(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076287
(43)【公開日】2022-05-19
(54)【発明の名称】電圧調整装置及び電圧調整装置の部品交換方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/12 20060101AFI20220512BHJP
H02M 5/12 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
H02J3/12
H02M5/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186632
(22)【出願日】2020-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】前田 博宣
【テーマコード(参考)】
5G066
5H750
【Fターム(参考)】
5G066DA01
5H750BA01
5H750CC03
5H750CC05
5H750CC12
5H750DD25
5H750FF02
5H750FF05
5H750GG04
5H750GG17
(57)【要約】
【課題】部品の交換が容易な電圧調整装置及び電圧調整装置の部品交換方法を提供する。
【解決手段】直列変圧器(1)と、調整変圧器(2)と、計測用変圧器(PT1,PT2)と、タップ切換器(3a)と、制御部(4)とを備える電圧調整装置(100a)は、調整変圧器及び計測用変圧器の一次巻線と配電線との接続をオン/オフするスイッチ(SW1)と、計測用変圧器からの交流電力に基づいて制御部の動作電源を生成する電源(41)とを備えるか、又は調整変圧器の二次巻線のタップとタップ切換器との接続をオン/オフするスイッチ(SW2)と、制御部の動作電源を生成する電源をオン/オフするスイッチ(SW3)とを備える。タップ切換器は、直列変圧器の一次巻線に接続する接続線に並列に接続された電磁接触器(MC_UV,MV_VW)を有し、直列変圧器は、電源がオフする場合に、タップ切換器又は電磁接触器によって一次巻線が短絡される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相の交流電圧を配電する配電線に二次巻線が直列に接続される直列変圧器と、前記配電線に一次巻線が並列に接続される調整変圧器と、前記配電線の電圧を計測するための計測用変圧器と、前記調整変圧器の二次巻線のタップを切換スイッチにより切り換えて前記直列変圧器の一次巻線に接続するタップ切換器と、前記切換スイッチをオンに制御する制御部とを備える電圧調整装置であって、
前記調整変圧器及び前記計測用変圧器の一次巻線と前記配電線との接続をオン/オフする第1スイッチと、前記計測用変圧器からの交流電力に基づいて前記制御部の動作電源を生成する電源部とを備えるか、又は
前記調整変圧器の二次巻線のタップと前記タップ切換器との接続をオン/オフする第2スイッチと、前記制御部の動作電源を生成する電源部をオン/オフする第3スイッチとを備え、
前記タップ切換器は、前記直列変圧器の一次巻線に接続する電路に並列に接続された電磁接触器を有し、
前記直列変圧器は、前記電源部がオフする場合に、前記タップ切換器又は前記電磁接触器によって一次巻線が短絡される電圧調整装置。
【請求項2】
前記タップ切換器は、前記電路に流れる電流を計測するための変流器を更に有し、
該変流器は、二次巻線を短絡するための短絡部を含む
請求項1に記載の電圧調整装置。
【請求項3】
前記変流器は、前記電路のうちの一の電路と、該一の電路における前記直列変圧器の一次巻線側の位置から分岐して前記電磁接触器の一端に接続する分岐電路とが挿通されている請求項2に記載の電圧調整装置。
【請求項4】
請求項2に記載の電圧調整装置の部品を交換する方法であって、
前記第1スイッチをオフにするか、又は前記第3スイッチと前記第2スイッチとをこの順にオフにする工程と、
前記電源部がオフする場合に、前記タップ切換器又は前記電磁接触器によって前記直列変圧器の一次巻線を短絡する工程と、
前記短絡部により前記変流器の二次巻線を短絡する工程と、
前記制御部を前記タップ切換器及び前記計測用変圧器から切り離す工程と、
前記制御部を新旧交換する工程と、
交換後の前記制御部を前記タップ切換器及び前記計測用変圧器に接続する工程と、
前記短絡部による短絡を解除する工程と、
前記第1スイッチをオンにするか、又は前記第2スイッチと前記第3スイッチとをこの順にオンにする工程と、
前記電源部がオンする場合に、前記タップ切換器又は前記電磁接触器による前記直列変圧器の一次巻線の短絡を解除する工程と
を含む電圧調整装置の部品交換方法。
【請求項5】
請求項1に記載の電圧調整装置の部品を交換する方法であって、
前記電磁接触器は、前記制御部によって開閉が監視されており、
前記電磁接触器を前記制御部の監視対象から除外する工程と、
前記タップ切換器を、前記直列変圧器の一次巻線を短絡する素通しタップの状態にする工程と、
前記電磁接触器を前記制御部から切り離す工程と、
前記電磁接触器の前記タップ切換器における配線を取り外す工程と、
前記電磁接触器を他の電磁接触器と新旧交換する工程と、
交換後の前記電磁接触器の前記タップ切換器における配線を接続する工程と、
交換後の前記電磁接触器を前記制御部に接続する工程と、
交換後の前記電磁接触器を前記制御部の監視対象に含める工程と、
前記タップ切換器を前記素通しタップの状態から復帰させる工程と
を含む電圧調整装置の部品交換方法。
【請求項6】
請求項3に記載の電圧調整装置の部品を交換する方法であって、
前記第1スイッチをオフにするか、又は前記第3スイッチと前記第2スイッチとをこの順にオフにする工程と、
前記電源部がオフする場合に、前記タップ切換器及び前記電磁接触器によって前記直列変圧器の一次巻線を短絡する工程と、
前記短絡部により前記変流器の二次巻線を短絡する工程と、
前記分岐電路を前記電磁接触器の一端から取り外して前記変流器から取り出す工程と、
前記分岐電路を、二次巻線が他の短絡部によって短絡された他の変流器に挿通して前記電磁接触器の一端に接続する工程と、
前記一の電路を前記タップ切換器から取り外して前記変流器から取り出す工程と、
前記一の電路を前記他の変流器に挿通して、前記タップ切換器における前記一の電路が接続されていた位置に接続する工程と、
前記変流器の二次巻線を前記制御部から切り離す工程と、
前記他の変流器の二次巻線を前記制御部に接続する工程と、
前記他の短絡部による短絡を解除する工程と、
前記第1スイッチをオンにするか、又は前記第2スイッチと前記前記第3スイッチとをこの順にオンにする工程と、
前記電源部がオンする場合に、前記タップ切換器及び前記電磁接触器による前記直列変圧器の一次巻線の短絡を解除する工程と
を含む電圧調整装置の部品交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電系統における配電線の三相交流電圧を変圧して調整する電圧調整装置及び電圧調整装置の部品交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる間接切換式の電圧調整装置は、二次巻線が配電線に直列に接続される直列変圧器と、一次巻線が配電線に並列に接続され、二次巻線に複数のタップが設けられた調整変圧器と、該複数のタップを切り換えて直列変圧器の一次巻線に接続するタップ切換器とを備えている(特許文献1参照)。
