(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022075982
(43)【公開日】2022-05-18
(54)【発明の名称】低輻輳眼鏡
(51)【国際特許分類】
G02C 7/06 20060101AFI20220511BHJP
G02C 7/02 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G02C7/06
G02C7/02
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049671
(22)【出願日】2022-03-25
(62)【分割の表示】P 2019540289の分割
【原出願日】2017-10-06
(31)【優先権主張番号】15/289,163
(32)【優先日】2016-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519124176
【氏名又は名称】ニューロレンズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ピー.クラル
(72)【発明者】
【氏名】アリク プラムリー
(72)【発明者】
【氏名】ガージェリー ティー.ジマニー
(57)【要約】
【課題】改良された眼鏡レンズを提供する。
【解決手段】低輻輳眼鏡の輻輳低減レンズは、該レンズの中心法線はz軸を規定し、レンズの中央はx-y中心接平面を画定し、z軸及びx-y中心接平面は協働してレンズのx-y-z座標系を画定し、レンズは、負でない遠方視度数を有するとともに、z軸に平行になるように方向付けされた光線を、座標系のy-z平面からx方向距離の位置にある遠方視領域点で屈折させ、z方向の遠方視交差距離の位置においてy-z面と交差させるように構成されている遠方視領域と、遠方視度数と0.5D以内で一致する近方視度数を有するとともに、z軸に平行になるように方向付けされた光線を、遠方視領域点のx方向距離にある近方視領域点で屈折させ、z方向の遠方視交差距離より大きい近方視交差距離の位置においてy-zと交差させるように構成されている近方視領域と、を備える。
【選択図】
図7B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低輻輳眼鏡の輻輳低減レンズであって、
前記輻輳低減レンズの中心法線はz軸を規定し、前記輻輳低減レンズの中央はx-y中心接平面を画定し、前記z軸及び前記x-y中心接平面は協働して前記輻輳低減レンズのx-y-z座標系を画定し、
前記輻輳低減レンズは、
負でない遠方視度数を有するとともに、前記z軸に平行になるように方向付けされた光線を、前記座標系のy-z平面からx方向距離の位置にある遠方視領域点で屈折させ、z方向の遠方視交差距離の位置において前記y-z平面と交差させるように構成されている遠方視領域と、
前記遠方視度数と0.5D以内で一致する近方視度数を有するとともに、前記z軸に平行になるように方向付けされた光線を、前記遠方視領域点の前記x方向距離にある近方視領域点で屈折させ、前記z方向の遠方視交差距離より大きい近方視交差距離の位置において前記y-z平面と交差させるように構成されている近方視領域と、を備える、輻輳低減レンズ。
【請求項2】
前記遠方視領域は、前記z軸と平行になるように方向付けられた前記光線を、前記x方向距離の位置にある前記遠方視領域点において遠方視屈折角で屈折させ、
前記近方視領域は、前記z軸と平行になるように方向付けられた前記光線を、前記x方向距離の位置にある前記近方視領域点において近方視屈折角で屈折させ、
前記近方視屈折角のx成分は、同じx方向距離に対応する前記遠方視屈折角のx成分よりも小さい、請求項1に記載の輻輳低減レンズ。
【請求項3】
前記遠方視領域は、前記z軸と平行になるように方向付けられた前記光線を、前記x方向距離の位置にある前記遠方視領域点において屈折させ、遠方凝視輻輳角で前記y-z平面と交差させるように構成され、
前記近方視領域は、前記z軸と平行になるように方向付けられた前記光線を、前記x方向距離の位置にある前記近方視領域点において屈折させ、近方凝視輻輳角で前記y-z平面と交差させるように構成され、
前記近方凝視輻輳角は、同じx方向距離に対応する前記遠方凝視輻輳角よりも小さい、請求項1に記載の輻輳低減レンズ。
【請求項4】
前記遠方視領域と前記近方視領域との間に少なくとも部分的に設けられるとともに、前記z軸と平行になるように方向付けられた光線を、前記遠方視領域点の前記x方向距離の位置にある累進領域点で屈折させ、z方向の累進交差距離の位置において前記y-z平面と交差させるように構成された累進領域を備え、前記z方向の累進交差距離は、前記z方向の近方視交差距離と前記z方向の遠方視交差距離との間である、請求項1に記載の輻輳低減レンズ。
【請求項5】
前記近方視領域の面積は5mm2より大きい、請求項1に記載の輻輳低減レンズ。
【請求項6】
前記近方視領域の面積は10mm2より大きい、請求項1に記載の輻輳低減レンズ。
【請求項7】
前記近方視度数は、前記遠方視度数と0.25D以内で一致する、請求項1に記載の輻輳低減レンズ。
【請求項8】
前記遠方視度数及び前記近方視度数は、0.5Dより小さい、請求項1に記載の輻輳低減レンズ。
【請求項9】
前記遠方視度数及び前記近方視度数は、0Dである、請求項8に記載の輻輳低減レンズ。
【請求項10】
前記近方視領域は、楕円形、四分円、三角形、長方形、細長い領域、斜めの領域、チャネル及び通路のうちの1つである、請求項1に記載の輻輳低減レンズ。
【請求項11】
前記近方視領域は、前記輻輳低減レンズの下方鼻側四分円内に配置される、請求項1に記載の輻輳低減レンズ。
【請求項12】
前記座標系の中心からx方向距離の位置にある遠方視前接線、及び該x方向距離の位置にある近方視前接線を備えた前面と、
前記x方向距離の位置にある遠方視後接線、及び該x方向距離の位置にある近方視後接線を備えた後面と、を備え、
前記遠方視前接線及び前記遠方視後接線は、遠方視面輻輳角を形成し、
前記近方視前接線及び前記近方視後接線は、近方視面輻輳角を形成し、
前記近方視面輻輳角は、前記遠方視面輻輳角よりも小さい、請求項1に記載の輻輳低減レンズ。
【請求項13】
前記遠方視領域は、z軸を有し、
前記近方視領域は、z軸を有し、
前記近方視領域のz軸は、前記遠方視領域のz軸に対して鼻方向に回転されている、請求項1に記載の輻輳低減レンズ。
【請求項14】
輻輳低減レンズであって、
前記輻輳低減レンズの中心法線はz軸を規定し、前記輻輳低減レンズの中央はx-y中心接平面を画定し、前記z軸及び前記x-y中心接平面は協働して前記輻輳低減レンズのx-y-z座標系を画定し、
前記輻輳低減レンズは、
負でない遠方視度数を有するとともに、前記z軸上でかつ前記座標系の中心からz方向交差距離の位置に配置された光源によって方向付けされた光線を、前記座標系のy-z平面からx方向距離の位置にある遠方視領域点で屈折させ、前記y-z平面と遠方視光輻輳角をなすように構成されている遠方視領域と、
前記遠方視度数と0.5D以内で一致する近方視度数を有するとともに、前記z軸上でかつ前記座標系の中心から前記z方向交差距離の位置に配置された前記光源によって方向付けされた光線を、前記座標系の前記y-z平面から前記x方向距離の位置にある近方視領域点で屈折させ、前記y-z平面と近方視光輻輳角をなすように構成されている近方視領域と、を備え、
前記近方視光輻輳角のx成分は、前記遠方視光輻輳角のx成分よりも大きい、輻輳低減レンズ。
【請求項15】
前記遠方視領域は、前記光源によって方向付けられた前記光線を、前記座標系の前記y-z平面から前記x方向距離の位置にある前記遠方視領域点において遠方視屈折角で屈折させ、
前記近方視領域は、前記光源によって方向付けられた前記光線を、前記座標系の前記y-z平面から前記x方向距離の位置にある前記近方視領域点において近方視屈折角で屈折させ、
前記近方視屈折角のx成分は、同じx方向距離に対応する前記遠方視屈折角のx成分よりも小さい、請求項14に記載の輻輳低減レンズ。
【請求項16】
前記座標系の前記中心からx方向距離の位置にある遠方視前接線、及び該x方向距離の位置にある近方視前接線を備えた前面と、
前記x方向距離の位置にある遠方視後接線、及び該x方向距離の位置にある近方視後接線を備えた後面と、を備え、
前記遠方視前接線及び前記遠方視後接線は、遠方視面輻輳角を形成し、
前記近方視前接線及び前記近方視後接線は、近方視面輻輳角を形成し、
前記近方視面輻輳角は、前記遠方視面輻輳角よりも小さい、請求項14に記載の輻輳低減レンズ。
【請求項17】
前記遠方視領域は、z軸を有し、
前記近方視領域は、z軸を有し、
前記近方視領域のz軸は、前記遠方視領域のz軸に対して鼻方向に回転されている、請求項14に記載の輻輳低減レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、改良された眼鏡レンズに関し、特には、眼精疲労を軽減し、輻輳を緩和し、固有受容フィードバックを変更する眼鏡レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
