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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076357
(43)【公開日】2022-05-19
(54)【発明の名称】監視システム及び駐車支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/14 20060101AFI20220512BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
G08G1/14 A
B60W30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186729
(22)【出願日】2020-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 幸紀子
(72)【発明者】
【氏名】田中 優
(72)【発明者】
【氏名】山本 陽香
(72)【発明者】
【氏名】上山 浩行
(72)【発明者】
【氏名】仲野 綾華
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BC01
3D241BC02
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC11
3D241CC17
3D241CE02
3D241CE05
3D241DA13Z
3D241DA23Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB05Z
3D241DB08Z
3D241DB32Z
5H181AA01
5H181AA21
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF05
5H181FF13
5H181KK01
5H181KK04
5H181LL06
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】監視対象となる車両が移動する場合であっても駐車場内の状況を正確に把握できるようにする。
【解決手段】監視システムは、駐車場に設置され、駐車場内に存在する物体を検出する少なくとも1つのセンサと、センサを変位させる可動部と、可動部を制御する制御部と、を備え、制御部は、駐車場内を走行し監視対象となる対象車両の位置を示す位置情報に基づき、センサが対象車両の移動に合わせて変位するように可動部を制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場に設置され、前記駐車場内に存在する物体を検出する少なくとも1つのセンサと、
前記センサを変位させる可動部と、
前記可動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記駐車場内を走行し監視対象となる対象車両の位置を示す位置情報に基づき、前記センサが前記対象車両の移動に合わせて変位するように前記可動部を制御する、
監視システム。
【請求項2】
前記センサは、複数存在し、
前記可動部は、複数の前記センサを個別に変位可能であり、
前記制御部は、複数の前記センサの検出領域を示す検出領域情報に基づき、前記対象車両の移動に合わせて、前記対象車両を追跡する複数の前記センサの検出領域の死角が小さくなるように前記可動部を制御する、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記可動部は、前記駐車場の天井部に設置されたレール状の支持部材に沿って変位する、
請求項1又は2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記支持部材は、前記駐車場内に設けられた走行路に沿って敷設される、
請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
前記支持部材は、前記駐車場を構成する建造物を構成する建材に沿って敷設される、
請求項3に記載の監視システム。
【請求項6】
前記対象車両の将来の移動経路を示す予測経路情報を取得する取得部、
を更に備え、
前記制御部は、前記予測経路情報に基づき前記可動部を制御する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記対象車両を追跡していた前記センサが追跡終了後に所定の待機位置に戻るように前記可動部を制御する、
請求項2に記載の監視システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の監視システムにより生成された、前記駐車場内の状況を示す場内情報に基づき、前記対象車両を駐車領域に駐車させる駐車動作の少なくとも一部を自動化するための処理を行う処理部、
