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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076243
(43)【公開日】2022-05-19
(54)【発明の名称】開閉部材
(51)【国際特許分類】
   B65D 45/22 20060101AFI20220512BHJP
   B65D 43/08 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
B65D45/22
B65D43/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186566
(22)【出願日】2020-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】502040041
【氏名又は名称】日揮株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000252207
【氏名又は名称】六菱ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】井戸 真嗣
(72)【発明者】
【氏名】東本 尚之
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA22
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB14
3E084DC03
3E084KA19
3E084KB01
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】自動洗浄で丸洗いができる安価な開閉部材を提供する。
【解決手段】容器本体の開口に着脱されることで前記開口の開閉を行う開閉部材であって、前記開口を塞いだ閉状態において前記開口を覆う天面部と、前記天面部の外縁に延在し、前記閉状態において前記容器本体の開口端部の外周を把持する把持部と、前記把持部に形成されたチューブ状の空間の内部に貫通して前記把持部に装着され、前記空間の減圧を行う減圧路とを備え、前記把持部および前記天面部の何れもがゴム材を主体として形成され、前記把持部の前記空間が前記減圧路により減圧されて負圧となり、収縮した状態において前記容器本体に着脱される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口に着脱されることで前記開口の開閉を行う開閉部材であって、
前記開口を塞いだ閉状態において前記開口を覆う天面部と、
前記天面部の外縁に延在し、前記閉状態において前記容器本体の開口端部の外周を把持する把持部と、
前記把持部に形成されたチューブ状の空間の内部に貫通して前記把持部に装着され、前記空間の減圧を行う減圧路と
を備え、
前記把持部および前記天面部の何れもがゴム材を主体として形成され、
前記把持部の前記空間が前記減圧路により減圧されて負圧となり、収縮した状態において前記容器本体に着脱されることを特徴とする開閉部材。
【請求項2】
前記把持部は、
前記天面部から延在され、前記減圧路が装着された第1把持部と、
前記空間が減圧されて負圧となった収縮形状と前記収縮形状から復元した復元形状とに弾性変形可能に形成された第2把持部と
を備え、
前記第1把持部、前記第2把持部、および前記天面部は、同一のゴム材によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の開閉部材。
【請求項3】
前記把持部は、
前記天面部から延在され、前記減圧路が装着された第1把持部と、
前記空間が減圧されて負圧となった収縮形状と前記収縮形状から復元した復元形状とに弾性変形可能に形成された第2把持部と
を備え、
前記第1把持部の硬度は前記第2把持部の硬度よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の開閉部材。
【請求項4】
前記第1把持部と前記第2把持部の内周側の接合部は溶着されていることを特徴とする請求項3記載の開閉部材。
【請求項5】
前記第1把持部と前記天面部において、その外表面または内部に、少なくともゴム材よりも大きな硬度を有する高硬度部材から成る層を有することを特徴とする請求項2記載の開閉部材。
【請求項6】
前記容器本体の外周上側には、径方向外側に張り出した張出部が形成され、
前記第2把持部の内周上側には、該開閉部材で前記容器本体の前記開口を閉じたときに前記張出部と係合する凹部が形成されていることを特徴とする請求項2~5の何れか一項に記載の開閉部材。
【請求項7】
