(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022076654
(43)【公開日】2022-05-20
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20220513BHJP
B65D 47/40 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
B65D47/20 111
B65D47/40 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020187137
(22)【出願日】2020-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】518172978
【氏名又は名称】メビウスパッケージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩水 敬太
(72)【発明者】
【氏名】小松 威久男
(72)【発明者】
【氏名】井口 修良
(72)【発明者】
【氏名】谷村 健太
(72)【発明者】
【氏名】森 圭介
(72)【発明者】
【氏名】篠田 寛志
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA03
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084AB06
3E084AB09
3E084BA03
3E084BA08
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084EA01
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084FD13
3E084GA01
3E084GB16
3E084HA01
3E084HB01
3E084HC03
3E084HD01
3E084KB02
3E084LA21
3E084LB10
3E084LC01
3E084LD13
3E084LF09
(57)【要約】
【課題】良好な液切れ機能を発揮するノズル付きのキャップを提供する。
【解決手段】キャップ1は、ボトル80の開口部82に取り付けられるように構成されたノズル14を有するキャップ本体10と、開口部82とノズル14との間に配置された切れ込み41を有する弾性膜40とを備える。弾性膜40は、キャップ本体10の内壁18と弾性膜40とで囲まれておりノズル14において開口している空間30を形成するように配置されている。弾性膜40は、ボトル80の内部の圧力が上昇したときに弾性膜40が空間30の体積を減少させるように伸展して変形し、弾性膜40の変形に伴って切れ込み41の部分に開口42が形成されるように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトルの開口部に取り付けられるように構成されたノズルを有するキャップ本体と、
前記開口部と前記ノズルとの間に配置された切れ込みを有する弾性膜と
を備え、
前記弾性膜は、前記キャップ本体の内壁と当該弾性膜とで囲まれており前記ノズルにおいて開口している空間を形成するように配置されており、
前記弾性膜は、前記ボトルの内部の圧力が上昇したときに当該弾性膜が前記空間の体積を減少させるように伸展して変形し、当該弾性膜の変形に伴って前記切れ込みの部分に開口が形成されるように構成されている、
キャップ。
【請求項2】
前記空間を形成する前記キャップ本体の内壁には、リブが設けられており、
前記弾性膜が変形したときにも前記キャップ本体の内壁と前記弾性膜との間に、前記切れ込みの部分の前記開口から前記ノズルに至る流路が形成されるように構成されている、
請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記弾性膜は円盤形状を有しており、
前記空間を形成する前記キャップ本体の内壁は、前記弾性膜の上にドーム形状の前記空間を形成するように、ドーム形状を有している、
請求項1又は2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記切れ込みは線状の切れ込みである、請求項1乃至3の何れかに記載のキャップ。
【請求項5】
前記弾性膜は、シリコーンによって形成されている、請求項1乃至4の何れかに記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
