(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076333
(43)【公開日】2022-05-19
(54)【発明の名称】跳ね上げ門扉およびその組立方法
(51)【国際特許分類】
E06B 11/02 20060101AFI20220512BHJP
【FI】
E06B11/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186698
(22)【出願日】2020-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久野 聖太
【テーマコード(参考)】
2E038
【Fターム(参考)】
2E038BA02
2E038CA32
2E038CB04
2E038DD02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】組み立て時におけるブラケットと扉体との位置合わせが容易な跳ね上げ門扉等を提供する。
【解決手段】跳ね上げ門扉は、立設する支柱と、支柱に対して基端側が水平軸線回りに回動可能に設けられたメインアーム16と、メインアーム16の先端側にブラケット22を介して取り付けられる扉体と、メインアーム16および扉体を上方に付勢する付勢手段とを備える。ブラケット22は、外縁に連続する開いた形状の切欠部22dを有し、扉体は、空間で切欠部22dに対して上方から当接しておりメインアーム16が上方へ相対移動することを規制する規制ボルト44を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立設する支柱と、
前記支柱に対して基端側が水平軸線回りに回動可能に設けられたアームと、
前記アームの先端側にブラケットを介して取り付けられる扉体と、
前記アームおよび前記扉体を上方に付勢する付勢手段と、
を備え、
前記ブラケットは、外縁に連続する開いた形状の係合部を有し、
前記扉体は、前記係合部に対して上方から当接しており前記アームが上方へ相対移動することを規制する規制部を有することを特徴とする跳ね上げ門扉。
【請求項2】
前記扉体の前記規制部は突起であり、
前記ブラケットの前記係合部は、上方に形成される開口部から前記突起が嵌り込む切欠部を有することを特徴とする請求項1に記載の跳ね上げ門扉。
【請求項3】
前記ブラケットの前記係合部は、前記開口部の両側に形成され、前記切欠部の奥に向かって狭まる形状の傾斜部を有することを特徴とする請求項2に記載の跳ね上げ門扉。
【請求項4】
前記扉体の前記規制部は、前記ブラケットの厚みよりも前記アーム側に突出する位置に下向きのフックを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の跳ね上げ門扉。
【請求項5】
立設する支柱と、
前記支柱に対して基端側が水平軸線回りに回動可能に設けられたアームと、
前記アームの先端側にブラケットを介して取り付けられる扉体と、
前記アームおよび前記扉体を上方に付勢する付勢手段と、
を備え、
前記ブラケットは、前記扉体側に突出する係合部を有し、
前記扉体は、前記係合部に対して上方から当接しており前記アームが上方へ相対移動することを規制する規制部を有することを特徴とする跳ね上げ門扉。
【請求項6】
付勢手段を備えて立設する支柱、前記支柱に対して基端側が水平軸線回りに回動可能であり前記付勢手段によって上方に付勢されるアーム、および扉体を備える跳ね上げ門扉の組み立て方法であって、
外縁に連続する開いた形状の係合部を有するブラケットを前記アームの先端部に取り付ける工程と、
前記扉体を略閉状態の位置および向きに保持する工程と、
前記付勢手段の付勢力に抗して前記アームを変位させ、前記扉体の規制部が前記係合部の上方の空間に配置されるように設定する工程と、
前記付勢手段の付勢力によって前記アームを上方に相対移動させることにより、前記係合部を前記規制部に当接させる工程と、
前記ブラケットを前記扉体に対して固定手段によって固定する工程と、
を有することを特徴とする跳ね上げ門扉の組み立て方法。
【請求項7】
付勢手段を備えて立設する支柱、前記支柱に対して基端側が水平軸線回りに回動可能であり前記付勢手段によって上方に付勢されるアーム、および扉体を備える跳ね上げ門扉の組み立て方法であって、
前記扉体側に突出する係合部を有するブラケットを前記アームの先端部に取り付ける工程と、
前記扉体を略閉状態の位置および向きに保持する工程と、
前記付勢手段の付勢力に抗して前記アームを変位させ、前記扉体の規制部が前記係合部の上方の空間に配置されるように設定する工程と、
前記付勢手段の付勢力によって前記アームを上方に相対移動させることにより、前記係合部を前記規制部に当接させる工程と、
前記ブラケットを前記扉体に対して固定手段によって固定する工程と、
を有することを特徴とする跳ね上げ門扉の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱に対して回動可能に設けられたアーム、アームの先端側にブラケットを介して取り付けられる扉体、およびブラケットを介して扉体を上方に向けて付勢する付勢手段を備える跳ね上げ門扉およびその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な跳ね上げ門扉は、一対の支柱にそれぞれアームの基端側が回動可能に構成されており、該アームの先端側には扉体が取り付けられている。扉体はアームの基端部が水平軸まわりに回動することにより上下に移動する。跳ね上げ門扉は、例えば車庫の出入り口に設けられ、扉体は人や乗用車が通行可能な程度の高さに跳ね上げられる。
【0003】
跳ね上げ門扉にはブラケットを介してアームと扉体とを接続しているものがある。跳ね上げ門扉を組み立てる際には上下方向についてブラケットと扉体との位置決めを行う必要がある。特許文献1に記載の跳ね上げ門扉では、位置決めのためにブラケットおよび扉体のそれぞれに目印が刻印されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、扉体はある程度の重量を有するために、開動作が容易となるように支柱内にアームを上方に向けて付勢する付勢手段が設けられていることがある。
【0006】
