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  • 特開-空調システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076130
(43)【公開日】2022-05-19
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/08 20060101AFI20220512BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20220512BHJP
   F24F 7/013 20060101ALI20220512BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
F24F7/08
F24F7/06 S
F24F7/013 101
F24F7/007
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186404
(22)【出願日】2020-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】520437733
【氏名又は名称】株式会社 ジャパンテクノエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100160185
【弁理士】
【氏名又は名称】垣内 茂晴
(72)【発明者】
【氏名】増田 大優
(72)【発明者】
【氏名】雨堤 裕司
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BA01
3L058BB04
3L058BD00
(57)【要約】
【課題】クリーンで美しい空間を実現する空調システムを提供する。
【解決手段】空調システムは、室内1に空気3を吸入するための換気口11と、室内1の空気3を外部に排出するためのパイプファン12と、換気口11から吸入された空気3がパイプファン12から排出されるように室内1の空気3を循環させる空気調節装置(例えばエアコン21)とを備え、少なくとも室内1の壁4に光触媒または空気触媒が施工されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒または空気触媒を基盤とする空調システムであって、
室内に空気を吸入するための換気口と、
前記室内の空気を外部に排出するためのパイプファンと、
前記換気口から吸入された空気が前記パイプファンから排出されるように前記室内の空気を循環させる空気調節装置とを備え、
少なくとも前記室内の壁に前記光触媒または前記空気触媒が施工されている
ことを特徴とする空調システム。
【請求項2】
前記換気口と前記パイプファンとが略同軸上に配置され、且つ前記換気口より前記パイプファンが低い位置に配置されている
請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記パイプファンと前記空気調節装置とが略対角線上に配置され、且つ前記空気調節装置より前記パイプファンが低い位置に配置されている
請求項1または2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記空気調節装置に粉塵対策または花粉対策が施されている
請求項1から3のいずれか1項に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒または空気触媒を基盤とする空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅部材から発生するホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物(VOC)に起因するシックハウスが問題になっている。また、西日本を中心に微小粒子状物質(PM2.5)がたびたび高濃度で観測され、問題になっている。このような事情から、近年、室内に光触媒を施工するサービスが注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-201023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では、新型コロナウイルスの感染拡大による影響から、これまでにも増してクリーンで美しい空間を実現することが望まれている。
【0005】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、クリーンで美しい空間を実現する空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、光触媒または空気触媒を基盤とする空調システムであって、室内に空気を吸入するための換気口と、前記室内の空気を外部に排出するためのパイプファンと、前記換気口から吸入された空気が前記パイプファンから排出されるように前記室内の空気を循環させる空気調節装置とを備え、少なくとも前記室内の壁に前記光触媒または前記空気触媒が施工されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、クリーンで美しい空間を実現する空調システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】比較例における空調システムを示す模式的構成図である。
図2】実施の形態1における空調システムを示す模式的構成図である。
図3】事業者が光触媒を施工している様子を表した説明図である。
図4】実施の形態2における空調システムを示す模式的構成図である。
図5】実施の形態3における空調システムを示す模式的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施の形態は、あくまでも例示である。すなわち、以下に説明する実施の形態は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。なお、図面において、同一符号を付した部分は、特に断らない限り、同一若しくは同様の部分を表す。