を備える駐車支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、監視システム及び駐車支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
駐車場に設置されたセンサにより取得される情報に基づき駐車場内の状況を監視する監視システムが利用されている。監視システムによる監視結果は、例えば、車両を駐車領域へ自動的又は半自動的に誘導する駐車支援システム等において利用される。
【0003】
例えば、駐車場内に敷設されたガイドレールに沿って移動するカメラにより駐車領域に駐車された車両のナンバープレートを撮像し、撮像画像を、車両を空き駐車領域へ誘導するための処理に利用する技術が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2902034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
駐車場内において監視対象となる車両が移動する場合、監視対象とセンサとの位置関係によりセンサの検出領域に死角が生じる場合がある。このような場合、駐車場内の状況を正確に把握することが困難となる。
【0006】
そこで、本開示の目的の一つは、監視対象となる車両が移動する場合であっても駐車場内の状況を正確に把握することが可能な監視システム及び駐車支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態としての監視システムは、駐車場に設置され、駐車場内に存在する物体を検出する少なくとも1つのセンサと、センサを変位させる可動部と、可動部を制御する制御部と、を備え、制御部は、駐車場内を走行し監視対象となる対象車両の位置を示す位置情報に基づき、センサが対象車両の移動に合わせて変位するように可動部を制御するものである。
【0008】
上記構成によれば、対象車両が移動する場合であっても駐車場内の状況を正確に把握できる。
【0009】
また、上記構成において、センサは、複数存在し、可動部は、複数のセンサを個別に変位可能であり、制御部は、複数のセンサの検出領域を示す検出領域情報に基づき、対象車両の移動に合わせて、対象車両を追跡する複数のセンサの検出領域の死角が小さくなるように可動部を制御するものであってもよい。
【0010】
上記構成によれば、複数のセンサで対象車両を追跡する場合に、検出領域の死角を小さくすることができる。
【0011】
また、上記構成において、可動部は、駐車場の天井部に設置されたレール状の支持部材に沿って変位するものであってもよい。
【0012】
上記構成によれば、駐車場内に存在する物体に干渉することなく、センサを比較的自由に変位させることができる。
【0013】
また、上記構成において、支持部材は、駐車場内に設けられた走行路に沿って敷設されてもよい。
【0014】
上記構成によれば、センサを対象車両の進行方向に沿って変位させることが容易となるため、センサによる対象車両の追跡が容易となる。
【0015】
また、上記構成において、支持部材は、駐車場を構成する建造物を構成する建材に沿って敷設されてもよい。
【0016】
上記構成によれば、支持部材の敷設が容易となる。
【0017】
また、上記監視システムは、対象車両の将来の移動経路を示す予測経路情報を取得する取得部を更に備え、制御部は、予測経路情報に基づき可動部を制御してもよい。
【0018】
上記のように、位置情報及び検出領域情報に加え、予測経路情報も考慮して可動部を制御することにより、対象車両の移動経路を先回りするようにセンサを変位させることができ、センサによる追跡動作の精度を向上させることができる。
【0019】
また、上記構成において、制御部は、対象車両を追跡していたセンサが追跡終了後に所定の待機位置に戻るように可動部を制御してもよい。
【0020】
これにより、駐車場内に新たに侵入してきた対象車両に対する追跡動作を迅速に開始できる。
【0021】
また、本開示の他の形態としての駐車支援システムは、上記監視システムにより生成された、駐車場内の状況を示す場内情報に基づき、対象車両を駐車領域に駐車させる駐車動作の少なくとも一部を自動化するための処理を行う処理部を備えるものである。
【0022】
上記構成によれば、駐車支援処理を高い精度で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、第1実施形態に係る監視システム及び駐車支援システムが適用される駐車場の構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る管制装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る対象車両の走行システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る駐車支援システムの構成の一例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る監視システムの機能構成の一例を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係る駐車場において対象車両が移動した際の状況の一例を示す図である。