跳ね上げ門扉を組み立てる際には、まず扉体を略鉛直向きで下降している閉状態となるように保持しておき、付勢手段の付勢力に抗してアームを押し下げ、アームの先端のブラケットと門扉の所定の固定箇所とを位置合わせし、さらにボルト等の固定手段で固定する。作業者はこのような作業を同時に行う必要がある。付勢手段は扉体の重量を適度に相殺するために設けられるものであり、扉体が取り付けられる前段階では上方に向けてある程度強い力を生じる。したがって、アームを押し下げるのには力を要し、その状態で精度よく位置合わせを行うことには練度を要する。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、組み立て時におけるブラケットと扉体との位置合わせが容易な跳ね上げ門扉およびその組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる跳ね上げ門扉は、立設する支柱と、前記支柱に対して基端側が水平軸線回りに回動可能に設けられたアームと、前記アームの先端側にブラケットを介して取り付けられる扉体と、前記アームおよび前記扉体を上方に付勢する付勢手段と、を備え、前記ブラケットは、外縁に連続する開いた形状の係合部を有し、前記扉体は、前記係合部に対して上方から当接しており前記アームが上方へ相対移動することを規制する規制部を有することを特徴とする。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる跳ね上げ門扉は、立設する支柱と、前記支柱に対して基端側が水平軸線回りに回動可能に設けられたアームと、前記アームの先端側にブラケットを介して取り付けられる扉体と、前記アームおよび前記扉体を上方に付勢する付勢手段と、を備え、前記ブラケットは、前記扉体側に突出する係合部を有し、前記扉体は、前記係合部に対して上方から当接しており前記アームが上方へ相対移動することを規制する規制部を有することを特徴とする。
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる跳ね上げ門扉の組み立て方法は、付勢手段を備えて立設する支柱、前記支柱に対して基端側が水平軸線回りに回動可能であり前記付勢手段によって上方に付勢されるアーム、および扉体を備える跳ね上げ門扉の組み立て方法であって、外縁に連続する開いた形状の係合部を有するブラケットを前記アームの先端部に取り付ける工程と、前記扉体を略閉状態の位置および向きに保持する工程と、前記付勢手段の付勢力に抗して前記アームを変位させ、前記扉体の規制部が前記係合部の上方の空間に配置されるように設定する工程と、前記付勢手段の付勢力によって前記アームを上方に相対移動させることにより、前記係合部を前記規制部に当接させる工程と、前記ブラケットを前記扉体に対して固定手段によって固定する工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる跳ね上げ門扉の組み立て方法は、付勢手段を備えて立設する支柱、前記支柱に対して基端側が水平軸線回りに回動可能であり前記付勢手段によって上方に付勢されるアーム、および扉体を備える跳ね上げ門扉の組み立て方法であって、前記扉体側に突出する係合部を有するブラケットを前記アームの先端部に取り付ける工程と、前記扉体を略閉状態の位置および向きに保持する工程と、前記付勢手段の付勢力に抗して前記アームを変位させ、前記扉体の規制部が前記係合部の上方の空間に配置されるように設定する工程と、前記付勢手段の付勢力によって前記アームを上方に相対移動させることにより、前記係合部を前記規制部に当接させる工程と、前記ブラケットを前記扉体に対して固定手段によって固定する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる跳ね上げ門扉およびその組み立て方法では、係合部がブラケットの外縁に連続する開いた形状であり、または、扉体のある方向に突出する形状であり、扉体の規制部を係合させることが可能である。そして、アームおよびブラケットは規制部によって上方への移動が規制されて位置決めされていることから、作業者はブラケットと扉体との位置決めが容易になる。これにより、作業者は固定手段による締結作業を容易かつ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態である跳ね上げ門扉を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、跳ね上げ門扉におけるブラケットおよびその周辺部の斜視図である。
【
図6】
図6は、跳ね上げ門扉の組み立て方法のフローチャートである。
【
図7】
図7は、縦材に対してブラケットを固定する様子を示した図であり、(a)は規制ボルトを螺合する工程を示し、(b)はブラケットを上昇させる工程を示し、(c)は固定ボルトを螺合する工程を示す。
【
図8】
図8は、規制ボルトによって上方への変位が規制されたブラケットおよびその周辺を示す後面図である。
【
図9】
図9は、第1の変形例にかかるブラケットが取り付けられたメインアームを縦材に取り付ける様子を示した斜視図である。
【
図10】
図10は、第2の変形例にかかるブラケットが取り付けられたメインアームを縦材に取り付ける様子を示した斜視図である。
【
図11】
図11は、第3の変形例にかかるブラケットが取り付けられたメインアームを縦材に取り付ける様子を示した斜視図である。
【
図12】
図12は、第4の変形例にかかるブラケットの斜視図である。
【
図13】
図13は、第5の変形例にかかるブラケットとその周辺部の斜視図である。
【
図14】
図14は、第5の変形例にかかるブラケットに対して適用されるベース板の斜視図である。
【
図15】
図15は、第6の変形例にかかるブラケットとその周辺部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明にかかる跳ね上げ門扉およびその組立方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明の実施形態である跳ね上げ門扉10を示す斜視図である。
図2は、跳ね上げ門扉10の側面図である。
【0016】
