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特開2022-76105データロギング装置、データロギング方法、及びデータロギングプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076105
(43)【公開日】2022-05-19
(54)【発明の名称】データロギング装置、データロギング方法、及びデータロギングプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20220512BHJP
【FI】
G05B23/02 301V
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186361
(22)【出願日】2020-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】熊木 孝政
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223BA01
3C223BB13
3C223CC01
3C223DD01
3C223FF05
3C223FF14
3C223FF15
3C223FF26
3C223FF32
3C223GG01
(57)【要約】
【課題】アラーム機能を搭載していない機器についても、ユーザが簡便な操作でアラームを発生させることが可能なデータロギング装置等を提供する。
【解決手段】データロギング装置は、機器で得られたデータの収集を行うデータロギング装置であって、機器を通信可能に接続するために必要となる登録情報と、機器で得られたデータに関するアラームを発生させるために必要となる設定情報とが定義された定義ファイルの登録情報に基づいて機器を通信可能に接続するための登録処理を行うとともに、定義ファイルの設定情報に基づいてアラームの発生に必要な設定処理を行う登録処理部を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器で得られたデータの収集を行うデータロギング装置であって、
前記機器を通信可能に接続するために必要となる登録情報と、前記機器で得られたデータに関するアラームを発生させるために必要となる設定情報とが定義された定義ファイルの前記登録情報に基づいて前記機器を通信可能に接続するための登録処理を行うとともに、前記定義ファイルの前記設定情報に基づいて前記アラームの発生に必要な設定処理を行う登録処理部を備えるデータロギング装置。
【請求項2】
前記定義ファイルを格納する格納部を更に備えており、
前記登録処理部は、前記格納部から前記定義ファイルを読み出して前記登録処理及び前記設定処理を行う、
請求項1記載のデータロギング装置。
【請求項3】
前記定義ファイルの前記登録情報には、前記機器のアドレスと前記機器で得られるデータが入力されるべきタグの識別子とが含まれており、
前記登録処理部は、前記定義ファイルの前記登録情報に基づいて、通信可能に接続されている前記機器の一覧を示すアドレスリストに前記機器のアドレスを登録する処理と、前記機器で得られるデータが入力される前記タグの前記識別子を登録する処理とを行う、
請求項1又は請求項2記載のデータロギング装置。
【請求項4】
前記定義ファイルの前記設定情報には、前記アラームの発生条件を規定するアラーム情報が含まれており、
前記登録処理部は、前記アラーム情報を前記識別子で特定される前記タグに格納する処理を行う、
請求項3記載のデータロギング装置。
【請求項5】
前記タグに入力されるデータと、前記タグに格納された前記アラーム情報とに基づいて前記アラームを発生させるアラーム発生部を備える、請求項4記載のデータロギング装置。
【請求項6】
少なくとも、前記タグに入力されるデータと、前記アラーム発生部によって発生される前記アラームとを表示する表示部を備える、請求項5記載のデータロギング装置。
【請求項7】
前記タグに入力されるデータの統計処理を行う統計処理部を備えており、
前記表示部は、前記統計処理部の統計処理結果を表示する、
請求項6記載のデータロギング装置。
【請求項8】
前記タグに入力された過去のデータを用いて、未来のデータを推定する推定部を備えており、
前記表示部は、前記推定部で推定された未来のデータを表示する、
請求項6又は請求項7記載のデータロギング装置。
【請求項9】
機器で得られたデータの収集を行うデータロギング方法であって、
前記機器を通信可能に接続するために必要となる登録情報と、前記機器で得られたデータに関するアラームを発生させるために必要となる設定情報とが定義された定義ファイルの前記登録情報に基づいて前記機器を通信可能に接続するための登録処理を行うとともに、前記定義ファイルの前記設定情報に基づいて前記アラームの発生に必要な設定処理を行うステップを有するデータロギング方法。
【請求項10】
コンピュータを、機器で得られたデータの収集を行うデータロギング装置として機能させるデータロギングプログラムであって、