【0010】
[概要]
本発明における空調システムを提供する事業者(以下、単に「事業者」という。)は、室内への光触媒の施工及び各種設備の提案を行う。従来の光触媒の施工のみを行う業者とは違い、光触媒の施工に加え、エアコンや換気口などの各種設備を独自の空間設計に基づいて提案する。これにより、従来よりも抗ウイルス効果・消臭効果が高く、そしてVOCを低減した空間を提供する。
【0011】
[比較例]
図1は、比較例における空調システムを示す模式的構成図である。ここでは、ワンルームを側面から見たときの室内1の様子を模式的に描いている。説明を簡単にするため、窓や玄関などは描いていない。
【0012】
図1に示すように、バルコニー2側の壁4の上部にエアコン(空気調節装置)21が設置され、配管22を通じてバルコニー2の室外機23に接続されているものとする。また、バルコニー2側の壁4に換気口10が設けられているものとする。
【0013】
従来の光触媒の施工のみを行う業者は、内装部材として最も広い面積を有する壁4の全面に光触媒を施工するのが一般的である。エアコン21の風は、主に斜め下に向けて吹かせるため、バルコニー2の向かい側である玄関側に風が流れる。このような場合、部屋のドアを閉め切っていると、バルコニー2側の壁4に換気口10が設けられていても、換気口10を通じて空気3が入れ替わりにくい。
【0014】
すなわち、第三種換気では、排気は強制的に機械(風呂場やキッチンの換気扇など)で行い、給気は自然に任せている。部屋のドアを開けていれば十分な換気ができるが、実際は部屋のドアを閉め切ってしまっている場合があり、その場合は換気が不十分になるおそれがある。
【0015】
[実施の形態1]
図2は、実施の形態1における空調システムを示す模式的構成図である。ワンルームの基本構造は、図1と同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0016】
事業者は、光触媒の施工に加え、エアコン21や換気口11などの各種設備を独自の空間設計に基づいて提案する。例えば、エアコン21は、粉塵対策や花粉対策が施されているものとする。このようなエアコン21と光触媒を組み合わせ、これらの効果を最大限に引き出す空間設計を行うことで、他の建物にはない付加価値を提供することができる。
【0017】
具体的には、図2に示すように、吸気用の換気口11と排気用のパイプファン12を設ける。パイプファン12は、排気用パイプの外壁貫通部分に小型のファンを内蔵させた換気扇であり、必要排気量が少ない部分(部屋の中)に設ける。
【0018】
この例では、バルコニー2側の壁4の上部に換気口11を設け、バルコニー2側の壁4の下部にパイプファン12を設け、玄関側の壁4の上部にエアコン21を設けるのが望ましい。これにより、側面視において、換気口11とパイプファン12とが略同軸上に配置され、且つ換気口11よりパイプファン12が低い位置に配置されている。また、パイプファン12とエアコン21とが略対角線上に配置され、且つエアコン21よりパイプファン12が低い位置に配置されている。このようにすれば、エアコン21の風によって、換気口11から吸入された空気3がパイプファン12から排出されるように室内1の空気3を循環させることができる。揮発性有機化合物(VOC)5の重さは物質によって様々であるが、エアコン21の風によって、VOC5がパイプファン12から排出されやすくなる。
【0019】
図3は、事業者が光触媒6を施工している様子を表した説明図である。ここでは、スプレーガン7を用いて光触媒6を室内1の壁4に施工している様子を示している。
【0020】
光触媒6は、光を吸収することにより他の物質に化学反応を引き起こす働きをする物質の総称である。代表的な光触媒活性物質としては酸化チタンと酸化タングステンを挙げることができる。光触媒6には、有害物質の除去や脱臭、殺菌、抗菌、抗ウイルス、防汚などの機能がある。例えば、酸化チタンに太陽光線や蛍光灯の紫外線を当てると、強い酸化力・還元力を持った正孔と電子が形成される。この正孔と電子が大気中の水分を活性酸素化させ、結合力の高い有機物や無機物を分解することが知られている。
【0021】
なお、光触媒6の施工方法は、スプレーガン7を用いる方法に限定されるものではなく、他の公知の施工方法を用いてもよい。また、光触媒6を施工する範囲は、室内1の壁4だけに限定されるものではなく、天井やカーテン、エアコン21などに施工してもよい。
【0022】
以上のように、実施の形態1における空調システムによれば、粉塵対策や花粉対策が施されたエアコン21と光触媒を組み合わせ、これらの効果を最大限に引き出す空間設計を行うことで、他の建物にはない付加価値を提供することができる。すなわち、比較例に比べ、抗ウイルス効果・消臭効果が高く、そしてVOCを低減した空間を提供することが可能である。
【0023】
このような空調システムは、新築時に導入するのが特に効果的である。新築の場合はエアコン21と換気口11を標準で装備するのが通常であり、そのような場合は建物標準装備に光触媒の施工を追加するだけで、クリーンで美しい空間を提供することが可能となる。
【0024】
なお、ここでは、吸気用の換気口11と排気用のパイプファン12を1つずつ設けることで1セットの空気3の出入口を設けているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、もともと室内1に2個の換気口11が設けられている場合は、2個のパイプファン12を追加して、2セットの空気3の出入口を設けてもよい。
【0025】
また、上記の説明では、吸気用の換気口11と表現したが、換気口11の役割りは限定的に解釈すべきではない。すなわち、換気口11は、主に吸気の役割りを果たせばよく、換気口11から外部に空気3が排出される場合があってもかまわない。
