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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076210
(43)【公開日】2022-05-19
(54)【発明の名称】浮体
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/16 20060101AFI20220512BHJP
   B63B 25/08 20060101ALI20220512BHJP
   F17C 13/10 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
B63B25/16 D
B63B25/08 G
F17C13/10 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186523
(22)【出願日】2020-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】安部 和也
(72)【発明者】
【氏名】森本 晋介
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB13
3E172BA06
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD02
3E172DA41
3E172DA90
3E172EA03
3E172EB02
3E172EB03
3E172EB19
3E172JA05
(57)【要約】
【課題】安全弁が作動したときに生成されたドライアイスによって安全弁の閉動作が阻害された場合であっても、タンク内を確実に密閉する。
【解決手段】浮体は、浮体本体と、浮体本体に配置され、液化二酸化炭素を貯留可能なタンクと、タンクに接続され、タンクの外部に連通する連通管と、連通管に備えられ、連通管内の流路を開閉可能とする弁体を有し、タンク内の圧力が定められた安全弁作動圧力に到達した場合に弁体を開いてタンク内とタンクの外部とを連通させる安全弁と、連通管に備えられ、安全弁とタンクとの間に配置され、連通管内の流路部を閉塞可能な開閉弁と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体本体と、
前記浮体本体に配置され、液化二酸化炭素を貯留可能なタンクと、
前記タンクに接続され、前記タンクの外部に連通する連通管と、
前記連通管に備えられ、前記連通管内の流路を開閉可能とする弁体を有し、前記タンク内の圧力が定められた安全弁作動圧力に到達した場合に前記弁体を開いて前記タンク内と前記タンクの外部とを連通させる安全弁と、
前記連通管に備えられ、前記安全弁と前記タンクとの間に配置され、前記連通管内の流路部を閉塞可能な開閉弁と、を備える
浮体。
【請求項2】
前記開閉弁は、ボール弁である
請求項1に記載の浮体。
【請求項3】
前記開閉弁は、外部からの手動操作により前記連通管内の流路部を開閉する
請求項1又は2に記載の浮体。
【請求項4】
前記タンク内の圧力を計測する圧力計と、
前記安全弁の作動を検知する弁検知部と、
前記弁検知部で前記安全弁の作動を検知した場合に、前記圧力計で計測された圧力が定められた閾値未満に低下したことを外部に通知する通知部と、を備える
請求項1から3の何れか一項に記載の浮体。
【請求項5】
前記安全弁の吐出口は、大気開放され、かつ下方を向いて開口している
請求項1から4の何れか一項に記載の浮体。
【請求項6】
浮体本体と、
前記浮体本体に配置され、液化二酸化炭素を貯留可能なタンクと、
前記タンクに接続され、前記タンクの外部に連通する連通管と、
前記連通管に備えられ、前記連通管内の流路部を開閉可能とする弁体を有し、前記タンク内の圧力が定められた安全弁作動圧力に到達した場合に前記弁体を開いて前記タンク内と前記タンクの外部とを連通させる安全弁と、を備え、
前記安全弁は、大気開放され、かつ下方を向いて開口する吐出口を有する吐出管を備えている
浮体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浮体に関する。
【背景技術】
【0002】