【0003】
タップ切換器は、直列変圧器の一次巻線に接続するタップを切り換えるための切換スイッチと、タップ切換を行う過程でタップ間に流れる矯絡電流を制限する限流抵抗器及び矯絡用スイッチの直列回路と、運用停止時に閉路して直列変圧器の一次巻線を短絡する電磁接触器とを有する。
【0004】
タップ切換器は、切換スイッチ及び矯絡用スイッチを所定のシーケンスでオンオフすることにより、調整変圧器から直列変圧器の一次巻線に印加する調整電圧の大きさ及び極性を切り換える。切換スイッチをオンオフする制御を行う制御部は、負荷側である二次側の電圧を降圧した電圧を計測用変圧器から取得し、取得した電圧に基づいて計測した二次側の電圧が基準電圧に近づくように制御する。
【0005】
電圧調整装置は、直列変圧器、調整変圧器、計測用変圧器及び限流抵抗器を収納する油入変圧器側と、限流抵抗器を除くタップ切換器及び制御部を含む制御装置側とに分けて構成されている。保守時に交換が必要とされるのは制御装置側に含まれている構成品である。特にタップ切換器は部品点数が多く、保守交換での作業性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された電圧調整装置では、構成品の保守交換について特段の考慮がなされていなかった。以下では構成品及び該構成品の構成部品を含めて部品と言う。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、部品の交換が容易な電圧調整装置及び電圧調整装置の部品交換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る電圧調整装置は、三相の交流電圧を配電する配電線に二次巻線が直列に接続される直列変圧器と、前記配電線に一次巻線が並列に接続される調整変圧器と、前記配電線の電圧を計測するための計測用変圧器と、前記調整変圧器の二次巻線のタップを切換スイッチにより切り換えて前記直列変圧器の一次巻線に接続するタップ切換器と、前記切換スイッチをオンに制御する制御部とを備える電圧調整装置であって、前記調整変圧器及び前記計測用変圧器の一次巻線と前記配電線との接続をオン/オフする第1スイッチと、前記計測用変圧器からの交流電力に基づいて前記制御部の動作電源を生成する電源部とを備えるか、又は前記調整変圧器の二次巻線のタップと前記タップ切換器との接続をオン/オフする第2スイッチと、前記制御部の動作電源を生成する電源部をオン/オフする第3スイッチとを備え、前記タップ切換器は、前記直列変圧器の一次巻線に接続する電路に並列に接続された電磁接触器を有し、前記直列変圧器は、前記電源部がオフする場合に、前記タップ切換器又は前記電磁接触器によって一次巻線が短絡される。
【0010】
本発明の一態様に係る電圧調整装置は、前記タップ切換器は、前記電路に流れる電流を計測するための変流器を更に有し、該変流器は、二次巻線を短絡するための短絡部を含む。
【0011】
本発明の一態様に係る電圧調整装置は、前記変流器は、前記電路のうちの一の電路と、該一の電路における前記直列変圧器の一次巻線側の位置から分岐して前記電磁接触器の一端に接続する分岐電路とが挿通されている。
【0012】
本発明の一態様に係る電圧調整装置の部品交換方法は、前述の電圧調整装置の部品を交換する方法であって、前記第1スイッチをオフにするか、又は前記第3スイッチと前記第2スイッチとをこの順にオフにする工程と、前記電源部がオフする場合に、前記タップ切換器又は前記電磁接触器によって前記直列変圧器の一次巻線を短絡する工程と、前記短絡部により前記変流器の二次巻線を短絡する工程と、前記制御部を前記タップ切換器及び前記計測用変圧器から切り離す工程と、前記制御部を新旧交換する工程と、交換後の前記制御部を前記タップ切換器及び前記計測用変圧器に接続する工程と、前記短絡部による短絡を解除する工程と、前記第1スイッチをオンにするか、又は前記第2スイッチと前記第3スイッチとをこの順にオンにする工程と、前記電源部がオンする場合に、前記タップ切換器又は前記電磁接触器による前記直列変圧器の一次巻線の短絡を解除する工程とを含む。
【0013】
本発明の一態様に係る電圧調整装置の部品交換方法は、前述の電圧調整装置の部品を交換する方法であって、前記電磁接触器は、前記制御部によって開閉が監視されており、前記電磁接触器を前記制御部の監視対象から除外する工程と、前記タップ切換器を、前記直列変圧器の一次巻線を短絡する素通しタップの状態にする工程と、前記電磁接触器を前記制御部から切り離す工程と、前記電磁接触器の前記タップ切換器における配線を取り外す工程と、前記電磁接触器を他の電磁接触器と新旧交換する工程と、交換後の前記電磁接触器の前記タップ切換器における配線を接続する工程と、交換後の前記電磁接触器を前記制御部に接続する工程と、交換後の前記電磁接触器を前記制御部の監視対象に含める工程と、前記タップ切換器を前記素通しタップの状態から復帰させる工程とを含む。
【0014】
本発明の一態様に係る電圧調整装置の部品交換方法は、前述の電圧調整装置の部品を交換する方法であって、前記第1スイッチをオフにするか、又は前記第3スイッチと前記第2スイッチとをこの順にオフにする工程と、前記電源部がオフする場合に、前記タップ切換器及び前記電磁接触器によって前記直列変圧器の一次巻線を短絡する工程と、前記短絡部により前記変流器の二次巻線を短絡する工程と、前記分岐電路を前記電磁接触器の一端から取り外して前記変流器から取り出す工程と、前記分岐電路を、二次巻線が他の短絡部によって短絡された他の変流器に挿通して前記電磁接触器の一端に接続する工程と、前記一の電路を前記タップ切換器から取り外して前記変流器から取り出す工程と、前記一の電路を前記他の変流器に挿通して、前記タップ切換器における前記一の電路が接続されていた位置に接続する工程と、前記変流器の二次巻線を前記制御部から切り離す工程と、前記他の変流器の二次巻線を前記制御部に接続する工程と、前記他の短絡部による短絡を解除する工程と、前記第1スイッチをオンにするか、又は前記第2スイッチと前記前記第3スイッチとをこの順にオンにする工程と、前記電源部がオンする場合に、前記タップ切換器及び前記電磁接触器による前記直列変圧器の一次巻線の短絡を解除する工程とを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、部品の交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態1に係る電圧調整装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】制御部とタップ切換器及び計測用変圧器との間で授受される信号及び電力の流れを示す説明図である。
【
