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  • 特開-階段構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076520
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】階段構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/09 20060101AFI20220513BHJP
【FI】
E04F11/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186904
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】520439586
【氏名又は名称】日本デージー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068663
【弁理士】
【氏名又は名称】松波 祥文
(72)【発明者】
【氏名】矢倉 卓
(72)【発明者】
【氏名】中田 浩史
(72)【発明者】
【氏名】矢倉 卓行
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301CC28
2E301DD02
2E301DD15
2E301DD93
(57)【要約】
【課題】接着またはボルトで固着する作業を必要とせず、補助段は、通常階段の左側または右側へ簡便に変更できる階段構造を提供する。
【解決手段】階段の上り下りを楽にするため、通常階段1の横幅方向の一方側の各段および該通常階段1の床面に、段差が通常階段の半分の補助段15を設置したものがある。本発明の階段構造は、通常階段1の踏面に載置された平板状のベース13と該ベース13の一端に立設された水平方向に断面コ字状に突出した凸部12が形成された取付枠11とからなる支持体10と、背面部に該凸部12と嵌合する凹部15cを形成した補助段15とからなり、該支持体10の左端または右端に該補助段15を脱着可能に取り付け、通常階段へ載置したものである。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常階段の横幅方向の一方側の各段および該通常階段の床面に、横幅が15~35cmで段差が通常階段の半分で踏面が通常階段とほぼ同じである補助段が設置された階段構造において、該補助段は、通常階段の踏面に載置された平板状のベースと該ベースの一端に立設された取付枠とからなる支持体の左端または右端に脱着可能に取り付けられ、該支持体は通常階段に固着せずに載置されたことを特徴とする階段構造。
【請求項2】
前記取付枠は、水平方向に断面コ字状に突出した凸部が形成され、前記補助段には背面部に該取付枠の凸部と嵌合する凹部が形成され、前記補助段は該取付枠にボルトで締結されたことを特徴とする請求項1記載の階段構造。
【請求項3】
前記取付枠は、左端および右端に前記補助段が嵌合する板状の係合部材が立設され、前記補助段には該係合部材に上方から嵌合する嵌合溝が設けられたことを特徴とする請求項1記載の階段構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や一般家庭において、高齢者や怪我してリハビリ中など足の不自由な人でも昇り降りが容易である階段構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者の増加とともに、階段の上り下りが不自由な人が増え、駅など公共の場所にはエスカレーターやエレベーターを増設する一方、階段には、手すりを設置したり、階段の傾斜を緩やかにすることが行われている。
また、病院や家庭の通常階段でも上り下りを容易にするための手段として、階段に半分の段差の補助段を設けたものが開発されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の階段構造は、通常階段の左右方向の一方側に通常階段の段差の約半分の補助段を各段に一列に設置したもので、一方の足は補助段を他方の足は通常階段を使用することにより、段差を低くした階段とほぼ同程度で上り下りができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-226919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の階段構造は、補助段を通常階段の各段に接着またはボルトで固着するだけであるので、簡便で経済的である。
ところで、階段は、必ず左足(または右足)から上るものではなく、不自由な足が右か左によって変わるものである。したがって、補助段は、右か左のいずれの足が悪いかによって、通常階段の左側に設置するか右側に設置するかを決めるのが望ましい。