前記コンピュータを、前記機器を通信可能に接続するために必要となる登録情報と、前記機器で得られたデータに関するアラームを発生させるために必要となる設定情報とが定義された定義ファイルの前記登録情報に基づいて前記機器を通信可能に接続するための登録処理を行うとともに、前記定義ファイルの前記設定情報に基づいて前記アラームの発生に必要な設定処理を行う登録処理手段として機能させるデータロギングプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データロギング装置、データロギング方法、及びデータロギングプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
データロギング装置は、プラントや工場等の敷地内に分散配置されている様々な機器で得られたデータを、ネットワーク経由で監視・記録する装置である。近年において、データロギング装置は、監視・記録の効率化を図るために、ソフトウェア的に実現されることが多くなっている。つまり、データロギング装置は、データロギング装置の機能を実現するプログラム(データロギングプログラム)を、パーソナルコンピュータ等のコンピュータにインストールすることによって実現されることが多くなっている。
【0003】
このようなデータロギング装置は、例えば、レコーダ、データロガー、計装機器、パワーメータ、Modbus(登録商標)機器等の幅広い機器のデータを収集可能である。尚、Modbus機器とは、Modbus通信プロトコルに対応した測定機器をいう。データロギング装置でModbus機器のデータを収集するには、データ収集の対象となるModbus機器をデータロギング装置に登録する必要がある。以下の特許文献1には、データロギング装置に関するものではないが、Modbus機器の登録(コンフィギュレーション)を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-221934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したModbus機器には、アラーム機能を搭載していないものがある。このようなModbus機器については、ユーザが、データロギング装置に対してアラームを発生させるための設定処理を行えば、アラームを発生させることが可能である。しかしながら、この設定作業は、上述したModbus機器の登録作業とは別に行う必要があって手間を要するため、データロギング装置のユーザにとっては不便であるという問題があった。また、手間を要して不便であるため、所望のアラームをデータロギング装置に発生させることが困難であるという問題もあった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、アラーム機能を搭載していない機器についても、ユーザが簡便な操作でアラームを発生させることが可能なデータロギング装置、データロギング方法、及びデータロギングプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様によるデータロギング装置は、機器(10)で得られたデータの収集を行うデータロギング装置(20)であって、前記機器を通信可能に接続するために必要となる登録情報と、前記機器で得られたデータに関するアラームを発生させるために必要となる設定情報とが定義された定義ファイル(F1)の前記登録情報に基づいて前記機器を通信可能に接続するための登録処理を行うとともに、前記定義ファイルの前記設定情報に基づいて前記アラームの発生に必要な設定処理を行う登録処理部(24a)を備える。
【0008】
また、本発明の一態様によるデータロギング装置は、前記定義ファイルを格納する格納部(23)を更に備えており、前記登録処理部が、前記格納部から前記定義ファイルを読み出して前記登録処理及び前記設定処理を行う。
【0009】
また、本発明の一態様によるデータロギング装置は、前記定義ファイルの前記登録情報には、前記機器のアドレスと前記機器で得られるデータが入力されるべきタグ(T1)の識別子とが含まれており、前記登録処理部が、前記定義ファイルの前記登録情報に基づいて、通信可能に接続されている前記機器の一覧を示すアドレスリスト(L1)に前記機器のアドレスを登録する処理と、前記機器で得られるデータが入力される前記タグの前記識別子を登録する処理とを行う。
【0010】
また、本発明の一態様によるデータロギング装置は、前記定義ファイルの前記設定情報には、前記アラームの発生条件を規定するアラーム情報が含まれており、前記登録処理部が、前記アラーム情報を前記識別子で特定される前記タグに格納する処理を行う。
【0011】
また、本発明の一態様によるデータロギング装置は、前記タグに入力されるデータと、前記タグに格納された前記アラーム情報とに基づいて前記アラームを発生させるアラーム発生部(24b)を備える。
【0012】
また、本発明の一態様によるデータロギング装置は、少なくとも、前記タグに入力されるデータと、前記アラーム発生部によって発生される前記アラームとを表示する表示部(22)を備える。
【0013】
また、本発明の一態様によるデータロギング装置は、前記タグに入力されるデータの統計処理を行う統計処理部(24c)を備えており、前記表示部が、前記統計処理部の統計処理結果を表示する。