図3】実施形態1に係る電圧調整装置の制御部を交換する処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態2に係る電圧調整装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】実施形態2に係る電圧調整装置の制御部を交換する処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態3に係る電圧調整装置の電磁接触器を交換する処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態4に係る電圧調整装置の構成例を示すブロック図である。
【
図8】実施形態4に係る電圧調整装置の変流器を交換する処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態5に係る電圧調整装置の構成例を示すブロック図である。
【
図10】実施形態5に係る電圧調整装置の変流器を交換する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電圧調整装置100aの構成例を示すブロック図である。サイリスタ式の電圧調整装置(TVR=Thyristor type step Voltage Regulator)100aは、配電線1u,1v,1wの一次側にある電気所から供給されるU相,V相,W相の交流電圧を調整して、配電線1u,1v,1wの二次側の負荷へu相,v相,w相の交流電圧を配電する。
【0018】
電圧調整装置100aは、配電線1u,1v,1wの一次側及び二次側それぞれにて開閉器SW11及びSW12により、配電線1u,1v,1wに対する分離/接続が可能である。開閉器SW11,SW12及び電圧調整装置100aを迂回する迂回路10u,10v,10wは、開閉器SW13により、配電線1u,1v,1wに対する分離/接続が可能である。
【0019】
電圧調整装置100aは、配電線1u,1v,1wそれぞれに二次巻線112,122,132が直列に接続される直列変圧器1と、配電線1u,1v,1wの二次側にスイッチSW1(第1スイッチに相当)を介して一次巻線211,221,231がΔ結線される調整変圧器2とを備える。電圧調整装置100aは、更に、調整変圧器2の二次巻線212,222,232及び直列変圧器1の一次巻線111,121,131の間に設けられたタップ切換器3aと、該タップ切換器3aに対する切換指令を発令する制御部4とを備える。
【0020】
スイッチSW1の調整変圧器2側には、制御部4が線間電圧を計測するための計測用変圧器PT1,PT2がV結線されている。スイッチSW1は、大きな負荷電流が流れた状態で開閉が可能な負荷開閉器である必要はなく、例えば断路器であることが好ましい。
【0021】
調整変圧器2の二次巻線212,222,232のそれぞれは、一端及び他端から引き出されたタップt1及びt4と,一端及び他端の間から引き出された中間のタップt2及びt3とを有する。二次巻線212,222,232のそれぞれは、タップt1~t4の何れか1つがタップ切換器3aを介して直列変圧器1の一次巻線111,121,131の一端と、一次巻線121,131,111の他端とに接続され、該1つと同一又は異なる他の1つがタップ切換器3aを介して中性点Nに接続される。なお、同一のタップが中性点Nに接続されるのは、直列変圧器1の一次巻線111,121,131それぞれの両端がタップ切換器3aによって短絡されるいわゆる素通しタップの場合である。
【0022】
タップ切換器3aは、調整変圧器2の二次巻線212のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThm_U(m=A,B,C,D,1,2,3,4)と、二次巻線222のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThm_Vと、二次巻線232のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThm_Wとを有する。各切換スイッチは、例えば双方向に導通するトライアック又は逆並列に接続されたサイリスタ対を含む。
【0023】
二次巻線212のタップt1は、保護用のヒューズ(
図1では不図示:以下同様)を介して切換スイッチThA_U及びTh1_Uの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_U及びTh2_Uの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_U及びTh3_Uの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_U及びTh4_Uの一端に接続されている。切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの他端同士は、接続線3uを介して直列変圧器1の一次巻線111の一端及び一次巻線121の他端に接続されている。
【0024】
二次巻線222のタップt1は、ヒューズを介して切換スイッチThA_V及びTh1_Vの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_V及びTh2_Vの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_V及びTh3_Vの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_V及びTh4_Vの一端に接続されている。切換スイッチThA_V,ThB_V,ThC_V,ThD_Vの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_V,Th2_V,Th3_V,Th4_Vの他端同士は、接続線3vを介して直列変圧器1の一次巻線121の一端及び一次巻線131の他端に接続されている。
【0025】
二次巻線232のタップt1は、ヒューズを介して切換スイッチThA_W及びTh1_Wの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_W及びTh2_Wの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_W及びTh3_Wの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_W及びTh4_Wの一端に接続されている。切換スイッチThA_W,ThB_W,ThC_W,ThD_Wの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_W,Th2_W,Th3_W,Th4_Wの他端同士は、接続線3wを介して直列変圧器1の一次巻線131の一端及び一次巻線111の他端に接続されている。
【0026】
制御部4は、CPUを有し、予めROMに記憶された制御プログラムに従って、電圧の調整を制御する。一時的に発生した情報はRAMに記憶される(CPU,ROM,RAMは何れも不図示)。制御部4は、切換指令に応じた駆動信号によって各切換スイッチをオンに駆動する駆動部(不図示)を含んでいる。制御部4には、計測用変圧器PT1,PT2の二次巻線が接続(不図示)されている。また、制御部4には、後述する計測用変圧器PT3,PT4及び変流器CT_U,CT_Wの二次巻線と、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWと、電磁接触器MC_UV,MC_VWとが接続(何れも不図示)されている。