図7図7は、第1実施形態に係る駐車場において対象車両が目的の駐車領域の近傍に到達した際の状況の一例を示す図である。
図8図8は、第1実施形態に係る監視システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、第2実施形態に係る駐車場の構成の一例を示す図である。
図10図10は、第3実施形態に係る駐車場の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用、結果、及び効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る監視システム及び駐車支援システムが適用される駐車場1の構成の一例を示す図である。
【0026】
駐車場1には、複数の駐車領域11、走行路12、入庫ゲート13、出庫ゲート14、管制装置15、撮像装置21A~21F(センサ)、可動部22A~22F、及びレール25A~25H(支持部材)が設けられている。以下、複数の撮像装置21A~21Fのそれぞれを区別する必要がない場合には、撮像装置21と記載する場合がある。複数の可動部22A~22Fのそれぞれを区別する必要がない場合には、可動部22と記載する場合がある。複数のレール25A~25Hのそれぞれを区別する必要がない場合には、レール25と記載する場合がある。
【0027】
走行路12は、車両が走行するための通路であり、入庫ゲート13及び出庫ゲート14と連通し、各駐車領域11の近傍を通るように設けられている。図1には、入庫ゲート13の近傍に監視対象となる対象車両2が存在し、複数の駐車領域11のうちのいくつかに対象車両2以外の車両3が駐車された状態が例示されている。
【0028】
撮像装置21は、駐車場1内に存在する物体を検出可能なセンサの一例であり、駐車場1内を撮像して画像データを取得する。撮像装置21により取得された画像データは、駐車場1内の状況を示す場内情報の生成に利用される。
【0029】
可動部22は、複数の撮像装置21を個別に変位させるユニットである。本実施形態に係る可動部22は、複数の撮像装置21と一対一で対応するように複数設けられている。各可動部22は、レール25に変位可能に連結され、電動モータ等の駆動力によりレール25に沿って変位する。レール25は、駐車場1を構成する建造物の天井部に敷設されている。
【0030】
図1に示す例では、6台の撮像装置21A~21F及び6台の可動部22A~22Fが設置され、8本のレール25A~25Hが敷設されている。レール25A,25B,25C,25Dは、走行路12に沿うように敷設されている。レール25Eは、レール25B,25Dのそれぞれの中点を結ぶように、且つレール25A,25Cと平行に敷設されている。レール25F~25Hは、建造物の壁面に沿って敷設されている。
【0031】
複数の撮像装置21は、それぞれ所定の撮像領域を有する。図1には、撮像装置21Aの撮像領域31A、撮像装置21Bの撮像領域31B、及び撮像装置21Cの撮像領域31Cが例示されている。これらの撮像領域31A~31Cの視野範囲は60°程度である。他の撮像装置21D~21Fについても同様に撮像領域が存在する。撮像領域は、物体を検出可能な検出領域の一例である。図1には、対象車両2が撮像装置21A~21Cのそれぞれの撮像領域31A~31C内に存在している状態が例示されている。以下、撮像装置21A~21Fのそれぞれの撮像領域を「撮像領域31」と記載する場合がある。
【0032】
管制装置15は、監視システム及び駐車支援システムを制御するための処理を行う情報処理装置である。管制装置15は、可動部22の動作を制御すると共に、撮像装置21により取得された画像データに基づき駐車場1内の状況を示す場内情報を生成する。場内情報は、例えば、対象車両2を空き状態の駐車領域11へ自動的又は半自動的に誘導する駐車支援処理等に利用される。可動部22の制御については後に詳述する。
【0033】
図2は、第1実施形態に係る管制装置15のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0034】
管制装置15は、CPU41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43、通信デバイス44、入出力デバイス45、及びストレージ46を含む。これらのハードウェアはバス47を介して互いに接続されている。
【0035】