【0014】
また、本発明の一態様によるデータロギング装置は、前記タグに入力された過去のデータを用いて、未来のデータを推定する推定部(24d)を備えており、前記表示部が、前記推定部で推定された未来のデータを表示する。
【0015】
本発明の一態様によるデータロギング方法は、機器(10)で得られたデータの収集を行うデータロギング方法であって、前記機器を通信可能に接続するために必要となる登録情報と、前記機器で得られたデータに関するアラームを発生させるために必要となる設定情報とが定義された定義ファイル(F1)の前記登録情報に基づいて前記機器を通信可能に接続するための登録処理を行うとともに、前記定義ファイルの前記設定情報に基づいて前記アラームの発生に必要な設定処理を行うステップ(S11,S12)を有する。
【0016】
また、本発明の一態様によるデータロギングプログラムは、コンピュータを、機器(10)で得られたデータの収集を行うデータロギング装置(20)として機能させるデータロギングプログラムであって、前記コンピュータを、前記機器を通信可能に接続するために必要となる登録情報と、前記機器で得られたデータに関するアラームを発生させるために必要となる設定情報とが定義された定義ファイルの前記登録情報に基づいて前記機器を通信可能に接続するための登録処理を行うとともに、前記定義ファイルの前記設定情報に基づいて前記アラームの発生に必要な設定処理を行う登録処理手段(24a)として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アラーム機能を搭載していない機器についても、ユーザが簡便な操作でアラームを発生させることが可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態によるデータロギング装置が用いられるデータロギングシステムの全体構成を簡略化して示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態によるデータロギング装置の要部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態によるデータロギング装置で用いられる定義ファイルの構造を説明するための図である。
図4】本発明の一実施形態によるデータロギング装置で用いられる定義ファイルの具体例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態によるデータロギング方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態によるデータロギング装置、データロギング方法、及びデータロギングプログラムについて詳細に説明する。以下では、まず本発明の実施形態の概要について説明し、続いて本発明の実施形態の詳細について説明する。
【0020】
〔概要〕
本発明の実施形態は、アラーム機能を搭載していない機器についても、ユーザが簡便な操作でアラームを発生させることを可能とするものである。例えば、アラーム機能を搭載していないModbus(登録商標)機器についても、ユーザがデータロギング装置に対して簡便な操作を行うことで、Modbus機器で得られるデータの値に応じて、アラームを発生させることを可能とするものである。尚、Modbus機器とは、Modbus通信プロトコルに対応した測定機器をいう。
【0021】
ここで、データロギング装置でModbus機器のデータを収集するには、データの収集対象であるModbus機器をデータロギング装置に登録する必要がある。具体的には、ユーザが、データの収集対象であるModbus機器に関する情報が定義された定義ファイルを作成し、その定義ファイルをデータロギング装置に読み込ませることでModbus機器の登録を行う必要がある。ここで、上記の定義ファイルには、例えば、Modbus機器のアドレス、Modbus機器で得られるデータが入力されるべきタグの識別子等が定義されている。
【0022】
以上の登録が行われることで、Modbus機器はデータロギング装置と通信可能に接続される。これにより、データロギング装置は、Modbus機器で得られたデータを収収集することが可能になる。尚、Modbus機器から収集されたデータは、そのModbus機器に割り当てられているタグに入力されることになる。
【0023】
Modbus機器がアラーム機能を搭載するものである場合には、データロギング装置は、タグに入力されたデータを参照することで、アラームを発生することが可能である。しかしながら、Modbus機器がアラーム機能を搭載しないものである場合には、データロギング装置は、タグに入力されたデータを参照しただけでは、アラームを発生することはできない。
【0024】
そこで、従来のデータロギング装置は、Modbus機器で得られたデータが入力されるタグに対し、アラームの発生条件を規定するアラーム情報が設定された参照タグを紐付けることにより、アラームの発生を可能としていた。しかしながら、このような従来のデータロギング装置では、Modbus機器で得られたデータが入力されるタグとは別に、参照タグを用意してアラーム情報を設定する作業が必要であった。このように、従来のデータロギング装置では、アラームを発生させる設定作業に手間を要するため、データロギング装置のユーザにとっては不便である。
