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特開2022-76040板金部品に対するプリズムのシール構造及び方法
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  • 特開-板金部品に対するプリズムのシール構造及び方法 図1
  • 特開-板金部品に対するプリズムのシール構造及び方法 図2
  • 特開-板金部品に対するプリズムのシール構造及び方法 図3
  • 特開-板金部品に対するプリズムのシール構造及び方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076040
(43)【公開日】2022-05-19
(54)【発明の名称】板金部品に対するプリズムのシール構造及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/18 20210101AFI20220512BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20220512BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20220512BHJP
【FI】
G02B7/18 100
F16J15/10 B
G02B7/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186236
(22)【出願日】2020-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】中澤 太登
【テーマコード(参考)】
2H043
3J040
【Fターム(参考)】
2H043AE17
2H043AE18
2H043AE23
2H043BA01
3J040AA15
3J040AA17
3J040BA03
3J040EA16
3J040FA05
3J040HA05
3J040HA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ポッティング及びOリングを用いることなく、プリズムのシーリングを行う。
【解決手段】板金部品に対するプリズムのシール構造及び方法は、板金部品2の保持孔6にプリズム7の前部7cを貫通させ、プリズム7と前記板金部品2との間に設けたシール部材10Aにより、プリズム7の外側13に位置する液体12がプリズム7の内側14に侵入することを防止するようにした板金部品に対するプリズムのシール構造及び方法において、シール部材10Aは、板金部品2に加硫成形によって設けられた加硫成形ゴム部材10と、プリズム7のフランジ部8に設けられた凸部8Aと、からなり、凸部8Aが前記加硫成形ゴム部材10に対して密合している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板金部品(2)の保持孔(6)にプリズム(7)の前部(7c)を貫通させ、前記プリズム(7)と前記板金部品(2)との間に設けたシール部材(10A)により、前記プリズム(7)の外側(13)に位置する液体(12)が前記プリズム(7)の内側(14)に侵入することを防止するようにした板金部品に対するプリズムのシール構造において、
前記シール部材(10A)は、前記板金部品(2)に加硫成形によって設けられた加硫成形ゴム部材(10)と、前記プリズム(7)のフランジ部(8)に設けられた凸部(8A)と、からなり、前記凸部(8A)が前記加硫成形ゴム部材(10)に対して密合していることを特徴とする板金部品に対するプリズムのシール構造。
【請求項2】
前記加硫成形ゴム部材(10)には、凹部(10B)が形成され、前記凸部(8A)が前記凹部(10B)内に設けられていることを特徴とする請求項1記載の板金部品に対するプリズムのシール構造。
【請求項3】
前記加硫成形ゴム部材(10)の前記凸部(8A)が密合するための前記加硫成形ゴム部材(10)の面(20)は、平面(20a)よりなり、前記凸部(8A)は所定のR部(8E)からなり、前記平面(20a)に密合する前記凸部(8A)は点接触(21)よりなることを特徴とする請求項1記載の板金部品に対するプリズムのシール構造。
【請求項4】
板金部品(2)の保持孔(6)にプリズム(7)の前部(7c)を貫通させ、前記プリズム(7)と前記板金部品(2)との間に設けたシール部材(10A)により、前記プリズム(7)の外側(13)に位置する液体(12)が前記プリズム(7)の内側(14)に侵入することを防止するようにした板金部品に対するプリズムのシール方法において、
前記シール部材(10A)は、前記板金部品(2)に加硫成形によって設けられた加硫成形ゴム部材(10)と、前記プリズム(7)のフランジ部(8)に設けられた凸部(8A)と、からなり、前記凸部(8A)が前記加硫成形ゴム部材(10)に対して密合していることを特徴とする板金部品に対するプリズムのシール方法。
【請求項5】
前記加硫成形ゴム部材(10)には、凹部(10B)が形成され、前記凸部(8A)が前記凹部(10B)内に設けられていることを特徴とする請求項4記載の板金部品に対するプリズムのシール方法。