【0027】
接続線3u及び3v間には、限流抵抗器R_UV及び矯絡用スイッチThS_UVの直列回路と、電磁接触器MC_UVと、タップ切換器3aによって直列変圧器1の一次巻線111,121,131に印加される電圧を制御部4が計測するための計測用変圧器PT3とが並列に接続されている。接続線3uにおける電磁接触器MC_UVとの接続点と、矯絡用スイッチThS_UVとの接続点との間には、制御部4が接続線3uに流れる電流を計測するための変流器CT_Uが結合している。変流器CT_Uには、二次巻線を短絡するための短絡コネクタCN_U(短絡部に相当)が含まれている。該短絡コネクタCN_Uに例えば短絡プラグS_Uを取り付けることにより、変流器CT_Uの二次巻線が短絡される。
【0028】
接続線3v及び3w間には、矯絡用スイッチThS_VW及び限流抵抗器R_VWの直列回路と、電磁接触器MC_VWと、タップ切換器3aによって直列変圧器1の一次巻線111,121,131に印加される電圧を制御部4が計測するための計測用変圧器PT4とが並列に接続されている。接続線3wにおける電磁接触器MC_VWとの接続点と、矯絡用スイッチThS_VWとの接続点との間には、制御部4が接続線3wに流れる電流を計測するための変流器CT_Wが結合している。電磁接触器MC_UV,MC_VWは、機械ラッチ式であることが好ましい。
【0029】
矯絡用スイッチThS_UV及びThS_VWは、二次巻線212,222,232のタップt1~t4を切り換える過程で、それぞれ限流抵抗器R_UV及びR_VWを介してタップ間を矯絡させておくために、制御部4がタップ間への限流抵抗器R_UV及びR_VWの接続及び切り離しを行うためのものである。電磁接触器MC_UV及びMC_VWは、過電流が検出されて全ての切換スイッチがオフされる場合、又はタップ切換器3aの運用が停止される場合に、直列変圧器1の一次巻線111,121,131の両端を短絡して、開放状態にしないようにするためのものである。変流器CT_Wには、二次巻線を短絡するための短絡コネクタCN_W(短絡部に相当)が含まれている。該短絡コネクタCN_Wに例えば短絡プラグS_Wを取り付けることにより、変流器CT_Wの二次巻線が短絡される。
【0030】
上述の通り構成された電圧調整装置100aの制御部4は、計測用変圧器PT1,PT2が降圧した電圧を、例えば交流電圧の半周期毎に取得して配電線1u,1v,1wの電圧を計測する。更に、制御部4は、計測した電圧に基づいて切換指令を発令し、切換指令に応じた駆動信号によって各切換スイッチをオンに駆動する。タップ切換器3aは、発令された切換指令に応じたタップ位置にタップ切換する。タップ切換中に2つのタップが橋絡された時に流れる循環電流は、限流抵抗器R_UV,R_VWによって制限される。
【0031】
次に、
図1では図示しなかった信号線及び電力線について説明する。
図2は、制御部4とタップ切換器3a及び計測用変圧器PT1,PT2との間で授受される信号及び電力の流れを示す説明図である。図中の太い実線の矢印は、電力の流れを表す。制御部4は、切換スイッチThm_X(m=A,B,C,D,1,2,3,4;X=U,V,W)をオンに駆動する駆動信号を与える。制御部4は、タップ切換器3aに含まれるヒューズFn_X(n=1,2,3;X=U,V,W)の溶断を示す警報接点信号を取得する。制御部4は、計測用変圧器PT3,PT4が降圧した電圧を二次巻線から取得し、取得した電圧に基づいてタップ切換器3aが直列変圧器1に印加する電圧、即ち接続線3u,3v,3wの線間電圧を計測する。
【0032】
制御部4は、電磁接触器MC_UV,MC_VWの投入コイル又は引外しコイル(開放コイル)に励磁信号を与え、電磁接触器MC_UV,MC_VWから補助接点の接点信号を取得する。制御部4は、変流器CT_U,CT_Wの二次巻線から変流された電流を取得し、取得した電流に基づいて接続線3u,3v,3wに流れる電流を計測する。制御部4は、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオンに駆動する駆動信号を与える。
【0033】
制御部4は、前述の通り、計測用変圧器PT1,PT2の二次巻線から降圧された電圧を取得する。これとは別に、計測用変圧器PT1又はPT2には、制御部4の動作電源用の巻線が巻回されており、この巻線からの配線が、制御部4の電源41(電源部に相当)に接続されている。電源41は、計測用変圧器PT1又はPT2からの交流電力に基づいて制御部4の動作電源を生成する。電源41が制御部4の外部にあってもよい。
【0034】
制御部4とタップ切換器3aとの間で授受される信号の信号線は、例えばワイヤハーネスによって配線される。各信号線の両端又は一端がコネクタによって接続されるようにすることにより、制御部4とタップ切換器3aの構成部品との接続及び切り離しが容易になる。制御部4と計測用変圧器PT1,PT2との間の接続についても同様である。
【0035】
通常、電圧調整装置100aに係る保守点検、修理等の作業は、電圧調整装置100aを配電線1u,1v,1wから切り離した状態で行われる。例えば、不図示の操作パネルに対して運用停止を指示する操作が加えられた場合に、CPUがタップ切換器3aの運用を停止して素通しタップの状態にする。タップ切換器3aが素通しタップの状態になると、直列変圧器1の一次巻線111,121,131に印加される電圧が実質的に0となり、二次巻線112,122,132に誘起する電圧も0となる。
【0036】
その後、例えば使用者が手動で開閉器SW13を投入することにより、配電線1u,1v,1wの一次側及び二次側の間に迂回路10u,10v,10wを接続する。これにより、一次側の電気所から二次側の負荷への配電経路は、実質的に迂回路10u,10v,10wに迂回されることとなる。次いで、例えば使用者が手動で開閉器SW11,SW12を開放することにより、配電線1u,1v,1wから電圧調整装置100aが切り離される。
【0037】
本実施形態1では、少なくとも直列変圧器1を配電線1u,1v,1wに接続した状態で、電圧調整装置100aの部品の交換を行う方法を提案する。以下では、電圧調整装置100aの制御部4を交換する方法について、フローチャートを用いて説明する。
図3は、実施形態1に係る電圧調整装置100aの制御部4を交換する処理手順を示すフローチャートである。
図3の処理の一部は、制御部4に含まれるCPUにより実行される。
図3の処理は、電圧調整装置100aの運用中に実行される。即ち、開閉器SW11及びSW12が投入され、開閉器SW13が開放され、スイッチSW1がオンであることを前提とする。変流器CT_U,CT_Wそれぞれに対する短絡プラグS_U,S_Wは、短絡コネクタCN_U,CN_Wには取り付けられていない。
【0038】
図3の処理手順を開始する場合、例えば使用者が手動でスイッチSW1をオフにすることにより、調整変圧器2及び計測用変圧器PT1,PT2を配電線1u,1v,1wから切り離す(S11)。