前記第1把持部の上面に対して前記天面部の上面が凹んでいることを特徴とすることを特徴とする請求項2~6の何れか一項に記載の開閉部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の開口に着脱されることで開口の開閉を行う開閉部材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、例えば製薬会社等の固形製剤工場において錠剤や粉薬などの固形製剤を生成するには、バッチ生産方式が基本とされているため原料・中間品の搬送、保管には容器の使用が不可欠である。また、容器内の固形製剤が保管時に変質しないように容器には気密性が要求される。
【0003】
ここで、容器の気密を確保するためには、パッキンを介して蓋と容器本体とをクランプバンドで締め付けて容器を密閉するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。そして、このように気密された容器の蓋を開閉する装置として、クランプバンドを開閉するロボットが知られている(例えば、非特許文献1参照)。このロボットにおいては、人手を介さずにクランプバンドを開閉することができるため、生産ラインを省人化することができる。
【0004】
しかしながら、上述の一般的な技術を用いた場合には、蓋を自動開閉するのに少なくとも3台のロボットが必要であり、コストが掛かりすぎるという問題があった。また、蓋を開閉する際の細やかな作業を行うのには人手が必要であるが、人によるクランプ締め付けや解除の操作は指先によるクランプレバーの起こし作業等に対処する必要があり、困難であった。
このため、近年は、クランプバンドを用いないで容器の自動開閉が可能な蓋が開発され、固形製剤工場を始め多くの場面で使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3156962号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】OMC株式会社、"ロボット式脱着システム"、[online]、[令和2年11月9日検索]、インターネット<URL:http://omc.jpn.org/2012/product_medical/cross_mix/robotdesorptionsystem_medical.htm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、この蓋は、図15に示すように、金属製の蓋106と樹脂製のチューブシール108の2部構成を有するため、蓋106の開閉は自動化されているものの洗浄時には分解する必要があり、洗浄を含む完全自動化には対応出来ていなかった。また、金属製の蓋106の部分のコストが嵩むという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、自動洗浄で丸洗いができる安価な開閉部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の開閉部材は、
容器本体の開口に着脱されることで前記開口の開閉を行う開閉部材であって、
前記開口を塞いだ閉状態において前記開口を覆う天面部と、
前記天面部の外縁に延在し、前記閉状態において前記容器本体の開口端部の外周を把持する把持部と、
前記把持部に形成されたチューブ状の空間の内部に貫通して前記把持部に装着され、前記空間の減圧を行う減圧路と
を備え、
前記把持部および前記天面部の何れもがゴム材を主体として形成され、
前記把持部の前記空間が前記減圧路により減圧されて負圧となり、収縮した状態において前記容器本体に着脱されることを特徴とする。
【0010】
このように、天面部と把持部のいずれをもゴム材で形成することにより、洗浄時に開閉部材の構成部品を分離する必要がなく開閉部材を一体的に扱えるため、自動洗浄で丸洗いをすることが可能となる。また、天面部と把持部のいずれもゴム材であるため、製造コストを安価に仕上げることができる。また、把持部の空間を減圧して負圧にすることにより開閉部材を容器本体に対して着脱することができるので、容器の密閉及び密閉解除の構造を簡単にすることができ、開閉部材の開閉作業を容易にすることができる。
【0011】
また、本発明の開閉部材は、
前記把持部が、
前記天面部から延在され、前記減圧路が装着された第1把持部と、
前記空間が減圧されて負圧となった収縮形状と前記収縮形状から復元した復元形状とに弾性変形可能に形成された第2把持部と
を備え、
前記第1把持部、前記第2把持部、および前記天面部は、同一のゴム材によって形成されていることを特徴とする。
【0012】
