(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076418
(43)【公開日】2022-05-19
(54)【発明の名称】リアルタイムオンボードカメラ及びリアルタイムオンボード映像中継システム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/658 20110101AFI20220512BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
H04N21/658
H04N5/232 300
H04N5/232 030
H04N5/232 930
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186847
(22)【出願日】2020-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】520439313
【氏名又は名称】薛 龍樹
(71)【出願人】
【識別番号】520439324
【氏名又は名称】宋 斗一
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】薛 龍樹
(72)【発明者】
【氏名】宋 斗一
【テーマコード(参考)】
5C122
5C164
【Fターム(参考)】
5C122DA14
5C122EA63
5C122EA68
5C122FA01
5C122FA18
5C122FK24
5C122GC04
5C122GC14
5C122GC44
5C122GC53
5C122GD06
5C164FA07
5C164FA16
5C164TA06S
5C164TA08S
5C164TA21S
5C164TC14P
5C164UA42S
(57)【要約】
【課題】遅延を可能な限り小さくし、映像の合成やスイッチングを可能にするリアルタイムオンボードカメラ及びリアルタイムオンボード映像中継システムを提供を提供する。
【解決手段】レース車両上に設置されたリアルタイムオンボードカメラであって、レース車両上から撮影を行う1又は複数のオンボードカメラと、1又は複数のオンボードカメラによって撮影された映像データをIP伝送が可能な形式に変換する第1変換部と、変換された映像データを携帯電話通信網を介して映像サーバに送信する第1アンテナと、1又は複数のオンボードカメラと、第1変換部と、第1アンテナとに電力を供給する1又は複数の電源とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レース車両上に設置されたリアルタイムオンボードカメラであって、
前記レース車両上から撮影を行う1又は複数のオンボードカメラと、
前記1又は複数のオンボードカメラによって撮影された映像データをIP伝送が可能な形式に変換する第1変換部と、
前記変換された映像データを携帯電話通信網を介して受信サーバに送信する第1アンテナと、
前記1又は複数のオンボードカメラと、前記第1変換部と、前記第1アンテナとに電力を供給する1又は複数の電源と
を備えることを特徴とするリアルタイムオンボードカメラ。
【請求項2】
前記携帯電話通信網を介して前記第1アンテナから設定用信号を受信し、前記1又は複数のオンボードカメラを制御する制御部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のリアルタイムオンボードカメラ。
【請求項3】
前記制御部は、前記1又は複数のオンボードカメラのオン/オフを制御することを特徴とする請求項2に記載のリアルタイムオンボードカメラ。
【請求項4】
前記1又は複数のオンボードカメラは、回転機構及び/又は位置移動機構を備え、前記1又は複数のオンボードカメラの撮影角度及び/又は撮影位置を制御することを特徴とする請求項2に記載のリアルタイムオンボードカメラ。
【請求項5】
前記第1アンテナはLTEアンテナであることを特徴とする請求項1乃至4に記載のリアルタイムオンボードカメラ。
【請求項6】
リアルタイムオンボードカメラからの映像を中継するためのリアルタイムオンボード映像中継システムであって、
1又は複数のリアルタイムオンボードカメラと、
携帯電話通信網及び有線回線を介して前記1又は複数のリアルタイムオンボードカメラから1又は複数の映像データを受信する受信サーバと
を備えることを特徴とするリアルタイムオンボード映像中継システム。
【請求項7】
制御用端末をさらに備え、前記携帯電話通信網を介して前記1又は複数のリアルタイムオンボードカメラに制御信号を送信することを特徴とする請求項6に記載のリアルタイムオンボード映像中継システム。
【請求項8】