液体を収容するための様々な合成樹脂製の容器が知られている。また、そのような容器にノズル付きのキャップが取り付けられ、適量の内容物を細い口から出すことも行われている。例えば、PETボトルやハードタイプのオレフィンボトルなど比較的剛性が高いボトルでは、ボトルを潰して内容物をノズルから出した後、ボトルに加えている力を除くと、ボトルの復元力によってボトル内に陰圧が発生する。その結果、ノズルの先端の内容物がボトル内に引き込まれる。このようにして、ノズルにおける良好な液切れ機能が発揮される。
【0003】
液切れ機能に関する技術として、例えば、特許文献1には、次のようなキャップに関する技術が開示されている。このキャップでは、中央側に吐出孔と外側に開く弁体とが設けられ、吐出孔よりも下方の周縁部には吸気孔と内側に開く弁体とが設けられている。内容物の吐出時には中央側の吐出孔から内容物が吐出され、ボトルの形状が復元するときには、周縁部から弁の部分に残った内容物が吸引される。
【0004】
比較的剛性が高いボトルの場合と比較して、ソフトタイプのオレフィンボトル等、比較的剛性が低いボトルでは、ボトルの復元力による液切れ機能はそれほど期待できない。このため、キャップの吐出口の先端形状の工夫や、表面処理を行って撥水・撥油性を高めることで液切れ機能を向上させることも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
比較的剛性が低いボトルでも、比較的剛性が高いボトルと同様の液切れ機能が得られると便利である。
【0007】
本発明は、ボトルの特性によらずに良好な液切れ機能を発揮するノズル付きのキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、キャップは、ボトルの開口部に取り付けられるように構成されたノズルを有するキャップ本体と、前記開口部と前記ノズルとの間に配置された切れ込みを有する弾性膜とを備える。前記弾性膜は、前記キャップ本体の内壁と当該弾性膜とで囲まれており前記ノズルにおいて開口している空間を形成するように配置されている。前記弾性膜は、前記ボトルの内部の圧力が上昇したときに当該弾性膜が前記空間の体積を減少させるように伸展して変形し、当該弾性膜の変形に伴って前記切れ込みの部分に開口が形成されるように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、良好な液切れ機能を発揮するノズル付きのキャップを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るキャップの構成例の概略を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るキャップの構成例の概略を示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る弾性膜の構成例の概略を示す平面図である。
【
図4】
図4は、キャップをボトルの口部に取り付けた状態の概略を示す縦断面図である。
【
図5】
図5は、ボトルが圧搾されたときのキャップの状態の概略を示す縦断面である。
【
図6】
図6は、ボトルが圧搾されたときの弾性膜の状態の概略を示す平面図である。
【
図7】
図7は、変形例に係る弾性膜の構成例の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、容器の口部に取り付けられ、内容物の注出量を調整するためのノズル付きのキャップに関する。これに限らないが、容器としては、比較的剛性が低く、容器を圧搾することで内容物を押し出すことができるソフトボトルなどが想定される。ソフトボトルによれば、容器を圧搾する力が小さいため、粘度の高い内容物を容易に絞り出すことができる。一方で、ソフトボトルは、容器自体の復元力はほとんどない。また、ソフトボトルではなく、容器は、復元力がある外容器の内側に柔らかい袋状の内容器が設けられた二重構造容器であってもよい。内容物は、流動性を有するどのようなものでもよく、例えば、各種ソース、ケチャップ、マヨネーズといった粘度が高い調味料や醤油といった粘度の低い調味料であってもよいし、調味料以外の化粧品、薬品など、どのような液状物であってもよい。
【0012】
[キャップの構成]
図1は、本実施形態に係るキャップ1の構成例の概略を示す斜視図である。