跳ね上げ門扉10は、例えば、車庫と前面道路等とを仕切るためもので、車庫の前面側に設置されている。各図で、矢印X1側が車庫側であり、矢印X2側が道路側である。
図1は跳ね上げ門扉10の閉状態を示している。閉状態では扉体26が鉛直向きで下降している。開状態では扉体26水平向きで上昇している(
図2の実線参照)。以下の説明において上下方向については、特に断りのない限り跳ね上げ門扉10の閉状態を基準とする。各図で跳ね上げ門扉10の閉状態を基準とした上下方向を矢印Yで示し、さらに上方を矢印Y1、下方を矢印Y2で示す。
【0017】
跳ね上げ門扉10は、立設する一対の支柱12と、該支柱12にそれぞれ設けられた回転支持機構14と、該回転支持機構14に対してそれぞれ接続された一対のメインアーム16および一対のサブアーム18と、各メインアーム16の先端に設けられたブラケット22と、各サブアーム18の先端に設けられたブラケット24と、これらのブラケット22,24を介して取り付けられる扉体26とを備える。左右一対のメインアーム16は、先端同士が補強材27で連結されている。支柱12の内部には、メインアーム16および扉体26を上方に付勢する付勢手段(図示略)が設けられている。
【0018】
付勢手段はメインアーム16およびブラケット22を介して扉体26を上方に向けて付勢する。この跳ね上げ門扉10では、ブラケット22およびブラケット24に同部材を採用して部品の共用化を図っている。支柱12、メインアーム16、サブアーム18および後述する縦材30、横材32は、アルミニウム合金形材製で中空矩形断面を有して形成されている。
【0019】
一対の支柱12は、例えば乗用車1台の幅よりも大きい間隔で設けられており、地中に形成された図示しない基礎により支持され上方に向かって立設している。メインアーム16およびサブアーム18はその基端側が回転支持機構14に対して水平軸回りに回動可能に設けられている。回転支持機構14は、メインアーム16の回動に対してサブアーム18を適度な回転角偏差を与えながら連動して回転させる機構である。この回転支持機構14によれば、扉体26は閉状態(
図1および
図2の仮想線の状態)のときには鉛直向きに配置され、開状態(
図1および
図2の実線の状態)のときには略水平向きに配置される。また、扉体26は、閉状態から開状態に移動するときには、略鉛直上向きに移動し、X1方向およびX2方向にほとんど突出することがないため地面近くの他の構造物との干渉を回避することができる。
【0020】
回転支持機構14の具体的構成は特に限定されず、例えばリンク、カム、ギア、スライダーまたはそれらの組み合わせによって実現される。メインアーム16およびサブアーム18の少なくとも一方は、回転支持機構14に対して回動可能な形式に限らず、支柱12に対して直接的に軸支されていてもよい。すなわち、メインアーム16およびサブアーム18は支柱12に対して直接的、または回転支持機構14などを介して間接的に回動可能になっていればよい。
【0021】
図2の実線で示すように、メインアーム16およびサブアーム18は、扉体26が開状態のときは鉛直上向きではなく、鉛直を基準としてX2方向に傾斜している。このようにやや傾斜して延出するメインアーム16およびサブアーム18は、ユーザまたは作業者が扉体26を閉じるために前方に向かって押圧するときに手を掛けやすく力を加えやすい。
メインアーム16はサブアーム18よりも下方に配置されているが、逆の配置(
図13参照)でもよい。
【0022】
回転支持機構14(またはメインアーム16など)には、開状態または閉状態の姿勢を保持するためのロックピン28が設けられている。ロックピン28は開状態のときには支柱12に設けられた所定の第1ピン孔(図示略)に嵌り、閉状態のときには所定の第2ピン孔(図示略)に嵌ってロックされる。ロックを解除するには、ロックピン28を第1ピン孔または第2ピン孔から一時的に引き抜けばよい。第1ピン孔および第2ピン孔は寸法誤差や、動作の自由度を考慮してある程度大きな径となっている。したがって、ロックピン28で固定されたメインアーム16は適度な遊び代がある。
【0023】
付勢手段は支柱12に設けられており、回転支持機構14を介してメインアーム16およびサブアーム18を
図1における時計方向に付勢する。すなわち、付勢手段は扉体26が閉状態のときには、該扉体26を上方に付勢する。付勢手段は、例えば扉体26が閉状態のとき該扉体26の重量を適度に相殺する程度の付勢力を発揮し得る。付勢手段は、例えば弾性体や油圧ダンパーなどである。付勢手段はメインアーム16だけに付勢力を付与し、サブアーム18には作用しない構成でもよい。
【0024】
扉体26は、左右一対の縦材30および上下一対の横材32を備える。縦材30および横材32を四周枠組みした内側には複数の格子材34が設けられる。格子材34に代えて面材などを設けてもよい。扉体26の下方両端部には地面に当接する支持金具36が設けられている。
【0025】
図3は、ブラケット22の斜視図である。ブラケット22はメインアーム16の先端部と扉体26の縦材30とを接続する取付板である。ブラケット22は金属板から形成されており、座面部22aと、左右両側に設けられた屈曲片22bと、座面部22aの上端近傍および下端近傍に形成されたボルト孔22cと、座面部22aの上端に形成された切欠部(係合部)22dとを備える。
【0026】
座面部22aは縦長形状であり、その横幅はメインアーム16の横幅とほぼ等しい。屈曲片22bは座面部22aからX1方向へ90°屈曲した三角形状部である。屈曲片22bにはピン孔22baが形成されている。ピン孔22baは、設計条件に応じて直線状または曲線状の長孔としてもよい。ボルト孔22cは、縦方向(Y方向)について後述する固定ボルト46(
図5参照)が挿通可能な寸法であって、やや横長の長孔である。
【0027】
切欠部22dは、座面部22aの上縁中央部で上方(付勢手段による付勢方向)に開口した半円形状に形成されている。切欠部22dは、組み立て前の単体では、ブラケット22の上端に形成されていることから、当然ながら上方に十分な空間が確保されており、後述する規制ボルト44(
図5参照)のネジ部44aを事前に配置可能である。切欠部22dは、規制ボルト44の左右方向の相対位置を規制しながら嵌り込むことができる程度の大きさになっている。
【0028】
