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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076366
(43)【公開日】2022-05-19
(54)【発明の名称】ダブルベルトプレス装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 5/06 20060101AFI20220512BHJP
   B30B 15/34 20060101ALI20220512BHJP
   B29C 70/50 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
B30B5/06 A
B30B15/34 Z
B29C70/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186741
(22)【出願日】2020-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】516065135
【氏名又は名称】株式会社IHI物流産業システム
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】太田 季成
(72)【発明者】
【氏名】大庭 貴洋
【テーマコード(参考)】
4E090
4F205
【Fターム(参考)】
4E090AA05
4E090AB01
4E090DA01
4E090EC01
4E090HA07
4F205AB11
4F205AD16
4F205AG01
4F205HA08
4F205HA26
4F205HA34
4F205HA35
4F205HA43
4F205HB02
4F205HF02
4F205HK03
4F205HK04
4F205HK25
(57)【要約】
【課題】ダブルベルトプレス装置にて、より高温での処理を可能とする。
【解決手段】一対の無端ベルトの間で加工対象物を搬送しながら加熱及び加圧するダブルベルトプレス装置であって、無端ベルトに接触すると共に無端ベルトを間に挟んで加工対象物を加圧する加圧部と、加圧部を支持する支持部とを備え、加圧部は支持部よりも断熱性が高く、支持部は加圧部よりも剛性が高い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の無端ベルトの間で加工対象物を搬送しながら加熱及び加圧するダブルベルトプレス装置であって、
前記無端ベルトに接触すると共に前記無端ベルトを間に挟んで前記加工対象物を加圧する加圧部と、
前記加圧部を支持する支持部と
を備え、
前記加圧部は前記支持部よりも断熱性が高く、前記支持部は前記加圧部よりも剛性が高い
ことを特徴とするダブルベルトプレス装置。
【請求項2】
前記加圧部は、前記無端ベルトよりも断熱性が高いことを特徴とする請求項1記載のダブルベルトプレス装置。
【請求項3】
前記無端ベルトに周面が接触される加圧ロールを備え、
前記加圧ロールの径方向外側に外周部として前記加圧部が配置され、前記加圧ロールの径方向内側に芯部として前記支持部が配置されている
ことを特徴とする請求項1または2記載のダブルベルトプレス装置。
【請求項4】
前記無端ベルトに周面が接触される加圧ロールを前記加圧部として備え、
前記加圧ロールを支持するバックアップロールを前記支持部として備える
ことを特徴とする請求項1または2記載のダブルベルトプレス装置。
【請求項5】
前記無端ベルトからの放熱を抑制する補助加熱部を備えることを特徴とする請求項3または4記載のダブルベルトプレス装置。
【請求項6】
前記無端ベルトに周面が接触可能とされた複数の循環ロールを前記加圧部として備え、
複数の前記循環ロールを循環しつつ前記無端ベルトに当接させる循環支持機構を前記支持部として備える
ことを特徴とする請求項1または2記載のダブルベルトプレス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダブルベルトプレス装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、軽量でかつ強度が高い複合材料として、強化繊維に樹脂を含浸させて形成されたプリプレグが用いられている。例えば、特許文献1には、強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されたプリプレグを製造するためのダブルベルトプレス装置が開示されている。ダブルベルトプレス装置は、特許文献1に示すように、上下に配置された一対の無端ベルトを走行させ、これらの無端ベルトの間にて、材料を加熱及び加圧することによって熱可塑性樹脂を強化繊維に含浸させている。これらの無端ベルトは、各々が複数のロールによって支持されており、ロールの回転によって走行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-105310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱可塑性樹脂が含浸されたプリプレグを製造する場合には、熱可塑性樹脂を含浸可能な粘度まで低下させるために、一対の無端ベルトで挟み昇温させる必要がある。無端ベルトを介して、材料を加圧する加圧ロールは、無端ベルトと同一の温度まで昇温する必要がある。無端ベルトは、薄くて熱容量が小さいことから、例えば誘導発熱方式によって容易に昇温させることができる。一方で加圧ロールは、無端ベルトと比較して昇温が容易でない。このため、現状においては、加圧ロールの昇温限界が処理温度の限界となっている。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ダブルベルトプレス装置にて、より高温での処理を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