【0025】
本発明の実施形態では、まず、ユーザが、Modbus機器等の機器を通信可能に接続するために必要となる登録情報と、機器で得られたデータに関するアラームを発生させるために必要となる設定情報とが定義された定義ファイルを用意する。そして、データロギング装置の登録処理部が、定義ファイルの登録情報に基づいて機器を通信可能に接続するための登録処理を行うとともに、定義ファイルの設定情報に基づいてアラームの発生に必要な設定処理を行うようにしている。これにより、従来、アラームを発生させるために必要であった参照タグの設定作業が不要になるため、アラーム機能を搭載していない機器についても、ユーザが簡便な操作でアラームを発生させることができる。
【0026】
〔詳細〕
〈データロギングシステム〉
図1は、本発明の一実施形態によるデータロギング装置が用いられるデータロギングシステムの全体構成を簡略化して示すブロック図である。図1に示す通り、データロギングシステム1は、ネットワークNに接続された複数の機器10とデータロギング装置20とを備える。機器10は、プラントや工場等の敷地内に分散配置されている機器であり、例えば、レコーダ、データロガー、計装機器、パワーメータ、Modbus(登録商標)機器、その他の機器である。尚、本実施形態では、説明を簡略化するために、機器10がModbus機器であるとする。
【0027】
ネットワークNは、プラントや工場等の敷地内に敷設されたネットワークである。尚、ネットワークNは、有線通信が可能なネットワーク、無線通信が可能なネットワーク、有線通信及び無線通信の双方が可能なネットワークの何れであっても良い。但し、本実施形態において、ネットワークNは、Modbusプロトコルによる通信が可能なネットワークであるとする。データロギング装置20は、ネットワークNを介して複数の機器10と通信可能に接続され、機器10の各々で得られたデータを収集する。
【0028】
〈データロギング装置〉
図2は、本発明の一実施形態によるデータロギング装置の要部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、本実施形態のデータロギング装置20は、操作部21、表示部22、格納部23、処理部24、通信部25、及びドライブ装置26を備える。このようなデータロギング装置20は、例えば、パーソナルコンピュータ又はワークステーション等のコンピュータによって実現される。
【0029】
操作部21は、例えば、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置を備えており、データロギング装置20を使用するユーザの操作に応じた指示(データロギング装置20に対する指示)を処理部24に出力する。表示部22は、例えば、液晶表示装置等の表示装置を備えており、処理部24から出力される各種情報を表示する。この表示部22は、機器10で得られたデータと後述するアラームとを少なくとも表示することが可能である。尚、操作部21及び表示部22は、物理的に分離されたものであっても良く、表示機能と操作機能とを兼ね備えるタッチパネル式の液晶表示装置のように物理的に一体化されたものであっても良い。
【0030】
格納部23は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)等の補助記憶装置を備えており、各種情報を格納する。具体的に、格納部23は、定義ファイルF1、アドレスリストL1、及びタグT1を格納する。尚、格納部23は、データロギング装置20の機能を実現する各種プログラム、処理部24の処理を行うために一時的に用いられるデータ等が格納されていても良い。
【0031】
定義ファイルF1は、データの収集対象である機器10に関する情報が定義されたファイルである。この定義ファイルF1は、例えば、データロギング装置20のユーザが、データロギング装置20の操作部21を操作することによって作成される。尚、データロギング装置20のユーザが、他のコンピュータを用いて作成した定義ファイルF1を、データロギング装置20に読み込ませても良い。ユーザによって作成された定義ファイルF1は、データロギング装置20に機器10を登録するため、及びデータロギング装置20でアラームを発生させるための設定を行うために用いられる。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態によるデータロギング装置で用いられる定義ファイルの構造を説明するための図である。図3に示す通り、定義ファイルF1は、1つの要素(ノード)が複数の子要素を持ち、1つの子要素が複数の孫要素を持つといった具合に、階層が深くなるほど枝分かれしていく構造(ツリー構造)である。
【0033】