液化ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)を貯蔵するタンクを備えた船舶等は、タンク内の圧力が設計圧力を超えた場合に、タンク内の圧力をタンクの外部に逃がすための安全弁を備えている。例えば、特許文献1には、船舶において、安全弁を大気放出管に備える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61-186700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タンク内に液化二酸化炭素を収容する場合、以下のような理由により、安全弁が作動したときに液化二酸化炭素が凝固してドライアイスが生成されることがある。すなわち、タンク内に収容された液化二酸化炭素の圧力は、タンク運用圧に応じたものとなる。一方、安全弁を開き、タンク内を大気開放すると、当然ながら、安全弁の吐出側の圧力は大気圧となる。
液化二酸化炭素は、気相、液相、固相が共存する三重点の圧力(三重点圧力)が、LNGやLPGの三重点圧力に比較して高く、運用時におけるタンク運用圧との差異が小さい。その結果、安全弁の吐出側で大気開放されると、液化二酸化炭素の圧力が三重点圧力以下となり、液化二酸化炭素のフラッシュ蒸発が生じることがある。すると、液化二酸化炭素のフラッシュ蒸発の蒸発潜熱により、蒸発せずに残った液化二酸化炭素の温度低下が生じ、安全弁の周囲で液化二酸化炭素が凝固してドライアイスが生成されることがあるのである。安全弁でドライアイスが生成されると、安全弁の弁体の動作が阻害され、タンク内の圧力が所定圧力以下に低下しても、安全弁を閉じることができなくなる可能性がある。さらに、安全弁を閉じることができない状態が継続すれば、タンク内の圧力が更に低下し、タンク内の液化二酸化炭素自体が凝固してドライアイスが大量に生成されてしまう可能性もある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、安全弁が作動したときに生成されたドライアイスによって安全弁の閉動作が阻害された場合であっても、タンク内を確実に密閉することができる浮体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る浮体は、タンクと、連通管と、安全弁と、開閉弁と、を備える。前記タンクは、前記浮体本体に配置されている。前記タンクは、液化二酸化炭素を貯留可能である。前記連通管は、前記タンクに接続され、前記タンクの外部に連通している。前記安全弁は、前記連通管に設けられている。前記安全弁は、前記連通管内の流路を開閉可能とする弁体を有している。前記安全弁は、前記タンク内の圧力が定められた安全弁作動圧力に到達した場合に前記弁体を開いて前記タンク内と前記タンクの外部とを連通させる。前記開閉弁は、前記連通管に備えられ、前記安全弁と前記タンクとの間に配置されている。前記開閉弁は、前記連通管内の流路を閉塞可能である。
【0007】
本開示に係る浮体は、タンクと、連通管と、安全弁と、を備える。前記タンクは、前記浮体本体に配置されている。前記タンクは、液化二酸化炭素を貯留可能である。前記連通管は、前記タンクに接続され、前記タンクの外部に連通している。前記安全弁は、前記連通管に設けられている。前記安全弁は、前記連通管内の流路を開閉可能とする弁体を有している。前記安全弁は、前記タンク内の圧力が定められた安全弁作動圧力に到達した場合に前記弁体を開いて前記タンク内と前記タンクの外部とを連通させる。前記安全弁は、吐出管を備えている。吐出管は、大気開放され、かつ下方を向いて開口する吐出口を有している。吐出口は、大気開放され、かつ下方を向いて開口している。
【発明の効果】
【0008】
本開示の浮体によれば、安全弁が作動したときに生成されたドライアイスによって安全弁の閉動作が阻害された場合であっても、タンク内を確実に密閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係る浮体としての船舶の概略構成を示す平面図である。
図2】本開示の実施形態に係る船舶に設けられたタンク、安全弁装置を示す図であり、図1のII-II矢視断面図である。
図3】本開示の実施形態に係る船舶に設けられた連通管、安全弁、開閉弁を示す断面図である。
図4図4に示した開閉弁を閉じた状態を示す断面図である。
図5】本開示の実施形態に係る通知部のハードウェア構成を示す図である。
図6】本開示の実施形態に係る通知部の機能ブロック図である。
図7】本開示の実施形態に係る通知部で、外部に通知を出力するタイミングの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態に係る浮体について、図1図7を参照して説明する。
(船舶の構成)
図1に示すように、本開示の実施形態において、浮体である船舶1は、液化二酸化炭素を運搬する。この船舶1は、浮体本体としての船体2と、タンク設備10と、を少なくとも備えている。
【0011】