第1の発明は、一対の無端ベルトの間で加工対象物を搬送しながら加熱及び加圧するダブルベルトプレス装置であって、上記無端ベルトに接触すると共に上記無端ベルトを間に挟んで上記加工対象物を加圧する加圧部と、上記加圧部を支持する支持部とを備え、上記加圧部が上記支持部よりも断熱性が高く、上記支持部が上記加圧部よりも剛性が高いという構成を有する。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記加圧部が、上記無端ベルトよりも断熱性が高いという構成を有する。
【0009】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記無端ベルトに周面が接触される加圧ロールを備え、上記加圧ロールの径方向外側に外周部として上記加圧部が配置され、上記加圧ロールの径方向内側に芯部として上記支持部が配置されているという構成を有する。
【0010】
第4の発明は、上記第1または第2の発明において、上記無端ベルトに周面が接触される加圧ロールを上記加圧部として備え、上記加圧ロールを支持するバックアップロールを上記支持部として備えるという構成を有する。
【0011】
第5の発明は、上記第3または第4の発明において、上記無端ベルトからの放熱を抑制する補助加熱部を備えるという構成を有する。
【0012】
第6の発明は、上記第1または第2の発明において、上記無端ベルトに周面が接触可能とされた複数の循環ロールを上記加圧部として備え、複数の上記循環ロールを循環しつつ上記無端ベルトに当接させる循環支持機構を上記支持部として備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、加圧部の断熱性が支持部に対して高いため、無端ベルトから加圧部への熱の伝導を抑制することができ、加圧部を加熱しないあるいは加圧部に与える熱量を小さくすることができる。このため、無端ベルトをより高温に加熱することができ、加工対象物の加工温度をより高めることが可能となる。また、加圧部が剛性の高い支持部によって支えられているため、加工対象物を確実に加圧することが可能となる。したがって、本発明によれば、ダブルベルトプレス装置にて、より高温での処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態におけるダブルベルトプレス装置の概略構成を示す側面図である。
図2】本発明の第1実施形態におけるダブルベルトプレス装置の加圧ロールの断面を示す模式図である。
図3】本発明の第2実施形態におけるダブルベルトプレス装置の概略構成を示す平面図である。
図4】本発明の第3実施形態におけるダブルベルトプレス装置の概略構成を示す側面図である。
図5】本発明の第4実施形態におけるダブルベルトプレス装置の概略構成を示す側面図である。
図6】本発明の第5実施形態におけるダブルベルトプレス装置の概略構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係るダブルベルトプレス装置の一実施形態について説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のダブルベルトプレス装置S1の概略構成を示す側面図である。本実施形態のダブルベルトプレス装置S1は、強化繊維に対して熱可塑性樹脂を含浸させたプリプレグを製造するためのものである。この本実施形態のダブルベルトプレス装置S1は、図1における左側から右側に向けて加工対象物である材料X(強化繊維及び熱可塑性樹脂)を搬送しながら、熱可塑性樹脂を強化繊維に含浸させてプリプレグとする。本実施形態のダブルベルトプレス装置S1は、図1等に示すように、下側ベルトユニット1と、上側ベルトユニット2と、支持脚3と、ヒータユニット4と、冷却ユニット5とを備えている。
【0017】
なお、以下の説明において、材料Xが搬送される方向をダブルベルトプレス装置S1の幅方向とし、この幅方向における一方側(材料Xの流れ方向の上流側)を左側とし、幅方向における他方側(材料Xの流れ方向の下流側)を右側とする。また、幅方向と直交する水平方向を奥行方向とし、この奥行方向の一方側を手前側、他方側を奥側とする。
【0018】
下側ベルトユニット1は、支持脚3によって下方から支持されたベルトユニットである。この下側ベルトユニット1は、下側フレーム1aと、ロール1bと、下側無端ベルト1c(無端ベルト)とを備えている。下側フレーム1aは、複数のロール1bを軸支するフレームである。下側フレーム1aは、左右方向に沿って延伸する左右杆と、奥行方向に沿って延伸する前後杆と、上下方向に延伸する上下杆とを有している。これらの左右杆と、前後杆と、上下杆とは、格子状に組み立てられている。
【0019】
ロール1bは、下側ベルトユニット1に対して回転軸を平行として複数設けられており、下側無端ベルト1cを走行可能に支持する。本実施形態においては、ロール1bとして、駆動ロール1dと、テンションロール1eと、従動ロール1fと、加圧ロール1gとを備えている。
【0020】
駆動ロール1dは、不図示のモータが接続されたロール1bであり、モータの動力によって回転駆動される。この駆動ロール1dは、複数のロール1bのうちダブルベルトプレス装置S1の上記幅方向の最も右端に配置されており、下側フレーム1aの右端部に軸支されている。
【0021】
テンションロール1eは、テンションロール1eの位置を調整するシリンダが接続されたロール1bであり、下側無端ベルト1cに付加するテンションを調整する。このテンションロール1eは、複数のロール1bのうちダブルベルトプレス装置S1の上記幅方向の最も左端に配置されており、下側フレーム1aの左端部に軸支されている。また、テンションロール1eの周面の下端位置は、駆動ロール1dの周面の下端と同一高さとされている。