図2は、キャップ1の構成例の概略を示す縦断面図である。キャップ1は、キャップ本体10を備える。キャップ本体10は、ボトルの開口部が設けられた円筒形の口部に取り付けられるように構成されている。キャップ本体10は、ボトルの口部を覆うように下方が開放し、上方に天板部12が設けられた円筒形状の取付部11を備える。取付部11の内壁には、ねじ21が設けられている。また、キャップ本体10は、天板部12の上面に設けられた半球状のドーム部13と、ドーム部13の頂上部に設けられたノズル14とを備える。これに限らないが、ドーム部13の直径は、例えば5~40mm程度であり、ノズル14の直径は、例えば数mm程度、例えば2~4mm程度などであってもよい。キャップ1は、ノズル14を塞ぐ上蓋をさらに備えていてよい。キャップ1は、いわゆるヒンジキャップであってもよい。
【0013】
なお、ここに示す例では、ドーム部13の直径が天板部12の直径よりも小さいが、これに限らない。例えば、ドーム部13の直径がボトルの口部と同程度であり、天板部12が設けられておらず、取付部11の上側全体にドーム部13が設けられていてもよい。
【0014】
図2に示すように、ドーム部13の内部は空洞になっており、その頂上部がノズル14を介して開放されている。キャップ本体10の内部には、このドーム部13の内部の空洞の底を塞ぐように、円盤形状の弾性膜40が設けられている。弾性膜40は、例えばシリコーンによって形成されたシリコーンシートである。このようにして、キャップ本体10のドーム部13の内壁18と弾性膜40とで囲まれており、ノズル14において開口している、半球状の空間30が形成されている。ドーム部13の内壁18の上側には、空間30側に張り出したリブ22が設けられている。
【0015】
図3は、弾性膜40の平面図である。弾性膜40は、切れ込み41を有する。この例では、弾性膜40は、5つの線状の切れ込み41を有する。切れ込み41は、弾性膜40の表裏を貫いて形成されている。
【0016】
これに限らないが、弾性膜40の直径は、例えば5~40mm程度であり、これに対して、切れ込み41の長さは、例えば1~2mm程度であってもよい。弾性膜40の厚さは、例えば数百μm程度であってもよい。
【0017】
弾性膜40の材料は、シリコーンに限らず、伸縮性を有する他の材料であってもよい。弾性膜40の材料は、内容物に応じて、耐油性など、必要な耐久性を有していることが好ましい。弾性膜40の材料は、例えば、シリコーン、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、熱可塑性エラストマー(TPE)などであってもよい。
【0018】
弾性膜40は、キャップ本体10の内部にどのように固定されていてもよい。例えば、弾性膜40は、キャップ本体10に接着剤によって固定されていてもよい。弾性膜40は、キャップ本体10に溶着されていてもよい。キャップ1は、キャップ本体10に固定される固定部材を備え、弾性膜40は、固定部材とキャップ本体10との間に挟まれて固定されていてもよい。あるいは、弾性膜40は、固定部材に貼り付けられ、その固定部材がキャップ本体10に嵌合などにより取り付けられていてもよい。
【0019】
[キャップの機能]
図4は、キャップ1をボトル80の口部81に取り付けた状態の概略を示す縦断面図である。口部81の周囲のねじ83に、キャップ1の取付部11の内壁のねじ21が嵌り、キャップ1が口部81に締め付けられる。このとき、弾性膜40は、ボトル80の開口部82を塞ぐように配置される。
【0020】
ボトル80の内容物が押し出されるとき、ボトル80は、例えば逆さにされ、圧搾される。このとき、ボトル80の内部の圧力が上昇する。
図5は、ボトル80が圧搾されたときのキャップ1の縦断面の概略を示す。なお、
図5において、弾性膜40の切れ込み41の表記は省略している。
図6は、このときの弾性膜40の平面図である。ボトル80が圧搾されると、
図5に示すように、伸縮性を有する弾性膜40は、伸展して変形し、ドーム部13の内部に丸く膨らむ。このとき、
図6に示すように、弾性膜40の変形に伴って、切れ込み41の部分が広がり、開口42が形成される。ボトル80の内容物は、弾性膜40の切れ込み41の部分に形成された開口42を介して空間30に出て、ノズル14を介して外部に押し出される。
【0021】