切欠部22dは、閉じた形状ではなく上方に開口しており、換言すればブラケット22の外縁22eに連続する開いた形状となっている。したがって、切欠部22dは、規制ボルト44が上から下(Y2方向)に向かって切欠部22dに嵌り込むことが可能である。組み立て後の跳ね上げ門扉10では、規制ボルト44は、切欠部22dの底面に対して上方から当接している。ブラケット22は
図4に示すベース板38と組み合わされて縦材30に固定される。
【0029】
図4は、ベース板38の斜視図である。ベース板38は縦長形状であり、上下一対の固定用雌ネジ孔38aと、上端近傍に形成された規制用雌ネジ孔38bと、ネジ孔38cとが設けられている。固定用雌ネジ孔38aは上記のボルト孔22cに対応した位置に設けられており、固定ボルト46(
図5参照)が螺合可能になっている。規制用雌ネジ孔38bは上記の切欠部22dに対応した位置に設けられており、規制ボルト44(
図5参照)が螺合可能になっている。
【0030】
図5は、跳ね上げ門扉10におけるブラケット22およびその周辺部の斜視図である。
図5では、扉体26が閉状態となっている。
図5は左右一対の縦材30のうち一方について示しているが、他方についても同様構成である。
図5はメインアーム16の先端に取り付けられたブラケット22を示しているが、サブアーム18の先端に取り付けられたブラケット24についても同様構成で縦材30に固定されている。
【0031】
図5に示すように、メインアーム16は先端部がピン40によって屈曲片22bのピン孔22baに軸支されており、ブラケット22および扉体26に対して回動可能となっている。縦材30におけるX1側面30aには上下方向に延在する溝42が形成されている。溝42の両側には開口部を狭める一対の突片42aが設けられている。溝42にはベース板38が嵌め込まれて固定される。
【0032】
ベース板38の溝42に対する固定は、まずネジ孔38c(
図4参照)に小型のビス41(
図7(a)参照)を螺合させて溝42の底面に軽く当接させて位置決めされる。縦材30に対するベース板38の固定方法は特に限定されず、例えば溶接などでもよい。ベース板38は縦材30と一体の構成であってもよい。
【0033】
ベース板38の規制用雌ネジ孔38bには規制ボルト44のネジ部44aが螺合している。ネジ部44aは、縦材30のX1側面30aよりも突出していてブラケット22の切欠部22dに嵌り込んでいる。ネジ部44aと切欠部22dのY2方向端部とは当接している。規制ボルト44のX1方向端にはヘッド44bが設けられている。規制ボルト44は、後述するように跳ね上げ門扉10の組み立て時において作業者が規制用雌ネジ孔38bに螺合させるものであるが、設計条件によってはベース板38または縦材30と一体的に形成されていてもよい。
【0034】
縦材30およびベース板38とブラケット22とは2本の固定ボルト46によって締結されている。すなわち、固定ボルト46はブラケット22のボルト孔22cを通ってベース板38の固定用雌ネジ孔38aに螺合しており、ベース板38とブラケット22とが溝42の突片42aを挟持する摩擦力によって固定されている。
【0035】
次に、跳ね上げ門扉10の組み立て方法について説明する。
図6は、跳ね上げ門扉10の組み立て方法のフローチャートである。
図7は、縦材30に対してブラケット22を固定する様子を示した図であり、(a)は規制ボルト44を螺合する工程を示し、(b)はブラケット22を上昇させる工程を示し、(c)は固定ボルト46を螺合する工程を示す。
【0036】
図6および
図7で示す跳ね上げ門扉10の組み立て方法は、左右一対の縦材30のうち一方について示しているが、他方についても同様方法である。
図6および
図7はメインアーム16と縦材30との組み立て方法であるが、サブアーム18と縦材30との組み立て方法も同様である。メインアーム16と縦材30との組み立て、および、サブアーム18と縦材30との組み立ては、例えばいずれか下方のものを先に行い、または、回転支持機構14の構成よっては実質的に同時に行ってもよい。
【0037】
まず、
図6のステップS1において準備工程としていくつかの準備を行う。この準備工程には、ブラケット22をメインアーム16の先端部に取り付けること、ブラケット24をサブアーム18の先端部に取り付けること、支柱12に回転支持機構14をおよび付勢手段を取り付けることなどが含まれる。
【0038】
ステップS2において、地中に基礎を形成し、該基礎に対して一対の支柱12を立設させる。
【0039】
ステップS3において、基端側が水平軸線回りに回動可能であり、付勢手段によって開状態の方向(
図2の時計方向)に付勢されるようにメインアーム16およびサブアーム18を取り付ける。
【0040】
ステップS4において、付勢手段の付勢力に抗してメインアーム16を閉状態の位置まで倒し込み、ロックピン28によって固定する。ただし、上記のとおりロックピン28で固定されたメインアーム16は適度な遊び代があって多少の上下動が可能となっている。
【0041】
ステップS5において、縦材30の溝42の所定位置にベース板38を固定する。ベース板38の固定は、小さいビス41(
図7参照)による仮固定であるが、より高強度の固定手段を用いてもよい。ベース板38は縦材30に対してあらかじめ固定されていてもよい。
【0042】
ステップS6において、扉体26を略閉状態の位置および向きに保持する。つまり、
図1に示したように、車庫側と道路側との境界で鉛直向きとなるように扉体26を保持する。このとき、扉体26の位置および向きは必ずしも高精度に設定する必要はなく、略閉状態の位置に設定されていればよい。扉体26の保持は、作業員が保持していてもよいし、所定の保持具を用いてもよい。
【0043】
ステップS7において、
図7(a)に示すようにベース板38の規制用雌ネジ孔38bに規制ボルト44を螺合させる。規制ボルト44は、
図7(b)に示すようにヘッド44bが縦材30のX1側面30aよりも所定長さL1だけ突出した位置となるようにする。規制ボルト44の螺合深さは、例えばネジ部44aが溝42の底面に当接することによって設定されてもよいし、作業員が計測しながら設定してもよい。所定長さL1はブラケット22の厚みよりもやや長い。ステップS7により、規制部としての規制ボルト44のネジ部44aは切欠部22dの上方の空間に配置される。なお、規制ボルト44に相当する規制部が扉体26にあらかじめ設けられている場合には、ステップS7は不要であり、ステップS6で規制部の設定が行われていることになる。