前記制御用端末は、表示部をさらに備え、前記制御用端末は前記携帯電話通信網を介して前記1又は複数のリアルタイムオンボードカメラから前記1又は複数の映像データを受信し、前記表示部に表示することを特徴とする請求項7に記載のリアルタイムオンボード映像中継システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアルタイムオンボードカメラ及びリアルタイムオンボード映像中継システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車レースやオートバイレース等の、車両等を使用したレースを中継する方法として、レース場の各地点に設置されたビデオカメラで撮影された画像によりインターネットを介してレースを中継する方法(特許文献1参照)、及びレース車両のオンボードカメラで撮影された映像によりレースを中継する方法(特許文献2参照)が開示されている。また、フォーミュラ1等の国際的に知名度の高い自動車レースにおいては、オンボードカメラとしてレース専用のカメラを使用し、レース専用のWifiアンテナをレースのコースの周辺に一定間隔毎に設置することでオンボードカメラで撮影された映像の良好な中継が実現されている。
【0003】
特許文献1において、レース車両に搭載されたカメラからの画像によりインターネットを介してレースを中継することが出来ると述べられているが、その方法は開示されていない。また、特許文献2には、レース車両のオンボードカメラで撮影された映像を携帯電話通信網を介して映像受信サーバへ送信し、レースを中継する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-64511号公報
【特許文献2】特開2018-46354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オンボードカメラで撮影した映像をサーバで受信したのち、オンボードカメラによる映像と、例えばレース場の各地点に設置されたカメラによる映像とを合成したり、スイッチングしたりする場合、オンボードカメラによる映像のサーバでの受信の際に遅延が発生すると、合成やスイッチングにより所望する映像が得られなくなる恐れがある。フォーミュラ1における専用Wifiアンテナを使用した中継においても、映像受信は0.5秒程度遅延している。また、特許文献2において、オンボードカメラによって撮影された映像は複数のデータ通信端末を介して映像受信サーバへ送信され、映像受信サーバは、受信した複数の映像データに基づいて元の映像データを復元するが、送信装置及び映像受信サーバのこのような動作も遅延発生の原因となり得る。
【0006】
上記問題点を鑑み、本発明は、遅延を可能な限り小さくし、映像の合成やスイッチングを可能にするリアルタイムオンボードカメラ及びリアルタイムオンボード映像中継システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、レース車両上に設置されたリアルタイムオンボードカメラであって、レース車両上から撮影を行う1又は複数のオンボードカメラと、1又は複数のオンボードカメラによって撮影された映像データをIP伝送が可能な形式に変換する第1変換部と、変換された映像データを携帯電話通信網を介して受信サーバに送信する第1アンテナと、1又は複数のオンボードカメラと、第1変換部と、第1アンテナとに電力を供給する1又は複数の電源とを備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の第1の態様において、携帯電話通信網を介して第1アンテナから制御部に設定用信号を受信し、1又は複数のオンボードカメラを制御する制御部をさらに備えてよい。
【0009】
本発明の第1の態様において、制御部は、1又は複数のオンボードカメラのオン/オフを制御してもよい。
【0010】
本発明の第1の態様において、1又は複数のオンボードカメラは、回転機構及び/又は位置移動機構を備え、1又は複数のオンボードカメラの撮影角度及び/又は撮影位置を制御してもよい。
【0011】
本発明の第1の態様において、第1アンテナはLTEアンテナであってもよい。
【0012】
本発明の第2の態様は、リアルタイムオンボードカメラからの映像を中継するためのリアルタイムオンボード映像中継システムであって、1又は複数のリアルタイムオンボードカメラと、携帯電話通信網及び有線回線を介して1又は複数のリアルタイムオンボードカメラから1又は複数の映像データを受信する受信サーバとを備えることを要旨とする。
【0013】
本発明の第2の態様において、制御用端末をさらに備え、携帯電話通信網を介して1又は複数のリアルタイムオンボードカメラに制御信号を送信してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様において、制御用端末は、表示部をさらに備え、制御用端末は携帯電話通信網を介して1又は複数のリアルタイムオンボードカメラから1又は複数の映像データを受信し、表示部に表示してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、遅延を可能な限り小さくし、映像の合成やスイッチングを可能にするリアルタイムオンボードカメラ及びリアルタイムオンボード映像中継システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係るリアルタイムオンボード映像中継システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係るリアルタイムオンボード映像中継システムの車両搭載部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係るリアルタイムオンボード映像中継システムの受信サーバの構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係るリアルタイムオンボード映像中継システムの制御用端末の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。