(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076427
(43)【公開日】2022-05-19
(54)【発明の名称】電磁誘導加熱及び電子レンジ対応の加熱、保温用具及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20220512BHJP
A47J 36/02 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
A47J27/00 107
A47J36/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020195532
(22)【出願日】2020-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】514166171
【氏名又は名称】株式会社マイテックス
(72)【発明者】
【氏名】岡野 照夫
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA09
4B055AA10
4B055BA34
4B055CA01
4B055CB17
4B055DB14
4B055DB15
4B055FA03
4B055FB01
4B055FB23
4B055FC05
4B055FC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電磁誘導加熱調理器、または電子レンジのいずれでも同じ用具で加熱と、長時間保温ができる加熱、保温用具を提供する。
【解決手段】高耐熱磁性体素材1cは、耐熱発泡セラミック1bでコーティングされている。潜熱蓄熱材1dは高耐熱樹脂の容器に内蔵される。球状突起を担持した磁性体金属1fは、耐熱発泡セラミックで覆われている。電子レンジ1aから発生するマイクロ波により、高耐熱磁性体素材が加熱され、電磁誘導加熱調理器1gから発生する電磁誘導高周波により、球状突起を担持した磁性体金属が加熱される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導加熱調理器、または電子レンジ、あるいは両方を使って加熱するための加熱、保温用具であって、潜熱蓄熱材を高耐熱磁性体素材と球状突起を担持した磁性体金属で上下を挟み込む構造を有し、更に高耐熱磁性体素材及び、球状突起を担持した磁性体金属はそれぞれ、遅熱性のある耐熱発泡セラミック、または断熱塗料で覆う構造を有し、電磁誘導加熱調理器、または電子レンジのいずれでも同じ容器で加熱と、長時間保温ができる事を特徴とする加熱、保温用具の製造方法。
【請求項2】
電磁誘導加熱調理器、または電子レンジ、あるいは両方を使って加熱するための加熱、保温用具であって、高耐熱磁性体素材と球状突起を担持した磁性体金属で上下に構成する構造を有し、更に高耐熱磁性体素材及び、球状突起を担持した磁性体金属はそれぞれ、遅熱性のある耐熱発泡セラミック、または断熱塗料で覆う構造を有し、電磁誘導加熱調理器、または電子レンジのいずれでも同じ容器で加熱ができる事を特徴とする食材用、加熱、保温用具の製造方法。
【請求項3】
電磁誘導加熱調理器を使って加熱するための加熱、保温用具であって、潜熱蓄熱材の上または下に球状突起を担持した磁性体金属を敷く構造を有し、更に格子球状の磁性体金属は、遅熱性のある耐熱発泡セラミック、または断熱塗料で覆う構造を有し、電磁誘導加熱調理器により、均一な加熱と、長時間保温ができる事を特徴とする食材用、加熱、保温用具の製造方法。
【請求項4】
電磁誘導加熱調理器を使って加熱するための加熱、保温用具であって、食材の下に球状突起を担持した磁性体金属を敷く構造を有し、更に球状突起を担持した磁性体金属は、遅熱性のある耐熱発泡セラミック、または断熱塗料で覆う構造を有し、食材の油脂を格子状の間から落下するように構成し、電磁誘導加熱調理器により、食材を均一で、効率の良い加熱と食材の油脂を落下させて取り除く事ができる事を特徴とする食材用、加熱、保温用具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導加熱調理器、または電子レンジ、あるいは両方を使って加熱するための、加熱、保温用具であって、電磁誘導加熱調理器、または電子レンジのいずれでも同じ容器で加熱と、長時間保温ができる事を特徴とする加熱、保温用具の製造方法に関するものである。