【0039】
ここで、制御部4の動作電源は計測用変圧器PT1又はPT2からの電力に基づいて生成されているから、例えば制御部4にて電源断の割込が発生する。この割込により、制御部4のCPU(以下、単にCPUという)は、タップ切換器3aを素通しタップの状態にし(S12)、更に電磁接触器MC_UV,MC_VWを投入する(S13)。これにより、直列変圧器1の一次巻線111,121,131が短絡される。なお、CPUは、タップ切換器3aを素通しタップの状態にするか、又は電磁接触器MC_UV,MC_VWを投入するか、何れかの処理を行うようにしてもよい。ステップS12及びS13は、実行順序を入れ替えてもよい。
【0040】
制御部4の電源が喪失した場合であっても、タップ切換器3aについては、例えばバックアップ電源から動作電源を供給することによって素通しタップの状態を維持することができる。素通しタップにするための切換スイッチが自己点弧するようにしてもよい。電磁接触器MC_UV,MC_VWについては、これらが機械ラッチ式である限り投入状態が維持される。常閉型の電磁接触器MC_UV,MC_VWを用いた場合は、制御部4の電源の喪失によって自動的に主接点が閉成される。
【0041】
その後、例えば使用者が変流器CT_U,CT_Wそれぞれの短絡コネクタCN_U,CN_Wに短絡プラグS_U,S_Wを取り付けて、変流器CT_U,CT_Wの二次巻線を短絡する(S15)。これにより、後に各二次巻線が制御部4と切り離されたときに発生する過電圧を防止する。次いで、例えば使用者が制御部4をタップ切換器3a及び計測用変圧器PT1,PT2から切り離し(S16)、切り離した制御部4を新たな制御部4と新旧交換する(S17)。
【0042】
その後、例えば使用者が交換後の制御部4をタップ切換器3a及び計測用変圧器PT1,PT2に接続した(S18)後に、変流器CT_U,CT_Wそれぞれの短絡コネクタCN_U,CN_Wから短絡プラグS_U,S_Wを取り外して二次巻線の短絡を解除する(S19)。次いで、使用者が手動でスイッチSW1をオンにすることにより、調整変圧器2及び計測用変圧器PT1,PT2を配電線1u,1v,1wに接続する(S20)。
【0043】
計測用変圧器PT1,PT2が配電線1u,1v,1wに接続されることによって制御部4の電源41に対する交流電力の供給が再開される。CPUは、初期化処理にて電磁接触器MC_UV,MC_VWを開放した(S22)後、タップ切換器3aを素通しタップの状態から復帰させて運用を再開し(S23)、
図3の処理を終了する。なお、ステップS23の処理は、例えば操作パネルに運用開始を指示する操作が加えられた場合に実行するようにしてもよい。
【0044】
なお、本実施形態1にあっては、制御部4の全部を新旧交換したが、制御部4の構成部品を交換してもよいし、タップ切換器3aの全部又は構成部品を交換してもよい。各構成部品は、例えば不図示の架台等に螺子止めされている。具体的には、切換スイッチThm_X(m=A,B,C,D,1,2,3,4;X=U,V,W)、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VW、計測用変圧器PT3,PT4及びヒューズFn_X(n=1,2,3;X=U,V,W)を、
図3のステップS17にて交換することができる。但し、制御部4を交換しない場合は、ステップS15~S19の処理が不要となる。
【0045】
また、本実施形態1にあっては、調整変圧器2の二次巻線212,222,232がタップ切換器3aを介してY結線され、直列変圧器1の一次巻線111,121,131がΔ結線されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、調整変圧器2の二次巻線212,222,232がタップ切換器を介してΔ結線され、直列変圧器1の一次巻線111,121,131がY結線されていてもよい。また、調整変圧器2の二次巻線212,222がタップ切換器を介してV結線され、直列変圧器1の一次巻線111,121,131がY結線されていてもよい。これらの場合であっても、実施形態1と同様の効果を奏する。
【0046】
以上のように本実施形態1によれば、調整変圧器2及び計測用変圧器PT1,PT2の一次巻線と配電線1u,1v,1wとの接続のオン/オフがスイッチSW1によって可能であり、且つ計測用変圧器PT1又はPT2からの交流電力に基づいて電源41が制御部4の動作電源を生成する。スイッチSW1をオフにすることにより、制御部4の動作電源がオフすると共に、調整変圧器2の各タップからのタップ切換器3aに対する電圧が0になる。制御部4の動作電源がオフした場合、タップ切換器3aが素通しタップの状態となるか、又は電磁接触器MC_UV,MC_VWが投入されることによって直列変圧器1の一次巻線111,121,131が短絡される。これにより、直列変圧器1の一次巻線111,121,131を開放することなく、制御部4又はタップ切換器3aの一部又は全部を電圧調整装置100aから安全に分離し、且つ再接続することができる。従って、部品を容易に交換することが可能である。
【0047】
また、実施形態1によれば、タップ切換器3aと直列変圧器1の一次巻線111,121,131とを接続する接続線3u,3v,3wに流れる電流を検出する変流器CT_U,CT_Wそれぞれの二次巻線が短絡コネクタCN_U,CN_Wにて短絡可能である。従って、変流器CT_U,CT_Wが制御部4から切り離される前に、短絡コネクタCN_U,CN_Wにて二次巻線を短絡しておくことにより、二次巻線に生じる過電圧を防止することができる。
【0048】
更に、実施形態1によれば、使用者がスイッチSW1をオフにすることにより、制御部4の動作電源がオフすると共に、調整変圧器2の各タップからのタップ切換器3aに対する電圧が0になる。制御部4は、動作電源がオフしつつあることを検知してタップ切換器3aを素通しタップの状態にするか、又は電磁接触器MC_UV,MC_VWを投入することによって、直列変圧器1の一次巻線111,121,131を短絡する。その後、使用者が変流器CT_U,CT_Wの二次巻線を短絡コネクタCN_U,CN_Wにて短絡した上で、制御部4をタップ切換器3a及び計測用変圧器PT1,PT2から切り離して新旧交換する。使用者は、交換後の制御部4を再びタップ切換器3a及び計測用変圧器PT1,PT2に接続した後に、変流器CT_U,CT_Wの短絡コネクタCN_U,CN_Wにおける短絡を解除する。その後、使用者がスイッチSW1をオンにすることにより、調整変圧器2及び計測用変圧器PT1,PT2と配電線1u,1v,1wとの接続を元に戻し、且つ制御部4の動作電源をオンさせる。制御部4は、初期化処理にてタップ切換器3aを素通しタップの状態から復帰させ、電磁接触器MC_UV,MC_VWを開放させて直列変圧器1の一次巻線111,121,131の短絡を解除する。従って、制御部4を電圧調整装置100aから安全に分離し、且つ再接続することができる。
【0049】
(実施形態2)