(船体の構成)
船体2は、その外殻をなす、一対の舷側3A,3Bと、船底(図示無し)と、上甲板5と、を有している。舷側3A,3Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板を有する。船底(図示無し)は、これら舷側3A,3Bを接続する船底外板を有する。これら一対の舷側3A,3B及び船底(図示無し)により、船体2の外殻は、船首尾方向Daに直交する断面において、U字状を成している。この実施形態で例示する上甲板5は、外部に露出する全通甲板である。船体2には、船尾2b側の上甲板5上に、居住区を有する上部構造7が形成されている。なお、上部構造7の位置は一例に過ぎず、例えば船体2の船首2a側に配置してもよい。
【0012】
船体2内には、貨物搭載区画(ホールド)8が形成されている。
【0013】
(タンク設備の構成)
タンク設備10は、貨物搭載区画8内に、船首尾方向Daに沿って、複数が配置されている。本開示の実施形態において、タンク設備10は、船首尾方向Daに間隔を空けて二個配置されている。
【0014】
図2に示すように、タンク設備10は、タンク11と、積込配管13と、揚荷配管14と、安全弁装置20と、を少なくとも備えている。
この実施形態において、タンク11は、船体2に配置されている。タンク11は、例えば、水平方向に延びる円筒状をなす。この実施形態において、タンク11は、その長軸方向を船首尾方向Daに沿わせて配置されている。タンク11は、その内部に液化二酸化炭素Lを収容する。なお、タンク11は、円筒状に限られるものではなく、タンク11は球形、方形等であってもよい。
【0015】
積込配管13は、陸上の液化二酸化炭素供給設備等から供給される液化二酸化炭素Lをタンク11内に積み込む。積込配管13は、タンク11の外部からタンク11の頂部を貫通し、タンク11の内部に延びている。積込配管13の先端部は、タンク11内に開口している。
【0016】
揚荷配管14は、タンク11内の液化二酸化炭素Lを、船外に導く。揚荷配管14は、タンク11の外部からタンク11の頂部を貫通し、タンク11の内部に延びている。揚荷配管14の先端部には、ポンプ(図示無し)が設けられている。このポンプ(図示無し)は、タンク11内の液化二酸化炭素Lを吸い込み、揚荷配管14に送り出す。揚荷配管14は、ポンプで送り出された液化二酸化炭素Lを、タンク11外(船外)に導く。
【0017】
(安全弁装置の構成)
安全弁装置20は、連通管21と、安全弁30と、開閉弁40と、通知部60と、を主に備えている。
連通管21は、タンク11に接続されている。連通管21は、例えば、タンク11の頂部で、タンク11の内部と外部とを連通する。なお、この実施形態において安全弁30としてバネ式の安全弁を一例にして説明するが、パイロット式の安全弁等であってもよい。
【0018】
図3に示すように、安全弁30は、連通管21に設けられている。安全弁30は、例えば、連通管21の先端部に配置されている。安全弁30は、弁箱31と、弁体32と、付勢部材33と、吐出管34pと、を備えている。
【0019】
弁箱31は、その内部に、連通管21内の流路に連続する流路部34を備えている。流路部34は、弁室34aと、流入ノズル34bと、吐出ノズル34cと、を備えている。弁室34aは、弁体32を収容している。流入ノズル34bは、筒状で、弁室34aから第一方向D1に向けて延びている。流入ノズル34bにおいて、弁室34a側と反対側の端部には、連通管21が接続されている。吐出ノズル34cは、筒状で、弁室34aから、第一方向D1に交差する第二方向D2に延びている。吐出ノズル34cの先端部には、吐出管34pが接続されている。吐出管34pは、下方に向かって開口し、大気開放された吐出口34sを有している。ここで、吐出口34sの開口する向きである下方とは、水平方向よりも下を意味している。
【0020】
弁体32は、流入ノズル34bの開口34dを弁室34a側から閉塞する。弁体32は、第一方向D1に延びる弁軸32sを一体に有している。弁軸32sは、弁箱31に形成された保持孔31gに、第一方向D1に移動可能に保持されている。これにより、弁体32は、弁室34a内で、第一方向D1に移動可能に配置されている。弁体32は、流入ノズル34bの開口34dを弁室34a側から閉塞した閉状態と、開口34dから弁室34a側に離間した開状態(図3中に二点鎖線で示した状態)との間で、往復動可能に構成されている。閉状態の弁体32には、流入ノズル34bに接続される連通管21内の液化二酸化炭素L(の気相)の圧力が作用している。
【0021】