しかしながら、特許文献1の階段構造では、補助段を一旦設置するとこれを左右いずれかに変えることは、接着を剥がすかボルトを外し、再度設置場所に固着することとなり簡単とはいえない。
また、病院などでリハビリに補助段を使用する場合は、悪い方の足によって補助段の設置場所を変える必要があるが、実際には困難である。まして、左用と右用の2種類の階段構造を設置するのは、場所と費用がかかり大変である。
【0006】
そこで、本発明は、通常階段に補助段を設置した階段構造であって、接着またはボルトで固着する作業を必要とせず、補助段は、通常階段の左側または右側へ簡便に変更できる階段構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を解決するため、本発明の階段構造は、次のように構成した。すなわち、通常階段の横幅方向の一方側の各段および該通常階段の床面に、横幅が15~35cmで段差が通常階段の半分で踏面が通常階段とほぼ同じである補助段が設置された階段構造において、該補助段は、通常階段の踏面に載置された平板状のベースと該ベースの一端に立設された取付枠とからなる支持体の左端または右端に脱着可能に取り付けられ、該支持体は通常階段に固着せずに載置されたことを特徴としている。
【0008】
支持体および補助段は、通常階段に接着やボルトで固着せずに、載置するだけである。このため、設置および取り外しは簡便に行える。支持体および補助段の材料は特に限定しないが、支持体および補助段がズレることのないようにある程度重量のある鋼板を用いるのが望ましい。
なお、通常階段の踏面の先端部分には、通常、滑り止めが固設されているが、これを支持体が前方へズレないようにするストッパーとしての機能を持たせるとよい。また、滑り止めが設置されてない階段の場合は、支持体のストッパーを兼ねた滑り止めを設置する。
【0009】
通常階段は、屋内、屋外を問わない。なお、階段の段差、横幅、踏面の寸法は階段によって異なるので、支持体および補助段は階段ごとに設計する。
支持体は、病院など幅の広い通常階段では横幅の半分程度の幅とし、一般家庭などの階段では、幅が狭いので階段の幅一杯にする。
【0010】
補助段は、階段の各段に載置される支持体に取り付けられ、家庭用の階段では階段横幅の1/3程度(15~35cm)でよく、病院など横幅の広い階段ではもう少し広くても良い。補助段の段差は通常階段の半分である。踏面は通常階段の前端部に滑り止めを設置するので、その分通常階段より短くする。
【0011】
支持体は、平板状のベースと該ベースの一端に立設された取付枠とから構成され、補助段をしっかり取り付けできるものであれば、特に限定しないが、請求項2または請求項3に記載の構成とするのが望ましい。
【0012】
請求項2に記載の補助段の取付手段は、取付枠を水平方向に断面コ字状に突出した凸部を形成し、補助段には背面部に該取付枠の凸部と嵌合する凹部を形成し、補助段は取付枠に取付ボルトで締結したものである。補助段は取付枠との接触面積が多く強固に取り付けられる。
【0013】
また、請求項3の取付手段は、取付枠の左端および右端に板状の係合部材を立設するとともに、補助段は該係合部材に上方から嵌合する嵌合溝を形成している。
補助段は取付枠にボルトなどで締結しない。したがって、取付枠の左側から右側へ変更するときは、補助段を真上へ引き上げるだけで取付枠から外せるので、作業が迅速に行える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の階段構造は、補助段をベースと該ベースの一端に立設した取付枠とからなる支持体の左端または右端に脱着可能に取り付け、通常階段の各段に載置するようにしたので、通常階段への取り付け作業が簡便であり、補助段を通常階段の左側または右側に簡便に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】は、請求項1の発明の階段構造全体を示す斜視図である。
図2】同、請求項2の支持体に補助段を取り付けた状態を示す斜視図である。
図3】同、支持体の全体を示す斜視図である。
図4】同、補助段の全体を示す斜視図である。
図5】同、補助段を支持体の左端、または、右端に取り付ける状態を示す斜視図である。
図6】同、請求項3の支持体と補助段を示す斜視図で、(a)は、支持体、(b)は、補助段を斜め上方から見た斜視図で、(c)は、補助段を斜め下から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の階段構造の実施の形態を、図1図5に基づいて説明する。
図1は、請求項2の発明の階段構造の全体を示す斜視図で、病院など幅の広い既設の階段に適用した例を示し、図2は、支持体10に補助段15を取り付けた全体斜視図、図3および図4は、支持体10および補助段15の全体斜視図である。また、図5は補助段15を左側から右側へ変更する状態を示す斜視図である。