実施形態に係る図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0018】
又、実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、各構成要素の構成や配置、レイアウト等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0019】
(実施形態)
本発明の実施形態に係るリアルタイムオンボード映像中継システムの一例を
図1に示す。
図1に示すリアルタイムオンボード映像中継システム10は、自動車レースの中継を行うシステムであり、車両搭載部101と、受信サーバ102と、制御用端末103から構成される。レース車両104は、レースを行うための車両であり、レース専用道路、一般公道等を走行する。
【0020】
車両搭載部101は、レース車両104上に配置され、レース車両104上からカメラによって撮影を行い、撮影により得られた画像データを携帯電話基地局105a、携帯電話通信網106及び有線回線107を介して受信サーバ102に送信する。制御用端末103は、携帯電話基地局105b、携帯電話通信網106及び携帯電話基地局105aを介して車両搭載部101から画像データを受信し、更に車両搭載部101に制御信号を送信して車両搭載部101を制御する。
【0021】
本実施形態に係るリアルタイムオンボード映像中継システムの車両搭載部101の構成の一例を
図2に示す。
図2に示す車両搭載部101は、オンボードカメラ201、映像送信部202、カメラ制御部203、第1アンテナ204及び電源205とから構成される。映像送信部202は、第1変換部202a及び第1送信部202bから構成される。カメラ制御部203は、制御部203a及び第1受信部203bから構成される。
【0022】
第1変換部202aは、オンボードカメラ201から映像データを受信し、HDMI(登録商標)等の形式の映像データをH.264等のIP伝送が可能なデータに変換する。第1送信部202bは、第1変換部202aにおいて生成された映像データを第1アンテナ204に出力し、第1アンテナ204から映像データが携帯電話基地局105a、携帯電話通信網106及び有線回線107を介して受信サーバ102に送信される。第1受信部203bは、制御用端末103から携帯電話基地局105b、携帯電話通信網106及び携帯電話基地局105aを介して第1アンテナ204から制御信号を受信し、制御部203aに送信する。
【0023】
電源205は、オンボードカメラ201、映像送信部202、カメラ制御部203及び第1アンテナ204に接続され、これらの装置に電力を供給する。
図2には1台の電源205が示されているが、例えば車両搭載部101が複数の電源を有し、オンボードカメラ201、映像送信部202、カメラ制御部203及び第1アンテナ204がそれぞれの電源から電力を供給されてもよい。
【0024】
オンボードカメラ201は、HDMI(登録商標)出力カメラ、USB接続カメラ、IP接続カメラ等であってよく、更に、カメラ及びオーディオ機構を備えたモバイル端末等であっても構わない。オンボードカメラ201は、例えば、レース車両104のフロントガラスの内側に、前方進行方向を撮影するように設置する。
【0025】
第1アンテナ204は、携帯電話基地局から携帯電話通信網106へデータを送信するためのアンテナであって、例えばLTEアンテナである。
【0026】
図2には1台のオンボードカメラ201が示されているが、例えば、1台ではなく複数のオンボードカメラを設置し、そのうち1台は前方進行方向を撮影し、他の1台は後方を撮影する、他の1台は運転者を撮影するなどといったように各オンボードカメラを設置し、どのオンボードカメラからの映像を送信するかを制御用端末103から制御信号をカメラ制御部203に送信することで遠隔で制御してもよい。また、オンボードカメラ201に回転機構や位置移動機構等を取り付け、制御用端末103から遠隔でオンボードカメラ201の角度や位置等を制御してもよい。
【0027】
本実施形態に係るリアルタイムオンボード映像中継システムの受信サーバの構成を
図3に示す。