このとき、弾性膜40はドーム部13の内部の空間30で膨らむが、ドーム部13の内壁18の特に上部にはリブ22が設けられているため、膨らんだ弾性膜40は、リブ22に当たり、内壁18と密着することがない。その結果、弾性膜40がドーム部13の内壁18に密着して弾性膜40の開口42が塞がれることはない。また、ドーム部13の内壁18と弾性膜40との間に隙間が残る。この隙間を流路として、内容物は、弾性膜40の開口42からノズル14に至ることができる。
【0022】
ボトル80を押す力が弱められると、弾性膜40の弾性力により、弾性膜40は、
図4に示すように再び平板形状に戻り、切れ込み41の開口42は塞がる。この過程で、ドーム部13の内壁18と弾性膜40とで囲まれた空間30は体積が大きくなるので、キャップ1は、ノズル14周辺から内容物を吸い込む。このときの空間30の体積変化量は十分に大きく、内容物の押し出し終了時にノズル14内及びノズル14の周辺などに残っていた内容物は、空間30内に流入する。その結果、内容物が垂れ出る液だれが生じず、液切れがよくなる。
【0023】
以上のようにして、本実施形態のキャップ1では、ボトルの形状が戻ることにより陰圧を発生させてノズル14周辺の内容物を吸い込むサックバック機能を、キャップ1自体が備えている。その結果、キャップ1が取り付けられたボトル80は、ボトルの種類によらず良好な液切れ機能を発揮することができる。
【0024】
なお、この機能は、ボトル80の内部の圧力が上昇したときに、弾性膜40がドーム部13内の空間30の体積を減少させるように伸展して変形し、ボトル80の内部の圧力がもとに戻ったときには、弾性膜40の形状がもとに戻ることに由来する。したがって、この機能は、弾性膜40による体積変化量が十分に大きいことで発揮される。また、この機能は、平面膜に十字型のスリットが設けられており、内圧が上昇したときに中央部がめくれ上がって開口が形成される態様や、平面膜に平行な線状のスリットが設けられており、短冊状の膜のずれによって開口が形成される態様のシート等では実現されない。
【0025】
弾性膜40の表裏両側の圧力が平衡しているとき、弾性膜40は平板形状となり、切れ込み41は閉じた状態となる。すなわち、開口部82は簡易的にシールされた状態となり、ボトル80の内部への外気の侵入が防がれる。
【0026】
また、切れ込み41が閉じた状態で、ドーム部13の内部の空間30に内容物がある程度残ることになる。その結果、空間30の内部の乾燥が防止され、切れ込み41が乾燥によって固着することが防がれる。
【0027】
[変形例]
弾性膜40における切れ込み41の構成は、上述のものに限らない。例えば、
図7(a)に示すように、弾性膜40aの切れ込み41aの数は、より少なくてもよいし、配置も変更されてもよい。
図7(b)に示すように弾性膜40bのその切れ込み41bの長さは短くてもよいし、また、長くてもよい。また、
図7(c)に示すように、弾性膜40cの切れ込み41cの数は、より多くてもよい。
【0028】
弾性膜40における切れ込み41の構成、及び、ノズル14の直径などは、ボトル80の内容物の粘度、比重などに応じて適宜に調整される。例えば、これらは、ボトル80を倒立させても圧搾しなければ内容物がノズル14から出てこず、ボトル80を圧搾したときには適度な力で内容物が押し出され、力を除いたときには液切れがよいような条件に調整される。
【0029】
上述の実施形態では、弾性膜40は、ボトル80の開口端に配置されているが、これに限らない。例えば、弾性膜40の直径は、ドーム部13の直径よりも小さくてもよく、弾性膜40は、ドーム部13の内部に設けられていてもよい。すなわち、弾性膜40は、ボトル80の開口部82とキャップ本体10のノズル14との間に配置されており、キャップ本体10の内壁と弾性膜40とで囲まれた30が形成されるように配置されていればよい。
【0030】
ドーム部13は、半球状でなくてもよい。ドーム部13は、弾性膜との間に空間30を形成するように、盛り上がったドーム形状であればどのような形状でもよく、例えば錐体状などであってもよい。圧力が平衡している状態の弾性膜40の形状は、平板状でなくてもよく、例えば曲面形状であってもよい。また、ノズル14の位置や形状なども適宜に変更され得る。
【0031】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0032】
1 キャップ
10 キャップ本体
11 取付部
12 天板部
13 ドーム部
14 ノズル
18 内壁
21 ねじ
22 リブ
30 空間
40 弾性膜
41 切れ込み
42 開口
80 ボトル
81 口部
82 開口部
83 ねじ