【0017】
この階段構造は、図1に示すように、段差が通常階段の半分で踏面が通常階段とほぼ同じである補助段15を支持体10に固設したものを各段に載置したものである。各段の踏面の前端には幅が15~30mmの滑り止め1aが固着されている。
【0018】
支持体10は、図3に示すように、平板状のベース13と、その一端に固着立設された取付枠11とから構成されている。取付枠11は、中央部が水平方向にコ字状に手前に突出した凸部12が形成されている。そして、突出した凸部12の先端の面には水平方向に長孔12aが形成されている。また、長手方向両端には端板11aが固設されている。
支持体10は、鋼材で作られ、コ字状の凸部12と端板11aによって、かなり剛性のあるものとなっており、重量は大人が楽に持てる程度にしている。
【0019】
支持体10に取り付けられる補助段15は、鋼材で作られ、図4に示すように、直方体で、踏面15aの前端に滑り止め15bを付設している。そして、背部には取付枠11の凸部12と嵌合する凹部15cが水平方向に形成されている。なお、図示してないが、凹部15cには、取付ボルト16がねじ込まれる雌ねじが2箇所形成されている。
また、図4において、15aは踏面、15eは前板、15dは側板である。
【0020】
補助段15は、図2に示すように、支持体10の取付枠11の凸部12に嵌合し、背部から長孔12aを通して取付ボルト16で締結される。
補助段5は、このように取り付けられているので、支持体10とほぼ一体になった状態で通常階段1に置かれる。
【0021】
図1図2では、補助段15を階段の左側(階段に向って見た方向で)に取り付けたもので説明したが、右側へ変える場合は、先ず、補助段15が取り付けられた支持体10を前方へ移動させて背の取付ボルト16を外し、補助段15を支持体10から取り外す。
次に、補助段15を支持体10の右端へ移動して、該取付ボルト16で支持体10へ締結する(図5参照)。そして、補助段15を移設した状態の支持体10を階段の右端へ載置すればよい。
【0022】
次に、請求項3の発明の実施の態様を図6に基づいて説明する。
請求項3の階段構造は、上記の請求項2の階段構造と同じく、平板状のベース21の一端に取付枠22が固設された支持体20の右端または左端に、補助段25を固設したものである。上記の階段構造とは、補助段25を取付枠22に取り付ける手段が異なる。
【0023】
図6(a)は請求項3の支持体20の全体を示す斜視図で、(b)は、補助段25を斜め上方から見た斜視図、また、(c)は補助段25を斜め下方から見た斜視図である。
支持体20は、平板状のベース21と、その一端に固着立設された取付枠22とから構成されている。
【0024】
取付枠22は、ベース21の端部に立設した背板22cと、側端に背板22cと一体の端板22dとが固設され、その内側に、背板22cより低い係合部材22aと、それに接続されている中板22bとが平行に固設されている。
係合部材22aは、背板22cとは離れて立設され、背板22cとの間に隙間が形成されている。係合部材22aは、ベース21の左右に立設され、一端は端板22dに固着され、中央部は、背板22cに固設された中板22bと一体に形成されている。
【0025】
補助段25は、(b)および(c)に示すように、直方体で、踏面25bの前端には滑り止めを付設している。そして、後部下端には取付枠22の係合部材22aに上から嵌合する嵌合溝25aが設けられている。なお、図において、25dは、前板、25cは側板、25eは、底板である。
【0026】
補助段25を階段の右側に変更するときは、補助段25を持ち上げて係合部材22aから外し、右側の係合部材22aに嵌合するだけである。そして、幅の広い階段では支持体20を階段の右側に移動する。ボルトでの締結作業がないので、支持体20を前に移動させる必要はない。なお、家庭の階段のように幅が狭い場合は、支持体20を動かさずに補助段25のみを移動するだけでよい。
【0027】
上記の請求項2の実施の形態では、取付枠11に補助段15を取り付けるため長孔12aを形成したが、長孔12aに限るものではなく、補助段15の雌ねじに位置する箇所に丸孔を形成してもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 通常階段
1a 滑り止め
10 支持体
11 取付枠
11a 端板
12 凸部
12a 長孔
13 ベース
15 補助段
15a 踏面
15b 滑り止め
15c 凹部
15d 側板
15e 前板
16 取付ボルト
20 支持体
21 ベース
22 取付枠
22a 係合部材
22b 中板
22c 背板
22d 端板
25 補助段
25a 嵌合溝
25b 踏面
25c 側板
25d 前板
25e 底板
図1
図2
図3
図4
図5
図6