【0002】
本発明は、電磁誘導加熱調理器、または電子レンジ、あるいは両方を使って加熱するための、加熱、保温用具であって、潜熱蓄熱材を高耐熱磁性体素材と球状突起を担持した磁性体金属で上下を挟み込む事により、更に高耐熱磁性体素材及び、球状突起を担持した磁性体金属は、それぞれ、遅熱性のある耐熱発砲セラミック、または断熱塗料で覆い、電磁誘導加熱調理器、または電子レンジのいずれでも同じ容器で加熱と、長時間保温ができるようにした、加熱、保温用具の製造方法に関するものである。
【0003】
本発明は、電磁誘導加熱調理器、または電子レンジ、あるいは両方を使って加熱すするための加熱、保温用具であって、潜熱蓄熱材を高耐熱磁性体素材と球状突起を担持した磁性体金属で上下を挟み込む事により、更に高耐熱磁性体素材及び、球状突起を担持した磁性体金属はそれぞれ、遅熱性のある耐熱発砲セラミック、または断熱塗料で覆い、電磁誘導加熱調理器、または電子レンジのいずれでも同じ容器で加熱と、長時間保温ができるようにした、加熱、保温用具の製造方法である。
【背景技術】
【0004】
従来から調理用に、電磁誘導加熱調理器や電子レンジを使って、調理や保温が行なわれていた。それぞれの調理器に対応した用具はあったが、同じ用具でありながら、両方に対応できるものは無かった。電磁誘導加熱用の用具には、鉄などの金属をセラミックの表面に焼付して設置したり、あるいは容器の中に内蔵していた。電子レンジ用の場合は、水分を持った食材等が発熱するため、容器は単に耐熱性がある、例えば耐熱樹脂である場合が多かった。容器そのものが電子レンジで発熱するものもあるが、電子レンジ専用になっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
調理における加熱、保温では、電磁誘導加熱調理器や電子レンジを使った用具は、それぞれの専用の容器となっていた。そのため、電磁誘導加熱調理器用と電子レンジ用の用具用に別々のものを用意する必要があり、使い勝手が悪いという問題点があった。
【0006】
そのため、用具を間違えると、事故になる危険性もあった。例えば、電磁誘導加熱調理器用に作られた用具を、間違って電子レンジに掛けてしまうと、用具に内蔵、または表面に作られた、電磁誘導加熱に対応するための金属材料があるため、電子レンジが発生する強力なマイクロ波に反射してしまい、その反射エネルギーにより電子レンジを壊してしまうという問題点があった。
【0007】
また、電子レンジが発生する強力なマイクロ波が、アンテナとして働く金属に誘導してしまい、高電圧を発生させて、放電や火花を発生させるという危険があった。
【発明が解決しようとする手段】
【0008】
本発明は、電磁誘導加熱調理器、または電子レンジ、あるいは両方を使って加熱するための加熱、保温用具を提供する。潜熱蓄熱材を高耐熱磁性体素材と球状突起を担持した磁性体金属で上下を挟み込む構造を有し、更に高耐熱磁性体素材及び、球状突起を担持した磁性体金属はそれぞれ、遅熱性のある耐熱発泡セラミック、または断熱塗料で覆う構造を有し、電磁誘導加熱調理器、または電子レンジのいずれでも同じ用具でできるようにしたものである。
【0009】
電子レンジの場合には、潜熱蓄熱材の周囲を遅熱性のある耐熱発泡セラミック、または、断熱塗料で覆う構造があるため、マイクロ波は、高耐熱磁性体素材に反応して発熱し、その熱は、遅熱性のある耐熱発泡セラミック、または断熱塗料により保温されて、長時間の食材等の加熱、保温が可能である。一方、電磁誘導加熱調理器に同じ用具を掛けた場合には、電磁波は周波数が低いため、高耐熱磁性体素材には反応せず、球状突起を担持した磁性体金属のみに反応し、加熱することができる。
【0010】