【0022】
従動ロール1fは、テンションロール1eの上方に配置されており、下側無端ベルト1cの走行に従動して回転される。この従動ロール1fの周面の上端位置は、駆動ロール1dの周面の上端位置と同一高さとされている。
【0023】
加圧ロール1gは、下側無端ベルト1cを材料Xに対して押圧するロール1bであり、図1に示すように駆動ロール1dと従動ロール1fとの間に配置されている。図1に示すように、本実施形態において下側ベルトユニット1は、ダブルベルトプレス装置S1の幅方向に沿って等間隔で配列される複数(本実施形態においては3つ)の加圧ロール1gを備えている。なお、加圧ロール1gの数は、3つに限定されるものではない。例えば、加圧ロール1gを1つ~2つ備える構成、あるいは、加圧ロール1gを4つ以上備える構成とすることも可能である。
【0024】
各々の加圧ロール1gは、周面が下側無端ベルト1cに接触され、下側無端ベルト1cを介して、下方から材料Xを加圧する。図2(a)は、加圧ロール1gの模式的な断面図である。この図に示すように、加圧ロール1gは、回転軸芯Laを中心とする径方向の中央部に配置された芯部1g1(支持部)と、回転軸芯Laを中心とする径方向外側に配置された外周部1g2(加圧部)とを備えている。
【0025】
芯部1g1は、回転軸芯Laを中心軸とする円筒形状とされており、回転軸芯Laを中心とする径方向の内側から外周部1g2を支持する。この芯部1g1は、外周部1g2よりも剛性が高く、例えば高剛性の鋼鉄によって形成されている。なお、芯部1g1は、回転軸芯Laに沿った方向にて、外周部1g2よりも外側に突出されており、下側フレーム1aに回転可能に軸支されている。
【0026】
外周部1g2は、回転軸芯Laを中心とする径方向外側から芯部1g1を覆う円筒形状とされており、外周面が下側無端ベルト1cとの接触面とされている。この外周部1g2は、芯部1g1に対して剛性は低いものの断熱性が高く、例えばセラミック、ガラス、低熱伝導率金属あるいは耐熱樹脂によって形成されている。このような外周部1g2は、芯部1g1に対して、形成材料を溶射あるいはめっきすることによって形成することができる。また、本実施形態においては、外周部1g2は、下側無端ベルト1cよりも断熱性が高い(熱伝導率が低い)。
【0027】
このように本実施形態においては、下側無端ベルト1cに接触すると共に下側無端ベルト1cを間に挟んで材料Xを加圧する外周部1g2と、外周部1g2を支持する芯部1g1とが備えられている。さらに、外周部1g2は芯部1g1よりも断熱性が高く、芯部1g1は外周部1g2よりも剛性が高い。つまり、相対的に断熱性が高くかつ相対的に剛性が低い外周部1g2と、相対的に断熱性が低くかつ相対的に剛性が高い芯部1g1とが備えられている。
【0028】
下側無端ベルト1cは、例えばステンレス鋼からなる環状のベルトであり、ダブルベルトプレス装置S1の奥行方向にて一定の幅寸法を有している。この下側無端ベルト1cは、駆動ロール1dの走行によって回転走行される。
【0029】
上側ベルトユニット2は、下側ベルトユニット1によって下方から支持されたベルトユニットである。この上側ベルトユニット2は、上側フレーム2aと、ロール2bと、上側無端ベルト2c(無端ベルト)とを備えている。上側フレーム2aは、複数のロール2bを軸支するフレームである。上側フレーム2aは、左右方向に沿って延伸する左右杆と、奥行方向に沿って延伸する前後杆と、上下方向に延伸する上下杆とを有している。これらの左右杆と、前後杆と、上下杆とは、格子状に組み立てられている。
【0030】
ロール2bは、上側ベルトユニット2に対して回転軸を平行として複数設けられており、上側無端ベルト2cを走行可能に支持する。本実施形態においては、ロール2bとして、駆動ロール2dと、テンションロール2eと、従動ロール2fと、加圧ロール2gとを備えている。
【0031】
駆動ロール2dは、不図示のモータが接続されたロール2bであり、モータの動力によって回転駆動される。この駆動ロール2dは、複数のロール2bのうちダブルベルトプレス装置S1の上記幅方向の最も右端に配置されており、上側フレーム2aの右端部に軸支されている。
【0032】
テンションロール2eは、テンションロール2eの位置を調整するシリンダが接続されたロール2bであり、上側無端ベルト2cに付加するテンションを調整する。このテンションロール2eは、複数のロール2bのうちダブルベルトプレス装置S1の上記幅方向の最も左端に配置されており、上側フレーム2aの左端部に軸支されている。また、テンションロール2eの周面の上端位置は、駆動ロール2dの周面の上端と同一高さとされている。
【0033】
従動ロール2fは、テンションロール2eの下方に配置されており、上側無端ベルト2cの走行に従動して回転される。この従動ロール2fの周面の下端位置は、駆動ロール2dの周面の下端位置と同一高さとされている。
【0034】
加圧ロール2gは、上側無端ベルト2cを材料Xに対して押圧するロール2bであり、図1に示すように駆動ロール2dと従動ロール2fとの間に配置されている。図1に示すように、本実施形態において上側ベルトユニット2は、ダブルベルトプレス装置S1の幅方向に沿って等間隔で配列される複数(本実施形態においては3つ)の加圧ロール2gを備えている。なお、加圧ロール2gの数は、3つに限定されるものではない。例えば、加圧ロール2gを1つ~2つ備える構成、あるいは、加圧ロール2gを4つ以上備える構成とすることも可能である。
【0035】
各々の加圧ロール2gは、周面が上側無端ベルト2cに接触され、上側無端ベルト2cを介して、上方から材料Xを加圧する。図2(b)は、加圧ロール2gの模式的な断面図である。この図に示すように、加圧ロール2gは、回転軸芯Lbを中心とする径方向の中央部に配置された芯部2g1(支持部)と、回転軸芯Lbを中心とする径方向外側に配置された外周部2g2(加圧部)とを備えている。