これにより、開閉部材を単一の材料で製作することができるので、製作が安価、且つ容易である。また、単一の材料で一体的に形成することで開閉部材の取り扱いも容易であり、天面部、第1把持部および第2把持部を別材料で形成する場合と比較して部材間の接続部が形成され難いため確実に洗浄することができる。
【0013】
また、本発明の開閉部材は、
前記把持部が、
前記天面部から延在され、前記減圧路が装着された第1把持部と、
前記空間が減圧されて負圧となった収縮形状と前記収縮形状から復元した復元形状とに弾性変形可能に形成された第2把持部と
を備え、
前記第1把持部の硬度は前記第2把持部の硬度よりも大きいことを特徴とする。
【0014】
これにより、第1把持部の硬度を維持すると共に、第2把持部が弾性変形し易くなり、上面の強度を保ちながらも容器の密閉及び密閉解除を容易にすることができる。
【0015】
また、本発明の開閉部材は、
前記第1把持部と前記第2把持部の内周側の接合部は溶着されていることを特徴とする。
【0016】
このように、内周側の接合部分を溶着で一体化することにより、この部分に負荷が掛かった際に二つの部材が別離することを防止することができる。
【0017】
また、本発明の開閉部材は、
前記第1把持部と前記天面部において、その外表面または内部に、少なくともゴム材よりも大きな硬度を有する高硬度部材から成る層を有することを特徴とする。
【0018】
このように、第1把持部と天面部に高硬度部材から成る層を付与することで、蓋の強度を増強することができ、たとえば、蓋の上にさらに容器を積載した場合にも蓋が撓まないようにすることができる。また、把持部が垂れ下がって減圧路の位置が変化することを防止することができる。
【0019】
また、本発明の開閉部材は、
前記容器本体の外周上側には、径方向外側に張り出した張出部が形成され、
前記第2把持部の内周上側には、該開閉部材を前記容器本体の前記開口を閉じたときに前記張出部と係合する凹部が形成されていることを特徴とする。
これにより、蓋を確実に密閉することができる。
【0020】
また、本発明の開閉部材は、
前記第1把持部の上面に対して前記天面部の上面が凹んでいることを特徴とする。
これにより、蓋の上に容器を積載し易くなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、自動洗浄で丸洗いができる安価な開閉部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施の形態に係る容器を示す概要斜視図である。
図2】実施の形態に係る容器の蓋の要部を示す要部断面図である。
図3】実施の形態に係る開閉機構において、開閉ロボットで容器の蓋を開閉する状態を示す概要図である。
図4】実施の形態に係る開閉機構において、開閉ロボットで容器の蓋を開閉する手順を説明するための図である。
図5】実施の形態に係る開閉機構において、容器の蓋を開ける際に把持部の空間が減圧される状態を示す図である。
図6】実施の形態に係る開閉機構において、容器の蓋を閉める際に把持部の空間が減圧される状態を示す図である。
図7】実施の形態に係る容器の内圧が上昇した際に蓋の天面部が押し上げられて蓋が外れなくなる様子を示す図である。
図8】実施の形態に係る容器の蓋において、天面部の上面に凹部が形成された図である。
図9図8に示す容器の蓋において蓋の上に容器を積み重ねた状態を示す図である。
図10】実施の形態に係る容器の蓋において、天面部の上面に凹部が形成された図である。
図11】実施の形態に係る容器の蓋において、凸状部の幅を大きく蓋の中心側に広げた図である。
図12】実施の形態に係る容器の蓋において、金属から成る層を蓋に設けた図である。
図13】実施の形態に係る容器の蓋において、金属から成る層を蓋の表層間際に形成した図である。
図14】実施の形態に係る容器の蓋において、金属から成る層を蓋の外表面に形成した図である。
図15】従来の容器の蓋の要部を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る開閉部材について、製薬会社等の固形製剤工場において錠剤や粉薬などの固形製剤を保管する小型缶の蓋を開閉する場合を例に説明する。図1は、実施の形態に係る容器を示す概要斜視図であり、図2は、本発明における容器の要部を示す要部断面図である。図1に示すように、容器2は、容器本体4と蓋6(開閉部材)とを備えている。
【0024】
容器本体4は、金属で形成された有底かつ円筒状の部材であり、容器本体4の開口4a側には、容器本体4の外周面に対して径方向外方に張り出した断面略円形状の張出部4bが形成されている。
【0025】
また、蓋6は、容器本体4の開口4aに着脱されることで開口4aの開閉を行う円盤状の部材であり、たとえば、シリコーン、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)等のゴム材によって形成されたゴム製の部材である。この蓋6は、天面部7、把持部8、および減圧路9を備えている。