正常な視力を有する人間は、異なる距離に配置された対象物に焦点を合わせることができる。理想的には、人間は、遠方視力と呼ばれる遠い対象物に焦点を合わせる能力と、近方視力と呼ばれる近い対象物に焦点を合わせる能力とを有する。眼の視覚系は、遠方視と近方視の双方において焦点を合わせるために、多数の筋肉を使用する。これらの筋肉は、遠方見と近方視との間を移行するときに、眼の様々な状態を調整する。筋肉の調整には、水晶体の焦点を調整するために該水晶体の形状を微妙に変更することと、眼球を回転させてそれらの光軸を回転させることと、瞳孔のサイズを変更することとが含まれる。
【0003】
老眼とは、加齢につれて眼の水晶体の柔軟性が失われることによって引き起こされる、近方視力の自然劣化である。老眼は、眼が近くの物体を見つめるときに強く焦点を合わせる必要がないように、近方視の屈折誤差を補償する「老眼鏡」を着用することで、部分的に補正できる。老眼の人は、近方視と遠方視のために、異なる光学補正を必要とする。しかし、2つの眼鏡を使用してそれらを頻繁に交換することは煩わしい。頻繁に眼鏡を交換することを避けるために、近方視と遠方視とで異なる光学補正を行える遠近両用眼鏡が使用されることがある。これら2つの視覚領域間の移行は、急激なものと緩やかなものとがあり得る。後者の眼鏡は、累進多焦点レンズ(PALs)と呼ばれる。移行の変化が急激な遠近両用眼鏡は、2つの視覚領域を分離する目視可能な線を有するが、PALsは、屈折力が異なる領域間に、目視可能な線や縁を有さない。
【0004】
このような進歩にもかかわらず、視覚に関するいくつかの種類の不快感が依然として存在する。これらの不快感の1つは、現代のデジタルライフスタイルにおける習慣の変化に関連している。大部分のかつ増加傾向の職種において、労働者は、コンピュータ画面やモバイル機器を含む近距離デジタルインターフェースに注視し、自らの労働時間の大部分を費やし、かつその労働時間は増加している。同じことが、個人的な生活、とりわけ、ビデオゲームに時間を費やすことや、携帯電話においてメールの作成とアップデートのチェックを行うことにも当てはまる。これら全ての職業上及び行動上の変化は、人々がデジタルスクリーン、デバイス、ディスプレイ及びモニターを見るのに費やす時間を急速に増加させた。眼が近距離の目標物に慣らされる時間の増加によって、近方視力に関する筋肉に過度の要求がされ、筋肉は頻繁に、快適な範囲を超えて緊張させられる。このことは、疲労、不快感、痛み、さらにはデジタル的に誘起される片頭痛を引き起こすことがある。今までのところ、これらのデジタル機器に関連する視覚的不快感、痛み及び片頭痛の正確な因果関係メカニズムについて、広く受け入れられているコンセンサスはない。従って、デジタルな眼の不快感を軽減できる眼鏡又は他の視覚的ソリューションが要求されている。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態では、低輻輳眼鏡の輻輳低減レンズは、前記輻輳低減レンズの中心法線はz軸を規定し、前記輻輳低減レンズの中央はx-y中心接平面を画定し、前記z軸及び前記x-y中心接平面は協働して前記輻輳低減レンズのx-y-z座標系を画定し、前記輻輳低減レンズは、負でない遠方視度数を有するとともに、前記z軸に平行になるように方向付けされた光線を、前記座標系のy-z平面からx方向距離の位置にある遠方視領域点で屈折させ、z方向の遠方視交差距離の位置において前記y-z平面と交差させるように構成されている遠方視領域と、前記遠方視度数と0.5D以内で一致する近方視度数を有するとともに、前記z軸に平行になるように方向付けされた光線を、前記遠方視領域点の前記x方向距離にある近方視領域点で屈折させ、前記z方向の遠方視交差距離より大きい近方視交差距離の位置において前記y-z平面と交差させるように構成されている近方視領域と、を備えることを特徴とする。
【0006】
いくつかの実施形態では、輻輳低減レンズは、前記輻輳低減レンズの中心法線はz軸を規定し、前記輻輳低減レンズの中央はx-y中心接平面を画定し、前記z軸及び前記x-y中心接平面は協働して前記輻輳低減レンズのx-y-z座標系を画定し、前記輻輳低減レンズは、負でない遠方視度数を有するとともに、前記z軸上でかつ前記座標系の中心からz方向交差距離の位置に配置された光源によって方向付けされた光線を、前記座標系のy-z平面からx方向距離の位置にある遠方視領域点で屈折させ、前記y-z平面と遠方視光輻輳角をなすように構成されている遠方視領域と、前記遠方視度数と0.5D以内で一致する近方視度数を有するとともに、前記z軸上でかつ前記座標系の中心から前記z方向交差距離の位置に配置された前記光源によって方向付けされた光線を、前記座標系の前記y-z平面から前記x方向距離の位置にある近方視領域点で屈折させ、前記y-z平面と近方視光輻輳角をなすように構成されている近方視領域と、を備え、前記近方視光輻輳角のx成分は、前記遠方視光輻輳角のx成分よりも大きいことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3A】凝視輻輳角を増加させる、誘起された屈折を示す。
【
図3B】凝視輻輳角を増加させる、誘起された屈折を示す。
【
図8A】度数がゼロに近い種々の輻輳低減レンズの輪郭表現を示す。
【
図8B】度数がゼロに近い種々の輻輳低減レンズの輪郭表現を示す。
【
図8C】度数がゼロに近い種々の輻輳低減レンズの輪郭表現を示す。
【
図9A】度数Dの種々の輻輳低減レンズの輪郭表現を示す。
【
図9B】度数Dの種々の輻輳低減レンズの輪郭表現を示す。
【
図9C】度数Dの種々の輻輳低減レンズの輪郭表現を示す。
【
図9D】度数Dの種々の輻輳低減レンズの輪郭表現を示す。
【
図12A】輻輳低減レンズの種々の実施形態における、軸外曲率中心を示す。
【
図12B】輻輳低減レンズの種々の実施形態における、軸外曲率中心を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態では先ず、既存の眼鏡の通常の正度数レンズが、近方視力のために増加した凝視輻輳角をどのように誘起し、故に既存のデジタル眼精疲労を悪化させるかを述べる。これに続いて、本発明の実施形態を説明する。
【0009】
図1Aは、典型的な正の度数(positive power)の単眼(mono-vision)光学レンズ1が、入射光線2にどのように影響するかを示す。平行光線2がレンズ1に入射すると、レンズ1は光線2を集束点Fに集束させる。
【0010】
図1Bは、入射光線の偏心部分又は軸外部分を拡大している。明らかに、偏心又は軸外の平行光線は、十分に確立された光屈折の法則に従って、レンズ1の傾斜した前面と傾斜した後面とによって、焦点Fに向かって屈折する。これら2つの傾斜した表面を伝搬する光線の全体的な効果は、それらが誘起された屈折角αによって屈折することである。
【0011】
軸から半径方向距離rにあるレンズ領域による屈折量を特徴付けるための、互いに関連する異なる方法がある。ある特徴は、屈折角α自体によるものである。他の特徴は、同じ屈折角の正接によるものであり、レンズ光軸3からのレンズ領域の半径方向距離であるrと、レンズの焦点距離であるfとの比として表される。
tan α = r/f (1)
【0012】
この関係は、度数がDジオプタ(diopter)(D=1/f[1/m]として定義される)のレンズが、レンズ1の軸3からの半径方向距離rにおいてレンズに入射する光線に対して、屈折角αを誘起することを示す。ここで、αは次式で表される。
tan α = r×D (2)
【0013】
図2Aは、度数Dを有する単純な単眼(モノビジョン)レンズ10を示す。
【0014】
図2Bは、
図2Aの単眼レンズ10の傾斜面が、レンズの軸から離れた領域において屈折角αを誘起するという上述の概念を示す。屈折角αの大きさは軸からの半径方向距離にのみ依存するので、等α輪郭(すなわち屈折角αの大きさが等しい複数の点)は、同心円を形成する。図示された円の半径は概ね、0.8mm、1.6mm、2.4mm、3.2mm、及び4.0mmである。式(2)は、屈折角αの正接であるtanαは、半径rと度数Dの積として与えられることを示す。ここで、Dの単位は[1/m]であり、rの単位は[m]である。rの典型的な値は1~20ミリメートルであり、Dの値は約2ジオプタ[1/m]であるので、tanαは典型的には10
-3~10
-2ラジアンのオーダーであり、これは数分~数十分の角度に相当する。例えば、r=1mm、D=1[1/m]に対して、tanα=1×10
-3ラジアン(=3.5分)である。小さな角度の場合、tanαはαで良好に近似できる。従って、再び
図2Aにおいて、図示された円における偏向角αの値は、2.8D、5.6D、8.4D、11.2D、及び14D(単位は分)となる。
【0015】
最後に、
図2Bの下のグラフは屈折角αのx成分であるα
xを示しており、ここでは、x-y座標系はレンズ10の中心を基準としており、図示するように、その軸はレンズ10の平面内で水平及び垂直である。互いに類似するα
xを定義する方法は、いくつかある。1つの実用的な定義は、α
x=sinφ×αであり、ここでφは、負のすなわちy軸の下半分から測定される角度であり、図示するように、
図2の平面内で真下を指す。式(2)と、sinφ×r=x、長さrの半径方向ベクトルのx座標を使用して、次の単純な関係が得られる。
α
x = x×D (3)
【0016】
図2Bの下のグラフは概ね、角度φの関数としてのα
xを示す。上の図は、sin(±45)=±0.7を用いて、+45度の線及び-45度の線に沿った、α
xの特定の値を示す。これらの値は、図示されるように、α