実施形態1は、調整変圧器2及び計測用変圧器PT1,PT2と配電線1u,1v,1wとの接続がスイッチSW1によってオン/オフされる形態であった。これに対し、実施形態2は、調整変圧器2の各タップとタップ切換器3aとの接続がスイッチSW2(第2スイッチに相当)によってオン/オフされ、且つ制御部4の動作電源がスイッチSW3(第3スイッチに相当)によってオン/オフされる形態である。
図4は、実施形態2に係る電圧調整装置100bの構成例を示すブロック図である。
【0050】
調整変圧器2の二次巻線212,222,232のタップt1~t4のそれぞれは、12回路2接点のスイッチSW2のうちの相異なる1回路を介してタップ切換器3aに接続されている。本実施形態2では、スイッチSW2は負荷電流が流れない状態でオン/オフされるため、実施形態1のスイッチSW1よりも開閉電流が小さいスイッチを用いることができる。
【0051】
計測用変圧器PT1又はPT2と制御部4の電源41との間には、制御部4の電源41をオン/オフするスイッチSW3が接続されている。スイッチSW3は、不図示のバックアップ電源と電源41との間に接続されていてもよいし、電源41の動作をオン/オフするスイッチとして用いられてもよい。調整変圧器2の一次巻線211,221,231及び計測用変圧器PT1,PT2の一次巻線は、配電線1u,1v,1wに常時接続されている。その他実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
以下では、電圧調整装置100bの制御部4を交換する方法についてフローチャートを用いて説明する。
図5は、実施形態2に係る電圧調整装置100bの制御部4を交換する処理手順を示すフローチャートである。
図5に示す処理手順は、実施形態1の
図3に示す処理手順のうち、ステップS11をステップS31,S34に置き換え、ステップS20をステップS40,S41に置き換えたものである。即ち、スイッチSW1をオフ/オンにする手順と、スイッチSW3,SW2をオフ/オンにする手順とを入れ替えたものである。
図5のステップS32,S33,S35~S39,S42,S43は、
図3のステップS12,S13,S15~S19,S22,S23と同一内容であるため、説明の大部分を省略する。スイッチSW2,SW3はオンであることを前提とする。
【0053】
図5の処理手順を開始する場合、例えば使用者が手動でスイッチSW3をオフにすることにより、制御部4の動作電源をオフする(S31)。これにより、制御部4にて電源断の割込が発生する。この割込により、CPUは、タップ切換器3aを素通しタップの状態にし(S32)、更に電磁接触器MC_UV,MC_VWを投入する(S33)。
【0054】
次いで、例えば使用者が手動でスイッチSW2をオフにすることにより、調整変圧器2の二次巻線212,222,232のタップt1~t4をタップ切換器3aから切り離す(S34)。その後、ステップS35~S39の処理を使用者又はCPUが実行することにより、実施形態1と同様に制御部4が新旧交換される。
【0055】
次いで、例えば使用者が手動でスイッチSW2をオンにすることにより、調整変圧器2の二次巻線212,222,232のタップt1~t4をタップ切換器3aに接続する(S40)。更に、使用者が手動でスイッチSW3をオンにすることにより、制御部4の動作電源をオンする(S41)。これにより、制御部4の電源41に対する交流電力の供給が再開される。CPUは、初期化処理にて電磁接触器MC_UV,MC_VWを開放した(S42)後、タップ切換器3aを素通しタップの状態から復帰させて運用を再開し(S43)、
図5の処理を終了する。
【0056】
以上のように本実施形態2によれば、調整変圧器2の二次巻線212,222,232のタップt1~t4とタップ切換器3aとの接続のオン/オフがスイッチSW2によって可能であり、且つ制御部4の動作電源を生成する電源41のオン/オフがスイッチSW3によって可能である。スイッチSW3及びスイッチSW2をオフにすることにより、制御部4の動作電源がオフすると共に、調整変圧器2の各タップからのタップ切換器3aに対する電圧が0になる。制御部4の動作電源がオフした場合、タップ切換器3aが素通しタップの状態となるか、又は電磁接触器MC_UV,MC_VWが投入されることによって直列変圧器1の一次巻線111,121,131が短絡される。これにより、直列変圧器1の一次巻線111,121,131を開放することなく、制御部4又はタップ切換器3aの一部又は全部を電圧調整装置100bから安全に分離し、且つ再接続することができる。従って、部品を容易に交換することが可能である。
【0057】
更に、実施形態2によれば、使用者がスイッチSW3及びSW2をオフにすることにより、制御部4の動作電源がオフすると共に、調整変圧器2の各タップからのタップ切換器3aに対する電圧が0になる。制御部4は、動作電源がオフしつつあることを検知してタップ切換器3aを素通しタップの状態にするか、又は電磁接触器MC_UV,MC_VWを投入することによって、直列変圧器1の一次巻線111,121,131を短絡する。その後、制御部4が新旧交換された後に、使用者がスイッチSW2及びスイッチSW3をオンにすることにより、調整変圧器2の二次巻線212,222,232のタップt1~t4とタップ切換器3aとの接続を元に戻し、且つ制御部4の動作電源をオンさせる。制御部4は、初期化処理にてタップ切換器3aを素通しタップの状態から復帰させ、電磁接触器MC_UV,MC_VWを開放させて直列変圧器1の一次巻線111,121,131の短絡を解除する。従って、制御部4を電圧調整装置100bから安全に分離し、且つ再接続することができる。
【0058】
(実施形態3)
実施形態1及び2が、制御部4を新旧交換する形態であるのに対し、実施形態3は、電磁接触器MC_UV,MC_VWを新旧交換する形態である。本実施形態3では、実施形態1のスイッチSW1及び実施形態2のスイッチSW2,SW3を用いないため、電圧調整装置100a及び100bの何れを用いてもよい。
【0059】
以下では、電圧調整装置100a又は100bの電磁接触器MC_UV,MC_VWを交換する方法についてフローチャートを用いて説明する。
図6は、実施形態3に係る電圧調整装置100a又は100bの電磁接触器MC_UV,MC_VWを交換する処理手順を示すフローチャートである。
【0060】
図6の処理手順を開始する場合、例えば不図示の操作パネルに対して特定の操作が加えられた場合に、CPUが電磁接触器MC_UV,MC_VWを制御部4の監視対象外とした(S51)上で、タップ切換器3aの運用を停止して素通しタップの状態とする(S52)。これにより、直列変圧器1の一次巻線111,121,131が短絡される。
【0061】
その後、例えば使用者が電磁接触器MC_UV,MC_VWそれぞれの投入コイル、引外しコイル及び補助接点を制御部4から切り離し(S53)、更に電磁接触器MC_UV,MC_VWそれぞれの主接点を接続線3u,3v,3wから切り離す(S54)。ステップS53及びS54は、実行順序を入れ替えてもよい。次いで、使用者は、制御部4から切り離した電磁接触器MC_UV,MC_VWそれぞれを新たな電磁接触器MC_UV,MC_VWと新旧交換する(S55)。ここでの新たな電磁接触器MC_UV,MC_VWは開放されていることが好ましい。
【0062】