【0044】
ステップS8において、メインアーム16を押し下げている押圧力を解除することにより、
図7(b)の白抜き矢印に示すようにメインアーム16を上方に変位させる。この変位は付勢手段の付勢力による。そして、扉体26に設けられた規制ボルト44を切欠部22dに嵌め込む。
【0045】
このとき、切欠部22dは適度な大きさの半円形状であることから規制ボルト44を嵌めやすい。また、切欠部22dはブラケット22の上端に形成されていて、上方に十分な空間が確保されていることから、ブラケット22と規制ボルト44との相対動作が可能となっている。さらに、切欠部22dはブラケット22の外縁22eに連続する開いた形状となっていることから、先付けされた規制ボルト44をはめ込むことが可能となっている。規制ボルト44は切欠部22dに嵌り込みその底面に当接する。
【0046】
これによってブラケット22およびメインアーム16が上方へ移動することが規制される。ブラケット22およびメインアーム16は、この時点で縦材30およびベース板38に対して相対的に上方へ移動することが規制されるが、跳ね上げ門扉10の組み立て後においては縦材30およびベース板38とともに上下動可能であることはもちろんである。
【0047】
図8は、規制ボルト44によって上方への変位が規制されたブラケット22およびその周辺を示す後面図である。
図8ではメインアーム16を省略している。
図8に示すように、ブラケット22は規制ボルト44によって縦材30に対して上下方向の相対的位置決めがなされ、特に固定用雌ネジ孔38aとボルト孔22cとの上下方向位置が正確に合う。また、規制ボルト44はネジ部44aが切欠部22dの円弧面に沿って最下方部まで案内されてブラケット22と縦材30とが左右方向について位置決めされる。
図8から了解されるように、固定用雌ネジ孔38aはボルト孔22cの中央位置に配置されることから、ボルト孔22cの横方向寸法は比較的短くてもよく、または仮想線で示すように真円であってもよい。真円にすると後述する固定ボルト46のヘッド46bと座面部22aとの接触面積を大きくすることができる。
【0048】
規制ボルト44のヘッド44bは、ブラケット22の厚みよりも
図8の紙面手前側に突出する位置に配置されている(
図5も参照)。ヘッド44bはネジ部44aよりも大径であることから、その下方部分(フック)44baは、切欠部22dの下端よりも下向きに突出している。つまり、ブラケット22は縦材30のX1側面30aとヘッド44bの下方部分44baとの間に配置されている。したがって、縦材30がX2方向(
図5参照)に倒れようとするとX1側面30aがブラケット22に当接して規制され、縦材30がX1方向に倒れようとするとヘッド44bの下方部分44baがブラケット22に当接して規制されるため、扉体26は保持を解除しても倒れることがなくなる。
【0049】
ステップS9において、
図7(c)に示すように、固定ボルト46を固定用雌ネジ孔38aに螺合させることにより、ブラケット22を扉体26に対して固定する。このとき、メインアーム16は付勢手段による上方への付勢力を受けているが、ブラケット22の切欠部22dが規制ボルト44によって上方への移動が規制されて位置決めされていることから、作業者はメインアーム16と縦材30との位置決めをする必要がなく、固定ボルト46の締結作業を容易かつ正確に行うことができる。
【0050】
以上、
図6のフローチャートに基づいてメインアーム16に関する組立方法を説明したが、サブアーム18についてはステップS4~S9を同様に行い、跳ね上げ門扉10の組み立てが終了する。メインアーム16およびサブアーム18の縦材30に対する取り付けは同時並行的に行ってもよい。各工程の順序は、必ずしも
図6に従って行わなくてもよい。
【0051】
なお、上記のステップS8および
図7(b)の説明では、メインアーム16を押し下げている押圧力を解除することによってメインアーム16を上方に変位させて規制ボルト44を切欠部22dに嵌め込むものとしたが、メインアーム16はロックピン28によって姿勢がある程度固定されていることから、扉体26をやや持ち上げてから降ろすことによって規制ボルト44を切欠部22dに嵌め込んでもよい。すなわち、このときメインアーム16は、扉体26に対して上方に相対移動させればよい。
【0052】
次に、ブラケット22の変形例について説明する。以下の変形例の説明では、ブラケット22と同様の構成箇所については同符号を付してその詳細な説明を省略する。
(第1の変形例)
図9は、第1の変形例にかかるブラケット22Aが取り付けられたメインアーム16を縦材30に取り付ける様子を示した斜視図である。
図9に示すように、ブラケット22Aは、座面部22aの上端に切欠部(係合部)22Aaが形成されている。切欠部22AaはU字形状であって、上記のブラケット22(
図8参照)における2つのボルト孔22cのうち上方に相当する箇所まで窪んだ形状となっている。
【0053】
切欠部22Aaの横幅L2は、固定ボルト46のネジ部46aの幅よりわずかに大きい。切欠部22Aaは、開口部の両側に形成され、奥に向かって狭まる形状の傾斜部22Abを有する。傾斜部22Abの傾斜角度は、例えば45°程度である。ブラケット22Aは、上記のブラケット22(
図8参照)における2つのボルト孔22cのうち下方に相当する孔が設けられている。後述するブラケット22B,22Cも同様である。
【0054】
メインアーム16の先端にブラケット22Aを適用する場合には、縦材30には上記のベース板38に代えてベース板50を固定する。ベース板50はベース板38における規制用雌ネジ孔38bを省略したものである。
【0055】
ブラケット22Aを縦材30に固定する場合には、上記のステップS7(
図6参照)に相当する工程で、規制用雌ネジ孔38bに規制ボルト44を螺合さるのに代えて1つの固定ボルト46を2つの固定用雌ネジ孔38aのうち上方の孔に螺合させる。この固定ボルト46は、ヘッド46bが縦材30のX1側面30aよりも所定長さL1だけ突出した位置となるようにする。後述するブラケット22B22C,22Dの場合も同様である。
