(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076504
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】門扉
(51)【国際特許分類】
E06B 11/02 20060101AFI20220513BHJP
【FI】
E06B11/02 R
E06B11/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186870
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】田中 直美
(72)【発明者】
【氏名】田近 亮介
(72)【発明者】
【氏名】岡田 麻斗香
【テーマコード(参考)】
2E038
【Fターム(参考)】
2E038AA05
2E038BA02
2E038BA03
2E038CA26
2E038CB02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高い塀を備えた外構に対応できる門扉を提供する。
【解決手段】戸先框1と吊元框2と複数の鋳物パネル3a,3b,3cとを備え、戸先框1と吊元框2は、アルミ形材で形成してあり、内周側が開口したパネル呑み込み溝4を有し、少なくとも戸先框1は中空部を有し、複数の鋳物パネル3a,3b,3cは、上下に積み重ねて側縁部13を戸先框1と吊元框2のパネル呑み込み溝4に呑み込ませ、側方からのねじ7で固定してある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸先框と吊元框と複数の鋳物パネルとを備え、戸先框と吊元框は、アルミ形材で形成してあり、内周側が開口したパネル呑み込み溝を有し、少なくとも戸先框は中空部を有し、複数の鋳物パネルは、上下に積み重ねて側縁部を戸先框と吊元框のパネル呑み込み溝に呑み込ませ、側方からのねじで固定してあることを特徴とする門扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、門扉に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅家屋(特に高級住宅家屋)の外構として高い塀を備えたハイクローズ外構が採用されることが増えており、それに合う門扉が求められた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、高い塀を備えた外構に対応できる門扉の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による門扉は、戸先框と吊元框と複数の鋳物パネルとを備え、戸先框と吊元框は、アルミ形材で形成してあり、内周側が開口したパネル呑み込み溝を有し、少なくとも戸先框は中空部を有し、複数の鋳物パネルは、上下に積み重ねて側縁部を戸先框と吊元框のパネル呑み込み溝に呑み込ませ、側方からのねじで固定してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による門扉は、戸先框と吊元框と複数の鋳物パネルとを備え、戸先框と吊元框は、アルミ形材で形成してあり、内周側が開口したパネル呑み込み溝を有し、複数の鋳物パネルは、上下に積み重ねて側縁部を戸先框と吊元框のパネル呑み込み溝に呑み込ませ、側方からのねじで固定してある構成としたので、鋳物パネルにより重厚感や高級感が得られる上、背の高いものも容易に製作することができるので、高い塀を備えた外構にも対応できる。戸先框は、中空部を有するアルミ形材で形成してあることで、様々な形態のハンドルを取付けることができ、電気錠を取付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図2の片方(左側)の門扉を拡大して示す正面図である。
【
図2】本発明の門扉の第1実施形態を示す正面図である。
【
図3】(a)は
図1のA-A断面図、(b)は
