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  • 特開-電動吊具装置及び昇降装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076537
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】電動吊具装置及び昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/66 20060101AFI20220513BHJP
【FI】
B66C1/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186930
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】591156799
【氏名又は名称】ユニパルス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政数
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004AA02
3F004AB19
3F004AD04
3F004AD08
3F004AE03
3F004AG09
(57)【要約】
【課題】作業者の負担を軽減することができると共に、吊り上げる物品の形状の自由度を高める電動吊具装置を提供する。
【解決手段】 ワークWKに形成されたネジ部SCRを利用し、ワークWKを吊り下げる電動吊具装置100であって、回転軸21を有し、操作部22から送られた指定に応じて、電動モータ25により回転軸21を双方向に回転させる回転装置20と、回転軸21に接続され、ネジ部SCRに螺合する螺合部材30と、昇降装置40に吊支され、回転装置20を固定し、螺合部材30を回転自在に支持する吊下部材10と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに形成されたネジ部を利用し、前記ワークを吊り下げる電動吊具装置であって、
回転軸を有し、操作部から送られた指定に応じて、電動モータにより前記回転軸を双方向に回転させる回転装置と、
前記回転軸に接続され、前記ネジ部に螺合する螺合部材と、
昇降装置に吊支され、前記回転装置を固定し、前記螺合部材を回転自在に支持する吊下部材と、
を備えることを特徴とする電動吊具装置。
【請求項2】
前記回転装置は、前記螺合部材と前記ワークの前記ネジ部との結合が完了したことを判断する判断部を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の電動吊具装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記判断の結果の信号を前記昇降装置に送信する、ことを特徴とする請求項2に記載の電動吊具装置。
【請求項4】
請求項3に記載の前記電動吊具装置から送信された前記信号を受信して、前記ワークの昇降を制御する制御部を有する昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを吊り下げる電動吊具装置及び昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、荷役物運搬機を用いて物品を運搬する際に、荷役物運搬機に吊るされ、物品を吊り上げる吊具が使用されている。当該吊具については、吊り上げる物品の形状等に応じて、様々な技術が提案されている。
【0003】
吊り上げる物品には、例えばアイボルト若しくはアイナットと呼ばれる環状の部位を有した部材を取り付けることが行われている。このようなアイボルト若しくはアイナットは吊り下げて運搬する時のみ使用されるので、人手によって運搬前に取り付けて、運搬後に外す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭60-143660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、このアイボルトの取り付け及び取り外しをエア工具若しくは電動モータ等で行うことで作業者の負担を軽減する技術が開示されている。しかしながら特許文献1の工具ではアイボルトを取り付ける物品の形状に制約があることから改善の余地があった。
【0006】
このような課題に鑑みて、本発明は、作業者の負担を軽減すると共に、吊り上げる物品の形状の自由度が高い電動吊具装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電動吊具装置は、ワークに形成されたネジ部を利用し、ワークを吊り下げる電動吊具装置であって、回転軸を有し、操作部から送られた指定に応じて、電動モータにより回転軸を双方向に回転させる回転装置と、回転軸に接続され、ネジ部に螺合する螺合部材と、昇降装置に吊支され、回転装置を固定し、螺合部材を回転自在に支持する吊下部材と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る電動吊具装置は、回転装置が、螺合部材とワークのネジ部との結合が完了したことを判断する判断部を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る電動吊具装置は、判断部が、判断の結果の信号を昇降装置に送信する。