付勢部材33は、弁体32を、第一方向D1に沿って流入ノズル34bの開口34dに押し付ける方向に押圧している。付勢部材33は、例えばコイルスプリングやダイヤフラムである。
【0022】
このような安全弁30は、流入ノズル34bに接続される連通管21内の圧力(タンク11内の圧力)が、予め設定された安全弁作動圧力(上限値)P1に到達すると、弁体32が、付勢部材33の付勢力に抗して開口34dから離間するように設定されている。これにより、弁体32が閉状態から開状態となり、連通管21内の流路が開いて大気と連通する。すると、連通管21内の圧力(液化二酸化炭素Lのガス)が、流路部34を通って吐出口34sから大気中に放出される。尚、負圧側の作動圧力を超えた場合はタンク内11に大気が吸入される。
【0023】
安全弁30は、タンク11内のガスを大気中に放出することでタンク11内の圧力が低下し、予め設定された安全弁復帰圧力P2未満となると、付勢部材33の付勢力によって弁体32が流入ノズル34b側に移動する。これにより、弁体32が開状態から閉状態に復帰する。閉状態の弁体32が開口34dを閉塞することで、連通管21内の流路が閉じ、大気と遮断される。なお、安全弁復帰圧力P2は、安全弁作動圧力P1と同じ値であってもよいし、安全弁作動圧力P1よりも低くてもよい。
【0024】
このような安全弁30においては、液化二酸化炭素Lが、連通管21から流路部34を通って吐出口34sで大気開放される過程で圧力が急激に低下すると、フラッシュ蒸発が生じ、流路部34にドライアイスが生成されることがある。生成されたドライアイスが、流入ノズル34bの開口34dと弁体32との間に挟み込まれると、弁体32が開状態から閉状態に移行することが妨げられることがある。安全弁装置20は、このような場合に備えて、開閉弁40を備えている。
【0025】
開閉弁40は、連通管21の中間部に設けられている。開閉弁40は、安全弁30とタンク11との間に配置されている。開閉弁40は、連通管21内の流路を閉塞可能に構成されている。この実施形態において、開閉弁40として、手動式のボール弁41が用いられている。ボール弁41は、ボール弁ハウジング42と、ボール弁本体43と、操作ハンドル44と、を備えている。
【0026】
ボール弁ハウジング42は、第一方向D1に沿って延びる筒状で、連通管21の中間部に接続されている。ボール弁ハウジング42内には、弁収容部42aと、流入口42bと、流出口42cとが形成されている。弁収容部42aは、ボール弁本体43を収容する。弁収容部42aは、径方向外側に湾曲して窪んで形成されている。流入口42b、流出口42cは、弁収容部42aに対して第一方向D1の両側に連続して形成されている。
【0027】
ボール弁本体43は、弁収容部42a内で、第一方向D1に交差する弁軸43s周りに回動可能とされている。ボール弁本体43は、径方向外側に湾曲して膨出する弁外周面43fを有している。ボール弁本体43は、弁軸43s方向に直交して延びる貫通孔43hを有している。貫通孔43hの内径は、流入口42b、及び流出口42cの内径と同寸法とされている。開閉弁40は、弁軸43s周りに回動することで、開状態と閉状態とを切り換える。開閉弁40は、開状態で、ボール弁本体43の貫通孔43hと、流入口42b及び流出口42cとが、第一方向D1で連続している。図4に示すように、開閉弁40は、閉状態で、ボール弁本体43の弁外周面43fによって、流入口42b(及び流出口42c)が閉塞される。
【0028】
操作ハンドル44は、ボール弁本体43の外部に設けられている。操作ハンドル44は、ボール弁本体43の弁軸43sに連結されている。作業者は、操作ハンドル44を弁軸43s周りに回動させることで、ボール弁本体43を弁収容部42a内で回動させ、開閉弁40を開状態と閉状態との間で切り換える。このような開閉弁40は、通常時は、常に開状態(全開状態)とされている。開状態では、開閉弁40は、連通管21内の流路を閉塞していない。図4に示すように、開閉弁40は、安全弁30が作動してタンク11内を外部(大気)に開放した後、開状態から閉状態に正常に復帰できない場合に、作業者が開閉弁40を閉じることで、連通管21内の流路を閉塞する。
【0029】
図2に示す通知部60は、安全弁30が作動した場合に、作業者に対し、安全弁装置20の各種状態を作業者に通知する。このため、安全弁装置20は、圧力計25と、弁検知部26と、を少なくとも備えている。圧力計25は、タンク11内の液化二酸化炭素Lの圧力Ptを計測する。弁検知部26は、安全弁30の作動を検知する。具体的には、弁検知部26は、弁体32の開閉状態を、例えば弁軸32sのストロークによって検知する。なお、安全弁30の作動後、安全弁30の圧力が吹き止まり圧力以下であり、且つ、減圧継続を検知した場合に、アラームを発報するようにしてもよい。