【0036】
芯部2g1は、回転軸芯Lbを中心軸とする円筒形状とされており、回転軸芯Lbを中心とする径方向の内側から外周部2g2を支持する。この芯部2g1は、外周部2g2よりも剛性が高く、例えば高剛性の鋼鉄によって形成されている。なお、芯部2g1は、回転軸芯Lbに沿った方向にて、外周部2g2よりも外側に突出されており、上側フレーム2aに回転可能に軸支されている。
【0037】
外周部2g2は、回転軸芯Lbを中心とする径方向外側から芯部2g1を覆う円筒形状とされており、外周面が上側無端ベルト2cとの接触面とされている。この外周部2g2は、芯部2g1に対して剛性は低いものの断熱性が高く、例えばセラミック、ガラス、低熱伝導率金属あるいは耐熱樹脂によって形成されている。このような外周部2g2は、芯部2g1に対して、形成材料を溶射あるいはめっきすることによって形成することができる。また、本実施形態においては、外周部2g2は、上側無端ベルト2cよりも断熱性が高い(熱伝導率が低い)。
【0038】
このように本実施形態においては、上側無端ベルト2cに接触すると共に上側無端ベルト2cを間に挟んで材料Xを加圧する外周部2g2と、外周部2g2を支持する芯部2g1とが備えられている。さらに、外周部2g2は芯部2g1よりも断熱性が高く、芯部2g1は外周部2g2よりも剛性が高い。つまり、相対的に断熱性が高くかつ相対的に剛性が低い外周部2g2と、相対的に断熱性が低くかつ相対的に剛性が高い芯部2g1とが備えられている。
【0039】
上側無端ベルト2cは、例えばステンレス鋼からなる環状のベルトであり、ダブルベルトプレス装置S1の奥行方向にて一定の幅寸法を有している。この上側無端ベルト2cは、駆動ロール2dの走行によって回転走行される。
【0040】
支持脚3は、下側ベルトユニット1の下方に配置されており、下側ベルトユニット1を下方から支持する。なお、外部の支持部材によって、下側ベルトユニット1、上側ベルトユニット2、ヒータユニット4、及び冷却ユニット5が支持可能である場合には、支持脚3を省略することも可能である。
【0041】
ヒータユニット4は、加圧ロール1g及び加圧ロール2gよりも上流側に配置されており、材料Xを加熱する。このヒータユニット4は、材料Xが通過する領域を間に挟んで上下に対向配置される一対のヒータを備えており、上下方向から材料Xを加熱する。なお、ヒータユニット4は、下側無端ベルト1cと上側無端ベルト2cとがヒータユニット4から加圧ロール1g及び加圧ロール2gまでの間で冷却されることを抑制するため、加圧ロール1g及び加圧ロール2gに近づけて配置することが好ましい。
【0042】
冷却ユニット5は、加圧ロール1g及び加圧ロール2gよりも材料搬送方向の下流側に配置されており、樹脂が含浸された強化繊維を冷却する。この冷却ユニット5は、構成が特に限定されるものではない。例えば、冷却ユニット5は、送風機とすることも可能である。また、冷却ユニット5は、複数の冷却ロールを備え、冷却ロールとの熱交換によって材料Xの冷却を行う構成とすることができる。
【0043】
このような本実施形態のダブルベルトプレス装置S1では、下側無端ベルト1cの上部と上側無端ベルト2cの下部との間の材料Xを加熱及び加圧することによってプリプレグを製造する。具体的には、下側無端ベルト1cの上部が左側から右側に流れるように、駆動ロール1dによって下側無端ベルト1cを走行させる。
【0044】
また、上側無端ベルト2cの下部が左側から右側に流れるように、駆動ロール2dによって上側無端ベルト2cを走行させる。このように走行される下側無端ベルト1cと上側無端ベルト2cとの間に材料Xを左側から連続的あるいは離散的に供給する。供給された材料Xがヒータユニット4で加熱されることで熱可塑性の樹脂が溶け、溶けた樹脂が加圧ロール1g及び加圧ロール2gとで加圧されることで強化繊維に含浸される。その後、樹脂が冷却されることでプリプレグとなってダブルベルトプレス装置S1から排出される。
【0045】
以上のような本実施形態のダブルベルトプレス装置S1は、一対の無端ベルト(下側無端ベルト1c及び上側無端ベルト2c)の間で材料Xを搬送しながら加熱及び加圧する。また、本実施形態のダブルベルトプレス装置S1は、無端ベルトに接触すると共に無端ベルトを間に挟んで材料Xを加圧する外周部(外周部1g2及び外周部2g2)と、外周部を支持する芯部(芯部1g1及び芯部2g1)とを備えている。さらに、本実施形態のダブルベルトプレス装置S1では、外周部は芯部よりも断熱性が高く、芯部は外周部よりも剛性が高い。
【0046】
このような本実施形態のダブルベルトプレス装置S1によれば、外周部の断熱性が芯部に対して高いため、無端ベルトから外周部への熱の伝導を抑制することができる。したがって、加圧ロール(加圧ロール1g及び加圧ロール2g)に熱量を外部から伝達しなくても、ヒータユニット4で無端ベルトを加熱しておくことで、材料Xが加圧される領域の温度を保持することができる。
【0047】
このような本実施形態のダブルベルトプレス装置S1においては、無端ベルトから外周部への熱伝導を抑制できるため、加圧ロールを加熱しないあるいは加圧ロールに与える熱量を小さくすることができる。加圧ロールを加熱しないあるいは加圧ロールに与える熱量を小さくすることで、加圧ロールのヒータによる加熱限界を考慮する必要がなくなり、無端ベルトを加圧ロールの加熱限界を超えて高温に加熱して材料Xの加工温度を上昇させることが可能となる。
【0048】
なお、外周部は芯部と比較して剛性が低い。しかしながら、外周部は剛性の高い芯部によって支えられている。このため、材料Xを確実に加圧することが可能となる。したがって、本実施形態のダブルベルトプレス装置S1によれば、より高温での材料Xの処理が可能となる。
【0049】