図1のB-B断面図である。
【
図8】第1実施形態の門扉の変形例を示す正面図である。
【
図9】本発明の門扉の第2実施形態を示す正面図である。
【
図10】同門扉を分解した状態で示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~7は、本発明の門扉8の第1実施形態を示している。本実施形態は、いわゆる両開き型の門扉に適用したものであり、
図2に示すように、間隔をおいて地面から立設した一対の門柱9,9にそれぞれ蝶番10にて敷地側に回動可能に取付けられた2枚の門扉8,8を有している。門柱9,9の左右両側には、大人の背丈よりもはるかに高い塀11が設置してあり、門扉8の高さ寸法Hも大人の背丈よりも高い寸法、具体的には2mとなっている。
【0008】
各門扉8は、
図1,5に示すように、アルミ形材で形成した戸先框1及び吊元框2と、戸先框1と吊元框2の間に上下に積み重ねて配置した4枚の鋳物パネル3a,3b,3b,3cとで構成されている。
各鋳物パネル3a,3b,3cは、アルミ鋳物製で、多数の縦桟12が左右方向に間隔をおいて配置された縦基調のデザインとなっている。上部に配置される上鋳物パネル3aと下部に配置される下鋳物パネル3cは、上下対称なデザインになっている。上鋳物パネル3aと下鋳物パネル3cの間に配置される2枚の中間鋳物パネル3bは、同一の物となっている。
各鋳物パネル3a,3b,3cは、左右両側の側縁部に縦枠部13を全長に有し、縦枠部13の端面で複数の鋳物パネル3a,3b,3b,3cを積み重ねてある。縦枠部13は、後述するように、戸先框1及び吊元框2のパネル呑み込み溝4に隠れるようになっている。
上鋳物パネル3aの上縁部には、やや見付寸法の太い上枠部14が設けてあり、下鋳物パネル3cの下縁部には、やや見付寸法の太い下枠部15が設けてある。上鋳物パネル3aの下縁部、中間鋳物パネル3bの上下縁部、下鋳物パネル3cの上縁部には、上枠部14及び下枠部15よりも見付寸法の細い横桟部16がそれぞれ設けてあり、
図1に示すように、上下に積み重ねられる鋳物パネル3a,3b,3b,3cの横桟部16同士が合わさって一本の横桟に見えるようにしてある。上下に積み重ねられる鋳物パネル3a,3b,3b,3c同士の間には、
図4,5に示すように、クッション材17がほぼ全長に配置されており、これにより上下の鋳物パネル3a,3b,3b,3c間に隙間ができるのを防いでいる。
さらに、
図4に示すように、各鋳物パネル3a,3b,3b,3cの横桟部16は、外周側に向かうにつれて見込寸法が小さくなるように見付面に段18が設けてあり、これにより鋳物パネル3a,3b,3b,3c同士の継ぎ目部分の表面に陰影が生じ、鋳物パネル3a,3b,3b,3c同士の間に多少の隙間や段違いがあっても目立ちにくくなり、複数の鋳物パネル3a,3b,3b,3cを一体的に見せる効果がある。
【0009】
戸先框1と吊元框2は、
図3に示すように、内周側が開口したパネル呑み込み溝4と、パネル呑み込み溝4の外周側に設けた中空部5,6を有している。
各鋳物パネル3a,3b,3b,3cは、
図1,3に示すように、上下に積み重ねた状態で側縁部(縦枠部)13を戸先框1と吊元框2のパネル呑み込み溝4に呑み込ませ、側方からのねじ7で固定してある。
図1,5に示すように、戸先框1と吊元框2の上部と下部には、パネル呑み込み溝4の底壁19の外周側にステンレス製の裏板37が配置してあり、裏板37を介して鋳物パネル(上鋳物パネル3a、下鋳物パネル3c)をパネル呑み込み溝4の底壁19にねじ7で固定している(
図3(a)参照)。これにより、ねじ止め箇所に荷重が集中してパネル呑み込み溝4の底壁19が変形するのを防止し、門扉8の強度を高めている。
図1,5に示すように、中間鋳物パネル3b,3bの戸先側の側縁部には付子20がねじ21で取付けてあり、付子20を戸先框1のパネル呑み込み溝4に嵌合保持してある(