【0030】
(ハードウェア構成図)
図5に示すように、通知部60は、CPU61(Central Processing Unit)、ROM62(Read Only Memory)、RAM63(Random Access Memory)、記憶装置64、信号受信モジュール65を備えるコンピュータを有している。信号受信モジュール65は、圧力計25、弁検知部26からの検出信号を受信する。
【0031】
(機能ブロック図)
図6に示すように、通知部60のCPU61は予め自装置で記憶するプログラムを実行することにより、信号受信部70、安全弁状態検出部71、通知制御部72、アラーム情報出力部73の各構成を備える。
【0032】
信号受信部70は、ハードウェア的には信号受信モジュール65であり、圧力計25、弁検知部26からの検出信号を受信する。
安全弁状態検出部71は、弁検知部26からの検出信号に基づき、安全弁30の弁体32が、開状態にあるか、閉状態にあるか、を検出する。
【0033】
通知制御部72は、外部に出力する通知を制御する。通知制御部72は、例えば、安全弁状態検出部71で、弁体32が閉状態から開状態に移行したことを検出した場合、安全弁30が作動したことを示す通知信号を生成する。また、通知制御部72は、安全弁状態検出部71で、弁体32が閉状態から開状態に移行した後、圧力計25で検出されるタンク11内の圧力Ptが、安全弁復帰圧力P2未満の所定の閾値まで低下した場合、タンク11内の圧力Ptが、安全弁30が開状態から閉状態に復帰すべき圧力まで下がったことを示す通知信号を生成する。通知制御部72は、圧力計25で検出されるタンク11内の圧力Ptが、安全弁復帰圧力P2よりもさらに低下し続け、予め設定した圧力設定値P3(閾値)に到達した場合、安全弁30が正常に閉状態に復帰していないことを示す通知信号を生成する。
【0034】
アラーム情報出力部73は、通知制御部72で生成された通知信号に基づき、外部にアラーム情報を出力する。アラーム情報出力部73は、アラーム情報を、例えば、アラーム音の鳴動、アラームランプの点灯、モニター画面等へのメッセージ表示等によって出力する。このようにして、アラーム情報出力部73は、安全弁30の作動状態を、外部の作業者に向けて通知する。
【0035】
図7中に示すように、タンク11内の圧力が安全弁作動圧力P1まで上昇した場合、通知部60では、アラーム情報S1を出力する。その後、安全弁30が開状態となり、タンク11内のガスを外部に放出した後に、タンク内の圧力が安全弁復帰圧力P2まで低下し、安全弁30が開状態から閉状態に正常に復帰すれば、図7中の線L1で示すようにタンク11内の圧力が上昇を始める。これ以降、アラーム情報は出力されない。
これに対し、図7中の線L2に示すように、安全弁30が開状態となり、タンク11内のガスを外部に放出した後に、生成されたドライアイスによって弁体32が閉状態に復帰できない場合、タンク11内の圧力がさらに低下する。タンク11内の圧力が、安全弁復帰圧力P2未満の所定の閾値まで低下した場合、タンク11内の圧力が安全弁復帰圧力P2よりもさらに低下し続け、予め設定した圧力設定値P3に到達した場合、アラーム情報S2、S3が出力される。
【0036】
作業者は、アラーム情報S2やS3の通知を受けた時点で、操作ハンドル44を手動操作することで、開閉弁40を閉じる。これにより、連通管21内の流路が開閉弁40によって閉塞され、タンク11内の圧力が外部に逃げるのを阻止する。
【0037】
(作用効果)
上記実施形態の船舶1では、タンク11内の圧力Ptが、定められた安全弁作動圧力P1に到達した場合、安全弁30の弁体32が開き、連通管21内の流路が開放される。これにより、タンク11内の液化二酸化炭素L(のガス)が連通管21を通してタンク11の外部に放出され、タンク11内の圧力Ptが低下する。タンク11内の圧力Ptが低下すると、通常であれば、安全弁30の弁体32が閉じる。図4に示すように、安全弁30を通して放出された液化二酸化炭素Lの圧力低下によって生成されたドライアイスにより、弁体32が閉じる動作が阻害された場合、安全弁30とタンク11との間に配置された開閉弁40を閉じることによって、連通管21内の流路が閉塞される。これにより、タンク11内のガスが連通管21から逃げることを抑えられる。したがって、安全弁30が作動したときに生成されたドライアイスによって安全弁30の閉動作が阻害された場合であっても、安全弁30の作動終了後にタンク11内を確実に密閉することができる。
【0038】