図3に示す例において、定義ファイルF1は、Level0~Level5の階層を有する。最上位の階層(Level0)では、定義ファイルF1のルート要素(ModbusDevice)が規定される。第1階層(Level1)では、オプションリストノード(Options)、レジスターリストノード(Registers)、チャネルリストノード(channels)、値変換テーブルリストノード(Trans Tables)等の各種ノードが規定される。また、チャネルリストノード(channels)の第3階層(Level3)では、チャネル情報の詳細として、チャネルの設定の初期値(Init)、チャネルの値(Value)、及びアラームリストノード(Alarms)が規定される。
【0034】
ここで、図3において、矩形R11で囲われたレジスターリストノード(Registers)では、データロギング装置20に登録される機器10のアドレスのリスト(登録情報)が規定される。また、矩形R12で囲われたチャネルの値(Value)では、機器10で得られたデータが入力されるべきタグの識別子(登録情報)が規定される。また、矩形R13で囲われたアラームリストノード(Alarms)では、アラームの発生条件を規定するアラーム情報(設定情報)が規定される。尚、アラーム情報には、例えば、アラームの種類、アラームを発生させる閾値(上限閾値、下限閾値、変化幅の閾値等)等が含まれる。
【0035】
図4は、本発明の一実施形態によるデータロギング装置で用いられる定義ファイルの具体例を示す図である。図4に示す通り、定義ファイルF1は、例えば、XML(Extensible Markup Language)によって記述され、テキストファイルとして格納部23に格納される。図3中の矩形R11で囲われたレジスターリストノード(Registers)として、例えば、図4中の矩形R21で囲われた内容が規定される。ここで、図4に示す例では、複数の機器10について、名称(Name)、機能コード(FunctionCode)、アドレス(Address)、データ型(DataType)を示す情報が規定されている。
【0036】
また、図3中の矩形R12で囲われたチャネルの値(Value)として、例えば、図4中の矩形R22で囲われた内容が規定される。ここで、図4に示す例では、機器10で得られたデータが入力されるべきタグの識別子「PV」が規定されている。また、図3中の矩形R13で囲われたアラームリストノード(Alarms)として、例えば、図4中の矩形R23で囲われた内容が規定される。
【0037】
アドレスリストL1は、データロギング装置20に通信可能に接続されている機器10のアドレス、各種設定値、その他の情報が格納されているリストである。データロギング装置20は、アドレスリストL1を参照して機器10と通信を行う。つまり、データロギング装置20は、アドレスリストL1にアドレスが格納されている機器10と通信を行うことが可能であるが、アドレスリストL1にアドレスが格納されていない機器10とは通信を行うことができない。
【0038】
タグT1は、機器10を特定するために、機器10の各々に割り当てられる識別情報である。尚、タグT1は、基本的には、機器10の各々について一意に定まる文字列が割り当てられるが、複数の機器10に対して同じ文字列が割り当てられる場合もある。例えば、異なるプラントに設置されている同じ種類の機器10に同じ文字列が割り当てられている場合である。
【0039】
タグT1には、そのタグT1で特定される機器10で得られるデータDTが入力される。このため、タグT1を参照することで、機器10で得られたデータDTを参照することができる。また、本実施形態では、アラームの発生条件を規定するアラーム情報AL、及びアラームが発生したか否かを示すステータスであるアラームステータスSTがタグT1に格納される。
【0040】
処理部24は、機器10で得られたデータを収集し、表示部22に表示するために必要な各種処理を行う。また、処理部24は、機器10で得られたデータに関するアラームを発生させるために必要な各種処理を行う。具体的に、処理部24は、登録処理部24a(登録処理手段)、アラーム発生部24b、統計処理部24c、及び推定部24dを備える。
【0041】
登録処理部24aは、操作部21から入力される指示に基づいて格納部23に格納された定義ファイルF1を読み出し、機器10を通信可能に接続するための登録処理を行うとともに、アラームの発生に必要な設定処理を行う。具体的に、登録処理部24aは、定義ファイルF1の登録情報(例えば、図4に示す矩形R21,R22で囲われた情報)に基づいて、アドレスリストL1に機器10のアドレスを登録する処理と、機器10で得られるデータが入力されるタグT1の識別子を登録する処理とを、上記の登録処理として行う。
【0042】
また、登録処理部24aは、定義ファイルF1の設定情報(例えば、図4に示す矩形R23で囲われた情報)に基づいて、アラーム情報ALをタグT1に格納する処理を、上記の設定処理として行う。このような設定処理が行われることで、従来、アラームを発生させるために必要であった参照タグの設定作業が不要になる。これにより、アラーム機能を搭載していない機器についても、ユーザが簡便な操作でアラームを発生させることが可能になる。
【0043】