【0026】
ここで、天面部7は、図2に示すように、容器本体4の開口4aを塞いだ閉状態において開口4aを覆い、円盤状の蓋6の中央部分を形成している。また、天面部7の内周側の下方外縁には、凸状部7aが環状に形成されている。
【0027】
把持部8は、天面部7の外周に延在し、閉状態において容器本体4の開口端部の外周を把持する部分である。この把持部8には、天面部7から延在する第1把持部8a、第1把持部8aの下方に位置する第2把持部8bが含まれている。
【0028】
第1把持部8aは、天面部7と同一のゴム材で継ぎ目なく一体的に成形され、天面部7と同一の硬度を有しており、下方に第2把持部8bが取り付けられている。また、第1把持部8aの上方には、減圧路9を装着するための流路90が形成され、後述するチューブ状の空間8cに対して減圧路9を介して空気が出し入れされる。なお、第1把持部8aと第2把持部8bの内周側の接合部8dは蓋6の成形時に溶着される。これにより、この部分に負荷が掛かった際に第1把持部8aと第2把持部8bが別離することを防止することができる。なお、第1把持部8aと第2把持部8bの外周側の接合部8eは接着剤で接着されている。
【0029】
また、第1把持部8aと第2把持部8bの間には、チューブ状の空間8cが形成されており、チューブ状の空間8cは、第2把持部8bに半内包されている。このように、把持部8を第1把持部8aと第2把持部8bで構成することにより、容器2の密閉及び密閉解除の構造を簡単にすることができる。
【0030】
そして、第2把持部8bの下端には、断面逆M字の形状を成す内側突出部8gと突出底部8hが形成されている。ここで、内側突出部8gは、空間8cの内側に突出し、突出底部8hは、空間8cの外側において底部を成している。また、第2把持部8bには、内周側に突出する顎部8iが備えられ、顎部8iの内周上側には、断面略半円状に凹む凹部8jが形成されている。この凹部8jは、蓋6を閉じたときに張出部4bと係合する。
【0031】
ここで、第2把持部8bは、内側突出部8gと突出底部8hが屈伸可能に構成されており、この屈伸部である内側突出部8gと突出底部8hを屈伸させることにより、空間8c(第2把持部8b)が収縮形状(図5(b)参照)および復元形状(図2の状態)に弾性変形する。
【0032】
なお、この弾性変形を容易にするため、第2把持部8bは、第1把持部8aよりも硬度が小さいゴム材で形成されている(すなわち、第1把持部8aの硬度は第2把持部8bの硬度よりも大きい)。このように、第2把持部8bを弾性変形し易くすることにより、容器2の密閉および密閉解除を容易にすることができる。
【0033】
また、第2把持部8bは、蓋6を閉じた場合に容器本体4の外周面に沿って配置され、蓋6は、容器本体4に対して外嵌合となっている。把持部8が容器本体4の外周に形成された張出部4bに沿って配置されることで、容器本体4を傾けて製剤を排出する際に容器本体4の内周縁周りに製剤が溜るのを防止することができる。
【0034】
なお、第2把持部8bの内径は、容器本体4の外径よりも小さく形成されている。これにより、第2把持部8bが張出部4bに係合した状態においては、把持部8の収縮力によって容器本体4の外周面が締め付けられ、容器2の気密性が維持される。
【0035】
減圧路9は、第1把持部8aの天面から流路90を介してチューブ状の空間8cに貫通されたノズルであり、減圧路9により、後述する減圧部10c(図5(a)参照)と空間8cとが連通されている。なお、この減圧路9は、金属製であるが、流路90の内周面に接着(溶着)されており、接着部分に製剤が入り込まないので、洗浄時にも第1把持部8aから取り外されることはない。
【0036】
図3は、実施の形態に係る蓋6を備えた容器2において、開閉ロボット10で容器2の蓋6を開閉する状態を示す概要図である。図3に示すように、蓋6の開閉は、開閉ロボット10により容器2を作業台12上に載置して行われる。開閉ロボット10は、容器2を把持する把持部10a、把持部10aに把持された容器2を移動するアーム10b、減圧部10cと開閉部10dを下方に備え、上下方向に延びるガイド10eに沿って蓋6上を上下に移動する上下動部10f(移動部)を備えている。
【0037】
ここで、減圧部10cは、蓋6の開閉時に減圧路9に装着され、減圧路9を介して把持部8の空間8cの減圧を行う。また、開閉部10dは、吸盤などを備え、蓋6の天面に吸着して蓋6の開閉を行う。
【0038】