CPU41は、管制装置15を統括的に制御するハードウェアプロセッサである。CPU41は、ROM42やストレージ46に記憶されたプログラム(オペレーションシステム、アプリケーション、ファームウェア等)を読み出し、所定の演算処理を実行する。ROM42は、不揮発性の主記憶装置であり、プログラムの他に、各種処理の実行に必要なデータを記憶している。RAM43は、CPU41の作業領域を提供する揮発性の主記憶装置である。
【0036】
通信デバイス44は、管制装置15と外部装置(例えば対象車両2に搭載されたデバイス等)との間で通信を確立するインターフェースである。例えば、通信デバイス44は、管制装置15と外部装置との間でWi-Fi(登録商標)等の規格に準ずる無線通信を確立する。
【0037】
入出力デバイス45は、ユーザ(駐車支援システム101の管理者等)からの入力操作の受け付け及びユーザに対する情報の出力を可能にするユーザインターフェースである。入出力デバイス45は、例えばキーボード、マウス、タッチパネル機構、マイク、ディスプレイ、スピーカ等であり得る。
【0038】
ストレージ46は、書き換え可能な不揮発性の補助記憶装置である。ストレージ46は、例えばSSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等であり得る。ストレージ46には、管制装置15の機能を実現するためのプログラム、データ等が記憶される。ストレージ46には、例えば、駐車場1の地図データ等が記憶されてもよい。
【0039】
なお、図2に示すハードウェア構成は例示であり、管制装置15は使用状況に応じて適宜なハードウェア及びソフトウェアを利用して構築されるべきものである。
【0040】
図3は、第1実施形態に係る対象車両2の走行システム100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0041】
走行システム100は、車両制御装置50、制動システム51、加速システム52と、操舵システム53、変速システム54、障害物センサ55、走行状態センサ56、通信インターフェース(I/F)57、車載カメラ58、モニタ装置59、及び車載ネットワーク60を含む。
【0042】
制動システム51は、対象車両2の減速を制御するユニットである。制動システム51は、制動部51A、制動制御部51B、及び制動部センサ51Cを含む。
【0043】
制動部51Aは、例えばブレーキペダル等の、対象車両2を減速させるための部材を含む機構である。制動制御部51Bは、例えばCPU等を含むECU(Electronic Control Unit)である。制動制御部51Bは、車両制御装置50からの指示に基づいてアクチュエータを駆動し制動部51Aを作動させることで、対象車両2の減速度合を制御する。制動部センサ51Cは、制動部51Aの状態を検出するための装置である。例えば、制動部51Aがブレーキペダルを含む場合、制動部センサ51Cは、制動部51Aの状態としてブレーキペダルの位置、ブレーキペダルに作用している圧力等を検出する。制動部センサ51Cは、検出した制動部51Aの状態を車載ネットワーク60に出力する。
【0044】
加速システム52は、対象車両2の加速を制御するユニットである。加速システム52は、加速部52A、加速制御部52B、及び加速部センサ52Cを含む。
【0045】
加速部52Aは、例えばアクセルペダル等の、対象車両2を加速させるための部材を含む機構である。加速制御部52Bは、例えばCPU等を含むECUである。加速制御部52Bは、車両制御装置50からの指示に基づいてアクチュエータを駆動し加速部52Aを作動させることで、対象車両2の加速度合を制御する。加速部センサ52Cは、加速部52Aの状態を検出するための装置である。例えば、加速部52Aがアクセルペダルを含む場合、加速部センサ52Cは、アクセルペダルの位置、アクセルペダルに作用している圧力等を検出する。加速部センサ52Cは、検出した加速部52Aの状態を車載ネットワーク60に出力する。
【0046】
操舵システム53は、対象車両2の進行方向を制御するユニットである。操舵システム53は、操舵部53A、操舵制御部53B、及び操舵部センサ53Cを含む。
【0047】
操舵部53Aは、例えばステアリングホイール、ハンドル等の、対象車両2の転舵輪を転舵させるための部材を含む機構である。操舵制御部53Bは、例えばCPU等を含むECUである。操舵制御部53Bは、車両制御装置50からの指示に基づいてアクチュエータを駆動し操舵部53Aを作動させることで、対象車両2の進行方向を制御する。操舵部センサ53Cは、操舵部53Aの状態を検出するための装置である。例えば、操舵部53Aがステアリングホイールを含む場合、操舵部センサ53Cは、ステアリングホイールの位置、ステアリングホイールの回転角度等を検出する。操舵部53Aがハンドルを含む場合、操舵部センサ53Cは、ハンドルの位置、ハンドルに作用している圧力等を検出してもよい。操舵部センサ53Cは、検出した操舵部53Aの状態を車載ネットワーク60に出力する。