【0010】
本発明の一態様に係る昇降装置は、電動吊具装置から送信された信号を受信して、ワークの昇降を制御する制御部を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電動吊具装置によれば、作業者の負担を軽減することができると共に、吊り上げる物品の形状の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】昇降装置に取り付けられた本発明の一実施形態に係る電動吊具装置の外観図である。
図2図1の電動吊具装置の外観斜視図である。
図3図1の電動吊具装置の正面図である。
図4】昇降装置と電動吊具装置との制御ブロック図である。
図5】ワークの電動吊具装置への取り付けを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
[構成]
図1には、昇降装置40に吊支された一実施形態に係る電動吊具装置100と、当該電動吊具装置100が吊り下げるワークWKの外観図が示されている。図1における座標系(X,Y,Z)は、図示の通りに定義されている。ここで、ワークWKには、所定の深さの雌ネジ穴SCR(ネジ部)が形成され、電動吊具装置100は、雌ネジ穴SCRを利用して、当該ワークWKを吊り下げる。本実施形態では、電動吊具装置100は、昇降装置40と近距離無線通信が可能となっている。もちろん、電動吊具装置100と昇降装置40とは有線で通信しても良い。昇降装置40は、例えばバランサであって、昇降装置40からワイヤやチェーンなどの端部に設けられたフックに物品を係止し、この物品に作業者が外力を加えると動的バランスを取りつつ昇降させることができる装置である。
【0015】
<電動吊具装置100の構成>
図2及び図3には、一実施形態に係る電動吊具装置100の外観図が示されている。図2は、図1に示した電動吊具装置100の拡大図である。また、図3は、図2に示した電動吊具装置100を-Y方向側から視た外観図(XZ平面視図)である。そして、図4は、昇降装置40及び電動吊具装置100に含まれる回転装置20の制御ブロック図である。
【0016】
図2及び図3により総合的に示されるように、電動吊具装置100は、吊下部材10と、回転装置20と、螺合部材30と、電源部26を備えている。
【0017】
上記の吊下部材10は、本実施形態では、主として2個のコ字状部材を対向するようにして取り付けた枠部分と、当該枠部分の+Z方向側に取り付けられたアイボルトと、から構成されている。吊下部材10の枠部分は、例えば板金をコ字状に折り曲げたものであって、ネジ若しくは溶接などによって固定されて、Z方向の引張荷重に対して充分な剛性を有する。アイボルトは枠部分の天面のネジ部に固定されている。そして吊下部材10におけるアイボルトに昇降装置40のフックを係止することで、電動吊具装置100は、昇降装置40に吊支される。
【0018】
回転装置20は、本実施形態では、図4に示されるように、電動ギアドモータ25、操作部22、トルク検出部24及び制御部23を備えている。電動ギアドモータ25は、回転装置20の内部に搭載され、Z軸方向を軸方向とする回転軸21を有する。電動ギアドモータ25は、制御部23による制御のもとで、操作部22に入力された方向指定に応じて、当該指定された方向に、回転軸21を双方向それぞれに回転させる、減速機付きの電動モータである。この回転装置20は、吊下部材10の枠部分に挟み込まれてバンドにて吊下部材10に固定されているが、これに限るものではない。
【0019】
操作部22は後述の制御部23に指令を送信する釦である。作業者が操作部22を操作することで電動ギアドモータ25を駆動して回転軸21を回転させることができる。
【0020】
トルク検出部24は、回転装置20の内部に収められ、回転軸21に作用するトルクを検出する。トルク検出部24による検出値は、制御部23へ送られる。トルク検出部24は、電気的にトルクを検出するものであっても良いし、機械的な所謂トルクリミッタであっても良い。
【0021】
制御部23は、回転装置20の全体を統括制御するとともに、所定の処理を実行する。制御部23は、演算手段としての中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成されている。制御部23が所定のプログラムを実行することにより、電動吊具装置100の各種機能及び昇降装置40との連携機能が実現されるようになっている。
【0022】
螺合部材30は、本実施形態では、雄ネジ溝が形成されたボルト形状の部材である。螺合部材30は、回転軸21に取り付けられ、ワークWKに形成された雌ネジ穴SCRに螺合する。本発明はこれに限らず、螺合部材30が雌ネジを有したナット状の部材で、ワークWKに雄ネジが形成されていても良い。螺合部材30は、吊下部材10の枠部分の-Z方向側の底面に設けられた穴に例えばブッシュなどのすべり軸受などを介して挿入され、吊下部材10に対して回転自在に支持されている。
【0023】
制御部23は、操作部22に入力された回転軸21の回転及びその方向の指定を受ける。これを受けた制御部23は、方向指定に対応する駆動指令を生成して、当該指令を電動ギアドモータ25へ送る。また、制御部23は、トルク検出部24から送られた検出値を受ける。そして、制御部23は、操作部22から送信された方向指定の信号及びトルク検出部24から送信された検出信号に基づいて、螺合部材30が雌ネジ穴SCRに螺合して、電動吊具装置100とワークWKの結合が完了したことの判断を行う。