アラーム発生部24bは、タグT1に入力されるデータと、タグT1に格納されたアラーム情報ALとに基づいて、アラームを発生させる。例えば、アラーム発生部24bは、タグT1に入力されるデータが、タグT1に格納されたアラーム情報ALで規定されている上限閾値を上回った又は下限閾値を下回った場合に、アラームを発生させる。或いは、アラーム発生部24bは、タグT1に今回入力されたデータとタグT1に前回入力されたデータとの差分を示す変化幅が、タグT1に格納されたアラーム情報ALで規定されている閾値を超えた場合に、アラームを発生させる。
【0044】
統計処理部24cは、過去の一定期間の間にタグT1に入力されたデータを用いて統計処理を行う。統計処理部24cは、例えば、過去の一定期間の間にタグT1に入力されたデータの最大値と最小値とを求める処理を行う。統計処理部24cは、統計処理を行って得られた結果を、表示部22に出力して表示させる。尚、統計処理部24cに行わせる統計処理の種類、上記の一定期間は、定義ファイルF1で定義される。
【0045】
推定部24dは、タグT1に入力された過去のデータを用いて、未来のデータを推定する。推定部24dは、例えば、過去の一定期間の間にタグT1に入力されたデータの学習処理を行って、未来のデータを推定する。推定部24dが学習処理を行う場合の学習方法としては、教師あり学習、教師なし学習、及び強化学習の何れであっても良い。但し、学習すべきデータ数が膨大である場合には、ユーザの手間を軽減する観点からは、教師なし学習又は強化学習が望ましい。推定部24dは、推定した未来のデータを、表示部22に出力して表示させる。
【0046】
通信部25は、処理部24の制御の下で、ネットワークN(図1参照)に接続された機器10のうち、アドレスリストL1にアドレスが登録されている機器10と通信を行う。通信部25は、機器10と通信を行うことで、機器10で得られたデータを収集する。尚、通信部25は、Modbusプロトコルを用いて機器10と通信を行う。
【0047】
ドライブ装置26は、例えばCD-ROM又はDVD(登録商標)-ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体Mに記録されているデータの読み出しを行う。この記録媒体Mは、データロギング装置20の各ブロックの機能(例えば、処理部24に設けられた登録処理部24a、アラーム発生部24b、統計処理部24c、及び推定部24dの機能)を実現するプログラムを格納している。
【0048】
このような記録媒体Mに格納されたプログラムがドライブ装置26によって読み込まれ、データロギング装置20にインストールされることにより、データロギング装置20の各ブロックの機能がソフトウェア的に実現される。つまり、これらの機能は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することによって実現される。尚、データロギング装置20の各ブロックの機能を実現するプログラムは、記録媒体Mに記録された状態で配布されても良く、インターネット等のネットワークを介して配布されても良い。
【0049】
尚、データロギング装置20の機能は、ソフトウェア的に実現されるのが望ましいが、専用のハードウェアを用いて実現されることを妨げるものではない。データロギング装置20の機能は、例えば、FPGA(Field-Programmable GateArray)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアを用いて実現されても良い。
【0050】
〈データロギング方法〉
図5は、本発明の一実施形態によるデータロギング方法の一例を示すフローチャートである。尚、図5において、データロギング装置20のユーザによって行われる作業(操作)については破線で示して符号ST1~ST3を付しており、データロギング装置20で行われる処理については実線で示して符号S11~S14を付している。
【0051】
図5に示す通り、まず、データロギング装置20のユーザによって、定義ファイルF1を作成する作業が行われる(ステップST1)。具体的には、データロギング装置20のユーザが、例えば、データロギング装置20とは異なるコンピュータを用いて定義ファイルF1を作成する作業が行われる。例えば、図4中の矩形R21,R22で囲われた内容(登録情報)と矩形R23で囲われた内容(設定情報)とが含まれる定義ファイルF1を作成する作業が行われる。尚、作成された定義ファイルF1は、データロギング装置20に読み込まれて格納部23に格納される。
【0052】
次に、データロギング装置20のユーザによって、機器登録指示が行われる(ステップST2)。具体的には、データロギング装置20のユーザが、データロギング装置20の操作部21を操作して、格納部23に格納された定義ファイルF1の中から登録する機器10の定義ファイルF1を選択する。そして、選択した定義ファイルF1で定義される機器10をデータロギング装置20に登録する旨の指示である機器登録指示を行う。
【0053】
以上の指示がなされると、ユーザによって選択された定義ファイルF1が、格納部23から処理部24の登録処理部24aに読み出される。そして、読み出した定義ファイルF1に基づいて、アドレス割り当て処理(ステップS11)とアラーム設定処理(ステップS12)とが登録処理部24aによって順に行われる。