x=±2D、±4D、±6D、±8D、及び±10Dである。
【0017】
αxの類似の定義には、tanαx=sinφ×tanαが含まれ、これは、屈折光2の投影形状をより正確に表している。しかしながら、現在の小さい角度では、これら2つの定義は非常に類似した数学的関係及び数値をもたらす。最後に、前記式は、光軸3と平行ではなく、むしろ光軸3と角度を成す狭い光線2に対して拡張することができる。一般にそのような拡張は、角度βに依存した、対象角に依存する式をもたらす。特に、そのようなβ依存式は、αにおいて拡張可能である。そのような拡張は、αの主要項で式(2)を再現する。
【0018】
αx=は、屈折角αのx成分を特徴付けるものであり、αは、眼鏡の着用者が、これらの光線に焦点を合わせるために自分の視線をどの程度向ける必要があるかを決定する。レンズの領域内のαxが大きいほど、この領域を通過する光2はレンズによってより多く屈折され、着用者はより多く、視線の向きを変更しなければならない。
【0019】
図2Cは、
図2Bのレンズ10の等α
x輪郭(iso-α
xcontours)を示し、ここではα
xは同じ値と仮定する。明らかに、度数Dのモノビジョンレンズ10については、α
xが該輪郭の点のx座標にのみ依存するので、等α
x輪郭はy軸に平行な直線に近似される。線形近似が補正を開始するときの度数及び角度が大きいほど、等α
x輪郭は半径方向外側に隆起し始め、x軸に近付く。
【0020】
図3A-Bは、正度数レンズによって誘起される屈折角が、眼鏡着用者の視線の輻輳にどのように影響するかを、これらの一般的な考察に基づいて示す。
【0021】
図3Aは、人が遠くの対象物を注視しているとき、左右の眼の注視方向が実質平行であり、故に両視線方向は収束しておらず、眼の筋肉は全く緊張していないことを示す。このような場合、2つのz軸3は、眼5の中心を通って遠くの対象物を指し示しており、2つの眼球光軸9と一致する。遠くの対象物からの光2は、接眼レンズ7を通って眼5に入り、眼5の網膜に当たる。これらの平行軸は、次に示す様々なレンズを通して近くの対象物に向けられる視線の凝視輻輳角を特徴付けるための基準として使用される。
【0022】
図3Bは、人が近くの対象物を注視しているとき、左右の眼の視線が互いに傾斜又は回転し、各視線が、z軸3に対するゼロでない凝視輻輳角βを形成することを示す。凝視輻輳角βは、2つの眼の視線の互いに対する輻輳を特徴付けるので、以下では、凝視輻輳角βは、眼の全体的な視線回転角のx成分を特に表す。このことは、凝視輻輳角βを屈折角α
xのx成分に類似させるとともに、用語を単純化する。
【0023】
前述のように、眼球は眼の外側に取り付けられた筋肉によって回転する。詳細には、横方向のx方向の回転は、内側直筋及び外側直筋によって制御され、垂直方向の回転は上直筋、下直筋、及び下斜筋によって制御される。左右の眼の内側直筋が収縮すると、これらの眼の視線は互いに向かって輻輳する。電子スクリーン、デジタルスクリーン、携帯電子機器のスクリーン、仕事関連の論文、又は本等の近くの物体に長時間にわたって自らの眼を慣らすことは、内側直筋の連続的な収縮を必要とし、つまり筋肉に相当の負担をかける。この「デジタル眼精疲労」は、疲労や頭痛を招き、最終的に片頭痛に至る可能性があり、これは現代のデジタルライフスタイルの要求に起因する。
【0024】
デジタルライフスタイルは、他の形態の眼精疲労又は眼の緊張、及び、固有受容視差や固視ずれを含む他の種類の輻輳障害を誘発し得る。固有受容視差とは、眼が意識的に焦点を合わせている場所と、空間内の対象物の位置に関する非視覚的な認識との間の不均衡である。この視差はしばしば、空間によって異なる。固有受容視差を有する患者の脳は、ターゲットの明瞭な画像を維持するために、この視差をある程度、補償することができる。しかし、視差が大き過ぎて補償できないときは、三叉神経が過剰に刺激され、その結果患者は、頭痛、眼の緊張、目の周りの痛み、かすみ目、首の痛み、ドライアイ、及び眼精疲労の他の症状を経験することになる。
【0025】
特に言及に値する症状の種類は、コンピュータビジョン症候群(CVS)であり、これは1億人を超えるアメリカ人に影響を与えると推定されている。コンピュータビジョン症候群は、近くにあるデジタル機器の前で長時間を過ごした眼に不快感を与え、一連の不要な症状を引き起こし、生産性に影響を及ぼし得る。
【0026】
他の重要な症状の種類は、慢性日常性頭痛(CDH)という名称で知られている。CDHの症状は、3000万人以上のアメリカ人に影響を与えると推定されている。これらの患者は、慢性日常性頭痛の形を示す三叉神経の過剰刺激に苦しんでいる。さまざまな要因や引き金が、慢性日常性頭痛による衰弱の問題に寄与していると考えられている。結果として、CDHを患っている患者の治療の選択肢は、症状を緩和するためだけのものに限定されている。慢性日常性頭痛の患者の大部分(人口の33%にも及ぶと信じられている)は、中心視覚系、末梢視覚系及び神経系がどのように相互作用するかについてのずれに関する客観的な兆候を示している。
【0027】
図4Aは、正度数の眼鏡10’が、デジタルデバイス、又は近くにある対象物11を見ているために、デジタルデバイスによって引き起こされる眼精疲労、眼の緊張、コンピュータビジョン症候群、及び固有受容視差の症状を悪化させ得ることを示す。対象物11は、眼鏡の着用者に対し、該眼鏡の下方で鼻寄りの四分円、すなわち「近方視領域」を注視するように強制する。前に図示したように、この偏心した近方視領域では、正度数レンズ10は、式(1)-(3)で示されるように、屈折角αで光を屈折させる。近くの対象物11から屈折角αで網膜まで伝搬する光線は、同じ対象物から同じ網膜まで屈折することなく伝搬する光線よりも、大きな凝視輻輳角βを着用者に強いる。従って、正度数レンズ10は、凝視輻輳角βを増大させ、着用者が近くの対象物を見ているときに内側直筋にかかる負担を増大させる。内側直筋の持続的かつ過度の収縮は、デジタル片頭痛の傾向を強め、場合によっては着用者を衰弱させる。
【0028】
図4Bは、輻輳眼鏡100’における輻輳低減レンズ100の実施形態を示しており、これは、眼精疲労、眼の緊張、コンピュータビジョン症候群及び固有受容視差によって引き起こされる症状を軽減し、多くの場合解消することができる。輻輳低減レンズ100を有する輻輳低減眼鏡100’は、着用者がデジタル装置のような近くの対象物を見るときの凝視輻輳角βを減少させる、適切に修正された屈折角αを有する。減少した凝視輻輳角βにより、鼻方向について眼が要求される回転は小さくなり、故に眼の内側直筋の継続的な収縮及び緊張は緩和される。この筋肉の緊張の減少は、デジタル片頭痛を減少させ、しばしば解消する。
【0029】
図5A-5Bは、眼精疲労及び関連するデジタルな眼の不快感を軽減する、眼精疲労軽減レンズ100、又は輻輳低減レンズ100の実施形態の詳細を示す。本願では、眼精疲労軽減レンズ及び輻輳軽減レンズなる用語は、互換的に使用され、扱われる。明確化のため、輻輳低減眼鏡100’の輻輳低減レンズ100のうちの1つのみが示されている。以下の説明は、適切な修正を加えた輻輳低減眼鏡100’の他のレンズにも適用される。眼鏡着用者の鼻が参考のために示されている。輻輳低減レンズ100の実施形態は、以下のようにx-y-z座標系を定義することができる。輻輳低減レンズ100の中心法線はz軸3を定義することができ、輻輳低減レンズ100の中心領域は接線方向の、中心に配置されたx-y平面を定義することができる。座標系の中心は、レンズ100の中心に位置し得る。x軸は、眼鏡100’に対して「水平」であり、故に左右の輻輳低減レンズ100の双方の中心を通るという規則が採用されている。従って、y軸は鉛直である。
【0030】
この座標系及び
図8Aを参照して、輻輳低減レンズ100は、負でない遠方視度数を有する遠方視領域110を含むことができ、遠方視領域110は、光源11によって方向付けされた光線2を、座標系の中心からx方向の遠方視距離xpdの位置にある遠方視領域点Pdで屈折させ、眼の中心代表位置8に伝搬するように構成されている。いくつかの実施形態では、眼の中心の代表位置8は、眼の中心8自体でもよい。他の実施形態では、それは位置8に配置されたセンサ、又は位置8を横切るように配置されたスクリーンであってよく、ここでは眼の中心代表位置8は、z軸3上の、レンズ座標系の中心から15-25mmの範囲で、光源とは反対のz方向位置にある。これら後者の眼の中心代表位置8は、測定及び特徴付けのために、より適切かつアクセス可能であり得る。
【0031】
輻輳低減レンズ100はさらに、遠方視度数と0.5ジオプタD以内で一致する近方視度数を有する近方視領域120を含むことができ、近方視領域120は、光源11によって方向付けされた光線2を、座標系の中心からx方向の近方視距離xpnの位置にある近方視領域点Pnで屈折させ、眼の中心代表位置8に伝搬するように構成されている。近方視領域120の度数は、遠方視領域110の度数に非常に近いか、いくつかの実施形態では等しくすることができるので、輻輳低減レンズ100の実施形態は、モノビジョンレンズ又はシングルビジョンレンズと称され得る。この態様はこれらのレンズを、近方視度数と遠方視度数とが異なる他の従来の複焦点レンズと区別することができる。
【0032】
明確化のため、本稿では「度数(optical power)」なる用語は、レンズの焦点距離fに特に関連する度数を意味し、この度数は焦点距離と逆の相関があるジオプタD(=1/f)で測定される。また