また、本実施形態のダブルベルトプレス装置S1によれば、例えば、材料Xの加工温度を変更する場合に、加圧ロールの温度調整を行う必要がない。無端ベルトは熱容量が小さくヒータユニット4によって短時間で温度調整が可能である。このため、本実施形態のダブルベルトプレス装置S1によれば、短時間で加工温度の調整を完了することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態のダブルベルトプレス装置S1によれば、加圧ロールの加熱のためのエネルギを多く要しないことから、加圧ロールの加熱エネルギを生産速度の向上に用いることができ、従来のダブルベルトプレス装置と同等のエネルギを用いた場合には生産速度を向上させることができる。なお、本実施形態のダブルベルトプレス装置S1によれば、従来のダブルベルトプレス装置と同等の生産速度とした場合には、エネルギ消費量を低減することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態のダブルベルトプレス装置S1において、加圧ロールの外周部は、無端ベルトよりも断熱性が高い。このため、より確実に無端ベルトから外周部への熱の伝導を抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態のダブルベルトプレス装置S1において、無端ベルトに周面が接触される加圧ロールを備え、加圧ロールの径方向外側に外周部として加圧部が配置され、加圧ロールの径方向内側に芯部として支持部が配置されている。このような本実施形態のダブルベルトプレス装置S1によれば、単一の加圧ロールに対して、加圧部と支持部との機能を持たせることができ、装置構成を簡素化することが可能となる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0054】
図3は、本発明の第2実施形態におけるダブルベルトプレス装置S2の概略構成を示す平面図である。この図に示すように、本実施形態のダブルベルトプレス装置S2においては、下側ベルトユニット1が、複数の加圧ロール1h(加圧部)と、各々の加圧ロール1hに対して設置されたバックアップロール1i(支持部)とを備えている。
【0055】
本実施形態においては、3つの加圧ロール1hがダブルベルトプレス装置S2の幅方向に等間隔に配列されている。加圧ロール1hは、図3に示すように、側面視にて下側無端ベルト1cに囲まれた範囲に配置されており、周面を下側無端ベルト1cに対して下方から接触させている。これらの加圧ロール1hは、周面が下側無端ベルト1cに接触され、下側無端ベルト1cを介して、下方から材料Xを加圧する。このような加圧ロール1hは、バックアップロール1iよりも断熱性が高い。また、本実施形態において加圧ロール1hは、下側無端ベルト1cよりも断熱性が高い。
【0056】
バックアップロール1iは、上述のように各々の加圧ロール1hに対して設けられており、本実施形態においては、加圧ロール1hと同数の3つ設けられている。各々のバックアップロール1iは、図3に示すように、側面視にて下側無端ベルト1cに囲まれた範囲に配置されており、周面を加圧ロール1hの周面に接触させている。これらのバックアップロール1iは、加圧ロール1hよりも剛性が高く、下方から加圧ロール1hを支持している。
【0057】
このように本実施形態においては、下側無端ベルト1cに接触すると共に下側無端ベルト1cを間に挟んで材料Xを加圧する加圧ロール1hと、加圧ロール1hを支持するバックアップロール1iとが備えられている。さらに、加圧ロール1hはバックアップロール1iよりも断熱性が高く、バックアップロール1iは加圧ロール1hよりも剛性が高い。つまり、相対的に断熱性が高くかつ相対的に剛性が低い加圧ロール1hと、相対的に断熱性が低くかつ相対的に剛性が高いバックアップロール1iとが備えられている。
【0058】
また、本実施形態のダブルベルトプレス装置S2においては、上側ベルトユニット2が、複数の加圧ロール2h(加圧部)と、各々の加圧ロール2hに対して設置されたバックアップロール2i(支持部)とを備えている。
【0059】
本実施形態においては、3つの加圧ロール2hがダブルベルトプレス装置S2の幅方向に等間隔に配列されている。加圧ロール2hは、図3に示すように、側面視にて上側無端ベルト2cに囲まれた範囲に配置されており、周面を上側無端ベルト2cに対して上方から接触させている。これらの加圧ロール2hは、周面が上側無端ベルト2cに接触され、上側無端ベルト2cを介して、上方から材料Xを加圧する。このような加圧ロール2hは、バックアップロール2iよりも断熱性が高い。また、本実施形態において加圧ロール2hは、上側無端ベルト2cよりも断熱性が高い。
【0060】
バックアップロール2iは、上述のように各々の加圧ロール2hに対して設けられており、本実施形態においては、加圧ロール2hと同数の3つ設けられている。各々のバックアップロール2iは、図3に示すように、側面視にて上側無端ベルト2cに囲まれた範囲に配置されており、周面を加圧ロール2hの周面に接触させている。これらのバックアップロール2iは、加圧ロール2hよりも剛性が高く、上方から加圧ロール2hを支持している。
【0061】
なお、ヒータユニット4は、下側無端ベルト1cと上側無端ベルト2cとがヒータユニット4から加圧ロール1h及び加圧ロール2hまでの間で冷却されることを抑制するため、加圧ロール1h及び加圧ロール2hに近づけて配置することが好ましい。
【0062】
このように本実施形態においては、上側無端ベルト2cに接触すると共に上側無端ベルト2cを間に挟んで材料Xを加圧する加圧ロール2hと、加圧ロール2hを支持するバックアップロール2iとが備えられている。さらに、加圧ロール2hはバックアップロール2iよりも断熱性が高く、バックアップロール2iは加圧ロール2hよりも剛性が高い。つまり、相対的に断熱性が高くかつ相対的に剛性が低い加圧ロール2hと、相対的に断熱性が低くかつ相対的に剛性が高いバックアップロール2iとが備えられている。