本発明によれば、同じ用具で、電磁誘導加熱調理器、または電子レンジ両方に対応することができるため、使い勝手が向上する。
【0011】
また、電子レンジで使用時は、高耐熱磁性体素材と球状突起で構成された電磁誘導加熱調理器用の発熱体は、マイクロ波を分散するように構成されているため、マイクロ波の反射で電子レンジを壊すこともなく、また球状突起で構成されているため、エッジ部分の電界も分散されて、放電が起き難いため、安全に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の全体構造図である。高耐熱磁性体素材は、耐熱発泡セラミックでコーティングされている。潜熱蓄熱材は高耐熱樹脂の容器に内蔵される。球状突起を担持した磁性体金属は、耐熱発泡セラミックで覆われている。電子レンジから発生するマイクロ波は、高耐熱磁性体素材に到達して素材を加熱する。その発熱により、近接しておかれている潜熱蓄熱材が加熱、保温される。電磁誘導加熱(IH調理器)の場合には、発生する電磁誘導高周波により、球状突起を担持した磁性体金属が加熱される。球状突起を担持した磁性体金属は、IH調理器により、急激に発熱するが、耐熱発泡セラミックで覆われているため、遅延効果を伴って、発生した熱は、潜熱蓄熱材を適度に加熱、保温ができる。
【0014】
図2は、球状突起を担持した磁性体金属の詳細を示している。磁性体金属のエッジ部および、網状の金属の交点には、半円球状の突起が作られており、電子レンジにより誘起される電圧、および電界は、この球状構造により、平均化され、部分的な高電圧による気中放電や、部分的に異常高温になることを防ぐ構造になっている。球状部は、円球が良いが、
図2の例の様に、電子レンジからのマイクロ波の方向にのみ円球であれば良いので、
図2の様に半円球状であっても良い。
【0015】
図3は、本発明の応用例1(電子レンジ)の場合を示している。電子レンジでのみを使う場合は、構造を簡易化することができる。高耐熱磁性体素材は、耐熱発泡セラミックでコーティングされている。電子レンジから発生するマイクロ波は、高耐熱磁性体素材に到達して素材を加熱する。その発熱により、近接しておかれている潜熱蓄熱材が加熱、保温される。高耐熱磁性体素材は、耐熱発泡セラミックで覆われているため、遅延効果を伴って潜熱蓄熱材を適度に加熱、保温ができる。
加熱、保温状態の潜熱蓄熱材により、長時間、食材を加熱、保温維持することができる。
【0016】
図4は、本発明の応用例2(IH調理器)の場合を示している。電磁誘導加熱器(IH調理器)のみを使う場合は、構造を簡易化することができる。球状突起を担持した磁性体金属は、耐熱発泡セラミックで覆われている。電磁誘導加熱(IH調理器)から発生する電磁誘導高周波により、球状突起を担持した磁性体金属を加熱する。球状突起を担持した磁性体金属は、IH調理器により、急激に発熱するが、耐熱発泡セラミックで覆われているため、遅延効果を伴って、発生した熱は潜熱蓄熱材を適度に加熱及び保温ができる。加熱、保温状態の潜熱蓄熱材によって、長時間、食材を加熱、保温維持することができる。
【0017】
図5は、本発明の応用例2(IH調理器)の場合を示している。球状突起を担持した磁性体金属は、耐熱発泡セラミックで覆われている。電磁誘導加熱(IH調理器)から発生する電磁誘導高周波により、球状突起を担持した磁性体金属を加熱する。球状突起を担持した磁性体金属は、IH調理器により、急激に発熱するが、耐熱発泡セラミックで覆われているため、遅延効果を伴って発生した熱は、食材を適度に加熱と保温ができる。多数の球状突起構造により、発生した熱は、分散して、平均的に食材に伝わるため、図の例のように、焼き魚の調理等に使うことができる。
一般に焼き魚の調理では、魚に含まれる油分が析出して下に垂れ、油の燃焼等での煙が問題になるが、磁性体金属は、格子状であるため、下に設置した皿等の食器に容易に収容することができる。
【0018】
本発明の高耐熱性樹脂は、環境への影響を考慮し、例えば、バイオマスプラスチック、または、セルロースナノファイバー素材を使うこともできる。
【0019】