【0048】
変速システム54は、対象車両2の変速比を制御するユニットである。変速システム54は、変速部54A、変速制御部54B、及び変速部センサ54Cを含む。
【0049】
変速部54Aは、例えばシフトレバー等の、対象車両2の変速比を変更するための部材を含む機構である。変速制御部54Bは、例えばCPU等を含むECUである。変速制御部54Bは、車両制御装置50からの指示に基づいてアクチュエータを駆動し変速部54Aを作動させることで、対象車両2の変速比を制御する。変速部センサ54Cは、変速部54Aの状態を検出するための装置である。例えば、変速部54Aがシフトレバーを含む場合、変速部センサ54Cは、シフトレバーの位置、シフトレバーに作用している圧力等を検出する。変速部センサ54Cは、検出した変速部54Aの状態を車載ネットワーク60に出力する。
【0050】
障害物センサ55は、対象車両2の周囲に存在する障害物に関する情報を検出するための装置である。障害物センサ55は、例えば対象車両2から障害物までの距離を検出する測距センサ(例えば超音波センサ、電磁波センサ、光学センサ等)を含む。障害物センサ55は、検出した情報を車載ネットワーク60に出力する。
【0051】
走行状態センサ56は、対象車両2の走行状態を検出するための装置である。走行状態センサ56は、例えば対象車両2の車輪速を検出する車輪速センサ、対象車両2の操舵角を検出する操舵角センサ、対象車両2の前後方向又は左右方向の加速度を検出する加速度センサ、対象車両2の旋回速度(角速度)を検出するジャイロセンサ等を含む。走行状態センサ56は、検出した走行状態を車載ネットワーク60に出力する。
【0052】
通信インターフェース57は、走行システム100と外部装置との間で通信を確立するインターフェースである。通信インターフェース57は、例えば車両制御装置50と管制装置15との間の無線通信によるデータの送受信等を実現する。通信インターフェース57は、車両制御装置50のCPU50Aに接続されている。
【0053】
車載カメラ58は、対象車両2の周辺の状況を撮像することで対象車両2の周辺の状況を検出するセンサである。例えば、車載カメラ58は、対象車両2の前方、後方、及び側方(左右両方)の路面を含む領域を撮像するように複数設けられる。車載カメラ58により得られた画像データは、対象車両2の近辺の状況の監視(障害物の検出を含む)に使用される。車載カメラ58は、得られた画像データを車両制御装置50に出力する。
【0054】
モニタ装置59は、対象車両2の車室内のダッシュボード等に設けられるユニットである。モニタ装置59は、表示部59A、音声出力部59B、及び操作入力部59Cを含む。
【0055】
表示部59Aは、車両制御装置50の指示に応じて画像を表示するデバイスである。表示部59Aは、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を利用して構成される。音声出力部59Bは、車両制御装置50の指示に応じて音声を出力するデバイスである。音声出力部59Bは、例えばスピーカを含んで構成される。操作入力部59Cは、対象車両2内の乗員の入力を受け付けるデバイスである。操作入力部59Cは、例えば表示部59Aのタッチパネル機構、入力ボタン等を利用して構成される。操作入力部59Cは、受け付けた入力を車載ネットワーク60に出力する。
【0056】
車両制御装置50は、走行システム100を統括的に制御する装置である。車両制御装置50は、対象車両2の現在位置を推定する機能、推定した現在位置を考慮して対象車両2の走行を制御する機能等を有し、これらの機能により駐車場1内における自動走行(半自動走行を含む)を実現する。
【0057】
本実施形態に係る車両制御装置50は、CPU50A、ROM50B、RAM50C、SSD50D、表示制御部50E、及び音声制御部50Fを含むECUとして構成されている。
【0058】
CPU50Aは、車両制御装置50を統括的に制御するハードウェアプロセッサである。CPU50Aは、ROM50B等に記憶された各種の制御プログラムを読み出し、所定の演算処理を実行する。ROM50Bは、不揮発性の主記憶装置であり、制御プログラムの他に、各種処理の実行に必要な各種データ等を記憶する。RAM50Cは、CPU50Aの作業領域を提供する揮発性の主記憶装置である。SSD50Dは、書き換え可能な不揮発性の補助記憶装置である。表示制御部50Eは、車両制御装置50で実行される各種の処理のうち、主として、車載カメラ58から得られた画像データに対する画像処理、モニタ装置59の表示部59Aに出力する画像データの生成等を行う回路である。音声制御部50Fは、車両制御装置50で実行される各種の処理のうち、主として、モニタ装置59の音声出力部59Bに出力する音声データの生成等を行う回路である。