【0063】
このような本実施形態のダブルベルトプレス装置S2は、無端ベルト(下側無端ベルト1c及び上側無端ベルト2c)に接触すると共に無端ベルトを間に挟んで材料Xを加圧する加圧ロール(加圧ロール1h及び加圧ロール2h)と、加圧ロールを支持するバックアップロール(バックアップロール1i及びバックアップロール2i)とを備えている。さらに、本実施形態のダブルベルトプレス装置S2では、加圧ロールはバックアップロールよりも断熱性が高く、バックアップロールは加圧ロールよりも剛性が高い。
【0064】
このような本実施形態のダブルベルトプレス装置S2によれば、加圧ロールの断熱性がバックアップロールに対して高いため、無端ベルトから加圧ロールへの熱の伝導を抑制することができる。したがって、加圧ロールに熱量を外部から伝達しなくても、ヒータユニット4で無端ベルトを加熱しておくことで、材料Xが加圧される領域の温度を保持することができる。
【0065】
このような本実施形態のダブルベルトプレス装置S2においては、無端ベルトから加圧ロールへの熱伝導を抑制できるため、加圧ロールを加熱しないあるいは加圧ロールに与える熱量を小さくすることができる。加圧ロールを加熱しないあるいは加圧ロールに与える熱量を小さくすることで、加圧ロールのヒータによる加熱限界を考慮する必要がなくなり、無端ベルトを加圧ロールの加熱限界を超えて高温に加熱して材料Xの加工温度を上昇させることが可能となる。
【0066】
なお、加圧ロールはバックアップロールと比較して剛性が低い。しかしながら、加圧ロールは剛性の高いバックアップロールによって支えられている。このため、材料Xを確実に加圧することが可能となる。したがって、本実施形態のダブルベルトプレス装置S2によれば、より高温での材料Xの処理が可能となる。
【0067】
また、本実施形態のダブルベルトプレス装置S2によれば、例えば、材料Xの加工温度を変更する場合に、加圧ロールの温度調整を行う必要がない。無端ベルトは熱容量が小さくヒータユニット4によって短時間で温度調整が可能である。このため、本実施形態のダブルベルトプレス装置S2によれば、短時間で加工温度の調整を完了することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態のダブルベルトプレス装置S2によれば、加圧ロールの加熱のためのエネルギを多く要しないことから、加圧ロールの加熱エネルギを生産速度の向上に用いることができ、従来のダブルベルトプレス装置と同等のエネルギを用いた場合には生産速度を向上させることができる。なお、本実施形態のダブルベルトプレス装置S2によれば、従来のダブルベルトプレス装置と同等の生産速度とした場合には、エネルギ消費量を低減することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態のダブルベルトプレス装置S2において、加圧ロールは、無端ベルトよりも断熱性が高い。このため、より確実に無端ベルトから加圧ロールへの熱の伝導を抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態のダブルベルトプレス装置S2においては、断熱性が高い加圧ロールと、剛性が高いバックアップロールとが別体とされている。このため、単一のロールに断熱性が高い部位と剛性が高い部位とを持たせる場合よりも、断熱性が高い部位の体積を大きく確保しやすい。このため、本実施形態のダブルベルトプレス装置S2によれば、より確実に材料Xが加圧される領域の温度を保持することが可能となる。
【0071】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0072】
図4は、本発明の第3実施形態におけるダブルベルトプレス装置S3の概略構成を示す平面図である。この図に示すように、本実施形態のダブルベルトプレス装置S3においては、下側ベルトユニット1が、複数の循環ロール1j(加圧部)と、複数の循環ロール1jを支持すると共に循環させる循環支持機構1k(支持部)とを備えている。
【0073】
本実施形態においては、循環ロール1j及び循環支持機構1kは、図4に示すように、側面視にて下側無端ベルト1cに囲まれた範囲に配置されている。循環ロール1jは、下側無端ベルト1cに囲まれた空間にて循環搬送されており、周面を下側無端ベルト1cに対して下方から接触可能とされている。これらの循環ロール1jは、周面が下側無端ベルト1cに接触された場合に、下側無端ベルト1cを介して、下方から材料Xを加圧する。このような循環ロール1jは、循環支持機構1kよりも断熱性が高い。また、本実施形態において循環ロール1jは、下側無端ベルト1cよりも断熱性が高い。
【0074】
循環支持機構1kは、循環ロール1jを、下側無端ベルト1cに接触される位置と、し下側無端ベルト1cから離間する位置との間で循環搬送するための機構である。この循環支持機構1kは、循環ロール1jよりも剛性が高く、循環ロール1jを支持している。
【0075】
このように本実施形態においては、下側無端ベルト1cに接触すると共に下側無端ベルト1cを間に挟んで材料Xを加圧する循環ロール1jと、循環ロール1jを支持する循環支持機構1kとが備えられている。さらに、循環ロール1jは循環支持機構1kよりも断熱性が高く、循環支持機構1kは循環ロール1jよりも剛性が高い。つまり、相対的に断熱性が高くかつ相対的に剛性が低い循環ロール1jと、相対的に断熱性が低くかつ相対的に剛性が高い循環支持機構1kとが備えられている。
【0076】
また、本実施形態のダブルベルトプレス装置S3においては、上側ベルトユニット2が、複数の循環ロール2j(加圧部)と、複数の循環ロール2jを支持すると共に循環させる循環支持機構2k(支持部)とを備えている。
