアから定格荷重性能の劣る仮想エリアへ、ブームを旋回動作した場合に、定格荷重切替ラインLa、Lb、Lc、Ldを超える前に定格荷重性能の劣る定格荷重テーブルが選択される。これにより、転倒しやすい領域の少し手前から性能を切り換えることが可能となるため、より安全なクレーン作業が可能となる。加えて、クレーン1の機械的なガタツキによる誤差や検出器のガタツキによる誤差を吸収することが可能となる。
【0098】
(変形例)
上記各実施形態では、最大定格荷重性能、中間定格荷重性能、最小定格荷重性能の3段階の性能にそれぞれ対応する3種類の定格荷重テーブルを例に挙げて説明したが、この構成に限らない。例えば、2段階の性能に対応する2種類の定格荷重テーブルを有する構成や、4段階以上の性能に対応する4種類以上の定格荷重テーブルを有する構成とするなど他の構成としてもよい。
【0099】
また、上記各実施形態では、隣接する2本のアウトリガのアウトリガフロート16の中心座標が、定格荷重テーブル判定ラインLwF、LwR、LwB、LwLで規定される最大定格荷重性能を発揮可能な張出距離を超えているか否かの組み合わせで定格荷重性能を判定する構成とした。これに限らず、例えば、中間定格荷重性能を発揮可能な最短張出距離の位置に新たな定格荷重テーブル判定ラインを設定して、仮想エリアを3つに分けて中心座標が3つのエリアのどこに位置するかの組み合わせで定格荷重性能を判定する構成としてもよい。他にも、例えば、最小定格荷重性能を発揮可能な最短張出距離の位置に定格荷重テーブル判定ラインを設定して、中心座標がこの張出距離以上の位置にない場合には、中心座標が作業禁止領域にあるとして定格荷重テーブルを適用しない構成としてもよい。
【0100】
また、上記各実施形態では、定格荷重性能を判定する定格荷重テーブル判定ラインとして固定のラインを用いる構成としたが、この構成に限らない。例えば、機体にカウンターウェイトを搭載するなどして定格荷重性能が変化した場合に、このような変化に合わせて定格荷重テーブル判定ラインを可変にする構成としてもよい。
また、上記各実施形態では、本発明に係るモーメントリミッタ装置を装備するブーム作業機として、クローラクレーンを例に説明したが、これに限らない。本発明は、ブーム及びアウトリガを備えた作業機であれば、クローラクレーンに限らず他のクレーンや、高所作業車などクレーン以外の種々のブーム作業機に適用可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 クローラクレーン
2 フレーム
3 走行体
4 コラム
5 ブーム
6 起伏シリンダ
10 アウトリガ回転軸
11 ブラケット
12 アーム
13 アウトリガシリンダ
14 アウターボックス
15 インナーボックス
16 アウトリガフロート
17 アーム起伏軸
18 アウターボックス起伏軸
30 アウトリガ展開角検出器
31 アウトリガ接地検出器
32 アーム角検出器
33 アウターボックス角検出器
34 インナーボックス長検出器
40 ブーム長検出器
41 ブーム角検出器
42 荷重検出器
43 ブーム旋回角検出器
200 アウトリガ画面
La、Lb、Lc、Ld 定格荷重切替ライン
LwF、LwR、LwB、LwL 定格荷重テーブル判定ライン
Aa、Ab、Ac、Ad 定格荷重切替領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12