図3(b)参照)。戸先框1は、中空部5の横幅が広く、また戸先框1の上下方向中間部には、後述するように錠や錠受けが取付けられるため、中間鋳物パネル3b,3bを戸先側からねじ止めするのは容易でないが、このように付子構造とすることでパネル呑み込み溝4へのねじ固定を省くことができ、門扉8の組立て性が向上する。
戸先框1及び吊元框2は、
図3に示すように、中空部5,6の外周側の壁に鋳物パネル3a,3b,3cを固定するためのねじ7の頭が通過できる孔22が形成してある。戸先框1及び吊元框2の外周側縁部には、
図3,5に示すように目板23,24が取り付けられ、目板23,24でその孔22を隠してある。また、戸先框1及び吊元框2の上下端部にはキャップ25を取付けて小口を覆ってある。
戸先框1及び吊元框2は、表面にビーズ入り塗装が施してあり、これにより戸先框1及び吊元框2の色や質感を鋳物パネル3a,3b,3cに近づけて、門扉8に意匠的な一体感を持たせてある。
【0010】
図2に示すように、片方(図中右側)の門扉8は、戸先框1にハンドル26と、ハンドル26と連動したラッチ錠(図示省略)と、本締錠27が取付けてある。もう片方(図中左側)の門扉8は、戸先框1にハンドル26と、ラッチ錠及び本締錠27の受け28,29(
図5参照)と、落とし棒30が取付けてある。ハンドル26は、戸先框1の長手方向のほぼ全長にわたってのびるロングバーハンドルとなっている。本締錠27は、電気錠となっている。
全体が鋳物パネルで形成された従来の鋳物門扉では、このようなロングバーハンドル26や電気錠27を取付けるのは困難であったが、本門扉8は戸先框1が中空部5を有するアルミ形材で構成されているため、ロングバーハンドル26や電気錠27を容易に取付けることができる。
【0011】
図6は、電気錠27の配線31の経路を示している。塀11に設けられた配線ボックス32より通電金具33を介して門扉8の吊元框2に引き込まれた配線31は、下鋳物パネル3cの下枠部15に下向きに開口して設けた溝34(
図7参照)に通され、さらに戸先框1の中空部5内を通って電気錠27に接続されている。下鋳物パネル3cの下枠部15の溝34は、
図7に示すように、配線31を通した後に下方より蓋35をねじ止めして取付けて塞いである。蓋35の下面は、下鋳物パネル3cの下縁と同面となっている。
【0012】
図8は、第1実施形態の門扉8の変形例を示している。
図8(a)の門扉8は、2枚であった中間鋳物パネル3bを1枚とし、高さ寸法Hを1.6mとしてある。上鋳物パネル3a、中間鋳物パネル3b、下鋳物パネル3cは、
図1,2の門扉8と同一のものを用いている。ハンドル26は、プレートハンドルとしてある。
図8(b)の門扉は、中間鋳物パネル3bを1枚とし、且つ中間鋳物パネル3bを上下寸法が
図1,2のものより大きいものに変更することで、全体の高さ寸法Hを1.8mとしてある。上鋳物パネル3aと下鋳物パネル3cは、
図1,2の門扉8と同じものを用いている。ハンドル26は、30cm程度の長さのバーハンドルとしてある。
このように本門扉8は、中間鋳物パネル3bの枚数、中間鋳物パネル3bの上下寸法を変えることで、全体の高さ寸法Hを容易に変化させることができる。高さ寸法Hが2m以上のものを製作することも可能である。また、中空部5を有するアルミ形材製の戸先框1を有しているため、様々な形態のハンドル26を取付けることができる。
【0013】
図9,10は、本発明の門扉8の第2実施形態を示している。本門扉8は、アルミ形材よりなる戸先框1及び吊元框2と、戸先框1と吊元框2の間に上下に積み重ねて配置した3枚の鋳物パネル3a,3b,3cとで構成されている。戸先框1と吊元框2は、第1実施形態と共通のものである。
各鋳物パネル3a,3b,3cは、アルミ鋳物製で、多数の横桟36が上下方向に間隔をおいて配置された横基調のデザインとなっている。横桟36同士の間隔は、全て一定である。各鋳物パネル3a,3b,3cは、第1実施形態と同様に、左右両側の側縁部に縦枠部13を全長に有し(
図10参照)、縦枠部13の端面で複数の鋳物パネル3a,3b,3cを積み重ねてある。縦枠部13は、戸先框1及び吊元框2のパネル呑み込み溝4内に隠れている。