図5Aは、高い正のy座標における輻輳低減レンズ100の断面であり得る一方、
図5Bは、低い負のy座標における同じ輻輳低減レンズ100の断面を示し得る。
【0033】
実施形態では、図示するように、x方向の近方視距離xpnは、x方向の遠方視距離xpdよりも小さい。明らかにこれらの実施形態では、x方向の近方視距離xpnはx方向の遠方視距離xpdよりも小さいので、輻輳低減レンズ100の着用者は、遠方視領域110を通して光源11を見るときと比較して、自らの眼球光軸9を、よりz軸3に近付くように回転させることができ、これにより、後述するように凝視輻輳角を低減することができる。
図5Bに示すように、低減された凝視輻輳角βは、眼5の緊張軽減回転に変換される。従って輻輳低減レンズ100は、眼精疲労軽減レンズ100と称され得る。このため、眼鏡100’は、概して眼の緊張、デジタル片頭痛、固有受容視差、固視ずれ、眼精疲労、及び輻輳障害を軽減するという、切望されていた医学的利益をもたらす。
【0034】
記載された技術のうちの、第1の発明的な層は、通常の遠方視領域から分離した近方視領域を既に有する二重焦点眼鏡を含む。このような眼鏡は、これら2つの視野領域の輻輳特性も異なるようにすることによって、眼精疲労を軽減するというさらなる医学的利益を享受することができる。
【0035】
この層を超えて、本願明細書に記載されている単焦点又はモノビジョン輻輳低減レンズ100の際立った特徴は、該レンズの近方視領域120が、遠方視領域110の度数と等しい度数を有するにも関わらず、遠方視領域110の屈折力とは異なる屈折力を有することである。このことは、2つの視野領域の屈折力と度数の双方が異なる二重焦点レンズとは対照的である。このことは、少なくとも次のような理由から、定性的かつ重要な違いである。
【0036】
(1)二重焦点眼鏡は既に、異なる光学特性(度数)を有する2つの視野領域を有している。従って、レンズの設計者は、輻輳を低減するために、屈折力等の他の光学特性も異なるようにする場合がある。しかしながら、モノビジョンレンズにおいては、近方視領域が他のレンズ部分と同じ度数を有することを確保しつつ、異なる屈折力を提供するという唯一の目的のために該近方視領域を検討・創造することは、レンズの設計者にとって自明のことではない。
【0037】
(2)世界市場が販売した眼鏡レンズは、2015年に全世界で10億個を超え、米国だけでも3億2000万個を超えた。また、米国の人口の75%、すなわち約2億4000万人の人々が、ある種の視力矯正用眼鏡を着用していると推定されている。今日、米国で販売されている眼鏡の、最も広い市場セグメントである全市場の約90%はシングルビジョンレンズを使用しており、二重焦点レンズを着用しているのは約10%、すなわち2000万-2500万人だけである。シングルビジョンレンズを着用している若年及び中年早期の大部分が、単純に二重焦点レンズを必要としない。いくつかの工業統計は、コンピュータビジョン症候群を患い又は訴えている人の数は、1億人を超えると推定している。従って、輻輳を低減する近方視領域をシングルビジョン眼鏡に導入することで、輻輳低減テクノロジの範囲が、1000万-2000万ユニット/年という狭い二重焦点眼鏡の市場セグメントから、1億以上のユニット/年というモノビジョン眼鏡の市場セグメントに拡大される。故に、本願明細書に記載されたモノビジョン眼鏡は、輻輳低減という医学的利益を提供することができる人々のグループを劇的に拡大するであろう。
【0038】
(3)ゼロ又はゼロに近い度数を有する輻輳低減モノビジョン眼鏡は、他の広範な分野への市場浸透を定性的に拡大するであろう。これらの眼鏡は、度数調整が不要の人、すなわち今まで眼鏡の着用を考えなかった人に対して、輻輳低減という医学的利益を提供する。このため、ゼロ度数のモノビジョン眼鏡が、輻輳低減という医学的利益をさらに享受する人口セグメントを劇的に拡大するであろう。
【0039】
最後に、今日の眼科診療では、大概の医者は眼精疲労の原因について異なる理論を持っているため、眼の緊張や眼精疲労を緩和するために、大きく異なる治療法と手順を提供していると言われている。検眼医はしばしば、青色光フィルタを有する眼鏡への切り替えを指示するか、加湿器の使用を示唆する。従って、本願明細書に記載の輻輳低減技術を用いた眼鏡を処方することは、眼精疲労を引き起こすものに関する大きく異なった医学的洞察と、今日の眼科医が処方するものとは本質的に異なる、眼精疲労を軽減するための発明的な治療法とに基づいている。
【0040】
本願明細書では以降、光の伝搬は、光源11によって生じるものとして、又は対象物11から生じるものとして、意味の区別なく説明される。光源11は、レーザポインタ、又は光線2を能動的に生成する他の指向性光源であり得る。他のいくつかの実施形態では、対象物11は能動的な光源ではなく、記載された方向に光を反射する物体又は鏡であってもよく、その場合光は、他の場所から発生する。光伝搬の観点からは、これら2つのケースは同義であり得る。対象物11又は光源11は、輻輳低減レンズ100のx-y平面から、z方向距離zo/sだけ離れた場所に位置することができる。
【0041】
輻輳低減レンズ100の実施形態では、遠方視領域110は、光源11又は対象物11によって方向付けられた光線2が、x方向の遠方視距離xpdにおける遠方視領域点Pdで屈折し、座標系のy-z平面に対して遠方凝視輻輳角βdで交差するように構成することができる。一方、近方視領域120は、光源11によって方向付けられた光線2が、x方向の近方視距離xpnにおける近方視領域点Pnで屈折し、座標系のy-z平面に対して近方凝視輻輳角βnで交差するように構成することができる。輻輳低減レンズ100のこれらの実施形態では、近方凝視輻輳角βnは、遠方凝視輻輳角βdよりも小さくなり得る。典型的には、眼球中心の代表位置8において、屈折光2とy-z平面とが凝視輻輳角βn/dで交差する。
【0042】
ここで、凝視輻輳角βd及びβnは、左右の眼の視線の輻輳を表すので、眼の全体の3次元回転角のx成分に相当し、同様にαxは、屈折角α全体のx成分に相当する。
【0043】
第2の式は、着用者が輻輳低減レンズ100の近方視領域120を通して対象物11を見るときは、該着用者は自らの眼を、同じ対象物をレンズ100の遠方視領域110を通して見るときと同じ程度まで、z軸3から離れるように回転させる必要がないことを示す。従って、輻輳低減レンズ100の実施形態は実際に、近方視領域120を通して対象物を見るときは、遠方視領域110又は類似の通常の正度数レンズ10を通して見る場合と比べて、着用者の視線の輻輳角βを低減する。
【0044】
輻輳低減レンズ100のいくつかの実施形態では、遠方視領域110は、光源11によって方向付けられた光線2が、x方向の遠方視距離xpdにおける遠方視領域点Pdにおいて、遠方視屈折角αdで屈折するように構成することができる。一方、近方視領域120は、光源11によって方向付けられた光線2が、x方向の近方視距離xpnにおける近方視領域点Pnにおいて、近方視屈折角αnで屈折するように構成することができる。このような輻輳低減レンズ100の実施形態では、近方視屈折角αnのx成分αnxは、遠方視屈折角αdのx成分αdxより小さくすることができる。第3の式は、着用者が近方視領域120を通して対象物11を見ているときは、同じ対象物を遠方視領域110を通して見るときと比べて、レンズ100は凝視輻輳角βを低減していることを示す。
【0045】
輻輳低減レンズ100の、凝視輻輳を低減する態様に関する上記3つの式は、
図5Bでは枠内の不等式として記述されている。これらの不等式を再度、以下に記載する。
xpn < xpd (4)
βn < βd (5)
αn
x < αd
x (6)
【0046】
輻輳低減レンズ100の実施形態は、これら3つの不等式(4)-(6)のうちの少なくとも1つを満たす。
【0047】
また上述の輻輳低減レンズ100の実施形態の説明は、レンズが輻輳低減レンズであるかを判断するための監査プロトコルを明示している。(1)レンズの着用者が該レンズの潜在的な遠方視領域を通して対象物を見ているときに、上述の距離xpd並びに角度αdx及びβdを直接計測すること、続いて、着用者がレンズの潜在的な近方視領域を通して対象物を見ているときに、対応する距離xpn並びに角度αnx及びβnを計測すること、そして計測された距離同士、角度同士を比較して、それらが上述の3つの不等式のうちの少なくとも1つを満たすか否かを検証することが可能である。角度の変化が小さい潜在的なレンズでは、アイトラッキングシステム又はアイイメージングシステムを使用して、着用者の凝視角の変化を求めて、小さな変化と違いを検出することができる。(2)着用者の視線の角度及び方向を測定する代わりに、現実的なパラメータを有する眼球モデルを同様に使用することができる。眼球モデルは、眼球中心の代表位置8においてy軸回りに回転可能な、約20-25mm(例えば24mm)の直径のディスクを含み得る。眼球モデルの前面はレンズ100より10-15mm後方に、眼球中心の代表位置8はレンズ100より約20-30mm後方に、それぞれ位置することができる。眼球モデルは、角膜の度数(約40-45D)に、レンズの度数(約15-25D)を加算した合計の度数に概ね等しい度数を備えた適切な接眼レンズ7を含み得る。光源11の代わりに、レーザポインタ又はその同等物のような指向性光源を配置することができ、その光は、監査されるレンズの潜在的な遠方視領域及び近方視領域に向けることができる。これにより、レンズによる屈折後の光は、いずれの場合も、眼球モデルの中心代表位置8を通過し得る。そして上述の角度及び距離は、上記3つの不等式のうちの少なくとも1つが妥当するか否かを判断するために測定可能である。