【0059】
車載ネットワーク60は、車両制御装置50、制動システム51、加速システム52、操舵システム53、変速システム54、障害物センサ55、走行状態センサ56、及びモニタ装置59の操作入力部59Cを通信可能に接続する。
【0060】
図4は、第1実施形態に係る駐車支援システム101の構成の一例を示す図である。
【0061】
駐車支援システム101は、対象車両2を空き状態の駐車領域11へ自動的又は半自動的に誘導する駐車支援処理を行うシステムであり、監視システム201及び走行支援処理部111(処理部)を有する。
【0062】
監視システム201は、駐車場1内の状況を示す場内情報を生成する監視処理を行うシステムであり、上記撮像装置21、可動部22等を含んで構成される。走行支援処理部111は、上記管制装置15、車両制御装置50等を含んで構成され、監視システム201により生成された場内情報に基づき、対象車両2を駐車領域11に駐車させる駐車動作の少なくとも一部を自動化するための処理を行う。
【0063】
図5は、第1実施形態に係る監視システム201の機能構成の一例を示す図である。
【0064】
監視システム201は、認識処理部210、位置情報取得部211、検出領域情報取得部212、経路情報取得部213、制御部214、及び出力部215を有する。これらの機能的構成要素210~215は、図2に示す管制装置15のハードウェア構成要素と、ROM42やストレージ46に記憶されたプログラム等のソフトウェア構成要素との協働により構成される。
【0065】
認識処理部210は、撮像装置21により取得された画像データに基づき、駐車場1内に存在する対象車両2、他の車両3、歩行者、障害物等の物体を認識する。認識処理部210による認識結果は、制御部214に出力され、後述する制御部214による処理に利用される。また、認識処理部210による認識結果は、そのまま出力部215に出力され、場内情報に反映されてもよい。
【0066】
位置情報取得部211は、対象車両2の現在位置を示す位置情報を取得する。位置情報の取得方法は特に限定されるべきものではなく、駐車場1の構造、監視システムの適用状況等に応じて適宜選択されればよい。位置情報は、例えば、駐車場1の地図情報、駐車場1内に存在する所定のランドマーク等を利用して取得され得る。
【0067】
検出領域情報取得部212は、複数の撮像装置21のそれぞれの検出領域を示す検出領域情報を取得する。検出領域は、駐車場1内に存在する物体を検出可能な領域である。本実施形態においては、複数の撮像装置21のそれぞれの撮像領域31が検出領域となる。
【0068】
経路情報取得部213は、対象車両2の将来の移動経路を示す予測経路情報を取得する。予測経路情報は、例えば、駐車支援システム101の走行支援処理部111により生成された、現在位置から空き状態の駐車領域11までの走行経路を示す情報等である。
【0069】
制御部214は、認識処理部210による認識結果、位置情報取得部211により取得された位置情報、検出領域情報取得部212により取得された検出領域情報、経路情報取得部213により取得された予測経路情報等に基づき、可動部22を制御する。制御部214は、位置情報と検出領域情報とに基づき、複数の撮像装置21のうちの少なくとも1つが対象車両2を追跡するように、且つ対象車両2を追跡している撮像装置21の撮像領域31の死角が小さくなるように、可動部22を制御する。このとき、制御部214は、更に予測経路情報に基づき可動部22を制御してもよい。
【0070】
制御部214は、追跡処理部221及び死角低減処理部222を有する。
【0071】
追跡処理部221は、位置情報及び検出領域情報に基づき、撮像装置21が対象車両2を追跡するための撮像装置21の目標位置である追跡位置を設定する。このとき、追跡処理部221は、更に予測経路情報を利用して追跡位置を設定してもよい。予測経路情報を利用することにより、対象車両2の移動経路を先回りするように撮像装置21を変位させることができ、追跡位置の精度を向上させることができる。
【0072】
死角低減処理部222は、位置情報及び検出領域情報に基づき、対象車両2を追跡している撮像装置21の撮像領域31の死角を小さくするための撮像装置21の目標位置である死角低減位置を設定する。このとき、死角低減処理部222は、更に予測経路情報を利用して死角低減位置を設定してもよい。予測経路情報を利用することにより、対象車両2の移動経路を先回りするように撮像装置21を変位させることができ、死角低減位置の精度を向上させることができる。また、死角低減処理部222は、認識処理部210の認識結果に基づき、認識処理部210により認識された物体を優先的に捉えられるように死角低減位置を設定してもよい。
【0073】