【0077】
なお、ヒータユニット4は、下側無端ベルト1cと上側無端ベルト2cとがヒータユニット4から循環ロール1j及び循環ロール2iまでの間で冷却されることを抑制するため、循環ロール1j及び循環ロール2iに近づけて配置することが好ましい。
【0078】
本実施形態においては、循環ロール2j及び循環支持機構2kは、図4に示すように、側面視にて上側無端ベルト2cに囲まれた範囲に配置されている。循環ロール2jは、上側無端ベルト2cに囲まれた空間にて循環搬送されており、周面を上側無端ベルト2cに対して下方から当接可能とされている。これらの循環ロール2jは、周面が上側無端ベルト2cに接触された場合に、上側無端ベルト2cを介して、下方から材料Xを加圧する。このような循環ロール2jは、循環支持機構2kよりも断熱性が高い。また、本実施形態において循環ロール2jは、上側無端ベルト2cよりも断熱性が高い。
【0079】
循環支持機構2kは、循環ロール2jを、上側無端ベルト2cに接触される位置と、し上側無端ベルト2cから離間する位置との間で循環搬送するための機構である。この循環支持機構2kは、循環ロール2jよりも剛性が高く、循環ロール2jを支持している。
【0080】
このように本実施形態においては、上側無端ベルト2cに接触すると共に上側無端ベルト2cを間に挟んで材料Xを加圧する循環ロール2jと、循環ロール2jを支持する循環支持機構2kとが備えられている。さらに、循環ロール2jは循環支持機構2kよりも断熱性が高く、循環支持機構2kは循環ロール2jよりも剛性が高い。つまり、相対的に断熱性が高くかつ相対的に剛性が低い循環ロール2jと、相対的に断熱性が低くかつ相対的に剛性が高い循環支持機構2kとが備えられている。
【0081】
このような本実施形態のダブルベルトプレス装置S3は、無端ベルト(下側無端ベルト1c及び上側無端ベルト2c)に接触すると共に無端ベルトを間に挟んで材料Xを加圧する循環ロール(循環ロール1j及び循環ロール2j)と、循環ロールを支持する循環支持機構(循環支持機構1k及び循環支持機構2k)とを備えている。さらに、本実施形態のダブルベルトプレス装置S3では、循環ロールは循環支持機構よりも断熱性が高く、循環支持機構は循環ロールよりも剛性が高い。
【0082】
このような本実施形態のダブルベルトプレス装置S3によれば、循環ロールの断熱性が循環支持機構に対して高いため、無端ベルトから循環ロールへの熱の伝導を抑制することができる。したがって、循環ロールに熱量を外部から伝達しなくても、ヒータユニット4で無端ベルトを加熱しておくことで、材料Xが加圧される領域の温度を保持することができる。
【0083】
このような本実施形態のダブルベルトプレス装置S3においては、無端ベルトから循環ロールへの熱伝導を抑制できるため、循環ロールを加熱しないあるいは循環ロールに与える熱量を小さくすることができる。循環ロールを加熱しないあるいは循環ロールに与える熱量を小さくすることで、循環ロールのヒータによる加熱限界を考慮する必要がなくなり、無端ベルトを循環ロールの加熱限界を超えて高温に加熱して材料Xの加工温度を上昇させることが可能となる。
【0084】
なお、循環ロールは循環支持機構1kと比較して剛性が低い。しかしながら、循環ロールは剛性の高い循環支持機構1kによって支えられている。このため、材料Xを確実に加圧することが可能となる。したがって、本実施形態のダブルベルトプレス装置S3によれば、より高温での材料Xの処理が可能となる。
【0085】
また、本実施形態のダブルベルトプレス装置S3によれば、例えば、材料Xの加工温度を変更する場合に、循環ロールの温度調整を行う必要がない。無端ベルトは熱容量が小さくヒータユニット4によって短時間で温度調整が可能である。このため、本実施形態のダブルベルトプレス装置S3によれば、短時間で加工温度の調整を完了することが可能となる。
【0086】
また、本実施形態のダブルベルトプレス装置S3によれば、循環ロールの加熱のためのエネルギを多く要しないことから、循環ロールの加熱エネルギを生産速度の向上に用いることができ、従来のダブルベルトプレス装置と同等のエネルギを用いた場合には生産速度を向上させることができる。なお、本実施形態のダブルベルトプレス装置S3によれば、従来のダブルベルトプレス装置と同等の生産速度とした場合には、エネルギ消費量を低減することが可能となる。
【0087】
また、本実施形態のダブルベルトプレス装置S3において、循環ロールは、無端ベルトよりも断熱性が高い。このため、より確実に無端ベルトから循環ロールへの熱の伝導を抑制することができる。
【0088】
また、本実施形態のダブルベルトプレス装置S3においては、断熱性が高い循環ロールと、剛性が高い循環支持機構とが別体とされている。このため、単一のロールに断熱性が高い部位と剛性が高い部位とを持たせる場合よりも、断熱性が高い部位の体積を大きく確保しやすい。このため、本実施形態のダブルベルトプレス装置S3によれば、より確実に材料Xが加圧される領域の温度を保持することが可能となる。
【0089】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0090】
図5は、本発明の第4実施形態におけるダブルベルトプレス装置S4の概略構成を示す平面図である。この図に示すように、本実施形態のダブルベルトプレス装置S4においては、下側ベルトユニット1が、加圧ロール1gに隣り合って配置される保温部材1nを備えている。保温部材1nは、加圧ロール1gに隣り合うようにして配置されており、下側無端ベルト1cの内周面に僅かな隙間を介して対向配置されている。このような保温部材1nは、ヒータユニット4によって加熱された下側無端ベルト1cからの放熱を抑制し、下側無端ベルト1cの温度を保持する。
【0091】