【0048】
(3)最後に、着用者の眼又は眼球モデルすら使用しない測定でも、あるレンズが輻輳低減レンズ100の実施形態であるか否かを判断するのに十分であり得る。レンズの監査は、固定された光学テーブル上で、レンズによる屈折後の光が、z軸3に沿ってレンズ100より約20-30mm後方に位置する眼球中心の代表位置8の候補点を通って伝搬するようにレーザポインタを光源11の位置からレンズに向けることによって、行うことができる。光の伝搬は例えば、光源11とは反対側の、レンズ100のy-z平面にスクリーンを設けることによって追跡することができる。レーザポインタ11の光は、監査されるレンズの潜在的な遠方視領域及び該レンズの潜在的な近方視領域を通るように方向付けられることができ、それによって双方の場合において、屈折光が、眼球中心8を代表する座標系の中心から同じz方向距離の位置で、y-z平面と交差することが確保される。上術のように、それらのような代表位置は、z軸3上の、レンズ中心から20-30mm後方とすることができる。上述の角度及び距離が、潜在的な遠方視領域に向けられた光について計測され、次に潜在的な近方視領域に向けられた光について測定されたときに、
図5Bにおける、式(4)-(6)として議論した3つの不等式のうちの少なくとも1つが、測定された角度及び距離について妥当する場合、そのレンズは輻輳低減レンズの実施形態である。他の監査プロトコルについては、
図5C-D、及び
図7A-Dを参照して以下に述べる。
【0049】
図5A-Bは、対象物/光源11が、座標系のz軸3からx方向に、輻輳低減レンズ100の半径よりも大きい距離離れ、かつz方向に10cm-100cmの位置に配置された近距離物体であり得ることを示す。図示するように、このような偏心した(off-center)、軸を外れた(off-axis)光源11は、眼鏡着用者の鼻に対して整合配置された近距離物体の良好な代表例であり得る。
【0050】
図6A-Bは、他の実施形態では、対象物11をさらに遠方に配置可能であることを示す。例えば、光源/対象物11は、座標系のz軸3からx方向に、輻輳低減レンズ100の半径よりも小さい距離離れ、かつz方向に100cm超の位置に配置可能である。これらの対象物/光源11は、レーザポインタから、近方視領域点Pn及び遠方視領域点Pdにおいて、z軸3に平行になるように方向付けられた光を含み得る。
図6Bの3つの枠内に示すように、輻輳低減レンズ100の実施形態は、
図5A-Bの3つの不等式に類似する3つの不等式のうちの少なくとも1つを満たす。
図5A-Bの実施形態と
図6A-Bの実施形態とでは、光源11の配置はいくらか異なっており、故に、2組の不等式を満たす距離及び角度の範囲は、厳密には等しくない場合がある。それにも関わらず、不等式の妥当範囲は大部分が重複しており、故に双方の不等式の組は、輻輳低減レンズ100の実施形態を表す。
【0051】
図5C-Dは、輻輳低減レンズ100の他の態様を示す。
図5C-Dの実施形態は、伝搬光線2の経路の可逆性によって特徴付けられるので、その特徴は
図5A-Bの実施形態の特徴と大きく類似する。
図5C-Dの要素が経路反転によって
図5A-Bの要素と関連するものとなることを示すために、対応するラベルに、必要に応じて「r」を付したものが使用される。これらの導入的考慮により、輻輳低減レンズ100のいくつかの実施形態は、負でない遠方視度数を有する遠方視領域110を含むことができ、遠方視領域110は、光源8rによって方向付けされた光線2を、座標系の中心からx方向の遠方視距離xpdの位置にある遠方視領域点Pdで屈折させ、像点11r又は対象物/光源11rに伝搬するように構成されている。像点11rは、ある意味で、
図5A-Bの実施形態における対象物/光源11の逆対であり、レンズ100のx-y平面からz方向距離ziの位置に配置可能である。光源8rは、ある意味で、
図5A-Bの実施形態における眼球中心の代表位置8の逆対であり、座標系の中心からz方向距離zsの位置に配置可能である。
【0052】
輻輳低減レンズ100の実施形態はさらに、遠方視度数と0.5ジオプタD以内で一致する近方視度数を有する近方視領域120を含むことができ、近方視領域120は、座標系の中心からz方向距離zsの位置に配置された光源8rによって方向付けされた光線2を、座標系の中心からx方向の近方視距離xpnの位置にある近方視領域点Pnで屈折させ、同じ像点11に伝搬するように構成されている。これらの実施形態では、
図5A-Bの実施形態における不等式(4)と同様に、x方向の近方視距離xpnを、x方向の遠方視距離xpdよりも小さくすることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、遠方視領域110は、光源8rによって座標系のy-z平面に対して遠方凝視輻輳角βdをなすように方向付けられた光線2が、x方向の遠方視距離xpdにおける遠方視領域点Pdで屈折し、像点11rに伝搬するように構成することができる。一方、近方視領域120は、光源8rによって座標系のy-z平面に対して近方凝視輻輳角βnをなすように方向付けられた光線2が、x方向の近方視距離xpnにおける近方視領域点Pnで屈折し、像点11rに伝搬するように構成することができる。これらの実施形態では、上記不等式(5)と同様に、近方凝視輻輳角βnを、遠方凝視輻輳角βdよりも小さくすることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、遠方視領域110は、光源8rによって方向付けられた光線2が、遠方視領域点Pdで屈折し、遠方視屈折角αdで像点11rに伝搬するように構成することができる。近方視領域120は、光源8rによって方向付けられた光線2が、近方視領域点Pnで屈折し、近方視屈折角αnで同じ像点11rに伝搬するように構成することができる。実施形態では、上記不等式(6)と同様に、近方視屈折角αnのx成分αnxは、遠方視屈折角αdのx成分αdxより小さくすることができる。
【0055】
図8A-Bは、輻輳低減レンズ100の実施形態の正面図であり、該レンズのx-y平面をz方向に見た図である。
図8Aは、度数の等屈折率線を示し、
図8Bは、輻輳低減レンズ100の等α
x屈折角線を示す。輻輳低減レンズ100のいくつかの実施形態では、遠方視領域110は、Dジオプタの遠方視度数を有することができる。近方視領域120は、遠方視度数と0.5D以内で一致する近方視度数を有することができ、さらに、遠方視領域110と近方視領域120とを接続可能なチャネル領域115を有することができる。いくつかの実施形態では、近方視度数は、遠方視度数と0.25D以内で一致する近方視度数を有することができる。遠方視度数と近方視度数が非常に近いことにより、このような実施形態はモノビジョンレンズ、シングルビジョンレンズ、又は単焦点レンズと称され得る。チャネル領域115は、遠方視度数及び近方視度数と0.5D以内で一致する度数を有することができる。遠方視度数と近方視度数とが等しい構成では、チャネル領域の度数も共通の値とすることができる。遠方視度数と近方視度数とが僅かに(例えば0.5D未満)異なる構成では、チャネル領域の度数は、これらのほぼ等しい度数を滑らかに補間することができる。
【0056】
図8Aに示すように、いくつかの実施形態では、遠方視度数及び近方視度数は、0.5D未満等の「ほぼゼロ」とすることができる。いくつかの実施形態では、遠方視度数及び近方視度数は、ゼロジオプタ(0D)であり得る。
【0057】
そのような0Dの輻輳低減レンズ100は、度数の矯正を必要としないが、デジタル画面、電子画面又はコンピュータ画面等の近距離物体を長時間凝視することで引き起こされる、デジタル的に引き起こされる眼の緊張すなわち「デジタル眼精疲労」を感じている人々に使用され得る。そのような人々は、度数の矯正を必要としていなくとも、デジタル眼精疲労を軽減する輻輳低減眼鏡100’の着用を決心することができる。
【0058】
輻輳低減レンズ100の実施形態は、鼻側遷移領域135n及び側頭遷移領域135tを有することができる。これらの領域では、後述する理由から、度数は0Dから乖離することがある。
【0059】
いくつかの実施形態では、近方視領域120の面積は5mm2より大きくすることができる。いくつかの実施形態では、近方視領域120の面積は10mm2より大きくすることができる。
【0060】
図8Bは、ほぼ0Dの度数を有する輻輳低減レンズ100のいくつかの実施形態において、遠方視領域110の遠方視屈折角αdのx成分αd
xもほぼ0Dとなり得ることを示す。この理由は、式(2)-(3)及び度数が0Dであることから、αd自体がほぼゼロだからである。これらの実施形態では、近方視領域120の近方視屈折角αnのx成分αn
xは正数となり得る。屈折角αの大きさは、既に論じた。多くの実施形態では、α
xは0.5-50分の範囲内とすることができ、いくつかの実施形態では1-10分の範囲内にすることができる。
図8Bにおいて、値に下線を付して示すように、近方視領域120ではαn
x=+6分である。
【0061】