制御部214は、追跡処理部221により設定された追跡位置と死角低減処理部222により設定された死角低減位置とに基づき、可動部22を変位させるための変位指示信号生成し、可動部22に出力する。可動部22は、変位指示信号に応じてレール25上を変位する。
【0074】
出力部215は、撮像装置21により取得された画像データに基づく場内情報を出力する。場内情報は、例えば駐車支援システム101による駐車支援処理に利用される。なお、場内情報の利用方法はこれに限定されるものではなく、例えば、場内情報は、駐車場1内に存在する歩行者、車両3の乗員等に向けた警報の出力等のために利用されてもよい。
【0075】
図6は、第1実施形態に係る駐車場1において対象車両2が移動した際の状況の一例を示す図である。
【0076】
図6には、対象車両2が入庫ゲート13の近傍から駐車場1の内部へ進行した状況が例示されている。このとき、3つの撮像装置21A~21Cは、可動部22A~22Cの駆動により、対象車両2を追跡するように(対象車両2が撮像領域31A~31C内に捉えられるように)変位する。
【0077】
図7は、第1実施形態に係る駐車場1において対象車両2が目的の駐車領域11Aの近傍に到達した際の状況の一例を示す図である。
【0078】
図7には、対象車両2が目的の駐車領域11Aに入庫しようしており、対象車両2の近傍に歩行者71が存在し、目的の駐車領域11Aの近傍に障害物72が存在している状況が例示されている。
【0079】
本例における歩行者71は、撮像装置21Fの撮像領域31Fにおいて、対象車両2の影になる領域(死角)に位置している。そのため、撮像装置21Fでは歩行者71を検出できない可能性がある。本実施形態によれば、撮像装置21F以外の撮像装置(本例では撮像装置21E)が当該撮像領域31Fの死角をカバーするように変位する。本例では、撮像装置21Eは、その撮像領域31Eが撮像領域31Fの死角領域(対象車両2より右側の領域)をカバーするように変位する。これにより、監視システム201は、対象車両2の近傍に存在する歩行者71に関する情報を確実に取得できる。
【0080】
また、本例における障害物72は、撮像装置21Eの撮像領域31E及び撮像装置21Fの撮像領域31Fのどちらにも含まれない領域(死角)に位置している。本実施形態によれば、撮像装置21E,21F以外の撮像装置(本例では撮像装置21A)が当該撮像領域31E,31Fの死角をカバーするように変位する。本例では、撮像装置21Aは、その撮像領域31Aが撮像領域31E,31Fの死角領域(駐車領域11Aの左側の領域)をカバーするように変位する。これにより、監視システム201は、目的の駐車領域11Aの近傍に存在する障害物72に関する情報を確実に取得できる。
【0081】
図8は、第1実施形態に係る監視システム201における処理の一例を示すフローチャートである。
【0082】
監視処理が開始すると、位置情報取得部211は対象車両2の現在位置を示す位置情報を取得し(S101)、検出領域情報取得部212は撮像装置21のそれぞれの検出領域(撮像領域31)を示す検出領域情報を取得する(S102)。その後、制御部214は経路情報取得部213が対象車両2の予測経路を示す予測経路情報を取得したか否かを判定する(S103)。
【0083】
予測経路情報が取得されなかった場合(S103:No)、追跡処理部221は現在位置及び各撮像装置21の検出領域に基づき各撮像装置21の追跡位置を設定し、死角低減処理部222は現在位置及び各撮像装置21の検出領域に基づき各撮像装置21の死角低減位置を設定する(S104)。一方、予測経路情報が取得された場合(S103:Yes)、追跡処理部221は現在位置、各撮像装置21の検出領域、及び予測経路に基づき各撮像装置21の追跡位置を設定し、死角低減処理部222は現在位置、各撮像装置21の検出領域、及び予測経路に基づき各撮像装置21の死角低減位置を設定する(S104)。
【0084】
制御部214は、追跡位置及び死角低減位置に基づき可動部22を変位させるための変位指示信号を生成し、変位指示信号を対象の可動部22へ出力する(S106)。可動部22は、制御部214からの変位指示信号に基づき変位する(S107)。
【0085】
その後、制御部214は、対象車両2が目的地(例えば駐車領域11A)に到達したか否かを判定し(S108)、目的地に到達していない場合(S108:No)にはステップS101に戻る。一方、目的地に到達した場合(S108:Yes)には、制御部214は、撮像装置21が所定の待機位置に戻るように可動部22を制御し(S109)、監視処理を終了する。
【0086】
上記のような処理を実現するためのプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよい。また、プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するようにしてもよい。
【0087】