【0056】
そして、上記のステップS8に相当する工程では、メインアーム16を押し下げている押圧力を解除することにより、
図9の白抜き矢印に示すようにメインアーム16を付勢手段による付勢力を用いて上方に変位させ、または、縦材30を上方から降ろす。そして、縦材30に設けられた固定ボルト46を切欠部22Aaに嵌め込む。
【0057】
このとき、切欠部22Aaの上端には適度な大きさの傾斜部22Abが設けられていることから、固定ボルト46が案内されて嵌め込まれやすい。固定ボルト46は切欠部22Aaに嵌り込みその底面に当接する。これによってブラケット22Aおよびメインアーム16が上方へ移動することが規制される。つまり、あらかじめ仮螺合された1本の固定ボルト46が上記の規制ボルト44と同様の作用を奏する。
【0058】
切欠部22Aaの横幅L2は、固定ボルト46のネジ部46aの幅よりわずかに大きいだけであることから、ブラケット22Aと縦材30とは横方向についても位置決めされる。固定ボルト46のヘッド46bは、その下方部分が切欠部22Aaの下端よりも下向きに突出していることから縦材30が倒れることを防止する。
【0059】
さらに、上記のステップS9に相当する工程では、仮螺合された1本の固定ボルト46をさらに螺合させてブラケット22Aの上方部分を縦材30に対して締結させる。また、もう一本の固定ボルト46をボルト孔22cから挿通して下方の固定用雌ネジ孔38aに螺合させ、ブラケット22Aの下方部分を縦材30に対して締結させる。このとき、ブラケット22Aの切欠部22Aaが上方の固定ボルト46によって上方への移動が規制されて位置決めされていることから、作業者はメインアーム16と縦材30との位置決めをする必要がなく、下方の固定ボルト46の締結作業を容易かつ正確に行うことができる。
【0060】
このようなブラケット22Aを適用すると、上方の固定ボルト46がブラケット22Aの位置決め規制を行うことから、上記の規制ボルト44を省略することができる。
【0061】
(第2の変形例)
図10は、第2の変形例にかかるブラケット22Bが取り付けられたメインアーム16を縦材30に取り付ける様子を示した斜視図である。
図10に示すように、ブラケット22Bは、座面部22aの上端に切欠部(係合部)22Baが形成されている。切欠部22BaはV字形状であって、上記のブラケット22(
図8参照)における2つのボルト孔22cのうち上方に相当する箇所よりやや下方まで窪んだ形状となっている。
【0062】
上記のブラケット22(
図8参照)における2つのボルト孔22cのうち上方に相当する箇所で、切欠部22Baの横幅L3は固定ボルト46のネジ部46aの幅とほぼ等しくなっている。切欠部22Baの形状は固定ボルト46が嵌り込んでV字の2つの端面に当接したときに、下方のボルト孔22cがベース板38における下方の固定用雌ネジ孔38aと整合するように設定されている。切欠部22BaがV字形状をなす角度は、例えば30°程度である。
【0063】
ブラケット22Bを縦材30に固定する場合で、上記のステップS8に相当する工程では、メインアーム16を押し下げている押圧力を解除することにより、
図10の白抜き矢印に示すようにメインアーム16を付勢手段による付勢力を用いて上方に変位させ、または、縦材30を上方から降ろす。そして、ベース板50に設けられた固定ボルト46を切欠部22Baに嵌め込む。
【0064】
切欠部22Baの上端はV字形状の一部分であり傾斜部22Bbとみなせる。固定ボルト46は、傾斜部22Bbに案内されて切欠部22Baに嵌め込まれやすい。固定ボルト46は切欠部22Baに嵌り込み、やや下方部分で横幅がL3である箇所の近傍でV字形状の2つの端面に挟まれるように当接する。これによってブラケット22Bおよびメインアーム16が上方へ移動することが規制される。つまり、あらかじめ仮螺合された1本の固定ボルト46が上記の規制ボルト44と同様の作用を奏する。
【0065】
固定ボルト46は切欠部22BaにおけるV字形状の2つの端面に挟まれるように当接することから、ブラケット22Bと縦材30とは横方向についても位置決めされる。固定ボルト46のヘッド46bは、その下方部分が切欠部22BaにおけるV字の2つの端面から突出しており、縦材30が倒れることを防止する。
【0066】
上記のステップS9に相当する工程では、第1の変形例にかかるブラケット22Aの場合と同様に、位置決めをする必要がない状態で2本の固定ボルト46によってブラケット22Bと縦材30とを締結することができる。
【0067】
(第3の変形例)
図11は、第3の変形例にかかるブラケット22Cが取り付けられたメインアーム16を縦材30に取り付ける様子を示した斜視図である。
図11に示すように、ブラケット22Cは、座面部22aの上方において側方(
図11では左方向)に開口した切欠部22Caが形成されている。切欠部22Caは、上記のブラケット22(
図8参照)における2つのボルト孔22cのうち上方に相当する箇所が側方まで開口する形状となっている。
【0068】
切欠部22Caの高さ方向の幅L4は固定ボルト46のネジ部46aの幅よりわずかに大きい。換言すると、切欠部22Caは外縁22eに連続する開いた形状であって、その下端面(係合部)22Caaは上方に幅L4の空間が確保されている。つまり、切欠部22Caの上方には座面部22aの上片22aaが存在するが、下端面22Caaからはネジ部46aの幅より大きい幅L4の空間が上方に開放されている。また換言すればネジ部46aは、切欠部22Caの高さよりも低く、この空間に配置可能となっている。切欠部22Caは開口端両側で奥に向かって狭まる形状の傾斜部22Cbを有する。換言すれば、切欠部22Caは奥に向かって狭まっている。この傾斜部22Cbは上記の傾斜部22Abと同様の作用がある。
【0069】
ブラケット22Cを縦材30に固定する場合で、上記のステップS8に相当する工程では、まずメインアーム16を機構的に許容される範囲で右方向に移動させておく。そして、
図11の白抜き矢印で示すように、左方向に変位させて固定ボルト46を切欠部22Caに嵌め込む。この時点では固定ボルト46のネジ部46aは切欠部22Caの幅L4の範囲内で、相対的に上下動が可能であり、ネジ部46a切欠部22Ca内の空間に配置されることになる。