【0024】
制御部23は、回転軸21の回転方向が、螺合部材30が雌ネジ穴SCRに螺合する第1回転方向であり、かつ、トルク検出部24から受信した検出信号が所定の値以上となったときに、電動吊具装置100とワークWKの結合が完了したと判断する。制御部23は、螺合部材30が雌ネジ穴SCRに完全に挿入されて電動吊具装置100とワークWKの結合が完了したと判断すると、電動ギアドモータ25に対して回転を停止させる指令を送るとともに、螺合部材30が雌ネジ穴SCRに結合している結合フラグを立て、昇降装置40に電動吊具装置100の状態を送信する。
【0025】
なお、変形例として吊下部材10の-Z方向側に測距スイッチ27を取り付け、電動吊具装置100とワークWKとの距離を測距し、測距結果が、電動吊具装置100とワークWKの結合が評価できる値となったときに、制御部23は、電動吊具装置100とワークWKとの結合が完了したと判断するようにしてもよい。これにより、制御部23は、電動吊具装置100とワークWKとの結合の判断の確実性を高めることができる。また、トルク検出部24による検出信号が所定の値以上になったとしても、螺合部材30が斜めに挿入して途中で止まった場合に、制御部23は、電動吊具装置100とワークWKとが結合していないと判断することができる。
【0026】
電源部26は、制御部23、電動ギアドモータ25、トルク検出部24などに電気を供給する。電源部26は、例えば電池である。電動吊具装置100が昇降装置40と有線でつながっている場合は、昇降装置40から電気が供給される。
【0027】
<昇降装置40の構成>
昇降装置40は、昇降装置操作部42の操作によって、吊下げられたワークWKの昇降を行うことができる。昇降装置操作部42は、例えば保持釦、バランス釦、上昇釦、下降釦を有している。保持釦が押されると、昇降装置40は現在吊下げたワークWKの位置を保持した保持モードになる。バランス釦が押されると、昇降装置40は現在吊下げたワークWKの重量を登録し、ワークWKとのバランスをとるバランスモードになる。当該保持モード若しくはバランスモードにある時に、上昇釦若しくは下降釦のいずれかが押されると、昇降装置40は強制的にワークWKを上昇若しくは下降させ、当該釦を押すのを止めると再度、元の保持モード若しくはバランスモードに戻る。
【0028】
なお、以下では、ワークWKを取り付けていない状態でのバランスモードを「吊具バランスモード」とする。また、ワークWKを取り付けている状態でのバランスモードを「ワークバランスモード」とする。
【0029】
[動作]
以上のように構成された電動吊具装置100について、昇降装置40との協調した動作を説明する。
【0030】
<ワークWKの取り付け動作>
前提として、電動吊具装置100は、昇降装置40に吊支されている。また、当初においては、ワークWKは床面に載置され、電動吊具装置100は、ワークWKを取り付けていない。すなわち、電動吊具装置100及びワークWKは、図5(a)に示される状態になっているものとする。また、昇降装置40は、吊具バランスモードになっているものとする。
【0031】
こうした状態で、まず、作業者は昇降装置40に電動吊具装置100を取り付けた状態で昇降装置40の昇降装置操作部42を操作して、吊具バランスモードでバランス動作をさせて、電動吊具装置100を自在に上下させる状態にする。次いで、作業者は吊下部材10を握持して、螺合部材30の先端部をワークWKの雌ネジ穴SCRの入り口付近に移動させる。そして作業者は操作部22の第1回転方向に回転させる釦を押下する。すると制御部23は、操作部22からの信号を受信して、電動ギアドモータ25へ回転指令を送信して、回転軸21を第1回転方向に回転させる。こうして回転軸21が第1回転方向に回転すると螺合部材30が第1回転方向に回転し、ワークWKの雌ネジ穴SCRに螺合し始め、作業者は電動吊具装置100を、バランス状態を保ちつつ下降させることができる。この後、制御部23は、トルク検出部24からの検出信号が所定の値となったときに、螺合部材30の雌ネジ穴SCRへの螺合が終わって、電動吊具装置100とワークWKとの結合が完了したと判断する(図5(b)参照)。
【0032】
制御部23は、電動吊具装置100とワークWKとが結合されたと判断すると、電動ギアドモータ25へ回転を停止させる指令を送る。この結果、回転軸21の回転が停止する。なおトルク検出部24がメカニカルなトルクリミッタで構成されている場合は、作業者が操作部22の釦の押下している限り制御部23は電動ギアドモータ25へ回転指令を継続し、作業者が操作部22の釦の押下を止めると、制御部23は電動ギアドモータ25へ回転を停止させる指令を送る。制御部23は、電動吊具装置100とワークWKとが結合されたかどうかを判断する判断部を有し、電動吊具装置100とワークWKとが結合されたと判断すると、電動吊具装置100とワークWKとの結合フラグを立てて記憶する。そして、制御部23は、電動吊具装置100とワークWKとが完全に結合された状態を示す結合フラグを、昇降装置40に送信する。
【0033】
昇降装置40は、当該結合フラグを受信すると、自動で、ワークWKが宙吊り状態になるように所定位置まで上昇させる(図5(c)参照)。引き続き、昇降装置40は、電動吊具装置100及びワークWKの重量を計測して、ワークバランスモードに遷移する(第1制御)。この後、作業者は、ワークバランスモードで荷役作業を実施する。