上記実施形態によれば、対象車両2が駐車場1内を移動する場合であっても、撮像装置21の撮像領域31の死角による影響を低減でき、駐車場1内の状況を正確に把握できる。
【0088】
以下、他の実施形態について図面を参照して説明するが、第1実施形態と同一又は同様の箇所については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0089】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係る駐車場1の構成の一例を示す図である。
【0090】
第2実施形態は、可動部22が変位可能に連結される支持部材としてのレール85が、建造物を構成する建材81に沿って敷設されている点で第1実施形態と異なっている。
【0091】
上記のような構成であっても、上述した第1実施形態と同様に、撮像装置21の撮像領域31の死角による影響を低減でき、駐車場1内の状況を正確に把握できる。また、本実施形態によれば、レール85の敷設作業が容易となり、コスト削減等の効果が得られる。
【0092】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態に係る駐車場1の構成の一例を示す図である。
【0093】
第3実施形態は、物体を検出するセンサとして、視野範囲が360°の撮像領域31を有する撮像装置21を用いる点で第1実施形態と異なっている。図10に示す例では、壁面沿いに設置された3台の撮像装置21B,21E,21Fは、第1実施形態と同様に視野範囲が60°程度の撮像領域31を有し、駐車場1の中央付近に配置された3台の撮像装置21A,21C,21Dは、視野範囲が360°の撮像領域31を有している。図10には撮像装置21A,21Cの撮像領域31A,31Cが例示されている。なお、複数の撮像装置21のうちどれを視野範囲が360°の撮像領域31を有するものとするかは上記に限られないことは無論である。
【0094】
上記のように視野範囲が広い撮像領域31を有する撮像装置21(撮像装置21A,21C,21D)を用いることにより、死角の発生を抑制でき、駐車場1内の状況をより正確に把握できる。
【0095】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態及び変形例は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更等を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【0096】
例えば、上記実施形態においては、物体を検出するセンサとしての撮像装置21が複数存在する構成を例示したが、撮像装置21が1つの場合であっても、対象車両2の移動に合わせた監視を効率的に行うことができ、駐車場1内の状況を正確に把握できる。
【0097】
また、上記実施形態においては、物体を検出するセンサとして撮像装置21を例示したが、センサはこれに限定されるものではない。センサは、例えば、ミリ波レーダ、LIDAR(Light Detection And Ranging)等であってもよい。
【0098】
また、上記実施形態においては、監視システム201が駐車支援システム101に含まれる構成を例示したが、これに限定されるものではなく、監視システム201は独立して構成されてもよい。
【0099】
また、上記実施形態においては、可動部22を変位可能に支持する支持部材としてレール25,85を例示したが、支持部材の構成はこれに限定されるものではない。例えば、天井部に設置された透明の板状部材を支持部材とし、可動部22は支持部材上を変位してもよい。また、天井部から垂下されたワイヤを支持部材とし、可動部22は当該ワイヤを変位可能としてもよい。また、支持部材は、複数の関節を有するロボットアーム(マニピュレータ)等であってもよい。また、可動部は、路面を走行するものや、空中を飛行するものであってもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…駐車場、2…対象車両、3…車両、11,11A…駐車領域、12…走行路、13…入庫ゲート、14…出庫ゲート、15…管制装置、21A~21F(21)…撮像装置(センサ)、22A~22F(22)…可動部、25A~25H(25),85…レール(支持部材)、31A~31C(31)…撮像領域(検出領域)、71…歩行者、72…障害物、81…建材、100…走行システム、101…駐車支援システム、111…走行支援処理部(処理部)、201…監視システム、210…認識処理部、211…位置情報取得部、212…検出領域情報取得部、213…経路情報取得部、221…追跡処理部、222…死角低減処理部、215…出力部
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