【0070】
さらに、メインアーム16を押し下げている押圧力を解除することによりメインアーム16を付勢手段による付勢力を用いて上方に変位させる。そして、ベース板50に設けられた固定ボルト46を切欠部22Caの下端面22Caaに当接させる。これによってブラケット22Cおよびメインアーム16が上方へ移動することが規制される。つまり、あらかじめ仮螺合された1本の固定ボルト46が上記の規制ボルト44と同様の作用を奏し、その後のステップS9に相当する工程では位置決めをする必要がない。
【0071】
このようなブラケット22Cでは、2本の固定ボルト46の各上方部が座面部22aの一部で塞がれていることから、縦材30が上方に抜ける方向の衝撃力を受けた際に、荷重が2本の固定ボルト46に分散されるため一層高剛性となる。
【0072】
(第4の変形例)
図12は、第4の変形例にかかるブラケット22Dの斜視図である。ブラケット22Dは上記の各ブラケットよりも縦方向に長尺であり、上方の一対の屈曲片22bの他に下方に一対の屈曲片22Daが設けられている。屈曲片22bDbにはメインアーム16の先端が取り付けられ、屈曲片22Daにはサブアーム18の先端が取り付けられる。
【0073】
ブラケット22Dは、座面部22aの上端に切欠部22Aaが形成されている。この切欠部22Aaはブラケット22A(
図9参照)におけるものと同じである。ブラケット22Dは、略中間高さおよび下端近傍にボルト孔22cが形成されている。これらのボルト孔22cはブラケット22(
図8参照)におけるものと同じである。すなわち、ブラケット22Dは3本の固定ボルト46によって縦材30に固定される。ブラケット22Dを適用する場合には、図示を省略するが、対応するベース板にも3つの固定用雌ネジ孔38aが設けられる。そして、一番上の固定ボルト46を固定用雌ネジ孔38aに仮螺合してブラケット22Dの位置決めを行うことができる。
【0074】
このようなブラケット22Dによれば、1つでメインアーム16とサブアーム18とを支持して、縦材30に対する固定作業もまとめて行うことができるため効率的である。
【0075】
(第5の変形例)
図13は、第5の変形例にかかるブラケット22Eとその周辺部の斜視図である。
図14は、第5の変形例にかかるブラケット22Eに対して適用されるベース板52の斜視図である。
【0076】
図13に示すように、ブラケット22Eは上記のブラケット22Dと同様に縦方向に長尺であり、メインアーム16が取り付けられる一対の屈曲片22Dbと、サブアーム18が取り付けられる一対の屈曲片22Daとを備える。
【0077】
ブラケット22Eは、上端近傍、略中間高さおよび下端近傍にボルト孔22cが形成されている。3つのボルト孔22cはブラケット22(
図8参照)におけるものと同じであり、ブラケット22Eは3本の固定ボルト46によって縦材30に固定される。ブラケット22Eにおける座面部22aの上縁(係合部)22Eaには、ブラケット22D(
図12参照)のような切欠部22Aaが設けられていない。この場合、上縁22Eaは、外縁22eの一部であり、換言すれば外縁22eに連続する開いた形状といえる。ブラケット22Eを適用する場合には、溝42に対してベース板52が固定される。
【0078】
図14に示すように、ベース板52には3つの固定用雌ネジ孔38aが設けられている。これらの固定用雌ネジ孔38aは、ブラケット22Eにおける3つのボルト孔22cと対応した位置に設けられている。ベース板52は上端に下向フック体54を有する。下向フック体54は板片であって、座面部22aと一体的に形成されている。下向フック体54は、座面部22aから連続している上方突起54aと、該上方突起54aからX1方向に突出する突起(規制部)54bと、該突起54bの先端から下方に屈曲するフック54cとを備える。
図13に示すように、突起54bは縦材30のX1側面30aからさらに長さL1だけ突出している。この長さL1は前記と同様の長さである。
【0079】
ブラケット22Eを縦材30に固定する場合で、上記のステップS8に相当する工程では、メインアーム16を押し下げている押圧力を解除することにより、メインアーム16を上方に変位させ、または、縦材30を上方から降ろす。そして、座面部22aの上縁22EaをX1側面30aとフック54cとの間に嵌めて突起54bに当接させる。これによってブラケット22Eおよびメインアーム16が上方へ移動することが規制される。つまり、突起54bが上記の規制ボルト44と同様の作用を奏する。この後、上記のステップS9に相当する工程では、位置決めをする必要がない状態で3本の固定ボルト46によってブラケット22Eと縦材30とを締結することができる。
【0080】
このようなベース板52を用いると、下向フック体54を備えていることから上記の規制ボルト44を設ける工程(
図6のステップS7に相当する工程)が不要になる。またフック54cは下向きに突出していることから縦材30が倒れることを防止する。
【0081】
(第6の変形例)
図15は、第6の変形例にかかるブラケット22Fとその周辺部の斜視図である。
図15に示すように、ブラケット22Fは溝42に設けられたベース板50に固定する。ブラケット22Fは下端に上向フック体56を有する。
【0082】
上向フック体56は板片であって、座面部22aと一体的に形成されている。上向フック体56は、座面部22aから連続している下方突起56aと、該下方突起56aから扉体26の方向(つまりX2方向)に突出する突起(係合部)56bと、該突起56bの先端から上方に屈曲するフック56cとを備える。突起56bおよびフック56cは、溝42に挿入可能な幅となっている。突起56bは、組み立て前の単体で、上方には特段の構成要素がないため十分な空間が確保されている。突起56bは上方に開いた形状となっている。上向フック体56は、概念的には上記の下向フック体54(
図14参照)を上下逆にしたものである。
【0083】
