(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076430
(43)【公開日】2022-05-19
(54)【発明の名称】TEモード円筒型空洞共振器の空気のQ値の測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 22/00 20060101AFI20220512BHJP
G01R 27/26 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
G01N22/00 Y
G01R27/26 Q
G01R27/26 T
G01N22/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020196375
(22)【出願日】2020-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】502383889
【氏名又は名称】キーコム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】発知 富夫
【テーマコード(参考)】
2G028
【Fターム(参考)】
2G028BD03
2G028CG10
2G028CG13
2G028CG14
(57)【要約】
【課題】材料のtanδの測定精度を向上させたい。
【解決手段】測定の基準となる、空気におけるQ値の共振周波数が、材料を挿入した時の共振周波数に一致するように、円筒型共振器を構成する円筒間の物理的寸法を調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料のtanδを求める際に、空気のQ値を、材料挿入時の共振周波数と同じ周波数で測定する装置
【請求項2】
円筒型空洞共振器の共振周波数を、円筒間の物理的寸法を微小に変化させて目標の周波数に調整し、その時の空気のQ値を取得する装置
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
高周波における低損失材料のtanδの正確な数値を求める方法
【背景技術】
【0002】
【0003】
なし
【発明の開示】
【発明が開示しようとする課題】
【0004】
一般的に、共振器を使用した材料の誘電率は、空気の電気特性と材料の電気特性を測定し、双方を比較する計算方法によって求める。その際、空気の誘電率を1、tanδを0とするのが一般的である。
TEモードの円筒型空洞共振器による材料の誘電率測定は、円筒を2分割し、分割した2つの円筒の間に材料を挟んで測定する。
このように材料を2つの円筒に挟んで測定する場合、空気の電気特性は、材料を除去して測定するのが一般的である。
しかし、材料を挟む円筒の間隔を変えないまま空気の電気特性を測定しようとすると、材料の誘電率と空気の誘電率が異なるため共振周波数がずれる、すなわち、材料を除去する前と後の共振周波数が一致しなくなる。
共振周波数がずれると、測定系の電気特性が変化するため、正しい空気のQ値を測定することができなくなり、結果的に材料の誘電率の測定精度が下がってしまう。
こうした状況を踏まえ、正しい空気のQ値を測定するため、材料を除去した場合の円筒の間隔を適切に調整し、共振周波数のずれを解消できるようにしたい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
円筒型空洞共振器の材料を挟む2つの円筒の隙間を自由に調整できるようにするとともに、この調整を電子的に行う。すなわち、予め定めた共振周波数になるように、隙間の物理的寸法を調整できるようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例0006】
本実施例を
図1に示した。
まず、改善前のtanδの測定法を説明する。
tanδの測定対象である材料4を円筒型空洞共振器2の円筒の隙間に挿入し、隙間調整器7を回転させ、材料を締め付ける。このとき、締付回転数を記録しておく。そして、Q値と共振周波数を測定する。
次に、材料を除去して、材料挿入時と同じ締付回転数にしてQ値を測定する。
そして、tanδを計算する。
続いて、改善後の方法を説明する。
改善前のように材料挿入時・除去後の締付回転数を同じにするのではなく、まず、材料挿入時の共振周波数を記録しておく。
次に、材料を除去した時のQ値を測定する場合、隙間調整器を回転させ、記録した共振周波数となるよう隙間の距離を調整する。
このことにより、測定値の精度が向上した。この時のtanδの計算式を次に示す。
空洞共振器は、主に低損失材料の測定に使用されるが、5Gなどの新たな通信技術が普及し、スマートフォン、タブレットなどの典型的な通信端末にとどまらず、家電や自動運転車、スマートハウスなど、あらゆる物がネットワークで繋がる中、より質の高い低損失材料が求められている。
本発明によって空気のQ値の測定精度が向上し、低損失材料の誘電率をより正確に測定できるようになることで、高品質な低損失材料の開発の円滑化、ひいては自動車産業など、高度な通信技術を組み込んだ製品を開発する必要のある、あらゆる産業に貢献することが期待できる。