次に、開閉ロボット10で容器2の蓋6を開閉する手順について説明する。まず、図4に示すように、固形製剤工場において、それぞれ所定の場所に開閉ロボット10、容器2を収納した棚14、作業台12が配置されている。ここで、容器2の蓋6を開ける場合、図4(a)に示すように、まず開閉ロボット10は、アーム10bを移動させ、把持部10aで棚14上に陳列されている蓋6が閉じた容器2を把持する。
【0039】
次に、開閉ロボット10は、アーム10bを移動させて容器2を作業台12上に移載する。なお、この時点において、図5(a)に示すように、把持部8の凹部8jが容器本体4の張出部4bと係合しており、容器2は蓋6によって密閉されている。次に、開閉ロボット10は、図4(b)に示すように、ガイド10eに沿って上下動部10fを下降させる。これにより、開閉部10dが蓋6の天面に接触すると共に、減圧部10cが減圧路9に装着される。
【0040】
次に、開閉ロボット10は、図5(b)に示すように、減圧部10cを作動させ、減圧路9を介して把持部8の空間8c内の流体を吸引し、空間8c内を減圧する(減圧工程)。これにより、空間8cが負圧になり、第2把持部8bは、内側突出部8gと突出底部8hが外周側に移動して空間8cが収縮形状に弾性変形する。このため、凹部8jと張出部4bとの間に隙間ができて両者の密着状態が解除され、容器本体4から蓋6を外すことが可能となる。
【0041】
この状態で、開閉ロボット10は、開閉部10dで蓋6の天面を吸着し、ガイド10eに沿って上下動部10fを上昇させて容器本体4の開口4aから蓋6を移動させ、容器2の蓋6を開ける(開放工程)。
【0042】
一方、容器2の蓋6を閉める場合、開閉ロボット10は、蓋6が空いた容器2、すなわち容器本体4を作業台12上に移載し、開閉部10dに天面を吸着させた状態の蓋6を容器本体4の直上に位置させる。次に、図6(a)に示すように、開閉ロボット10は、この状態で減圧部10cを作動させ、減圧路9を介して把持部8の空間8c内の流体を吸引し、把持部8の空間8cを減圧する(減圧工程)。これにより、空間8cが負圧になり、空間8cが収縮する。
【0043】
次に、図6(b)に示すように、開閉ロボット10は、このまま、ガイド10eに沿って上下動部10fを下降させ、容器本体4の開口4aに蓋6を被せる(閉塞工程)。この場合、空間8cが収縮して第2把持部8bが変形した状態なので、顎部8iの下端が張出部4bに当たって蓋6を閉める動作が妨げられることがない。なお、蓋6を閉めた時には、容器本体4が金属製であるのに対し蓋6はゴム材で形成されているため、金属同士の接触が回避され金属粉発生が抑制され、容器本体4内に収容された製剤に金属粉が混入するのを防止することができる。容器本体4の開口4aに蓋6が被せられて蓋6で開口4aが塞がれると、開閉ロボット10は、減圧部10cによる減圧を停止する(停止工程)。
【0044】
減圧部10cによる減圧が停止すると、減圧路9を介して空間8c内に流体(外気)が流入し、これにより、空間8cが負圧の状態から復圧され、第2把持部8bの断面形状が元の状態に復元される(図5(a)参照)。この場合、内側突出部8gと突出底部8hが内周側に移動して空間8cが復元形状に弾性変形し、張出部4bと凹部8jが係合して密着し、蓋6で閉塞された容器本体4が気密状態になる(気密工程)。なお、容器本体4が気密状態になった復元形状においては、空間8cの内圧と把持部8の外圧とが均等になり(空間8cの内圧が大気圧と等しくなり)、容器2内の流体の漏れを防止することができる。また、第2把持部8bは、復元形状で容器2を気密状態とする一方、収縮形状で容器2の気密状態を解除するように構成されている。
【0045】
この実施の形態の開閉部材によれば、蓋6を構成する天面部7と把持部8のいずれをもゴム材で形成することにより、図15に示すように、金属製の蓋106と樹脂製のチューブシール108の2部構成で構成した場合のように、洗浄時に金属部分を取り外す必要が無く開閉部材を一体的に扱えるため、自動洗浄で丸洗いをすることができる。また、蓋6を構成する天面部7と把持部8のいずれも金属製ではなくゴム材であるため、製造コストを安価に仕上げることができる。また、把持部8の弾性力で容器本体4締め付けて内部を密閉するため、図15に示すような、チューブシール108の復元圧力で張出部4bを押さえつける場合と比較して流体の漏れによる密閉度の低下を軽減することができる。
【0046】
また、蓋6の開閉時に第2把持部8bの空間8cを減圧して負圧にすることにより、蓋6を容器本体4に対して着脱することができるので、容器2の密閉及び密閉解除の構造を簡単にすることができ、蓋6の開閉作業を容易にすることができる。また、クランプバンドを介さないため、1台の開閉ロボット10で蓋6の開閉ができ固形製材工場に配置するロボットの費用を低減することができる。
【0047】