ブラケット22Fを縦材30に固定する場合で、上記のステップS8に相当する工程では、メインアーム16を押し下げている押圧力を解除することにより、メインアーム16を上方に変位させ、または、縦材30を上方から降ろす。そして、ベース板50の下縁(規制部)50aを下方突起56aとフック56cとの間に嵌めて突起56bに当接させる。これによってブラケット22Fおよびメインアーム16が上方へ移動することが規制される。つまり、下縁50aが上記の規制ボルト44と同様の作用を奏する。この後、上記のステップS9に相当する工程では、位置決めをする必要がない状態で2本の固定ボルト46によってブラケット22Fと縦材30とを締結することができる。
【0084】
このようなブラケット22Fは上向フック体56を備えていることから、ベース板50には規制部としての突起が不要である。また、上記の規制ボルト44を設ける工程(
図6のステップS7に相当する工程)が不要である。さらにフック56cは上向きに突出していることから縦材30が倒れることを防止する。
【0085】
上記の各実施形態において扉体26は、一対のメインアーム16および一対のサブアーム18によって支持されているが、左右一対のアームだけで支持される形態でもよい。扉体26の上昇は直昇式に限られない。跳ね上げ門扉10は電動式であってもよい。支柱12は通常は2本設けられるが、設計条件によっては1本であってもよい。
【0086】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0087】
本発明にかかる跳ね上げ門扉は、立設する支柱と、前記支柱に対して基端側が水平軸線回りに回動可能に設けられたアームと、前記アームの先端側にブラケットを介して取り付けられる扉体と、前記アームおよび前記扉体を上方に付勢する付勢手段と、を備え、前記ブラケットは、外縁に連続する開いた形状の係合部を有し、前記扉体は、前記係合部に対して上方から当接しており前記アームが上方へ相対移動することを規制する規制部を有することを特徴とする。
【0088】
また、本発明にかかる跳ね上げ門扉は、立設する支柱と、前記支柱に対して基端側が水平軸線回りに回動可能に設けられたアームと、前記アームの先端側にブラケットを介して取り付けられる扉体と、前記アームおよび前記扉体を上方に付勢する付勢手段と、を備え、前記ブラケットは、前記扉体側に突出する係合部を有し、前記扉体は、前記係合部に対して上方から当接しており前記アームが上方へ相対移動することを規制する規制部を有することを特徴とする。
【0089】
本発明にかかる跳ね上げ門扉の組み立て方法は、付勢手段を備えて立設する支柱、前記支柱に対して基端側が水平軸線回りに回動可能であり前記付勢手段によって上方に付勢されるアーム、および扉体を備える跳ね上げ門扉の組み立て方法であって、外縁に連続する開いた形状の係合部を有するブラケットを前記アームの先端部に取り付ける工程と、前記扉体を略閉状態の位置および向きに保持する工程と、前記付勢手段の付勢力に抗して前記アームを変位させ、前記扉体の規制部が前記係合部の上方の空間に配置されるように設定する工程と、前記付勢手段の付勢力によって前記アームを上方に相対移動させることにより、前記係合部を前記規制部に当接させる工程と、前記ブラケットを前記扉体に対して固定手段によって固定する工程と、を有することを特徴とする。
【0090】
また、本発明にかかる跳ね上げ門扉の組み立て方法は、付勢手段を備えて立設する支柱、前記支柱に対して基端側が水平軸線回りに回動可能であり前記付勢手段によって上方に付勢されるアーム、および扉体を備える跳ね上げ門扉の組み立て方法であって、前記扉体側に突出する係合部を有するブラケットを前記アームの先端部に取り付ける工程と、前記扉体を略閉状態の位置および向きに保持する工程と、前記付勢手段の付勢力に抗して前記アームを変位させ、前記扉体の規制部が前記係合部の上方の空間に配置されるように設定する工程と、前記付勢手段の付勢力によって前記アームを上方に相対移動させることにより、前記係合部を前記規制部に当接させる工程と、前記ブラケットを前記扉体に対して固定手段によって固定する工程と、を有することを特徴とする。
このような跳ね上げ門扉およびその組み立て方法では、係合部がブラケットの外縁に連続する開いた形状であり、または、扉体側に突出する形状であり、扉体の規制部に係合させることが可能である。そして、アームおよびブラケットは規制部によって上方への移動が規制されて位置決めされていることから、作業者はブラケットと扉体との位置決めが容易になる。これにより、作業者は固定手段による締結作業を容易かつ正確に行うことができる。
【0091】
本発明にかかる跳ね上げ門扉は、記扉体の前記規制部は突起であり、前記ブラケットの前記係合部は、上方に形成される開口部から前記突起が嵌り込む切欠部を有することを特徴とする。
このような切欠部によれば、ブラケットと扉体との位置決めが一層正確に行われる。
【0092】
本発明にかかる跳ね上げ門扉は、前記ブラケットの前記係合部は、前記開口部の両側に形成され、前記切欠部の奥に向かって狭まる形状の傾斜部を有することを特徴とする。
このような傾斜部によれば、規制部が切欠部に対して正しく案内され、嵌め込まれやすい。
【0093】
本発明にかかる跳ね上げ門扉は、前記扉体の前記規制部は、前記ブラケットの厚みよりも前記アーム側に突出する位置に下向きのフックを有することを特徴とする。
このようなフックによれば、他の支持手段によらず組み立て時において扉体が倒れることを防止できる。
【符号の説明】
【0094】
10 跳ね上げ門扉、12 支柱、14 回転支持機構、16 メインアーム(アーム)、18 サブアーム(アーム)、22,22A,22B,22C,22D,22E,22F,24 ブラケット、22a 座面部、22b 屈曲片、22c ボルト孔、22e 外縁、22Ab,22Bb,22Cb 傾斜部、22Ea 上縁(係合部)、22d,22Aa,22Ba,22Ca 切欠部(係合部)、22Caa 下端面(係合部)、26 扉体、28 ロックピン、30 縦材、30a X1側面、38,50,52 ベース板、38a 固定用雌ネジ孔、38b 規制用雌ネジ孔、38c ネジ孔、42 溝、42a 突片、44 規制ボルト(規制部)、44a,46a ネジ部、44b,46b ヘッド、46 固定ボルト(固定手段)、50a 下縁(規制部)、54 下向フック体、54a 上方突起、54b 突起(規制部)、54c,56c フック、56 上向フック体、56a 下方突起、56b 突起(係合部)