これらの値は、遠方視領域110及び近方視領域120について、座標系の中心から同じx方向距離と解すべきである。このことは、x軸について遠方視領域点Pdの鏡像に相当する(故に座標系の中心から同じx方向距離にある)近方視領域点Pnによって示される。
【0062】
最後に、これらのレンズは、遠方視領域110と近方視領域120との間において少なくとも部分的に設けられた、累進領域130を含むことができる。ここでは、光源11から方向付けられた光線2は、x方向の累進距離に位置する累進領域点において眼球中心の代表位置8に伝搬するように屈折され、ここでのx方向累進距離は、x方向近方視距離xpnとx方向遠方視距離xpdとの間である。またそのような累進領域130は、遠方視屈折角αd
xのx成分と近方視屈折角αn
xのx成分との間を進む、累進屈折角αpのx成分αp
xによって特徴付けられる。図示例ではαp
xは、αd
x(=0)とαn
x(=+6分)との間で進行する。なお、少なくともいくつかの実施形態では、累進領域130は、
図8Aのチャネル領域115と一致する必要はない。
【0063】
図8Aにおいて、遷移領域135n及び135tは、以下の理由から出現する場合がある。一般に、鼻側遷移領域135n及び側頭遷移領域135tのような遷移領域は、それらの光学特性がいくつかの態様において異なるときに、遠方視領域110と近方視領域120との間に形成される。この光学特性は、それらの度数、シリンダ(cylinder)又は非点収差であり得る。光学特性の違いは、望ましくない光学的歪みを招くことがある。遷移領域135n/tは、これらの歪みを最小化するように構成される。ここで述べている輻輳低減レンズ100では、遠方視領域110及び近方視領域120の度数は、近いか、同じでもよい。
【0064】
しかしながら、これらの輻輳低減レンズ100では、遠方視領域110の屈折角αdと近視領域110の屈折角αnは互いに異なる。この異なりは、光学的歪みを誘発する可能性がある。このため、遷移領域135n/t及び累進領域130を備え、屈折角αdとαnとの間を滑らかに補間することで、屈折角αdとαnとの差によって生じる、これらのレンズ100における光学的歪みを低減することができる。
図9Aは、いくつかの実施形態では、この目的のために鼻側遷移領域135nだけで十分であり得ることを示す。
【0065】
図8Bは、いくつかの実施形態では、近方視領域120の大部分が、レンズ100の下側、又は下方鼻側四分円を占めることができることを示す。いくつかの実施形態では、図示するように、近方視領域120は下方側頭四分円に拡張してもよい。
【0066】
図8Cは、いくつかの実施形態では、近方視領域120が、下方鼻側四分円を部分的にのみ満たし得ることを示す。
【0067】
図9Aは、度数Dを有する輻輳低減レンズ100を示す。
図9B-Dは、
図9Aの輻輳低減レンズ100の様々な実施形態についての等α
x輪郭を示す。
図2Cに関して説明したように、固定された度数を有するレンズでは、等α
x輪郭は垂直線群であり得る。
【0068】
図9Bは、近方視領域120が下方鼻側四分円を部分的にのみ占めるレンズ100の実施形態を示す。
図9Cは、近方視領域120が下方鼻側四分円を完全に占めるレンズ100の実施形態を示す。
図9Dは、近方視領域120が下方鼻側四分円を占めるとともに、下方側頭四分円にも拡張しているレンズ100の実施形態を示す。
【0069】
また
図9B-Dは、輻輳低減レンズ100の実施形態が、正度数の遠方視領域110による屈折を、近方視領域120内で好適に補正して低減できることを示しており、これにより、遠方視屈折角の負のx成分αd
xは、
図9Bではx成分αd
xより絶対値が小さい負のαn
xに補正することができ、
図9Cではゼロのαn
xに補正することができ、
図9Dでは過剰に補正された、反対の符号の(正の)αn
xに補正することすらできる。このような過補正は、
図4Aとは反対の符号の屈折角を有する、
図4Bの光線によって既に示されている。
【0070】
遠方視領域110の度数がほぼゼロであるという特別な場合では、これに伴ってαdxも小さいかゼロである。そのような場合、近方視領域は、ほぼゼロの遠方視屈折角のx成分αdxを、正のαnxに補正することができる。
【0071】
図10A-Cは、近方視領域120が、楕円形、四分円、三角形、長方形、細長い領域、斜めの領域、チャネル又は通路を含む、様々な形状を有し得ることを示す。
【0072】
図11A-Bは、輻輳低減レンズ100の2つの実施形態が、輻輳低減レンズ100の上述の特性を実現し提供することができることを示し、特に、レンズ100の構造・構成が、前述の3つの不等式(4)-(6)の少なくとも1つを満たすことを示す。
【0073】
図11Aは、輻輳低減レンズ100の実施形態が、座標系の中心からあるx方向距離の位置にある遠方視前接線145fd、及び同じx方向距離の位置にある近方視前接線145fnを備えた前面140fと、同じx方向距離の位置にある遠方視後接線145rd、及び同じx方向距離の位置にある近方視後接線145rnを備えた後面140rとを有し得ることを示す。これらの接線145は破線で示される。遠方視前接線145fd及び遠方視後接線145rdは、遠方視面輻輳角γdvrを形成し、一方、近方視前接線145fn及び近方視後接線145rnは、近方視面輻輳角γnvrを形成する。
図11Aでは、近方視領域120の前面140f及び後面140rは、レンズ100の中心に近い凹面であり、故に、近方視面輻輳角γnvrは、遠方視面輻輳角γdvrよりも小さい。
γnvr < γdvr (7)
【0074】
この不等式は、3つの不等式(4)-(6)のうちの少なくとも1つを達成する輻輳低減レンズ100を構成するための1つの手段である。いくつかの構成は、この不等式と一致し得る。場合によっては、式(7)の角度の不等式は、接線の一方が異なることによってのみ実現可能であり、他方の面の接線は前面と後面とで同じとしてもよい。場合によっては、レンズ100はメニスカスレンズ100としてもよい。なお、これらの角度γnvr及びγdvrは、接線が面140r及び140fにそれぞれ接するときのx方向距離に依存する(γnvr=γnvr(x)、γdvr=γdvr(x))。角度γnvr(x)及びγdvr(x)は、中心から同じx方向距離において求められ、比較されるものである。
【0075】
図11Bは、3つの不等式(4)-(6)のうちの少なくとも1つを他の態様で達成するレンズ100を創造するための他のレンズ構成を示す。この構成では以下の式(8)となる。
γnvr = γdvr (8)
【0076】
表面の接線を修正する代わりに、これらの実施形態では、遠方視領域110は遠方視z軸を有し、近方視領域120は近方視z軸を有する。近方視z軸は、遠方視z軸に対して鼻方向に回転又はねじることができる。ねじれは、+y軸方向からレンズを見下ろすように図示されている。遠方視領域120が必然的に位置する、レンズ100の最も高いy方向高さでの遠方視z軸は、レンズz軸3全体に対して本質的に平行であり得る。近方視領域120が必然的に位置する、より低いy方向高さに向かって進むと、レンズのx-y平面が回転して、z軸が鼻方向に回転する。ねじれた断面のうちの2つが、
図11Bに示されている。中間の断面は累進領域130に対応し得るものであり、下方にある最もねじれた断面は、ねじれた近方視z軸を有する近方視領域120に対応し得る。
【0077】
なお
図11Bの実施形態の製造プロセスは、所望の度数を有するレンズを形成することと、次いで、設計量だけレンズをねじることができる程度にレンズの材料が軟化するまでレンズを暖めることとを含み得るので、著しく容易であり得る。
【0078】
次に、
図7A-Dの実施形態について説明する。
図7Aは、輻輳低減レンズ100の実施形態が、負でない遠方視度数を有する遠方視領域110を含み得ることを示しており、遠方視領域110は、z軸3と平行になるように方向付けされた光線2を、座標系のy-z平面からx方向距離xpdの位置にある遠方視領域点Pdで屈折させ、z方向の遠方視交差距離zldの位置においてy-z平面と交差させるように構成されている。また輻輳低減レンズ100は、遠方視度数と0.5ジオプタD以内で一致する近方視度数を有する近方視領域120を含むことができ、近方視領域120は、z軸3と平行になるように方向付けされた光線2を、x方向距離xpnの位置にある遠方視領域点Pdに等しい近方視領域点Pnで屈折させ(xpn=xpd)、z方向の近方視交差距離zlnの位置においてy-z平面と交差させるように構成されており、zlnは遠方視交差距離より大きい。
zln > zld (9)
【0079】
輻輳低減レンズ100のいくつかの実施形態では、遠方視領域110は、z軸3と平行になるように方向付けされた光線2を、x方向距離xpdの位置にある遠方視領域点Pdにおいて遠方視屈折角αdで屈折させるように構成可能である。近方視領域120は、z軸3と平行になるように方向付けされた光線2を、x方向距離xpnの位置にある近方視領域点Pnにおいて近方視屈折角αnで屈折させるように構成可能である。実施形態では、近方視屈折角αnのx成分αnxは、遠方視屈折角αdのx成分αdxより小さくすることができ、αdはαnと同じx方向距離(xpn=xpd)に対応する。
αnx < αdx (10)
【0080】