また、上側ベルトユニット2は、加圧ロール2gに隣り合って配置される保温部材2nを備えている。保温部材2nは、加圧ロール2gに隣り合うようにして配置されており、上側無端ベルト2cの内周面に僅かな隙間を介して対向配置されている。このような保温部材2nは、ヒータユニット4によって加熱された上側無端ベルト2cからの放熱を抑制し、上側無端ベルト2cの温度を保持する。
【0092】
これらの保温部材1n及び保温部材2nは、設置空間の空間容積にて可能な範囲で厚くすることが好ましい。保温部材1n及び保温部材2nを厚くすることによって、無端ベルトからの放熱をより確実に抑制することができる。
【0093】
このような本実施形態のダブルベルトプレス装置S4によれば、無端ベルト(下側無端ベルト1c及び上側無端ベルト2c)の露出された部位からの対流等による放熱を抑制し、無端ベルトの温度が放熱により低下することを抑制することができる。
【0094】
なお、本実施形態のダブルベルトプレス装置S4は、上記第1実施形態のダブルベルトプレス装置S1に対して保温部材(保温部材1n及び保温部材2n)を設置したものである。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば上記第2実施形態のダブルベルトプレス装置S2の加圧ロール(加圧ロール1h及び加圧ロール2h)に隣り合うように保温部材を設置する構成を採用することも可能である。
【0095】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0096】
図6は、本発明の第5実施形態におけるダブルベルトプレス装置S5の概略構成を示す平面図である。この図に示すように、本実施形態のダブルベルトプレス装置S5においては、下側ベルトユニット1が、加圧ロール1gに隣り合って配置される補助ヒータ1m(補助加熱部)を備えている。補助ヒータ1mは、ヒータユニット4によって加熱された下側無端ベルト1cからの放熱を抑制し、下側無端ベルト1cの温度を保持する。また、上側ベルトユニット2が、加圧ロール2gに隣り合って配置される補助ヒータ2m(補助加熱部)を備えている。補助ヒータ2mは、ヒータユニット4によって加熱された上側無端ベルト2cからの放熱を抑制し、上側無端ベルト2cの温度を保持する。
【0097】
本実施形態のダブルベルトプレス装置S5は、上記第1実施形態のダブルベルトプレス装置S1と同様に、無端ベルトから外周部への熱伝導を抑制できるため、無端ベルトを加圧ロールの加熱限界を超えて高温に加熱して材料Xの加工温度を上昇させることが可能となる。このように補助ヒータ(補助ヒータ1m及び補助ヒータ2m)を備えなくても、無端ベルトから外周部への熱伝導を抑制することができるものの、補助ヒータを備えることによって、無端ベルトからの放熱を抑制することができる。
【0098】
なお、このような補助ヒータは、加圧ロールの外周部の温度を大きく昇温させるためのものではなく、無端ベルトからの放熱を抑制する程度のものである。このため、補助ヒータは、加圧ロールの外周部の温度を昇温させるヒータと比較して、消費エネルギが少ない。
【0099】
また、補助ヒータは、無端ベルトからの放熱を抑制するために、無端ベルトに近づけて配置することが好ましい。
【0100】
このような本実施形態のダブルベルトプレス装置S5のように、本発明は、補助的に無端ベルトからの放熱を抑制するヒータを備える構成を排除するものではない。
【0101】
なお、本実施形態のダブルベルトプレス装置S5は、上記第1実施形態のダブルベルトプレス装置S1に対して補助ヒータを設置したものである。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば上記第2実施形態のダブルベルトプレス装置S2の加圧ロール(加圧ロール1h及び加圧ロール2h)に隣り合うように補助ヒータを設置する構成を採用することも可能である。また、上記第4実施形態のダブルベルトプレス装置S4に対して、保温部材に加えてを補助ヒータ設置するようにしても良い。
【0102】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0103】
例えば、上記第1、第2、第4、第5実施形態においては、加圧ロールを複数備える構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、単一の加圧ロールを備える構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0104】
1……下側ベルトユニット、1a……下側フレーム、1b……ロール、1c……下側無端ベルト、1d……駆動ロール、1e……テンションロール、1f……従動ロール、1g……加圧ロール、1g1……芯部(支持部)、1g2……外周部(加圧部)、1h……加圧ロール(加圧部)、1i……バックアップロール(支持部)、1j……循環ロール(加圧部)、1k……循環支持機構(支持部)、1m……補助ヒータ(補助加熱部)、1n……保温部材、2……上側ベルトユニット、2a……上側フレーム、2b……ロール、2c……上側無端ベルト、2d……駆動ロール、2e……テンションロール、2f……従動ロール、2g……加圧ロール、2g1……芯部(支持部)、2g2……外周部(加圧部)、2h……加圧ロール(加圧部)、2i……バックアップロール(支持部)、2j……循環ロール(加圧部)、2k……循環支持機構(支持部)、2m……補助ヒータ(補助加熱部)、2n……保温部材、4……ヒータユニット、5……冷却ユニット、S1……ダブルベルトプレス装置、S2……ダブルベルトプレス装置、S3……ダブルベルトプレス装置、S4……ダブルベルトプレス装置、S5……ダブルベルトプレス装置、X……材料(加工対象物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6