【0034】
なお、ワークWKの重量が既知で、昇降装置40に予めワークWKの重量が登録している場合には、昇降装置40は、結合フラグの受信と同時に即座に、ワークバランスモードに移るようにしても良い(第2制御)。この後、作業者は、ワークバランスモードで荷役作業を実施する。
【0035】
また、昇降装置40が結合フラグを受信しない場合には、作業者はこの後、昇降装置40の昇降装置操作部42の上昇釦を押してワークWKを宙吊り状態まで上昇させ、次いでバランス釦を押して、ワークバランスモードに遷移させるようにしても良い(第3制御)。この後、作業者は、ワークバランスモードで荷役作業を実施する。
【0036】
なお、ワークWKの重量が既知で、昇降装置40に予めワークWKの重量が登録しており、かつ、結合フラグを受信できる構成を採用している場合には、例えば、昇降装置操作部42を操作して、上記の第1制御、第2制御及び第3制御を作業者が選択できるようにしてもよい。
【0037】
<ワークWKの取り外し動作>
前提として、電動吊具装置100にワークWKが取り付けられ、結合フラグは立っているものとする。また、昇降装置40は、ワークバランスモードになっているものとする。
【0038】
電動吊具装置100からのワークWKの取り外しに際して、まず作業者は昇降装置40の昇降装置操作部42を操作してバランス動作を解除して降下釦を押して、ワークWKを所望の位置に載せ置く(図5(b)参照)。
【0039】
さらに作業者が吊下部材10を握持して操作部22を操作し、回転軸21を第1の回転方向とは逆の第2回転方向に回転させる釦を押下する。電動吊具装置100の操作部22のこの釦が押下されると、制御部23が電動ギアドモータ25へ回転指令を送信し、回転軸21を第2回転方向に回転させる。
【0040】
作業者は電動吊具装置100とワークWKの結合の解除を確認して当該釦の押下を止める。この後、制御部23は、結合フラグをオフにして、その旨を昇降装置40へ送る。以上で電動吊具装置100からワークWKの取り外し動作が完了となる(図5(a)参照)。
【0041】
なおトルク検出部24がメカニカルなトルクリミッタで構成されている場合は、作業者が操作部22を構成する不図示の所定の釦を操作することによって、制御部23は昇降装置制御部41へ、結合解除の報告を送信することができる。
【0042】
昇降装置40は、結合解除の報告を受信すると、吊具バランスモードに遷移する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態では、電動吊具装置100へのワークWKの取り付けにおいて、電動吊具装置100の螺合部材30が、電動によりワークWKに形成された雌ネジ穴SCRに螺合する。また、電動吊具装置100からのワークWKの取り外しにおいても、電動吊具装置100の螺合部材30が、電動によりワークWKに形成された雌ネジ穴SCRから外れる。このため、作業者の負担を大幅に軽減することができる。
【0044】
また、本実施形態では、回転装置20の制御部23は、螺合部材30が雌ネジ穴SCRに完全に螺合して電動吊具装置100とワークWKとが結合したと判断すると、その旨を昇降装置制御部41へ送る。そしてこの時、昇降装置40は電動吊具装置100及びワークWKを上昇させることができる。
【0045】
また、本実施形態では、ワークWKに形成された雌ネジ穴SCRにボルト形状の螺合部材30を螺合させる構成のため、ワークWKのネジ部に螺合部材30を螺合されることができれば、ワークWKの形状に制限が少なく、様々なワークWKを取り扱うことができる。
【0046】
したがって、本発明の電動吊具装置によれば、作業者の負担を軽減することができると共に、吊り上げる物品の形状の自由度が高い。
【0047】
なお螺合部材30が雌ネジ穴SCRに噛んでしまって電動ギアドモータ25にて外すことができない場合に対応できるように、螺合部材30には手動工具が嵌合できる、例えば有底の六角穴、六角柱などの形状の部分が設けられている。
【0048】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0049】
上記の実施形態では、回転軸及び螺合部材の軸方向を、同一のZ軸方向とした。これに対し、螺合部材の軸方向がZ軸方向であれば、回転軸の軸方向を複数の傘歯車等を利用して、例えば、Z軸方向と垂直な方向にするようにしてもよい。この場合には、電動吊具装置のZ方向の長さを短くすることができる。
【0050】
また、上記の実施形態では、電動吊具装置は、長方形状のワークを取り付けたが、他の形状であってもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように、本発明の電動吊具装置は、ワークを吊り下げる電動吊具装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
100 :電動吊具装置
10 :吊下部材
20 :回転装置
21 :回転軸
22 :操作部
23 :制御部(判断部)
24 :トルク検出部
25 :電動ギアドモータ(電動モータ)
26 :電源部
27 :測距スイッチ
30 :螺合部材
40 :昇降装置
41 :昇降装置制御部
42 :昇降装置操作部
WK :ワーク
SCR :雌ネジ穴(ネジ部)


図1
図2
図3
図4
図5