図3に示す受信サーバ102の構成は、第2受信部301、第2変換部302、記憶部303及び映像編集部304とから構成される。第2受信部301は、車両搭載部101の第1アンテナ204から送信されたH.264等の形式の映像データを携帯電話基地局105a、携帯電話通信網106及び有線回線107を介して受信する。第2変換部302は、第2受信部301が受信した映像データをHDMI(登録商標)等の形式の映像データに変換する。HDMI(登録商標)等の形式の映像データは、記憶部303に記憶されると同時に、映像編集部304に送信される。映像編集部304は、第2変換部302から受信した映像データと、例えば、図示していないが、レース場の各地点に設置されたカメラによる映像データ等も同様に受信し、これらの映像の合成や、スイッチング等の映像データの処理を行う。処理された映像データは、通信回線を介して配信されてもよく、又、例えば放送網を通じてテレビ等で放送されてもよい。
【0028】
本実施形態に係るリアルタイムオンボード映像中継システムの制御用端末の構成を
図4に示す。
図4に示す制御用端末103は、入力部401、第2送信部402、表示部403、第3変換部404、第3受信部405、第2アンテナ406から構成される。制御用端末103は、例えばディスプレイを備えたコンピュータであって良く、またモバイル端末等であってもよい。
【0029】
入力部401から
図2に示すオンボードカメラ201のオン又はオフを設定する。車両搭載部101が
図2に示すような1台のオンボードカメラではなく、複数のオンボードカメラを有するときは、入力部401から複数のオンボードカメラのうちどのカメラをオンにするかどうかを設定する。オンボードカメラ201に回転機構や位置移動機構等が取り付けられており、制御用端末103から遠隔でオンボードカメラ201の角度や位置等を制御できる場合、入力部401からオンボードカメラ201の角度や位置等を設定する。
【0030】
入力部401から入力された設定用信号は、第2送信部402に送信される。第2送信部402は、第2アンテナ406に設定用信号を送信し、携帯電話基地局105b、携帯電話通信網106及び携帯電話基地局105aを介して
図2に示す第1アンテナ204に送信され、第1アンテナ204から第1受信部203bに送信される。第1受信部203bは設定用信号を制御部203aに送信する。制御部203aは、設定用信号を受信すると、オンボードカメラのオン/オフの設定を制御する。
【0031】
第3受信部405は、車両搭載部101の第1アンテナ204から送信されたH.264等の形式の映像データを携帯電話基地局105a、携帯電話通信網106及び携帯電話基地局105bを介して受信する。第3変換部404は、第3受信部405が受信した映像データをHDMI(登録商標)等の形式の映像データに変換する。HDMI(登録商標)等の形式の映像データは、表示部403において表示される。表示部403は、映像データを表示する装置であって、ディスプレイ、モバイル端末の表示画面等である。
【0032】
図1に示す制御用端末103は、携帯電話基地局105bから携帯電話通信網106を介して車両搭載部101から映像データの受信、車両搭載部101へ設定用信号の送信を行うが、携帯電話通信網106に限らず、例えば、Wi-Fi等の無線通信手段であってもかまわない。
【0033】
サーキットにおいて、本実施形態に係るリアルタイムオンボード映像中継システムを採用した。車両搭載部101をレース用車両に搭載し、オンボードカメラ201により撮影して得られた映像データは、携帯電話基地局105a、携帯電話通信網106及び有線回線107を介して、サーキットから300km程度離れた場所に設置された受信サーバ102に送信された。受信サーバ102から映像を再配信したところ、遅延時間は0.2秒となり、フォーミュラ1における専用Wifiアンテナを使用した中継における遅延時間の0.5秒と比較しても小さいものとなった。
【0034】
上述したリアルタイムオンボード映像中継システムは、1台のレース車両上に車両搭載部101を配置したが、通常、自動車レースにおいては複数台のレース車両が同時に走行を行うことから、複数台のレース車両のそれぞれに車両搭載部を配置し、それぞれの車両搭載部からそれぞれの映像データを受信サーバに送信してもよい。
【0035】
以上述べたように、本実施形態に係るリアルタイムオンボードカメラ及びリアルタイムオンボード映像中継システムによれば、オンボードカメラによって撮影された映像の低遅延配信が可能となり、これにより映像の合成やスイッチング等が可能となる。
【0036】
以上、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0037】
10 リアルタイムオンボード映像中継システム
101 車両搭載部
102 受信サーバ
103 制御用端末
104 レース車両
105a、105b 携帯電話基地局
106 携帯電話通信網
107 有線回線
201 オンボードカメラ
202 映像送信部
202a 第1変換部
202b 第1送信部
203 カメラ制御部
203a 制御部
203b 第1受信部
204 第1アンテナ
205 電源
301 第2受信部
302 第2変換部
303 記憶部
304 映像編集部
401 入力部
402 第2送信部
403 表示部
404 第3変換部
405 第3受信部
406 第2アンテナ