【0026】
[実施の形態2]
図4は、実施の形態2における空調システムを示す模式的構成図である。以下、この空調システムについて、実施の形態1と異なる点のみ説明する。
【0027】
実施の形態2では、図4に示すように、バルコニー2側の壁4の上部にエアコン21を設け、玄関側の壁4の中部に送風ファン(空気調節装置)31を設けている。送風ファン31の位置は、エアコン21より低い位置であって、且つパイプファン12より高い位置とするのが望ましい。これにより、側面視において、換気口11とパイプファン12とが略同軸上に配置され、且つ換気口11よりパイプファン12が低い位置に配置されている。また、パイプファン12と送風ファン31とが略対角線上に配置され、且つ送風ファン31よりパイプファン12が低い位置に配置されている。このようにすれば、送風ファン31の風によってエアコン21の風が押し戻されるので、換気口11から吸入された空気3がパイプファン12から排出されるように室内1の空気3を循環させることができる。
【0028】
以上のように、実施の形態2における空調システムによれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。このような実施の形態2は、エアコン21の位置を変更することが難しい場合に特に効果的である。
【0029】
[実施の形態3]
図5は、実施の形態3における空調システムを示す模式的構成図である。以下、この空調システムについて、実施の形態1や2と異なる点のみ説明する。
【0030】
実施の形態3では、オフィスや店舗などの比較的広い室内1を想定している。ここでは、天井埋め込み型のエアコン41が配管42を通じて室外機43に接続されているものとする。
【0031】
一般的に、オフィスでは働く人が快適かつ効率的に仕事ができるように、また店舗ではお客さまが快適に過ごせるように、入口のドアや窓が閉め切られている。大規模な建物では、利用者が多くなるため、汚れた空気3が室内1に溜まりやすくなる。
【0032】
そこで、図5に示すように、換気口11が天井に設置されている場合は、この換気口11付近の壁4の下部にパイプファン12を設けるのが望ましい。これにより、側面視において、換気口11とパイプファン12とが略同軸上に配置され、且つ換気口11よりパイプファン12が低い位置に配置されている。また、パイプファン12とエアコン41とが略対角線上に配置され、且つエアコン41よりパイプファン12が低い位置に配置されている。このようにすれば、エアコン41の風によって、換気口11から吸入された空気3がパイプファン12から排出されるように室内1の空気3を循環させることができる。
【0033】
以上のように、実施の形態3における空調システムによれば、オフィスや店舗などの比較的広い室内1でも、実施の形態1や2と同様の効果を得ることができる。建物が大規模になるほど、換気口11とパイプファン12のセット数を増加させ、通気性を高めるのが望ましい。
【0034】
なお、本明細書でいう「略同軸上」や「略対角線上」の用語には、厳密な意味で「同軸上」や「対角線上」でない場合が含まれることはいうまでもない。建物の形状は様々であるため、「略同軸上」や「略対角線上」の用語の意味は柔軟に解釈すべきである。
【0035】
[変形例]
上記の説明では、光触媒を施工することとしているが、光触媒に代えて空気触媒を施工するようにしてもよい。空気触媒は、空気中の水と酸素を利用して働く触媒である。光が届きにくい環境においては、光触媒に代えて空気触媒を施工するのが効果的である。
【0036】
また、エアコン21,41に粉塵対策や花粉対策が施されていることとしているが、換気口11や送風ファン31などにも粉塵対策や花粉対策が施されていてもよい。これにより、アレルギーの原因となりやすい粉塵や花粉をより効果的に取り除くことができる。
【0037】
[本発明の特徴的構成とその効果]
以上のように、本発明における空調システムは、光触媒または空気触媒を基盤とする空調システムであって、室内1に空気3を吸入するための換気口11と、室内1の空気3を外部に排出するためのパイプファン12と、換気口11から吸入された空気3がパイプファン12から排出されるように室内1の空気3を循環させる空気調節装置(例えばエアコン21,41や送風ファン31)とを備え、少なくとも室内1の壁4に光触媒または空気触媒が施工されている。これにより、光触媒または空気触媒による効果と空気3の循環により大きな作用が生まれ、クリーンで美しい空間を実現する空調システムを提供することができる。
【0038】
ここで、換気口11とパイプファン12とが略同軸上に配置され、且つ換気口11よりパイプファン12が低い位置に配置されているのが望ましい。これにより、効率よく室内1の空気3を循環させることができる。
【0039】
また、パイプファン12と空気調節装置とが略対角線上に配置され、且つ空気調節装置よりパイプファン12が低い位置に配置されているのが望ましい。これにより、効率よく室内1の空気3を循環させることができる。
【0040】
また、空気調節装置に粉塵対策または花粉対策が施されているのが望ましい。これにより、アレルギーの原因となりやすい粉塵や花粉をより効果的に取り除くことができる。
【0041】
[その他の実施の形態]
以上のように、本発明の実施の形態および変形例について記載したが、開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態および運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0042】
1 室内
2 バルコニー
3 空気
4 壁
5 VOC
6 光触媒
7 スプレーガン
10 換気口
11 換気口
12 パイプファン
21 エアコン(空気調節装置)
22 配管
23 室外機
31 送風ファン(空気調節装置)
41 エアコン(空気調節装置)
42 配管
43 室外機
図1
図2
図3
図4
図5