【請求項6】
前記加硫成形ゴム部材(10)の前記凸部(8A)が密合するための前記加硫成形ゴム部材(10)の面(20)は、平面(20a)よりなり、前記凸部(8A)は所定のR部(8E)からなり、前記平面(20a)に密合する前記凸部(8A)は点接触(21)よりなることを特徴とする請求項4記載の板金部品に対するプリズムのシール方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板金部品に対するプリズムのシール構造及び方法に関し、特に、板金部品に加硫成形により形成された加硫成形ゴム部材を設け、プリズムのフランジ部に設けた凸部を加硫成形ゴム部材に密合させることにより、ポッティング剤及びOリングを用いることなくシールを行うための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の部材の接合構造として、特許文献1に開示されている「燃料電池用セパレータとそのゴムパッキンの成形方法」を挙げることができる。
この特許文献1に開示されている構成においては、一対のセパレータ間にゴムパッキンが配置され、外部から液体が侵入することのないように構成されている。
【0003】
また、本出願人が開発した液体燃料計(特に、構成内容を示す文献等は不在)の試作品の場合、図4に示すように、全体形状が凹部形をなす板金部品2に、固定部材3を介してプリズムガード1が固定されている。
前記板金部品2は、複数の支柱4を介してカバー1Aが固定されている。
【0004】
前記板金部品2に形成された保持孔6内には、プリズム7が嵌め込み式にて設けられており、このプリズム7の段部7aに前記保持孔6が係合していることにより、前記プリズム7は、前記板金部品2に強固に取付けられている。
前記プリズム7のフランジ部8と前記板金部品2との間には、シーラントとして樹脂のポッティング9が施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-190307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のシール構造は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述の特許文献1の構成においては、一対のセパレータ間にゴムパッキンが配置されているが、このゴムパッキンは経時変化によって材質が劣化し、シーリングの作用が低下していた。
また、図4のプリズムと板金部品との間に設けられたポッティングは、ポッティング作業における気泡の発生による漏れの恐れがあり、また、その作業には多くの工数を必要としていた。
また、Oリングを用いる方法の場合には、フランジに形成する溝加工が必要となり、部品の形状が大となると共に部品点数も多くなっていた。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、板金部品に加硫成形によって形成された加硫成形ゴム部材を設け、プリズムのフランジ部に設けた凸部を加硫成形ゴム部材に密合させることにより、ポッティング及びOリングを用いることなくシールを行うようにした板金部品に対するプリズムのシール構造及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による板金部品に対するプリズムのシール構造は、板金部品の保持孔にプリズムの前部を貫通させ、前記プリズムと前記板金部品との間に設けたシール部材により、前記プリズムの外側に位置する液体が前記プリズムの内側に侵入することを防止するようにした板金部品に対するプリズムのシール構造において、前記シール部材は、前記板金部品に加硫成形によって設けられた加硫成形ゴム部材と、前記プリズムのフランジ部に設けられた凸部と、からなり、前記凸部が前記加硫成形ゴム部材に対して密合している構成であり、また、前記加硫成形ゴム部材には、凹部が形成され、前記凸部が前記凹部内に設けられている構成であり、また、前記加硫成形ゴム部材の前記凸部が密合するための前記加硫成形ゴム部材の面は、平面よりなり、前記凸部は所定のR部からなり、前記平面に密合する前記凸部は点接触よりなる構成であり、また、本発明による板金部品に対するプリズムのシール方法は、板金部品の保持孔にプリズムの前部を貫通させ、前記プリズムと前記板金部品との間に設けたシール部材により、前記プリズムの外側に位置する液体が前記プリズムの内側に侵入することを防止するようにした板金部品に対するプリズムのシール方法において、前記シール部材は、前記板金部品に加硫成形によって設けられた加硫成形ゴム部材と、前記プリズムのフランジ部に設けられた凸部と、からなり、前記凸部が前記加硫成形ゴム部材に対して密合する方法であり、また、前記加硫成形ゴム部材には、凹部が形成され、前記凸部が前記凹部内に設けられている方法であり、また、前記加硫成形ゴム部材の前記凸部が密合するための前記加硫成形ゴム部材の面は、平面よりなり、前記凸部は所定のR部からなり、前記平面に密合する前記凸部は点接触よりなる方