また、上記実施形態では、開閉弁40は、ボール弁41である。このような構成において、ボール弁41は、弁体32が設けられた部分において、流路が狭くなることが少ない。したがって、開閉弁40で生じる圧力損失を抑えつつ、連通管21内の流路を簡易な構成で閉塞することが可能となる。
【0039】
また、上記実施形態では、開閉弁40は、外部からの手動操作により連通管21内の流路を開閉する。これにより、ドライアイスによって安全弁30の閉動作が阻害された場合に、開閉弁40を手動操作で容易に閉じることができる。
【0040】
また、上記実施形態では、ドライアイスによって安全弁30の閉動作が阻害された場合、通知部60によって外部への通知がなされる。これによって、作業者は、安全弁30が正常に閉じていないことを認識することができ、開閉弁40を閉じる作業等に備えることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、安全弁30の吐出口34sは、大気開放され、かつ下方を向いて開口している。これにより、安全弁30の吐出口34sから安全弁30内に雨水等が侵入することが抑えられる。
【0042】
また、上述の船舶1は、船体2と、タンク11と、連通管21と、安全弁30と、を備え、安全弁30の吐出口34sは、大気開放され、かつ下方を向いて開口している。
これにより、安全弁30の吐出口34sから安全弁30内に雨水等が侵入することを抑えられる。
【0043】
(実施形態の変形例)
なお、上記実施形態では、開閉弁40を手動で閉じる構成としたが、開閉弁40を自動的に閉じる構成としてもよい。この場合、開閉弁40のボール弁本体43を弁軸43s周りに回動させるためのアクチュエータと、アクチュエータの動作を制御するコントローラとを更に設ければよい。そして、コントローラでは、例えば、上記通知部60でアラーム情報S2やS3を出力するタイミングで、開閉弁40を自動的に閉じるよう、アクチュエータの動作を制御してもよい。具体的には、安全弁30が開状態となり、タンク11内の圧力を外部に放出した後に、生成されたドライアイスによって弁体32が閉状態に復帰できずタンク11内の圧力が、安全弁復帰圧力P2未満まで低下した場合、又は、タンク11内の圧力が安全弁復帰圧力P2よりもさらに低下し続け、予め設定した圧力設定値P3に到達した場合等に、アクチュエータを動作させ、開閉弁40を自動的に閉じるようにしてもよい。
また、開閉弁40を自動的に閉じるコントローラでは、安全弁30と開閉弁40との間で、連通管21内の圧力や温度をセンサで検出することによって、安全弁30が正常に閉じたか否かを確認するようにしてもよい。
【0044】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上記実施形態では、上記した安全弁30、開閉弁40としてのボール弁41の構成を示したが、この構成は、安全弁30、開閉弁40としての機能を発揮するための構成の概略を説明したに過ぎず、具体的な構成は適宜変更可能である。また、開閉弁40は、ボール弁41に限らず、適宜他の形式のものを用いてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、開閉弁40を備え、且つ安全弁30の吐出口34sが下方を向いている場合を一例にして説明した。しかし、開閉弁40を備える構成と、安全弁30の吐出口34sが下方を向いている構成との何れか一方のみを備えるようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、浮体である船舶1が二つのタンク11を備える構成としたが、これに限られない。例えば、一つ、あるいは三つ以上のタンク11を備えていてもよい。
また、上記実施形態では、浮体として船舶1を例示したが、これに限られない。浮体は、推進機構を備えない洋上浮体設備であってもよい。
【0047】
<付記>
実施形態に記載の浮体1は、例えば以下のように把握される。
【0048】
(1)第1の態様に係る浮体1は、浮体本体2と、前記浮体本体2に配置され、液化二酸化炭素Lを貯留可能なタンク11と、前記タンク11に接続され、前記タンク11の外部に連通する連通管21と、前記連通管21に備えられ、前記連通管21内の流路を開閉可能とする弁体32を有し、前記タンク11内の圧力Ptが定められた安全弁作動圧力P1に到達した場合に前記弁体32を開いて前記タンク11内と前記タンク11の外部とを連通させる安全弁30と、前記連通管21に備えられ、前記安全弁30と前記タンク11との間に配置され、前記連通管21内の流路を閉塞可能な開閉弁40と、を備える。