また、図7(a)に示すように、容器2´の内圧が上昇した場合、天面部7´が金属製の場合は、蓋6´がそのまま浮き上がって容器本体4´から外れてしまうところ、図7(b)に示すように、容器2の天面部7と把持部8の双方をゴム製にすることにより、天面部7が凹部8jを支点として押し上げられることにより、蓋6が容器本体4から外れることを防止することができる。また、容器2の内圧が上昇した場合、顎部8iが内周側に入り込み、張出部4bを下から抱え込むように把持するため、容器2の耐圧性を高くすることができる。
【0048】
なお、上述の実施の形態において、図8に示すように、第1把持部8aの上面に対して天面部7の上面を一段低くしてもよい。すなわち、天面部7の上面に凹部7bを形成してもよい。これにより、図9に示すように、蓋6の上に容器本体4を積載し易くすることができる。この場合、凹部7bの深さを調整し、図10に示すように、凹部7bの深さを図8に示したものよりも浅くすることもできる。また、図11に示すように、凸状部7aの幅を大きく蓋6の中心側に広げてもよい。
【0049】
また、図12に示すように、第1把持部8aと天面部7に金属から成る層16を設けてもよい。これにより、蓋6の強度を増強することができ、たとえば、蓋6の上にさらに容器本体4を積載した場合にも蓋6が撓まないようにすることができる。また、把持部8が垂れ下がって減圧路9が外周側に向けて傾斜し、減圧部10cが減圧路9に装着できなくなる事態を防止することができる。なお、この場合、金属から成る層16を設けたことで蓋6の剛性が担保されるため、第1把持部8a、第2把持部8b、および天面部7の硬度、すなわちゴム材の硬度をすべて同じにすることができる。
【0050】
なお、金属から成る層16は、必ずしも第1把持部8aと天面部7の深い位置に設ける必要はなく、たとえば、図13に示すように、表層間際に形成してもよいし、または、図14に示すように、第1把持部8aと天面部7の外表面に設けてもよい。この場合、金属から成る層16の端部が蓋6内に埋め込まれていてもよい。これにより、蓋6の外表面に金属とゴム材との継ぎ目が形成されず、蓋6の外表面に製剤が残留する余地が無くなる。
【0051】
また、上述の実施の形態において、蓋6は、開閉ロボット10によって開閉される場合について説明したがこれに限定されるものではない。たとえば、蓋6は、作業者によって手作業で開閉されてもよい。この場合、図2に示す凸状部7aが調芯機能を有することになる。たとえば、人の手で開口4a上に蓋6を載置した際に、蓋6がずれていると凸状部7aが張出部4b上に位置してバランスが崩れてがたつき、蓋6が斜めに取り付いたことを作業者に覚知させる。凸状部7aのすべてが張出部4b内に位置すると、蓋6が閉じ、がたつきがなくなる。これにより、蓋6の位置合わせがし易くなる。なお、閉状態における張出部4bと凸状部7aの間のクリアランスA(図2参照)は、1.5mm以下であるのが好ましいが、1mm以下であればより好ましい。
【0052】
なお、上述の実施の形態においては、断面逆M字の形状を成す内側突出部8gと突出底部8hが形成された第2把持部8bを下端に有する把持部8を例に説明したが、把持部8の形状は、蓋6を閉じた際に容器2を密閉できるのであれば必ずしもかかる形状を有していなくてもよく、たとえば、第2把持部8bに相当する部分の形状が断面略円形状であってもよい。
【0053】
上述の実施の形態において、把持部8は蓋6を閉じた際に容器本体4の外周面に沿って配置される場合について説明したがこれに限定されるものではない。把持部8は、蓋6を閉じた際に容器本体4の内周面に沿って配置されてもよい。
また、上述の実施の形態において、金属から成る層16は、必ずしも金属に限定されず、蓋6が撓まないようにすることができれば足り、少なくともゴム材よりも大きな硬度を有する高硬度部材から形成されていればよい。具体的には、天面部7または把持部8の硬度より大きな硬度を有する部材から形成されているのが好ましい。
【符号の説明】
【0054】
2 容器
4 容器本体
4a 開口
4b 張出部
6 蓋
7 天面部
7a 凸状部
7b 凹部
8 把持部
8a 第1把持部
8b 第2把持部
8c 空間
8d 接合部
8e 接合部
8g 内側突出部
8h 突出底部
8i 顎部
8j 凹部
9 減圧路
10 開閉ロボット
10a 把持部
10b アーム
10c 減圧部
10d 開閉部
10e ガイド
10f 上下動部
12 作業台
14 棚
16 金属から成る層
90 流路
106 蓋
108 チューブシール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
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