本発明の球状突起を担持した磁性体金属は、製造方法として、金網にアルミナ等の金属溶射を施すことで、電磁誘導加熱の効率を上げ、更に中空セラミック塗料を塗布させて、遅熱及び、冷めにくい性質により、保温効果を高めることができることは、言うまでもない。
【0020】
本発明の球状突起を担持した磁性体金属は、製造方法として、微細線金網にアルミナ金属溶射と中空セラミック塗料の塗布でも良く、塗布前でも、後でも金型によるブレスにて、形状のトレミングも兼ねてでき、それにより微細半球状突起部を製造し、更に全体及び,トレミングによりできた破断縁面部もカバーするように突起を施す事で、同様に電流の集中を避ける効果があることは、言うまでもない。
【0021】
本発明の説明では、潜熱蓄熱材を発熱部に隣接して設置することで、長時間の保温効果があることを説明しているが、長時間の保温時間が必要ない場合には、潜熱蓄熱材を省くことができるのは、言うまでもない。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電磁誘導加熱調理器に反応する、磁性体金属が、球状突起を担持した構造であるため、電子レンジのマイクロ波の影響を受けないため、電子レンジでも電磁誘導加熱方式でも両方に対応できる、加熱及び保温用具が可能になる。また、磁性体金属はマイクロ波による高電圧誘起や気中への放電が起こり難いため、電子レンジで使う場合にも、そのまま安全に使用することができる。また、金属の板のように、マイクロ波を反射してしまい、そのエネルギーにより電子レンジ本体を損傷させる危険性がなく、安全に使用できるという利点がある。
【0023】
本発明によれば、電磁誘導加熱調理器及び、電子レンジの両方に対応ができるため、本用具をユニットとして、各種の磁器皿や耐熱プラスチック食器に内蔵、または、皿の高台内に内蔵、あるいは取り外し可能な構造の食器も簡単に構成できるため、加熱、保温用の各種の食器が容易に実現できるという利点がある。用具の種類も少なくできるため、量産の効果が期待でき、安価に上記の食器が実現できる。
【0024】
本発明によれば、球状突起を担持した磁性体金属を有しているため、
図5に示すように、魚や焼き肉のような食材を、油脂成分を容易に除去しながらの加熱、保温が、電磁誘導加熱調理器を使っても安全にできるという利点がある。
【0025】
本発明によれば、電子レンジの場合には、高耐熱磁性体を加熱し、電磁誘導加熱器の場合には、球状突起を担持した磁性体金属を加熱し、隣接して設置されている潜熱蓄熱材を加熱することができるため、加熱調理のみでなく、長時間の保温が可能になるという利点がある。また、潜熱蓄熱材を使うため、一度加熱すれば、電源供給不要で、長時間の保温が可能なため、省エネにも大きな効果がある。
【0026】
本発明によれば、発熱体である高耐熱磁性体及び、球状突起を担持した磁性体金属は耐熱発泡セラミックで覆われており、耐熱発泡セラミックにより、遅熱効果があるため、潜熱蓄熱材を急激な加熱から防ぐ効果があり、潜熱蓄熱材の劣化を防ぐことができ、長期間の使用が可能である。
【産業上の利用の可能性】
【0027】
本発明によれば、大型飲食施設、フードコート、レストラン、旅館、ホテル、航空機、船舶、列車内食堂、病院、給食、軍隊、一般家庭でも、電子レンジ及び、電磁誘導加熱調理器(IH調理器)の各調理器に対応して、短時間での加熱や、長時間の温度維持が可能な用具を作成することができる。この用具をカートリッジ構造にすることで、多様な食器に内蔵して、各種の大きさ、構造、デザインの食器で、加熱と長時間の保温が実現できる。
【符号の説明】
【0028】
1a・・・電子レンジ(マイクロ波発生部)
1b・・・耐熱発泡セラミック
1c・・・高耐熱磁性体素材
1d・・・潜熱蓄熱材
1f・・・球状突起を担持した磁性体金属
1g・・・電磁誘導加熱器(IH調理器)
1h・・・用具全体
2a・・・球状突起部
2b・・・球状突起部拡大図
2c・・・半円球部
3a・・・加熱、保温対象の食材
3b・・・食器
5a・・・加熱、保温対象の食材例(魚等)
5b・・・油受け皿