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明による板金部品に対するプリズムのシール構造及び方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、板金部品の保持孔にプリズムの前部を貫通させ、前記プリズムと前記板金部品との間に設けたシール部材により、前記プリズムの外側に位置する液体が前記プリズムの内側に侵入することを防止するようにした板金部品に対するプリズムのシール構造及び方法において、前記シール部材は、前記板金部品に加硫成形によって設けられた加硫成形ゴム部材と、前記プリズムのフランジ部に設けられた凸部と、からなり、前記凸部が前記加硫成形ゴム部材に対して密合していることにより、加硫成形ゴム部材は、水や油等の液体に対して十分な耐久性があり、簡単な構造で板金部品とプリズムの結合時のシーリングを簡単に得ることができる。
また、前記加硫成形ゴム部材には、凹部が形成され、前記凸部が前記凹部内に設けられていることにより、凸部と凹部の組合せにより、確実なシーリングを得ることができる。
また、前記加硫成形ゴム部材の前記凸部が密合するための前記加硫成形ゴム部材の面は、平面よりなり、前記凸部は所定のR部からなり、前記平面に密合する前記凸部は点接触よりなることにより、シーリング効果が高く、かつ、耐久性も従来より長く保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態による板金部品に対するプリズムのシール構造及び方法を示す断面図である。
図2図1の要部の拡大断面図である。
図3図2の他の形態を示す断面図である。
図4】従来構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による板金部品に対するプリズムのシール構造及び方法は、板金部品に加硫成形によって形成された加硫成形ゴム部材を設け、プリズムのフランジ部に設けた凸部を加硫成形ゴム部材に密合させることにより、ポッティング及びOリングを用いることなくシーリングを行うことである。
【実施例0012】
以下、図面と共に本発明による板金部品に対するプリズムのシール構造及び方法の好適な実施の形態について説明する。
尚、図4の従来構成と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において、全体形状が凹部形をなす板金部品2に、固定部材3を介してプリズムガード1が固定されている。
前記板金部品2には、複数の支柱4を介してカバー1Aが固定されている。
【0013】
前記板金部品2に形成された保持孔6内には、プリズム7の前部7cが嵌め込み式にて貫通して設けられており、前記板金部品2の裏側2Aには、前記プリズム7の基部7bの外周に位置するように、シール部材としての輪状の加硫成形ゴム部材10が加硫成形によって設けられている。
【0014】
前記加硫成形ゴム部材10は、前記プリズム7と前記板金部品2との間に設けたシール部材10Aであると共に、前記板金部品2に対して加硫成形によって形成されている。
前記加硫成形ゴム部材10により、前記プリズム7の外側13に位置するタンク11内の液体12が前記プリズム7の内側14に侵入することを防止することができるように構成されている。
【0015】
前記板金部品2の裏側2Aに設けられた前記加硫成形ゴム部材10と前記プリズム7のフランジ部8に設けられた凸部8Aとによって前記シール部材10Aが構成されている。
前記凸部8Aは、前記加硫成形ゴム部材10に形成された凹部10Bに対して、挿入又は嵌入によって、互いに密合するように構成されている。
【0016】
前述の図1及び図2に示される前記凸部8Aが前記凹部10Bに嵌め込み式に密合する構成について述べたが、例えば、図3で示す他の形態のように、前記加硫成形ゴム部材10の面20は平面20aよりなり、前記凸部8AはR部8Eから構成されている。
従って、前記加硫成形ゴム部材10の平面20aからなる面20に対して、前記凸部8Aは点接触21となり、前記凸部8Aと前記面20との密合を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明による板金部品に対するプリズムのシール構造及び方法は、板金部品に加硫成形によって設けられた加硫成形ゴム部材と、プリズムのフランジ部に設けられた凸部とを用い、加硫成形ゴム部材に対して前記凸部を押し当てることにより、シーリングを達成し、プリズムの外側のタンク内の液体のプリズムの内側への侵入を防止し、完全なシーリングが可能となり、燃料計等の信頼性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0018】
1 プリズムガード
1A カバー
1a 内面
2 板金部品
2A 裏側
3 固定部材
4 支柱
5 背部
6 保持孔
7 プリズム
7b 基部
7c 前部
8 フランジ部
8A 凸部
8E R部
10 加硫成形ゴム部材
10A シール部材
10B 凹部
11 タンク
12 液体
13 外側
14 内側
20 面
20a 平面
21 点接触
図1
図2
図3
図4