【0054】
例えば、上記のアドレス割り当て処理としては、図4中の矩形R21で囲われた内容(アドレス等)をアドレスリストL1に登録する処理と、図4中の矩形R22で囲われた内容(タグの識別子)に基づいて、機器10で得られるデータが入力されるタグT1の識別子を登録する処理とが、登録処理部24aによって行われる。また、上記のアラーム設定処理としては、図4中の矩形R23で囲われた情報(アラーム情報AL)をタグT1に格納する処理が、登録処理部24aによって行われる。
【0055】
以上の処理(アドレス割り当て処理及びアラーム設定処理)が終了すると、データロギング装置20のユーザによって、データ収集開始指示が行われる(ステップST3)。具体的には、データロギング装置20のユーザが、データロギング装置20の操作部21を操作して、機器10で得られたデータの収集を開始する旨の指示であるデータ収集開始指示を行う。
【0056】
以上の指示がなされると、データロギング装置20と機器10との間で、割り当てられたアドレスに基づいて通信が開始され、機器10で得られたデータがネットワークNを介してデータロギング装置20に収集される。データロギング装置20で収集されたデータは、データDTとしてタグT1に格納される(ステップS13)。尚、複数の機器10から収集されたデータは、各々の機器10に割り当てられているタグにそれぞれ入力される。
【0057】
続いて、タグT1に入力されたデータDTと、タグT1に格納されているアラーム情報ALとを用いてアラームの有無を判定する処理がアラーム発生部24bで行われる(ステップS14)。例えば、タグT1に入力されたデータDTが、アラーム情報ALで規定されている上限閾値と下限閾値との間に収まっているか否かを判定する処理が行われる。或いは、タグT1に今回入力されたデータとタグT1に前回入力されたデータとの差分を示す変化幅が、アラーム情報ALで規定されている閾値を超えているか否かを判定する処理が行われる。そして、アラームの発生の有無の判定結果をアラームステータスSTに格納し、その判定結果を表示部22に表示させる処理がアラーム発生部24bで行われる。
【0058】
尚、図5に示す処理とは別に、過去の一定期間の間にタグT1に入力されたデータを用いて統計処理を行い、統計処理を行って得られた結果を表示部22に表示させる処理が統計処理部24cで行われても良い。或いは、図5に示す処理とは別に、タグT1に入力された過去のデータを用いて未来のデータを推定し、推定した未来のデータを表示部22に表示させる処理が推定部24dで行われても良い。
【0059】
以上の通り、本実施形態では、まず、ユーザが、機器10を通信可能に接続するために必要となる登録情報と、機器で得られたデータに関するアラームを発生させるために必要となる設定情報とが定義された定義ファイルF1を作成する。そして、データロギング装置20の登録処理部24aが、定義ファイルF1の登録情報に基づいて機器を通信可能に接続するための登録処理を行うとともに、定義ファイルF1の設定情報に基づいてアラームの発生に必要な設定処理を行うようにしている。これにより、従来、アラームを発生させるために必要であった参照タグの設定作業が不要になるため、アラーム機能を搭載していない機器についても、ユーザが簡便な操作でアラームを発生させることができる。
【0060】
以上、本発明の一実施形態によるデータロギング装置、データロギング方法、及びデータロギングプログラムについて説明したが、本発明は上記実施形態に制限される訳ではなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、機器10がModbus機器であるものとして説明したが、機器10がModbus機器に制限される訳ではない。本発明は、機器10が、定義ファイルF1を用いてデータロギング装置20への登録を行うものであれば、適用可能である。
【0061】
また、上述した実施形態では、データロギング装置が、パーソナルコンピュータ又はワークステーション等のコンピュータによって実現される例について説明した。しかしながら、データロギング装置は、クラウドコンピューティングにより実現されても良い。ここで、クラウドコンピューティングは、例えば、以下のURL(Uniform Resource Locator)で特定される文書に記載されている定義(米国国立標準技術研究所によって推奨される定義)に合致するものであっても良い。
http://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/Legacy/SP/nistspecialpublication800-145.pdf
https://www.ipa.go.jp/files/000025366.pdf
【符号の説明】
【0062】
10 機器
20 データロギング装置
22 表示部
23 格納部
24a 登録処理部
24b アラーム発生部
24c 統計処理部
24d 推定部
F1 定義ファイル
L1 アドレスリスト
T1 タグ
図1
図2
図3
図4
図5