その後、例えば使用者が交換後の電磁接触器MC_UV,MC_VWそれぞれの主接点を接続線3U,3V,3Wに接続し(S56)、更にそれぞれの投入コイル、引外しコイル及び補助接点を制御部4に接続する(S57)。ステップS56及びS57は、実行順序を入れ替えてもよい。そして、例えば不図示の操作パネルに対して他の特定の操作が加えられた場合に、CPUが電磁接触器MC_UV,MC_VWを制御部4の監視対象とした(S58)後、タップ切換器3aを素通しタップの状態から復帰させて運用を再開し(S59)、
図6の処理を終了する。なお、ステップS55で新たな電磁接触器MC_UV,MC_VWが開放されていることが確認されなかった場合は、ステップS58の実行前に、CPUが電磁接触器MC_UV,MC_VWを開放させる。
【0063】
以上のように本実施形態3によれば、電磁接触器MC_UV,MC_VWを制御部4の監視対象から外すことによって、電磁接触器MC_UV,MC_VWの取り外しが異常として検知されないようにする。その後、制御部4がタップ切換器3aを素通しタップの状態にすることによって、直列変圧器1の一次巻線111,121,131を短絡する。その上で、使用者が電磁接触器MC_UV,MC_VWを制御部4から切り離し、更に、タップ切換器3aにおける接続線3U,3V,3Wに対する配線を取り外し、電磁接触器MC_UV,MC_VWを新旧交換する。交換後の電磁接触器MC_UV,MC_VWを再びタップ切換器3a及び制御部4と元通り接続した後に、電磁接触器MC_UV,MC_VWを制御部4の監視対象に戻す。最後に、制御部4がタップ切換器3aを素通しタップの状態から復旧させて運用を再開させる。従って、電磁接触器MC_UV,MC_VWを電圧調整装置100a又は100bから安全に分離し、且つ再接続することができる。
【0064】
(実施形態4)
実施形態1が、制御部4を新旧交換する形態であるのに対し、実施形態4は、変流器CT_U,CT_Wを新旧交換する形態である。
図7は、実施形態4に係る電圧調整装置100cの構成例を示すブロック図である。電圧調整装置100cは、実施形態1に係る電圧調整装置100aと比較して、タップ切換器3bに含まれる変流器CT_U,CT_Wそれぞれのコアに挿通される配線が異なっている。
【0065】
具体的に、変流器CT_Uのコアには、接続線3u(一の電路に相当)が挿通されており、接続線3uにおける変流器CT_Uよりも直列変圧器1の一次巻線111,121側の位置から分岐する分岐電路3ubが更に挿通されて電磁接触器MC_UVの一端に接続されている。同様に、変流器CT_Wのコアには、接続線3w(一の電路に相当)が挿通されており、接続線3wにおける変流器CT_Wよりも直列変圧器1の一次巻線111,131側の位置から分岐する分岐電路3wbが更に挿通されて電磁接触器MC_VWの一端に接続されている。MC_UV,MC_VWそれぞれの他端は接続線3vに接続されている。その他実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
【0066】
以下では、電圧調整装置100cの変流器CT_U,CT_Wを交換する方法についてフローチャートを用いて説明する。
図8は、実施形態4に係る電圧調整装置100cの変流器CT_U,CT_Wを交換する処理手順を示すフローチャートである。
図8に示す処理手順のうち、ステップS61~S65及びステップS72~S76は、実施形態1の
図3に示すステップS11~S15及びステップS19~S23と同一であるため、説明の一部を省略する。
【0067】
図8の処理手順を開始する場合、例えば使用者がスイッチSW1をオフにし(S61)、CPUがタップ切換器3bを素通しタップの状態にする(S62)と共に、電磁接触器MC_UV,MC_VWを投入する(S63)。次いで、使用者が変流器CT_U,CT_Wの二次巻線を短絡する(S65)。
【0068】
その後、例えば使用者が分岐電路3ub,3wbそれぞれを電磁接触器MC_UV,MC_VWの一端から取り外し、更に変流器CT_U,CT_Wそれぞれのコアから取り出す(S66)。使用者は取り出した分岐電路3ub,3wbそれぞれを新たな変流器CT_UV,CT_VWのコアに挿通し、更に電磁接触器MC_UV,MC_VWの一端に接続する(S67)。ステップS66の開始時点からステップS67の終了時点までの間、直列変圧器1の一次巻線111,121,131は、タップ切換器3bによって短絡される。
【0069】
その後、例えば使用者が接続線3u,3wそれぞれをタップ切換器3bから取り外し、更に変流器CT_U,CT_Wそれぞれのコアから取り出す(S68)。使用者は取り出した接続線3u,3wそれぞれを新たな変流器CT_U,CT_Wのコアに挿通し、更にタップ切換器3bの元の位置、即ちステップS68にて取り外された接続線3u,3wが接続されていた位置に接続する(S69)。ステップS68の開始時点からステップS69の終了時点までの間、直列変圧器1の一次巻線111,121,131は、電磁接触器MC_UV,MC_VWによって短絡される。ステップS66,67と、ステップS68,69とは、実行順序を入れ替えてもよい。
【0070】
その後、例えば使用者が元の変流器CT_U,CT_Wの二次巻線を制御部4から切り離し(S70)、更に新たな変流器CT_U,CT_Wの二次巻線を制御部4に接続する(S71)。次いで、使用者が変流器CT_U,CT_Wの二次巻線の短絡を解除した(S72)後、スイッチSW1をオンにする(S73)。これによって動作電源が再び供給された制御部4のCPUは、初期化処理にて電磁接触器MC_UV,MC_VWを開放した(S75)後、タップ切換器3bを素通しタップの状態から復帰させて運用を再開し(S76)、
図8の処理を終了する。
【0071】
以上のように本実施形態4によれば、直列変圧器1の一次巻線111,121,131及びタップ切換器3bを接続する3つの接続線3u,3v,3wのうち、接続線3u,3wそれぞれが変流器CT_U,CT_Wに挿通されており、接続線3u,3wそれぞれにおける変流器CT_U,CT_Wよりも直列変圧器1側の位置から分岐する分岐電路3ub,3wbが変流器CT_U,CT_Wに更に挿通されて、電磁接触器MC_UV,MC_VWの一端に接続されている。これにより、変流器CT_U,CT_Wを交換する際に、素通しタップ状態のタップ切換器3b及び投入状態の電磁接触器MC_UV,MC_VWそれぞれに接続されている接続線3u,3w及び分岐電路3ub,3wbを、交換前の変流器CT_U,CT_Wから交換後の変流器CT_U,CT_Wに1つずつ差し替えることにより、直列変圧器1の一次巻線111,121,131を短絡し続けることができる。
【0072】