本実施形態の門扉8は、鋳物パネル3a,3b,3cを多数の横桟36が一定の間隔で配置された横基調のデザインとしてあり、且つ鋳物パネル3a,3b,3cの縦枠部13が戸先框1及び吊元框2のパネル呑み込み溝4内に隠れているため、
図9に示すように、鋳物パネル3a,3b,3c同士の境界が外部に露出せず、あたかも一枚の鋳物パネルで形成されているような、より一体的でまとまりのある意匠になっている。
【0014】
以上に述べたように本門扉8(第1及び第2実施形態)は、戸先框1と吊元框2と複数の鋳物パネル3a,3b,3cとを備え、戸先框1と吊元框2は、アルミ形材で形成してあり、内周側が開口したパネル呑み込み溝4を有し、複数の鋳物パネル3a,3b,3cは、上下に積み重ねて側縁部(縦枠部)13を戸先框1と吊元框2のパネル呑み込み溝4に呑み込ませ、側方からのねじ7で固定してある構成としたので、鋳物パネル3a,3b,3cにより重厚感や高級感が得られる上、背の高いものも容易に製作することができるので、高い塀11を備えた外構にも対応できる。戸先框1は、中空部5を有するアルミ形材で形成してあることで、様々な形態のハンドル26を取付けることができ、電気錠27を取付けることもできる。
本門扉8(第1及び第2実施形態)は、戸先框1及び吊元框2の上部と下部のパネル呑み込み溝4の底壁19の外周側に裏板37を配置し、裏板37を介して鋳物パネル3a,3cをねじ7で固定してあるので、門扉8の強度が向上する。
本門扉8(第1及び第2実施形態)は、少なくとも一つの鋳物パネル3bは、側縁部に付子20が取付けてあり、付子20を框(戸先框)1のパネル呑み込み溝4に嵌合保持することで、門扉8の組立て性が向上する。
鋳物パネル3a,3b,3cは、側縁部に縦枠部13を有し、縦枠部13の端面で複数の鋳物パネル3a,3b,3cを積み重ねてあり、縦枠部13はパネル呑み込み溝4に隠れているので、鋳物パネル3a,3b,3c同士の境界が見えないか分かりづらくすることができ、意匠性が良い。
本門扉8(第1実施形態)は、上下に隣接する上側の鋳物パネル3a,3bの下端部に横桟部16を有し、下側の鋳物パネル3b,3cの上端部に横桟部16を有し、上下の鋳物パネル3a,3b,3cを横桟部16同士で積み重ねてあり、重ねた横桟部16同士の間にクッション材17を配置してあるので、上下の鋳物パネル3a,3b,3c間に隙間ができるのを防ぐことができる。
また本門扉8(第1実施形態)は、鋳物パネル3a,3b,3cの横桟部16は、外周側に向かうにつれて見込寸法が小さくなるように見付面に段18を設けてあることで、鋳物パネル3a,3b,3c同士の継ぎ目部分の表面に陰影が生じ、鋳物パネル3a,3b,3c同士の間に多少の隙間や段違いがあっても目立ちにくくすることができる。
戸先框1及び吊元框2は、表面にビーズ入り塗装が施してあるため、戸先框1及び吊元框2の色や質感を鋳物パネル3a,3b,3cに近付けることができ、意匠に統一感を持たせられる。
一番下の鋳物パネル3cは、下端面に配線を通すための溝34が下向きに開口して設けてあり、溝34に通して戸先框1から吊元框2にわたって配線31を連続させてあるので、鋳物パネル3cを用いつつ電気錠27への配線が容易に行える。
【0015】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。戸先框及び吊元框の断面形状は、適宜変更することができる。吊元框は、中空部を有していなくてもよい。鋳物パネルの大きさやデザイン、上下に積み重ねる鋳物パネルの枚数等は、適宜変更することができる。門扉の大きさ(高さ、幅)は任意であり、実施形態のような背の高いものに限らず、大人の背丈よりも低いもの(例えば、高さ寸法Hが1.4m程度のもの)にも適用できる。また、両開き型の門扉に限らず、片開きの門扉にも適用することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 戸先框
2 吊元框
3a,3b,3c 鋳物パネル
4 パネル呑み込み溝
5,6 中空部
7 ねじ
8 門扉