輻輳低減レンズ100のいくつかの実施形態では、遠方視領域110は、z軸3と平行になるように方向付けされた光線2を、x方向距離xpdの位置にある遠方視領域点Pdにおいて屈折させ、遠方凝視輻輳角βdでy-z平面と交差させるように構成可能である。近方視領域120は、z軸3と平行になるように方向付けされた光線2を、x方向距離xpdと同じx方向距離xpnの位置にある近方視領域点Pnで屈折させ、近方凝視輻輳角βnでy-z平面と交差するように構成可能である。実施形態では、近方凝視輻輳角βnは、遠方凝視輻輳角βdより小さくすることができ、βdはβnと同じx方向距離に対応する。
βn < βd (11)
【0081】
不等式(9)-(11)は、
図5A-B及び
図6A-Bの実施形態の特徴を表す不等式(4)-(6)と同様に、
図7A-Bの実施形態の特徴を表す。輻輳低減レンズ100の実施形態は、3つの不等式(9)-(11)のうちの少なくとも1つを満たす。
【0082】
前述のように、輻輳低減レンズ100の実施形態は、遠方視領域110と近方視領域120との間において少なくとも部分的に、累進領域130を含むことができる。累進領域130は、z軸3と平行になるように方向付けされた光線2を、x方向距離xpn、xpdと同じx方向距離xppの位置にある累進領域点Pp(xpp=xpn=xpd)において屈折させ、z方向の累進交差距離zlpの位置においてy-z平面と交差させるように構成されており、zlpは、z方向近方視交差距離zlnとz方向遠方視交差距離zldとの間である(zld<zlp<zln)。
【0083】
図7C-Dは、いくつかの必要な変更を伴うが、
図7A-Bの実施形態における光線2の経路を反転させることに関する実施形態を説明する。
図7Cは、輻輳低減レンズ100の実施形態が、負でない遠方視度数を有する遠方視領域110を含み得ることを示しており、遠方視領域110は、光源15rによって方向付けされた光線2が、座標系のy-z平面からx方向距離xpdの位置にある遠方視領域点Pdで屈折し、y-z平面と遠方視光輻輳角δdをなすように構成されており、ここで光源15rは、z軸上でかつ座標系中心からz方向交差距離zldの位置に配置されている。またレンズ100は、遠方視度数と0.5ジオプタD以内で一致する近方視度数を有する近方視領域120を含むことができ、近方視領域120は、光源15rによって方向付けされた光線2が、座標系のy-z平面から、遠方視領域点Pdのx方向距離xpdと同じx方向距離xpnの位置にある近方視領域点Pnで屈折し(xpn=xpd)、y-z平面と近方視光輻輳角δnをなすように構成されている。ここで光源15rは、z方向交差距離zldに関する光源15rと同様、z方向交差距離zlnの位置に配置可能である(zln=zld)。このような実施形態では、近方視光輻輳角δnのx成分δn
xは、遠方視光輻輳角δdのx成分δd
xよりも大きくすることができる。
δn
x >δd
x (12)
【0084】
レンズ100のいくつかの実施形態では、遠方視領域110は、光源15rによって方向付けされた光線2を、座標系のy-z平面からのx方向距離であるxpdの位置にある遠方視領域点Pdにおいて、遠方視屈折角αdで屈折させるように構成可能である。また近方視領域120は、光源15rによって方向付けされた光線2を、座標系のy-z平面からのx方向距離であるx方向距離xpnの位置にある近方視領域点Pnにおいて近方視屈折角αnで屈折させるように構成可能である。実施形態では、近方視屈折角αnのx成分αnxは、遠方視屈折角αdのx成分αdxより小さくすることができる。
αnx < αdx (13)
【0085】
不等式(12)-(13)は、
図5C-Dの実施形態の特徴を表す不等式(4)-(6)、及び
図7A-Bの実施形態の特徴を表す不等式(9)-(11)と同様に、
図7C-Dの実施形態の特徴を表す。
【0086】
図5A-D及び
図6A-Bの実施形態のいくつかの付加的な特徴は、既に述べた。またこれらの特徴は、
図7A-Dの実施形態に適用したり、
図7A-Dの実施形態と組み合わせたりすることができる。
【0087】
図12A-Bは、眼精疲労軽減レンズ100又は輻輳軽減レンズ100の実施形態を示す。これらの実施形態は、レンズ表面の曲率、及びそれらの対応する曲率中心の偏心位置の説明によって、特徴付けることができる。より詳細には、眼精疲労低減レンズ100又は輻輳低減レンズ100の実施形態は、z軸3を規定する輻輳低減レンズの中心法線を有することができる。z軸3は典型的には、遠方視領域110のz軸でもある。輻輳低減レンズ100の中央領域はさらに、x-y中心接平面を画定することができる。z軸3及びx-y中心接平面は、協働してx-y-z座標系を定義する。
【0088】
輻輳低減レンズ100は、負でない遠方視度数を有する遠方視領域110を含むことができ、遠方視領域110は、曲率半径Rdf及び前側遠方視曲率中心CCdfを備える前側遠方視表面140dfと、曲率半径Rdr及び後側遠方視曲率中心CCdrを備える後側遠方視表面140drとを備える。レンズ100はさらに、遠方視度数と0.5D以内で一致する近方視度数を有する近方視領域120を含むことができ、近方視領域120は、曲率半径Rnf及び前側近方視曲率中心CCnfを備える前側近方視表面140nfと、曲率半径Rnr及び後側近方視曲率中心CCnrを備える後側近方視表面140nrとを備える。ここで、前側近方視曲率中心のx座標x(CCnf)は、前側遠方視曲率中心のx座標x(CCdf)よりも鼻側とすることができ、又は、後側近方視曲率中心のx座標x(CCnr)は、後側遠方視曲率中心のx座標x(CCdr)よりも側頭部側とすることができる。右側の側頭方向にある点が、左側の鼻方向にある点よりも大きいx座標を有するように、上記特性を不等式で表し、x軸の方向性を使用すると、これらの条件は次式で表すことができる。
x(CCnf) < x(CCdf),又は (14)
x(CCnr) < x(CCdr) (15)
【0089】
いくつかの典型的な実施形態では、前側遠方視表面140dfの曲率中心CCdf、及び後側遠方視表面140drの曲率中心CCdrは、z軸3上に位置することができ、故にそれらのx座標はゼロであり得る。数式では、x(CCdf)=x(CCdr)=0である。このような実施形態では、輻輳低減レンズ100は、前側近方視曲率中心CCnfのx座標x(CCnf)が、座標系のz軸3よりも鼻側にある(式(16))か、又は後側近方視曲率中心のx座標x(CCnr)が、座標系のz軸3よりも側頭部側にある(式(17))ように、構成することができる。
x(CCnf) < 0,又は (16)
x(CCnr) > 0 (17)
【0090】
この意味において、輻輳低減レンズ100の実施形態は、軸外曲率中心レンズである。
【0091】
上述した曲率中心x(CCnf)、x(CCnr)、x(CCdf)及びx(CCdr)の座標及びx方向距離は、球面計やレンズ表面形状測定装置等の、特殊なツールや装置を用いて求めることができる。
【0092】
輻輳低減レンズ100の構造は、近方視領域120の度数を遠方視領域110の度数と0.5D以内で一致させることができ、その理由は、度数の第一近似はレンズの前面及び後面の曲率半径によって与えられる((遠方視)度数=f(Rdf,Rdr)、(近方視)度数=f(Rnf,Rnr))からである。薄いレンズの近似では、度数はf(R1,R2)=(n-1)(1/R1-1/R2)に比例する。f(Rnf,Rnr)=f(Rdf,Rdr)である限りにおいて、2つの領域の度数は一次近似で一致する。
【0093】
しかしながら、上記の関係は、曲率中心がレンズの主光軸上にあると仮定している。故に、近方視領域120の度数と遠方視領域110の度数とを、これらの半径を操作せずに実質的に等しくすることが可能であり、さらに、曲率中心をレンズの軸から移動させることで近方視屈折角を遠方視屈折角に対して調整・操作することが可能である、という認識に、レンズ100の構造が基づいていると見なすことができる。より簡潔には、レンズ100の構造において、近方視領域の度数と遠方視領域の度数とを一致させつつ、近方視領域の屈折角を遠方視領域の屈折角と異ならせることができる。これら2つの領域の屈折角及び度数は、互いに比較的無関係に調整可能である。
【0094】
これらの輻輳低減レンズ100のいくつかの実施形態は、さらに以下のことを特徴とする。
図11Aを参照して、座標系の中心からあるx方向距離の位置にある前側遠方視表面140df及び後側遠方視表面140drは遠方視面輻輳角γdvrを画定することができ、座標系の中心から同じx方向距離の位置にある前側近方視表面140nf及び後側近方視表面140nrは近方視面輻輳角γnvrを画定することができる。実施形態では、近方視面輻輳角は、遠方視面輻輳角よりも小さい。
γnvr < γdvr (18)
【0095】
輻輳低減軸外曲率中心レンズ100はさらに、
図1-11に関連して説明された特徴によって特徴付けられてもよいし、それらの特徴と組み合わされてもよい。
【0096】
本願明細書は多くの具体例を含むが、これらは本発明の範囲又は特許請求の範囲の限定として解釈されるべきではなく、むしろ本発明の特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。本願明細書において別々の実施形態の文脈で説明されている特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴は、別々の実施形態又は適切なサブコンビネーションにおいても実施することができる。さらに、特徴はある組み合わせで作用するものとして上述され、さらに特許請求の範囲に記載されることさえあるが、特許請求の範囲に記載の組み合わせから1つ以上の特徴を切り離すこともでき、特許請求の範囲に記載の組み合わせを、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形例とすることもできる。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼精疲労軽減レンズであって、