浮体1の例としては、船舶や洋上浮体設備が挙げられる。浮体本体2の例としては、船体や洋上浮体設備の浮体本体2が挙げられる。
【0049】
この浮体1は、タンク11内の圧力Ptが、定められた安全弁作動圧力P1に到達した場合、安全弁30の弁体32が開き、連通管21内の流路が開放される。これにより、タンク11内の圧力Ptが連通管21を通してタンク11の外部に放出される。タンク11内の圧力Ptが低下すると、通常であれば、安全弁30の弁体32が閉じる。安全弁30を通して放出された液化二酸化炭素Lの圧力低下によって生成されたドライアイスにより、弁体32が閉じる動作が阻害された場合、安全弁30とタンク11との間に配置された開閉弁40を閉じることによって、連通管21内の流路が閉塞される。これにより、タンク11内の圧力Ptが連通管21から逃げることが抑えられる。したがって、安全弁30が作動したときに生成されたドライアイスによって安全弁30の閉動作が阻害された場合であっても、安全弁30の作動終了後にタンク11内を確実に密閉することができる。
【0050】
(2)第2の態様に係る浮体1は、(1)の浮体1であって、前記開閉弁40は、ボール弁41である。
【0051】
このような構成において、ボール弁41は、弁体32が設けられた部分において、流路が狭くなることが少ない。したがって、開閉弁40で生じる圧力損失を抑えつつ、連通管21内の流路を簡易な構成で閉塞することが可能となる。
【0052】
(3)第3の態様に係る浮体1は、(1)又は(2)の浮体1であって、前記開閉弁40は、外部からの手動操作により前記連通管21内の流路を開閉する。
【0053】
これにより、ドライアイスによって安全弁30の閉動作が阻害された場合に、開閉弁40を手動操作で容易に閉じることができる。
【0054】
(4)第4の態様に係る浮体1は、(1)から(3)の何れか一つの浮体1であって、前記タンク11内の圧力Ptを計測する圧力計25と、前記安全弁30の作動を検知する弁検知部26と、前記弁検知部26で前記安全弁30の作動を検知した場合に、前記圧力計25で計測された圧力Ptが定められた閾値未満に低下したことを外部に通知する通知部60と、を備える。
【0055】
これにより、ドライアイスによって安全弁30の閉動作が阻害された場合、通知部60によって外部への通知がなされる。これによって、作業者は、安全弁30が正常に閉じていないことを認識することができ、開閉弁40を閉じる作業等に備えることができる。
【0056】
(5)第5の態様に係る浮体1は、(1)から(4)の何れか一つの浮体1であって、前記安全弁30の吐出口34sは、大気開放され、かつ下方を向いて開口している。
【0057】
これにより、安全弁30の吐出口34sから安全弁30内に雨水等が侵入することが抑えられる。
【0058】
(6)第6の態様に係る浮体1は、浮体本体2と、前記浮体本体2に配置され、液化二酸化炭素Lを貯留可能なタンク11と、前記タンク11に接続され、前記タンク11の外部に連通する連通管21と、前記連通管21に備えられ、前記連通管21内の流路部34を開閉可能とする弁体32を有し、前記タンク11内の圧力Ptが定められた安全弁作動圧力P1に到達した場合に前記弁体32を開いて前記タンク11内と前記タンク11の外部とを連通させる安全弁30と、を備え、前記安全弁30は、大気開放され、かつ下方を向いて開口する吐出口34sを有する吐出管34pを備えている。
【0059】
これにより、安全弁30の吐出口34sから安全弁30内に雨水等が侵入することが抑えられる。
【符号の説明】
【0060】
1…船舶(浮体)
2…浮体本体(船体)
2a…船首
2b…船尾
3A、3B…舷側
5…上甲板
7…上部構造
8…貨物搭載区画
10…タンク設備
11…タンク
13…積込配管
14…揚荷配管
20…安全弁装置
21…連通管
25…圧力計
26…弁検知部
30…安全弁
31…弁箱
31g…保持孔
32…弁体
32s…弁軸
33…付勢部材
34…流路部
34a…弁室
34b…流入ノズル
34c…吐出ノズル
34d…開口
34p…吐出管
34s…吐出口
40…開閉弁
41…ボール弁
42…ボール弁ハウジング
42a…弁収容部
42b…流入口
42c…流出口
43…ボール弁本体
43f…弁外周面
43h…貫通孔
43s…弁軸
44…操作ハンドル
60…通知部
61…CPU
62…ROM
63…RAM
64…記憶装置
65…信号受信モジュール
70…信号受信部
71…安全弁状態検出部
72…通知制御部
73…アラーム情報出力部
L…液化二酸化炭素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7