また、実施形態4によれば、使用者がスイッチSW1をオフにすることにより、制御部4の動作電源がオフすると共に、調整変圧器2の各タップからのタップ切換器3bに対する電圧が0になる。制御部4は、タップ切換器3bを素通しタップの状態にし、且つ電磁接触器MC_UV,MC_VWを投入することにより、直列変圧器1の一次巻線111,121,131を短絡する。その後、使用者が変流器CT_U,CT_Wの二次巻線を短絡コネクタCN_U,CN_Wにて短絡した上で、交換前の変流器CT_U,CT_Wに挿通されて電磁接触器MC_UV,MC_VWの一端に接続されている分岐電路3ub,3wbを該一端から取り外して変流器CT_U,CT_Wから取り出し、取り出した分岐電路3ub,3wbそれぞれを新たな変流器CT_U,CT_Wに挿通して電磁接触器MC_UV,MC_VWの一端に接続する。この間、直列変圧器1の一次巻線111,121,131はタップ切換器3bによって短絡されている。その後、使用者が交換前の変流器CT_U,CT_Wそれぞれに挿通されてタップ切換器3bに接続されている接続線3u,3wをタップ切換器3bから取り外して変流器CT_U,CT_Wから取り出し、取り出した接続線3u,3wそれぞれを新たな変流器CT_U,CT_Wに挿通してタップ切換器3bの元の位置に接続する。この間、直列変圧器1の一次巻線111,121,131は電磁接触器MC_UV,MC_VWによって短絡されている。そして、使用者が制御部4を交換前の変流器CT_U,CT_Wから新たな変流器CT_U,CT_Wに繋ぎ替えた後に、新たな変流器CT_U,CT_Wの短絡コネクタCN_U,CN_Wにおける短絡を解除する。その後、使用者がスイッチSW1をオンにすることにより、調整変圧器2及び計測用変圧器PT1,PT2と配電線1u,1v,1wとの接続を元に戻し、且つ制御部4の動作電源をオンさせる。制御部4は、初期化処理にてタップ切換器3bを素通しタップの状態から復帰させ、且つ電磁接触器MC_UV,MC_VWを開放させて、直列変圧器1の一次巻線111,121,131の短絡を解除する。これにより、変流器CT_U,CT_Wを電圧調整装置100cから安全に分離し、且つ再接続することができる。
【0073】
(実施形態5)
実施形態4は、調整変圧器2及び計測用変圧器PT1,PT2と配電線1u,1v,1wとの接続がスイッチSW1によってオン/オフされる形態であった。これに対し、実施形態5は、調整変圧器2の各タップとタップ切換器3bとの接続がスイッチSW2によってオン/オフされ、且つ制御部4の動作電源がスイッチSW3によってオン/オフされる形態である。
図9は、実施形態5に係る電圧調整装置100dの構成例を示すブロック図である。
【0074】
調整変圧器2の二次巻線212,222,232のタップt1~t4のそれぞれは、12回路2接点のスイッチSW2のうちの相異なる1回路を介してタップ切換器3bに接続されている。計測用変圧器PT1又はPT2と制御部4の電源41との間には、制御部4の電源41をオン/オフするスイッチSW3が接続されている。調整変圧器2の一次巻線211,221,231及び計測用変圧器PT1,PT2の一次巻線は、配電線1u,1v,1wに常時接続されている。その他実施形態1及び4に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
【0075】
以下では、電圧調整装置100dのを交換する方法についてフローチャートを用いて説明する。
図10は、実施形態5に係る電圧調整装置100dの変流器CT_U,CT_Wを交換する処理手順を示すフローチャートである。
図10に示す処理手順は、実施形態4の
図8に示す処理手順のうち、ステップS61をステップS81,S84に置き換え、ステップS73をステップS93,S94に置き換えたものである。即ち、スイッチSW1をオフ/オンにする手順と、スイッチSW3,SW2をオフ/オンにする手順とを入れ替えたものである。
図10のステップS82,S83,S85~S92,S95,S96は、
図8のステップS62,S63,S65~S72,S75,S76と同一内容であるため、説明の大部分を省略する。スイッチSW2,SW3はオンであることを前提とする。
【0076】
図10の処理手順を開始する場合、例えば使用者が手動でスイッチSW3をオフにすることにより、制御部4の動作電源をオフする(S81)。これにより、制御部4にて電源断の割込が発生する。この割込により、CPUは、タップ切換器3bを素通しタップの状態にし(S82)、更に電磁接触器MC_UV,MC_VWを投入する(S83)。
【0077】
次いで、例えば使用者が手動でスイッチSW2をオフにすることにより、調整変圧器2の二次巻線212,222,232のタップt1~t4をタップ切換器3bから切り離す(S84)。その後、ステップS85~S92の処理を使用者又はCPUが実行することにより、実施形態4と同様に変流器CT_U,CT_Wが新旧交換される。
【0078】
次いで、例えば使用者が手動でスイッチSW2をオンにすることにより、調整変圧器2の二次巻線212,222,232のタップt1~t4をタップ切換器3bに接続する(S93)。更に、使用者が手動でスイッチSW3をオンにすることにより、制御部4の動作電源をオンする(S94)。これにより、制御部4の電源41に対する交流電力の供給が再開される。CPUは、初期化処理にて電磁接触器MC_UV,MC_VWを開放し(S95)、且つタップ切換器3bを素通しタップの状態から復帰させて運用を再開し(S96)、
図10の処理を終了する。
【0079】
以上のように本実施形態5によれば、使用者がスイッチSW3及びSW2をオフにすることにより、制御部4の動作電源がオフすると共に、調整変圧器2の各タップからのタップ切換器3bに対する電圧が0になる。制御部4は、動作電源がオフしつつあることを検知してタップ切換器3bを素通しタップの状態にするか、又は電磁接触器MC_UV,MC_VWを投入することによって、直列変圧器1の一次巻線111,121,131を短絡する。その後、変流器CT_U,CT_Wが新旧交換された後に、使用者がスイッチSW2及びスイッチSW3をオンにすることにより、調整変圧器2の二次巻線212,222,232のタップt1~t4とタップ切換器3bとの接続を元に戻し、且つ制御部4の動作電源をオンさせる。制御部4は、初期化処理にてタップ切換器3bを素通しタップの状態から復帰させ、且つ電磁接触器MC_UV,MC_VWを開放させて直列変圧器1の一次巻線111,121,131の短絡を解除する。従って、変流器CT_U,CT_Wを電圧調整装置100dから安全に分離し、且つ再接続することができる。
【0080】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0081】
1u,1v,1w 配電線、 10u,10v,10w 迂回路、 SW11,SW12,SW13 開閉器、 100a,100b,100c,100d 電圧調整装置、 1 直列変圧器、 111,121,131 一次巻線、 112,122,132 二次巻線、 2 調整変圧器、 211,221,231 一次巻線、 212,222,232 二次巻線、 t1,t2,t3,t4 タップ、 3a,3b タップ切換器、 4 制御部、 41 電源、 Thm_X(m=A,B,C,D,1,2,3,4;X=U,V,W) 切換スイッチ、 Fn_X(n=1,2,3;X=U,V,W) ヒューズ、 3u,3v,3w 接続線、 ThS_UV,ThS_VW 矯絡用スイッチ、 R_UV,R_VW 限流抵抗器、 MC_UV,MC_VW 電磁接触器、 CT_U,CT_W 変流器、CN_U,CN_W 短絡コネクタ、 S_U,S_W 短絡プラグ、 PT1,PT2,PT3,PT4 計測用変圧器