前記眼精疲労軽減レンズの中心法線はz軸を規定し、前記眼精疲労軽減レンズの中央領域はx-y中心接平面を画定し、前記z軸及び前記x-y中心接平面は協働して前記眼精疲労軽減レンズのx-y-z座標系を画定し、
前記眼精疲労軽減レンズは、
負でない遠方視度数を有するとともに、光源によって方向付けされた光線を、前記座標系の中心からx方向の遠方視距離の位置にある遠方視領域点で屈折させ、眼の中心代表位置に伝搬するように構成されている遠方視領域と、
前記遠方視度数と0.5D以内で一致する近方視度数を有するとともに、前記光源によって方向付けされた光線を、前記座標系の前記中心からx方向の近方視距離の位置にある近方視領域点で屈折させ、前記眼の中心代表位置に伝搬するように構成されている近方視領域と、を備え、
前記x方向の近方視距離は、前記x方向の遠方視距離よりも小さい、眼精疲労軽減レンズ。
【請求項2】
前記遠方視領域は、前記光源によって方向付けられた前記光線が、前記x方向の遠方視距離の位置にある前記遠方視領域点で屈折し、前記座標系のy-z平面に対して遠方凝視輻輳角で交差するように構成され、
前記近方視領域は、前記光源によって方向付けられた前記光線が、前記x方向の近方視距離の位置にある前記近方視領域点で屈折し、前記座標系の前記y-z平面に対して近方凝視輻輳角で交差するように構成され、
前記近方凝視輻輳角は、前記遠方凝視輻輳角よりも小さい、請求項1に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項3】
前記遠方視領域は、前記光源によって方向付けられた前記光線が、前記x方向の遠方視距離の位置にある前記遠方視領域点において遠方視屈折角で屈折するように構成され、
前記近方視領域は、前記光源によって方向付けられた前記光線が、前記x方向の近方視距離の位置にある前記近方視領域点において近方視屈折角で屈折するように構成され、
前記近方視屈折角のx成分は、前記遠方視屈折角のx成分よりも小さい、請求項1に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項4】
前記遠方視領域と前記近方視領域との間に少なくとも部分的に設けられるとともに、前記光源によって方向付けられた光線が、前記x方向の累進距離に位置する累進領域点で屈折し、眼の中心代表位置に伝搬するように構成された累進領域を備え、
前記x方向の累進距離は、前記x方向の近方視距離と前記x方向の遠方視距離との間である、請求項1に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項5】
前記光源は、前記座標系の前記z軸からx方向に、前記眼精疲労軽減レンズの半径よりも大きいx方向光源距離だけ離れ、かつz方向に、10cmと100cmとの間であるz方向光源距離だけ離れた位置に配置される、請求項1に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項6】
前記光源は、前記座標系の前記z軸からx方向に、前記眼精疲労軽減レンズの半径よりも小さいx方向光源距離だけ離れ、かつz方向に、100cmより大きいz方向光源距離だけ離れた位置に配置される、請求項1に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項7】
前記眼の中心代表位置は、前記z軸上の、前記座標系の前記中心から15-25mmの範囲で、前記光源とは反対のz方向位置にある、請求項1に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項8】
前記近方視領域の面積は5mm2より大きい、請求項1に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項9】
前記近方視度数は、前記遠方視度数と0.25D以内で一致する、請求項1に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項10】
前記遠方視度数及び前記近方視度数は、0.5Dより小さい、請求項1に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項11】
前記遠方視度数及び前記近方視度数は、0Dである、請求項10に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項12】
前記近方視領域は、正度数の遠方視領域の、遠方視屈折角の負のx成分を、近方視屈折角のx成分に補正するように構成され、該近方視屈折角のx成分は、前記遠方視屈折角のx成分より絶対値が小さい負の値、ほぼゼロの値、及び正の値のいずれか1つである、請求項1に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項13】
前記近方視領域は、度数がほぼゼロの遠方視領域の、遠方視屈折角のほぼゼロのx成分を、近方視屈折角の正の成分に補正するように構成されている、請求項1に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項14】
前記座標系の前記中心からx方向距離の位置にある遠方視前接線、及び該x方向距離の位置にある近方視前接線を備えた前面と、
前記x方向距離の位置にある遠方視後接線、及び該x方向距離の位置にある近方視後接線を備えた後面と、を備え、
前記遠方視前接線及び前記遠方視後接線は、遠方視面輻輳角を形成し、
前記近方視前接線及び前記近方視後接線は、近方視面輻輳角を形成し、
前記近方視面輻輳角は、前記遠方視面輻輳角よりも小さい、請求項1に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項15】
前記遠方視領域は、z軸を有し、
前記近方視領域は、z軸を有し、
前記近方視領域のz軸は、前記遠方視領域のz軸に対して鼻方向に回転されている、請求項1に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項16】
眼精疲労軽減レンズであって、
前記眼精疲労軽減レンズの中心法線はz軸を規定し、前記眼精疲労軽減レンズの中央領域はx-y中心接平面を画定し、前記z軸及び前記x-y中心接平面は協働して前記眼精疲労軽減レンズのx-y-z座標系を画定し、
前記眼精疲労軽減レンズは、
負でない遠方視度数を有するとともに、光源によって方向付けされた光線を、前記座標系の中心からx方向の遠方視距離の位置にある遠方視領域点で屈折させ、像点に伝搬するように構成されている遠方視領域と、
前記遠方視度数と0.5D以内で一致する近方視度数を有するとともに、前記光源によって方向付けされた光線を、前記座標系の前記中心からx方向の近方視距離の位置にある近方視領域点で屈折させ、前記像点に伝搬するように構成されている近方視領域と、を備え、
前記光源は、前記座標系の中心からz方向の光源距離の位置に配置され、
前記x方向の近方視距離は、前記x方向の遠方視距離よりも小さい、眼精疲労軽減レンズ。
【請求項17】
前記遠方視領域は、前記光源によって前記座標系のy-z平面に対して遠方凝視輻輳角をなすように方向付けられた光線が、前記遠方視領域点での屈折によって前記像点に伝搬するように構成され、
前記近方視領域は、前記光源によって前記座標系の前記y-z平面に対して近方凝視輻輳角をなすように方向付けられた光線が、前記近方視領域点での屈折によって前記像点に伝搬するように構成され、
前記近方凝視輻輳角は、前記遠方凝視輻輳角よりも小さい、請求項16に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項18】
前記遠方視領域は、前記光源によって方向付けられた前記光線が、前記遠方視領域点において遠方視屈折角で屈折して前記像点に伝搬するように構成され、
前記近方視領域は、前記光源によって方向付けられた前記光線が、前記近方視領域点において近方視屈折角で屈折して前記像点に伝搬するように構成され、
前記近方視屈折角のx成分は、前記遠方視屈折角のx成分よりも小さい、請求項16に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項19】
前記座標系の前記中心からx方向距離の位置にある遠方視前接線、及び該x方向距離の位置にある近方視前接線を備えた前面と、
前記x方向距離の位置にある遠方視後接線、及び該x方向距離の位置にある近方視後接線を備えた後面と、を備え、
前記遠方視前接線及び前記遠方視後接線は、遠方視面輻輳角を形成し、
前記近方視前接線及び前記近方視後接線は、近方視面輻輳角を形成し、
前記近方視面輻輳角は、前記遠方視面輻輳角よりも小さい、請求項16に記載の眼精疲労軽減レンズ。
【請求項20】
前記遠方視領域は、z軸を有し、
前記近方視領域は、z軸を有し、
前記近方視領域のz軸は、前記遠方視領域のz軸に対して鼻方向に回転されている、請求項16に記載の眼精疲労軽減レンズ。